ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- soromon-ソロモン-
- 日時: 2010/11/27 01:49
- 名前: Cendrillon (ID: SFu6B5ia)
皆様どうもはじめまして!
Cendrillonという新人です(^ω^*)
今回、連載小説「soromon-ソロモン-」という作品を書くことにしました。
よかったら、見ていただけると幸せです。
この小説は【一話完結型】小説です。
要するに、一話が終わったら全く関係のない、別の話に切り替わる小説のことです。しかし、お話はすべて最終的に繋がり———というようなものです。なので、一話一話登場人物が変わるうえ、時代背景等も変化があります。なので、そこら辺をご了承ください。
詳しい登場人物は後ほど執筆いたします。
見てくださる方がいるのかさえ不思議ですが、よろしくお願いいたします(><///
ところで質問なんですけど、文字をクリックしてリンク先URLに行く方法ってどうやるんですかね?
知ってる方教えてください〜orz
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- Re: soromon-ソロモン- ( No.1 )
- 日時: 2010/11/24 01:44
- 名前: Cendrillon (ID: M2Q62.Ff)
×プロローグ×
昔々、あるところに幼い一人の少年がいました。
—闇を思わせる、漆黒の艶やかな髪。
—血のように染まった、紅の瞳。
—中性的な顔立ちに、年には不釣り合いな美貌。
—子供用の黒いYシャツ、無地の白ネクタイ、これまた黒いズボン、皮で作られたベルト。
とても子供とは思えない姿。
ですが、性格はとても子供らしく、無邪気で明るい、やんちゃな子供でした。
しかし、その少年は多くの人間から虐められていました。
「うわぁ!来ないで!」「お前、気持ち悪いんだよ!」「この、化け物!!」「いなくていいんだよ、お前なんか!」
なぜなら、少年は、
悪魔と、人間の間に生まれた、哀れな子供だったからです。
- Re: soromon-ソロモン- ( No.3 )
- 日時: 2010/11/26 00:48
- 名前: Cendrillon (ID: M2Q62.Ff)
×フランスのマルセイユより。終焉を迎える×
外から聞こえるやかましいサイレンの音、人々の叫び声。鼻をつくのは何かが焦げたにおいに、ものすごい鉄のにおい。上からのしかかる、重いコンクリート。周りに存在するのは、多くのその残骸。自身の体から流れるのは、現状の恐怖を表わす冷や汗と、大量の血液。
「がっ…はがぁ……ぁあ」
のしかかるコンクリートのせいで、まともに呼吸すらできない。しかし肺は一生懸命に体内に酸素を取り込もうと、かろうじて動いてる。口を開き、少しでも酸素を取り込むようにしているが、正直苦痛の声が漏れるだけだ。
何故こんなことになったのか。
朦朧とする意識の中で、ふと思った疑問を考えてみる。
確か、俺は普通に大学に通っていて、普通に授業を受けて、そしたら急に爆発音がして、大学全体が崩れて、それで、それで———————。
嗚呼、俺は、テロにあったんだ。大学の誰かに恨みを持つ、誰かのせいで俺はこうなったんだ。
なんとか目玉を体に向ける。グロテスクだった。体から流れる大量に血液に、怪我をしているところは肉が見えていて、嗚呼、嗚呼、なんとも表現しがたい。もうその現状が見たくなくて、目をつむる。しかし、一度見てしまった信じがたいものはすぐに脳裏に思い浮かべられる。吐き気がした。気持ち悪い。
「うげぇ……うっ!………おえ゛ぇ゛ぇ゛!!」
びちゃびちゃっ。
口から胃の中に入っていた全てのものが出てくる。消化途中の食べ物、胃液、血液…。はあ、はあと荒く呼吸を繰り返す。全部を出し切ると、急にめまいが襲ってきた。さっきから、体調が悪いこの上ない。仕方ない。この、圧迫された上に密室の酸素が少なく、貧血が起きている空間に、もう十時間以上いるのだから。
