ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします!
- 日時: 2011/09/09 22:49
- 名前: ホッケ ◆oDRmncmQTA (ID: XL8ucf75)
こんにちは、こんばんは
ホッケと申します!
腕はまだまだですが、どうぞよろしくお願いします!
登場人物紹介
【特殊捜査機関GUARDIANSメンバー】
天城 倫太郎(あまぎ りんたろう)
→元アメリカ陸軍特殊部隊「デルタフォース」隊員。とある事件がきっかけででデルタフォースを除隊、田舎の駐在となっている。28歳。
卯田 馨(うだ かおる)
→天城と同じ派出所に勤めている駐在。武術の達人で空手や柔道、テコンドーや太極拳など、様々な武術に精通している。24歳。
アレキサンダー(アレックス)
→苗字不明のハッカー。日本に拠点を構え、数多くのハッキング行為をこなしてきた。日本語は普通に話せる。27歳。
岬 小次郎(みさき こじろう)
→元刑事。非常に優秀な刑事だったが、麻薬取引の疑いをかけられる。冤罪であったが、裁判の結果投獄。失意の日々を送る。39歳。
【テロ組織 獅子の牙】
北野 義章(きたの よしあき)
→近年アジアを中心に数多くのテロ行為を働いてきたテログループ「獅子の牙」のボス。東京にテロを仕掛けようと暗躍する。30歳
※話が展開したら折を見てまた増やします。
プロローグ >>1
第1章≪結成—GUARDAINS—≫
①>>2 ②>>3 ③>>4 ④>>5
第2章≪始動—スタートアップ—≫
①>>6 ②>>9 ③>>10 ④>>11
第3章≪負渦—ラビリンス—≫
①>>12 ②>>13 ③>>14
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.10 )
- 日時: 2011/08/27 21:05
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「ブドウは皮ごと食べぬかたわけがっ!」
第2章≪始動—スタートアップ—≫③
「ひどいな……なんだこりゃ」
銃撃戦のあった工具店ではすでに警察による調査が始まっていた。
刑事、秋庭努(あきば つとむ)は惨劇と化した店内を眺め、嘆息した。
「秋庭刑事」
若い警官が秋庭の姿を認めてやってきた。
「ご苦労さん。被害状況は?」
「はい。銃を持った男が4名死亡、1名が気絶していました。意識の回復を待って事情聴取を行います。それから、地下に外へと通じる扉を発見しました。犯人は恐らくすでに逃走したものと思われます」
「そうか………しかし日本で銃撃戦とはな…」
秋庭が呆れたように言った。警官も深刻な表情だ。
「刑事。確か、この店は……」
「ああ。暴力団のアジトとしてマークしていた場所だ。とはいえ今まで暴力団関係者と思われる集団との密会だけに留まっていたはずだが……匂うな」
「他の暴力団とのトラブルでしょうか?」
「恐らくな。とにかく気絶してた奴に話を聞かないと—」
「刑事!!」
その時、店内を捜索していた別の警官が声を上げた。
「どうした?」
「隠しカメラのようなものを発見しました!!」
「まずったな……」
何とか外に脱出し、車から武器を持ち出すことに成功した天城だったが、状況は最悪と言ってもよかった。
木島を取り逃がした上に、警察が動き出してしまったので、今後の捜査は厳しいものになるのは明白だった。
(………けど、俺に出来ることは限られてる)
天城は気持ちを奮い立たせ、アレックスに電話をかけた。
アレックスはワンコールで出た。
『倫太郎、大丈夫か?』
「ああ、なんとかな。けど奴らと銃撃戦になって、警察が来ちまった。もしあの店に監視カメラかなんかあったら、俺は殺人犯として追われることになる」
『そうか……まずいな…それで、今後は? いったんこっちに戻るか?』
「いや、現状は厳しいけど、木島たちを追おう。まだ遠くにはいけてないはずだ。その後の足取りはつかめたか?」
『衛星で追ってるが、どうも奴らは東京から出るようだな。迎えの車に乗ってどんどん離れてくぞ』
天城はピクリと眉を寄せた。
「あらかじめこういう状況は想定してあったようだな……どこに具体的にどこにいったか分かるか?」
『この方向だと………横浜だな』
「横浜か………じゃあ、俺も横浜へ向かう。もし奴らが進行方向を変えたり、止まったりしたら教えてくれ」
『了解。それじゃあ気をつけてな』
「了解」
天城は通信を切って立ち上がった。
「横浜か……」
武器とパソコンの入ったバッグを背負い、天城は走り出した。
「クソッ! 何なんだあの野郎は!」
木島博は苛立ちのあまり車の窓を思い切り叩いた。
得体の知れない男によって何年もかけた計画が崩されかけたのだ。
木島の怒りは時がたつごとに増していっていた。
(奴は警察じゃねえ。銃さばきといい、身のこなしといい……俺たちが北野さんに習ったものと良く似ている……奴はまさか!?)
