ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- DISSOLVE STORY
- 日時: 2009/12/28 21:03
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
二度目の小説消失しました。
今度は荒しが来た原因だと思います。
尚、バックアップ出来るので再生します。
七魔将の土属性が追加されていたので載せます。
小説の名前の提案は架凛様です。
(↓は架凛様のスレです。)
>> http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=3274
キャラクター紹介
名前「キース・アンバート」(名前提案:架凛様)
性別「男」
年齢「15」
武器「双剣→剣(サーベル系)」
容姿「赤髪に琥珀色の瞳、服装は黒シャツに灰色のズボン。」
性格「冷静・冷酷(ファーナ対面後、冷酷さがなくなっている。)」
キースイラスト>> http://image-bbs.webclap.com/practice/up_img/1260536781-73999.jpg
(イラスト制作者:菜月様)
名前「ファーナ・クレアス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
武器「(後に発表)」
容姿「セミロングの緑髪に青色の瞳、服装は青い服に白いズボン。」
性格「明るく優しい」
ファーナイラスト>>http://files.uploadr.net/554d816e21/002.JPG
(イラスト制作者:雪梨様)
名前「ミルド・シェトリス」(名前提案:架凛様)
性別「女性」
年齢「12」
武器「メイス」
容姿「腰まである銀髪に蒼色の瞳、服装は黒と紫のローブ」
性格「仲間になる以前は非常に攻撃的であったがキース達と一緒に行動するようになってから穏やかになっている。」
名前「リア・ライトネス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
容姿「桜色のお下げ髪にエメラルドの瞳、服装は黒のチュニックワンピース。」
性格「陽気で明るい。少々強気。」
リアイラスト>> http://d39.decoo.jp/data/4/46924/4b37fcd451c47.jpeg
(イラスト製作者:卍樹愛様)
名前「ゼファー・アラウンド」
性別「男性」
年齢「21」
武器「長剣(グラディウス等)」
容姿「ソリッドアッシュに青色の瞳、服装は白いコートに黒のシャツ、茶色っぽい長ズボン。」
性格「冷静で時には冷酷。」
- episode27「脱出」 ( No.29 )
- 日時: 2009/12/30 23:13
- 名前: はせピン (ID: UcCe7D1Z)
独房を抜け出し、ファーナの救出と同時に要塞からの脱出をしようと広い通路を走り続けるキースとミルド。
キースの片手には何時も使っているサーベルが握ってあった。
抜け出してから武器が見つかったのだろう。
愛用の武器を手に入れ、ファーナを探すが見つからない。
「脱獄者が二人いるぞ!決して逃すなー!!!」
何処からか声が響く。
と同時に二人の目の前に兵士達が現れる。
「退け……!」
キースがそう叫んで銃を構えて発砲しようとした兵士達の銃を微塵切りにする。
そして、ミルドが走りながらも自らの力を発動させる。
「アクアエッジ!」
掌に具現されている青色の魔法陣からフリスビーの様な形をした三つの水の塊が兵士達にぶつけ気絶させる。
人を憎んでいたミルドとはいえ、殺しはしなくなったようだ。
二人の足音とは違って金属音が大きく鳴り響く。
兵士達の数が多いから大きく鳴るのだろう。
戦闘を避けるかの様に二人は足音が鳴り響かない方の通路を走る。
その時、一つの赤いドアに目が付き、足を止めた。
「ここにファーナがいるな、気配を感じる。」
「気配でお姉ちゃんか分かるなんて、やっぱり油断できない人ね……」
気配でファーナだと確信するキースにミルドはジト目をしながらそう言った。