ぐったりと顔を横に向ける。これ以上無理だ。俺は確信した。もう、ここで俺は命が尽きるのだと。そう思うとたくさんの思い出が体を流れた。幼少のころの思い出、自分がグレていた時の悪い思い出、友人との馬鹿騒ぎ、よい成績を収めて喜んでいたときの思い出。思い出して涙が出てきた。まだ死にたくない。死にたくない!もっと生きて、仕事に就いて、彼女をつくって、結婚して、もっといっぱいやりたいことがある!!…だが、神様は無残にも俺を見捨てた。俺は、俺はもう———。
つぅっと涙がほおを伝った。一度こぼれた涙はとどまるところを知らず、ぼろぼろとあふれ出る。涙が口に入った。塩辛い。それと同時に、急な眠気に襲われた。わかってる。ここで眠ると、もう二度と目が覚めないことなんて。しかし、俺は何の抵抗もなく目をゆっくりと閉じた。
『…ここで、眠るつもりか?』
どくんっ。
どこからか聞こえた声に、眠気が一気に吹き飛んだ。
目を勢い良く開き、きょろきょろと目だけで周りを見る。あるのはコンクリートの残骸のみ。どこにも、人なんていやしない。
気のせいか?ふとそう思ったが、俺はそうじゃないと少し首を振った。声は、現実だ。立証するものはないが、何故かそう言いきれた。
『こんな所で死ぬのは、もったいない…』
「っ…だ、れ……だ?」
また、聞こえた。俺は内心驚きながらも、震える唇を半ば無理やり開き、会話することにした。
『オレは…お前の人生の中で現れた…悪魔だ』
「あ……く…ま………」
『そう、悪魔。オレは…偶然ここに来た。多くの死者の魂を貪るために…。だが、驚くころがあった。一段と強力な、魔力を秘めた魂が存在したからだ』
「魂……まりょ、く」
『それが、お前だ。…お前のような魂は、見たことが無い。まるで、悪魔のような魅力的で艶やかな、魂』
「お………れが?」
『嗚呼。オレは、感激した…。だが、今のお前は死にかけた虫…。このまま死ぬなんて、もったいない!だから、オレがお前を、生まれ変わらせてやる……』
「生れ……?」
『もう、この人間としての体は役に立たない。悪魔として生まれ変わるのなら、この体はまだ役に立つし…お前の魂もそのまま……。ただし、当然だが人間として生きることは不可能。悪魔として蘇るほかない。…どうする?』
要は、人間の自分を失う代わりに、悪魔として生き返らせるという話らしい。
聞けば、悪魔として蘇るのならば、不老不死を約束、さらには常識を逸した身体能力に魔術を手に入れるらしい。…好都合じゃねーか。その分、なにがデメリットがある気がするが、そんなのどうでもいい。
俺は、まだ生きていたい。やりたいことがたくさんある。これから起こることを全て目にしたい。
「わか…った、俺……悪魔に、な、る……」
『…よく言った。その言葉を待っていたんだ』
声だけだったが、嬉しそうに唇を弧に歪めている姿が安易に想像できた。ふっと目をつむる。すると、体の内から温かなぬくもりがじんわりと広がる。嫌悪感はなく、むしろ心地が良かった。
『旧名は捨てよ。お前の名前は、今からバルバードだ。吸血鬼、バルバード・バハムート。今より、人間としての生を終焉させ、ここに悪魔になったことを表わす———』
- Re: soromon-ソロモン- ( No.4 )
- 日時: 2010/11/29 01:51
- 名前: Cendrillon (ID: SFu6B5ia)
×バルバードと最強悪魔×
場所はフランスのマルセイユ。時刻は午後五時。
夕日が芸術的な街を赤く照らし、人通りが少なくなってきた時間帯に、バルバードはいた。
まるで人形のように整った美しい容姿、きっちりと着こなした燕尾服、腰まである長い赤茶の髪はシルクによって一つに纏められ、後ろ髪ほどではないが長い髪は九対一の割合で寄せられて、ルビーのような輝かしい瞳は片方しか見えない。
