ダーク・ファンタジー小説

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最凶男のひまつぶし
日時: 2012/07/04 21:01
名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)

この世に生まれた時、まずつまらないと感じた

やる事する事全てを成功させる事ができて、努力を知らず、挫折を知らず、感謝を知らず、苦痛を知らずに育ってきた

歪んでいた
俺は齢10歳にして、自身の力を悟った
この能力は、使いようによっては世界を滅ぼすことも出来るし、平和にする事もできる
俺は、この力を無闇に使う事を止めて、静かに過ごしてきた
そんな15歳のある日、この能力を世界的な裏組織に知られて毎日を慌しく送るハメになってしまう
なので、その組織を壊滅させた。取り逃がしこそ2〜3人いたものの、組織のボスや幹部は全て皆殺しにした
そうなれば、裏の世界では一気に有名になってしまう。俺はありとあらゆる組織から命を狙われる事となった。そこで俺は考えた
『そうだ、俺という存在を消そう』
俺は力を使って自身の生い立ち、経歴を全て抹消した。更に自身の顔や声、骨格や身長も変えた。
顔に自身が無かったわけではないが、前よりかは格好よくして背も高くした。その代償として、声を失ってしまったわけだが。
そんなわけで、今俺は普通の高校に通う”蝶番公人”として生きている。周りの人間からはきーくんと呼ばれるので、この名前も悪くないなぁと思っている。
ただ、何故こんな妙な名字にしたかと言えば、周りの人間にもこんな漢字の人間が多いからだ。俺はそんな奴らに便乗したわけだ、面白い名字ってのも悪くない。
こんな風に、暇を潰す為に俺は色々と遊び心を持とうと思っている。この力があれば、例え暇つぶしの為に人が死のうがどうなろうが元に戻せる。楽しそうだな、この遊び。
でも大丈夫。
生き返らせて あげるから。



はい、どーもどーも!Mr.ピーナッツです!
いやぁ、作者コメントみたいなの書くの忘れてました。てへぺろ☆
この作者コメントを見てシリアスな気分がそがれて気分悪い!消してしまえ!という意見があったら募集してます^^b
さてさて、この小説ですが
荒らし・中傷禁止です
あとはー亀更新ですかね、やっぱり。
ネタが切れたら更新停止!書く気になったら更新再開!やる気が失せたらサヨウナラ!そんな小説です。
こんなやる気の感じられねぇ小説読まん!という方も、なるべく広い目で見てくれたら嬉しいです^^;
誤字・脱字があったら指摘お願いします!
それでは、こんなところですね。どうぞ!



登場人物

蝶番公人(仮)15歳♂/0人目の能力者
この物語の主人公。生まれながらに能力を持ち、様々な力を操れるようになった異常人物。この学校の人たちを使って様々な暇つぶしをしようと考えている。

流鏑馬桂馬15歳♂/1人目の能力者
公人と同じ学校に通う高校一年生。公人の能力によって『スロー(時間)』を操れるようになった。この力で、自分を救ってくれた女の子をイジメから救おうと決心する。


第一章【遅男スロウマン流鏑馬桂馬による水面下で起きた逆襲劇】

>>1
>>2
>>3
>>4
>>5

Re: 最凶男のひまつぶし ( No.1 )
日時: 2012/06/29 20:10
名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)

第一章【遅男スロウマン流鏑馬桂馬による水面下で起きた逆襲劇】

俺は虐めが許せない。虐めなんて低脳な人間のやる思いやりの無い馬鹿な行為だ。
虐められる方にも虐められる理由がある?違う、理由があろうと虐めていい理由にはならない。そんな言い訳をする人間を、俺は何人も知っている。だけど俺には、それを知らせる勇気が無い。
俺が孤立していた時、手を差し伸べてくれた彼女のイジメの事を知らせる勇気が無い。臆病者なんだ、俺は。
流鏑馬桂馬やぶさめけいまは一人校舎裏で頭の中で自身を責めていた。彼のいるクラスでは、ある女子をターゲットにイジメが起きている。
そのいじめられている彼女は、桂馬に唯一優しく接してくれた恩人でもあった。だが桂馬は、また孤立する事を恐れ、何も出来ないでいた。
彼女が毎日の様に虐げられている中、桂馬は教室の隅で座っている事しか出来なかった。
桂馬は、それが悔しかった。俺は恩人に対して何も報いる事は出来ないのかと。
そんな桂馬にすら、彼女は笑ってこう言うのだった。
「気にしないで!桂馬君は悪くないよ!」
……俺は悪くない?君を助けられないのに?止めてくれ、そんな慰めは。君も誰かに助けを求めてくれよ。俺にはどうしようもできないんだから。頼む、これ以上堪えるのは止めてくれ……。
君を失ったら、俺はどうしたらいいんだ——?

