ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Ebony girls dual Fencer 参照400
日時: 2011/09/09 01:23
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5640

こんばんは、そして、初めてのお方は始めまして、無名の作者でございます、だいこん大魔法というものです^^;ほかの掲示板では完成させていない作品が何個かあると思いますが(おいw  それはおいといて・・・今回は初めて(シリアス全般のファンタジー)を書くという事で、作風を大きく変えて、一人称物語を変更いたしました。まぁ変えたところで結局駄作には変わりないのですが、温かい目でお見守りいただけると不肖だいこん大魔法、嬉し涙があふれんばかりです^^

というわけで、まず最初に注意書きをおいておきたいと思います^^

1、更新速度がとてつもなく遅いかもしれませんが、そのあたりは作者の気まぐれなので暖かいめで見守っておいてください^^;

2、中傷やわいせつな発言、荒らしなどは作者やお客様にも迷惑になってしまうと思われますので、控えるどころか絶対にしないでいただけるとありがたいです、もしもやりたいおかたは直ぐに戻るのボタンをおしてお帰りください^^

3、コメント、アドバイス(ここをどうしたらよく見えるか)などはいつでもまっておりますので、やっていただけると作者が喜びます^^


とまぁこんな感じになります。

細々とした設定などは、追々と追加させていく所存ですので、よろしくお願いいたします^^

なお、キャラクターたち【企画参加者さまも】を勝手に作者が絵に描いてしまいますがあしからず・・・



タイトルの意味  Ebony girls dual Fencer 【デュアルフェンサー 漆黒の少女】 





     †・・・First story(シャルル・S・リーネ ルート)・・・†


First Chapter Zero・・・【Variant】 >>1

First chapter・・・【Storage】>>2 >>3 >>4

Chapter II・・・【Dual Fencer】>>5 >>9 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>21 >>23 >>25 >>26 >>30 >>31 >>32


————————————————————————


      †・・・Character・・・†


Hero  夜峰 黎迩 (やみね れいじ)

Heroine  シャルル・S・リーネ(シャルル・シャドウ・リーネ)【漆黒の少女】>>24

Classmate  幸凪 遥 (こうなぎ はるか)  舟木 力也(ふなき りきや) ・・・Coming Soon

Enemy   【異形】(Variant)

Mad god   【企画進行度零パーセント】

Organization name  【デュアルフェンサー】

Organization   【企画進行度十二パーセント】
第一企画出演者 野宮詩織さま 
(キャラクターネーム【暁寧々】ヒロインの同僚。十六歳にして女。能力は異次元の扉を開くことができ、そこからさまざまなものをだすことができ、いろいろと応用を利かせることができるという。二つ名は【次元の鍵守】)出演開始>>15

第二企画出演者 れおいさま
(キャラクターネーム【由詩】ヒロインの同僚。十七歳にして女。能力は自身の血を固めて刃に変える能力。その形はどこかトンファーにも似ているが、一言で表すのなら魚の胸鰭。二つ名は【深紅の剣士】)出演開始>>26

