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機械騎士 ‐knight‐
日時: 2010/12/30 18:58
名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
参照: |ω・`)<どうでもいい豆知識。rightは女の子だよ!

↑黙れや…>(^ω^#)ピキピキ

ただのろぼっととにんげんのおはなし。


>>01プロローグ
>>02-04第一話[平和だった]
>>05-06第二話[異変]←準備中

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Re: 機械騎士 ‐knight‐ ( No.5 )
日時: 2010/12/30 10:01
名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)

第二話[異変]①

 通路を五十メートルぐらい歩くと、奥から二番目のドアだろうか、その前に黒い物体が丸まって置かれていた。よくよく考えると自分の部屋の前だ。ちなみに自分の部屋は格納庫に近く、すぐ自分の目の前にはパイロット待機室があり、『もしも』の時にはかなり便利だ。といっても、あまりというかまったく『もしも』の時が来た事がない。訓練ぐらいしかないな。
 自分の部屋のドアの前に黒い物体があるのだ。
 しかし、視界がぼやけて見にくい。一体、何なんだろうか。友幸はあまり視力が良くなく常にコンタクトを付けているが、先程の杉村中佐との戦闘中か、それとも颯太に背中を叩かれたときに落としてしまったのだろうか、遠くにあるものがぼやけて見える。黒い物体は目を細めて見ると毛むくじゃらで、触ったら柔らかそうに見えた。
恐る恐るドアに近づく。
 途端、その真っ黒で毛むくじゃらのモノが動いた。正確に言うと、立ち上がった、というべきだろう。そして振り向く。瞳はエメラルドのように澄んだ緑色で、とがった耳と長いひげがある。

猫だ。

 黒い猫は、友幸を数秒見つめると、向こうから音もなく忍者のように素早く歩いてきて、足に擦り寄って来た。のどをぐるぐると鳴らしながら。この懐き具合といい、この緑色の目といい、この猫は間違いない、『シンヤ』だ。自分の部屋で飼っている黒猫だ。この横浜基地内のアイドル的存在。上司たちも飼育を認めている。今朝から基地の中を散歩して、女性クルーたちに可愛がられていていなかったが、いつの間にか帰ってきていたみたいだ。
 彼は足に擦り寄っているシンヤを片手で抱き上げ、自室の前に行き、入り口の前に立った。この基地のパイロットたちの部屋は音声パスワード式でロックされている。登録した声と言葉でしか開かないのだ。
 彼はドアノブの三十センチ上にある小さな穴に口を近づけ、「ドアロック解除」と呟くと、ドアから、鍵が開くような音と共に「ロック解除シマシタ」という女性の機械的な声が聞こえてきた。その途端、ドアが左にスライドし、シンヤと友幸は部屋へと入る。
 友幸の部屋はほとんど何もなく、暗い。電気をつけると、彼の部屋の内部が良くわかるほど明るくなった。
 彼の部屋には、ドアを北とすると南側、窓側にはデスクと椅子、東側には枕とベット、西側にはクローゼットがある。デスクの引き出しにはシンヤのキャットフードと報告用の何も書かれていない書類、パソコンぐらいしか入っていない。デスクの上は家族の写真が入った、写真立てのみ。クローゼットの中身は軍服が二着と私服が三着。中身が空きすぎて、逆に困っている。
 シンヤをベットの上に降ろし、クローゼットの中にある軍服を取り出した。軍服は、襟、袖、ポケット、チャック部分が黒で、残りは白色。ズボンも白だ。左の胸ポケットには少尉の証の階級バッチが付けられていた。小さな銅の翼の形をしている。ついでにブーツも取り出す。膝下十センチぐらいまでの長さの黒色のブーツだ。基地内を歩くにはこの軍服が必須で、たとえ軍の関係者やクルーでもこの軍服を着ていなければ基地内に入ることができない。今、その軍服に着替えようとしているところだ。
 彼はパイロットスーツの前にあるチャックを下まで下ろし、脱ぐ。そして上から順に着ていき、そしてベットに腰を掛けながらブーツを履く。履き終えて、シンヤの頭を優しく、壊れ物を扱うように撫でてやると、「にゃー」と猫撫で声を上げる。
 「腹減ったか?」
 シンヤに向けて聞くように呟いた。ベッドから立ち上がり、デスクの一番下の引き出しを開け、皿とキャットフードを出す。キャットフードを見てか、シンヤはベッドから軽々飛び降り、床に置かれた赤い皿の前に座る。その皿にころころと丸い茶色のキャットフードを注ぐ。注ぎ終わると、シンヤはがっつくように食べ始める。
その時。
 
