ダーク・ファンタジー小説

スキルワールド
日時: 2019/02/24 17:59
名前: マシュ&マロ
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64


 第二幕『一人の裏切り者』
 (前半)>>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34



Re: スキルワールド ( No.166 )
日時: 2020/01/01 22:53
名前: 綾音ニコラ@MRK

あげます!

Re: スキルワールド ( No.167 )
日時: 2020/01/08 23:38
名前: マシュ&マロ



 ありがとうございますねMRKさん!、それと「あけましておめでとうございます!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「へー、私の気絶してる間にそんな事があったなんて.....」


 「まぁ、幸いにも命に別状はないから大丈夫だとは思うけど......ちょっと心配かな」


 「そう.....でも良かったわ、シロが死んじゃったら友間との結婚式を拝めないものね」


 「はいはい、もし結婚する時はちゃんと皆を呼ぶよ」


 苦笑気味にそう呟いた友間、すると突如として胸が酷く痛みだし思わず床に倒れそうになってしまった。


 「お、おい黒奈っ!? 大丈夫かよ!?」


 「ハァ...ハァ....ハァ....へ、平気だよ....」


 力無くそう答える友間、そして痛みは胸部のみならず全身に広がるように痛みを増していき、友間はその痛さのあまり額に脂汗を滲ませ床へと崩れ落ちてしまう。


 「黒奈ッ!!?」


 友間は自身の名前を呼ぶそんな京八の声を最後に意識は途切れしまった。









 次に目覚めた時にはどのくらいの時間が過ぎていたのか、そんな疑問を抱えつつ友間は救護室のベッドで目を覚ます。


 「いててて.....、さっきの痛みは何だったんだろう?」


 そして半身を起こした友間は電気の消された室内を少し見回してみる。すると隣にはシロがおりベッドに身をもたせつつ眠っていた。


 (シロが昏睡状態から脱して今ここにいるって事はかなりの時間が経ってるのかな?)


 そう考えつつ眠っているシロの髪を優しく撫でた友間、すると少しだけシロの瞼が動き微かな寝息を漏らしたのだった。


 「ふふ、ずっと側に居てくれてたのかな?」


 そうして小さくクスクスと笑った友間、すると幾度か疑問に思っていた事が友間の脳裏に蘇ってきた。


 (んー、シロの言ってた俺が世界の“存続か破滅”を左右するって意味はどういう意味なんだろ?)


 別にシロを疑っている訳ではない、だけどないにしろ疑問に思わないというのは本音として少し違っていた。


 (んっ?、ところでもう一つ思ってたんだけど......そもそもシロって人間なのかな? “アビリティア”って不老長寿だとは聞くけど.....世界に文明が出現した辺りから現代まで生き続けられるものなのかな?)


 あまりにも長過ぎる時間、そんな長い時間を過ごしてきた彼女の事を自分は全て知ることは出来るのであろうか?、そんな疑念が友間の脳裏で渦巻いていた。


 


