ダーク・ファンタジー小説

スキルワールド
日時: 2018/08/23 16:52
名前: マシュ&マロ
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64

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Re: スキルワールド ( No.97 )
日時: 2019/01/22 22:48
名前: マシュ&マロ



ーーバタッ!


 「痛ーててて....鼻が.....」


 友間は鼻を押さえながら突如現れた床から立ち上がる、すると先程まで居た精神世界から皆のいる現実世界に戻って来ていた。


 「あー・・・・・、何してたんだっけ?」


 「大丈夫かい、友間くん?」


 「どうもご親切に、でも大丈夫ですから・・・・・・・。」


 下げていた顔を上げるとそこにはフリストがおり友間は全てを思い出して弾かれたように身構えた。


 「ちょっと落ち着いてくれないかい友間くん?、まだ動かない方が・・・・・・」


 「ニコラを返して下さ・・・・・!」


 不意に力が抜けたようにガクリと転倒しかけた友間、鼻に手を当てると少し前にぶつけたせいなのか血が指を沿って垂れていった。それと今気づいたのだが、いつの間にかスキルが解除されており生身の状態となっていた。


 (急に頭が重くなってきたな。そろそろ体の限界が近いのかな?)


 「本当に大丈夫なのかい友間くん?、体調が優れないなら部屋はボロボロだけど何処かで休んだ方が......。」


 「いえいえ大丈夫です。それとニコラを助ける前に死ぬ覚悟ぐらいは準備済むですから」


 「よーし、そこまで君が本気なら僕も相応しい対応を取らないと君に失礼かもしれないね」


 フリストは何か意味ありげに友間へと微笑みを向けると間を置かずにパチンと指を鳴らす。すると何処からともなく地響きとも言える音や振動が周囲を騒然とさせ友間は思わず美琴と伊月の安否を確かめていた。


 (伊月はまだ時間が停止したままだし、それに美琴さんは即座に遠くへは移動できない)


 「友間くん、君には僕の本気を受け止めて欲しい。最後には芸術的な散り方を要求させてもらうよ」


 「それは遠慮させて頂きます。それにシロっていう許嫁がいるので死ぬのは全てを終わらせた後にお願いしたいですね」


 軽く冗談を交えてみせた友間はそんな事を言ってスキルを発動させてみるが相変わらず鉄の性質にしか変化しなかった。すると友間の真横にあった壁を何かが突き破って強引に友間を凪ぎ払った。


 「ゲホ! ゲホ! ゲホ!、美琴さんや伊月は大丈夫かな?」


 「わ、私なら平気よ。それと伊月も大丈夫ですので構わずにいて下さい!」


 「分かりました!、なら全身全霊でぶつかって行きますので気を下さいね!」


 そう言って前方を見ると友間は少し吐き気を催してしまった。なんと目の前には巨大な右腕が伸びていたのだが細部まで見ると何百....いや何千という女性の右腕が全体を形造っていたのだ。


 「どうかな?、僕の傑作の中の一つを見ての御感想は?」


 「ハッキリと言って悪趣味ですね。それにこの臭いは・・・・・・。」


 「香しい匂いだねぇ、それにこの腕の一本一本の血の気の無さがまた堪らないチャームポイントだね」


 友間の心境的には目の前の相手への不快感が強かった。そしてフリストに傑作と呼ばれていた“異形のモノ”は恐怖の造形物という名が相応しそうだった。


 「うぷっ!.....、それじゃあ気を取り直して芸術にでも触れてみましょうかね」


 と、言って友間はジョークを飛ばしてみせるとフリストの制作してしまった不気味な化け物へと意を決して突っ込んで行ったのだった。

Re: スキルワールド ( No.98 )
日時: 2019/01/27 00:42
名前: マシュ&マロ



 ーードゴォォオン!!