特別企画参加者募集中(敵キャラ【Mad god】・味方キャラ【Organization】)・・・URL参照


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物語をつかむためのあらすじ↓

これは・・・とある普通の少年が、仮初の空間を通して現実を知る・・・不可解かつ残酷な物語———


いったいなにがどうなってんだよ・・・その言葉は、自身が見慣れていたはずの街をなにかから逃げるかのごとく疾走する少年の口から放たれた。
夕闇に染まっていたはずの街は、また違う、別の色によって染め上げられてしまっていて、さきほどまで騒がしいぐらいにまでいたはずの人々は全員動かなくなってしまい、自分自身だけが動けるという状況に恐怖しながら・・・後ろから迫る、さらなる恐怖から必死に逃げ続けていた。
その少年の後ろからは、ケタケタと不快に笑う———人間の倍以上の体躯をもった、顔の位置にはピエロの仮面、服は道化のような格好をしていて・・・左右に三本ずつぶらさがる腕のさきからはひとつの手に五本ずつの巨大なナイフという・・・ごく普通の生活をおくっていて、ごく普通の人生をおくっていた少年から見たら・・・【化け物】としかいいようがない姿をしたその・・・【異形】が、近づいてきていた。
少年と【異形】の歩幅はぜんぜん違う。そのためか、少年が全力で走っても一向に距離は離れない。それ以前に、少年が少しでも失速してしまったらすぐにでも追いつかれてしまうような、そんな勢いだった・・・まるで、見ている側からだと【逃げる獲物とそれを狩りにかかるハンター】のような光景だった。
やがて少年は時間をむかえる。
全力で、限界を超えるほどの力で走り続けていた少年は、足を攣る。それは、運動をしているものでもかならずなる現象で、少年がそれにさからえるはずもなく———少年は地面に無様に転がった。
それをみた【異形】は———少年のことをあざ笑うかのようにケタケタと笑う。耳障りな声で・・・不快な声で———恐怖を煽るかのような、声で。
少年はそこで絶望する。自分が助かるのがもう絶望てきだとわかったから、少年は顔を青ざめさせて【異形】のほうをにらむ。そしてその瞬間・・・少年の顔に、疑問の色が浮かぶ。



そう・・・少年は見たのだ。【異形】の後ろのビルから———小柄な人影が落ちていくのを———


———なにも知らない、なにも記憶しない、ただの人間であるはずの少年と、【異形】の存在の意味を追うヒロインたちが繰り広げる・・・過去に囚われ続ける哀れな物語———



参照100突破、あらすじ文公開


参照200突破、企画参加者の作中設定の公開(新情報)

第一企画参加者 れおいさま

小説内名前 由詩ゆた
年齢 十七歳
性別 女
小説内設定【自らの血を使い刃とかえて敵を殲滅する【デュアルフェンサー極東支部】のエリート。シャルルとは同僚で、よくともに【異形】を狩るために仲もよい。シャルルが心を許している数少ない人の一人。だが基本的内弁慶というか、仲間内弁慶なため、人見知りが激しい。自身では強くないというが、その実力は【デュアルフェンサー本部】にも認められているほどで、【化け物ぞろいの極東支部】に移されるという経緯をへてシャルルと出会う】

第二企画参加者 野宮詩織さま

小説内名前 暁 寧々(あかつき ねね)
年齢 16
性別 女
小説内設定【異世界の扉を開き、そこから銃弾や弾幕、光の剣などを生み出すことができ、【異形】をも圧倒する力を振るう美女。【デュアルフェンサー極東支部】のエリートでもありシャルルが心を許す友人の一人。基本的に楽観的なのかどうかはわからないが、いつも軽く物事を見ているような言動をする。悪戯好きでちょっと困りものだが、その実力は誰もが認めるものであり、【化け物ぞろいの極東支部】でも一際目立つ存在である】



参照300突破・・・自作絵(シャルルと寧々)>>29


参照400突破・・・企画参加者の名前と代表作(複数ある場合は作者が読んで一番心に残っている作品、小説を書いていない方は作者がその人に抱いている印象)


れおいさま(複雑・ファジーの 不定期更新で短編やら書いてみる)

野宮詩織さま(誰もが知っている小説大会優勝作品、おいでませ、助太刀部!!)

翡翠さま(コメディ・ライトの *。・二人の秘密・。*〜)

ヴィオラさま(シリアス・ダークの Redmoon night)

神様の懺悔さま(合作をやる予定でございます^^合作の話の進め方もうまく、頼れる方でございます^^)

焔錠さま(その物言い、その態度、なにもかもが魔王にふさわしい存在・・・かっけええっす、あこがれるっす←)

生死騎士さま(シリアス・ダークの 極彩色硝子【ステンドグラス】)

Neonさま(シリアス・ダークの 大好きだった君へ無様に生きた私より)

グレイさま(シリアス・ダークの 冥界の主は———)

菫さま(シリアス・ダークの 生徒会の秘密)

甘木さま(シリアス・ダークの 六道サイコパス)

秀元さま(二次小説(紙)の ぬらりひょんの孫〜短編集〜か〜も〜)

スフィアさま(シリアス・ダークの バスターワールド)

丸転さま(コメディ・ライトの 妹の小説にトリップした会社員23才。高校生やってきますっ!)

