ダーク・ファンタジー小説
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- お湯を沸かせば出来る魔法書を読みましょう
- 日時: 2014/03/08 17:48
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
鏡に映って きらきらと燃える 蝋燭
水晶玉にうつる 揺れる瞳
あくる日も変わらない 周りの冷たい双眸
「……昨日、母を殺した」
窓の外で 彗星がひかる
——
作者挨拶 >>2
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登場人物
立花 翔太 タチバナ ショウタ
立花 楓 タチバナ カエデ
立花 優希 タチバナ ユウキ
大北 星哉 オオキタ セイヤ
佐川 志乃 サガワ シノ
漆本 遥花 ウルシモト ハルカ
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プロローグ 双眸 >>1
φ第一章φ 銀の世界
第一話【夕闇の螺旋】 第二話【仲間の元へ】
to1握りしめた手 >>3 to11宿命を抱いて >>13
to2世界の果てで >>4 to12敵からの刺客 >>14
to3破壊した形見 >>5 to13冷戦のその先 >>15
to4迫りくる強敵 >>6
to5風を斬る弾丸 >>7
to6ひとりの犠牲 >>8
to7消えた片割れ >>9
to8混沌する目的 >>10
to9消え去る仲間 >>11
to10星の見える夜 >>12
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□お知らせ□
*3/1 執筆開始
- Re: 銀色に燃えるキャンドル —双眸— ( No.11 )
- 日時: 2014/03/03 16:26
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
to翔太
だから俺にとって この場所は なんだか特別な気がする
(いっそ、国境まで行ってみるか)
壊れたピポットとトランシーバー
これは、人間界のもので、ここで直せる方法はない。
確か楓が 充電器は持っていたけれど……。
それにソーラー電池もついてる…けど今の俺に その機能は意味がない
まず壊れているから。
「つまんない」
ひとりで石を蹴っ飛ばした。
黄昏の街並みも、真っ暗になってきて、森を通り抜ける俺の視界はますます悪くなる。
「……助け、て——」
声が わずか…ほんの少し、聞こえる。
「誰だ?」
俺は周りを見渡す。
「…助…けて」
(あっちか!)
低木があり、わずか影になっているところを 雑草を抜けて俺は入っていく。
「…誰…だ?」
「助け、て——!」
だんだんと声が大きくなっていく
「どこ…?だれ…」
だんだん俺も怖くなってく。
「こっち——・・助けてくれ。…水、水…」
俺は見事に 持ち合わせに水を持っている
でも だんだんかきわけて行くうちに、声だけを頼りに歩いているから道がわからず
「あるぜ!こっちに 水ならいくらでも!!食いもんもあるぜ いくらでもあげるから 俺を助けてー!」
なぜか俺は 逆に助けを求めていた
————————
to楓
そうだ。これは嘘だ
嘘だと思いたい。
あの、翔太が。
あの、翔太が消えるわけはない。
「え?」
優希が、経緯を教えてもらい、自分のピポットを見つめた。
「俺のにも 翔太が無いな」
そう言うと、頭の回転の速い優希が、トランシーバーを取り出した
「翔太…っと」
——————
トランシーバー
1 翔太
2 楓
3 優希
4 志乃
5 遥花
———————
トランシーバーの数字を押せばその番号通りの人にかかる。
「…あれ?」
トランシーバーは、向こうが持っていれば バイブが送られて、振動が伝わるから気付くはずなのだけど。
「…あたしもかけてみるね」
あたしも、トランシーバーで「1」を押した。
ツーツーツー・・・・・・
「…かからない」
あたしもそう言った
「後で出直してみよう。…それにしても、遥花遅くない?」
志乃が言った。
「…あ。確かに。俺、見てくる」
優希が、いざとなったら、これで。と、トランシーバーを掲げて見せた
「なるべく、早くかえってきてね」
志乃が隣で手を振った
- Re: 銀色に燃えるキャンドル —双眸— ( No.12 )
- 日時: 2014/03/03 20:11
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
もう すっかり迷った。
声を頼りに行くはずだったが、その声も聴こえなくなってしまい
「おーい!!助けて〜 助けてやるから!」
なぜか俺も助けを求めていた。
「・・ん?」
俺の目の前に立ちふさがる、ずっしりと重たそうな石を持ち上げて見た。
