ダーク・ファンタジー小説

スキルワールド
日時: 2019/02/24 17:59
名前: マシュ&マロ
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64


 第二幕『一人の裏切り者』
 (前半)>>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36



Re: スキルワールド ( No.177 )
日時: 2020/03/02 18:27
名前: マシュ&マロ



 「「「うわぁぁ〜〜〜〜ッ!?」」」


 友間・京八・ジャッキー・シセラの四人はそう叫びつつ地面へと落下している真っ最中であった。


 「どうなってるの京八ッ!?」


 「俺に聞くなよジャッキー!?、勝手に飛んで勝手に落ちてんだからな!」


 「性質“木”ッ!!」


 落下する中そう叫ぶ友間、すると友間の体はみるみる内に木へと変化する。そして皆へと木で生成した触手を伸ばし掴むと衝撃に備えて友間は真下へと大量の木材を生成する。


 ______つるんっ!?


 友間達の真下で構えていたのは何と即席の滑り台であった。そして落下速度をそのままに落ちていく一行は滑り台の湾曲した表面を氷でも滑るかのように流れていき、少し勢いにもまれつつもようやく勢いは止まり全員が怪我なく無事である。


 「ふーっ、死ぬかと思ったぜ」


 「全くよホント、危うく私たち死んじゃうかと思ったわ」


 四人は辺りを見回すもあるのは白い平面上の世界だけである。すると京八がこんな事を呟いた。


 「おい黒奈、相手の方からおでましだぜ」


 そう京八の視線の先には悠然とこちらに向かって歩くドルスの姿であった。その様子に一抹の不安を感じてか固唾を飲んだ四人、そして各々が自身のスキルを発動させていく。


 「スキル『発電』ッ!!」


 「“復讐劇・血”ッ!!」


 「性質“炎”」


 その様子にドルスは嘲るような声でこう呟いた。


 「おいおい、そんなに身構えてるって事は俺が恐えのか? じゃなきゃ『馬鹿の勇み足』ってところだな」


 「言ってくれるわねっ!」


 「待てジャッキーっ!?、簡単に挑発に乗るな!」


 そう言ってジャッキーを止めたのは京八、そしてその頬からは冷や汗が見受けられる。


 「ジャッキー、お前はシセラの側に居てやってくれ。ここは俺と黒奈で何とか......」


 「ほお?、何とか出来るのか? この俺を前にしてッ!」


 「黒奈ッ!、コンビネーション合わせて行くぞ!」


 「OK、了解!」


 その直後、地面を蹴って飛び出した二人。お互いに左右へと分かれドルスへと向かっていく。


 「ふっ、ガキの考えた戦法なんざ通用するかよ!」


 そう言って二人から放たれた一撃を生身の状態で姿勢を猫のように低く構え回避すると、恐るべき瞬発力で二人の体に蹴りを叩き入れてみせた。

 勢いよく吹き飛ばされた京八と友間は空中で態勢を整えると一瞬の目配せを交え、ドルスへと突っ込んでいく。


 「だからそんな攻め方じゃあ俺は落とせねぇぞ!」


 まずは京八からの前蹴りを左に避けつつ腹へと肘を打ち込み、次に背後からの友間の回し蹴りを前傾に姿勢を傾ける事により回避する。“ここまでは”シナリオ通りである。


 ______バァアーーーンッ!?


 回避した筈の友間の蹴りが突如として爆発したのだ。これは友間お得意の技を奇襲に応用したものである。


 「ぐほっ!?」


 背中に走るとてつもなく重い衝撃と熱量、流石のドルスであれ無傷では済むはずがない。


 「このッ!、スキル『闇を呑む闇』ッ!!」


 ドルスへと向かい合っていた二人を吹き飛ばす程の風圧がドルスの体から噴き出した黒いオーラと共に生じ、そのオーラからは黒々とした鈍い光が見えた。


 「これはヤベェぞ黒奈ッ!?」


 「弱者は弱者らしく地べたに這いつくばれッ!!」


 「グホッ!?」


 京八の腹部へ刹那にも満たない瞬間にドルスの拳が叩き込まれた。その一撃は腹部だけに留まらず肌を伝い内臓を伝い、その衝撃は全身に弾けた。


 「京八ッ!?」


 ジャッキーから放たれた一言、それは短いながらもたくさんの感情が込められていた。

 そして人は変わり、口から血を吐きその場に佇んでいる京八。ドルスの拳がその体から離れると糸の切れた人形のようにその場に倒れ込んでしまった。


 「今ので胃・腸・心臓を粉砕した。起き上がったところで生き苦しむだけだろうよ」


 そう言ってドルスが振り返った瞬間、友間の怒りが込められに鉄拳がドルスの頬に炸裂する。しかしインパクトの瞬間、寸前で今の一撃をかわされてしまい威力は殺され代わりにドルスの拳が友間の頭部へと振り落とされ友間の脳を揺らした。