大王タコさま(・・・すべてが謎につつまれている。自分ではどんな印象をもっているのかもわからない・・・)

No315さま(前の小説でもいろいろとアンケートに答えてくださったりとお世話になったお方です、なんというかその温かい心は画面越しにも伝わってくるのですぜ・・・)

世渡さま(企画に参加してくださった神様の一人、その存在は明らかとなっていない・・・)

篠崎紅架さま(企画に参加してくださった神様の一人、名前からなんか美人さんな雰囲気が・・・)

IANAさま(二次小説(映像)の VOCALOIDで小説!)

風猫さま(シリアス・ダークの パラノイア)

美月さま(・・・うーん、なんていうんだろうか、名前から感じるにロリてきなイメージが・・・うへへww←)

ネズミさま(シリアス・ダークの 戦慄ユートピア かなり前の作品だ・・・)

jyuriさま(コメディ・ライトの バトルとお米と少しの勇気)

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Re: Ebony girls dual Fencer 参照300 ( No.30 )
日時: 2011/09/04 00:00
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

そもそもの【異空間時計】の概念や、構成などがわかっていない今この現状でも、経験をつめばそのくらいの情報はつかむことができる。
だからシャルルは遠慮をしない・・・相手が【異形】であれば、相手が人間でさえなければ———絶対に、容赦をしないのだ。それがこの世界で生きるための・・・唯一の方法だから。
シャルルは剣を引き抜くと、すぐさま足に力をいれて、ジャンプする。その一回のジャンプで家の屋根を飛び越えて、再び反対側の道にでたかと思うと、その道にはギッシリと【犬】がしきつめられているというなんともいえない光景がひろがっていて・・・思わずシャルルは

「・・・き、きしょくが悪いのです!!」

と、ゴキブリにでも遭遇したかのような悲痛な叫びをあげてしまった。
重力にはさからえないために、シャルルはすぐにその【犬】だらけの道に着地しなければならないのだが、着地できる場所が見当たらない。
シャルルは一瞬の思考の後にすぐに判断する。そう、道がないのなら・・・足の踏み場が無いのなら———作ればいいのだと。
幸いにも【犬】の注意はすべて由詩にむけられていて、その由詩は圧倒的な力とスピード、そして体力で【犬】たちを圧倒していて、その【犬】たとはなす術も無く数を減らしていっている。だからだろうか、【犬】たちは仲間の硬きとかなんだかはわからないがすべての視線を由詩にむけていて、すべての殺気を由詩にむけている。いわば針山状態・・・だけども、その針を向ける相手が鋼でできていたら———鉄壁の防御力、攻撃という名の最強の盾をもっているやつだったら———なんの意味もなさない。さらに・・・その相手の仲間も、同じようなやつだったら・・・?その針山はいったいどうなる?そう・・・答えは簡単。

「全部の針が折れるだけなのです」

そういってシャルルは剣を最上段にかまえながら落下する。そのまま【犬】の背中がマジかまでにせまったところで剣を大きく一振りして、
その反動でくるりと縦に一回転する。背中をザックリと切られた【犬】は、突然の出来事に絶叫しながらその存在を消していく。断末魔さえあげることのできない一瞬の出来事。だがシャルルはその消えた【犬】のことなんか無視して着地した場所で横薙ぎに一回転して剣を振るう。それだけど周りにいた【犬】たち・・・合計五体ぐらいだろうか。がその存在を消して消えてしまう。
【犬】の集団の先頭には由詩が立ちふさがり、中心部にはシャルルがもぐりこむ。逃げ場を失ってしまった【犬】たちはただただ絶叫をあげながらシャルルたちにねじふさがれていき、その数を次々に減らしていく。たかが下僕とはいえども、多ければ多いほど強い、というわけではなかった。【犬】たちを圧倒するシャルルと由詩のその圧倒的なまでの力は・・・いかなる数をもってしても、切り崩せるような代物ではなかったのだ。