「—…いよっと!」
向こう側へ押し返すと、人が下敷きにされていた
「———…えっ!おまえ、大丈夫か?!」
不審に俺の方へ顔を上げた
「ありがとう…」
そいつは、男で 背格好は俺と変わらないくらいだ。
「ほらよ」
手を貸してやり、立ち上がらせてやる
「…わ——」
ずっと下敷きだったためか、足がしびれてそいつは揺れた
「大丈夫…か?」
身体が斜めになるのを押しとめて、俺はさっきの石に座らせた。
「身体が、痛い…」
と、背を伸ばしてそいつは石に座ると、俺を向いた
「…助けてくれて、ありがとう。……僕は、大滝星哉…君は?」
顔つきは、俺と同じ日本人みたいな感じで、優しげでのんびりしてそうだ。
「俺は立花翔太!よろしく。」
俺も愛想よく答えると 星哉は笑顔になる
「翔太って呼んでいい?」
勿論、と俺が頷くが、あまりに幼稚で平行線な会話に、ほうと息をつく
「なあ星哉、おまえなんでこんなことになってんだ?」
俺が言いながら 袋から水を取り出した。
「…え?こんなことって?」
と、水を紙コップに分けてやると 大喜びで飲みながら答えた。
「———」
いや、だからおまえはなんで石の下敷きになってんだよ。
俺は愚痴りたいのをやめて 言った
「いや…石の下敷きになってるなんて、フツーじゃないだろ」
俺がそう言うと、星哉はこういった
「んー……。あんまり覚えてないな…でも、星から力を貰っていたから、ここで二日は生きられた」
曖昧な返事に俺は思った
(…前の俺と、なんか一緒)
人間界から来た俺は 遥花に助けてもらい……。
——————もしかしてコイツも、人間界から来たのか?
「おまえ、人間?」
唐突過ぎたかと思ったが、意外にも星哉は、スグに言った
「そうだけど。当たり前だよ・・っ」
…じゃ、コイツ やっぱ人間界から来たんだ。
「そうだな。俺も人間。でもこの場所は人間が住む場所じゃない。ミーティア界って言って、俺たち人間が住む場所の真反対の次元にある場所らしい」
「は?」と、目をぱちくりさせる星哉に、俺は はーっと息をついた
(ダメだ コイツとはしゃべってられない)
「…じゃあ僕、タイムスリップしてきた みたいな」
意外にも早く状況を読みこんだ星哉に、自分の火の力で沸かした水でラーメンを作ってやると、飛びついて食べた
「そんな感じ「これ美味し〜……なんていうの?」
ラーメンも知らねーのコイツ
「…インスタントラーメンってんだ」
真面目に教えてやる
「へえ…。この場所にはそんなものが」
いや、待った待った。これは人間発祥。
「違う、人間が作ったものだ」
「え!」
…だめだ平行線すぎる。
(これも…あの時と一緒)
人間界から来たときの俺の記憶は、おぼろげでほとんどのことを覚えていなかった
ただ、俺は自分の名前や ちょっとした物事の名前を覚えていたくらいで。
(コイツも…)
「…おまえに、どこを行けば楓たちに巡り合えるのか聞いてもどうしようもないよな」
「え?なんか言った?」
優しい笑顔で ズーとラーメンをすする星哉
「いや、なんでもない」
楓たちに巡り合える場所は、星哉に訊いてもほかのだれに訊いてもきっとわからないことである。
- Re: お湯を沸かせば出来る魔法 —双眸— ( No.13 )
- 日時: 2014/03/03 20:37
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
to楓
「…で、遅いね」
志乃とあたしは困り顔になった。
さっき、優希が居なくなってから 一時間たって、「たかが一時間」とあたしたちは笑っていたのだけれど。
でも、もうそれから十分、二十分と経過して……。
トランシーバーは繋がらず、一応ピポットが繋いでるので居場所はわかるのだけれど……
「あたしたちも行ってみる?」
あたしが言った
「・・そだね、遥花も心配だし」
あたしは優希の元へ
志乃は遥花の元へ
ピポットを頼りに進むことにした。
———
to翔太
「今日は野宿にするかー!」
俺が言った。
「野宿…?ここで寝るってこと…?そんな——」
さっきから話していて、こいつはなんか品がある気がする。
話していくうちに、だんだん記憶が戻ってきたのか、頭もよさそうだし、どことなく上品な雰囲気が漂っている。
(・・金持ちか。毎日黄金ベットで寝てるとか汗)
親もいない孤児の俺みたいなヤツとは大違いだ
「……しょうがない…だろ?それともおまえ、この辺彷徨って一日中、助けて〜泊めてくださーい!とか叫んで泊めてもらえるとか思うなよ。助けてくれるのは俺ぐらいだぜ」
一応もっともなことを言ったつもり
「・・一応、寝袋は持ってるから」
と、俺は寝袋を一つ、取り出した。
ミニテントもあるから、一応開くけど、
「このミニテントで寝るけど、寝袋ナシか、寝袋はあるけど、じかに地面に触れるか。どっちががいい」
俺が言うと、そいつはミニテントを選んだ
(よっしゃー!)
