ダーク・ファンタジー小説

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守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.92 )
日時: 2016/01/04 22:52
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: EWbtro/l)

あけましておめでとうございます!新年ですね!
戻ってきちゃいました……更新頑張ってくださいね!
今年も頑張ってください。4分の1、ですか。
まだまだ読めるんですね!楽しみです!
これからの展開が楽しみですね〜
本当にお世話になりました!

裏の傍観者さんはとても、誠実で信頼できる人です!
こんなガキとお話ししてくれてありがとうございました。

遅くなりましたが、夏大会受賞おめでとうございます!!!


守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.93 )
日時: 2016/01/05 17:12
名前: 裏の傍観者 (ID: EqqRo75U)

「以上が俺の過去話だ。聞いての通り、特別なことなんてない。」

今までの振り返りだと思って俺は夕美と突然訪問してきた冥に俺の過去を話した。
夕美はいかにも泣きそうな感じで、冥については興味深そうに話を聞いてくれた。
話をしっかり聴いてくれたのは語った俺としては気持ちがいいものだが、彼女の表情が険しかったのがすごく気になった。

「・・・夕美?」

「なによ・・・ッ。」

「泣くような話でもなかったろうに・・・。」

ハンカチを夕美に渡す。
夕美はそれをすぐに受けとるとそのハンカチで涙をふく。

「はぁ、・・・楽しんでいただけたか?」

「私は他人の不幸を楽しむような人間じゃない。」

「そうか。」

空になったカップに新しく紅茶を注ぐ。

「・・・不思議。」

冥はポツリと呟いた。

「なにがだ?」

「戦う人達が強い理由。・・・目的、または理由だけで強くなるものなのかと不思議に思った。」

「強いか弱いかは別だよ。だが、本当に目的や理由がなくてただ動いているとしたら、そいつはただの人形だ。誰かの指示がなければ動かない。ましてやそれが兵士だとしたら、それこそ無情殺戮マシーンだ。」

「無情な殺戮・・・。」

なるほど、どうして話が聞きたいと言っていたのか理由がわかった。
彼女には最初から目的や理由がなかったのだ。
それをいまでも探し続けていると感じた。

「冥、お前にはないのか?」

「・・・わからない。私は幼い時に両親に捨てられた。行き場を失い、さ迷っていた私に行き場をくれたのが原島社長。住む場所、短期の学校、仕事を与えてくれた。」

「その仕事が傭兵・・・か。」

彼女はまだ17歳、まだ学校に通っていたとしたら高校2年生・・・といったところか。

「なぜ短期を選んだ?」

「・・・生きた感じがしなかった。捨てられたときから私は死んでいたのかも知れない。このまま呑気に生きて、この先に何があるのか分からない。」

「強くなりたいと思った理由は?」

「知りたいから。武器を持ってしまった人間は、この先どう生きていくのかを。」

こいつもまた、銃を手にして戦い続け、その結果銃を手放せなくなり未来を失ってしまったのかもしれない。
なら簡単だ。

「目的はあるじゃないか、冥の口から出たぞ。」

「私に・・・目的があるの?」

「自分でいったろ、武器を持ってしまった人間は、この先どう生きていくのかを・・・とな。お前はそれが知りたいからいまも銃を手にして戦っている。そこで見てきたんだろ、多くの兵士を。」

目的や理由がない戦士はどこにもいやしない。
敵味方関係なく誰にもある。

「だがお前の場合、その目的はただ見届けて終わるだけだ。・・・目的は、自分が大きく変わるように設定しておくんだ。」

「大きく変わるように設定・・・?」

「例えばの話だ。将来の夢だ、国を守れるような人になりたいのと、この世界の傍観者になりたい。どっちが面白いと思う?」

「・・・え?」

「簡単な話だ、体験するかただ見ているだけのどっちが面白いかだ。ただ見ているだけではつまらないだろう。なら、実際に体験した方が面白いとは思わないか?」

「確かに、面白そう。」

「要するに、今の目的はただ見て終わるだけになっている。それがループして抜け出せなくなっている。そして先が見えなくなった、それが今の冥だ。」

「私・・・。」

「せっかくの機会だ、目的を考え直してみろ。そうすれば、努力して色々なことを学んで成長し、自分が大きく変わる。そしてそれが強さに繋がる。」

すると冥は自分の胸に手を当てる。
どうやら、自分と向き合い始めているのかも知れない。
別の目的を探すには時間が掛かかるかも知れないが、彼女は17歳だ。
まだ時間はたっぷりとある。

