ダーク・ファンタジー小説

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ゴールデン・デイズ
日時: 2014/02/19 07:08
名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: zhnbqHwV)

そしてこの黄金たる日々へ、最大限の××を。



初めまして、というか、また会いました、と言いますか。六と言うものです。むつ、と読みます。
小説カキコに来るのは年単位で久し振りです。そんな感じなので何かと勝手がわからない所もあるかもしれませんが、どうぞよろしくしてやってください。

更新はとても遅いです。そのうえ基本行き当たりばったりなので色々とおかしくなるかもしれませんが、暖かく見守ってくださると嬉しいです。

それでは、どうぞごゆっくり。



「夢を見た夜」 >>1

Re: ゴールデン・デイズ ( No.1 )
日時: 2014/02/18 15:40
名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: 9i/i21IK)

プロローグ:「夢を見た夜」


僕は寝付きが悪い。
いきなり何を言い出すのかと思われるかもしれないが、僕というのはとことん布団に入ってから眠りに落ちるまでが長い人間で、それと同じように眠りも深く、いわゆるレム睡眠というのは今までほとんど体験したことが無かった。つまり夢を見たことが無いのだ。友人に話したら信じられない、と言われたけれど、それこそ物心のついた時から今の今まで。
そんな風だから当たり前のように昔から寝不足に悩まされていて、目の下に陣取る濃い隈のせいでただでさえあまり良いとは言えない目つきが更に悪く見えてしまっている。友人と呼べるような存在だって、先程僕の夢の見なさ具合を信じられないと言った一人くらいしかいない。仮にも青春と呼ばれるような年齢であるのに嘆かわしい事だとは思うけれど、こればかりは僕のコミュニケーション能力の低さも比例されるのだから仕方が無い。友人が一人でもいるだけマシと言えるようなものだろう。

そんな僕がどうしてこうも長々と自分の記憶を反芻しているのかと言われたら、それは今現在僕が置かれている状況の特異さが一番の理由として挙げられる。
気付いたら僕は、真っ白な空間に立っていた。
辺りを見回しても人っ子一人見当たらない、それどころか建物や道らしき物もあるようには見えない。文字通り真っ新で真っ白な空間に、どういうわけだか学校の制服を着て、僕は立っている。
ここに居ると認識する前の最後の記憶は自分の部屋の布団の中だ。今日は珍しい事に夕方から眠気が襲ってきていて、久方振りに、——もしかしたら初めてすんなり眠れるかもしれない、と少しばかりの期待を胸に帰路についたものだった。
そうして家に帰ってから風呂に入って、寝間着に着替えて部屋へと戻ったのは覚えている。要するに、そこから先の記憶がないのだ。どういう事なのか自分でも分からないけれど、少なくとも今僕が着ているのは学校の制服ではなく寝間着であるはずで、今居るのはこんな何もない場所ではなく部屋の布団の中であるはずなのだ。
ならばどうしてこんな所にいるのかと自分で少し考えてみる。自分の記憶がないうちに別世界に瞬間移動した。流石にそんなSF的な展開はある訳がない。あったとしても瞬間移動しただけなら服が勝手に変わっている説明がつかない。こんな馬鹿げた可能性を真面目に否定しなければならない程、もしかしたら今の僕は混乱しているのか。
ならば残る現実的な可能性は一つだ。ある意味では非現実的なのかもしれないが、それを論じる意味はないとして。

今僕は、夢を見ているのだろうか。

物心ついてからほとんど体験した記憶がないから定かではないけれど、こんなに唐突によくわからない場所に飛ぶような現象は、どうやら夢を見ているのだと思うしかないようだった。
もう一度、辺りを見回す。先程と変わらない真っ白な空間に一つ溜め息をついて視線を正面に戻せば、誰かが立っているのが見えた。
顔は見えない。姿もはっきりと見ることはできない。おそらく人の形はしているだろうとだけしか分からないその人物を視界に入れた時、不思議と僕はあまり驚く事はなかった。これも夢の中だから、と言う事なのだろうか。

「……ええと、」

真っ白な空間に何かが表れたからと言って、それ以外には大した変化は見られない。そもそもそれが僕と同じ言葉を話せるのかどうかもわからない。果たしてどうしたものかと思案しながら小さく声を上げれば、目の前にいる誰かが一歩、こちらに歩み寄ってくる気配がした。

「お前は」
「ん?」

声が聞こえた。喋る所を見た訳でもないのに顔が見えない誰かがそう言ったのだとはっきりとした確信を持てた理由までは、僕には分からない。
収まったかと思えた混乱がもう一度湧き上がってくるのに僅かばかりの頭痛を覚えている僕をよそに、誰かは言葉を続ける。