「シャルル!!たぶんこの【犬】達がこの【異空間時計】の中の最後のやつらだよ!!」

「なんでそんなことがわかるのですか!!」

「それはもちろん、僕がこの【異空間時計】の範囲内全部を周ってみてきたからさ!!」

「・・・まったく、お前のその行動力にはあきれるのですっ」

「褒め言葉として受け取っとくよ〜っと」

「実際に褒めているのですよこの単細胞!!」

お互いに武器を振るいながら余裕な会話を繰り広げる。シャルルのほうには笑顔までもが浮かんでいる。
さきほどまでとは違う、とにかく時間が惜しいという戦いかたをやめたシャルルは、一体ずつ確実にまでとはいわないものの的確に【犬】の数を減らしていく。由詩はシャルルを助けに入ったときと変わらない、まったく隙のない、体術を連想させるかのような動きで腕に生える刃で敵を切り裂き、時にはバリツという格闘技というのだろうか、それを連想させるような組技で【犬】の間接を的確にはずし、とどめをさすといういわば一人連携を決めていた。
圧倒的なまでの数をほこっていた【犬】たちはもう最初のころの数とは比べ物にならないほど少なくなっていた。それはもう、一分もたっているかたっていないかというほどの速度で繰り広げられたシャルルたちの圧倒的なまでの攻撃によるものが原因といえるが・・・すでに【犬】たちのその数は、十体にまで減らされてしまっていた。そう、一分もたっていないその時間で・・・シャルルたちは、およそ百体以上もの【犬】たちをしとめたのだ。

「それにしても、今回の【異空間時計】の主はよっぽど臆病なんだね〜。僕、こんなに大量の【犬】を見たのは初めてだよ」

「そうなのですか?・・・まぁそんなことはいいとして、です。たしかにこの【異空間時計】の主は臆病者ですね・・・そうでなければ、ただのチキンですね」

「どっちにしろかわんないじゃん?」

「う・・・うるさいのです!!」

そんなふざけた言葉をはいているが、たしかにこの事態は異常といえば異常だった。こんなに【犬】を絶やしても現れない【異形】の本体。
実際いろいろといっているシャルルでさえ、ここまでねばる【異形】を見たこともないし聞いたことも無かった。そのうえ、捕食する対象であるはずの【黎迩】ではなく、シャルルのほうに大量の【犬】をよこした。つまるところそれは、シャルルの足止めが目的か、それともシャルルを排除しようとしたものなのか・・・それはよくはわからないけれども、ひとつだけ分かることがある。黎迩が今この瞬間では【犬】におそわれていないということだ。
・・・もしかしたら、という考えがシャルルの頭によぎる。そう、もしかしたら黎迩はもう喰われていて・・・あとに残ったシャルルたちをただこの【犬】たちは排除にきているんじゃないのか、と。
一度よぎった不安はぬぐえない。シャルルは少しばかり剣を握る手の力を緩めながらも戦いを続ける。実際問題、寧々が黎迩と合流というか対面して、助けてくれているのならばそれはそれでありがたいのだが、黎迩は自分の手で守らなければならないと決めたシャルルにとってそれはちょっと好ましくない。でも今この現状でそんなことはどうでもいいとして、もしも・・・寧々が黎迩と合流していないで、黎迩が【犬】に喰われていたら———
そんな不安がシャルルの頭をよぎったとき・・・


Re: Ebony girls dual Fencer 参照400 ( No.31 )
日時: 2011/09/04 00:05
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

「こいつで最後っと」

と、間の抜けた声が聞こえ・・・最後にのこった、一番小さくて今までぜんぜんめだたなかった少し形状の異なった【犬】を両断する。その【犬】はいままでの【犬】とはちょっとばかし異なって甲高い断末魔をあげて血飛沫をあげることもなくその存在を消してしまう。
まるで何事も無かったかのように、【犬】たちの存在はこの場からなくなる。【犬】の体内からでてきた血以外がなくなってしまったこの場所・・・【犬】の返り血を浴びて真っ赤に染まっている少女たち・・・だがしかし、その血もなぜか薄れ始める。本当に何事も無かったかのように、その残虐のあとさえもなくなってしまう。
【犬】は一言でいってしまえばただの残像といっても過言ではなかった。そう、魔法でできた【生物】だ。そのことから、そのぞんざいは形作る中心部を破壊してしまえば消えてなくなってしまう。たとえそれが血であっても、体から切り離された頭であっても骨であってもかわらない。その【魔法】の中心部を破壊してしまうことによってその存在のすべてが跡形も無く、そう、まるでそこになにもいなかったかのように霧散してしまうのだ。
だからこそシャルルたちは殺せる。無視を殺すのもできなさそうな儚い美貌をもつシャルル、生真面目そうで、なにかを殺すという概念を拒んでいるかのような雰囲気をだしている由詩・・・その二人が非情にも【犬】を殺せる理由は・・・それは【犬】が生物ではないからなのだ。
実際、殺している現場を見れば誰もが嫌悪感を表すだろうけれども・・・ここは【異空間時計】の中、気にする要素のかけらも存在しなかった。