要するに、彼はとても美しい姿をしていた。どこからどう見ても欠点のないその姿は、見るものすべてを引き寄せる魅力を持っており、異性はもちろん、同性をも目に追うくらいだ。
そんな美貌を持つバルバードは、食糧がパンパンに入った紙袋を抱えながら、帰宅のため路地を歩いていた。吸血鬼といっても、もとは人間。やはり普通の料理が食べたいらしい。なかには、赤ワインが一本入ってる。彼の好物だ。
「今日は大量に買ったな。前菜はキッシュにして、メインは牛ホホ肉の赤ワイン煮込みにするか」
主夫のようなことを言いながら、バルバードはふと夕日に視線を向ける。(そういえばバアル、朝からいねーな。どこいったんだか)そう心の中で思い、ふぅと短いため息をひとつつく。夕日はきれいなオレンジ色を保っている。その風景は、実に感動するものであったが、同時に何の変化もない、つまらない風景であった。バルバードはふっと視線を元に戻すと、いつの間にか家に着いていた。
家といっても、そこらへんで見るような一般的な建物ではなく、家というにはとても大きくて豪華な———古城。
しかしその古城は、暗い人も寄り付かないような森林の中にぽつんと建っていて、そのせいなのか、多少傷んでいる個所が見られる。まさしく、世間で言う『幽霊屋敷』のような外見をしている。
バルバードはあいている手でドアノブを回し、鍵の掛かっていないドアを開けて中に入った。外見とは違い、なかなか美しい造りをしている内部にはブランド物の家具に良い出来の絵画等がずらりと一式揃っている。ギャップとはまさしくこのことなのだろう。
彼は長い廊下をずんずん進んでいき、古城の中で一番大きな部屋に着く。するといきなり豪華なテーブルに食糧を置き、自らの身を投げ出すようにしてソファに沈めた。幸い、ソファは柔らかかったようで、優しくバルバードを包み込む。
「っあー…疲れた。俺ももう歳か?」
どこぞのおじいさんやおばあさんのセリフを言いながら、前髪をくしゃりとかきあげる。隠れていた瞳はまる見えになり、怪しく輝く。するとどうだろうか。どこからかドレスを着た若い娼婦がふらりと現れ、食糧を抱えてバルバードに向かい、何も言わずに一つ頭を下げる。
「お疲れさん。こんなくだらないことで呼び出すのも難だが、頼むわ」
そう娼婦に言うと、ひらひらと手を振る。娼婦はその言葉を聞くと同時に、深々と下げていた頭を上げ、くるりと踵を返しキッチンに足を進めた。バルバードは最後まで彼女がいなくなるのを見届けると、ちらりと部屋の入り口を見る。
「お前はお帰り、バアル」
「ああ、ただいま」
バルバードの瞳が見る先、バアルと呼ばれた悪魔はいた。
バアルと呼ばれた男性は大人びた顔つきに左目に眼帯をしている。髪は限りなく黒に近い茶色で、瞳はバルバードと同じ赤。礼服を身にまとっている。余談だが、彼はバルバードを吸血鬼へと転生させた張本人だったりする。
バアルはカツカツと革靴を鳴らし、バルバードが寝ているソファにの肘掛けに腰をかける。
「今日は何しに出てったんだ?」
「嗚呼、今日は集会みたいなようなものだ」
「へぇ、悪魔にもそんなもんあんのか。何話してんだ?」
「契約者のことや役目について話すな。後は、雑談だ」
「俺のことはなんて言った?」
「とても信用できるやつだと言った」
「そりゃあありがたいね」
バルバードはにっと口を釣り上げて笑う。それにつられるようにバアルもふっとほほ笑む。
二人の笑顔は、とても艶やかで絵に描いたように綺麗。だからこそだろうか。同時に邪悪な意思がこもっているように感じられる。
「お前を契約者にしてよかったと思う、バルバード」
「俺もだ、バアル。お前に出会っていなかったら俺はここまでたくましくなってない」
「「お前には感謝しているよ」」
二人は最後に、まるでお互いの存在を確認するように手を取り合った。
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