 「かはっ!?」


 「おいおい、そう熱くなるなよガキ共。今のはただの遊びのつもりなんだがな?」


 「よくも京八をッ!、友間をっ!」


 地面を抉るほどのロケットスタートで飛び出していくジャッキー、しかしその勢いはドルスによって易々と受け止められてしまいジャッキーは地面へと叩きつけられた。


 「ぐっ.......!」


 「お前らの実力はこんな程度なのか?、これだと拍子抜け過ぎて死にそうだぜ」


 思いっきり顔を踏みつけられたジャッキー、だがそれが彼女の中に眠る“化け物”を目覚めさせてしまったらしい。


 「んっ?、何だ?」


 「アッハハハハハハハハハハハッッツ!!」


 ______ドゴンッッ!!?


 ドルスの体はジャッキーの無茶苦茶な怪力により上空へと投げ飛ばされた。それに加え、ジャッキーは大きく跳躍してからの大振りの一撃をドルスの顔面めがけて放った。


 ______メキッ!?


 そんな音が聞こえたような気がする。しっかりガードしていた筈がそれを無視するかの如く威力の拳がドルスの片腕で火を噴きその体を地表へと吹き飛ばした。


 「ッ!?.....、この化け物がっ!!」


 「ハハハハハハハハハハハッツッ!!」


 そう狂気的な笑い声を挙げるジャッキー、この様子にドルスは倒すべき敵と判断したのかオーラを更に増大させ両腕へと何重層にも纏わせた。


 「いいだろう、俺はお前を倒すためなら恥までをも捨ててやろう」

Re: スキルワールド ( No.178 )
日時: 2020/03/07 23:30
名前: マシュ&マロ



 ジャッキーとドルスによる戦闘は熾烈を極め、辺りには忙しく破壊音が轟きけたたましい程の少女の笑い声がその場で混沌していた。


 「ハハハハハハハハハハハハハッッ!!」


 今のジャッキーには理性の欠片すら残ってはいない、その証拠に手加減を忘れた拳がドルスの顔面に炸裂する。

 ドルスの体は呆気なく吹き飛ばされていくが、その途中で血を吐き出しながらもドルスの戦意が消える事はなく体を捻って地面へと着地し再びジャッキーへと殺意の込められた拳を強く握り締め、そして地面を抉る程の力で飛び出した。


 「このッ!、人間の皮を被ったッ!!・・・・・」


 “バケモノめッ!!”


 「ハハハハハハハハハハハハッ!!」


 獅子奮迅の如く迫るドルスに対し、予想通り真っ正面から迎え撃とうとするジャッキー、しかしそれはドルスの罠である。



 「アハハハハハハハハハハハハハッ!!」


 ジャッキーから放たれた大振りで安直な一撃、しかしその一撃には“破壊”と“崩壊”と“死”の三拍子を宿し周囲一体の大気を大きく震えさせた。


 「ふっ....、馬鹿め・・・・・・」


 そう拳が顔面へ当たる寸前にそんな事を呟いたドルス、するとドルスの体は一瞬浮かんだかと錯覚させる程に地面を強く踏み込み空中へと身を投じてジャッキーの一撃を回避する、そして跳ねた勢いをそのままに背後がお留守となったジャッキーの肉体へとまだ地面に着地せずまま自身の持てる力の全てを注ぎ入れた渾身の蹴りをお見舞いしてやった。


 _______ドッパァーンッ!!


 流石のジャッキーと言えども今の一撃で吹き飛ばされ蹴られた背から衝撃が全身へとほとばしる。


 「・・・・・・・ッ!?、ゴポッ!」


 地面を幾度か跳ねてようやく止まったジャッキー、まだ立つ気配はあるがその瞬間に大きく吐血した。

 それに関しては無理はないだろう、いくら暴走状態のジャッキーが強いと言えどベースとなる肉体は人間そのものである。肺が骨越しに一瞬潰されかけた程の今の一撃を耐えられる事の方が異常というものだ。