「・・・やっと終わったのですか?」

「にしてもシャルル〜・・・なんでこんないっぱいの【犬】に囲まれてたわけ?」

「そんなのは私に聞かないでほしいのです・・・」

脱力した雰囲気でシャルルがそういう。由詩がそれに苦笑いをしてあたりを見回す。そこにはどこまでも広がる【異空間時計】があるだけで、【異形】本体がいるわけではない。
シャルルとしては、すぐにでもぶちのめして黎迩を安心させたいところなのだが、こうも【犬】ばかりしかでてこないと、【異形】本体がいないんじゃないか?と疑いをもってしまうのも不自然ではなかった。
いくら【デュアルフェンサー】のエリートたちであれ、ここまで大量の【犬】を使役する【異形】とは戦ったことが無いだろう、【デュアルフェンサー】の過去の記録をあさっても、それらしき情報はなかったと、シャルルは思い出す。
それならば、ここまで高い【使役能力】をもっている【異形】は・・・やはり、ここ一帯を占める【異形たちの主】、【もっとも力の強い異形】の一体である可能性は高かった。
シャルルも由詩も、それをちゃんと理解していた。黎迩という異端者が・・・なにかをもっているということに。【異空間時計】で動ける人間・・・【能力】を宿していて、おいしくない【デュアルフェンサー】の構成員ではない、ただの人間である夜峰黎迩・・・それを喰らいに、【異形】が集まる。それをあらわすのならば・・・黎迩を守り続けることによって———【デュアルフェンサー】が最初にして最後に求める知識・・・存在、【異形】の根源が———最強の【異形】が・・・現れるのではないか、と。
だがシャルルは、由詩にはわからない自身だけの秘密を抱えている。黎迩本人にさえいえない、でもその本人の運命を大きく狂わせてしまう最悪の秘密をにぎっている———。

「・・・とりあえず、まずは黎迩を探すのです」

「そうだね、その例の【異端者】と合流しない限りは寧々にも会えないし・・・【異形】にも会えない気がするよ」

そういいながら由詩が腕を上にもち上げて、グッと拳を握る。すると、さっきまで【犬】を残虐に切り裂いていた刃が元の血に熔けていく。
その血は由詩の腕を伝い地面に落ちるが、由詩は気にしない。シャルルもその例にならって剣をもっていない左手で首からさがる漆黒の十字架に手をあてて、剣をしまう。互いの能力の干渉は【デュアルフェンサー】内では禁じられていて、お互いがどうやって武器をだしていてどうやって武器をしまっているのかなんてわからないが、そもそもそんなことは【異形】と戦うことにおいて関係のないことなので二人はなにも言わないし聞かない。

