ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

Dyed Black
日時: 2013/04/30 19:30
名前: Ruyy (ID: d/IlFCIL)

初めまして。ルイといいます。
こちらの掲示板は久しぶりです。もう4年前になるかな…w
前にこちらで書いていて行き詰ってしまい、ボツにしたものを
新しくして書きなおしたものです。

ピクシブやってます。
こちらでは「Rui@小説に専念」でやってます。
こちらで書いてる小説と同じです。

イラストも描いてますが、まぁ笑えるほど下手くそなので
笑ってやってくださいwwww

だからと言って小説も厨臭い痛い駄文なのですがw

こんな奴ですがよろしくお願いします^^

※方針
・絵文字は使いません
・「」の前にキャラ名を書くことはないです
・基本的に三者目線。一人称視点で書くのは短編のみ。
・部構成でやってます
・基本的にキャラの性格については紹介しないつもりです。あとでブレてくると後々困りますので;

■登場人物

・ギルバート・シュヴァルツ
本作の主人公。年齢 20代後半
職業「国境を越える便利屋」
自身曰く「ヤバい仕事」

第1部
プロローグ・第一章 >>1

Re: Dyed Black ( No.1 )
日時: 2013/04/30 18:45
名前: Ruyy (ID: d/IlFCIL)

プロローグ

その少年は孤独だった。
その力が強すぎるがために触れるだけで壊れる、と言ったところだ。
足下に転がっている抜け殻からは血が滴り、アスファルトが赤く潤う。
息を荒くする少年の頬には返り血。
手には血糊が張り付き、鉄パイプが握られていた。
抜け殻は鉄パイプで殴られたにしては損傷が酷く、
パイプもかなり曲がっていた。

それがカランと音を立てて手から滑り落ちた時、
陰っていた空から雫が零れ落ちた。
あっという間に、雫はアスファルトにシミを作り、
それは次第に広がっていく。

血溜まりが洗い流されていく。
頬を伝う滴は赤を流し、哀しみの色を落とした。

「脆いな」

悲しく吐き捨てる声が雨音に溶けた。

「さぞかしつまらんことだろうな。君の世界は」

雨音が激しくてもその声は朗々としてよく通った。
少年が振り向いた先には軍服を着た男が立っている。

「どういう意味だ…?」
「そのチンピラたちは指名手配中の犯罪者だ」

少年はハッとしたように目を見開いて男を見つめた。
男がこちらに近づいてくるのが恐ろしく映ったのか、
取り落とした鉄パイプを拾い、身構えた。

「そんなに警戒しなくてもいい」

男は武器を持っていないことを示すために、
両手を頭の後ろに回しながらやって来た。
少年はそれでも警戒を解くことはなかったが、攻撃はしなかった。

「君の力を借りたいんだ」

少年の前に立ち、手を差し伸べた。

「私と一緒に来てくれ」

その時から孤独な少年は、破壊することを恐れていた少年は、
そこに存在意義を見いだした。


第一章

選ばれた者だけが生き残る。それなりの力を持つ者は孤独だ。
やがて人々は“普通”が多いことに気付き、恐れていた力に
“差別”で対抗する。

正しい方向を向くごく少数の者は
常に否定されるのはどの世も同じらしい。

炎天下の交差点。
見上げれば空が狭い街の信号待ち。
人々はある人物に好奇の視線を注いでいた。

「暑いな」

当然である。

その男はロングコートを着ていたのだから。
しかも熱を吸収し易い真っ黒なコートだ。

髪の毛も同様に黒い。
日光に当たりやすいがこればかりは仕方がない。
アスファルトから立ち込める熱気と人々の視線に苛立った目は対照的に涼しげなアイスブルーをしていた。