木島は背筋の凍る思いがした。
「有り得ない…そんなはずは」
「? 木島さん? どうしたんですか?」
運転していた男が怪訝そうに木島を見る。
「お前……デルタフォースに詳しかったよな」
「? ええまあ、一応……」
「あいつらは単独行動を取るのか?」
男は少し考えた後、答えた。
「いえ、よっぽど特殊な状況下でない限り、ないと思いますけど」
「そうか…………」
やはり何かおかしい。木島はそう確信した。
そして携帯を取り出し、とある番号をプッシュした。
「もしもし」
とある写真を眺めながら、北野義章は電話に出た。
『北野さん。ニュースは見ましたか?』
「ああ。襲撃されたそうだな。誰がやられた?」
『井坂と一之瀬、芳賀、長崎です。野宮が警察に捕まりました』
「そうか……惜しい人材を失ったな…お前は?」
『私は大丈夫です。今隠れ家に向かってます』
北野はゆっくりとうなずいた。
「よし、気をつけてくれ……ところで、誰にやられたんだ?」
一瞬沈黙があって、木島は答えた。
『そのことなんですが………正体が分かりません。警察ではないのは確かなんですが……凄腕です。しかも、恐らく元デルタフォースです』
北野の目が驚きに見開かれた。
「デルタフォース……? そんな奴が何故…?」
『分かりません。しかしあなたに教わった技術を、しかも相当に完成されたレベルで使いこなしていました』
「なるほど…………そいつは注意が必要だな。写真はあるか?」
『はい、すぐに送ります』
「そうしてくれ。奴には【ゴースト】をやる」
『そう、ですか……了解しました』
若干のためらいを見せ、木島は電話を切った。
北野は両手を組み、ニヤリと笑った。
「フフ………さて、正体不明の元デルタフォース。腕前を見せてもらおうか」
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.11 )
- 日時: 2011/08/30 23:30
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「やめて! もうホッケのライフは0よ!」
第2章 ≪始動—スタートアップ—≫④
「誰なんだこいつは?」
秋庭が監視カメラに移っている男—天城倫太郎を指差した。
「分かりません。日本人のようですが、顔認証にかけても引っかかりません」
傍にいた警官は困惑したように答える。
「そんなバカな。それじゃあこいつは名無しの権兵衛か?」
「現時点では……正体不明です」
秋庭は額に手をやった。
「クソ! 手がかりなしか……」
秋庭が唇を噛みしめていると、慌てた様子で同僚の刑事、三上が駆け込んできた。
「おい秋庭! 例の男、見つかったぞ!」
秋庭は顔を上げた。
「何っ!? どこだ!?」
「東京駅付近だ! 電車に乗るつもりらしい!」
それを聞くと、秋庭は「よし」とつぶやいた。
「分かった、直ぐに行こう! 電車は停めるんだ!!」
「もうやってる!」
何としても自分の手で凶悪犯罪者を—秋庭は興奮にも似た感情を覚えながら駆け出した。
『本日は都合により全線運転中止です。全線運転中止です』
東京駅構内は突如運転が停止したことによって、騒然としていた。
「何なんだよ! 何で運転しないんだ!!」
「責任者出せ!!」
人々の怒号が響き渡る中、天城は冷静に事態を判断しようとしていた。
(事情も明かさず全線停止……何らかの機関による指示に間違いない。考えられるのは警察だが………まさか!)
天城は数秒で答えを導き出した。
(俺は追われているのか!)
そう考えれば、辻褄が合う。銃乱射の凶悪犯罪者の逃走を防ぐためなら多少の混乱は厭わないのは当然ともいえる。
(あの店に監視カメラかなんか仕掛けてあったのか……くそ! 重ね重ね、やっちまったみたいだな……けど、反省は後だ!)
そう、今の天城に必要なのは自らの失敗を省みることではなく、ここから逃げ出し、警察の包囲網を突破する方法を考えることだった。
(とにかく警察が来る前にこから逃げ出さないと……!)
