シリアス・ダーク小説

スキルワールド
日時: 2019/02/24 17:59
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64


 第二幕『一人の裏切り者』
 (前半)>>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39



Re: スキルワールド ( No.193 )
日時: 2020/06/28 19:21
名前: 綾音ニコラ@MRK (ID: WpxyeKoh)

あげます!

Re: スキルワールド ( No.195 )
日時: 2020/08/02 21:46
名前: マシュ&マロ (ID: y7oLAcgH)


>>194。MRKさんも悪気があってやってた訳ではなく善意でやっていたと思いますし、元はと言えば私の更新が著しく遅くなっているのが原因です。どうか今回までは水に流してあげて下さい。



 それでは小説、開始___ッ!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「・・・・・・ここは.....」


 ボスは今、唐突に現れた壁に言葉を失いかけるが、此処はストラングの通路である事に気付いた。

 そして自分以外のもう一人の存在にも......。


 「何か用か、劉師?」


 「いやいや〜、唐突にボスの気配を感じたと思えばまさか此処に居たなんてな〜」


 へらへらとした様子で近付いてくるボス殺したい願望ことストラング専属の暗殺者、劉師(りゅうし)である。


 「ご託は他所でするんだな、劉師。それにお前の専売は暗殺であって、戦闘ではないだろ?」


 どうも劉師を追い払いたいのかそう呟いたボス、すると劉師は表情を無げにこう呟き返してきた。


 「ボス、悪いがここで死んでもらう」


 そう呟いたと同時に迫り来る劉師、だが劉師が懐から短刀を抜いて突き出すより速くボスの拳が劉師の顔面に迫り来る。

 拳は寸止め、鼻先までほんの僅かな距離である。そして劉師は全く動くことが出来なかった、ただ冷や汗を流してボスの顔を見つめることしか彼に出来ることは無かった。


 「どういうつもりだ、劉師?」


 「は、はは......」


 この状況を喜べば良いのか、安堵すれば良いのか今の劉師には分からなかったが、一つだけ分かる事があった。

 それは_____、ボスが戻ってきた。いや治った?、それとも復活か?......まぁ何はともあれ劉師が心から尊敬し、心から殺したいボスがそこにいる、それだけで今は充分であった。


 「良かった......」


 「んっ?、どうしたんだ劉師?」


 ボスは思わず肩を震わせ床にへたれ込んでしまった劉師にそっと声をかける。

 すると_______。


 「ボスぅ〜〜〜ッ!!!」


 「なっ!?」


 不意に抱きついてきた劉師に圧され思わず声が出てしまったボス、するとどうにか劉師を引き剥がしボスは一息ついた。


 「いや〜、どうなっちゃうかと心配してたんですよ俺?、それなのに.....」


 「んっ?、どうした劉師?」


 一瞬ボスから顔を反らした後、劉師はボスの顔を指してこう呟いた。


 「それなのに何で元に戻っちゃってるのさ!?、こっちの心配返して下さいよッ!」


 ボスはその言葉にくすりと笑った、何とも子供っぽいと言うのか無邪気と言うのか。


 「あっ!、笑わないで下さいよボス!」


 「あぁ悪い悪い。それとだ劉師、今のストラングの状況を整理したいんだが・・・・・・」


 「状況?、ちょっと劣勢ですよこちら側が。まぁ気合いと根性と策略で今は何とかマシにはなってるんですけど・・・・・・」


 「・・・・・・どういう事だ?」


 「ボスと美香さんが基地から姿を消したほんの後ぐらいから、ノアの協力で脱走に成功していた囚人達が突如として現れたんですよ。それから基地内は大混乱で大変なもんですよ」


 「・・・・・・・・・・・・。」


 ボスは劉師からの話を聞くと黙ったまま何も言わずこう呟いた。


 「仕方ない......、此処に俺が戻ってきてしまった以上はボスとしての役目を果たさなければな」


 そう言っておもむろに歩き出そうとしたボスの背後から突如として劉師以外の誰かの気配がし、不意にボスへとこう呟いてきた。


 「あら....、貴方がいないと『この本』の結末が読めなくなるわね」


 「誰だ、お前は?」


 気配を感じ振り返ると、そこにいたのはバーテンダーらしく風貌の女である。


 「そう女性を睨まない事よ、金森剛さん」


 「何故俺の名を知っている....、それにお前は?」


 「信用を得たいならまずは名乗れ、よね?。私の名前はエスフル・エゴオネスト、“エス”で良いわ。私について知りたいなら貴方の味方でもありその逆の存在とだけ言っとくわ」


