ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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嘘吐少年の狂日  
日時: 2011/01/12 19:41
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

初めまして時雨です。
シリアスで書くのは初めてなので超下手+更新が遅いですがよかったら見て下さい。

あと
荒らしなどの類のものは一切歓迎しないので
そういう人たちは「戻る」へどうぞ。

そして
コメントやアドバイスなどは大歓迎です。


という感じでよろしくお願いします。





キャラクター紹介 >>9 >>22 >>29 >>33 >>45 >>57 >>68

嘘吐辞典 >>15 >>58 >>80

オリキャラ用紙 >>82


オリキャラ一覧

小山 餡子(ヴィオラ様作)>>85
紀ノ原 葛雲(六様作)>>87
燎魏 影喰((V)・∀・(V)様作)>>95
蒼裏 深也(紅蓮の流星様作)>>97
鳳 鼎(Neon様作)>>100



プロローグ >>1

一話「殺人鬼は昼も歩く」>>2 >>3  >>6  >>7  >>8

二話「始動開始」>>10 >>11 >>14 >>16

三話「零無家と自由人」>>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>25 >>26 >>27

四話「友人」>>28 >>30 >>34 >>35 >>36 >>39 >>40 >>41

五話「もう一人」>>42 >>46 >>47 >>48 >>51 

番回編「僕の過去」>>55

六話「隠れ家」>>56 >>61 >>62 >>67 >>71 >>77 >>78 >>79 

七話「魔罪屋」>>90 >>91 >>94 >>99 >>105 >>108 >>109 >>112 >>114 >>115

八話「守護者」>>116 >>120 >>121 >>124 >>127 >>128 >>129

九話「真実」>>133 >>134 >>135 >>136

エピローグ >>139





お客様

紅蓮の流星様 亜鬼羅様 アキラ様 ☆黒猫☆様 
夜兎_〆様

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Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.135 )
日時: 2011/01/06 15:01
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

透がいる場所。そこは

「え、ここからいくの?」
「私はここを通りたくないんだが」
「僕も。なんか嫌な気がしてくるんです」
「俺は平気だぞ」
「……私は頑張ればいける」

僕が暇つぶしをしに行く広場を抜ければすぐのビルなんだが。
夜鐘と餡子ちゃん以外は無理みたいだ。

「なんでだめなんだろう」
「“嘘憑き”さんは分からないんですか?ここから何か言いにくい嫌な感じがするのを」

分からないんだ。ごめん。
普通の広場にしか見えないけど。

「んじゃ、遠回りして行こう」

鼎さんが仕切る。
遠回りすると十分ぐらいするけど。







十分より早くついた。
ビルは全部で五階建て。

「これ全部透の家だったんだよな。誕生日プレゼントだって」
「……へぇー、やるなぁ。きっと透がねだったんだろうけど」
「よく知ってるな、大正解。財閥の人も透を手放したくなかったから仕方なくな」

欲張りだ。
せめて一戸建ての家にしろよ。
それも贅沢だけど。

ドアは自動。あたりまえか。
中に入ると何もない。
ただ広い部屋なだけ。

その中央に一人。
誰かが立っている。

黒いローブのグラサン男。

「久しぶりだな、影喰」
「お前、あいつを裏切ったのか」
「裏切ってないさ。もともとこれが仕事だから」

玖桜さんは薙刀を構える。

「守護者同士の戦いか。いいだろう。これを記念してお前を殺してやるよ」
「威勢がいいな。私も久しぶりに殺ってみようかな」

影喰さんが日本刀と拳銃を構えた。

「始まる前に二階へ行くよ」

僕たちは階段を上った。
それと同時に戦闘が始まった。


———二階。

「待ってたよ」

いつものおじいさんオーラ。のほーんとした声で裁羅さんは言った。

「私の相手は誰かな」

裁羅さんか。
たしか黒丸さんに勝ったんだっけ?