 「ダメか・・・・・・。」


 化け物を力試しに殴ってみたは良いのだが全く効いてる様子がないので友間は一旦後ろへと後退する。ゆらゆらと何もない空へと伸びる死体の腕の波は友間を掴もうとしてくるが、そう簡単に掴まる気は更々なかった。


 


 「んー・・・・・・鉄でも使えるのかなぁ、“アレ”?」


 友間は少し迷いつつ腰を屈めると右腕に意識を集中させてみた。すると炎の時のように力が蓄積していく感覚が伝ってきて少し安堵すると共に目の前に見える化け物を真っ直ぐに見据えた。


 (これって、鉄の場合だと......どうなるんだろう?)


 躊躇いはあったが相手が人間でないなら出し惜しみをしていると足を掬われてしまう場合もある。ならここは当たって砕けろという古人の言葉に従うまでだ。


 「スゥー・・・・・・。ハァ〜〜〜.....」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・。



 ーードンッ!


 狙うは一撃必殺のみ....、もし達成できなかったら今度は両腕で叩き込むまで.......腕が残ってたらの場合だが.....。


 ーードゴンッ!!


 化け物に拳を当てる瞬間、周りがゆっくりになった気がし頭の回転が急加速した。そして拳がメリ込んだと同時に拳から何十もの支柱が突き出してきて化け物を体内から串刺しにした。


 「・・・・・・残酷な事しちゃったな」


 何かを悟ったような感じでそう言っていたのは良いのだが、ここで一つ問題が生じていた事に気づいた。


 「あ、あれ.....腕が抜けない・・・・・・。」


 「友間くん、それは計算内かい? それとも予想外なのかい?」


 「それじゃあ、後述という事で・・・・・。」


 どうしようもない状況の友間に更なる追い討ちを掛けるような出来事が起こった。


 「あ、あの床が揺れてませんか?」


 「それは友間くん、この芸術の真価が現れるからさ!」


 何を言ってるかは分からないが状況的には危険という他なかった。すると床が軋むような音を立てて崩れていくが友間は落ちる事なく上へと昇っていく、その理由は床を破壊した張本人の右腕に乗っているからだった。


 「へっ・・・・・・・。化け物は何処まで行っても化け物だとは言いますけど、それを実現させてどうするつもりですか?」


 「芸術とは、何かを極め続ける事で形を成していくものだ。それを理解してくれるかい、友間くん?」


 「それは無理そうなので、こっちは自分の考えを通し続けて貴方の全てでも砕いてみせますよ!」


 そう叫んだ友間は化け物の顔を見て吐きそうになりつつも気合いの一斉を挙げて化け物の腕を殴りつけてみた。しかし反応という反応はなく化け物がこちらを見下ろしてきた。


 「ブゥォォォオオオオオーーーッ!!」


 「うあっ!、見た目以上に恐ろしい声を挙げますね!」


 「さあ!、僕の芸術を全面に受けてくれ!!」


 フリストのそんな声が聞こえたかと思うと化け物の予想外な速度で振り落とさせた拳が目の前へ迫ってきたと同時に友間には計り知れない程の衝撃が襲ってきて友間の体を吹き飛ばした。


 ーーガッシャァァァアアアアン!!


 「ゲッホ! ゲホ! ゲホ!。死ぬ....かと、思った......。」


 「大丈夫ですか!、友間さん!?」


 「大丈夫ですよ美琴さん、俺って思ったより頑丈なので・・・・・・。」


 無茶を言ってるのは承知だ、だけど嘘の一つや二つぐらいを言える余裕はまだある。そう思いたったかは隅に置いて、友間は心の中で“ある人物”を呼んでいた。


 (エン.....まだ死んでいないなら力を貸してくれ!、一瞬だって良い.....ほんの少しだけ力を貸してくれ!)