 「寂しかったかな......、それとも辛かったのかな......。きっと孤独で寂しくて辛い時もシロにだってあったんだろうね....」


 そう一人呟いていた友間、そして再びシロの頭を撫でいると突然声が聞こえてきた。


 「いえいえ、今は友間さんと一緒に居られて私は幸せですよ?」


 「えっ?、シロ!?」


 声の主は何を隠そうシロである。そして友間は自身の今の発言が聞かれていたという事実に思わず頬を赤らめてしまった。


 「確かに私も、辛い時などはありましたが今は幸せな気持ちで私の胸は一杯です」


 そう言ってニッコリと笑うシロ、その表情はなんとも純粋で綺麗なものであった。


 「・・・・・・可愛い.....」


 「えっ...?」


 「あ!、いや! 今のはその.....」


 ______カァア〜〜〜


 シロの顔は耳の先まで湯気を挙げそうな程に赤くなり脳は今の状況を理解しきれずパンク寸前であった。


 「し、シロ? 大丈夫?」


 ______パタンっ!


 思わず気絶してしまったシロ、それがパンク寸前にまでなっていたシロの脳が選んだ最善の策である。


 「し、シロ!? しっかりして!」


 「う〜、遠くに綺麗な川が見えますよ友間さ〜ん」


 「ソレ!、絶対に渡ったらダメなやつだからねシロっ!?」

Re: スキルワールド ( No.168 )
日時: 2020/01/04 00:37
名前: マシュ&マロ



 あれから少しして騒ぎを聞き付けて野次馬などが集まってしまい友間は戸惑い気味に集団の中からどうにか知り合いがいないかと探してみた。


 「あっ、シエル!」


 「もー、何なのこの人の数は? 友間のお見舞いにしては多すぎじゃないのかな?」


 「ちょっと、ね.....」


 「OKOK、それじゃあ少し静かな所で話そう」


 そうシエルに促され友間は気絶してしまっているシロを背に抱えるとシエルを追って人だかりの出来ている部屋を後にする。











 「それで......、俺はどうしてこうなってたの?」


 「んっ、こうって?」


 そう疑問を返すように呟いたシエル、そして今友間たちがいるのは基地内にある食堂のような場所である。


 「だって俺、何日か気絶してたんでしょ?」


 「まぁ、何日かというよりは1週間ちょっと.....つまりは10日間も昏睡状態だったんだよ君は」


 「10日......、また何でこんな時になんだろ?」


 「ほら、覚えてないかな? マーヤって人からの言葉」


 「マーヤさんからの言葉.....?」


 しばし沈黙した後、不意に友間は声を挙げた。


 「そうだ!、スキルの反動だ」


 「そう、君がマーヤさんのスキルで一時的に強化された時の代償とやらの返済期間が訪れたってわけ。その間は多少の体調不良とかがあるから気をつけろって医者に言われてた」


 「これって、どれぐらい続くのかな?」


 「まぁ今が発症から10日目だから、あと数日では消える筈だよ?」


 「分かった、それを聞いて安心したよ」


 「“でも”、スキルの使用は体に負担が掛かるから当分のうちは禁止だってさ」


 「ハァ.....分かったシエル、当分は世界が平和である事を祈っとくよ」


 


 「まぁ....だけど、そうゆっくりもしてられないかもね今は」


 「んっ?、“今は”?」


 今のシエルの言葉に疑問を感じて友間はシエルの顔を見つめていると、シエルからこんな言葉が返ってきた。


 「要約するとノアだよ。近々“ここ”へ攻めてくるらしいんだ」


 「えっ?、攻める!? ストラングにッ!?」


 「君が気絶した少し後に、ストラング宛でノアからのメッセージが届いたんだよ.......その内容っていうのは・・・・・・」


 『近々ストラングへ出向く、それまでに君達は逃げ出しておく事をお勧めする。
   by電脳』


 「だから全面戦争に備えて昨日時点で戦力にならない者達は怪我人や病人を含めて皆避難させられたところだよ」


 「んっ?、じゃあ俺は?」


 「君は特別、美香さんが自分の目の届く範囲に置いておくってボスに抗議したんだよ」


 「あっ、じゃあジャッキーやシセラはどうなったの?」


 「今頃は避難地域に居るはずだよ、....ところで京八の方は化け物じみた回復力で大火傷したにも関わらずピンピンしているよ、今頃は沖田さんと特訓と表した実戦形式の試合をやってる筈だけど、友間ならどうする?」


 「もちろん見に行くよ!、だけどシロの方をまず部屋に送らないと.....」


 そう呟いた友間の背ではシロが小さく寝息を立てていた、だけど友間が呟いた瞬間にシロの手が友間の服を強く掴んでいた。


 「はは、どうやら無意識の状態でもシロは君から離れたくないらしいよ友間」


 そう軽く笑いながら言うシエル、そこで友間は仕方なくシロも一緒に連れていく事にしたのであった。

Re: スキルワールド ( No.169 )
日時: 2020/01/06 23:26
名前: マシュ&マロ



 京八は今、戦っていた。相手は何を隠そう沖田一、そしてそんな相手と京八は今戦っていた。


 最初に先手を切ったのは京八、初動からの強烈な踏み込みをバネに床を跳ねるように勢いよく前進していく。

 そしてそのまま止まる事なく沖田へと大振りの蹴りを放ったまでは良いが、その蹴りを沖田は握り締めたいた刀の鞘で軽く反らしてみせる、そしてそのまま蹴りを反らしつつエンジンがようやく掛かったのか持ち前の瞬発力で京八の懐へと入り込んでいく。