キースはドアノブに手を掛けるが当然の如く鍵が掛けられている。
ミルドに顔を向け、頷くミルドは掌に赤い魔法陣を具現させた。
「ファイアーボール!」
何時もの様にドアを火の玉で吹き飛ばす。
しかし、何時も吹き飛ばしていたが放った力が強かったのかドアはバラバラに砕け散っていた。
「お姉ちゃ……「ファーナ!!」」
ミルドが名を叫ぼうとしたと同時にキースがいち早く名を叫んだ。
室内にはベッドで上半身を起こした目を見開いたファーナがいた。
二人の姿を見てファーナはベッドから降りて二人に駆け寄った。
「キース、ミルドちゃん!来てくれたんだ!!」
「話は後だ、早くこの要塞から逃げるぞ!」
早々に室内を出て行く三人。
次の三人の目的は要塞からの脱出。
しかし、初めて来た三人にとって何処に出口があるのかハッキリ分からなかった。
「所で何処に出口があるの!?」
無我夢中で走る中、ミルドがキースに顔を向けてそう叫ぶ。
「あの扉に入るぞ!!」
キースが指を指した場所に二人は見る。
緑色の扉に上にはWARPと描かれていた。
扉は自動式だったのか三人が近づくと勝手に開き、三人は中へと入って行った。
「ふぅ、ここで扉をロックすれば誰も来れないだろう。」
そう言ってキースは扉の近くにあるlockと描かれているボタンを押した。
「まさか、この要塞に来ていたとはな……」
室内に響く、老人の声……
その老人の声を聞いたキースは目を見開いた。
「その声は……アグニム……!」
老人の声の正体を言うキース。
キースの言葉に答えるかの様に柱から一人の老人が姿を現した。
「久しぶりだ、キース……」
「どうしてアンタがここに……?」
呆然とアグニムを見ながら尋ねるキース。
言葉を聞いたアグニムはフッと笑った。
「私は三博士の一人だからな……ここに居るくらいは当然であろう?」
「貴方がアグニム……」
ミルドはそう言ってアグニムを見る。
しかし、その目は殺気が宿っていた。
「ほぅ、君はプロトタイプのか。まさかガルディスが私より面白い物を開発するとは大したものだ。」
「私を侮辱するのは……」
顔を下げながら、掌に赤い魔法陣を具現させる。
そして……
「アンタみたいな、研究者には死に値するわ!」
そう叫んだと同時に顔を上げて魔法陣から火の玉を発射する。
火の玉はアグニムに向かっていくがアグニムはまたフッと笑った。
火の玉がぶつかる寸前、火の玉が見えない壁にぶつかったかの様に散り散りになってアグニムの前で四散した。
放ったミルドの目は点になる。
「ど、どうしてミルドちゃんの技が……?」
その隣にいたファーナは呆然としながらそう言った。
「ガルディスからは聞いている。ミルド・シェトリスが持つ魔術はこの世界の中世期にいた魔術師から盗んだ物とな……」
「私の力は魔術……?」
自らの力の正体を知るミルド。
ミルドが持つ力は“魔術”だったのだ。
「さて、抵抗もそこまでにしてもらおうか……」
冷笑を浮かべていたアグニム。
しかし、そう呟いた直後、無表情となり片手を前に出した。
途端、光の粒が掌に集まり、光球が出来る。
「散れ!」
そう叫んでミルドに投げようとした直後、アグニムは舌打ちして天井に光球を投げた。
それは投げようとした直後にナイフが飛び出して来たからであった。
光球は天井にぶつかると四散して消えた。
「邪魔をするとは大した度胸だな……」
鼻で笑いながら、ナイフを投げた人物へと見やる。
その人物は……
「キース・アンバート……否、複製機械人(コピーヒューマノイド)。」
キースだった。
額に一筋の汗を流しながら、ミルドとファーナに顔を向けた。
「ファーナ、ミルド!転移装置に乗って装置を起動させろ!」
「う、うん!!」
キースがアグニムを威嚇している中、ファーナとミルドは丸い台に乗る。
「フン、装置が発動するのは3分……ワシ相手に時間を稼げると思っていのか?」
「やってみなければ、分からないだろう……俺はアンタの元にいた時とは違う事を今教える。」
キースの言葉を聞いたアグニムは鼻で笑った後、両手を裾に隠した。
