ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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BloodLily
日時: 2009/12/26 11:17
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

またまた消えました((ガビーン
でも諦めませんよ。 絶対に諦めません!!
食いついていきます(笑

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Re: BloodLily ( No.11 )
日時: 2009/12/28 19:00
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

死神をモチーフにした話は今まで2回ぐらいやってきたけど、やっぱシリアスになってしまう((汗

Re: BloodLily ( No.12 )
日時: 2009/12/28 19:31
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

        第8夜
      手がかりなくして



声が、聞こえる。

───闇に堕ち、我と同化しろ。

意味が、わからない。

───生まれるる我の器の子よ……。

誰?  誰?  

私は────、




リリーが目を覚ます。 そこは宿屋の一室で、レントンの町だった。 開けた窓から潮の香りが漂ってくる。
「……ノエル?」 辺りを見渡すが、ノエルの姿がない。 隣のベッドを見ると、ノエルの荷物が無くなっていた。
「先に出た……って事は無いわよね」
リリーが急いでトランクを持ち、部屋から出る。
「……ノエル?」
もう一度、今度は少し大きめに読んでみた。 下のフロントに降りてみると、
「おっせーよ」 
先にノエルが朝食をとっていた。
「起こしてくれればよかったじゃない」
「寝てたから」
そう言って、無言でリリーにサンドイッチを渡してくる。
「何コレ」 「メシ。 いらねーの?」 「……ありがとう」
ノエルの様子に多少の違和感を覚えるが、サンドイッチを一口齧ってみた。
租借し、飲み込む。

「…………? ───ッッ!!! 」
みるみるリリーの顔が真っ赤になっていく。 恐る恐るサンドイッチの中身を確かめて、
「の、ノエル……」
「旨いだろ! 俺が自分で作った、特性ノエルスペシャル!! 」
旨いとかそれ以前に、味覚が変になるほど辛い。
唐辛子が入っているのか、赤いソースが見え隠れしている。
「………ノエル、味覚ちゃんとあるの?」
「当たり前だろ」



宿屋から出て、リリーが報告書に昨日あった出来事を書き連ねる。
アルドという、修羅一族の生き残りそしてノエルの実兄がキラーとして、敵側として現れた事を。 
「これを、速達で死神養育期間に送る」
「なあ」
「何よ」
ノエルが少しだけ、声量を落としながら、
「昨日は、マジサンキュ」
そう言った。
リリーはその素直さに若干の寒気を覚えたが、
「ああ、いいわよ別に」
軽く受け流しておいた。 ノエルにも感情はあったんだと心の中でそう思いながら、羽ペンを動かす。
「よし、できたわ。 お願いね」
ポスト前で郵便屋が嫌そうな顔をしつつもそれを受け取る。
「切手料金は……」 「そこに請求して」 「かしこまりました」
馬車を走らす郵便屋に、ノエルが顔をしかめる。
「むっかつく」
「死神の世間体なんて、そんなもんよ。 反政府のアジトを見つけるのが任務だから、そう帰れないわね」
「ラズたち、上手くやってんのかね」
「そうなんじゃない? 私たちには関係ない事よ」
冷めた口調。
初対面の時は少々ムッとしていたノエルも、だんだんそれは慣れてきた。

「次はどこに行くわけ」
「それが、全く手がかりがないのよ」
「?????」
「だから、町の人の聞き込みになるわね」
「そいつらが、俺らに教えてくれると思うか?」
「裏社会に通じてそうな教会、孤児院をあたるの」
嫌そうな顔をしたノエルを、真っ直ぐに見つめる。
リリーもため息をつく。
裏社会。
反政府組織に通じているルートがいくつかある、マフィアや異宗教じみたミサなど、政府に背くやからは多い。
「そんな所に行って、楽しい方がどうかしてるわ」
リリーが悪態をつく。
しかし、その言葉に感情は込められていなかった。
どうでもいい、というような。

Re: BloodLily ( No.13 )
日時: 2009/12/29 08:56
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

レントンの町を抜け、その隣にある内陸都市に到着した。 ここでもレントンの影響なのか、漁業が盛んになっている。
「この町で、裏社会に通じている会社を探すの。 表向きは立派な孤児院でも、裏では売買されているケースもあるの。 その罪人を連行する事も忘れないで」
「………いつになく真面目だな」
「そう? じゃ、孤児院が近くにあるか聞いていきましょうか」

町の人は、死神だと判ると鬱陶しそうに露骨に顔をしかめてきた。
いつもの光景の為、さほど気にせず進んで行く。
「あの子らだろ? 『血肉を争う子供たち』」
「神様に捧げられた生贄、なんていうけどねぇ」
「可哀相に………」
「気味悪いよ」
聴覚のいいノエルには、それらは全部聞こえており、何度か舌打ちをした。
同情は、ノエルが一番嫌う感情。
町の人を睨みつけながら、有力な手がかりがないまま歩いていく。
「ノエル」 「何だよ」 「あれ、孤児院よね」
リリーが見ている方向を見て、ノエルが軽く頷く。
「ああ、孤児院だな」
学校のような建物に、子供達が中でボール遊びをしていた。 年齢は別々で、下は5歳上は15歳ほどまでいる。
「学校じゃなさそうね。 行ってみようか」
「なあ、また死神だーっつってガキに怖がられるんじゃねーの?」
ノエルが嫌そうに予想する。 