天城はそう決断し、出口に向かって動き出した。
が、その時、彼は背後からの視線を感じた。
「………!?」
振り返ると、そこには全身黒ずくめの男が立っていた。
格好も異様なら、かもし出す雰囲気も異様だった。
混ざりけのない、純粋な殺気。
天城は全身の筋肉が強ばるのを感じた。
そして次の瞬間、男のコートの内側にあった、不気味に光る銃が視界に入った。
「な、何だ!?」
東京駅についた秋庭たちは、目の前の光景に思わず見入っていた。
人が、駅の中から我先にと飛び出してきている。
まるで何かを恐れるように、必死に生き延びようとしているように。
秋庭は逃げてくる人々から、1人の男を捕まえた。
「すいません! 何があったんですか!?」
「じ、銃を持った男が撃ち合いを……!!」
男はそれだけ言うと、秋庭の腕を振り払って逃げていった。
「また銃撃戦を……!? おい、突入するぞ! 安全装置外しとけ!」
秋庭は拳銃を構え、東京駅に突入した。
「ちっくしょう………なんだあいつは!?」
柱に隠れながら、天城は男の様子をうかがった。
周りに人がいるにも関わらず、黒ずくめの男は発砲してきた。
何とかかわして柱に逃げ込んだ天城だったが、無関係の一般人が数人凶弾に倒れた。
今も男は天城を亡き者にしようと攻撃を仕掛けてくる。
(この動き………プロの殺し屋か!? 俺の存在は北野にも筒抜けだったか…!)
天城はどんどん悪くなる状況に、歯がゆさを覚えた。
しかし、状況は天城に葛藤する時間を与えなかった。
(一か八か……奴を倒すか…?)
天城が必死に作戦を考えていると、また新たな銃声が聞えた。
「警察だ! 銃を捨てろ!!」
「警察……しまった!」
天城が様子をうかがうと、黒ずくめの男に十数人の警官が銃を突きつけている。
「銃を捨てて、両手を挙げろ!」
「…………」
男に反応は無い。
「銃を捨てろ! 撃つぞ!」
「……………」
男は銃を高々と放り投げた。
思わず警官の視線が銃に向く。
その隙を突いて、男は隠し持っていたもう一丁の銃で発砲した。
「ぎゃっ!!」
不意を衝かれた警官たちは一瞬にしてその数を半分ほどに減らしてしまった。
慌てて撃ち返すが、既に男は柱に隠れてしまっている。
「くそ! 撃て! 撃てーーーーーっ!!」
パニックになった警官たちは突撃を開始した。
(来ちゃダメだ…!!)
天城が警告しようとした時には、既に大半が撃たれていた。
残っているのは、スーツ姿の刑事と見られる男2人だけだ。
明らかに不意をつかれ、動きが止まってしまっている。
「おい! ぼーっとするな! 死ぬぞ!」
天城が大声を張り上げる。
その声に反応して、刑事たちは柱に向かって駆け出したが、1人が銃弾の餌食となった。
「み、三上ーーーーーっ!!」
柱に隠れた刑事の絶叫が響く。
「く………っそおおおおお!!」
天城は黒ずくめの男を狙って引き金を引いた。
隠れた刑事も発砲している。
「………!」
状況が不利と見たか、黒ずくめの男は牽制に何発か発砲すると、どこかへ逃げてしまった。
その様子を見ると、天城は地面にへたり込んだ。
「………ちくしょう…!!」
自分の無力さを噛みしめ、天城は思い切り柱を殴りつけた。
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.12 )
- 日時: 2011/09/03 11:45
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「精神と時の部屋に入りたい」
第3章≪負渦—ラビリンス—≫①
『繰り返しお伝え致します。東京駅で銃乱射事件が発生しました。死者は少なくとも17人です。先程起こった工具店銃乱射事件の犯人はまだ逮捕されておらず、警視庁は2つの事件に何らかの関わりがあると見ています』
「ちょっとこれどういうこと……!?」
卯田が青ざめた顔でテレビを見つめる。