 「うおっ!?、ヤバッ!」


 そう言ってその場を退こうとする京八、しかし蹴りを放った片足はまだ戻って来てはおらずバランスの不安定な時を見逃さず、すかさず沖田から伸びた片腕が京八の胸元を掴んで宙へと振り投げる。


 ______ドスンっ!!


 思わず腰から床へと落下する京八、勝負は沖田の投げ技によって決まった。


 「お前は攻めに集中しすぎだ京八、そのせいで守りが甘くなっていた」


 そう言って京八を引っ張り起こした沖田、負け方の京八は苦笑を見せつつこう呟いていた。


 「まさか沖田さんに片腕で投げられるなんて思いもしなかったですよ」


 「一応、日々鍛えているからな......まぁ今のがスキル有りの勝負なら勝敗は分からなかったがな」


 「そりゃどうも沖田さん、ところでどうやら観客が居たみたいですね」


 不意に京八の指し示した方向を向いてみる沖田、するとそこには友間とシエル、そして眠っているらしいシロの姿が見受けられ沖田は微かな笑顔を浮かべてこう言った。


 「お前たちも私と戦いに来たのか?」


 「「いえ、結構です」」


 「そうか......、それは残念だ....」


 そう残念そうな表情で呟いた沖田は、友間に背負われているシロへと不意に視線が移り、こう友間に問いかけてきた。


 「また毒を盛られたのかシロは?」


 「違いますよ、色々とあってその.....」


 「まぁ皆まで言わなくていい、プライベートな事に首を突っ込むのも突っ込まれるのも私は好かんからな」


 「あと、来たついでに聞こうと思ってたんですけど、お姉ちゃんって今何処にいるか分かりますか?」


 「いや、私は知らん。それに彼奴のことだ、誰にも行動を予測する事は出来んし.....するだけ無駄足で終わるのがオチだ」


 「・・・・・・そうですか....、ありがとうございます沖田さん」














 「はぁ.....やになっちゃう・・・・・・・・」


 そう呟いたのは何を隠そう美香である。そして美香が居たのは何処かも分からぬ静かな雰囲気のバーであった。


 「あなたが溜め息を溢すなんて珍しいわね。何かあったのかしら?」


 「ちょっと色々とあってね.....と、言ってもまた直ぐに忙しくなるのだけど.....」


 「ふふ、お疲れ様....」


 美香の接客を担当する彼女の名は“エスフル・エゴオネスト”、愛称として“エス”といったところであろうか。

 そんな彼女の容姿は綺麗な黒髪に蝶を模した水色の硝子細工のあしらわれた髪止めを付けており、彼女の瞳の色は髪止めと同じ綺麗な水色である。そして服装に至ってはさながらバーテンダーを彷彿させるものであった。


 「今日はもう誰も店には来ないと思うし好きにしていってね、美香」


 そう言って微笑むエスの後ろを世にも珍しい青い蝶が一匹、優雅に舞いつつ通りすぎていく。

 実はこの店、店員と思われる者はエス以外におらず見渡すと店内には無数の青い蝶が羽音を立てて羽ばたいていた。


 