 「つまりは敵だと言いたいのか?」


 「あら、味方の逆が敵だとは限らないわ。それに貴方がノアの元へ戻らないと私、『この本』を読みたくなくなるのよね」


 そう自身の片手に持たれている本を示して言うエス。ここでボスは思った、目の前にいる女の意見を曲げるのは美香を説得するのと変わりなくどちらも不可能だと。


 「はぁ、良いだろう。もし仮にお前がノアのいる電脳世界へと俺を連れて行けるならの話だが.....」


 「そこについては心配いらないわ。だって私はスキルの深淵に最も近い者、まあ“シロ”という娘を除いてだけどね」


 そうニッコリと微笑みの表情を浮かべるエス、それとボス的にはスキルの深淵という言葉やシロが一番それに近い存在という事に興味を惹かれたが、それはまた今度のお話である。


 「いいだろう、ここは一旦お前の言葉を信じる。それと劉師・・・・・・・」


 「おっ、なんすかボス?」


 「××××××××と、研究所にいる者達に伝えておいてくれ」


 「・・・・・・へいへい、あんたその言葉、ちゃんと伝えとくよボス」


 「あぁ、すまないな劉師」


 その直後、ボスは目を貫かれたと錯覚する程の青白い光に包まれたかと思うと、劉師の目の前からはエスと共にボスの姿は消えていた。


 「さぁて、大将が頑張ってくれるというのなら、俺も久々に気合い入れるとしますか」


 軽くストレッチをした後、劉師の姿は木の葉を散らす風のようにその場から消え去ってしまったのであった。

Re: スキルワールド ( No.196 )
日時: 2020/09/04 20:04
名前: マシュ&マロ (ID: y7oLAcgH)



 “お願い『弾いて』ッ!!”


 そんなニコラの言葉と共に自身へ目掛けて飛んでくるデスオメガの巨大な斧が、見えない壁に弾かれ耳をつんざく程の轟音が鳴り響きニコラは次の行動へと移る。


 “お願い『押して』ッ!!”


 ニコラの声が電脳空間に木霊し、それと同時にデスオメガの腹部にかけて強烈な圧力が発生しその巨体を数歩ほど退かせる。

 しかしその反動は今のニコラにとっては大きいものであった。


 「ハァ、ハァ、ハァ.......うっ!?、ゲッホ! ゲホ!ゲホ!」


 口元を押さえるニコラが吐き出したものの中には血が混じっており、手から溢れ出すその血がボタボタと地面を覆っていく。


 「おいニコラッ!、大丈夫なのか!?」


 咄嗟に歩み寄ろうとした沖田、しかしニコラは血濡れた手を片方、沖田の方へと向けてこう呟いた。


 「大丈夫です、もう治まったので......」


 少し躊躇いを見せた沖田、だが少し間を置いて「そうか」と呟くとノアに向かって走り出した。


 “お願い『支えて』.....”


 スキルで体に無理矢理にでも言うことを聞かせ前を向くニコラ、沖田がノアを仕留めるまでは倒れる気はなさそうである。

 そして視界の先から迫り来るデスオメガを見据えると、ニコラはこう呟いたのである。


 「【スキルの覚醒】を許可、そして目標デスオメガに向けての使用を許可する」


 “命令『拘束』ッ!!”


 そうニコラが叫んだその直後、デスオメガを囲むようにして周囲の空気が激しく振動を始め、その直後に常軌を逸した重圧がデスオメガを押し潰し、その巨体は軋みを挙げる。


 「ハァ、ハァ、どうですか? これが私の全力です」


 ニコラの両目から滴り落ちる血、耳からも軽度の出血が見られ身体的に危険な状態である。


 “命令『追加』ッ!!”


 血で視界を奪われ聴覚にも異常をきたしている状態でニコラはデスオメガの重圧を強め、デスオメガの体は更に軋みを挙げるが今のところ決定打に欠けている。


 「どうやら電脳空間では分が悪いようですね、やはり違う次元では私のスキル自身が弱体化してしまうみたいね」


 ならば答えは簡単だ、決定打に欠けるのならば決定打を作ってしまえば良いのだから........。

 ニコラは深く、そして長く息を吸い込むとこう叫んだ。


 “命令「無限」ッ!!”