 「それじゃあ友間くん、芸術の材料としては惜しい人材だったけど永久にサヨウナラ」


 そんな事をフリストに言われた瞬間、周囲の風景がやけにゆっくりとして見えた。そして友間の体を段々と巨大な影が覆い尽くしてくるが、その正体はフリストが造ってしまった化け物であった。


 (良い事ありますように......。)


 そう心の中で呟くと友間は隣にいた美琴さんの車椅子を押し退けると何かを諦めたように目を瞑り溜め息を吐いた、そして周囲の時間は元に戻った。


 ーードッゴォォォオオオンンンンッ!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「あ、あれ? まだ生きてるのかな?」


 目を閉じていると冷たい風が頬を擦って過ぎ去っていくのを感じた。それと同時に誰かに抱えられているという感覚もあった。そこで目を閉じたまま相手へと質問を問いかけてみる事にした。


 「あのー・・・・失礼ですが、どちら様で?」


 「酷いな“黒奈”、ちゃんと両目を開けて見てみろよ」


 「へっ?.....、もしかして京八ッ!?」


 「よっ黒奈!、それと覚悟しな芸術かぶり野郎っ!」

Re: スキルワールド ( No.99 )
日時: 2019/02/03 20:41
名前: マシュ&マロ



 「覚悟しな!、芸術かぶり野郎っ!」

 「それは心外の一言に尽きるねぇ......。まあ相手が二人になろうが三人になろうが支障はないけどね」

 苦笑いをしてみせるフリスト。それと同時にスキルを発動して身構える京八と友間、そんな二人の様子を見たフリストは肩を落として二人へと近寄っていく。

 「おいおいフリストさんよー、俺と黒奈の友情コンボを嘗めてると痛い目を見るぜ」

 「別に嘗めてはいないさ、ただの予備動作だよ」

 そう言ったかと思うと急な加速で前へ飛び出して行ったフリスト、友間と京八はそれぞれ左右に散ると着地と共に軸足を捻るとフリストに向けて蹴りを放った。

 「おっと危ない!、確かに二人のコンビネーションという点では一種の武器になっているね」

 「おう!、俺と黒奈ならできて当然だぜっ!」

 「だけど、一人さえ潰せばコンビネーションも何もないよね?」


 フリストはそう言って自身の背後にいる化け物へと合図を送る、化け物はそれに応えたように友間へと的を絞って巨体による一撃を繰り出した。

 友間はそれを当たる瀬戸際で回避すると返答の代わり化け物に一発蹴りを浴びせた、化け物は特に大きなリアクションもなく友間の体を掴むと床に大振りで放り投げた。


 「大丈夫かよ友間っ!?」

 「だ、大丈夫......これからだよ、これから」

 「これ以上、立ってもらうと僕の屋敷が崩れちゃうから遠慮願いたいかな」

 「もう壊れるところまで壊れてるんだから良いんじゃねえか?、それに解体費用かからねぇぞ?」

 「京八くん、その場合はストラング宛てに請求書を送ってあげますよ」

 「は、はは......ホントに届いた場合は恐いかもな、それ」

 「ふふふ、本当に届くかもしれませんよ?」


 フリストと京八のそんな会話を横目にしていた友間は溜め息を交えながら化け物へと飛びかかって行く、一方の化け物は向かってくる友間を見下して両腕を振り落とす。


 それを間一髪で避けてみせると渾身の蹴りを化け物に喰らわせてから再度また態勢を立て直して肘打ちを打ち込んだ。


 「全然効いてなさそうだ、というか全く倒せる気がしないな」

 「ブゥォォォオオオオーーーッ!!」

 「耳が千切れそうだっ!」

 「おっ!、一人で良い所を持ってかせはしねぇぜ!」


 京八の電気が化け物へと放出され少しだけ後ろへと吹き飛ばした。焼けた臭いと共に焦げ残った肌が現れる、すると化け物は怒ったかの様に叫び声を挙げる。


 「おっと、第2ラウンドの始まりみたいだぜ黒奈」

 「それは少し遠慮したいかなぁ・・・・・・。」


 そう苦笑気味に言った友間は深呼吸を一回すると気合いを入れ直したように化け物を睨みつけた。

Re: スキルワールド ( No.100 )
日時: 2019/02/17 23:28
名前: マシュ&マロ



 友間の従者であるシロは今、群がってくる異形のゾンビ達を紙でも千切るように両手で裂いては瓦礫の方へと叩きつける。



 「チッ! 数が以上に多いな、私を足止めするためか」



 掴んでは裂いて、群がってくるゾンビに投げ捨てるの繰り返し。シロは主人の安否を気にかけていたが、今の自分が行けばこのソンビ達を連れて行くことになり主人に迷惑が掛かるのだと悟っていた、だから無尽蔵に湧いてくるソンビ達を殺し尽くす必要があった。