違うだろ?

頭の中で誰かの声が聞こえた。声からして男声だったので、男だと想像は付くが……声?
桂馬は半ば泣きかけの目を擦ると、辺りを見渡した。違う、誰かが話しかけているわけじゃない。俺の脳に直接——?

誰かに助けを求めてくれ?違うだろ、お前が誰かに助けを求めたらいいんだろ?

そうだ、正論だ。でも、論理的な考えと感情的な考えでは矛盾が生じる。論理的には僕が誰かに助けを求めれば解決するし、僕自身誰かに助けを求めればいいと思っている。だけど僕はそれを知らせる勇気が無いから行動に移せない。矛盾している、矛盾矛盾矛盾ッ……。

お前の勇気なんてどうでもいいんだよ、お前が勇気を出せばいいだけだろうが。

そうだよ、そうさ。でもそれが出来ないから困ってるんだろ!?黙ってろよ馬鹿!消えろ死ね!
……って、俺は一人で何考えてるんだ?とうとう精神まで病んだか。

——そんな根性なしのお前に、勇気を出せる力をくれてやるよ。
その瞬間、桂馬の体は眩い白光に包まれた。しばらくして、光も弱まりだした。その時、その声がまた頭の中で響く。


その力で足掻いてみろよ、遅男。

















——今回のひまつぶしは、復讐者VSイジメ……か

Re: 最凶男のひまつぶし ( No.2 )
日時: 2012/07/01 14:20
名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)

わけが分からなかった。
体が発光したかと思えば、すぐ光は弱まり体は普段どおりに戻った。
そして、それを最後に頭の中に声が響かなくなった。
「幻覚……?」
僕は怪しい薬を使った覚えは無いが、こうやって思い悩む内に精神を病んだんだろう。桂馬は頭を掻き毟り「クソッ!」と地面に落ちていた石を蹴った。そしてその石は、もの凄いスピードで——不良グループへと飛んでいった。
ガンッ!
鈍い音が聞こえてきた。そして不良グループの一人が鼻を押さえて悲鳴を上げている。どうやら、桂馬の蹴った石は直球に不良の鼻を捉え鼻の骨を狙ったのだろう。いや、桂馬自身はそんなつもりは全く無かったわけだが。
やはり、石が飛んできた方向からするに俺は見つかるんだろう。
「コラテメェ!!」
男子特有の低く図太い声がする。声だけ聞けば殆どおじさんだが、声を出している本人が不良とくれば、迫力も一層増すわけだ。
逃げる、という言葉が脳裏を巡った。しかし、上手い事体が動かない。ふと後ろから、気配を感じ後ろを振り向けば、ドラマに出てきそうな金属バットにメリケンサックを装備した不良達が此方を見ている。鼻を折った方の男がいる不良は5人、装備を身に着けた不良が5人。
そして、不良達はアイコンタクトを取ると、ザッと一人が動き二人が動き、あっという間に桂馬は囲まれてしまった。
四面楚歌
昔の人は何て便利な言葉を作ったんだろう、なんて事を思っていたら後ろから殴られた——