 そうニコラが発したと同時、デスオメガにかかる圧が時間を増すごとに強く重く激しく無尽蔵に増していく。

 そしてそれと同時にニコラの左腕がが肩にかけて突如として弾け飛び、空中を飛来する血肉はその後に塵と化して消えてしまった。


 「うっ.....!、もう私の寿命ではスキルの代償は払えないけど、その代わり死に行くこの体でそれを払わうわ」


 ニコラは消し飛んだ左腕の箇所を庇うように身構えると次の願望を口にする。


 “命令「消失」ッ!!”


 そう命令を下した直後、ニコラの右の脇腹が抉れるように消滅するとニコラを中心に電脳空間に歪みを生じさせる“何か”が姿を現した。

 そして空間を歪ませる程の“何か”はデスオメガの巨体に覆い被さるようにして、ニコラの視界の先からデスオメガを消し飛ばしてみせたのであった。

Re: スキルワールド ( No.197 )
日時: 2020/09/13 22:45
名前: マシュ&マロ (ID: y7oLAcgH)



 思わず飛び出す安堵の吐息。


 「ほっ.......うっ!?、痛ててて!」


 安堵も束の間、抉れた右脇腹が激しい痛みに襲われ、ニコラは額から汗を吹き出しあまりの痛みに地面へ倒れ込む。


 沖田はその様子に少し苦笑いを見せつつ、交戦中のノアへと問いかける。


 「お前の奥の手が消えた訳だが、これから何をしてみせるつもりだ?」


 沖田は放たれたビームを体を捻り避け、軽く飛んで次の一発も回避し着地する。

 そして攻撃の手が止むとゆっくりと歩を進め、刀を肩に立て掛けつつノアの様子を伺う。


 「ふはははははははははッ!!!」


 突然_____、笑い出したノア。


 その様子に首をかしげる沖田、するとノアはこう呟いた。


 「俺に気を傾け過ぎたな、馬鹿め」


 一瞬それに、呆気に取られた沖田。


 その直後、沖田の背後から何かが吹き飛んだような音がし直後、振り返る間もなく全身に衝撃が走る。


 「うぐッ!!?」


 沖田は背後から伸びた巨大な手に体を鷲掴みにされる。

 その正体は先程、消し飛んだ筈のデスオメガ、そして次元の裂け目らしき所から片腕だけが飛び出していた。


 「どういう事....だ」


 沖田は声を出そうにも先の衝撃で肺を押し潰されかけ声が上手く出て来ない、しかしそんな沖田の問いに答えるようにノアはこう語る。


 「先程そこの小娘が発動したスキル、あれはデスオメガを“本当の意味”で消し飛ばしたのではない」


 その発言に、思わず沖田から問いがこぼれる。


 「本当の意味、だと?」


 「先程のあれ程度で俺のデスオメガを倒せたなどと、思い上がりも甚だしい」


 ノアは一つそれを鼻で笑い、言葉を続ける。


 「あれはデスオメガの“存在自体”を消し飛ばしたのではなく、この世界での“存在意義”を無理矢理に掻き消した上で電脳空間から弾き飛ばしただけの話だ」


 すると不意に愕然とした表情のニコラの方へ顔を向けるノア、そしてこう呟いた。


 「違うか小娘?」


 ニコラは何も言えなかった、ただ目の前に浮かぶ絶望に為すすべなく押し潰される事しか出来なかった。


 「まあ筋は悪くなかったが小娘、しかしお前は一つ勘違いをしている」


 そう言うとノアは一つ種明かしと、とある事を語り出す。


 「デスオメガが電脳世界という空間だけに行動を縛られているのはこの世界でしか存在出来ないからではなく此処が奴の『枷』自体だからだ」


 「枷.....、どうしてそんな事をわざわざ?」


 「何故?、詰まるところ俺とデスオメガは本来は別々の存在だ、言わば俺の力が及ぶ領域内で飼い慣らしている、とでも表現しよう」


 ノアはそこで一旦話題を断ち、本題へと移る。


 「残念ながらデスオメガを付き従わせるのは俺の力を以てしても存分に振るう事は現状では不可能なのでな、幾らか縛りを敷いていただけの事。それをわざわざお前が自ら破ってくれただけの話だ」


 「嘘だ.....、嘘だッ!!」


 “命令『消去』”


