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恨みの手鞠唄
日時: 2011/07/04 19:43
名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)

( 挨拶 )

初めまして、私はりょうと申します、
よろしくお願いしますね。

文がヘタなのをご承知くださいませ。
後、更新が亀さん並みに
遅いです(



( 注意事項 )


01/ シリアス、ダーク、猟奇的、死、グロ……等の描写あり
02/ 中2なので更新が亀さん並みに遅いです
03/ 宣伝や荒らし等はお断りします
04/ マナー等、守ってくださいね








それでは、妖怪から見た人間の〝業〟をお楽しみに……





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Page:1



Re: 恨みの手鞠唄 ( No.1 )
日時: 2011/07/02 13:10
名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)

  ■ 妖紹介伝



○ リツ (Ritu) ♂


妖怪、山姫と人間の男の間に生まれた半妖の子供、両親譲りの美少年で性格はとことん冷静沈着で無口という(妖怪とは言え)子供らしくない。また妖怪である山姫の種族で、男が生まれるのは吉兆で大変稀らしい。両親は彼が生まれた日に共に死亡。服装は黒色で無地の着物、藍色のはかまに白い足袋を履いた漆黒の下駄。右目を常に少し長い髪に隠しており、白い紐で束ねている。目は黒色。人間の内情や生態系に深く興味を持つ。




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Re: 恨みの手鞠唄 ( No.2 )
日時: 2011/07/02 16:58
名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)

  #01


まりをおくれ……

まりをおくれ……

あそびはたんとある……

されでも……

やはり、てまりなり……

まりをおくれ……

まりをおくれ……




何処からか聞こえてくる歌声。—— 女の子の声だ。


何処か悲哀さを感じる歌声は、確実に僕の所に近づいてる。
僕のことを知らない妖怪だろうか。まあ、別に良いが。


歌声は確実に近づいてくる。
少し煩いな………



くすくす、と笑い声も混じる歌声は、次第に悲哀さも混ざる。






まりをおくれ……

まりをおくれ……

なぜてまりをしてはならぬ?

それはおとうさまがいった……

それはおかあさまがいった……







ぴたりと足をとめた。昔の江戸時代の農民の子なら、
両親の事を〝おとうさま〟や〝おかあさま〟等と言わない。

つまり、歌声の少女は地位の高く教養ある子供だ。
何故その子供がこんな夜道に、
しかも、民家が立ち並ぶ住宅街にいるんだ?


僕の記憶によれば、ここは江戸時代から………






「みぃつけた」






歌声が止んだと同時に聞こえた声。
後ろを振り向くと。





居た、女の子が。







綺麗な蝶と花の柄が煌びやかな着物。
そして手には—— 薙刀。



嗚呼、上級武士の娘か。




彼女の持ってる武器で確信した。薙刀は武士の女の武道だ。
つまり、女が唯一戦う際に使うことを許された武器。


それを使えるのは上級や中流の武士だけ。
下級武士はもってのほか。

——— 貧しさで薙刀を買う余裕すらないのだから。









「僕に何か用かい?」

「まりをおくれ」






ニコニコ、と微笑む少女。





面倒なことになった、好い加減にして貰いたいね。
僕も彼女に微笑んで返してやった。





「残念ながら、僕はまりは無い……というか、男だからね?」

「やはり、男児はダメなのね。……仕方ないわ、次をあたりましょう」





背をくるり、と向けて歩き出した彼女。
僕は彼女を呼びとめた。





「待ちなよ……そうしてまた人間を殺すつもりなの?」







ぴたりと立ち止まった。





わなわな、彼女が体を震わせていた。手が特に震えている。
彼女はやがて存在自体が、ゆらゆら、と霞み出す。


皮肉にも、それが彼女が〝この世ならざるもの〟だと、
何よりの証だった———。






「好い加減にしたら?」

「だって……取り返さなきゃ、いけないんだもの」

「だろうね。だから人間を殺すのは、やめたら?」

「何でそんな、人間に味方するの?」

「………ただの、暇潰しさ」

「本当はお父様が人間だから、でしょ?」





ぴくり、と眼が動く。



黒く無地の着物の袖がゆらり、と動いた。
それは、荒れ狂う風の仕業だった。











「——— そうだと、したら?」












酷いわねぇ、とくすくす、彼女が笑った。
ふうん、と僕は呟く。




そして気が変わった。











「人間を殺さないなら、手伝おう」

「あら、嬉しや」
















ゆらゆら、ゆらり。彼女自体が揺れる









僕はくっきりと月夜の明かり、地面に、
影だけ残していた……





















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Re: 恨みの手鞠唄 ( No.3 )
日時: 2011/07/03 10:44
名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)