痛い……

意識を取り戻したら、目の前の不良達がぞろぞろと帰り始めた頃だった。「あーすっきりしたなぁ」「俺は鼻をやられたんだ……何なら殺しても良かったんだぜ?」なんて話し声が耳に入る。
細く目を開けながら桂馬は思い出した。そういえばこいつ等、イジメのメンバーだったな。……そうだったな。
桂馬はカッと目を見開くと、体の痛みを堪えながら立ち上がる。その目には高校生とは思えない気迫と殺気で溢れている。勿論これには、桂馬自身も驚いていた
——この妙な自身は……なんだ?
桂馬はその満ち溢れる自信に背中を押されながらも不良達を呼び止める。
「待 て」
桂馬が声を発した瞬間、不良達の足が止まる。そして桂馬の方を振り返れば、全員がニヤリと笑って喋りだす。
「懲りてねぇみてぇだなぁ!」「俺にやらせろ、イラついてんだからよっ!」
鼻の血を止血する為に詰め込んでいるティッシュさえ無ければ、もう少し気迫があったんだろうに。桂馬はそう思いながらも拳を握り締めた。正直に言うと、こういう喧嘩馴れしているコイツより先に攻撃を当てれる自信は桂馬には無かった。それでも拳が動いたのはせめてもの防衛本能だろう。桂馬は臆する事無く、相手の頬目掛けて思いっきり拳を突き出した。

次の瞬間、相手の動きが止まった。いや、スローになったと言うべきだろう。スローになった相手の拳は途端に威力とスピードが落ち、桂馬のパンチは見事炸裂した。
それどころか、周りの不良達全員がまるでスローモーションを見ているかの様に遅い。テレビでよく見る、あのスローモーションそのものだった。桂馬は、その動きに違和感より先に怒りを覚えた。
「俺を舐めるんじゃねぇぇっ!!」
近くにあった鉄パイプを手に取り、桂馬は片っ端から不良達を殴っていった。


地面にノビている不良、手に持っている鉄パイプを落とす桂馬。
こいつ等、ふざけてるんじゃなかったんだ。
桂馬は、不良達が桂馬を舐めてかかりふざけた動作をしていたんだと見ていた。しかしそうではない。
不良達はそのまま抗う事無く、こうして地面にノビているのだから。
桂馬は、ふと頭に響いた声を思いだした。桂馬はこういう非現実的な事は信じなかったが、これは能力だと思うと急に体に鳥肌が立った。
能力という言葉に嬉しさを覚えた。こんなフィクションの様な能力を手に入れた事に、何よりの喜びを覚えた。そして、唐突に最後に聞こえた声を思い出した。

『その力で足掻いてみろよ、遅男。』

遅男スロウマン……嗚呼、足掻いてやるさ」


神様、ありがとう。
俺はこの力で絶対に彼女を救いだす。

Re: 最凶男のひまつぶし ( No.3 )
日時: 2012/07/01 16:33
名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)

桂馬は夜道を一人で歩いていた。元々、あの不良達に絡まれさえしなければもっと早くに帰れていたのに。と、桂馬は心の中で呟く。腕時計に目をやると、8時前だった。家に門限があるわけではないが、いつも遅くても7時には帰宅する俺が、今日は8時帰宅+この傷だと絶対詰め寄られるな。喧嘩したの?とか相手は?とか。面倒だなぁ……。
ハァ、とため息をつき家に帰ってからの事を考えると自然に足取りが重たくなる。桂馬は頬に貼ったバンドエイドを擦ると、家まであと少しのところまで来ていた。
その時、携帯の着信音がした。ピロピロリンという昭和ゲームの効果音の様な着信音だが、桂馬は着信メロディとかを好まず、この華のない効果音が好きだった。ポケットに手を入れて携帯を取ると、画面を開いて受信BOXのところを見る。気づかない間に2通来ていて、今来たのは母さんから。今どこにいるの?という素っ気無い文だったが、流石に8時前なのは母さんも心配なんだろうな。もう一通は、あの不良と喧嘩している最中。相手は……藍川唯、桂馬が悩んでいるイジメ事件の被害者。そして、桂馬を救ってくれた恩人。
桂馬はメールの文面を確認する。そこには、可愛らしい絵文字と共に、こんな文章が書かれていた。