 思わず激情の表情を見せるニコラから発せられた命令、するとあの時現れた形無き怪物が再び姿を現し今度はノアへと迫り来る。


 「・・・・・・無駄だ」


 怪物が触れる直前、ノアとの間に見えない壁があるかのように怪物は弾かれ消えた。


 「そんな......」


 代償として消えた左目を庇うニコラの口元からはそんな声にならない声が溢れ落ち、それを嘲笑うかのようにノアは言葉を発した。


 「デスオメガが俺の所有物である以上、俺を殺すことは出来ん。これで種明かしも済んだ事だ、全てを終わらせるとしよう」


 デスオメガの方へ視線を送るノア、すると沖田を鷲掴みにする腕は天高くまで上がり、一瞬の間が置かれた直後、拳は地面へと叩きつけられる。


 「ガハッ!!?」


 思わず吐血する沖田、それに吐血に限らず沖田の全身の骨や内臓は無惨に潰れ、まだ生きている事の方が不思議である。


 「ほお、まだ足掻くのか女? ならば死ぬまで続けろ、デスオメガ」


 デスオメガの拳は再び振り上げられ、即座に地面へと向かって振り落とされる。


 「させないわッ!」


 “命令『転移』”


 その瞬間、ニコラの隣に沖田が転げ落ちてきた。そしてその直後、地面が崩落しかねない程の衝撃が足を伝い、衝撃は風圧となって二人の体を圧した。


 「ぐっ!、大丈夫ですか沖田さん!」


 必死に呼び掛けるニコラ、しかし沖田自身の意識が戻ることはなく、加えて今の代償で左脚の膝から下が弾け飛んでおり歩行はもはや困難である。


 「今直ぐに治療を!?」


 “命令_________ウ.....ッ!?


 心臓が破裂するような鼓動を繰り返し、傷口からはドバドバと血が溢れ返りニコラ自身の限界を告げている様であった。


 「ぐっ!、体が......言うことを・・・・・・」


 意識が揺らぐ、吐き気が酷い、いっそのこと死んだ方がマシと思える程の痛みがニコラを襲い、それに応えるようにニコラは絶叫する。


 「ハハハハハハハハッ!!、無様な事この上ないとはこの瞬間のためにあるというものだな」


 ニコラは必死に痛みに抵抗し、ノアを睨みつける。だがしかしそれが限界であった。


 「もう楽になれ、それがお前に出来る唯一の選択だ。デスオメガ」


 デスオメガが空間の壁を突き破り、姿を現す。そしてニコラ達へ拳を振り上げた。


 (あぁ、私に出来る事はここまで......もっと普通にシエル達と今を楽しみたかったな、・・・・・・もう前みたいに泣かないって決めたのに私)


 一筋、ニコラの右目から頬を伝い一滴の涙が垂れ落ちる。それは後悔か、悲しみか、それとも諦めか......。


 だが、その直後______。


 「なっ......!?」


 デスオメガの拳はニコラに当たるギリギリで止まっている、いや.....この場合止められたと言う方が正しいだろう。


 「・・・・・・シエル?」


 ニコラの視界の先にいるのは紛れもないシエルの後ろ姿である。もう涙が止まらずニコラは地面に伏してしまう。


 「やっぱ私ってタイミング良いわね♪」


 「ちょっとお姉ちゃん、これってタイミング良いに入るの?」


 そんな美香と友間の声、よく見ると皆がいる。呆気に取られているニコラをよそに美香が声をかけてくる。


 「よく持ち堪えたわニコラ、それじゃこっからはストラング最強の出番と行こうじゃないの!」

Re: スキルワールド ( No.198 )
日時: 2020/09/15 21:26
名前: マシュ&マロ (ID: y7oLAcgH)



