ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 神的少女は殺戮がお好き【優美の記憶が……】
- 日時: 2012/03/23 11:29
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: 4pBYKdI8)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17021
こんにちは! 奈美です。
これは……三作目ですね、二作目は途中で挫折しましたけど、これは絶対に完結させます!
今から読み始める人は、あらすじ(>>173)を読んでみてください。
前作(完結)を読みたい方は参照へどうぞ♪
脱字・誤字・アドバイス・感想等あれば、どんどんコメントしてください!
〜あらすじ
>>173へどうぞ。第一、第二部がざっと分かります(多分……
〜用語解説 >>111
〜登場人物リスト >>135
〜目次 >>178
‐神殺通信‐
ver1 >>149
ver2 >>153
ver3 >>161
ver4 >>172
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- Re: 神的少女は殺戮がお好き【あらすじ更新】 ( No.179 )
- 日時: 2012/02/19 11:09
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: 4pBYKdI8)
だが横にそれる道はなく、後戻りすれば遠回りになるだろう。バス停はあるがすぐに来る気配もなく、目的地の近くにはバス停も無いので、 乗っても無駄。それに、お金を持っていない。少女は意を決して、前へ足を踏み出した。長い黒髪が左右に揺れる。警察官は——気付いていないようだ。
少女は安堵し、止まりかけた足を速めた。
また車が飛び交う道路からはずれ、住宅地に入っていった。懐かしい町並みが少女を襲う。と、ランドセルを背負った小学生が脇を走りぬける。もう小学生は帰る時間らしい。だとすると——
少女は桜並木のあった道へ出た。少しではあるが、ちらほらとグリーンの制服を着た生徒が見える。少女は両方とも2.0の目を凝らし、遠くを見つめる。二人の男女がこちらへ向かってくる。少女は口を「あ」の形に開けた。声は出なかった。だんだんその人影が近づいてくる。少女は確信した。あれが——と、少女は雪の中に倒れた。長い黒髪が宙を舞い、二人の男女の目に留まる。その女の方が駆けてきた。誰かの名前を呼ぶ。少女の意識は完全に途切れようとしていた。
「——優……美!」
プツン
そう音を立てて、少女の意識は崩れていった。
第一章 結
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【あらすじ更新】 ( No.180 )
- 日時: 2012/02/25 11:32
- 名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: 4pBYKdI8)
第二章 記憶
「優美! 優美ってば!」
かろうじて聞き取れた声。『優美』というのは、私を指しているのだろうか。私は目を開けることにした。目に飛び込んできたのは、ショートカットの女の子。私はこの子の事を、知っているような気がする。
「あ——ッ起きた、起きたよ、奏! きゃぁあああ! 大丈夫だった!?」
「起きたのかッ!?」
「あなた……誰?」
あの道で見た二人だ。でも、何も思い出せない。この二人は、私にどうかかわっているの——? そして、私は誰? あなたたちは? もう分からない。
「え……? 何言ってるの? 朱里よ。分からない?」
「俺たちの事、覚えてないのか?」
「覚えてない」
二人は顔を見合わせた。この二人の事知っているはずなのに。何も、何も思い出せない。どこかに引っかかってる。
「おい、記憶喪失なんじゃないのか?」
「じゃあどうやってここまで来たの。土地勘のない人はそう来られない所だよ?」
「それは——偶然」
「きっと、記憶の一部が欠けてるだけなのかも。記憶絡みの事は、樹奈先輩に言いましょうよ」
「そうだな! でもどうやって連絡——」
「大丈夫! メアドもらったんだ〜」
そう言えば、私は携帯を持っているはず。確かコートのポケットに——
「コート、取って」
「はい」
「ありがとう」
朱里はワークデスク横のコート掛けから、紺のスクールコートを取る。私は朱里から受け取った私のコートのポケットの中に手を入れた。固い物が指の先に当たる。それをつかみ、取り出した。
「携帯! 優美携帯もってんぞ!」
「これ、私の?」
「そのはずだ。機種もデザインも一緒だからな」
二つ折りの黒い携帯。恐る恐る開けると、液晶ディスプレイが白く光り、可愛らしい女の子が手をつないでいる絵が現れた。
「あ、これね、おそろいなんだよ! ほら」
と見せてくれた女の子の携帯の画面は、私の待ち受け画面と同じだった。携帯は白だ。私とは全く違う。
「メール打たなくちゃ。頭の切れる樹奈先輩の事よ、すぐ状況が分かるはず」
樹奈先輩? 誰だったかしら、確か——女神の娘だったわよね。
「女神の事を知っているの?」
「ええ。生き返らせてくれたもの」
あくまでも一時的だけどね——私はその言葉を反射的に飲みこんだ。なんだか、言ってはいけないような気がしたからだ。
「よかった! 約束は果たしてくれたのね! じゃあ次は私たちは果たす番——というのも、世界を救うためよ。そのために、私たちは死神を殺さなくてはいけない。能力を使って」
「能力?」
「私と優美、奏の持つ存在抹消能力よ。言うと、私が優美の存在を消したの」
「え……?」
私の頭の中は、真っ白になった。この子が? 朱里という、この子が? 親友だという、この子が?