 「しかし寂しい店ねぇ相変わらず。まっ、お酒は美味しいけど....」


 「でも私の方は蝶達がいてくれて寂しくはないもの、平気よ美香」


 「まぁなんだ、『住めば都』って感じねエス」


 「ところで、私のお店を訪ねてきたのはただお酒を飲みに来たって訳ではないでしょ?」


 「ふふ....、話が早くて助かるわねエス」


 「これでも人様相手の接客は長いのよ?」


 「でっ、本題に入りたいんだが......これをどう思う?」


 ゴトンっ!、という音を立てて美香の懐からバーのテーブルへと野球ボール程の灰色をした球体が転がってきた。そしてエスはそれを少しだけ考え込んだように見るとこう呟いた。


 「弟さんのスキルの一部....、かしら?」


 「当たり、そして管理に困ってるのよ」


 そう美香が呟いた瞬間、球体が波打つように膨張したかと思うと何かの力に抑え込まれるように萎んでいった。


 「この通りの暴れ馬よ、いっそのこと消してやっても良いのだけど,...そう易々と友間のスキルの一部である以上は迂闊には手が出せないって状況なのよ」


 「あら、なら“カレ”と一度話してみましょうか」


 ________ピトッ!


 ただ触れただけ、ほんの指先で触れた程度である。だがその直後、球体は形を変えて人型へと変わり最終的に“とある人物”を完成させたとであった。


 「久しぶりねテツ」


 「んっ?、誰かと思いきや友間の姉じゃねぇかよ」


 そう呟いたのは友間の一部とも呼べる鉄の性質のテツである。そしてテツは周りを見渡すとその視線はエスへと向けられ、そして止まった。


 「お前、何者なんだ?」


 「ふふ...、何だと貴方は思いますか?」


 「手短に言うと人外の一種か何かだな」


 「あらあら、ヒドイ人ですね」


 「ちなみに俺も人じゃねぇけどな」


 そう言い返すと状況を整理するため一旦考え込んだテツ、すると横槍で美香の声が聞こえてくる。


 「くだらんご託はいい。単刀直入に言うぞ、大人しく友間の元へ戻れ」


 「嫌だね、あんな頼りない主人のとこなんかこっちから願い下げって話だ」


 「そう、ならもう一度球体として封印してあげるわよ」


 「やり合おうってのか? 良いぜ、こちとら殺る気満々・・・・・・」


 「二人とも、喧嘩はよそでお願いしますね?」


 「「んっ??」」


 ______ゾクッ!?


 美香とテツとの間に突如として現れたエス、その表情は穏やかではあるがどこか殺気を纏っているように思えた。


 「ちなみに当店での迷惑行為、およびに喧嘩などを含めた暴力行為はその後にキツいお仕置きをさせて頂きたく存じますので、くれぐれも気を付けて下さいね?」


 いつの間にやらエスの体には無数の蝶の群れが止まっており、そのどれもがテツと美香に敵意を示しているかのようであった。


 するとここで美香が沈黙した空気を押し退けてこんな事を呟いた。


 「エス、お前にしては珍しくキレているのか?」


 「・・・・・・どう思いますか?」


 (やっぱりキレているな.....、ブチギレとまでは達していないがこの場は一先ず・・・・・)


 「俺を自由の身にしてくれたアンタには感謝してるがよ.....、俺に対して脅しを仕掛けるとは頂けないな」


 (おいよせ馬鹿っ!?)