 美香とノアの間で火花が飛び散る。美香は一つ指を鳴らしスキルを使用する。

 その仮定で美香はニコラに語りかけてくる。


 「あなたのスキル、間違ってたらごめんだけど『特殊スキル』で間違いないわよね?」


 「えぇ、そお......ですが」


 美香は「そう、了解」とでも言いたげな表情を浮かべ、こんな事を呟く。


 「“特殊スキル”に見初められたのか。はたまた、あなた自身が・・・・・・」


 美香のそんな言葉が出かかるが、ニコラ本人が睨みを効かせる


 「無駄話をするために此処にいるのではないのでしょ?、私は私、貴女は貴女のすべき事を互いの理念のために成すだけの関係なのだし」


 「・・・・・・怖い怖い♪、じゃあその事についてはまた後日という事で」


 「私が生きてたらの話ですがね」


 軽い会話を済ませた後、美香は視線をノアへと向ける。そしてこう宣言する。


 「“全スキルの使用を許可”。それと友間、今からお姉ちゃんちょっと本気出すから離れてなさい」


 「う、うん....分かった」


 避難するように遠ざかる友間達、それを見送るとノアに語りかける。


 「待たせて悪いわね。これでお互いに手加減要らずで戦える訳で......、気分はいかが?」


 「フフフフ、この世界で俺を倒せる訳がないだろ? それにデスオメガが存在する限り、俺は殺せん」


 そう堪え切れず笑いを漏らすノア、美香は落ち着いた様子で声を発する。


 「痛い目を見たくないのならガードを上げとく事ね」


 「んっ?」


 ______バァンッ!!!


 ノアの右半身に激しい衝撃が走る、空気の壁......いや、大気の雪崩とも呼べる圧力がノアの右半身を襲い、思わず呻き声を挙げるノアに今度は灼熱の炎が襲いかかる。


 「ぐおっ!?」


 炎を力任せに右腕で振り払うノア、だがその瞬間、ノアの右腕が巨大な氷山の塊に喰われ直後にこの世の全ての苦痛が押し寄せるかの如く痛みと苦しみがノアの肉体を貫く。


 「うぉおおぉおッッッ!?!」


 訳が分からない、理屈の通じない理不尽さに意識の揺らぐ中、美香を睨み付けるノア。

 耐えきれず地面にその体を伏し、激しい苦痛に抗おうとするも無駄な足掻きである。


 「だから言わんこっちゃないわ、スキル『焼却』と『氷獄』を融合」


 ノアは絶叫する内側まで焼き焦げてしまう程の熱量が彼を襲うと共に、皮膚の表面が壊死する程の冷気が板挟みとなり襲い来る。それはまさに地獄である。


 「ッツッッッッッツ!!!?!?!」


 「だらしない、まだ周りに気を使って火力抑えてあげてるんだから抵抗ぐらいしてみなさいよ?」


 微笑を手で隠すような仕草を見せながらそう呟く美香、ノアはその様子に思わずこう叫ぶ。


 「デスオメガァァッッッ!!?」


 天を突く程の巨体、そんな死神が鎌を振り上げる。振り下ろされる様子はさながら隕石のそれとでも言えようか。


 「ふふ、遅いわ」


 デスオメガの顔面に相対するように巨大な拳が出現し、頬に強く打ち付けられる。

 その時に起きた衝撃は美香のいる地上にまで響き、今の一撃で狙いの反れたデスオメガの鎌は何もない地面に突き刺さり、亀裂が入り、大きな地響きを挙げ、舞い上げられた土煙がノアと美香を包み込む。


 「くっ!、デスオメガッ!!」


 土煙が吹き飛ぶ、上を見上げる美香の視線の先には巨大な足裏が見える。

 そして迫り来る物体を見て、美香は笑う。


 「防御系スキル、フル回転」


 美香の周りで様々なスキルによるバリアが展開されていく、数は彼女の姿を覆い尽くす程まで増加し、迫り来る足裏と激突する。


 ________バァアンッッ!!!!


 空気が激しく震える。二つの衝突で起こった衝撃が電脳世界に木霊する。


 「流石に強いわね、全体の3割ぐらいは削られたかしら?」


 声がバリア越しに聞こえてくる。

 するとバリアは徐々に形を変えていき、槍となってデスオメガの腹部を貫いた。


 「ッ!!?」


 目を見開くノア、雄叫びを挙げ吐血するデスオメガ。その様子に美香は満足気に微笑んだ。


 「やっぱ私って最強だわ!」


 決着はもはや着いた、あとはデスオメガの消滅と共にノアを倒す。それだけ済む話..........ならば良かったのだが・・・・・。


 「さてとノア、覚悟は良いかしら?」


 ノアは笑う、大きく笑う。そしてこうも語った。


 「油断大敵だ」


 「・・・・・・・・えっ??」


 直後、美香は違和感を感じた。貫いた筈のデスオメガの消滅が見られない、というかこれは・・・・・・。


 「私のバリアがっ!?」


 バリアが傷口から吸収されていき傷口を塞ぐための糧とされている。美香はスキルを解除しようとするが何かがバリア内部まで侵食しそれを拒否してくる。


 「これは......ちょっとマズイわね」


 冷や汗を流す美香、傷口が完全に塞がる時にはバリアは跡形もなく取り込まれた後であった。


 「これは私、余裕ぶっかましてる場合じゃなくなったわね」


 苦笑いを浮かべる美香、これは
本当に勝てるのであろうか......。

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