「その時は、先生とかに聞くわ」
「…………そーすか」
あまり賛成できないノエルを放っておいて、リリーが孤児院のベルを鳴らす。
しばらくして、孤児院から一人の男性が出てきた。
「っ、死神!? 」
「ほーれ見ろ」
ノエルがボソリと呟いたが、リリーの耳には入らず、
「あの、お聞きしたい事があって来ました。 死神養育機関の者です」
男は最初はひどく驚いたものの、リリーをじっと見て、
「もしかして………キミは、『漆黒の断罪者』かい?」
「え? ………はい」
「やっぱり!! 俺、公開処刑でキミを見た事あるんだよっ。 白髪だから、よく目立ってた」
「そうですか」 「どんな典型的なナンパだよ」
ノエルが嫌味をぼやいた。
「で、今日は何の用だい?」
「………ここら辺りで、法律に違法している人身売買などの、裏社会に繋がっているルートを探してきたんです。 ご気分を悪くさせますが、ここは孤児院でしょうか?」
「ああ、捜索したいの?」
「まあ、はい」
「なら、どうぞ。 入っていいですよ」

リリーが怪訝そうな表情になったが、一瞬だった。
「失礼ですが、お名前は?」
「俺はダッチ。 この孤児院の教師をしている」
「どうも。 ノエル、行くわよ」
「おー」
長く返事をして、ノエルが面倒くさそうに孤児院内に入る。
「そういえば、私の公開処刑を見たといいますが」
「ああ、うん。 素晴らしかったね」
「………いつの、処刑でしたか?」
「政府を裏切った、兄弟の処刑だよ。 アンソニーらの」
リリーが人のタヒ体で埋め尽くされた記憶を掘り出し、
そこから政府を裏切った、反政府側の兄弟を思い出した。
(確か、政府管理職だったわよね。 あの人たち)
「………そうですか」


案内された所は、事務所のような部屋だった。
「こちらにお座り下さい」
安そうなソファに腰掛け、ノエルが足を組む。
ダッチが笑いながら、
「孤児院内には子供もいますので、悪いですがここでなんら質問されても構いませんよ」
余裕そうに言った。
リリーの目が、少しだけ光る。
「あの、孤児院は年間ずっと運営してますよね」
「ああ。 子供の容態も気になるからね。 病院じゃないけど、一応交代で24時間起きてはいるよ」
「あの、ダッチさんの勤務時間は? あと、一ヶ月前に休みは取りましたか?」
ダッチはしばらく考えて、
「俺の勤務時間は、主に平日の勉強を教える事ぐらいだから………、月曜から金曜日のお昼までだよ。 一ヶ月前には 」 そう言って、スケジュール帳をポケットから取り出して眺める。
「……うん、休みは取ってないね」
「そうですか」

リリーが少しだけ、笑った気がした。 それに気づいたノエルが、ほんの少しだけゾクリとする。
「ダッチさん、矛盾してますけど」
「え?」
突然のリリーの冷たい口調に、ダッチの思考は追いつけなかった。
「アンソニーらが処刑されたのは、一ヶ月前の火曜日、午前9時なんです。 でも、あなたは先ほど一ヶ月前には休みはなく、平日は昼まで勉強を教えている、そう証言しました」
ノエルが驚いたように、口笛を鳴らす。
「普通、公開処刑は上級都市の人間しかできないんです。 身分証明書を持ち、それを政府が当人だと認めなければ、処刑場に入る事はできない。 ダッチさん、本当は処刑場なんて行ってませんよね。 住所を、この町に登録してるから」
ダッチの表情がバラバラに外れた。
もう、空っぽ。
「じゃあ、どうして。 アンソニーらの処刑を知っていたのか。 ましてやそれが、公開処刑。 しかも、私の異名まで。 ………興味がおありだったんでしょうね。 “政府を裏切った仲間”の処刑だから」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!! 」
ダッチの焦りが混じった声は無視。
リリーが続ける。
「裏社会の、上級都市にいる仲間から聞いた。でないと、ツジツマが合わないんです。 逃げられるものなら、逃げてみてください」
「ッ、やっ、違う…っ」
「はい、そこまでー」

ノエルが異界から鎌を取り出す。
その刃をピタリとダッチの首元に持っていく。
「言い訳は、後で聞いてやる。 身柄確保だな」
「どうなんですか? ここ、売買してますよね」
そして、裏社会へのルート。
ダッチという男が本当にそうなら、裏社会のつながりがあり、反政府組織に韓愈しているかもしれない。
しばらくうな垂れていたダッチが、
「ッッ」 「 !!! 」
自らナイフで腹を刺した。

Re: BloodLily ( No.14 )
日時: 2009/12/29 14:58
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

「させるか!! 」 ノエルが再度刺そうとするダッチの腕を渾身の力で止まる。 手の平の下を押し、ダッチはその力に負けてナイフを落とした。 それをノエルが足で蹴る。
それを見ながら、リリーが目を細めた。
「タヒなせねぇよ!! 」
ノエルが腕を抑え付ける。
「何自害しようとしてんだよッ!! 」
「裏の事をバラすなら、タヒんだ方がマシだッ」
「吐いてもらうぜ? 嫌でも力ずくで!! 」
リリーが鎌を召喚させる。
そして、ダッチに向けた。
「私の異名を知っているのなら、当然私の能力も知っているはず。 私が裁きを下したものは、どんなにタヒにたくても、タヒぬ事はできない」
その残酷な力で、幾度となく人間を拷問してきた。
耐え難い苦しみを味わっている人間を、リリーはその目で見てきた。
「吐きなさい。 誰が反政府のリーダーなの!!」

「それは、私だよ。 憎々しい死神」

声が、聞こえた。 ダッチが話している。
でも、ダッチの声ではなかった。
ノエルが驚いて手を緩める。
「……てめ、誰だよ」
「私はファーザー。  独裁社会を目指す者」
その名前に、リリーが驚く。
(シャーネットも、ファーザーという人物を父親だと言い、慕っていた……)

Re: BloodLily ( No.15 )
日時: 2009/12/29 15:16
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

あげ


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