『久しぶり!いきなりでごめんね^^;
突然なんだけどさ、今日の8時に〇〇公園で会えないかな?
あ、忙しかったら大丈夫だよッ♪』

……今、何時だ?
現在7時55分、〇〇公園はすぐそこだ。これが送られてきたのは5時過ぎだから……。
桂馬はしばらく考えたが、やがて結論を出したのかメールを打ち込み始めると、ピッと送信した。そして、桂馬は〇〇公園へと走り出した。
桂馬の送信BOXには今送った文面がキッチリと保存された。

『今から知り合いと会うから少し遅れる。晩ご飯は残しといて。』


「あっ!来てくれたんだ!」
唯は飛び跳ねて喜びながら桂馬に駆け寄る。桂馬は少し照れくさそうにしながらも唯に手を振る。
唯は笑顔で桂馬が来てくれた事の喜びを語りだした。メールの返信が無かったから心配だったとか、もし断られて気まずくなったらどうしようとか考えてたとか、無邪気にそれを語る唯を見て、桂馬は彼女がイジメられる原因がますます分からなくなった。
彼女は他人から羨ましがられる程の学力は無い。決して運動神経もいいわけではないし、別に恨まれる様な事をやっている様にも見えない。
コンプレックスがあるわけでもなく、見た目もどちらかと言えば可愛いの部類に入るであろう童顔と容姿、そして性格はこの様に無邪気で天真爛漫。普通の女子高生で、イジメられる原因は見当たらない。
考え込んでいた桂馬の顔を唯が覗き込むように見上げる。意識をふと現実に戻した桂馬は、慌てる様に赤くなっているであろう顔を見せない様に後ろを向きながら唯に今回の用件を聞いた。

「うん……あのさ、私来月に引っ越すんだ」
唯の先ほどの嬉しそうな笑顔から一変、悲しそうな目にはうっすらと涙が溜まっている様に見えた。桂馬は、一瞬彼女がイジメられているシーンを想像して考えたが、その考えは一旦振り払い彼女に引っ越す理由を聞いた。彼女は、家の都合だと言ったが恐らく……
「イ……イジメの事だろ?」
桂馬は慎重に気遣う様に言った。決して唯を傷つけない様に丁寧な口調で。唯は目を少し見開いたが、すぐに笑顔で「違う違う!ホントに家の都合だって!」と明るく振舞った。でも桂馬は、それは嘘だと直感で感じていた。桂馬は、明るく振舞っている唯に
「お父さんとお母さんに……相談したんだろ?それで、引っ越す事に……」
と言うと、唯は図星なのか目の中に溜まっている涙が今度ははっきりと見えた。唯の笑顔は段々泣き顔へと変わっていくのが分かった。唯は目をゴシゴシと擦ると、少し悲しそうな顔で
「うん……」
とだけ呟いた。桂馬はそんな悲しそうな唯を励ますようにこう言った
「俺さ……この一ヶ月で、絶対お前のイジメなんて止めるから!だから、そうなった時は……引っ越すことは考えてくれないか?」
桂馬は段々自分の顔が赤くなっていくのを感じていた。唯の顔に徐々に笑顔が戻っていって、唯は声を上げて笑い始めた。
「トマトみたい……アハハッ!」
桂馬はその言葉で更に赤くなり、唯の笑いは止まること無く聞こえていた。桂馬は今思うと、今の台詞が恥ずかしかったかなと穴があったら入りたいくらいだった。
唯は目に浮かんだ笑い涙を拭うと、口元を少し緩めて「ありがとう」とだけ言うと、足早に帰っていった。
「え?ちょ、おい!」桂馬が呼び止めようとしたが、既に唯は夜道へと消えていった。後を追いかけようと思ったが、アイツの家は此処から徒歩30秒もかからないし、人通りの多い道を通るから不審者に襲われる事は無いだろう。
顔の火照りを感じて、桂馬はそそくさと帰っていった。



@某所

——まぁまぁ面白そうな事になってきたなぁ……。
公人は桂馬の様子を見ながら指を鳴らす。すると目の前の机に三枚のカードがボンッという音と煙に紛れて現れた。
公人は右にあったカードを引いた。引いたカードはクローバーの4。それを見て、公人はニヤリと笑う。

——コイツにはちょっと難しいんじゃないか?
モニターに映る桂馬の姿を見ながら、公人はカードを宙へ放り投げた。

Re: 最凶男のひまつぶし ( No.4 )
日時: 2012/07/03 20:08
名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)