「間違いなく獅子の牙とかいう連中の仕業だろう。天城に何もなければいいが……」
うろたえる卯田とは逆に、岬は至って冷静だった。
結局2人が追っていた北野の偽名は、空港でタクシーに乗って都内のデパートに行ったという所で途絶えてしまっていた。
万が一偽名を追った人物がいても、居場所を特定させない北野の用意周到さだけが2人に分かったことだった。
「天城さん……やっぱり…」
「2つの事件には巻き込まれたんだろうな……それにしても、まだ俺たちが捜査を始めてから数時間しかたってない。それなのに奴らはもう対策を立ててくる。思っていたより、北野は出来る」
2人の間に重い空気が流れる。
「岬さん……私たちこれからどうすれば……」
卯田がすがるように岬を見る。
岬は少し考えた後、答えた。
「天城に連絡してみよう。北野の偽名が追えなくなった今、天城が追っている木島が唯一の手がかりだ」
岬は携帯を取り出し、天城に電話をかけた。
遡ること数分。
東京駅で辛くも黒ずくめの男を退けた天城は、ともに生き残った刑事、秋庭と共に駅から脱出した。
警察に警戒しながら、人目につかない路地で2人は腰を下ろした。
「おい、大丈夫か?」
「………貴様!」
秋庭はいきなり体を起こし、天城の胸倉を掴んだ。
「工具店の男だな!? さっきの男は何者だ?」
天城は秋庭の手を静かに振り払った。
「俺にもわからないんだ。電車に乗ろうと思ったらいきなり襲われた」
「信じられるか! お前が発砲したのは知ってる!」
「それはあっちが撃ってきたからだ。分かるだろ」
秋庭はそこで口をつぐんだ。
「俺が何で銃を持ってるのか、何をしてるのか、全部教える。だからまずは俺と一緒に来て欲しい」
「……!? 何を言っている?」
秋庭は困惑した表情を見せた。
「すぐには信じられんかもしれないけど、この国は今テロの脅威にさらされてる。俺は警察に捕まるわけにはいかないんだ。協力してくれ」
「…………それは…」
秋庭にも、これはただのヤクザのケンカではないことぐらいは分かっていた。
先程の黒ずくめの男といい、今起きている事態は尋常ではない。
秋庭の決断は早かった。
「俺は…俺は、ついさっき警官になったときからの相棒を失った。俺はあの黒ずくめが憎い」
「…………」
「お前と一緒に行けば、敵は取れるか?」
「……ああ、取れる。約束する」
天城ははっきりと答えた。
秋庭はゆっくりとうなずいた。
「…分かった。お前と一緒に行こう」
「すまない。感謝するよ」
天城は頭を下げた。
「いいんだ。それより、あんた名前は?」
「…天城倫太郎だ」
「そうか。俺は秋庭努だ。よろしくな」
「………ああ、よろしく」
2人はがっちりと握手をした。
その時、天城の携帯がなった。
「もしもし」
『天城。無事だったか……』
安堵したような岬の声が聞えてきた。
「岬さん………ええ、何とか無事です。けど、木島には逃げられました」
『そうか………木島はどこに向かったか分かるか?』
「アレックスによると、奴は横浜に向かったようです。これから向かおうと思います。そっちは?」
『偽名は辿れなかった。お前が追ってるのが唯一の手がかりだ。俺たちも横浜へ向かおう』
「分かりました。じゃあそっちで落ち合いましょう。着いたら連絡します」
天城は電話を切った。
「横浜か」
「ああ。問題はどうやって向かうか………」
「……それなら、いい考えがある」
「考え?」
秋庭は不敵に笑った。
そして、素早く天城の両手に手錠をかけた。
「……え?」
「お前は俺に逮捕される。これが俺の考えだ」
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.13 )
- 日時: 2011/09/04 21:34
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「イケメン? 何それおいしいの?」
第3章≪負渦—ラビリンス—≫②
「お前は俺に逮捕される。これが俺の考えだ」