「ま、あの堅物のシャルルが気になるぐらいの男に一回会ってみたいもんね〜」

「なっ———!?べ、べつに私はあんなやつ気にしてなんかいないのです!!」

「じゃぁなんで支部に帰ってきたとき守りたい人がいる〜なんていったの?」

ニヤニヤと笑いながら由詩がシャルルに問いかける。それにはあからさまな悪戯心がふくまれていて、シャルルはそれがわかっていても顔を赤くせずにはいられない。正直黎迩がなにかをにぎっているだとか、【デュアルフェンサー】・・・自身の剣が選んだとか、そんなことは関係なしに、シャルルは少しばかり黎迩のことを尊敬していたりもした。・・・自分でさえ、【異形】と初めて会ったとき、怯えて、怯えて震えて泣きじゃくった・・・そう、なにもできなかった。たとえそれが、力の弱い【異形】であったとしても・・・力のない、ただの人間には判断力を鈍らせてしまうほどの恐怖と絶望を味あわせる対象であるはずだった。なのに黎迩は動いた。自身の意思で動き、自分ひとりだけしかいないというのに、最後まて生きるために逃げた。シャルルの場合は同じ【デュアルフェンサー】の人に守られていたから動けなくても死ぬことはなかった。でも黎迩の場合は違う。一人しかいないという状況で、絶望しながらも逃げ続けたのだ。そして———挙句の果てには、自身の危険を顧みずにシャルルのことを助けた———。なにも力をもっていないはずの人間が、なにも後ろ盾をもたない人間が・・・そんな、クソ度胸を土壇場で見せたのだ。
それに対してシャルルは尊敬をしていた。べつに黎迩の顔がかっこいいからとか好みだからとか今はそんなこと関係なく・・・シャルル・S・リーネは夜峰黎迩という、昔の自分に似た雰囲気を宿している少年に興味をもっているのだ。
だからこそ、改めてからかわれると恥ずかしくなってしまうのだ。

「そ・・・それは」

「それは?」

「そ・・・それはッ!!【デュアルフェンサー】の人間として居合わせた【異端者】の人間を守るのは当然の義務———」

「でもさ、【異端者】がでてきたの・・・それも【異空間時計】の中で動けるほどのすっごい【異端者】がでてくるのは初めてのケースでしょ?」

「うっ・・・で、でもっ!!」

「まぁいいよ〜っと・・・たしかに一般人を守るのは・・・【デュアルフェンサー】の規約だからね〜・・・ま、それも昔の話なんだけどね」

由詩がシャルルの反応をおもしろがっているうちに、なにかを思い出したのか少しだけ微妙な表情を作る。シャルルにはその意味がわからずに首をかしげるが、解放されとしるとホッと安堵の息をつき、くるりと踵を返して歩き始める。

「と・・・とにかく、黎迩を探すのですッ。あとついでにどっかにいるはずの寧々のやつを探し出すのです」

「りょうか〜い、隊長殿〜っ」

間延びした、間抜けな声を聞きながらシャルルはこっそりとため息をつく。こんなんで大丈夫なのか?と思わせるような由詩の態度、だけども、実力を知っているだけになにもいえないというもどかしい思いを吐き出すかのようにもう一度ため息をついたあと、黎迩たちを探し出すために歩き出す。
その辺りにはもう・・・【犬】の存在も、【犬】の遠吠えさえも聞こえていなかった———。

Re: Ebony girls dual Fencer 参照400 ( No.32 )
日時: 2011/09/09 01:09
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)





自分がなにもできないことを、悔やんだりはしない。
自分がなにもできなかったせいでなにかが傷ついた、取り返しのつかないことになった。だけども、そのことに後悔はしない。
ただそれに絶望を覚えるだけだ。
それをただ、償うだけだ。
ただそれを後に後にと背負い続ける。人はそれを後悔と呼ぶのかもしれない、だけど黎迩は、それを自分では後悔とは認めていなかった。
重く圧し掛かるその絶望、誰かを自分のせいで傷つけたという思い・・・それがいくら心の中で渦巻いても、それを忘れたりはしない、それを後悔と感じたりはしない。
最終的にはそれが自身の身にふりかかったとしても、たとえそれが自身を傷つけたとしても・・・たとえそれが、自身の命を奪うものだったとしても・・・償うのだ。なにをしてでも。最終的に自己満足ではない・・・傷つけられた笑顔ではない・・・清算された、忘れてしまった笑顔を見るまでは———妹を、そしてあいつを———死なせはしない。それが、自身にかけた枷だから。
だからこんなところで、自分の人生を、絶望をなにもしらない【異形】なんかに・・・殺されてたまるか、という思いが強く渦巻く。

「さぁて・・・【犬】の気配はもうねぇなぁ?」

それをおもったところで、黎迩にはなにもすることはできない。だけども、自分を守ってくれる誰かがいる。ならば最後までそいつを利用するのだ。利用しなければ生きられないのなら、なんだってやってやろう。そう、黎迩は思っている。さきほどからずっと自分を、出会ったばかりのただの足手まといを守ってくれる・・・女性を目の前にしながら、申し訳ないという気持ちも感じることなく・・・ただただ後ろに隠れ続ける。

