コメディ・ライト小説(新)

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星の詩
日時: 2020/01/04 19:19
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

こんにちは!雪と申します!
初心者ですが、よろしくお願いします!



[人物一覧]

・片倉 凛

桐ヶ谷きりがや 綾瀬

柏村かしむら 明日香

・小暮 鳴華なるか

・沖本 千草ちぐさ

・詩井 ノドカ

・松中 鈴

・若草 詩織

久住くすみ 爽真

紫妙しだえ かける

・椎名 時音ときね

成歩堂なるほどう 湊

栗花落つゆり 秋穂

・海堂 七海

御厨みくりや 小百合さゆり

・田黒 一平

・朝霧 隼人

・多聞 恵美

・加崎 里奈

百々屋とどや

・新井 晴翔はると

・星野 嶺矢れいや

・風岡 りょう

[登場人物]

・星野 綾香

楠根くすね

・藍原 花音

・暮野 一樹

・時葉 胡桃

・来栖 菜穂

・皐月 雛

・水無瀬 涼

・麗華 百合

・河野屋 明日斗

・鳴宮 茜

向坂さきさか 隼人

久遠くおん 嶺

・葉室 瑞季

・鵜飼 カケル

・新井 エリ

・樋口 蓮


  プロローグ >>01

 1話 不穏の面影

  (1)>>02 (2)>>03 (3)>>04 (4)>>05 (5) >>06

Re: 星の詩 ( No.2 )
日時: 2019/12/31 21:09
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)


 1話  不穏の面影


 ー楠木くすのき高等学校…。

 日本で有数の実力と財力を掲げる校。
偏差値は68。常人では進学出来ないほどの難関校だと言う。比較的大人しめの生徒も居れば、高校デビュー早々ハイカラな生徒もちらついている。
都会に位置するマイナーな地域、楠木区だが、この高校の見栄のせいか今では活気溢れる学生の聖地として人気を集めている様だ。

創立50周年の今日こんにちまで、多くの偉業を成し遂げて来たらしい。
ほら、よくそこらで見かけるような芸能人達や権力を誇るトップ官僚達。
はたまた今ブーム回旋が舞っているスポーツ選手達、ノーベル賞を獲得したお偉いさんの科学者達も、毎年この学校で育成されそしてそして毎年ここから巣立って来ているのである。才能を持って輝く人間もいれば、御令嬢御子息などなど、親の財力と権力と…(言うならば“コネ”。)で入って来た生徒もいる。
…まぁ、私がほざくようなことでは無いが…。

さらには中心にそびえ立つ校舎のお飾りとして、明るみを帯びた学園都市が踊っている。
厳重な警備で外に出ることは禁じられ、いつかホームシックになりそうな寮に強制移住させられるからか、学生達の憩いの場でもあり一種のデートスポットとしてアリのように生徒達が集っている外見だ。

「…ここから新生活が始まるのかぁ…。」

 雰囲気に負かされて、辺りを360度凝視しきる。 

広がった雄大な敷地…。
ショートケーキ色の校舎がそびえ立つ横。
学生達の息吹きを掴みながら、“新しい”で埋め尽くす時。 
さらに奏でてくる、精一杯楽しんだ学生の程良い笑い声。
さらに待ち受ける祝福の絶頂に向かって、私は地面を強く踏みしめた。







…とか言っても、何が祝福の絶頂だよ…。

厳かな『楠木高校入学式』。…いや、もはや厳かでは無い気がする。
開会の言葉、校長の話、教頭の話、教務主任の話、PTA会長の話、3年生主任の話、2年生主任の話、1年生主任の話、楠木区区長の話、楠木区出身のどっかの政治家の話、そして児童代表の言葉…。話多すぎないっ!?ここで取り乱したくなるが、いつの間にか生み出された張り詰める空気を目の前にして自然と引き戻されて行く。
周りには上の空の生徒達。
もはや“面倒臭い”と言う感情が素晴らしいほど表現されている。
そして目の前には…胡散臭い校長。感情が抜けた大衆達をかき集めた校長は、優雅に弁舌を開いている。校長は、虚しく戯れている郡魚を率いれる揺るぎない先頭魚のように、悠然と肝が座っているようだ。
口調と言い、格好と言い…そして何より物足りない頭。
その場にいた全員が、めんどくさいリーダーだと悟ったのは無理もない。