  #02


まりをおくれ……

まりをおくれ……

まりをくれぬのならば……

ころしてしまおうか……

まりをくれぬのならば……

しんでしまえ……

まりをおくれ……

まりをおくれ……




「きっ…きゃあああっ……ん?」



不運にも夜道を歩いていた女性が、ふと立ち止まる。
おそらく僕を見たから、少しは…安堵したのかな?

良く分かんないけど。



「……大丈夫ですか?」



声をかければ、

女性はまじまじと僕の顔や恰好を見た。
今時、変な服装だからだろう。



「君………こんな真夜中に」

「おばあちゃんの家に行く途中なんです、今日…お祭りがあったから」

「………ああ」



女性は違和感を覚えつつも納得したようだ。
次に僕が抱えている……日本人形を見て首を傾げた。



「これ———おばあちゃんにプレゼントするんです」



嘘を重ねるのは、面倒だ。
だけど…これしかないんだもの。



「そう——なんだ」

「では、失礼します」

「十分、気をつけるんだよ」

「あなたこそ…ね」




もしも、僕がいなければ、この日本人形に……殺されてたよ。
本当にあの女性は運が良い人だった。





あの女性の姿が見えなくなるころ、
日本人形は少女に変化した。







「あのね、どこに手鞠唄を真夜中に唄う子供がいるんだよ」

「どこに日本人形を持ってあんな嘘を吐く子供がいるのかしら?」







呆れて僕は何も言い返せなかった、一理あるけど。











「とにかく急ぐわよ……早く早く」

「はいはい………分かりましたよ」













今夜は月が不気味なほどに明るいなあ……









妖たちが何か悪さをする晩だ、
もっとも、別に良いけど。
僕が人間を救うのは——— 暇潰しなんだ。







お父さんの血が流れているのも、
一理あるけど……








まあ、鼻から









人間のために頑張ろうという気は、
全くしないけどねぇ。















……あの女性が無事に家に帰れたかは、
僕の知ったことでも、なんでもない。


















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Re: 恨みの手鞠唄 ( No.4 )
日時: 2011/07/03 13:35
名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)

  #03


まずは……

妖怪化した日本人形の身の上話でも聞かなければ、
僕が手伝うことは出来ないだろう。


街外れの小さな草原に僕は出向いた、
そこで適当に座って聞くことに。
日本人形は懐かしそうに眼を輝かせて話した。





——




「おばあさま、この日本人形のお名前はなあに?」

「そうだねぇ……お百合が良いんじゃあないかえ?」

「百合っ! 百合っ!」



あたしは人形店から、武士の家族へ売られた。


だけどそこにいたお嬢様が大変喜んでくれて、
お祖母様もあたしに『百合』という名前をくれた。


幸せだった。本当に幸せだったのよ、
あたしはずっとこの家に住みたかった。
なのに……

幸せは長く続いてくれない




あの家族が食中毒で一家全滅したのだ。
同時に火事も起きてしまった。




なにかが、あたしに起こった。





急に勝手に体が動いて意思を持った。
慌ててあたしは、


武家屋敷を飛び出した—……






気付いたときには、もう屋敷は燃え散っていた。
そしてあたしの持ってたはずの……




あの、家族から貰った鞠が、
あの、大切な、大切な鞠が、







「…………無くなってたのよ」






代わりに鞠と一緒に持って行った、
お嬢様があたしにくれた…




薙刀だけ——









「……まりをおくれ」

「だから、知らないよ」

「まりが欲しい、まりがなければ…」

「鞠を手に入れたあと、君はどうするつもりなんだい?」






分からない、と百合が言った。
たしかに悲しい過去だったけどね、







「動いて意思を持って人を殺した時点で君はもう、立派な…妖怪だ」

「でしょうね、妖怪名はなんなのかしら?」

手鞠娘てまりむすめはどうだい?」







良いわね、と自嘲気味に笑った。






ただの日本人形が、







意思を持った妖怪に、
それは、




九十九神なんだよね。








彼女が知ってるかは、
分かんないけど。













「まあ……付き合うよ」

「うふふ、嬉しや」













さてと、まずは鞠探しか……











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