「これからゆっくり考えればいい。そして自分で決めろ。俺からはそれだけだ。」

彼女は席を立つ。
表情が柔らかくなっていた。
それは、安心したかのような表情だった。

「・・・貴重な話をありがとう。結美2尉官、もう一度考えてみる。」

「おう、頑張れよ。」

冥は俺と夕美に一礼をし、壁に立て掛けていた小銃を手にして部屋を出た。
再びこの部屋で俺と夕美は二人きりになった。
眠くなってきた俺は、ベッドでもう一度横になる。
それに続いて夕美も隣で横になる。

「・・・本当に、優しいわね。」

夕美が俺の左腕に密着する。

「優しくはないよ、ただ教えてやっただけさ。それに彼女はまだ17だ、終わるには早すぎる。」

「そうね、でもそれって私達にも言えることじゃないかしら?」

「まぁな。今の目標は国内戦争が終わるまで生きる事で、そしたら次は家族を作って平和な時代を生きる事・・・だな。」

そのためには今の状況を乗り越えなければいけない。

「え?」

「夕美と結婚する・・・ってことだ。」

夕美は急に顔を真っ赤にする。
俺の発言であまりにも驚いてしまったのだろうか。
だが驚きの表情はすぐに消え、嬉しそうな表情になった。

「本当に・・・?」

「あぁ。まだ先にはなるが、結婚しよう。」

「うんッ、約束よ玲也!」

「約束・・・な。」

夕美の頭を撫でる。
気づけば俺たち2人は眠りに落ちていた。



宿泊施設3階 301号室。

慶田のおやっさん達との宴会が終わり、部屋に戻った俺が狙撃銃の手入れをした。
狙撃銃の手入れが終わり、そのままベッドにダイブする。
明日はいよいよ本番だ。
俺の狙撃が皆の命を左右する。
そのためにも明日は絶対に成功させる。

コンコンッ

扉がノックされた。

「はい、今開けるっすよ。」

立ち上がって扉を開ける。
訪問してきた客に俺はビビった。

「よう。」

「機十 編さん?どうしたんすか、国防技官が俺んとこに来るなんて。」

彼女を部屋に入れ、椅子に座らせる。

「いやな、最初は結美に用があっていったんだが、夜の営みの最中だったみたいでよ・・・。」

「まじで!?」

ついに玲也と夕美は繋がったか!
めでてぇな!!
っじゃなくて・・・!

「タイミング悪かったっすね。」

「・・・ウチもあぁなるんか。」

ブフォッ!?

思わず飲んでいたコーラを吹き出してしまった。

「なに嫌らしいこと考えてんすか!?」

「気になるじゃねぇか普通!!」

「いやそうすけど思ってても口にしないっすよ!?」

とりあえずしばらく彼女を落ち着かせるためにお茶をだそうとしたが・・・。

「わりぃ、私もコーラもらっていいか?」

「オッス。」

コーラをコップに注ぎ彼女に渡す。

「サンキュー、それにしても結美と日暮奈がカップルだったとはな。」

「前からっすよ。最初は夕美が片想いだった。」

「へぇ。」

「んで、玲也と夕美がお取り込み中で、俺んとこにきた理由ってなんすか?」

「私敬語が苦手なんだ、普通にタメでいいぜ。」

「おう、んじゃ遠慮なく。」

「理由はあの二人がお取り込み中で用がなくなったから暇になって貴志川のところに遊びきた。」

「あぁ、そういうことか。OK、なら付き合うぜ。」

「ノリがいい男は好きだ、勝負しようぜ。」

彼女はポケットからトランプを出す。
俺たちは寝落ちするまでひたすら勝負した。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.94 )
日時: 2016/01/06 23:09
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

翌朝、車両格納エリア。
もう少しで出撃となり、皆は最終準備にかかる。
それにしても貴志川には驚いた。
貴志川に狙撃について追加注文しようと夕美と部屋に向かったのだ。
ノックしても返事がなく、扉を開けてみた。
するとどうだ。

「・・・負け・・・ねぇ・・・ッ。」

「・・・んの・・野郎・・・。」

寝言をいいながらプロレス技を決めあっている二人がいた。
貴志川に関節技を決めていたのは・・・。

「ねぇ、その子・・・。」

「なぜ機十技官がいるんだ。まぁいい、夕美は彼女を。」

「分かったわ。」

ひとまずこの二人を起こす。

「おい貴志川、起きてくれ。」

貴志川の肩を軽く叩く。

「機十 編さん起きて、朝よ。」

帰って来た返事は・・・。

「素っ裸は・・・・!ごめんだ・・・ぜ!!」

「いい・・・から・・・脱げッ。」

二人の寝言を聞いた俺と夕美は恥ずかしくなった。
なんだ!?
この二人はできているのか!?