「複製機械人(コピーヒューマノイド)如きが……あの二人の小娘は兎も角お前だけはここでバラして再び改造してやる。」
そう言った途端に両手が出る。
しかし、両手には無かった筈の剣が握られていた。
アグニムは二刀流だったのだ。
「ワシに二度と逆らえぬ様にな!!」
その叫びと同時に二人の戦いは始まった。
- episode28「vs三博士アグニム」 ( No.30 )
- 日時: 2009/12/31 22:03
- 名前: はせピン (ID: vcreLc9n)
裾から出た和刀、そして二刀流のアグニムに対し、その構えを見て転移装置で見ていた二人はある人物の構えを思い出す。
「あれはキースと同じ……!?」
「まさか、あの男がキースを……!」
そう、構えは以前キースが得意としていた双剣と同じ構えだった。
キースはサーベルを片手に構える。
「ゼファーに手傷を負わせた剣術……この目で捉えてやろう。」
そう言うと大男とも言える体をも関係せずにその場に一瞬で消え、キースの前に現れる。
「はぁ!」
右手の剣を豪快に振り被る。
その一撃を受け止めるものの、少しばかりか後ろに退いた。
双剣を使っていたキースとは違ってアグニムは一振りに力を入れていた。
「ぬぅん!」
そして今度は左からの一太刀。
キースはバックジャンプで避けて構え直すが目の前にアグニムはいなかった。
僅かに感じた殺気を感じ取り、後ろに振り向くと跳躍して襲い掛ってきた。
「くっ!」
サーベルで両刀による一撃を受け止める。
ヨロッとよろめきそうになりながらもキースは振り払った。
アグニムは空中で回転しながら地面に着地した。
「そろそろ見せてくれないか?ゼファーに手傷を負わせた剣術を?」
「悪いがアンタに剣術を見せたら、剣術をコピーした機械人を出されるからな……」
「ははは、なら、ここで分解して調べるまでだ。」
笑ってその場に消える。
殺気は感じず、室内を見回すキース。
何処を見てもアグニムの姿はない。
しかし、室内を見回すキースの横に現れ、右手の剣を振るった。
「………!?」
視界に入った剣の刃に気付きしゃがんでアグニムの後ろに回り込むと同時にサーベルを振るった。
だが、アグニムは背中を守るかの様に和刀を背中にまわし、攻撃を防御すると高く跳躍して間合いを取った。
「ワシの一撃を避けるとは随分腕を上げたものだな……」
余裕の表情で片手に持っている和刀をキースに向ける。
一方のキースは早くも体力が限界に来ていた。
その時、天井のライトが赤くなり、サイレンが鳴る。
『転移(ワープ)作動まであと1分、御乗りの方は急いで御乗りください。』
室内に鳴り響く女性の声。
キースはそれを聞いて静かにニヤッと笑った。
「何が可笑しい?」
笑ったキースを見たアグニムは睨んだ。
「一分もあれば、アンタを倒さなくともこの要塞から逃げれる。」
「小童(こわっぱ)が……!!」
目を全開に開いて飛び掛かる様に襲いかかる。
中間まで距離が縮まった途端、キースもジャンプした。
しかし、同じ高さでジャンプした訳ではなく、アグニムより少し高めに飛んでいた。
「喰らえ!」
サーベルを顔面目掛けて振るう。
アグニムは両刀で受け止めようとするが僅かなタイミングを逃し、額を斬りつけられた。
「ぐおっ!?」
額から血が出るが少ない。
空中でバランスを崩しそうになりながらも着地する。
しかし、額からは僅かな血が顔を伝っている。
キースの方に顔を向けるがキースの居る場所に目を見開いた。
キースが立っている場所はミルドとファーナと同じ場所《転移(ワープ)装置》に乗っていた。
一分が経ったのか三人の周りに水色のフラフープみたいな物が現れると同時に三人の姿がなくなった。
自らが作った人物に額に切り傷を付けられた性かアグニムは舌打ちした。
「複製機械人(コピーヒューマノイド)にこのワシまでも傷を負わされるとは……」
付けられた額に手を添える。
その時、キースによってロックされた扉が開き、一人の男性が入ってくる。
その男性を見てアグニムは片膝付いてしゃがんだ。
「ハイド様、申し訳ありません!」
金髪にエメラルドの瞳をした男性の名を言う。
ハイドと言う男性はアグニムに近づく。