 美香が制止しようとするも間に合わず、テツの片腕がエスの肩に触れた瞬間、テツの肉体へと常軌を逸する程の衝撃が加わり呻き声を挙げてバーの壁へと吹き飛ばされていく。


 幸いにも、蝶の群れが密集して高級クッションのようにテツの吹き飛ばされた体を受け止めたためバーへの損傷は無く、美香は思わず安堵の溜め息を漏らしたのだった。


 「貴方はどうします、美香?」


 「いや、冗談じゃない.....お前と殺り合えばどちらかが死ぬまで決着は着かんだろうしな」


 「そう....、それは残念ね。じゃあ代わりに色々とあったから今回の料金はタダって事で良いわ」


 「えっ!、良いの!?」


 「ただし、この子は私が預からせてもらうけどね」


 そう言ってエスは自らの視線でテツを指し示すと美香はその申し出に快諾したのか首を縦に振って店を後にする。


 「くれぐれも殺さないでよね?、一応弟のではあるから」


 「えぇ、勿論.....少しだけ借りるわね」


 「えっ!、ちょっ・・・・・・俺を身代わりにする気かよッ!?」


 「あらあら、何処に行く気なのかしら?」


 「こ、これはヤベェな....」


 その後のテツの様子について知りたければエスの店に行って聞くのが一番おすすめであろう。


 「あら、いらっしゃい......何か飲む?」

Re: スキルワールド ( No.170 )
日時: 2020/01/14 23:21
名前: マシュ&マロ



「あら、いらっしゃい......何か飲む?」


 そう言って背後の棚にあるグラスへと手を伸ばそうとしたエス、すると相手からはこう返事がきた。


 「あっ!、いえ......俺飲めないので」


 「じゃあ麦茶にしましょうか、“美香の弟”さん」


 そう言ったエスの目線の先にはゆっくり店内へと入ってくる友間がいた、そしてその脇には“ニコラ”本人がいたのであった。


 「あら、彼女さんかしら?」


 「ち、違います!」


 「・・・・・・あまり友間をからかわないでよね、エス」


 「あらあら冗談よ、それより久しぶりね....ニコラ」


 はっきりと言って色々と複雑な状況、これに至るまでの経緯は少し前まで遡ることとなる。















 「あ〜、良いお酒が飲めたわ〜」


 そう呟きながらストラングへと戻ってきた美香、それと同時に基地内に強烈な衝撃と爆音が轟いた。


 「・・・・・・・まさか...」


 未だ基地内部が揺れるなか真剣な面持ちとなった美香は指を鳴らすと何処かへ消えて行った。


 「金森ッ!」


 美香が次に現れたのはボスのいる部屋である。そしてボスへとこう問いかけた。


 「何があったの!?、もしかして!」


 「ノアだ!、奴が攻めてきた!」


 そうボスが呟いた直後、部屋の電気が消えて一瞬二人の視界から相手の姿が消え失せた。


 「無事か、美香!」


 「えぇ、今のところは......それよりも今はストラング基地内の損傷を確認しないと・・・・・・・!」


 _______ボゴンッ!?


 そんな音と共に二人のいる部屋の天井が崩れ、降り注ぐ瓦礫と共に“何か”が落ちてくる。


 「美香!」


 「分かってるッ!」


 ______パチンっ!


 その直後、得体の知れない物体は美香の放った高密度の空気弾によって壁まで吹き飛ばされ壁に大きな亀裂を生んだ。


 「こいつは.....、ロボット?」


 二人の視線の先に見えたのは壁にメリ込んだロボットの姿、しかも再生能力があるかのように再び動き出したロボットであったが、美香の追撃により跡形もなく消し飛ばされてしまう。


 「チッ、また変なの送ってきてくれたわね」


 ______パチンっ!


 美香は外の様子を確かめようとスキルで基地外へと視線を飛ばしてみた。すると・・・・・・・


 「な、何なのよコレ!?」


 「どうしたんだ美香?」


 そうボスは訪ねるが美香からの返事はなく唖然としたままである。


 「おい美香!、大丈夫か!」


 「て、敵が.....島を囲んでる・・・・・・」


 美香が見たのは基地の真上、つまりは地下に存在する基地より遥か上の無人島での話である。

 そしてそこには何千何万もの先程に見たロボット達が島を囲むように四方八方を浮遊していたのだ。


 「敵が大群で攻めてくる....、だけどそうはさせないわ」


 ______パチンっ!


 「んっ?、今何をしたんだ美香?」


 「シールドを張ったの、うんと頑丈なやつをね」


 美香の様子がいつもとは異なり額からは汗が滲み出ており息遣いがどことなく荒く感じられた、すると間髪入れず美香の態勢が崩れる。


 「美香ッ!?」


 ギリギリセーフ、脅威的な身のこなしで何とか受け止めることの出来たボス、その口元からは深い溜め息が漏れていた。


 「ちょっと張り切り過ぎたわ、金森」


 「おい美香、酔ってるのか? 酒臭いぞ?」


 「ちょっと飲みすぎちゃったのよ、少ししたらよくなるわ」


 そう言ってボスから体を離し、起き上がった美香。その様子は万全とは言えないものであった。


 「結界はいつまで持ち堪えられそうだ?」


 「精々....5時間が限界といったところね、燃費もかなり悪いし持久戦向きじゃないわ」


 「よし、分かった......」


 “全員を集合させるぞ”













