コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.24 )
日時: 2017/08/17 10:59
名前: Aika

Episode17:喧嘩するほど仲が良い。




「意外に映画、 面白かったな」
「うんうん!特に後半のシーンがめっちゃ良かった」

映画を見終わって。
今は二人で他愛のない会話をしながら、ショッピングモールのなかを歩いている。

「マジで?俺もそう思ったんだけど!」
「えー!やっぱり?智也、わかってるじゃーん!」

智也とそんな風に話ながらも。
頭の片隅では別のことを考えていた。

―――ぶっちゃけ。
智也とは中学時代からの長い付き合いなだけあって話が合うし一緒にいて苦ではない間柄だ。

だけど。





男の子としてどう思うかって聞かれると。






途端に分からなくなる。






そりゃあ、 顔も悪くないし。軽音部でギターボーカルを努めるだけあって歌は上手だし。
性格だって…口は悪いことはあるかもしれないけど、さりげなく助けてくれる。そういう優しさを持ち合わせてる人だって、 わたしは知ってる―――。




なのに。





「―――桜?…聞いてる?」

そこでハッと我に返り智也に向き合う。

「あ…ごめん、 何?」
「昼飯、 どーするかって話。なんか食いたい物とかある?」

そう聞かれ。 少し間を開けたあと。
わたしは、 口を開いた。

「えーっと…パンケーキ、 食べたいかな」
「よし!オッケー!行こうぜ。俺、良い店知ってるし」

そう言って彼はわたしの手を引っ張って歩き出す。
わたしは、 智也の広い背中を眺めながら黙って彼に着いていくだけだった。



■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


「うわぁ!かわいい!」

智也に連れてこられたのは。
店内がファンシーなイメージの内装のパンケーキのお店だった。
わたしがはしゃいでいると。
智也が得意気に言う。

「だろ?ぜってぇ、桜が気に入ると思った!」

その表情に。
かすかに鼓動が鳴り響いて―――。
苦しくなった。

そんな顔してそんな事言うの…ずるい。

わたしは耐えきれず智也から目を背けた。
思わず…好きって、 錯覚しそうになるから―――。


■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


「お待たせいたしました、 ウサギの生クリームたっぷりのパンケーキとくまさんの小豆と抹茶のパンケーキでございます」

店員さんが頼んだメニューと伝票を置いていく。
わたしはというと。

「おい!いつまで笑ってるんだよ、お前」

―――智也が頼んだメニューがツボに入ってしまい笑いに陥っていた。

「だって…その顔で可愛いうさぎのパンケーキって…あはははっ!」
「うっせぇな!仕方ねぇだろ!チョコは苦手だし抹茶だって、食えねぇんだから!」
「生クリームは平気なのに?」
「だから、うっせぇっての!」

赤く頬を染めながら。ムキになって怒る智也がなんだか可愛く見えて。
からかうのが、楽しくなる。
本人には不愉快なだけかもしれないけど。

ひとしきり、 笑って。
からかったあと。

不意に智也が真剣な顔でわたしの瞳を真っ直ぐに見据えながら問いかけてくる。

「桜。…一口、 いる?」

一瞬。
何のことだかよく分からなくって。
わたしがポカーンと固まっていると。

智也がフォークにささったパンケーキをわたしの口元に持ってきた。
わたしは、 顔が熱くなって。

「え!え!いいよ!もらうけど自分で食べれるか、らぁ!!」

捲し立てて異論を立てているうちに智也がわたしの口に生クリームのパンケーキを突っ込んできて。

何も言えなくなる。
だまって赤い顔のまま、口をモグモグしていると。

「―――さっき、 バカにした仕返し」

そう智也が言って。ふっと、薄く笑う。

わたしは、その表情にカチンとなって。
自分のフォークに小豆と抹茶のパンケーキを刺して同じように智也の口元に突っ込んだ。

智也はパンケーキを飲み込んだあと。
わたしに向かって言い返す。

「おまっ!…俺、抹茶食えねぇって言ったばかりなんすけど!吐きそうになったわ!」

そんな智也に対して。
わたしも、負けじと言い返した。

「やられたら、倍にして返すのがわたしの信条なので」
「ムカつく~!」

そんな風にくだらない言い争いをしながらわたしたちは食べ進めていき、お昼の時間を過ごした。



口喧嘩をしてても。





心なしか。






わたしを見つめる、 智也の瞳は。
気のせいかもしれないけど、 ほんの少しだけ優しくって、 暖かい瞳をしているかのように思えた―――。