この能力『スロウ』を発動する場合、条件を満たしていなければ発動できないらしい。
自身が授かった能力であるスロウの情報が書かれたメールが、桂馬の元へと届いた。桂馬が寝る前に何気無く確認したメールの中に、見知らぬ人物からのメールが届いていて、桂馬は不審に思う。
——なんでメールが届くんだ?
こんな奴とは会った事も無いし、メールアドレスだって交換していないし流出したという可能性も低い。じゃあ何故コイツは……?
そんな疑問を抱いていたが、メールの文面を見るなりその疑問は確信に変わった

from:蝶番公人
sub:Re:能力について

君にあげた能力の事で、説明をしてあげよう。
その能力には発動する為に条件がいる。
一つ目は、君が危害を加えられそうな時。その場合、君に危害を加えた人の動く速さは普段の1000分の1程の速さとなる。
二つ目は、君の彼女の唯ちゃんに危害が加えられそうな時。その場合、唯ちゃんに危害を加えた人の動きを君の意思で止める事が出来る。ただしこの能力は君が唯ちゃんの半径10m以内に居ないといけない。
どう使うかは君次第だけどね。じゃあ頑張れ、ラブコメ野郎。
PS.クローバー君が君の所へ向かってるよ。


メールの文面に気になる箇所が少々あるが、一番気になるところはここ。クローバー君という人物が誰なのか。あとついでに、コイツは俺の能力を知っている人間という事になる。
俺の能力を知ってるという事は……コイツも、何かの能力者か?
桂馬は首を傾げるが、とりあえず味方だろうと決め付けると寝床へついた。

朝日が窓から差し込み、空も真っ青。天気は快晴也。
桂馬は珍しく朝早くに起きた。昨日はこの能力の事でワクワクして眠れなかったのだが、こんなに早く起きれたのも奇跡だ。と、桂馬は自分の能力の最終確認を行った。
まず、桂馬は本棚にあった本を上に放り投げると、そのまま気を付けの状態で待機。投げ出された本は桂馬の頭目掛けて落下してくる。
丁度本の角が当たり、桂馬は頭を押さえて悶えている。
「自分でやった攻撃は無理なのか……」
そう呟くと、今度は近くの机に置いてあったスーパーボールを手に取ると壁に向かって思いっきり投げつけた。
スーパーボールはガンと壁にぶつかるともの凄い勢いで跳ね返ってきた。
ガン。
スーパーボールを鼻で受けて、桂馬は鼻を押さえて悶えていた。
「これもダメかー……」
そうこうしている内に、時計の針は7時を指している。
やっべと桂馬は準備を整えると、急いでリビングへと向かった。

@某所

「えーとさ、公人。
何でよりによって僕なわけ?もっとスペードとかの方があの……誰だっけ?桂馬君?的には得意な相手じゃないの?」
背中に大きな筒を背負った彼は、携帯電話で公人と話している。勿論、携帯は怪しまれないようにしているだけで、実際公人は心の中に語りかけているのだが。
——分かってないなぁ、あえて桂馬にとって不利な君を送ったんだよ。だって彼に勝ってほしくないし。
「あ、桂馬君負けさすの?なんでー?」
——俺は青春系よりもサバイバル・ホラー系の方が好きなんだ。
「あ、そうすか。
でもさー、桂馬君にレベル4はきついんじゃなーい?死ぬかもよ」
——今言ったろ、俺はサバイバル・ホラーが大好きなんだって。
「……つまり、生き返れるから全力で

殺せ、って事ね」

Re: 最凶男のひまつぶし ( No.5 )
日時: 2012/07/04 21:00
名前: Mr,ピーナッツ (ID: 8cTIMUus)