 「待ってて下さいね、友間さん」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「はっくしょんッ!、今頃になって風邪をひくのは嫌だな」


 「おい黒奈っ!、危ねぇぞッ!?」


 京八に強く肩を掴まれ後ろの方へと投げ飛ばされ、一歩遅れて化け物の拳が降り下ろされた。



 先程までの場所にいたら間違いなく潰されていたと思い、不意に悪寒というものが走った。



 「ところで黒奈、どうして俺らあんなのと戦ってんだ?」


 「えっ、今更!? でも京八って途中まで行方不明だったしね」


 「そうなんだよ、伊月に脚をちょっと抉られちまって逃げられはしたんだが、止血するためにスキルで傷口を焼いたら痛みのあまり気絶しちまったんだよな」


 「だったら何でここが分かったの?、ここって町から離れてるし木々とかも茂ってるから」


 「あー何か、森の中に身を隠してたら見つけた。それで急にデカイ音がしたから見てみたらユウとダンを見かけたんだよ」



 そう京八が言った直後、化け物の乱入で話が中断されてしまった。回避していた二人は埃の舞うなかでそれぞれのスキルを使用して化け物に攻撃を食らわす。



 「それで屋敷の中に入ろうとしたんだが、今度はキグルミさんが窓から飛び出してきたりしてビックリしちまったぜ」


 「こっちの状況を言うとニコラが裏切ったと言えば良いのかな?、だけど色々あってニコラの救出をしてるとこ」


 「OK!、状況は何となく分かった。そんで目の前のフリストとか言う奴をぶっ倒せば良いんだな」



 京八はそう言うと腰を低くして眼前に見えるフリストへと標的を合わせた。そして一呼吸を置くと自身のスキルで体に電気を流して強化するとフリストに向けて飛び出した。



 「若いって恐いものだね、まぁ若さなりの単純さがあるけどね」



 フリストは京八の突進を寸前で体を捻って避けると体の回転を活かしたまま通り過ぎていく京八の背に手刀を浴びせた。


 「痛てッ!、おいおい俺の背骨ってまだ完治してねぇんだよ!」


 「おっと、これは失礼な事をしたね」



 4ヵ月前の出来事が脳裏にチラつきつつ身構えた京八、まだ背骨のヒビは完全には完治していない状態で戦うのは勝つという要素も含めれば不可能に近いだろう。



 「痛ててて、これは背骨の傷が開いちまったな」


 「京八!、大丈夫なのっ!?」


 「モチのロンだぜ黒奈、こっからが俺の本領発揮だ!」


 「怪我を庇いながら僕と戦うつもりかい?、なら退場をオススメするよ」


 「俺からの答えはノーサンキューだぜ!、それにお前を倒したら庇う必要なんてないだろ!」



 威勢よく踏み出した京八はまず最初にフェイントで蹴りを放つ、京八は避けられる前に放った脚を一旦退いて床を強く踏みしめると前へ飛び出して右ストレートを打ち出した。

 放たれた右腕はフリストの肩を掠めただけだったが拳の通り際にフリストの肩をガシリと掴んで自身へと引き寄せた。そして引き寄せられたフリスト顔には驚きの二文字だけが塗り潰していた。



 「歯ァ食いしばれよッ!!」


 「ちょ...待っ・・・・・・!」


 ーーメキッ!!