「「起きろ!!」」

躊躇うことなく二人の頬をつねる。

「ワッツ!?」

「ってぇな!!」

二人がやっと目覚めた。
貴志川と機十は気が合うのだろうか、動作が二人してぴったりだった。

「貴志川、追加注文だ。これを。」

「なんだ玲也と夕美か・・・。へいよっと。」

注文内容の書かれた紙を渡し、貴志川はそれを受けとる。
その間に夕美が機十と会話をしていた。

「ところで、どうして貴志川とプロレスなんかしてたのよ?」

「へ?・・・あー、罰ゲームだよ。負けたほうが全裸になるって賭けしてたんだ。」

「そう・・・。それまたどうして?」

「・・・・・。」

機十は急に顔を真っ赤にした。

「編がよ、玲也に用があったらしいんだが、二人がお取り込み中でこっちに遊び来てたんだよ。」

「「!?」」

「んで、ゲームしてたんだがそれがエスカレートして俺が全裸になりかけたぜ。」

「・・・機十さん、見たの?聞いたの?」

「わ、わりぃ・・・。見ちゃいないがおもっきし聞いちまった。」

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

夕美はあまりにも恥ずかしかったのか、叫び始めた。

「あははははは、それより玲也。」

「なんだ貴志川。」

「頑張れよ、夕美の旦那。」

「・・・言われなくても。」

貴志川と力強く握手をする。
夕美はというと・・・・。

「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい・・・。」

「まぁ、いい事じゃねぇかよ。好きな男なんだろ?良かったじゃねぇか、な?」

「それが他人に知られて恥ずかしいって言ってるのよ!!」

何とも落ち着きのない夕美だった。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.95 )
日時: 2016/02/01 18:01
名前: 裏の傍観者 (ID: sxKEM2AA)

0935時、新宿駅西口封鎖区域。

誰もいないはずの封鎖区域に展開する彼我不明の人員。
散らばっている発電機のエンジンを始動し、多くの電気が一斉に発電する。
人員はそれを確認すると、互いに確かめ合いそれぞれ持ち場に移動する。
発電された電気が送られる先は、この中でもっとも高い建物の屋上にある巨大アンテナ。
改造が施され、周りにさまざまな機材が並んでいる。
そんな中、屋上から周りを見渡す男が一人。
双眼鏡を手に、地上を見渡す。

「・・・こちらカラス、弱者の盾が現れた。車両、人員ともにこの前とは比較にならない数だ。」

<こちらシグナルセンター了解。各人に通達、弱者の盾が接近との情報あり。戦闘用意。繰り返す、戦闘用意。>

放送が流れると人員は一斉に動き出す。
展開を急ぐ彼らの手には、小銃やロケットランチャー。
自身をカラスと呼んだ男は狙撃銃を担ぎ、その場を移動した。



同時刻、封鎖区域入り口。

予定通り状況開始線を越えて現場に到着した。
皆今まで以上の緊張感に襲われ、誰一人余裕な顔を見せるものはいない。
無線機の受話器を手にして、送信ボタンを押す。

「総員、戦闘用意。すぐに敵と接触になるかもしれない。・・・そのときは躊躇わずに撃て。絶対に無理だけはするな。」

≪了解!!≫

「予定通りここで各小隊に分かれる。解散・・・今!」

指示通り、車両は交差点で4つの小隊に別れた。
1小隊を率いる俺と夕美は俺と三溝1曹が偵察したときと同じルートを前進する。
2小隊率いる慶田先曹官は西へ。
3小隊を率いる河瀬2曹官と華目3曹官は東へ。
4小隊はたったの2名で貴志川と機十技官には狙撃地点から1〜3小隊の援護射撃を任せた。
1小隊の前を走っている車両には、武装傭兵団の現役社員たちが先導している。
その車両の銃座に、見知らぬ男性社員が体を乗り出し12.7mm重機関銃、通称キャリバー50にリンクにつながれた弾を装填し射撃準備を完了した。

「玲也、彼ちょっと無防備すぎないかしら・・・。」

「夕美もそう思うか?・・・無茶するよな、連中。」

なんというか、傭兵らしい。
だが俺は彼に違和感を感じていた。
彼の銃座の扱い方が自衛官に見えて仕方がなかった。
トランシーバーを手にし、冥を呼び出す。

「冥、銃座についている彼は誰だ?」

<渥城 嶺莪、元自衛官。>

やはりそうだったか。

「彼に繋いでくれ。」

しばらくすると彼は車内に潜り込み、変わりに体つきのいい男性社員が出てきた。

<渥城だ、何かようか?>

「聞いているとは思うが俺は結美、お前と同じ元自衛官だ。」

<あんたが結美か。>

「元自衛官としてアドバイスだ、撃つ時以外は頭をキャリバー50から出さないことだ。頭を撃ち抜かれるぞ。」

<元機甲科隊員のアドバイスに感謝する、俺は元普通科でな。>

「そうか。」

<作戦が終わったらあんたの話が聞きたい、冥に話してくれたらしいな。>

「同じ元自衛官としての話か、いいだろう。無事生き残れたらな。」

トランシーバーをポーチにしまう。
彼も再び体を乗り出し銃座についた。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.96 )
日時: 2016/10/11 11:24
名前: 裏の傍観者 (ID: EOhOGqBm)