「複製機械人(コピーヒューマノイド)が貴方に傷を負わせるとはね……」
「申し訳ありません、今度こそあ奴を捕らえます。」
「何を言っている?」
歩いていたハイドは足を止めてアグニムに振り返った。
「私は複製機械人よりもファーナが大事だ。ファーナが私の元にいなければ、“楽園”を復活させる事は出来ない。」
「ファーナ?あの緑髪の少女の事ですか?」
アグニムの問いにハイドは首を縦に振った。
「しかし、あの小娘にハイド様の計画に役立てるのですか?」
「あぁ、ファーナの力はある神の力を元にしてアイツに入れた。しかし、外でそれを使われて我々に敵対する者に取られたら計画は全て水の泡だ。」
そう言って機器に手を叩きつける。
「お前達《三博士》が頼りだ。我等がいた世界は貧困の力ですっかり弱りきってしまった。だからこそ、この要塞でこの世界のエネルギーを吸収して無限の力を得るのだ!」
「ははっ!我等が組織《ユグドラシル》に幸あれ!!」
頭を下げてそう言うアグニム。
ハイドは甲高い笑い声で笑い続けていた……
- episode29「火山島」 ( No.31 )
- 日時: 2010/01/01 23:41
- 名前: はせピン (ID: ByQjFP4v)
ある富士山の様な高い山が聳(そび)え立つ火山が島の中心にある所に青空に空間の裂け目が現れた。
その裂け目から出てきたのはキース達だった。
「きゃあぁぁぁぁ!?」
三人が現れた場所は地上から数千メートル離れた上空。
物凄い圧力に襲われながらも地上に降りて行くがこのまま下りると叩きつけられて死んでしまう。
物凄い危険な状況に陥っている中、ミルドは自分の下に魔法陣を具現させる。色は緑……
「エアスクリーン!」
そう叫んだ途端、魔法陣から緑色の薄い球体が三人を包み込む。
三人は空中で立てるがそれはミルドの魔術である。
どんどん、下に進んでいき、次第には地面に足が着く。
途端に包んでいた球体の様な物が消える。
「何とか、ミルドの力で叩きつけられるのは避けれたな。」
「何か、分からないけど頭に思い浮かんだからやってみたのよ……」
荒く呼吸をしながら額の汗を拭う。
顔色が悪くなっていた。
「ミルドちゃん、大丈夫?」
「お姉ちゃん、心配しないで……私は大丈……」
義理と言える姉を心配させないように言葉を出そうとするが途中でフラッと体がよろめき、その場に倒れようとした所にキースが体を受け止めた。
「ミルドちゃん!?」
「はぁ……はぁ……!」
荒く呼吸して額の汗を流しているミルド。
キースは額に手を当てて自らの額に添えると目が見開いた。
「魔術の使い過ぎか、風邪を引いてしまったようだな……」
「ど、どうしようキース?」
慌てて尋ねるファーナの言葉を聞いてキースは辺りを見回す。
しかし、見えるのは草木生えてない荒野と煙を吹いている巨大な火山だけだった。
「仕方がない、村か町を探すしかないな。」
そう言ってミルドを担ぐ。
こうして三人は村か町、人がいる場所を見つける為に荒野を歩き続けた。
しかし、30分以上歩き続けても村・町は一つも見つからない。
荒野を歩き続けている中、ファーナは火山を見てハッとした。
「ねぇ、キース?」
「どうした?」
「あの山はどうして煙を吹いてるの?」
はるかに高く煙を噴き上げている火山に指を指しと尋ねるファーナ。
「あれは“火山”だ。だが今も噴火しそうになってるがな……」
「フンカ……?」
「噴火と言うのは火山の火口と言う場所から火を噴き上げる事だ。火山の近くにある村や町に住んでいる人間は避難するらしい……!?」
ファーナに火山の事を説明するキース。
しかし、話している途中、何かに気が付く。
「人がいないのはこの火山が何回も噴火を起こしているからか……だから魔物(モンスター)がいないのか……!?」
30分程探して村や町が一つも見つからない理由を言うキース。
枯れた木が幾つもありながらも魔物(モンスター)は一匹も見当たらない。
しかし、キースは一つの事に疑問を抱いていた。
(火山に棲む魔物が徘徊してないのは不自然だ……どうして俺達のにおいを嗅ぎ付けて来ない?)