 ここは広場のような場所、そこにはずらりと人々が列を組んで連なっており、全員が視線の奥に見えるボスの方を見えていた。

 「基地内部に不特定多数の敵対勢力あり!、戦える者は基地内の警備に当たってくれ! そしてこれより呼ばれる者達は所長室まで集まってくれ!」


 その中には友間の名前もあった、そして他には・・・・・・・。


 「ヨッ!、龍紀!、元気にしてたか!? 今日も相変わらず女っぽいな」


 「もお京八ってば、僕をちゃかさないでよ。それに昨日まで別の任務で疲れが溜まってるんだけどなぁ.....」


 此処へ呼ばれたメンバーは『友間、京八、龍紀、シエル』、そして室内には他にボスと美香がいたのであった。


 「ここへ呼んだのは別でもない、君達にはノアの本拠地へと乗り込んでもらいたい」


 「「「「えっ!?、今ですか!?」」」」


 「生憎だが、美香が体調を崩していてな。攻めるのはもう少し時間を掛けてからしか無理だろうな」


 「でも、何で俺達なんですか?」


 そう問いかけずにはいられなかった友間、するとボスからはこんな言葉が返ってきた。


 「ここはいずれ戦場になると俺は思っている、そしてここがストラングの最終防衛ラインという事は分かるな?」


 「ほいほい、ようするとボスが基地の防衛を指揮してる間に俺らでパッとノアを倒してくれって事だろ?」


 「まぁ京八、要約するとそうだ。ここが戦場となる以上、俺が基地を離れる訳にもいかず、かと言ってまとまった戦力を差し向ける程の余裕も今の現状では持ち合わせていないのでな」


 「友間を危険に晒すようなマネはさせないわよ金森!」


 「二日酔い状態のお前には言われたくないぞ美香」


 「うっ!、痛いところを指してくるわね金森」


 「ところで美香、電脳空間の解析は出来ているか?」


 「それに関してはバッチリ、だけど飲酒とシールドの展開で私のHPは0よ」


 そう言ってぐったりとした様子の美香、この現状にボスは頭を悩まされている時であった、室内に少女の声が響いてきたのである。


 「あらあら、お困りの様ですねストラングの皆さん。良ければその話、私が協力してあげましょうか?」


 「「「「「ニ、ニコラッ!?」」」」」


 不意に現れたのはニコラ、美香の張ったシールドをすんなりと通り抜けてきたこと自体が驚きではあるが、それ以前にボスは警戒の眼差しでニコラへと問いかける。


 「まさか生きていたとはなニコラ....、ならば“あの噂”も本当なのか....」


 「噂?、何のことでしょうか? 私には貴方が何を言いたいのかさっぱりです」


 「返事は簡単にで良い、“アラクネの手先に落ちた”という噂は本当なのか?」


 そう問いかけるボス、するとニコラはその事を可笑しがるようにクスクスと軽く笑ってみせる。


 「“手先”というのは語弊がありますけど....『同盟』、という表現で全て理解して頂けるでしょうか?」


 「もういい、それ以上は喋るな」


 そう吐き捨てるようにボスは言うと拳を握り締めてニコラへと歩みを進めようとする。しかしそれは友間によって道を遮られてしまう。


「まっ!、まぁまあボス!、ニコラは手伝ってくれると言ってるので話だけでもまずはッ!?」


 「・・・・・・よし、まずは話を聞かせてもらおうかニコラ」


 「あら、分かって下さったようで何よりです」

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34



題名 小説をトップへ上げる
名前
E-Mail
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


  クッキー保存