ダーク・ファンタジー小説
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- 落日の劣等星
- 日時： 2018/03/16 12:31
- 名前： 砂漠のうさぎ （ID: 3P/76RIf）
世界の分岐点。
落日の空で宝石は輝きを失い、
暁の空で星が墜ちる。
双子の呪いを解くために
犠牲になる地球。
これは、落日の空の物語。
「宇宙産業を進めなければ、人類は滅ぶ」
模索する研究者の中に禁忌を犯したした人物がいた。
彼は夜空に浮かぶ恒星を使ってより強い人類を生み出した。
「誰もが平和に暮らしていける楽園を作ろう」
狂った科学者の狂った発見から、空が犠牲になった。
素材となる人間は世界中の色んな時代から集めた。
『天球』と呼ばれる空間を作り、一人で研究を続けた。
そうして、科学者は神になった。
『偽りの神』が作った世界。
生じた歪みは楽園を壊した。
繰り広げられる戦争。消え逝く星々。
世界は、壊れていた。
「みんな僕たちを捨てたんだ。
こんな狂った世界なんかーー!!」
自分は止まっていても、
世界は理不尽に廻り、季節は巡り、
星は果てしなく光りーーそして墜ちる。
戸惑いながら、流されながら、
世界は常に、時計回り。
「一緒に、生きようよ」
そんな星たちの物語。
−＊−＊−
[お知らせ]
Twitter始めました。
やり方全く分かりません。
@Acubens_7←多分これで検索すれば出てきます。
誰か助けてください。
- Re: 落日の劣等星 ( No.7 )
- 日時： 2018/02/17 20:47
- 名前： 砂漠のうさぎ （ID: 3P/76RIf）
【そろそろ補足します】
何がなんだか分かっていない方も多いと思うので(私もその一人)
いい加減登場人物とか世界観とかの説明をします。
このタイミングで。
文章が変ですがすみませんよろしくお願いします。
まずざっくりと星の説明をします。
星の等級によって、星たちには位があります。
文章では説明しづらいのであの今のところは
王様:ポラリス(北極星)
議長:シリウス
副長:カノープス
って事を頭に入れといてください。
星たちで構成される議会のトップがシリウスです。
あんまり深く話には関わってこないと思います。
次に主人公についてです。
主人公はカノープス。
『南天の王』と呼ばれ、大きな権力を持つ凄く偉い人です。
昔はベテルギウスに師事していたけど、二人とも戦争に徴兵され、ベテルギウスはカノープスを庇って大怪我を負って意識が戻らなくなってしまいます。
そこからカノープスは自分の不甲斐なさ、不器用さ、無力さに絶望して他人と関わることを怖がるようになります。
アルゴルと言う弟子がいます。
そんな精神不安定なカノープスを支える(制御する)存在が、彼の親友であるシリウスです。
彼は特に不自由もなく普通に生まれてきました。
生まれた時から全権力を握ることを約束されて生まれたこと以外。
戦争ではその権力を守るため行くことを許されませんでした。
師を大怪我させた自責の念から心を壊して帰ってきた親友の姿を見て、自分を責めて恨むようになりました。
カノープスが壊れる原因となったのが、彼の師匠であるベテルギウスです。
陽気な青年で関西弁が混じった話し方をします。
作中に何回か登場する「ベテ兄」とは彼の事です。
カノープスを庇って怪我を負って今は病院にいます。
歩けないし、声もあまり出せません。
カノープスを壊してしまった事を悔い、彼が幸せに生きることを望んでいます。
みんな何かしら悔やんでいます。
後悔が心を渦巻いて、何も出来なくなる。
自分を認められず、消えることを望む。
他人の幸せを願うことしか生きる意味が無い。
一度ここで終わらせておきます。
また後で色々書きます。
- Re: 落日の劣等星 ( No.8 )
- 日時： 2018/02/19 14:17
- 名前： 砂漠のうさぎ （ID: 3P/76RIf）
【そろそろ補足します2】
前回主要メンツ三人について喋ったので今回また別の人達……
主人公ではないですけど……
カノープスには幼馴染みがいます。
シリウスと、アケルナルという女の子です。彼女は色々あって二人と仲良くしています。
アケルナルはとにかく力が強い。
めちゃくちゃ強い。
そこそこの体格の男二人を担いで走れるくらい力持ちです。
