コメディ・ライト小説(新)

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Lunatic Mellow Mellow
日時: 2019/08/09 00:09
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 あの美しい月は、人の心を狂わすのです。







 * * *

 半年以上小説を書いてなかったのでリハビリを兼ねて。
 タイトルは略して「LMM」です。特に意味はないです。


 mellow001「」
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 登場人物

 □篠宮藍
 ■香坂飛鷹
 ■茅野咲良
 □三原あんず

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Re: Lunatic Mellow Mellow ( No.7 )
日時: 2019/08/28 00:53
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 mellow004「 記憶のピース 」

 飛鷹さんと出会ってから、確かに死にたくなる瞬間が以前に比べて少なくなったような気がする。飛鷹さんはとてもいい人だし、好きって感情を抱かなくても側にいてくれる大人の余裕みたいなのがあって、なんだか心地よかった。
 私がどれだけ咲良のことが好きでも、それでも飛鷹さんは何も言わなかった。結局、私は飛鷹さんのことを何も知らないまま、少しずつ心を開いてしまったのだ。

「――アイドルグループ、lunaticが今年いっぱいでの解散を発表しました」

 咲良が死んで一か月が経つころには、咲良の居場所はいともあっさりなくなった。テレビではこのことについてどう思いますか、なんてアナウンサーが街頭インタビューに出ていて「自称lunaticのファン」の女たちが「寂しいです」や「咲良くんの死にショックが隠せません」と表情を暗くしていた。本当に余計なお世話だ。咲良の死を忘れたいのに、世間はそれを許してくれないのか。
 どうせ、一年後誰も覚えてないくせに。


「ねぇ、私が殺したのかも、しれないのにさ」



 パソコンから、デビュー前のlunaticの曲が流れる。センターの飛鷹さんだけが輝いてる、昔のワンマンlunatic。このころの咲良は本当にただの数合わせみたいだった。その映像を何度も何度も繰り返し見てる私は、すごくマゾなんだろう。







「あ、またリスカしてる」
「……でもですね、前した時から二週間は経ってるんです。わたし、偉くないですか? 考えてみてください、二週間も耐えれたんです、褒めていいですよ」
「んー、言ってることは絶対おかしいんだけど、まあ、よく頑張りました」

 飛鷹さんは私の頭を優しく撫でる。彼のごつごつした掌が好きだ。リスカなんてどうでもいいのに、放っておけばいいのに。咲良のことを思い出すたびに死にたくなる私なんて、早く捨てればいいのに。
 優しい飛鷹さんは今日も私のことを見捨てられずに付き合ってくれる。偽りの恋人関係がもう三か月続こうとしていた。

「飛鷹さんって格好いいじゃないですか」
「突然どうしたの、藍ちゃん。とうとうオレの魅力に気づいたかい」
「いや、そうじゃなくて、こんな好青年風に見せかけたイケメンがどうしてフリーなのかなって、世の女はもったいないことをしてるのではないかって思って」
「待って俺は今軽くディスられているのではないだろうか」

 飛鷹さんに奢ってもらった特大クレープを食べながら私たちはベンチで話す。秋のはじめ。夏が過ぎ去ってもまだ太陽は元気で、大半の人間は半袖だった。彼がどんな職業をしているのか、何も知らないけれど、平日会うのは決まって十五時ごろで、普通のサラリーマンではないことは明確だった。

「今はね、藍ちゃんと付き合ってるから他に彼女はいないんだよ」
「あ、忘れてました。そういや付き合ってる設定でしたね」
「ははは、やっぱり忘れてるんだ。さすが藍ちゃん、君はそういう子だ」

 公園のベンチから見える景色は、小学生の下校の様子で、ランドセルを背負って駆けていく子供が無邪気で少しだけ懐かしく感じた。小学生の頃の咲良はまだ私より小さくて、いつも私の後ろをちょこちょこ追いかけてきて、すごく可愛くて可愛くて。




 咲良が死んだ。夏のはじめ。異常気象と言われるほどに暑すぎた夏の日、私が愛した咲良は死んだのだ。
 私のせいだ。私のせいで死んだ。咲良は死ななくて良かったのに、私のせいで死んだのだ。



「藍ちゃん?」


 頭がふわふわしていた。飛鷹さんの顔が近づいてきてるのだけ認識できて、私がベンチから落ちて地面と対面していたことにはきづけなかった。
 いつも通りの日常。会話には咲良のことを思い出すきっかけなんて何一つなかったのに、唐突に脳裏に咲良がいっぱい沸いて、それが消えることはなかった。思い出がすべて脳を侵食していくように、それは吐き気に変わって呼吸がうまくできなくなった。汗が尋常じゃないくらいに湧き出て止まらなくなって、私は飛鷹さんに抱き着いた。「死にたい」と言葉だけははっきり喋れた。