 フリストの頬に京八の放った左の黄金ストレートが炸裂した、そして京八の発していた電気がフリストに放電して京八とフリストとの間で強烈な火花が散った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「ふぅー、いっちょ上がりだな」



 気絶しているフリストを横目に尻餅をついている京八、主人の意識が途切れたせいか先程まで暴れ狂っていた化け物も糸の切れた操り人形のように屋敷の屋根に突っ伏していた。



 「そんで黒奈、これからどうするんだったけか?」


 「ニコラを助けに行くつもり、でも敵意剥き出しだったから自信はないかな」


 「それはそれで良いんだが、あっちにいる伊月とその姉の方はどうするんだよ?」


 「ここで待ってもらうか、後でユウとダンに合流して保護してもらうしかないかな。伊月の方は気絶しちゃってるし」


 「そうか、ならニコラを説得したらシロとキグルミさんを探して一件落着だな」



 疲れが今頃になって追いついて来たのか京八は苦笑いし自身の背中をさすった、友間の方もスキルが強制的に解除されて体が生身に戻ると床に倒れるような形で休憩をとった。



 「シロの方も大丈夫かな?、ちょっと心配」


 「シロなら無事よ一応、それよりも自分の心配した方が良いんじゃないの友間?」



 その場にいた京八と友間は声のした方へ迷う事なく体を向けて身構えた。視界の先に見えたのは動きのないシロを引き摺りながら現れたニコラの姿だった。



 「安心して下さい、少し眠ってもらってるだけですから」


 「ニコラ、どうして君が敵になるの?」


 「友間、あなたからの質問の意味が分かりませんね?」


 「君は少し前まで仲間だった、それなのに今は敵になってる・・・・・・。」


 「勘違いしないで下さいよ、私は誰の味方でもありません。むしろ全てに敵対する存在と言っても良いでしょうね」


 「じゃあ、どうして君は・・・・・・」


 「質問が多いですよ、私はただ取引をしに来たんです」


 「もし拒否すると言ったら?」


 「あなたの存在ごと私のスキルで消し去ります、これは最後の忠告です。私と取引しなさい」


 「・・・・・・分かった、取引の内容は何なの?」


 「フリストとシロとの交換、そして私の存在はストラング内部では“殉職”という事にして下さい」

Re: スキルワールド ( No.101 )
日時: 2019/02/23 08:33
名前: マシュ&マロ



 「私を殉職という事にして下さい、それが私からの条件です」


 「ニコラ、君のスキルなら事実を捻り曲げるなんて簡単なんじゃないの?」


 「もちろん、そんな事は簡単なのですが私も私なりにスキルに頼ってばかりは嫌なだけです」



 そう言って近寄ってくるニコラ、小柄な体でシロを抱えているニコラに対して少し面食らい気味な友間だったが気を取り戻すと眠っているシロを受け取る。



 「それじゃあ殉職の件はお任せします、くれぐれも私を悲しませないで下さいね」



 ニコラが小声で何かを呟き直後にフリストの姿が消えた、ニコラは冷えきった眼で友間と京八を見据えると不意に視線を反らした。

 どうしてあんな冷たい眼になってしまったのか、友間は少し悲しくなり一人の人物の事を思い出した。



 「カマキリ.....」


 「えっ、今なんて?」


 「あっ! いや!、なんか母親を殺した人の事を思い出しちやってさ」


 「あなたの母親を殺したのはカマキリという名前なんですね.....」


 「う、うん。それがどうしたの?」


 「・・・・・・ある組織があなたの事を狙ってます。....気をつけて下さい」


 「あ、ありがとニコラ.....」


 「それと勘違いしないで下さいよ、ただ次に会う時まで誰かに殺されていて欲しくないだけなので。あなたを殺すのは私ですから」


 「・・・・・・どうして俺に、そんなに怒っているの?」


 「さあ、どうしてでしょうか。何故かあなたを見ていると怒りが込み上げてくるんですよ、私の消えた記憶に関係しているのかもしれませんね」



 ニコラの言葉に引っ掛かりを覚えて問いかけようとしたが、既にニコラの姿は消えており友間は何処かやるせない気持ちでいっぱいになった。



 「まっ黒奈、済んだ事だし引き上げようぜ」


 「・・・・・・・うん、そうだね....京八」


 「ところで黒奈、背骨が痛くて歩けないから肩貸してくれないか?」


 「分かったよ京八、それと今度こそは絶対安静だからね?」


 「分かってるよ。っていうか安静にしてないとジャッキーに追加の骨折をプレゼントされるからな」



 苦笑いを見せつつ友間に身を任せる京八、そんな京八に対して友間も苦笑を投げ掛けていると屋敷全体に揺れ響くような轟音が鳴り響いてきた。

 脳裏にハナテを浮かべている二人だったが、屋敷自体が突如として消えて悲鳴にも似た声を挙げて二人仲良く落ちていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「痛ててて、お〜い黒奈。大丈夫か?」


