ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました！使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例）鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】
- 日時： 2013/12/01 11:19
- 名前： はる （ID: JK5a7QPr）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=big&illust_id=39522763
はるです。シリアスダークに書くのは二度目ですね…
そんなこんなで今回はミステリー。更新不定期です。
〜ＣＡＳＴ〜
【久楽々 洋介】 〈kurara yousuke〉
Age 27
occpation 小説家
height 182㎝
weight 65ｋｇ
taste 読書、料理
【来栖 李亞霧】〈kurusu riamu〉
Age 16
occpation 高校生
height 158㎝
weight 42㎏
taste 運動
オリキャラ募集中！応募はこちらから→>>8
応募状況
李亞霧の友人・クラスメート 10人募集！（現在）
洋介の友人・ライバル 3人募集！（現在）
警察関係者 15人募集！（現在）
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.82 )
- 日時： 2014/01/25 19:58
- 名前： はる （ID: JK5a7QPr）
さて、台風のように現れサイクロンのように去って行った木下旅館の若女将だったが———代々木は、ボンヤリと隣の男性を眺める。この人はどうしてそんな人と知り合いなのだろう。
「どうした、代々木くん？挨拶周りだろう？まだ挨拶をすましていない方がいらっしゃるぞ」
「え、ああそうですね」
そうだ、そんな事を考えている場合ではなかった。担当小説家の冷静な言葉に頭を冷やされ、…冷静な言葉？
あの、パーティにろくすっぽ行かず、来ても引きこもりの駄目二—トのごとく壁の華…っていうか壁にへばりついてるようなせんせが、『冷静』？
「いや待って下さいせんせ、酔っぱらってますか酔っぱらってますよね！」
「代々木くんは本当に人の話を信じないなあ」
二コリ、と大人の風格を漂わせながら笑う洋介。ああそうさ、確かに傍目には洋介の方が年上に見えるだろうよ！半ば自嘲しながら代々木は洋介に笑いかける。
「そうですよね、挨拶しちゃいましょうか！」
そういって振り返った彼の瞳に、
何故かヨレヨレのワイシャツが映った。
「うわっ！」
代々木は驚いてその場を飛び退く。四十代とは思えない身軽さだ。
…そのヨレヨレのワイシャツは、どことなくのっぺらぼうな雰囲気を漂わせる痩せた男性であった。
いや、痩せた…の前に、『病的に』をつけた方がいいほど線の細い人物である。
そして何故か白黒スニーカー。
パーティーである。
もう一度言う。ここはパーティー会場である。
「いやなんでですかっ！？」
代々木は、考える前に突っ込んでしまっていた。このパーティのためにスーツを買い替えた自分はどうなってしまうのか！？いくら洋服の青山でも高いものは高いんだぞ！
「あ、鳥越先生久しぶり」
「久楽々くん、久しぶりです—」
そんな、異彩を放つ男性相手に洋介は片手を挙げた。何の違和感も抱いていない柔らかな笑顔で、である。
「鳥越先生、新作読みましたよ。面白かったです」
「あぁ、良かったですー」
……鳥越、鳥越？
代々木は、頭の中の『顔検索データベース』を必死で起動させる。…そうだ、彼は鳥越貞允…先生。小説家だ。
直木賞にはあと一歩届かなかったものの、前年の芥川賞にノミネートされ、固定のファンを徐々に増やしている流行作家である。洋介とはまた違った作風だが、若干よくわからない不思議な文章が若い子に受けているらしい。
「鳥越先生、ですよね？」
「あー…覚えてらっしゃったんですかー」
「ええ、勿論ですよ！」
数分前に思い出しました！とは言わずに、代々木は笑顔で胸を張る。
「いや…覚えてるのは珍しいですよー。思い出される方はほとんどいませんしー」
悪気のない純粋な笑顔である。代々木は胸が痛むのを感じた。40にもなって俺はなにをしてるんだろう。
ところで、彼と話している間にいつの間にか服装に対する違和感は消えていた。
なんとなく、…いや本当になんとなくだが、彼がスーツを着ていたら逆に悪目立ちしそうだったのだ。そういう意味では、これが『目立たない正装』で間違いないだろう。
「あ、じゃあ僕このへんでー」
「はい、ではまた！」
『爽やか☆スマイル』フルスロットルである。やっぱりこの人酔っぱらってる。だっていっつも仏頂面だもん！