そう、火山に棲む魔物が一体も見かけない事だった。
しかし、キースの疑問を答えるかの様に穴から体が火で燃え盛っている狼の様な魔物(モンスター)が出てきた。
「ウオォォォォォン!!!!」
三人を見た途端に遠吠えする。
しばらくすると三人の周りには燃えている狼が囲んでいた。
そして一斉に襲いかかった。
「キャッ!?」
一匹の狼がファーナに襲おうとする。
ミルドを担いでキースは剣を抜けずに声を掛けるがファーナは自らの体を守るかの様に両腕で守る。
狼の牙が近づいた、その時何処からか斧が飛んできてファーナに襲いかかる狼の背中に突き刺さった。
「ギャイン!?」
悲鳴を上げて地面に倒れ動かなくなる。
仲間の死を見た狼達が見上げた場所には二足で立ち赤とオレンジ色の体をした蜥蜴(とかげ)が数十体いた。
片手には弓矢・斧・槌を持っていた。
その蜥蜴の姿を見た狼達は尻尾を巻いて逃げて行った。
キースは蜥蜴達を見てファーナを庇うかの様に前に立った。
蜥蜴達はキースに近づく。
「お前はあの魔導士の仲間か?」
戦闘に立っていた蜥蜴が喋る。
キースは一時、蜥蜴が喋った事に目を見開くがすぐに冷静になる。
「違う、俺達は事故でここに来てしまっただけだ。」
「そうか……付いて来い。」
片言言葉でそう言って火山の方へと歩き出す蜥蜴達。
キース達は蜥蜴達の後へと付いていく。
そして麓に辿り着くと石造りの家が数件も建てられていた。
そこにも蜥蜴達がいる。
「ここは火蜥蜴(サラマンダー)の村。私達はここで住み、火山が噴火する時は人間達に知らせている。」
歩きながら一匹の蜥蜴がキース達に説明する。
そして立ち止った場所は大きい家。
火蜥蜴はノックし、ドアを開ける。
「入れ。」
そう言われ、キース達は入っていく。
入った先に見たのは髭を生やした火蜥蜴が奥で座っていた。
「これは珍しい噴火寸前になっている火山島に来る人間がいたとは……」
キース達を見た髭を生やした火蜥蜴は手を顎髭にやりながらそう言った。
「この方は火蜥蜴(サラマンダー)の族長。」
「ゲルハか、今日も警備御苦労……」
「族長、そろそろ魔導士が止めた火口の岩石が割れるかもしれません。」
一匹の火蜥蜴が正座しながらそう言った。
「う〜む、溶岩に飲み込まれるのは我々の運命……まして火口には火狼(ファイアウルフ)がいるからな……」
腕を組んで悩む火蜥蜴の族長。
その時、キースは立ち上がる。
「あの火山に何かあったのか?」
「うむ、数ヶ月前に魔導士が来てな。火口の溶岩を止めたのだがその固まった溶岩が再び姿を出そうとしていて今までにもない事が起きようとしているのだ。」
キースに尋ねられ、訳を話す火蜥蜴族長。
「噴火を起こさずに止める方法はないのか?」
更に尋ねるキース。
火蜥蜴族長は立ち上がって壁に飾ってある大きな鉄槌を取る。
「この鉄槌(ハンマー)で固まった岩石を砕くといい。しかし、火口には火狼(ファイアウルフ)が集まっていて行動が移せない。」
「族長、この者達に協力してもらって岩石を壊せばいいのでは?」
「それは無理なの……」
ゲルハが族長に尋ね終えると同時にファーナは首を振ってそう言った。
「どうしてだ?」
「ミルドちゃんが風邪を引いちゃって……」
ファーナが訳を言うと火蜥蜴族長は立ち上がって床で仰向けになっているミルドに近づき、額に手をやった。
「この病状は“魔光症”だな……」
「魔光症……?」
「魔術を使い過ぎると精神が疲れ果てて回復するまで熱を出し続ける病気だ。」
病名を教えてもらうキースとファーナ。
ミルドが魔光症に掛ったのは無理もないと二人は思っていた。
「治す方法はないんですか?」
「ここから西にある魔導士の館にリラックスハーブと言う精神を癒す薬草がある筈じゃ。」
「そこに行けばいいんだな?」
立ち上がっていたキースは火蜥蜴族長に寄り、尋ねた。
「だが、魔導士に見つかればどうなるか分からないぞ?」
「隠密は俺の得意だ……」
キースはそう呟くとその場を消え去った。
一瞬で消えたキースに驚く火蜥蜴の二匹。
(キース……無事に帰ってきてね……)
心の中でファーナはキースの無事を願った。
- episode30「魔導士の館」 ( No.32 )
- 日時: 2010/01/04 23:14
- 名前: はせピン (ID: GMnx0Qi.)