 『第一前衛部隊の杉村中佐、雨崎少尉、第二後衛部隊の春野少将、紅蓮大尉、以上の四名は至急作戦参謀室へお集まりください』

そんな女性の声が天井にある小さなスピーカーから流れた。
——至急、か……何かあったのだろうか。
「お前は餌でも食べて待っとけよ」
そうシンヤに言って、彼はシンヤを部屋に残し、自室を出る。作戦参謀室はここをずっと右に真っ直ぐ行く必要がある。さっき自分が通った格納庫の出入り口の前を通るわけだ。真っ直ぐ行った、その突き当たりにある地下へと繋がるエレベーターに乗り、地下三階まで行き、エレベーターから降りて二つ目の左にある曲がり角を曲がると、大きなドアが現れる、そこだ。そこに作戦参謀室はある。
そこを目指して友幸はずっと右の奥にあるエレベーターの方を向く。至急というのだから、きっと重要なことだろう。急がなければ。

 彼は、走り出した。

—横浜基地内・午後七時五十六分—

急いでエレベーターに乗り、入り口を閉める『閉』というボタンを押したが、閉まる途中で彼によって阻まれてしまう。金髪のさらな髪に、青い瞳、そして眼鏡をかけた、成人男性にしては少し細い体系の男。そう、杉村ルーファ中佐だ。彼は素早く扉の間に足を入れ、閉まるのを止めた。……これは痛いだろう。だが杉村中佐は顔色一つ変えていない。それより無表情だ。怖い。すると左右に扉が開くと同時に目と目が合う。彼はにっこりと笑い、「失礼します」と言ってエレベーターの中に入って来た。
そして俺はまた『閉』のボタンを押し扉を閉め、地下三階のボタンを押す。二、三秒してエレベーターが下へと動き始めた。コンピュータが作動するような音が、静かなエレベーター内に響く。二人共しゃべらず黙ったままだ。
横目でちらりと見ると彼も自分と同じ軍服を着ている。襟と袖、胸のポケット、チャック部分、履いているブーツが黒色で、あとは全て白色だ。もちろん、ズボンも。だが自分とどこかちがう。軍服に皺がないからか? それとも、まとっているオーラがちがうからか? 自分の服装と見比べながら、じろじろ彼を観察していると、左ポケットについている階級バッジが目に留まった。ポケットについているバッジは俺のと同じの翼の形で、中佐の階級は確か銀製だったはずだ。色は、青色。やっぱりちがうんだな、階級によって。

そうこう思っているうちに、エレベーターが、金属が叩かれるような甲高い音を立てて止まり、扉が開いた。


②へ

Re: 機械騎士 ‐knight‐ ( No.6 )
日時: 2010/12/30 10:09
名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)

第二話[異変]②

扉が開き、先に杉村中佐が出て、俺は中佐の後に続く。三十メートルほど真っ直ぐ歩いて、一つ目の左右にある曲がり角は無視し、二つ目に差し掛かると左へ曲がる。すると、五メートルほどはあろうかの大きな扉が現れた。ここが作戦参謀室だ。ちなみにここも音声パスワード式である。
「……そういえば、トイレ掃除はいつでしたっけ」
中に入る前に、彼をからかうかのように問う。トイレ掃除、というのは今日の夕方頃に行った模擬戦闘のことである。基地内の全てのトイレの清掃をかけた戦闘で、一度勝てば、俺はやらなくていいとのことで、一回戦目は負けたが、二回戦目は見事に勝った。そして、俺に負けた杉村中佐がトイレ掃除を行うことになったのだ。
「午後九時頃、ですね。それが何か?」
笑顔で、俺を見下しているかように言う。そういうところがむかつく。彼は常に周りの人間を冷ややかに、見下してみている。どういえばいいだろう、彼は人間を人間としてみていない、という感じだろうか。とりあえず、そんな感じの人間だ。
「いいえ、別に」
「そうですか、ならいいです」
そう俺に言い放って、杉村中佐は扉の前に立つ。
「私、杉村ルーファ中佐とその部下、雨崎友幸少尉、ただいま参上しました」
いつもより大きく、少し低いトーンの声で扉に向け、叫んだ。扉は登録した声を感知したのか、左右にゆっくりと開いた。
中は薄暗く、此処から見て、真正面にあるやたらとでかいモニターの光だろうか、その光だけで作戦参謀室は照らされていた。部屋の中央には鉄製の大きな円卓が置かれている。左側には二人の男が座っている。右から、銀髪の肩甲骨あたりまであるロングヘアーで若々しい三十八歳の春野雪弥少将、その隣にはチョコレートのような髪色で短髪の、少しゴツイ、今年で四十三歳の熱血男、紅蓮大尉が座っており、右側にはだれもいない。俺たちの席のようだ。そして、モニターの前に座っているのが、中将の藤田創平。黒く、襟足が長い髪の男。三十一歳。
俺たちは、扉が開き終わったのを見て、中に入り、鉄製円卓の右側の席に座る。それを見て、藤田中将は口を開いた。
「残りの五名は、それぞれの諸事情によりいないが、これから緊急会議を始める。詳しい資料はない。そのため、しっかりと頭の中で覚えておいて欲しい」