「私が行く」
「僕もです」

名乗り出たのは二人。
魔罪屋の餡子ちゃんと葛雲君。

「店長は店員である僕たちが止めるべきです」
「大丈夫。死にはしない、必ず」

餡子ちゃんは木刀を構える。
葛雲君は……て葛雲君はどうするのだろう。
僕たちの中で最年少だし。

「あー、それは心配するな」

夜鐘が言う。

「見てみろよ」

葛雲君が何か取り出す。
……銃?え、あんなの持ってたの?

「実力もかなりだからさ」

僕たちが階段へ駆け込むとき、銃声が連発した。
……派手になるかもなぁ。


———三階。

「……ここまできたんだ」

三階にはかなりやる気のなさそうな深夜さんがいた。
相変わらず、目の下に隈がある。今日はなんか悲しそうにしている。

「……あまり、こういうのは好きじゃないんだ…。リーダーの命令でもする気がしない……」

透さー。
いや、八つ当たりはよくないか。

守護者にもこういう人がいるものなんだ。

「ここは私の任しといて」
「え……」
「さあさあ、早く行かないと始まるよ」

ぐいぐい背中を押す。
階段のとこまで来た。

「あの、」
「大丈夫だよ。早く行って」
「……殺さなきゃいいよね」
「ほら」

両者太刀と小太刀を持つ。
……日本だなあ。この二人をみるとなんとなく。
一方は服がそうじゃないけどさ。

———四階。

「「誰が私たちの相手?」」

着くなり言われた第一声。
二つの声が重なっている。

啄木鳥模様の布を頭から被って、顔には天狗の仮面。
声からして女の子。

「…双子?」
「ああ」

「「私は」」「きつつききいろ」「きつつきあいか」
「どうもご丁寧に」

ひらがなまで使っちゃって。

「んじゃ、僕はそろそろ上へ花を添えに」
「嘘付け、誰も死んでねぇだろ」
「ご武運を」
「こいつらとは一回戦ったことがあるからな。楽勝だ」

ああ、そうかい。

———五階。

このビル、一階一階が立てに長いからそこそこ高い。
飛び降りたか骨折じゃすまないくらい。

そんなビルの最上階。
透はいた。

この部屋は前の部屋と違って部屋が二つある。
もう一つの部屋はドアが閉まって中が見えないけれどパソコンが置いてあるんだろうな。

「久しぶりだね、お兄ちゃん」
「もう兄じゃないよ」
「ううん。お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ」

透は笑う。

「……本当に忘れたんだね。そりゃそうしたのは私だけど」
「忘れた?」
「ああ、気にしないで……」

突然。
あのドアが開いた。
隣にあった部屋から。
誰かが出てきた。

白い髪。の女。

「久しぶり、君」

その人は言った。

「透、なんでお母さんをあんな部屋に閉じこめちゃうかなぁ」
「……いや、うん、あの」
「大好きなお兄ちゃんには刺激を与えたくないのか」
「……ちょ、“猫”さん」
「透は“猫”って言わなくてもいいじゃん」
「あ、ごめん」

………………。

「君、何を突っ立てるの。愛しい妹との再会だろう」
「……は?」
「は?だから妹だって。え、透言ってないの?」

透は下を向いて……。


「久しぶり。お兄ちゃん」



Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.136 )
日時: 2011/01/11 19:23
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

僕には妹がいた。
僕と三歳くらい歳が離れた妹。
いつも僕のあとをついてきては笑いかけていた。
そんな妹を僕は『透』と呼んだ。






「なんで忘れてたんだろう……」

妹がいたなんて。
“猫”が言わなかったら一生分からなかった。

「透が、忘れさしたんだよ。私のわがままで。透は反対したんだけど」

“猫”が言った。
透はまだ下を向いている。

「家族を切り離そうと思って。初めは私が死ねばいいと思ったから、死んでみたんだけど、死ねるわけないでしょ。最強だと言われた私が死ねるわけなかった。でも付き添ってくれた夫は死ぬし。だから、“嘘つき”を離そうと思った」