魔光症にかかったミルドを助ける為にキースは単独で魔導士の館へと向かった。
凹凸が激しい道を走り続ける中、辿り着いたのは石造りの屋敷が目の前にある。
正面の入口には守りはいないが罠の可能性があると感じ、裏口から侵入しようとするがそれもしなかった。
キースが侵入しようとしている場所……
それは屋根の上だった。
屋根とは言えども館は屋上もあってその屋上に三階建ての塔らしき建物もある。
キースは地面を蹴って軽々と屋上に舞い降り、ドアを開けて中へと侵入した。
中は明るいが不気味と言える程に静かだ。
魔物(モンスター)がいるかもしれないと思い、片手にサーベルを持ってスパイの様に壁越しに移動する。
近くのドアを音を立てずに開けて一気に入って身構える。
魔物の姿はない、魔導士の姿も……
部屋の中を確認すると書斎の様だった。
「留守なのか?それとも違う部屋にいるのか?兎に角リラックスハーブを手に入れないとな……」
そう言ってクローゼットや樽等と言った収納出来る物を調べるが草はない。
書斎には無いと確認し、部屋を出て再び壁越しに次のドアを目指す。
そしてまたドアを見つけ、ドアノブに手を伸ばす……
『では、古代魔術書はもう少しで手に入るのですね?』
丁度開けようとした部屋から声がし、伸ばそうとした手を止めた。
女性の声でありながら聞き覚えのある声……
(この声はリヴァル?もしかして魔導士をここに置いたのはアイツか……)
リヴァルの声だと気付き、目を細めるキース。
『えぇ、火山を噴火させれば……』
次は男性の声、どうやらその男性が魔導士なのだろう。
『“させれば”とはどういうことでしょうか?』
『火山地帯には火蜥蜴(サラマンダー)がいます。彼等が一気に冷やした溶岩の塊を壊されてしまえば、大噴火は出来ず。封印されている神殿の道に行けません。』
『火蜥蜴(サラマンダー)を潰す方法はないのか?』
リヴァルの尋ねがキースに聞こえていた。
しかし、リヴァルはキースがドアの向こう側に居る事は分かっていなかった。
『冥術の一つ“ヘルファイア”これは溶岩に耐えきれる火蜥蜴(サラマンダー)でも敵わない冥火術です。』
『だが、溶岩の塊に配置している火狼(ファイアウルフ)は持っていないでしょう?』
『心配は要りません。火狼達は完全に消し去ったとしても固まった溶岩の間から生まれます。火蜥蜴(サラマンダー)でも戦闘能力では火狼(ファイアウルフ)が上です。』
『そうですか……それでは頼みました。』
話が終わったと同時にキースはドアから離れ、次のドアへと走り出した。
気配も出していないと思っていたが、部屋の中にいたリヴァルはドアを見た。
「リヴァル様?」
「聞かれた様ね……(流石は複製機械人、ですが最後で……」
キースに聞かれた事を知っていながらも不敵な笑みを浮かべるリヴァル。
そしてドアから魔導士に顔を向けた。
「頼みましたよ……古代魔術書が手に入らなかったら……貴方の首はもらいますよ。」
そう言ってその場を消え去った。
一方、キースは遂にリラックスハーブと言える草を発見し、一束掴み。魔導士の館を出て行った。
そしてファーナとミルドがいる火蜥蜴(サラマンダー)の村へと向かった。
長老の家へと入ると同時にリラックスハーブと言う草を投げ渡した。