「そろそろあいつらとも合流してぇしな・・・歩けるか?」

「・・・」

「問題ないみたいだな。じゃ・・・あっちのほうにいってみるんだぜ」

そういいながら、短い髪を靡かせて寧々が歩き出す。その後ろを黎迩が、何食わぬ顔でついていく。
いまさらになってこの世界のことが怖くなったわけでもない。いつ【異形】がおそってくるかわからないというのもあるのだが・・・一番のことは、寧々がいつ・・・その力を、自分に対して向けるか、ということだった。
寧々は黎迩に完全に打ち解けて離しているようだが、黎迩は寧々とは違い、他人と壁をつくるほうの人間だ。それは昔のできごともあるし、自分より強いものとはあまり関わらないようにしているから、というのもある。その件にかんしてはシャルルも同じなのだが、いかんせんあの見た目ではどうにもシャルルが強い女の子だとは思えなくて、ただちょっぴり守ってやりたいとかも思うのだが・・・寧々はその比ではない・・・。その笑顔の下になにを隠しているのか、その手はいつ自分に牙をむくのか・・・その力はいつ、刃と変わるのか・・・それを、極自然に見極めようとしてしまう。でもそれを自覚しているからか、どこか変な表情になってしまうのだ。

「見渡しのいい場所にいるかもしれないな・・・ちょっとばかしまってもらっててもいいか?」

そういいながら、寧々が振り向く。すると黎迩の顔をみてか、どこか心配そうな表情になったが、なにを考えたのか

「そう硬くなんなよ・・・いずれ慣れるからさ」

そう優しく語り掛けてくる寧々。そこにはただ純粋に黎迩を心配しているような声色が宿っていて、人を安心させるような力が宿っていた。
だが黎迩は、自分が思っていることが見透かされたと思いきやぜんぜん的外れなことを言われて・・・頭を抱える。自分の考えの愚かさに、
だ。
この場で自分を守ってくれるのは寧々しかいない。ならば、その寧々を今この一瞬だけでは信じないでどうするのだ、と。信じないことで不信感というものが生まれ、それが自分の動きを遅くして寧々にも多大な迷惑をかけてしまうことはたしかで、それならいっそ信じてしまって、一度だけでいいから身を預けてしまったほうが楽だ。と自分に言い聞かせて

「ん、大丈夫だよ。んで?どんくらいまってりゃいいんだ?」

「ま、だいたい五分程度ってとこかなぁ・・・にしてもお前、ずいぶんと落ち着いているな」

「・・・この程度で動揺してどうするのさ」

「ハハッ!!いえてるんだぜ!!」

そういいつつ寧々が黎迩の肩をバンバンと叩く。

Re: Ebony girls dual Fencer 参照400 ( No.33 )
日時: 2011/09/25 02:49
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)

体育祭、バイト、文化祭準備などでいろいろと忙しくなってまいりましたこの季節・・・というわけで、この不肖だいこん大魔法、小説の更新速度を著しく低下させたいとおもいまする^^

企画に参加してくださっているかたがたには申し訳ないのですが・・・十月にはPS3とTOEをかわなければならないしやらなければならないのですが・・・まぁとにかく更新速度低下です!!ご了承おねがいいたします^^

Re: Ebony girls dual Fencer 参照400 ( No.34 )
日時: 2012/02/28 15:08
名前: 月読愛 ◆ZFr8u7Aj7E (ID: 1/l/Iy6H)
参照: http://koebu.com/koe/06f590152675cdfce09be84cb0adcea85b6beb82


だいこん大魔法様

お久しぶりですの^^
月読愛ですわ!


お忘れになっているかもしれませんが、ようやくcvが完成いたしましたわ!;
去年の9月くらいに依頼をいただいていたにもかかわらず
月読が怠けていたためにですね、完成がかなり遅れてしまったという…
本当に申しわけありません、お詫び申し上げますわ><

URLに添付してありますのがCVになっておりますので、
お時間があるときにでも聴いていただけると嬉しいですの。
※イヤホン推奨になってます!


リク掲示板の方に、感想など書き込みいただけると嬉しいですし
励みになりますので、よろしければお願いしますわ。

ご依頼ありがとうございました!
またお会いできるのを、楽しみにしてますわ!

失礼いたします。


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