男どもから怖がられたりする存在ですが、心は普通の女の子でとても繊細です。そしてカノープスに若干の恋心を抱いています。
暗く淀んだカノープスとシリウスを元気付けてくれる太陽のような子です。明るくて前向き。
星たちの王様であるポラリスは小さなわがまま少年です。他の人達よりも長く生き、たくさんの事を知っているため、しばしおじいちゃん扱いを受けます。
彼にはツバーンという友達がいますが、戦争のごたごたで自ら命を絶ってしまい、悲観に暮れた日々を今も過ごしています。
この人凄く面倒な立場にいます。
あとは出てきた二人について。
すみませんあともう少し長くなります。(本編の推敲に時間がかかっていて、その時間潰しにこれを書いているので、しばらくはこんな感じで更新する予定です)
デネブはカノープスのちょっと下くらいに偉い人です。作中のように、幼馴染み二人との差が開いたことに劣等感を抱いています。
真面目な奴ですが羽目を外すととんでもない行動に出ます。少なくともお酒は飲ませちゃいけない。
アルビレオは弟です。真面目故に何でも背追い込む彼の愚痴を聞くのが役目。
フォーマルハウトは幼い見た目に反して凄い人です。
秋には一等星が一つしかなく、いつも一人で過ごしていましたが、お酒と言うもので友達を増やす努力をしました。
今はたくさんの人に囲まれて笑うことが出来ました。
デネブとはその過程で仲良くなりました。今は親友と呼べるたった一人の偉大な人物となりました。
物事に対してドライな考え方を持ち、客観的に淡々と物事を捉えます。助言が的確で怖い。
もうそろそろ本編(？)を書きたいです。
これから活動の幅を広げていくつもりなので、もう少し詳しいこととかはそっちの方で言ったりしようかな、と思っています。
閲覧ありがとうございました。
(さりげなく閲覧数がものすごく伸びてるのすごく有り難いです。陳腐な文章で文法もめちゃくちゃですが今後もよろしくお願いします)
- Re: 落日の劣等星 ( No.9 )
- 日時： 2018/02/24 12:10
- 名前： 砂漠のうさぎ （ID: 3P/76RIf）
【巡り会えた季節】
この世界には、季節というものは存在しなかったけど、博士が作った気温や湿度の変化から、僕らが夏と呼ぶ季節がやってきた。
いつもと変わらない日が来ると思っていたけど、僕の人生を大きく変える出来事が起こった。
その日は姉が急用があったらしく、店の留守番を任されていた。街の中心部にある市場は、いつも通りに動いていた。
沢山の人の足音が響く。
たまに上流階級の人が来ると市場は騒然とするがーー今日はいないみたいだ。
足音に混じって僕を蔑む声が耳に入る。仕方がない。
僕は目を包帯で防がれている。
見たものを石にしてしまうからだ。
能力が制御出来ない。それを人は奇妙な目で見る。仕方がない。
人と関わることなんか、とっくの昔に諦めている。僕は光の無い地下室で、一人でいるべきなんだ……
「おい、変な奴が来たぞ」
「逃げなきゃ」
暑さに弱い僕が、冷たさを求めて悪戦苦闘をしていた時、市場に変化が訪れた。悲鳴の様な、罵声の様な声が聞こえた。視覚がない分他の感覚が敏感になる。だから耳は良い。
だからその声が異質だった。
「じゃがいも、人参、玉ねぎが頭に飛んできた……今日はカレーにしようかな。食材がタダで手に入ったから」
「出て行け」と言う声に合わせて鈍い音が聞こえる。きっと、声の主に向けられている罵声と暴力だろう。だから異質だった。変な人が来た。
聞いたことの無い声、知らない人。
防衛本能が牙を剥く。
逃げるべき。しかしその手段が僕には無い。目が見えないから。
今思えば、それもきっと運命だったのかもしれない。
その人らしき足音が聞こえた。
近づいて来ているのは、きっと気のせいだ。
だから驚いた。
「ねぇ」
体が強張る。無視を決め込む。
「どうして包帯を巻いているの？」
純粋すぎる質問だった。
- Re: 落日の劣等星 ( No.10 )
- 日時： 2018/02/24 21:26
- 名前： 砂漠のうさぎ （ID: 3P/76RIf）
「どうして包帯を巻いているの？」
見たものを石にするから。
呪いだから、これは呪いだから。
姉の育てていた植物を石にした。
だから、
「僕に、構わないで……」
ちゃんと声が出た。よかった。
僕は独りでいい。
一人ぼっちでいい。
「駄目だよ」
体が跳ねた。
「僕にも、事情があるんだ」
知るかよそんなもの。