「あ、そうだ。さっき挨拶し損ねた女性にも挨拶だよね」
洋介はテキパキと指示を出す。いつもこうだったらいいのに、と代々木は密かに愚痴を言った。
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.83 )
- 日時： 2014/01/29 21:13
- 名前： はる （ID: JK5a7QPr）
ＳＩＤＥ Ｒ
つまらない。
以下同文である。
いくら瞳が来ているとはいっても、彼女も若女将の身だ。なかなか話すことが出来ない。それどころか、パーティが始まってから一度も会話らしい会話をしていない。
本当に、勘弁してほしいものだわ。
李亞霧は溜息をついて、ノンアルコールのカクテルを飲みほした。
「お兄ちゃん、久楽々先生は来た？」
そのまま、近くへ歩いてきた兄に話しかける。顔の左半分を長く伸ばした前髪で覆った彼は、首をかしげた。
「どうだろう。彼は社交が嫌いだと専らの噂だ」
「でも、来てくれないと困るのに」
「……りぃ、どうしたんだ？この間から久楽々先生がどうのこうのって」
幼いころの渾名で呼ばれて、李亞霧は口をとがらせた。
「りぃ、って呼ばないでよ。久楽々先生は著名な作家だから、会いたいだけ」
兄は訝しげに李亞霧を見やり、そしてしばらくすると納得したように手を打った。何か思い当たる節でもあったのだろうか、と今度は李亞霧が首をかしげる。
「彼、かなり整った容姿だからな。りぃが会いたくなるのも無理はないよ」
「そういうことじゃないの！」
兄は色々誤解している。
大体、この間起こった事件なんてほとんど公にはなっていないのだ。犯人は捕まり、学院長は病気で退職。後釜に教頭が座った。それだけの話が伝わっているのだ。
…李亞霧が、彼に会いたいと思っているのは、別にそのことを話したいからではなかった。
そうではなくて、もっと他の事が気になるのだ。
李亞霧のポケットが、カサリと音を立てる。
「……取り敢えず、先生が来たら教えてね」
「ああ、そうするよ。だけど李亞霧、あんまり遅くまでいるなよ」
なるべく早くホテルに戻ってやすみなね、と心配そうに聞くシスコンな兄を追い返して、李亞霧は料理を食べにテーブルを移動し始めた。
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.84 )
- 日時： 2014/02/24 21:44
- 名前： はる （ID: JK5a7QPr）
あげます。
もう少ししたら更新するかもです。
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.85 )
- 日時： 2014/12/20 14:10
- 名前： はる （ID: F2lwV46U）
お詫びとお知らせ
長らく開けていて申し訳ありません。
いろいろリアルの方で込み入った事情があり、更新することができませんでした。
その事情も一段落したので、またちょろちょろ更新していこうかと思っています。
ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.86 )
- 日時： 2014/12/20 14:43
- 名前： はる （ID: F2lwV46U）
「霧藤さん、こんばんは」
続いて洋介が向かったのは、瞳のように淑やかな着物姿の女性のところだ。
ただし、色香は段違いである。
「あら、久楽々先生じゃありませんか」
「どうも、お久しぶりですね」
「ふふ、そうですね」
何しろ先生はなかなかパーティにいらっしゃいませんから、とゆったりと笑う女性、名前を霧藤雪妃子という。
ユキヒコという名前と少し固めの文体のせいで、本人を知らない人にはよく男性だと間違われるらしい。
「でも、どうしていらっしゃったんです？」
「ああ、ちょっと気になることがありまして」
「……気になること？」
なんですか、と首をかしげる霧藤の声を、ああっという大声がかき消した。
「先生！」
……振り向くと、そこには水色のドレスを身にまとった美少女が、自分を見つめてポカンとした顔で突ったっていた。
見たことがないような可愛らしい少女に、一瞬たじろぐ。しかし、直ぐに彼女が李亞霧だと気づいた。
薄化粧だけでだいぶ変わるものだ。
「あ、来てくださったんですね……ありがとうございます」
ふ、と微笑む李亜霧。少し照れながらも返事をする洋介。
「あ……あの、すいません、せんせ」
ちょっといいですか、と後ろで代々木が声をかける。
訝しげな表情のまま、彼は告げた。
「彼女、school出版の経営者……というか、大財閥来栖グループのご令嬢なんじゃ」
僕、何度かお目にかかったことあるんですけど。
洋介は言葉を失った。
……そこまでお嬢さんだったとは。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17