「早く、ミルドを治して火山の火口に向かうぞ。溶岩の塊を壊さないと大噴火して奴等の思うツボだぞ。」
「薬を作るが魔導士は何を考えているのだ?」
「魔導士は大噴火させた後、封印された神殿に行こうとしている。」
キースの言葉に家の中にいた長老とゲルハが目を見開いた。
「知っているのか?」
「私達、火蜥蜴(サラマンダー)族が火の神殿を知らぬ者はいない。」
「火の神殿?」
「お前さん達人間の祖先とワシら火蜥蜴(サラマンダー)族の祖先が手を合わせて作った古代神殿の一つ……神殿の中には『禍の書』がある。』
長老の言葉にキースとファーナは顔を下げた。
長老とゲルハ、火蜥蜴(サラマンダー)族は自分達を人間だと思っているからだ。
本当は人間と機械の間(キース以外)で作られた機械人なのに……
「もし、禍の書が狙いなら不味いな。」
ゲルハが腕を組みながらそう言った。
その時、長老が丸薬を持ってきてミルドの口を開けて入れた。
「リラックスハーブの丸薬だ。即効性だからすぐに目を覚ますだろう。」
「う、うぅ……」
長老の言葉と同時にミルドが呻き声の様な声を立てて体を起こした。
「ミルドちゃん!」
「お姉ちゃん?」
突然、両手を握られながらも冷静だった。
「ミルド、俺達はこれから火蜥蜴(サラマンダー)族を手助けするんだ。」
「手助け?冷静冷酷な貴方がそう言うとはね……」
意外そうな顔をしながらキースに向かって言う。
「時間がない、早く火口に向かおうではないか。」
「あぁ、思い通りにさせてたまるか。」
「ふぅ、病気で倒れて起こされた次は蜥蜴の手助けか……まぁ、ここで見捨てると夢見が悪いからやるしかないか……」
「あぁ、待ってよ二人とも!!」
長老とゲルハの後に続いて火口に向かうキース達。
大噴火を止める事は出来るのだろうか……
- episode31「hurry up!」 ( No.33 )
- 日時: 2010/01/05 13:08
- 名前: はせピン (ID: LxaimtSa)
火口へと向かう五人。
噴火すれば、火蜥蜴(サラマンダー)の村もただでは済まない。
それだけではない、魔導士が目的としている噴火によって入れる火の神殿にある古代魔術書の一つ“禍の書”を手に入れる事だ。
阻止しなければ、ハイドの計画が進行してしまう。
何としてでも火口の溶岩の塊を壊さなければならなかった。
「着いたぞ、あれが溶岩の塊だ。」
長老が先に火口に上って指を指しながら言った。
キース達も辿り着いて、指した場所を見ると数匹の火狼(ファイアウルフ)、そしてその後ろには溶岩の塊があった。
五人の姿を見た火狼達は唸り声を上げている。
「あの岩石の耐久からしてはあと一時間しかないな。」
溶岩の塊の所々に黄色い線が出来ている。恐らく溶岩だろう。
溢れ出ようとしている。
四人は武器を構える(ファーナは持っていない)。
長老とゲルハは槌(ハンマー)、ミルド小さい杖メイス。そしてキースはサーベル。
「行くぞ!」
長老がそう叫ぶと同時に四人は一斉に溶岩の塊へと走り出す。
また同時に火狼(ファイアウルフ)が牙を向けて襲いかかった。
「フン!」
一匹が長老に襲いかかるが寸前に鎚(ハンマー)を振るい殴打する。
長老に襲いかかった火狼(ファイアウルフ)は吹っ飛ばされたと同時に火と化し消えて行った。
その火狼の姿を見た長老は目を見開いた。
(これは……!?)