“猫”は僕の名前を言わなかった。
それが当然のように話す。

「君の記憶を消して君と会わないようにこの部屋からあまりでなかった。君の会わないように透が付きっ切りでね。でも、透は君が愛しくなったんだね。君に会うと言った。だから、君の家に行かせたんだよ」

君君と。

「なんで僕の名前を言わないんですか。“猫”さん」

“猫”は笑った。
軽く、見下したように。

「じゃあ、なんで君は私の名前を呼ばない?」

神凰詩和。
本名は頭にでてくる。
なのに、お○○○○。
でてこなかった。

「本能で感じてるんだよ。私をそう呼ぶのを拒む。嫌われたなぁ、私」

どうでもいい、とでも言うように。
透は下を向いている。

「君と会ってから透は家族全員で住みたい、暮らしたい、そう思ったんだ。私は反対したけど、でも一つだけあった。君の反対、闇凰夜鐘に会わなかったらできる。反対同士が会わなければ。それで一ヶ月会わなかったら別にいいよって。でも会ったんだね、これが。君が日本にいるなら、あいつはその反対にいるべきなのに」

……それで透は夢が消えた、といったのか。
悲しそうな顔で。

透は顔を上げた。
泣き出しそうな顔を我慢している。

「透は私のことを君に教えようとしたんだ。ここに連れ出して、君の真実を教えようと。でも、それでも透の夢は叶わない。透にさっき聞いたんだ、兄と母、どっちを選ぶか。透は君を選んだ」

一度切って

「だから、私を殺せ」

透も僕も。
“猫”を見た。
何を、言ってるんだ。
どこから取り出したのかピストルを僕に投げて渡した。

「君にはその義務がある」
「…………」
「やっぱだめか。展開がはやいからおいつけないのかも」
「…………」
「じゃぁ……零無の子、あの子を殺したの私だ」

…………?

「君が本気になってくれるための糧にした」
「…………」
「…目が変わったな」

「…これは澪ちゃんのためじゃない」

“猫”が早く終わりを望んでいたから。
そういう風に急かすから。

「最初で最後の“猫”へのご褒美だから」
「ありがとよ、君」

僕は引き金を引いた。

Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.137 )
日時: 2011/01/11 22:39
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: wlC/XeKk)

色々衝撃的すぎて・・・。
どうなるんだこれ。続きが気になって夜しか眠れない。

Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.138 )
日時: 2011/01/12 19:26
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

紅蓮>>
続き、ていうか。
そろそろ終わり時です。

Re: 嘘吐少年の狂日   ( No.139 )
日時: 2011/01/12 19:37
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

エピローグ


僕は十八歳になり高校に行ってたら卒業するころになった。
中退した僕は大学に入らず、神凰で働くことになった。
透がいたからかなりすんなりと。

僕はいつもどおりあの家に帰る。
二階には透の部屋があり、いつもカチャカチャとキーボードを叩く音が聞こえる。

「透?入るよ」
「どうぞ」

軽い声が聞こえてドアを開いた。
中にはやはり、キーボードを叩いている透がいた。

「お兄ちゃん、ニュースだよ」
「それを聞くために早く帰ってきたわけだからね」
「“猫”さんが今年の今から職を開始するって」
「へぇ、それはそれは」

あの時から透はあの人を“猫”と呼ぶようになった。
そして、あれ以来顔を合わしたこともない。

僕たちはあの人と完璧に縁を切ったのだ。
僕がここにいる限り、あの人はここの裏側で活動するだろう。

透は前より生き生きしていて、兄としてかなりうれしかったり。
夜鐘とも時々会う。
その度に嫌な顔をして、そして最後には「もう会わないだろう」と交わす。
だが、なぜか会う。

「でもそれでいいんじゃないかなぁ」

一言つぶやいて、部屋を出た。


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