ミニテントは小さい上に、ペラペラなので地上で寝るのとまったく一緒。
「んじゃ、おやすみー!!」
でも、俺みたいな追われ人が、無事に寝つける一日など 無いにすぎないんだ。
- Re: お湯を沸かせば出来る魔法 —双眸— ( No.14 )
- 日時: 2014/03/04 16:53
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
- 参照: http://いかぶいきと
バー————ン!!
「なんだ!!」
俺は銃の音に飛び起きた。
でも今のは 少し銃とは違い……雷というかつんざく電撃の音が頭を離れない。
心臓がバクバクする。
「おまえら…地球人…だろ」
冷たい双眸で見下ろしてきたそいつは、いかにも異世界人ハンターの様子で、狩人のような、ボロ布の黒づくめな格好で、指先から電撃を放っていた。
俺と同じくらいの年だろう。
「……俺はアイボリー界からきた 刺客。カイト…———」
混沌に満ちた瞳のそいつは、口の端を歪めて笑った。
「星哉!!」
俺が起きるのが遅かったのか、星哉は先に気付いていたのだろう、敵軍のいけにえとされていて。
「・・サジ、そいつは逃がしていい…」
カイトが言うと、ロープで星哉を逃げないようにしていたそいつが、歩けない星哉の肩を押し、俺の方へやった。
「おまえ、名前は…?」
カイトが言った
「…立花翔太、だ……」
一応答えて置く。
「…またおまえと、会いそうな気がする。だから今日、君が万全じゃない状態で戦うんじゃなく、お互い万全な状態でおまえを殺したい…。」
そう言うと、そいつは背を向けて、森の奥の方へ言った
「星哉…大丈夫か」
俺の 注意不足だ。
- Re: お湯を沸かせば出来る魔法書を読みましょう ( No.15 )
- 日時: 2014/03/07 18:19
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)
俺は何時も万全にあいつらを守ったことがほとんどない。
どうすれば…
人質に取られた星哉を救出したものの、これでは俺の気は収まらなかった。
「怪我してないか?」
うん、と頷いた星哉のロープを外してやる。
夜明けが来た。
日の出が森の奥深くに見える
俺は、ずっと考え事にめぐらしていた
(…カイト)
アイボリー界から来た。と言っていた
そんな場所 俺は知らないのだが…
「くっそ」
考えてても、もう何も出てこない!!
バ——ン!
俺の指先から出た紅焔の炎の銃弾が飛び散った。
その炎の弾丸は、空を斬り、真っ赤な炎を上げて森を焼いていく。
「……火の、力?…」
火炎の向こうから、聞き覚えのある少女の声がした。
「—————……か、——!」
——————
to遥花
「薬草…」
森に生える薬草の見極めは とても難しいのだけれど、この*力*を持って難しいことなどなかった。
怪我に効くアロエやまたいろんなハーブを、瓶にいれていく。
「・・あ」
夢中になって気が着いたら、もう真っ暗で。
(…やばい、かも)
自分を心配して動いている人が居るはず
となると…
ピポットを取り出して、私は周りを見た。
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ピポット 2014.3/2 AM12:18
漆本遥花 29LV ●●■■◆
○□○□◆
HP2900/3000 □▲★■▽
攻撃力300/5000 ◆◆▽◆○
防御力1000/3000
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「あれ?」
楓とは遠く離れてて
志乃と優希とも近くはない
……でも
「翔太…消えた?」