「長老!!」
呆然としている時、ゲルハの叫びで我に返る。
しかし、我に返ったと同時に長老に顔を向けていた火狼(ファイアウルフ)が口から火を噴きだす。
「………!?」
火の息吹をまともに喰らい、火に包まれる長老。
しかし、長老はそれを無視して鎚(ハンマー)を振るい吹っ飛ばす。
もう一匹も火と化して消えて行く……
長老が二匹倒している中、ゲルハとキースは奮闘しているが数は減らない。
その時……
「サンダーストーム!!」
ミルドの魔術の名の声が響く。
すると火狼(ファイアウルフ)達の周りに雷撃を纏った竜巻が包み込む。
火狼(ファイアウルフ)達の悲鳴が轟く中、長老が腰に背負っていたもう一つの鎚を手に持つ。
その鎚は削岩機の様にドリルの様になっている。
長老はその鎚を振り上げる。
「これで……」
高く跳躍し丁度、鎚が溶岩の塊に当たる様に鎚を振り下ろす。
鎚が塊に当たる寸前に長老に黒い炎が直撃した。
「ぐあぁぁぁぁ!!!」
「長老!?」
燃え盛る黒い炎を浴びる長老の悲鳴を聞いてゲルハが名を叫ぶ。
火狼(ファイアウルフ)のブレスを無視した筈の攻撃を喰らった事にその場にいた者は驚いていた。
黒コゲに焼けて倒れ込んだ長老。
四人が長老に掛け込む中で塊の前にアンニュイックな仮面を付けた男性が地面から現れた。
「幾ら、溶岩の熱度を耐えきれる火蜥蜴(サラマンダー)の鱗と言えどもこの冥術ヘルファイアは耐えきれないだろう。」
「貴様がやったのか!」
ゲルハが怒鳴って言った。
男性は笑う。
「その通りだ、私の計画を邪魔されては困りますからね。」
「アンタの計画じゃなくてリヴァル達の計画だろ?」
男性の言葉を聞いてキースはその言葉を間違って事を言う。
「成程、あの方が言っていた事は貴方の事だったのですか……」
「古代魔術書を手に入れてどうするつもりだ?」
「そこまで聞いていたのですか……この事を話す事はあの方に迷惑ですが丁度いいです。話しましょう。」
男性は笑い声を出してそう言った。
「この火山の洞窟にある火の神殿、そこにあると言われる古代魔術書の一つ“禍の書”をあの方に渡すのですよ。この腐り切った世界を綺麗にする為に……」
「レジヴァールが腐り切ってるだと?」
自分達がいる世界の話を聞いて首を傾げるキース。
「分からないのですか?この世界は機械人が作られていてから数々の事故が発生しているのです。死人が生きている人間を襲ったり、魔物が凶暴化したりと言う事件が……」
「俺達が出来てから世界が可笑しくなったと言うのか?」
「えぇ、三博士達はリヴァル様の元に戻ってあの方と共に行動しています。そしてあの方は機械人狩りと言う組織を結成し、機械人を処分しているのですよ。」
男性から出る話を聞いてキースは男性を睨んでいた。
機械人が出来てから世界は可笑しくなっている事はどう見ても考えられない事だと。
しかし、ファーナは要塞で見たハイドの話と同じ事だと気付く。
沈黙が続いていた時、大きな揺れが起こる。
「もう遅いようですね……火山は爆発しますよ。そして火の神殿の封印が解ける。」
男性は笑いながらそう言うと地面に溶け込むかの様に消えて行った。
揺れは次第に大きくなっていく。
それだけではない、溶岩の塊や五人のいる足場に黄色い線が漏れようとしている。
「長老!!」
黒コゲになっており長老に叫ぶ。
しかし、長老は起き上がる気配がない……
長老に駆け寄ろうとしたゲルハを止めるキース。
「もう、アイツは死んでる。早く安全な場所に行くぞ!」
「……くそっ……」
長老を置いて安全な場所に逃げようとする時、ゲルハがそう呟いた。
四人は火口から抜けて山を下りて行くと後ろから轟音がした。
そうっと振り返ると火口から溶岩が噴水の様に噴き出ていた。
と同時に火の神殿が封印が解けた事が四人は分かっていた。