「お前は、一週間後に死ぬ」

え、と声を上げる暇さえ与えられなかった。真っ白だった空間はその言葉と共に少しずつ黒に染まって行き、そうしてただ立っていただけの足元がぐらついて不安定になる感覚と共に意識も少しずつ薄れて行って、そして。



暗転。






「………、夢?」

寝間着が汗でべたつく気持ち悪さと共に目が覚めた。それと同時に先程まで見ていた光景が夢であるという確信を得て、今は何時だろうかと枕元に置いた時計を見る。
三時二分。今まで寝ていた時間より、少し遅い。
それを見た僕は思わず起こしていた上半身をまた布団へと横たえて、もう一度眠りにつこうと目蓋を下ろした。ひどく恐ろしいものを見た感覚に少しだけ震える身体を無理に押さえつける目的もあったけれど、
何より、ひどく眠たかったのだ。




Re: ゴールデン・デイズ ( No.2 )
日時: 2014/02/19 07:07
名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: zhnbqHwV)

一日目:「いつもの日」



1.

いくら奇妙な夢を見たからといってその翌日からの日々が変わると言う訳でもなく、当たり前のように時間は過ぎて朝はやって来る。昨晩の眠気が嘘のように消え去って朝の光に照らされながら目覚めた僕は特に何の感慨もなく不意に時計を見る。六時半。何時もよりは少し早い起床だ、などと考えながら布団から抜け出して、そのまま軽く伸びをした。最近は珍しい事が良く続く物だ。寝付きの悪いついでに寝起きも頗る悪いということ睡眠に関してはあまり良い所の無い僕がこんなにすんなりと目覚める事が出来たのは、初めてとまでは言わずとも相当に久し振りの事であったように思う。
壁に掛けられていた学校の制服に袖を通して部屋を出る。家族はまだ誰も起きていない。とは言っても、自分と母親の二人だけなのだから複数居るような言い方は間違っているのかもしれない。父親が居ない理由は、単なる遠くへの単身赴任だ。どこへ行っているのかは、何度聞いても忘れてしまうので覚えるのを諦めている。

少しばかりの朝食を用意して椅子に座って食べる。ぼんやりと食卓を眺めて頬張る一人の朝食に今更何を考えるという事はないけれど、会話も無く窓の外から何かの音が聞こえてくるだけの空間の妙な静けさは、時折耳に痛くなる時がある。
食べ終わり、食器を片付けてから鞄を持ち上げる。靴紐を結ぶ。解けないようにしっかりと結び終えた事を確認してから立ち上がる。この一連の動作を終えた所で携帯の時計を確認してみれば、いつもはまだ朝食を食べている程度の時間だった。七時十分。遅いのではないかと言われた事もあるけれど、家から通っている学校までは徒歩でそこまで時間がかかる訳でもないので遅刻の心配はない。

玄関の扉を開ける。行ってきます、を言っても返す相手はまだいないので本当は無意味なのだけれど、外へと一歩を踏み出すと同時に気紛れに一言、呟いてみる。

「いってきます」

誰も居ない筈の家から「いってらっしゃい」と聞こえたような気がしたのは、きっと僕の気のせいだろう。気のせいではない場合の事についてあまり考えたくない、と言うのが本音ではあったが。




朝の少し冷たい空気に僅かに身を震わせて歩を進めれば、やがて見えてくる校門に無意味に目を瞬く。本日快晴なり、と心中で独り言を吐き出して、学校の敷地の中に足を踏み入れた。恐らくずっと早い時間に出発したのであろう他の生徒のどこか賑やかな群れに紛れてそこまで早く出たわけでもない自分が居ると言うのは、どこか可笑しな気分だった。

「……おはよ」
「おはよう」

肩に軽い衝撃。それと同時に聞き覚えのある声で放たれた挨拶にほとんど反射的に返して其方を向けば、視界に映り込む同じく見覚えのある顔にひとつ息を吐いた。
名前は高橋未来。僕の唯一の友人にして、教室での席が前と後ろのクラスメイトだ。



Re: ゴールデン・デイズ ( No.3 )
日時: 2014/04/07 13:58
名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)

六様!! 
失礼ながら六様の小説読ませていただきましたぁぁぁぁぁ←
面白いです!面白すぎです←
応援してますがんばってください^^

返信 ( No.4 )
日時: 2014/04/11 23:05
名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: m.emTaEX)

>>黒hana様

勿体無いお言葉、ありがとうございます。何かと地味な雰囲気が拭えない感じですがこれからもこっそり頑張っていきたいと思います。
コメントありがとうございました!
たぶんもう少しで更新できるはず…


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