そうして、緊急会議が始まった。

内容は、ヘブン軍各基地で噂されている『スパイ』のことと、明日、ヘブン軍横浜基地視察しに緊急来日してくることとなったアメリカ大統領についてだ。
まず、スパイについてはあくまで噂で、まだはっきりと確認されていない。これは、名古屋基地にて二、三週間前に『ヘブン軍にスパイがいる』等の電子メールが一人のクルーに送られてきたことが発端で、送り主、どこから送られたのかはわかっていない。本部の上層部はいたずらメールだろうと判断したため、あまり重要視されていなかったが、念のためということで中将は会議を開いたらしい。もし、その噂がこの基地内でも立ったら『あくまで噂』と対処して欲しいとのことだ。
大統領については、迎える準備はもうできているが、警備には徹底的にしっかりとして欲しいとのこと。それぞれの警備場所はあらかじめ決まっていた。大統領が乗る飛行船の護衛は紅蓮大尉の部隊が担当。基地全体の警備は杉村中佐の部隊が担当することになった。つまり俺も基地の警備をすることとなる。春野少将の部隊は基地内待機となった。

——という、たった十分程度の簡単な会議だった。

「これで、緊急会議を終了する。意見のあるものは……」

中将が立ち上がり、皆の意見を聞こうとした時。

部屋が突然赤く照らされ、アラームが大きく響いた。これは敵(所属不明機)が接近または攻撃をしてきたときの警告音。
「これは……」
「何かあったようだな」
さすが春野少将と紅蓮大尉。冷静な声だ。まったく慌てていない。俺は内心かなり焦っている。隣の杉村中佐は、同じく慌てていない。
「どうした、司令室。敵か?」
藤田中将の声と共にモニターが司令室の内部を写す。司令室は突然の警告音によりかなり慌てふためいている。ばたばたと人が走る音に姿。司令長らしき男の怒号。冷や汗をかいている者もいる。兵士たちが急いで何かを解析しているようだった。
ある女性兵士が中将の声を聞いてか、答える。

『そのようです! 所属不明機、四機この基地に接近中! 距離は約八十キロです!』

これは、『戦争』への始まりにすぎなかった。

『緊急連絡、緊急連絡』
騒々しい司令室の中でもひときわ大きな声が、響きわたる。
『東京方面よりさらに未確認機体出現、未登録の機械騎士です!異常な速度です、現行ナイトではありえません!!』

「聞いたか?」
格納庫の整備用の油の臭いが鼻を突く。整備員たちは、緊急出動に慌てふためいている。俺も内心は慌てている。
俺たちは今、ナイト出撃用の調整中だ。ドラゴンナイトの夜戦用制御プロミング中にルーファ中佐が、聞いてくる。
「何を? 今集中してるから」
分かってはいるが軽く返す。
「はいはい、ホントは聞いているよね」
軽く返したら、軽く見抜かれた。やっぱりこいつは、嫌な奴だ。
「で、敵は四体か五体かだな。一体は東京から出たといったが東京本部のやつか?」
「分からない。だが、こっちは出撃しなくちゃいけないらしい」
俺の目の前の青いランプが点灯した。出撃準備OKらしい。ルーファのナイト<<Full>は、まだ準備が出来てないようだ。
「そっちはまだみたいですね。じゃあ、お先に失礼しますよ」
からかってはみたが、シカトされた。
いつも思うのだが、ナイトの出力・破壊力は半端じゃない。これが完成した当時、戦闘機や戦車を製造している会社が泣き出したのも分かる。
ナイトの基本的な装甲坂だけでも戦車の砲撃ではへこませることすら出来ないという。破格だな、ナイトは。
でも、これは平和の為といっても人殺しの道具でしかない。それに乗っている自分は……。

③へ

Re: 機械騎士 ‐knight‐ ( No.7 )
日時: 2010/12/30 10:26
名前: Feynman ◆SVtbhIpF26 (ID: SkADFG9E)

ん? MBTの砲撃を跳ね返す装甲?
材質、何使ってんの? 少なくともAPFSDSでも使われたら無理だべ。


Re: 機械騎士 ‐knight‐ ( No.8 )
日時: 2010/12/30 10:43
名前: Agu ◆Z4AlVyDyzg (ID: SkADFG9E)

>>7
横槍スマソ。
そこはガン○ムで言うルナチタニウムとかそういう架空の材質で行くんじゃないのかな。
第一、人型兵器自体が実用性が無い兵器なんだからまともに論じようとしても無理でしょう。

フィクションはフィクションと割り切るべき。





あ、後小説は読んでいてドキドキしました。これからもファイトです。

Re: 機械騎士 ‐knight‐ ( No.9 )
日時: 2010/12/30 18:51
名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
参照: 咳が止まらぬ。何故じゃ。

>>7-8
コメント、誠に有難うございました!

Feynman様
Agu様の仰るとおり、装甲にはこの世に存在しない、在りえない材質を使っています。
これ以上言うとちょっとしたネタバレになるので控えさせていただきます。

Agu様
何故わかったし。とまあ置いておきましょう。
dkdkしていただいたなんて…! 嬉しすぎてちょっとスキップしました嘘ゴメン。
応援ありがとうございます! 


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