桂馬は、学校に着くなり唯の近くに居る事にした。いつ、悪質な悪戯が起こるか分からないから。
幸い、朝の時間帯は全員遊びに喋りに大盛り上がりで、唯の方を見ている奴が一人もいなかった。
俺は、クラスメイトと軽く言葉を交わしながら、朝休みが終わるまで待っていた。そして、チャイムが鳴ると全員が席へと戻る。
朝休みが終わると、全員宿題をやり忘れた奴は宿題をするのだが、宿題を終えた者達が次々と唯の元へと向かっている。俺も席を立ち、唯の近くへと向かう。
唯は俯いてなるべく顔を見られないようにしている。すると、クラスの女子のリーダーとも言える安藤綾音が唯の机を叩いて
「なぁ唯ちゃあん、何でそんな下向いてるのぉ?」
安藤は唯の表情を伺う様にニヤニヤと見ている。唯はなおも俯いたままだ。
すると、突然ドアが開き、安藤の取り巻きの女子数名がバケツに水を入れてこちらへやって来るなり安藤に
「きっと目が冴えないんでしょーから目を覚まさせてあげません?」
「いいわね!ねぇ、唯ちゃんも感謝してよねぇ。親切なあたし達がアンタの目を覚まさせてあげるんだから」
あげる、の部分を強調して言った安藤は、取り巻き達に「やって」と言うと離れる。取り巻き達はバケツを揺らしてクラス中にカウントダウンを求めている。
「はーい全員で!さん!に!いち!ぜろー!」
バケツの中の水が唯へと飛び散る。俺はその瞬間を見逃さず、唯の頬に水滴が触れた瞬間に心の中で叫んだ。『ストップ!』
ピタッ——
クラスが静寂に包まれる。全員の動きが止まっているのだが、周りの時間は動いている。さて、担任が来るまでにやる事がある。
まず唯を椅子から移動させて、水が掛からない程度の場所に立たせる。そして水から遠ざけた後、大声で先生達を呼んだ。
「先生!!ちょっと来てください!!!」
その声に反応した他クラスの担任、強面の担任から優男の担任までがこちらへ来る。丁度ウチの怖い担任もやって来て、なんだなんだと歩み寄ってくる。
そして、先生達が教室へ入ってきた瞬間時間を動かした。『スタート!』
バッシャアアン!
唯の席に水がかかり、クラス中が大爆笑に包まれているところにやって来た数名の教師達。犯行現場はばっちりと見ている。
その瞬間、クラスの唯と桂馬を除く全員が唖然となった。

見事に重なった教師陣の怒声に、クラス中は震え上がった——





——俺と唯以外は2ヶ月間の停学
2ヶ月、というのはやり過ぎではないかという声が上がったが、実に長い期間虐められていた事が判明すると、それが妥当かと満場一致で解決したという。
現在、他クラスからざわざわと人が集まっている。それはそうだ。だってクラスに2人しか来ていないなんて見たことも無い。そんな珍しい光景はそうそうお目にかかれないだろう。
桂馬はそんな事を思いながら、昼休み終了のチャイムが鳴り終わるのを待っていた。

@廃校舎屋上

誰も使うことの無くなった廃校舎の上で、彼は背中の筒を降ろすと中から全長2〜3mはある銃を取り出した。形状からするに狙撃型のライフルであろう。この大きさだから弾の威力と飛距離も恐ろしい。
そんな優れものを持った彼が標的に定めたのは——桂馬と唯の二人だった。
彼は銃口のすぐ隣に付いているレバー状の物を引っ張ると、銃口が数センチ開き、開いた銃口の端が変形した後に銃口の形を作っていく。
ロボの変形の様に変わり、一つの銃に二つの銃口があるという不思議な武器へと変わった。
”狙撃手”クローバー
「……本当にいいのー?当たるかは分かんないけど、二人に当たりそうになったら桂馬君って”選択”しなきゃダメなんでしょ?」
クローバーの問いに、公人は嬉しそうに答える
——選択させるのさ。桂馬君がどちらを選ぶか、どっちにしたって人は死ぬのさ。
「うーわ、悪趣味だー!悪趣味野郎だー!」
——悪趣味っ……。……まぁいいや、さっさとやっちゃって。
悪趣味、という言葉は心に刺さったのか、少し言葉が詰まった。
クローバーは渋々という顔をしながら
「分かってるよ……僕だって恋愛よりアクションの方が好きだし。」
クローバーはそう言って弾を込めた。


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