——ピィンポォーン……
やけにのんびりとしたインターホンの音が部屋に微かに響いた。
「ちょっと待ってて」
朱里が出て行った。私は携帯の画面に視線を戻す。電話帳には、たくさんのメールアドレスや電話番号が書かれていた。もちろん、朱里や奏のも。どうやら私たちは小さい頃からの友達らしく、連絡も頻繁にしていたらしい。メールボックスは、二人から来たメールで溢れかえっていた。
やがて、朱里が大人びたポニーテールの制服を着た少女を連れてきた。樹奈先輩というのは、この人の事だったのね。
「優美——! 記憶が無いんですって? 生き返らせてもらったときに、何らかの異常が生じたのね。大丈夫、記憶は必ず取り戻せる。ただ、それがいつなのかが分からないの」
「分からないって? 優美はどうなるの?」
私が言うより先に、朱里が聞いた。
「例えて言うと、今は色々な記憶の糸が絡まって、記憶の出口から出てこられないの。でも、何かキーワードのようなものがあれば、スルスルとほどけて記憶の出口から記憶が溢れだし、記憶が戻る。どんなキーワードなのかは分からないし、それで全ての記憶が戻るとは限らない」
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【優美の記憶が……】 ( No.181 )
- 日時: 2012/03/14 16:07
- 名前: 奈美 ◆oQwO6pOV0U (ID: 4pBYKdI8)
えっと……お久しぶりです。
トリップは違いますが、上の奈美とは同一人物です。中身は全く変わっていませんので、ご安心ください。
更新がストップしていましたが、これからもちゃんと更新します。
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【優美の記憶が……】 ( No.182 )
- 日時: 2012/03/18 17:14
- 名前: 奈美 ◆oQwO6pOV0U (ID: 4pBYKdI8)
「記憶が戻らなかったら?」
私は樹奈先輩を見据えた。
「生活にそれほど支障はでないだろうけど、何らかの支障が出ると思う。神的少女としての自覚がなければ、神的少女として与えられた事をこなせない」
「私は神的少女。存在抹消能力。……死神少女?」
朱里が駆け寄ってくる。あれ、死神少女なんて、どこで聞いたかしら。何か思いだしたのかも。
「死神少女を思いだしたのね! 他は? 他に何か思いだすこと、ない?」
「うーん」
窓から差し込むオレンジ色の光が、私たちを明るく照らす。白い壁に反射して、部屋は思ったよりも明るい。ふと外を見ると、雲が揺らめいて流れていく。白いようで、灰色のような雲だった。雲は自在に形を変えた。
嗚呼、このまま記憶が戻らなければいいのに——。記憶が戻れば、別れは一層早く訪れるだろうから。私はもう二度と別れを経験したくなんかなくて、でも、別れることは私たちには必要。ずっと一緒にいたら、朱里も、きっと私も進めない。成長するということは、そういうものなのよ。
「ないわ。やっぱり、まだ——」
目の前に、透明な欠片が舞う。それは大きいもの、小さいものと様々で、形は尖っていびつだった。騒々しい音と共にやってきた欠片は掛け布団の上に落ちて行き、同時に私と同じくらいの少女が一人、また一人とやってきた。
「樹っ奈ぁー!」
「千秋っ!! 流星も!?」
似たような雰囲気の二人は、ベッド横に着地した。ただあとに来た少女の方は、倒れながらの着地となった。
「せっ、先輩っ! 窓がっ!」
「あ、ごめん。ちゃんと直すから……」
と、何やら呟いて、ガラスの欠片が元通り窓枠にはまった。私たちと同じように、神的な力を持つ存在なのかしら。記憶をなくした今となっては、全てが初体験だ。
- Re: 神的少女は殺戮がお好き【優美の記憶が……】 ( No.183 )
- 日時: 2012/03/22 11:47
- 名前: 奈美 ◆oQwO6pOV0U (ID: 4pBYKdI8)
「で、千秋、流星。なんで窓を突き破って入ってきたの? 普通の人が見たらどうするの!」
「え? そんなこと言われてもぉー、困るぅー」
「いやっ! あのですね、これは全て千秋がやったことでして。私は後を追いかけてきただけなんですぅっ!」
「あれ、先輩語尾の伸び癖治ってる!」
「そうなんですよ、直したんです」
「先輩らしくないよな」
「その話は置いておいて、天才的な神的少女の優美ぃ——!! 記憶が無いんだって——ぎょむっ!」
私の方へ近づこうとした千秋は、落ちていたコンビニのビニール袋で滑って転んで顔を床にぶつけた。珍しく幸運なことに、クッションが顔の所にあり、顔面強打は免れた。その衝撃で千秋のポケットから落ちた黄色の携帯電話をみて、流星が樹奈の方に向き直る。
「そういえば、千秋が他の神的少女を呼び出してましたよぉ。あと、淳君も」
「な、ななな何してるのよ千秋! 今は優美がいることを知られない方が——」
「大丈夫だって。もしかしたら、記憶がよみがえるかも知れないでしょ? ほら来た来たっ」
その部屋にいた全員が窓の外を見る。そこには、はしゃぐ茶髪の少女と、顔のそっくりなあきれて首を振る黒髪の少女や、猛ダッシュでこちらに向かってくる制服姿の少年が見えた。男子ってことは、奏の友達ね。神的少年かしら?
「ううん、淳太は神的少年じゃないぜ」
「! 話したの!? 普通の人間に!」
「そんな怒るなって。落ち着け」
「落ち着いてなんかいられないわ! 大体、そいつが信用できるかなんてわからないでしょう!?」
「優美、大丈夫なの、淳君は大丈夫よ。なんかよくわからないけど、私たちが把握している神的能力者は、男子が奏しかいないの。だから、男手は必要で……」
「なら探せばいいじゃない。女子がこうもたくさん集まったんだから、男子だって容易い……」
「そんなに簡単に言わないでよ!!」
突然、朱里が叫んだ。その甲高く怒りのこもった声は、どうやら外まで響いてしまったらしい。双子と少年が、顔を見合わせている。
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