封鎖区域に侵入してから20分が経過した。
玲也達と交差点で散開した俺と機十技官の2人で狙撃地点に向かっていた。
途中で車を降り、徒歩で建物に侵入。
屋上には行かず、見晴らしのいい事務室で狙撃銃などを展開する。

「予定通り、まずは1小隊からだな」

「観測資材はここでいいのか?」

隣で機十技官が観測用単眼鏡を展開した。

「おう、観測よろしくな」

「任せな!」

彼女は軍用携帯端末を操作する。
ここまで登ってくる途中、通路や階段などに片っ端からセンサーを取り付けてきた。
狙撃に集中している時は周囲への警戒ができないため、侵入されたときの対処としてセンサーを仕掛けてきた。
センサーで敵の侵入をいち早く知ることができるので、囲まれないようにすぐに対処することが出来る。

「んじゃ、こっちも始めっかな」

ガンケースから狙撃銃を取りだしその場に展開する。
使用する狙撃銃は7.62mm弾を使用するセミオート狙撃銃、SRー25だ。

「準備できたぜ」

機十技官は展開しているマットの上で匍匐の姿勢を取り、観測用単眼鏡を覗く。
彼女の隣で匍匐し、狙撃銃に弾を込めスコープを覗く。
1小隊の車両を確認し、玲也に無線機で報告をする。

「トレジャー1、こちらサーチハンター。化け物が目を覚ました、繰り返す化け物が目を覚ました。送れ」

<サーチハンター、こちらトレジャー1。了解、宝探しを始める。頼むぞ、送れ>

「了解、終わり」

無線機をその場に置き、スコープを覗く。
玲也達は予定通り第1調査地点で車を降りて行動を始めた。

「こっちでも確認できたぜ」

隣で観測をしている機十技官はパソコンを開いて電源をつけた。

「何してんだ?」

「ちっとまってろよ、もうじき分かるぜ」

彼女はソフトを立ち上げる細かい設定などをいじりだし、ポーチから取り出したコードをパソコンと無線機に繋げる。
すると・・・・。

≪・・・・こ・・・ら・・・・シグ・・ル・・・・センター・・・≫

「スケルチ調整を・・・これでよしッ」

設定を完了し、エンターキーが押されると無線がはっきりと受信出来るようになった。

「おい、こいつは・・・」

「ビックリしたろ!無数のアンテナが聳え立ってると聞いてちっとハッキングしたらまさかのビンゴってわけ」

「まじか!さすがだぜ!」

機十技官は無線機を操作し、玲也に連絡をする。

「トレジャー1、こちらサーチハンター。化け物に耳が付いた、送れ」

後は機十技官がサポートしてくれる。
彼女を信じて俺は狙撃に集中する。



1000時、第1調査地点。

目標地点に到着した俺たちは下車し徒歩による調査を開始した。
途中、サーチハンターから無線で呼び出される。

<トレジャー1、こちらサーチハンター。化け物に耳が付いた、送れ>

この声は機十技官だな。
化け物に耳?

「化け物に耳・・・そんな暗文あったかしら?」

夕美は暗文をまとめた手帳を開いて確認していたが、該当する文がなかった。
すると、別回線で雑音が暫くなったあとに別の無線を受信した。

<こちらシグナルセンター、ドローンが新宿駅のロータリーで別動隊が車から出てきた。各警備班は警戒を厳にせよ。なお、カラスが地上を監視中である>

おいまて・・・こいつは敵の無線!?
新宿のロータリー・・・つまりは俺たちの事か!

「全員今すぐ建物に入れ!敵が出るぞ、戦闘用意!」

「了解!皆、聞いたわね?」

『了解!』

俺たちはすぐに建物に身を隠した。
冥達は別の建物に身を潜めた。
俺は冥にトランシーバーで連絡をする。

「冥、そっちでドローンは確認できるか?」

<・・・ここからじゃ見えない>

「わかった、あと敵の無線を傍受できるようになったようだ。確認しておけ」

<了解>

無線機で貴志川を呼び出す。

「サーチハンター、こちらトレジャー1。ドローンを確認できるか?送れ」

<こちらサーチハンター、確認した送れ>

「了解、撃ち落とせ。後化け物に耳については了解した、送れ」

<サーチハンター了解、終わり>

無線機をしまい、アメリカ製の小銃、M4A1の安全装置を解除して単発に切り替える。
もうすでに敵に見つかっているが、調査を続行する。
手信号で皆に調査開始の合図を送り、調査を開始した。


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