 「う、う〜ん。平気....たぶん」


 「だ、大丈夫ですか、お二人とも...?」


 「ど、どうも美琴さん、なんとか.....」



 友間はそう言ってゆっくり立ち上がる、どうやら屋敷の欠片が残っていた事が幸いして比較的にあまり高い位置からは落ちなかったようだ。



 「ほら京八、肩を貸すから立って。それと美琴もよく無事でしたね」


 「伊月が助けてくれたの、でも伊月が怪我を負ってしまって.....。」


 「こんな程度の怪我、俺にとっちゃ目に止める程もないぜ」


 「なに強がってるのよ!?、ほらお姉ちゃんに見せてごらんなさいっ!」


 「痛たたたッ!! 姉さん痛いからっ!?、離してよちょっと待って!」


 「もう、強がってるかよ伊月。辛いならお姉ちゃんに甘えたって良いのよ」


 「・・・・・・姉....さん...」


 「こりゃ見物だな黒奈っ!」


 「こーら!、姉弟の話なんだから遠くで待ってよう」


 「あ〜っ!、せっかく面白くなりそう雰囲気だったのによ〜」



 友間に引き摺られてその場から遠ざかっていく京八、それを他所に伊月と美琴は気不味そうに顔を合わせた。



 「その....悪かった姉さん、あの....」


 「大丈夫、あなたが間違えたって私と伊月が姉弟である事に変わりはないもの♪」


 「その....本当に・・・・・・」



 気づかぬ内に目から涙が溢れ出てきて泣いていた。何を間違っていたのか伊月の心の中で疑問が浮かんだ、そして更に泣いてしまった。



 「大丈夫よ、お姉ちゃんはいつだって・・・・・・」



 もらい涙なのか美琴自身も泣いてしまっていた。これで全てが丸く収まったとは到底言えないが二人の平穏だけは戻ってきたのではないだろうか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「そんで伊月の奴がよ、俺の脚を掴んでから・・・・・・おっ!、ユウとダンじゃねぇか!? 調子はどうだ?」


 木陰で休んでいた友間と京八、そこへユウとダンが疲れた様子でこちちに笑みを投げかけてきた。



 「上々だよ、それと大変だったよね『僕』」


 「ああ、ゾンビの襲来に屋敷の倒壊。末には屋敷自体が消えちまったからな」


 「ごめんダン、ニコラは助けられなかった」


 「・・・・・・・・まぁ失敗してからの成功だからな、そんな時もあるよなユウ?」


 「そうそう、人生って長いんだしね♪」



 その言葉で少し友間の気持ちは落ち着いた。ところで誰かを忘れてはいないだろうか友間?、許嫁とやらを放ったらかしにしてはいないだろうか?


 「あれ?・・・・・・・・あっ!、シロ!?」



 ふとシロの事を思い出した友間、軽く混乱しつつも瓦礫の積もっている方へ顔を向けると体に無理を言ってそちらの方へ飛び出して行った。

 だが友間が瓦礫の中に飛び込もうとした直後、爆発にも似た衝撃波が起こり瓦礫の波が友間の体を飲み込んだ。すると瓦礫の中から白い腕が伸びてきて友間の腕を万力の力で引っ張った。



 「大丈夫ですか、友間さん?」


 「ゲホッ! ゲホッ!、何とか無事だよシロ」


 友間はそう言って苦笑いを見せると瓦礫の中を掻き分けて埋まっていた下半身を救い出した。



     【・第二幕(前半)〜完〜・】

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