    ーー終わった…。

やる気無しの目蓋をひとつ擦るとそのまま1年のオープンルームへ向かう…。

「リン〜。ちょっとちょっと!こっちー。」

人だかりの中から突き抜かれたひとつの手。

「綾瀬…!」

まさに迷宮だ。
湧き出る人混みは、蠢く様に移動する。
光色に輝くクラス発表の板に向かって一直線。そこには沢山の氏名が書いてあった。

『1年B組 片倉 リン』

「ほぉー、リンはB組か。」

アホらしい姿でパーカーを羽織っている綾瀬。
まだ目を離せないほどの笑い方は、呆れさせているのか、和ませているのか…。

『1年F組 桐ヶ谷 綾瀬』


「うっわあっ〜。離れちゃったかあ。」

“離れた”。
…え。まさかの…ぼっち?

呆然と立ち尽くす私。
いったい高校デビューはどうなってしまっているのだろうか…!

Re: 星の詩 ( No.3 )
日時: 2020/01/01 21:55
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

「居心地悪いな…。」

肝が座ることができない教室。
廊下の端から朝日が際どく差込んで、明るい声が弾き出ている。
この伸び伸びしない雰囲気、家の隅で固まっている方がマシ…なのかもしれない。
“嫌”と言う熱い塊に妨げられ、呼吸が苦しくなるこの部屋。
周りには、早々にメイクを施した某アプリ少女、ネクタイを軽く緩ませた捻くれ学生、隅でオーラを捲し立てる隠キャ、無駄にテンションが高いパリピ…。
簡単に言うと、キャラが濃い。
一貫校では無い為友達と一緒のクラスなのは確率が低いはずだ。
…しかし、何故これほどにクラスが馴染んでいるのだろうか…。


そんな時、怠慢なムードをかき散らした人間が現れた。

「見て! あの方よぉっ!」

 端正な顔立ち。
身長はそこそこ大きい生徒。
肌は色白く凍えて、目はファンタジーの様だと言っても過言では無いと言うくらい、オーシャンカラーに潤んでいた。さらには少し緩められたネクタイが、さりげなく自分をアピールしている様な気がして。
周囲の女子達が騒めく中、隅で固まっていた隠キャ達が「AP(アピール)してんじゃねぇよ…。」と聞こえてるのか聞こえていないのか…と言う程のボリュームで、ガリガリ嫉妬心を噛んでいた。

…しかし、何故こんなにも…?
何かの有名人なのだろうか。
焦ったい心を押さえずに、近くの女子にさりげなく話しかける。

「えーっと、ちょっと聞きたいんだけど。あの子…何かの有名人??」

顔を覗き込むと、彼女達は鼻高く話し始めた。

久遠くおん君はねっ!見た目もいけてるんだけど〜、あの『久遠建設』の御子息なんだからっ!」

「久遠建設の…。あっ、あのCMのか!」

閃くと、そのCMが脳裏にリピートする。
久遠 嶺…。あの時の児童代表の子かぁ…。
さすが、楠木高校…。その権力に、身震いもすることができなかった。

Re: 星の詩 ( No.4 )
日時: 2020/01/02 17:05
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