「お願いだから、死なないで」

 咲良が死んだ。部屋中にお酒がいっぱいあった。あんまり強くないくせに。成人したばっかで、これからお酒は覚えていく予定なんですって、ずっと今までいい子だったのに。ぐるぐるぐるぐる、頭は咲良と共有した記憶でぐちゃぐちゃになった。飛鷹さんの声がどんどん遠ざかっていく。
 飛鷹さんは結局何者なんだろう。知りたくなかった。だって、なんとなくわかってたから。私が思い出さないように必死で彼の存在を忘れようとしていたから、だから飛鷹さんはわざと他人のふりをしていたんだ。気持ち悪い。記憶の欠片がいろんなところに飛び散った。私は、咲良をきっと見殺しにしたんだ。

Re: Lunatic Mellow Mellow ( No.8 )
日時: 2019/11/05 00:37
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 mellow005「 り、すとーりー 」


 湧き出る汗は止まらずに、頭は整理できないくらいの量の「歪な記憶」でごちゃごちゃに掻きまわされた。どうして咲良は死んだんだろう。どうして私は咲良の死を看取ったんだろう。そもそも咲良と私は付き合っていたのか、それとも私の片思い?
 どうしてそんな知っていて当然のことすら私はちゃんと覚えていないのだろうか。

 目が覚めると私はいつのまにか家のベッドで眠っていた。飛鷹さんが家まで送っていってくれたのだろう。化粧もしたままだし、服もデートをした時の格好のまま、それくらいに私は憔悴しきっていたのだ。
 体は鉛を背負ったくらいに重く、足も地面の感覚を忘れたかのようにふらふらと安定しなかった。唐突に気持ち悪くなってしゃがみ込んだときに、ベッドの下に一冊本が落ちているのに気づいた。手を伸ばしてそれを見てみると、それは日記帳のようなものだった。こんなのを書いた記憶はない。パラパラとめくってみたけれど、やっぱりそれは私の記憶にはなくて、でも、それは間違いなく私の字だった。


「○月×日
 今日は咲良に会った。ますます咲良はイケメンになっている。身長が伸びたせいだろうか、またアイドルになりたいなんて夢みたいなことを言っている。そういうちょっと馬鹿なところも嫌いじゃないから困ったものだ」

「○月△日
 咲良が大手のアイドル事務所の書類審査に合格したらしい。嬉しそうにメールで報告してきてくれた。喜んでる顔が浮かぶ。今度お祝いしてあげよう。やっぱり食べ盛りだし焼肉とかがいいかな」

「○月□日
 咲良が合格したらしい。しかももうグループで活動するらしい。早いものだ、先輩にとてもカッコいい人がいるとか言ってた。ライブもするらしいから咲良のことを見に行くついでにその先輩も見てこようかな」


 あれ、おかしい。
 咲良がデビューしたばっかのころの私の日記。こんなの書いた記憶なんてない。
 
「○月▼日
 気になっていた人に告白された。付き合うことになった。咲良もあんずもおめでとうってお祝いしてくれた。すごく嬉しい」





 私の字だった。間違いなく私の字。私は咲良のことが好きだったわけじゃないのか。そもそも付き合うことになったって誰のことだ。
 知らない、私はこんなの知らない。次のページを開くのがただただ怖かった。真実を知るのが怖かっただけなのに。

「○月◆日
 今日は咲良の誕生日。あんずと飛鷹さんと一緒にお祝いした。私の弟もついに十八歳になってしまった。結婚もできちゃうよ。お姉ちゃんは寂しいな」

 風がカーテンを大きく揺らす。汗べったりの気持ち悪い肌。投げ捨てた日記帳。
 どうして誰も何も教えてくれないんだろう。
 どうして私は何も「覚えてない」んだろう。

 咲良が好きだった。恋だったはずだった。それなのに、それさえも「嘘」だなんて。
 私はこれから何を信じればいいのだろう。

Re: Lunatic Mellow Mellow ( No.9 )
日時: 2019/11/05 00:40
名前: 立花 ◆FaxflHSkao


 mellow006「 lunatic 」


 彼女に初めて会ったのは、メジャーデビューする一年前くらいのこと。

 事務所の新人アイドル三人集めてきて社長室で俺に「アイドルグループ」を作ろうとおもうんだ、と自信満々に計画案を差し出してきた。当時二十二歳で、もう新人ともいえない俺は十代の彼らを見てすごく苦い顔をした覚えがある。リーダーはお前な、よろしく。と社長室から俺を含めて四人が放り出された。一人はつい一か月前に入所してきたばかりのまだ表舞台にも立ってないバリバリの新人で、不安そうに俺の顔を見上げている。正直面倒くさい、とは思った。だけど、この新人たちを放り出すことも、見捨てることもできずに俺はため息とともに「レッスン室行くか」と呟いた。