しかし信号が青に変わると人々は男の存在を忘れて
自分の持ち場に戻っていった。

渡った先を数メートル左に歩くと男は立ち止まった。

「ここだな」

どこにでもあるようなオフィスビルだ。
自動ドアが開きクーラーの冷気が髪をなびかせる。
広いロビーには人が全くいない。

いや、正確には受付のみだ。

「伺っております。社長室へどうぞ」

淡々とした声が反響した。

「そりゃ、どうも」

男はエレベーターホールに向かって歩いたが、

「そちらではありません」

制止された。

「あっちにはトラップだろ?同じ手は食わない」
「いえ。階段はこちらです」

意味が分からないと言った様子で手をひらひらさせながらエレベーターホールに向かい、丁度来ていたエレベーターに足を踏み入れた。

扉が閉まる瞬間、受付が「グッドラック」と呟いた気がした。

その直後、箱の中は暗闇に包まれた。

「…クソが」

男がウンザリした顔をしたかと思うと下から風が吹き上がってきた。

「相変わらずの陰湿っぷりだ」

こう言えば状況が分かりやすいだろう。
床が抜けた。そして落ちているのだ。

どちらにせよ顔色一つ変えないこの男からしてみれば
大して変わらないが。

映画のワンシーンにあるようなダストシュートを滑っている感じで、どこに向かっているのかは分からないが取りあえず身を任せた。
しばらくして足元の先に光が見えた。

その光が近づき、男は足から落ちた。

部屋にはカーペットが敷いてあり、立派な机と椅子があるだけである。

「ここはテーマパークか」

立ち上がりながら軽く突っ込むと
頼んでもいないのに返答が返ってきた。

「誰も社長室が上だとは言っていないがね。ギルバート」

背を向けていた椅子がくるりと回り、声の主が男を見据えた。
ギルバートと呼ばれた男はやれやれと首を振った。

「クロイ。あんたにゃ会社の社長より遊園地の園長のほうが向いてるんじゃないか?」
「おもしろいジョークだ」

クロイと呼ばれた中年の男は口元をニヤッとさせていた。
ギルバートがあまりいい気がしないと顔で言うと、
クロイは眉を上げた。

「それでは、本題に移ろう」

クロイが椅子から立ち上がり、話を切り出した。
手には何やら書類が握られている。

「この計画。もう君しか頼れる者はいない。
産まれながらのビーストはもう世界中で君だけなんだ」
「で、俺を連れ戻したって訳か」

その書類には“CODE BEAST”と書かれている。

「まだ、あんな事を続けていたとはな。悪いが、協力する気は無い」

ギルバートはフンと鼻で笑った。

「もう戦争は終わった。この国は独立したんだろ?仮に国防でも、どこぞの国の自衛隊みたいなのが配置されるから人間兵器の需要はないと思うが」

時代錯誤だ、と言葉が続く。しかしクロイは鼻で笑ったギルバートを逆に馬鹿にするような目をした。

「知っているさ。しかし見てみろ。このエングセスと言う国はビースト能力者が救ったと言ってもいい。それを期にビーストが増えた。わざと遺伝子を操作する者が増えたのだよ。今やビーストで無い者の方が差別される時代だ」
「それが?」

関心が無さそうな顔をしているギルバートは近くのソファに腰掛けた。

「誰もがビーストであるには誰もが適合するようなビースト遺伝子を作らなければない」
「俺を研究したところで何も分からない」

ギルバートはソファから立ち上がり、
目に付いたドアのノブに手をかけた。

「まあ、検討はしてくれ。世界の全ての人間がビースト能力を手に入れたらビジネスにならない」
「やっぱりあんたに会社の社長は似合わない」

後ろ姿でぼそりと呟き、
ドアを閉めた瞬間「グッドラック」と言う声がした。

薄暗い廊下を歩く。暗闇で靴音がコツコツと不気味に反響した。

「嫌な予感がする」

ギルバートが呟いた刹那。
遠くで一瞬稲光のようなものが見えた。

「あぁ、クソ…」

レーザーが追いかけてくる。
ギルバートは逆方向に走り出した。


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。