入学のうんたらかんたらが終わった5時。
まだ春の盛りだからか、夕暮れの影も立っていないほどの明るさだ。

校庭の端に並べられた桃色の桜が、爛々とした花房が幾つとなく重ねられている。

「高校…か。なんか慣れんな…。」

初色が運んだ高潮。
辺りにもまだちらついている様だ。…そして学校が終わったと言ういとま
近くに点と付いていたクレープ屋に私は待ち合わせとして向かっていった。

「んで、B組はどうよ?」

「…B組?ええっと、なんか全体的にキャラが濃いかなぁ。ほら、もうメイクしてる子もいるしさぁ。で、F組はどんな感じ?」

私の質問に、綾瀬は少し顎に指を当てた。

「んーと、F組はめっちゃ仲間がいるかなっ!意外と意気投合するし…あとあと、仕事が捗るんだよねー。」

「仕事?おぉ、綾瀬のクセに仕事をするとは!意外と見せ場あるんだねえ。」

「綾瀬のクセに…、ちょっとリン!ひどいぞそれはぁ!」

…やっぱり幼い。
ムンムンと腕を振る姿は、いつしか逆光に隠れて踊っていたのだ。

「でもね、そりゃぁ面倒臭いことだってあるしさ?つーか、先輩は変な任務だって預けるもんし。私だって楽天家ばっかじゃないんだってよ?」

「変な任務ね…。まぁとりあえず頑張りなよ?」

椅子に寄っかかって腕を組む綾瀬。
その言葉の真意を、まだ私は知らなかった。

Re: 星の詩 ( No.5 )
日時: 2020/01/03 15:17
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

「いま戻りましたぁ。」

地下の階段を思いっきり踏みゆく。
…今は先輩どものパシリから、やっと帰ってきたところ。両手に華々しく抱えられたビニール袋は今すぐに破ってやったらどんなに爽快だろう。

「おつー、綾瀬。6時に会合開くから、来てな。」

「…つーか、隼人。あんたなんでくつろいでんだ!私がパシられてんのにさっ。」

深紅のソファーで羽を伸ばしているのは、『向坂 隼人』。
どうやら先輩達からは、向坂むこうざかと呼ばれているらしい。
特にこいつとは、小学校からの同級生であってか、よくペアで仕事をなすり付けられる。…こんな憎たらしい奴とね。

石剥き出しの壁。
そして冷たく濁るカーペット。全てがどっかのアジトに似ている…まぁ実際アジトだけど。
学校で最も深い位置の如く、換気ができず全て空気清浄機が努力している。
日光が当たらず、天井から降り帰ってくる照明は微かな埃を黄昏時の様にアピールをかます。その横、黒光りする机が漏れた光を跳ね返して際どい明るさを増幅させ、
そしてしまいには、ソファー。その上には邪魔臭い人間が、ひっそりと住み着いている。
それを妄想した途端、隼人が鋭い目付きを送る。
「何が邪魔臭いだよ。」なんて悟られた気もするが…。






「じゃあ、みんな揃ってる?そして…会合の趣旨、まだ話して無いっけ?」

横には、年頃の高校生達が沢山。
中には青春模索中の奴もいる。

「みんな、“ターゲット”こと覚えてる?」

「ターゲット。“例の人”ですよね。」

「そう。そのターゲットは、今この学校内にいる。…今んとこ情報はなんも無いけど。でも、私達は探し出さなきゃいけない。あの組織に狙われる前にね。裏を返せば毒になる。表を返せば薬になる。だからそれが私達の使命だから。…もし、もしタイムリミットが過ぎれば、命の保証はないから。」


 張り詰めた表情を膨らませる先輩。
命の保証…これ程人生で痛いものはあるのか無いのか。
1人が深呼吸を泳がせ、それを他人が吸い取っていくのであった…。







Re: 星の詩 ( No.6 )
日時: 2020/01/04 19:18
名前: 雪 (ID: D.48ZWS.)

私の周りには、飛び抜けた人…ライバルと言っても過言では無い2人がちらついていた。
1人は『久遠 嶺』。久遠建設の息子。栗色の髪色が、人間味を際立たせているのかどうか…
特に女子からは人気を誇り、帰り道よくつきまとわれるそうだが…。
噂に聞いた話だと去年貰ったバレンタイのチョコは…60個。
そのうちの98%が恋する乙女達の本名チョコらしい。
特に体育祭では、振り向きの顔良さに貧血で倒れた女子は何人もいたとか。
特定の人々達からは『girls killer』が異名らしい。近付いていいのか、それとも近付き難いのかは、誰にも分からない。




…という訳で一通り話したけど、まだ居るんだよね…。
もう1人は『御厨 小百合』。絶世の美女とかなんだとか、新入生ながら楠木三大美女の1人と持て囃されている。多分みんな知っていると思うけど、人気ブランド『MICRIYA』の代表取締役の御令嬢。御令嬢と言ったらリンの方が負け…るよね…。そもそも見た目が令嬢っぽく無いし。紅茶色のメッシュと、ハイライト掛かった茶髪を見に纏った姿。自己アピールよりは、より清純さを際立たせているのはどうしてだろうか。

…そんな2人。
私にとっては目障りそのものだが…


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