「お………おい!」
天城が慌てて秋庭に詰め寄る。
「焦るな」
秋庭は両手で天城を押しとどめた。
「東京駅に入った警察関係者で生き残ってるのは俺だけだ。つまり外にいた連中は俺が東京駅にいたことを知る術は無い。だからお前を騒ぎに乗じた窃盗犯としてパトカーに乗せるんだ」
「あ……ああ……そういうことか」
天城は大きく息を吐いた。
「分かったら行くぞ。ジャケットを頭からかぶれ」
「おう」
そして2人はパトカーへと歩き出した。
『ほう………お前が1回で仕留められないとはな……奴はできるか』
「………少なくとも、警察よりは」
黒ずくめの男—ゴーストは苦々しい表情で言った。
彼は獅子の牙随一の腕を誇る暗殺者だ。それ故に天城を仕留められなかったことはプライドに触った。
『ふふ……そう気を落とすな。元デルタフォースだ。そう簡単に行くとは思ってないさ。それより、奴はどこに向かったと思う?』
「…………木島を追っていくはず。ひょっとしたらアジトかもしれない」
『ふむ……………そうか。計画を早める必要があるな。お前もアジトに戻れ。体勢を立て直して一気にケリをつける』
「了解………では」
ゴーストは電話を切り、それと同時に壁を思い切り殴った。
「…………貴様は必ず俺が殺す」
激情を表情ににじませながら、ゴーストは歩き出した。
「………窃盗犯、ですか?」
警官が不思議そうにジャケットをかぶった天城を見つめる。
「ああ。騒ぎに乗じてコンビニから色々と失敬しているのを発見した」
秋庭は憮然とした表情を装った。
「それでしたら、私が署まで……」
「いや、俺はちょうど署に戻らなければいけなかったから、このまま連れて行く。このパトカーいいか?」
「え、ええ……どうぞ」
「すまないな」
秋庭は警官から車の鍵を受け取り、パトカーに乗り込んだ。
怪訝そうに様子をうかがう警官を無視して、秋庭はパトカーを発射させた。
しばらく走り、警官の姿が見えなくなったところで秋庭は後部座席に手錠の鍵を放った。
「もういいぞ」
「よし」
天城は顔を挙げ、慣れた手つきで手錠を外した。
「アレックスに連絡しないと」
「アレックス?」
「俺の仲間だ。衛星で木島を追跡しているはずだ」
天城はポケットから携帯を取り出し、アレックスに電話をかけた。
すぐにアレックスは電話に出た。
『倫太郎! 無事か!?』
「ああ、なんとか……でもこっちはだいぶ厄介なことになってる」
『東京駅の事件か………何があったんだ?』
「武装した凄腕の男に襲われた。間違いなく獅子の牙のメンバーだろうな」
『そうか………車で移動してるのか?』
「ああ……東京駅にいた秋庭と言う刑事に今は協力してもらってる」
『部外者か…………』
アレックスが嘆息気味に言った。
「……状況が状況だ。協力してもらうしかない。それより、木島はどうだ?」
『それなんだが……奴の動きが止まった。横浜の使われてない倉庫だ』
「倉庫?」
『ああ………しかもだだっ広い倉庫だ。ちょっとした市民体育館より断然広い。おそらくは奴らのアジトだ』
「……そうか。今岬さんと馨ちゃんも向かってるから、とりあえずそのアジトに総攻撃をかけるしかないな。場所は?」
『ちょっと待ってくれ…住所言うぞ……』
天城はアレックスが言った住所をしっかりとメモした。
「よし、サンキュ。倉庫の近くになったらまた連絡する」
『分かった……ああ、それと』
「何だ?」
『警察をあまり当てにするなよ。その刑事がどうこうってんじゃなくて、俺たちはあくまで極秘組織。本来その刑事は知られた時点で消さなきゃいけない相手なんだからな』
現実を再認識させられ、天城は厳しい表情になった。
「ああ、分かってる」
『ためらうなら、岬のオッサンにやってもらえ。いずれにせよ、そいつの役目が終わったら、消すんだ。いいな?』
「…………ああ」
天城は電話を切ったあともしばらく表情を曇らせたままだった。
殺さなければならない。本当にそれしか道は無いのだろうか?