 自己紹介とかしといたほうがいいか、と思って一時間半のダンスレッスンが終わったあとの休憩時間に軽く話しかけてみた。

「なぁ、おまえいくつ?」
「え、ああ、十七歳です」

 一番最近入ってきた新人はどうやらまだピッチピチの高校二年生みたいで、その言葉に残りのメンバー二人も声をあげた。

「わっか、現役の男子高校生っすか」
「いいなあ、僕も戻りたい」

 お前らもつい最近まで高校生だっただろ、とは言えなくて俺はごくりと唾ごと感情を飲み込んだ。
 
「えっと、俺は香坂飛鷹っていいます。一応一番年長っぽいんでリーダーやらせてもらうんだけど、お前らそれでいい?」
「はい、もちろんです」

 食いつくように現役高校生は肯定した。

「じゃ、お前らも簡単に自己紹介してもらえる?」
「じゃ、じゃあオレからいいっすか! 名前は菊池聖、十九歳っす。もともとはバックダンサーやりたくて、ここのダンス教室通ってたら社長になんかスカウトされました。歴は一年くらいっす。おねしゃすっ」

 聖は明るくてテンションが高くて、正直うるさい奴だと最初は思った。だが、笑顔を崩すことはめったになく、しかも喋らないと死んでしまうかの如くマシンガントーク。メンバーの中心人物になれそうなやつだった。

「僕は鮫島透です。十八歳で大学に通ってます」

 透は少しおとなしい感じの少年だった。大学も文学部で古い本を読むのが好きみたいだし、聖とは正反対のキャラでさっきまでのうるささから一転、落ち着いた子だなという印象だった。

「僕、あの、実はアイドルがすごく好きで」

 だから、この唐突な告白にギャップがありすぎて、俺はほんのすこしだけ仰け反ってしまった。

「あの、香坂飛鷹さんですよね。あの、前にグループ組んでたアストラすごく好きでした。ライブめっちゃ行ってました、あの一番好きだったのがツアーの時の仙台の方だったかな、その時のライブで相方の純さんが歌詞とんだときにさらっとフォロー入れてるところとか本当まじ神だと思いました。やべえ、本当カッコいい。解散してから飛鷹さん全然見なくなって、アイドルやめちゃったのかなって一部で噂たってたんでほんとう超不安だったんですけど、ひええええ本当良かったです」

 聖のマシンガントークはまだ軽かったんだなと思い知った。ガチ男性アイドルオタク、鮫島透はアイドルが好きすぎるがゆえにアイドルになった変わった男だった。ちなみに俺のファンだった。


Re: Lunatic Mellow Mellow ( No.10 )
日時: 2019/11/05 20:20
名前: (朱雀*@).°. ◆Z7bFAH4/cw

 はじめまして! 朱雀です。
 最新話まで読みました(*^^*)

 良い意味でコメライっぽくなくて、こういうお話大好きなので、今めっちゃテンション上がってます…!笑
 つまり、藍ちゃんと咲良は兄弟なんですよね…。どこから記憶が狂ってしまったんでしょう。弟が死んでそのショックで飛鷹さんとの記憶が混在しちゃったのでしょうか。付き合ってた彼からすると二重でショックですね……。
 今後の展開がとても楽しみです(>_<)
 あと飛鷹さんが、男っぽくて、とてもかっこいいです好きですv笑

 また遊びにきます。失礼しましたっ。

Re: Lunatic Mellow Mellow ( No.11 )
日時: 2019/11/10 00:01
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

  (朱雀*@).°.様

 初めまして、立花と申します。お名前見た瞬間、ひえええええあの朱雀さんが私の小説にコメントを???待って見間違えかひえええええとプチパニックになった生粋のコメライ民です。
 コメライっぽいフレッシュなラブコメが歳を重ねるごとに書けなくなってしまって、どんどん趣味に走ってしまうようになりました。朱雀さんのお好みのストーリーだったみたいで、とても嬉しいです。
 そうなんです、咲良と藍は姉弟なんですが、記憶の障害のせいで彼氏だった飛鷹を補うために咲良の存在を「彼氏」と認識してしまってるのが現在の状況です。わかりにくい設定で申し訳ないです(; ・`д・´)
 飛鷹は私の趣味を詰め込んだキャラで、とにかく優しい理想の年上男性って感じで書いてます。好きと言っていただけてとても嬉しいです。私もこういう男性が好きですが、飛鷹はとても不憫なキャラで、ストーリーが進むにつれてどんどん可哀想になってくるので、よかったら続きもまた読んでいただけると嬉しいです。

 コメントありがとうございました。また遊びに来ていただけるよう地道に小説更新頑張りたいです。
 本当にありがとうございました(*'ω'*)


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