いいからどっか行ってよ。
「僕にはねぇ、ある役目があるんだよ。君が必要なんだ。ある程度の事情は察したよ。だから助けてあげる。解いてあげるよ。目の包帯」
「嘘だ。みんなそうやって嘘をついた」
「ならまた騙されてみたらどうだい？」
わからない。この人がわからない。
初めて出会うはずなのに、何故ここまで僕に構ってくる？気分が悪い。
「手荒な真似はしないよ」
足音が近付く。悲鳴が聞こえる。
冷たい手が頬に触れた。
そうして頭の後ろにかけられた手が、僕の目の拘束を解いていく。何かから解放されていく。
「あなたは、誰ですか」
作業が終わって、頭が固定される。怖くなって、目を固く閉じる。
「怖がらなくていいよ。そのまま、目を開けて。僕を認識してくれ。世界は、君が怯えるほど残酷じゃないよ。どうか世界を好きになって。希望を一緒に見つけてあげるから」
「目を覚まして」
明るい光が網膜を焼く。
「おはよう」
声の主と思われる人が見えた。
青色の髪。深い緑の目。色彩が確認できたことに驚く。
「僕はカノープス。南天の王。二番目に明るい冬の零等星。君の、親」
その人は笑った。
いつか見た、向日葵のような笑顔だった。
市場の人達の顔を見た。
みんな変な顔をしていた。
石にはならなかった。
世界は、静かだった。
■ □ ■
その人は色々話してきたけど何だかよくわからなくて、とにかく目が使えることに、そして呪いが発動しないことに驚いた。
この人曰く、僕に魔法をかけたらしい。
魔法のお陰か、世界に対する恐怖は無くなっていた。僕を傷付けるだけだった世界。隔絶された部屋で、泣き明かした日を思い出した。絶望に暮れてこのまま破滅することを望む日々だった。
でもこの人は、この人は。
怖くなかった。
「おはよう」
「っ……おはよう、ございます」
気を保ってないと何かが溢れそうで、溢れそうで……
見ず知らずの他人に泣きつくほど、僕は傷付いていたらしい。背中を撫でてくれた。
市場に、僕の泣き声が響いた。
とある夏の思い出話。
- Re: 落日の劣等星 ( No.11 )
- 日時： 2018/02/24 22:03
- 名前： 砂漠のうさぎ （ID: 3P/76RIf）
『怖がらなくても大丈夫。君が思っているほど、この世界は怖くないよ。美しい世界を嫌いにならないで。どうか世界を好きになって。怖いなら、僕が守ってあげる。安心出来るまでそばにいてあげる。目を覚まして。君の希望を見つけにいこう。ほら、もうすぐそこにーー』
遠い昔の記憶。憧れの人に言われた言葉だったけど。
「ベテ兄、俺さ、誰かを救えたかな」
街で少年を拾ってきた。アルゴルという秋の二等星。多分、誰にも愛されなかった不遇の少年。
泣き疲れたのか、ベッドで寝ている。
今日は床で寝る羽目になった。
「ベテ兄に憧れたんだ。かっこいい背中に、なりたかった」
いじめられていたとき、いつも助けてくれたのは大きな背中だった。
泣いて喚いたとき、うとうとしたとき。
いつもその背中で揺られていた。
「また僕は人を殺すかもしれない。この子を殺してしまったら、今度こそ僕は死ぬよ。狂ったと思って僕を捨ててくれ」
届いていないだろう。きっと、あの白い部屋には届いていないだろうけど。
「俺の行動が正しかったのかはわからない。この子はあのまま、地下室で死んでいくべきだったのかもしれない。でも、ベテ兄と同じ様になりたかったんだ。誰かを助けてみたかったんだ。ナオスとは違う関係を築いてみせるよ。もう誰も殺さないよ」
心を病んで自殺した彼を想う。
きっとこれも、彼からの呪いだ。
「ねぇベテ兄。『誰かを救う』って難しいんだね。答えが無いから、不安になる」
■ □ ■
生と死の間で一人の男が目を開けた。
息も絶え絶えで、意識が朦朧としている。
焦点の合わない目から零れた涙は儚く消えた。
虚ろな双眸が捉えたのは、
窓いっぱいに広がる月だった。
ー＊ー＊ー＊ー
[補足的な]
これ一応本編です。
物語は夏から始まります。
カノープスとその弟子・アルゴルの出会いです。
背景や容姿等ご自由に想像してくださいってスタンスで書き進めていますごめんなさい。
市場に関してはスペインやイタリアあたりで開かれる朝市を想像しています。主にヨーロッパと日本の文化・技術を元に作られている世界です。
私の力量ではこれが精一杯の推敲です。どうしても本編は長くなるので分けました。
不明瞭ですみません。これからもよろしくお願いします。