その答えを容易に出せるほど、天城は感情を捨て去ることはできなかった。
- Re: GUARDIANS 感想・ご意見どんどんお願いします! ( No.14 )
- 日時: 2011/09/09 22:49
- 名前: ホッケ ◆.Nrl/mk7Fw (ID: XL8ucf75)
- 参照: 今日の一言「テスト前? そんなん知るか!!」
第3章≪負渦—ラビリンス—≫③
「北野。ゴーストが戻ってきました」
北野の腹心、吾妻秀二がゴーストを連れて北野のいる部屋に入ってきた。
「ああ。ご苦労だったな、ゴースト」
北野はゴーストを労ったが、肝心の本人は苛立ちもあらわにソファにどっかりと座り込んだ。
「ゴースト、貴様—」
吾妻がその傲岸不遜な態度に色をなしたが、北野は手で制した。
「ゴーストは俺たちの部下ではない、同士だ」
吾妻は不満そうにゴーストを睨んだが、おとなしく引き下がった。
ややあって、ゴーストが口を開いた。
「………作戦は?」
「ああ、いよいよ実行のときだ。多少の変更はあるが問題ない。俺たちの目的は1つ。東京の壊滅だ」
北野は興奮した面持ちで言った。
吾妻の顔には緊張の色が宿るが、ゴーストは無表情を貫いていた。
「だがしかし、その前にやらなければいけないことがある」
「…………奴か」
ゴーストが初めて表情を動かした。
「私達を追っているという謎の男か………彼は今どこに?」
吾妻がけている眼鏡を上げる。
「奴は今、ここに向かっている」
「ここに……!?」
「ああ。俺たちはここで奴を迎え撃ち、その後にオペレーション・アカツキを成就させる」
「…………奴は俺に任せろ」
ゴーストが銃の安全装置を外した。
「分かっている。だが奴が単身で来るとは限らない。木島と部下達も迎撃に当たるからな」
「………好きにしろ。ただし奴は俺が殺す」
ゴーストは文句は受付けないと言う風に、足早に部屋を後にした。
「………北野。奴は危険すぎます」
ゴーストが部屋から出て行ったタイミングで吾妻は北野に訴えた。
「……かもな。しかし奴がいなければ計画の実行は出来なかったことも事実。とはいえ、俺もゴーストを野放しにするつもりは無い」
北野は吾妻に不敵に笑いかけた。
「……………」
計画実行するためのゆるぎない信念。
吾妻は北野の表情から、それを読み取っていた。
「俺だアレックス。今倉庫に到着した」
ドラム缶の陰に隠れながら、天城はアレックスに連絡した。
『確認した。岬のオッサンも直に来る』
「そうか。中にいる敵の人数は分かるか?」
『待ってろ。熱探知で調べる……………っと、これはまずいな』
アレックスが舌打ちした。
「どうした?」
『熱が遮断されてる。断熱シートが貼ってあるらしいな。中に人が居ることは確認できるが、人数までは分からない』
「そうか……………ん?」
天城は遠くからくる車の音に気付いた。
車は天城たちの目の前で静かに停車した。
『どうやら来たみたいだな』
アレックスが言ったとおり、車の中からは岬と卯田が出てきた。
「岬さん、馨ちゃん」
「天城さん! 大丈夫ですか!?」
卯田が天城に駆け寄る。
「俺は大丈夫だ。それよりアレックスから話は聞いてる?」
「話は聞いた。今からあの倉庫に侵入する、ということで間違いないな?」
「ええ、そうです」
『倫太郎。全員揃ったなら、さっさと突入しちまえよ』
待ちきれないかのようにアレックスが口を挟んだ。
「分かってるって……2人とも。この人は協力してくれる秋庭刑事だ」
秋庭は岬と卯田にすっと近寄った。
「秋庭だ。よろしく」
2人は秋庭と握手を交わしたが、戸惑っている様子だった。
「……そ、それじゃあみんな。作戦を説明する」
天城はその様子に気付いて慌てて話を始めた。
(戸惑ってるとはいえ、今は疑いあう暇は無いんだ。作戦に集中させないと)
「…! ああ、頼む」
天城の真意を察知した岬は進んで話の続きを促した。
「作戦はこうだ。まず1人が倉庫の外で物音を立てて敵をおびき寄せる。来たらとにかく派手に撃ちまくれ。敵の気を引きつけるんだ。その隙に残りが建物内に突入する。入ったら手当たり次第に倉庫内を制圧していく。ただし人数ではかなり劣るはずだから、以下に素早く動けるかが勝負だ。狙いはもちろん北野義章。いいな?」
全員が無言でうなずいた。
「よし、じゃあ役割だが………」
「……外への誘導は俺がやろう」
岬が真っ先に手を上げた。
「OK。じゃあ任せました。秋庭刑事、馨ちゃん、大丈夫?」
「は、はい……」
「俺も何とか……それに、やるしかないだろ」
2人は緊張しながらもはっきりと答えた。
「よし………じゃあ、みんな、武器は連射性の高いものにしてくれ。アサルトライフルかマシンガン当たりがいい。岬さんは手榴弾も」
天城の指示で、全員が武器が入ったバッグからそれぞれ武器を取り出した。
天城、卯田、秋庭はアサルトライフル、岬はマシンガンにありったけの手榴弾だ。
全員の装備を確認し、天城はうなずいた。
「準備はいいな。それじゃあ作戦を開始する!」
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