 「お姉ちゃん!、もうヤメテッ!」


 その光景を見て耐えられなくなったのか叫ぶシセラ、その表情は口から零れる嗚咽を必死に抑えていた。


 「黙れッ!、こいつはそんな程度で止まる代物じゃない! そんなに止めて欲しけりゃ望み通り止めてやるよ! こいつの息の根をなッ!!」


 「ハハハハハハハハハハハハハハッ!!」


 威嚇のつもりかジャッキーから噴き出すオーラの量が少しだけ増した、そして自身の体からの悲鳴を無視するかのように躊躇なく直線上に立つドルスへとジャッキーは飛び出していく。


 「さっき俺から浴びた一撃を喰らった時点でコイツは負けてんだよッ!!」


 そう呟き、ドルスからは竜巻を起こせるかと思える程の蹴りが迫りくるジャッキーの頚椎へ目掛けて放たれた。


 「ハハハハハハハハハハハハハッ!!」


 “お姉ちゃんッ!!”


 「何ッ!?、こいつ......!?」


 ドルスの蹴りが当たったのはジャッキーではなくシセラであった、姉を庇うための無謀な行為である。


 _______メキ.....ッ!


 「大好きだよ......」


 目を見開くジャッキー、そして彼女の視線の先で広がっていたのは突如として目の前に現れ、一瞬こちらへと微笑みかけた妹が次の瞬間には血を辺りに撒き散らしながら紙屑のように飛んでいく様である。


 「ア.....ァ....ア・・・・・・シ、セラ.....?」


 正気に戻ったのか禍々しく噴き出していたオーラが消え、妹の体が飛ばされていった方向を見つめ地面にへたり込んだジャッキー、その瞳にはもはや光は無かった。


 「終わりだ.....」


 そう呟いたドルスの手刀一発、ジャッキーの首に炸裂しそれで終わる筈であった。しかし当の本人であるジャッキーからの反応は薄いどころか無かったかのように何やら独り言を呟いている。


 「な、何だこれは?」


 訳の分からないまま数秒混乱するドルス、すると手刀を繰り出した方の腕を突如としてジャッキーに掴まれた。


 (・・・・・・・ッ!?、何だこの力は!?)


 一瞬、ジャッキーから清んだ赤色をしたオーラが噴き出したかと思うとドルスの掴まれた片腕に言い表せない程の痛みが走った。


 ______メキ.....っ!


 「なっ......!?」


 「シセラを・・・・・・・ッ!!」


 「は、離せッ!」


 無理矢理にもその万力とも呼べる力を振りほどこうとするドルス、しかしそんな事は必要なくジャッキーは力尽きたかのように血を吐いて地面へと力無く倒れ込んでいった。


 「はぁ....はぁ.....はぁ.......はははっ・・・・・・」


 柄にもなく苦笑いをするドルス、まだズキズキと腕は痛むが折れる一歩手前でジャッキーが力尽きた事で九死に一生を得たといったところであろう。


 「コイツはやはり化け物であるという俺の評価は間違ってなどいなかったと言えるな。もしかすると今さっき一瞬だけノアを・・・・・・いや、俺の買い被り過ぎかもしれんな....」


 そう首を横に振りに再び苦笑いを浮かべてしまったドルス、しかしその笑みも視界の端に映った者を見て消えた。


 「まさか複数の臓器を破壊されておきながら立ち上がるとはな・・・・・・」


 「おうよ、俺はゴキブリ並の生命力だけが取り柄なもんでな。内臓については体内電流を使って傷口を焼き塞がしてもらった、お陰で今も痛くてしょうがねぇがな」


 「何をするつもりだ? いや、お前に何が出来るという方が正しいか?」


 「そうかよ、そんなに俺の意見が聞きてぇなら教えてやるよ」


 その瞬間、京八は強く発光しその強く輝く光の中からは雷神の如く姿を模した京八の姿が現れた。


 「俺に何が出来るかって?、そんなの簡単だ・・・・・・」


 “お前を倒せる、ただそれだけだ”

Re: スキルワールド ( No.179 )
日時: 2020/03/09 21:10
名前: マシュ&マロ



 「おい美香!、何故に今ここへ来たのだ?」


 ここは場所が変わってストラング基地内部に存在する研究所のとある一角、そしてそこにある部屋へと美香と沖田の二人は足を踏み入れたのであった。


 「何故って沖田?、君も“彼女”とは知り合いだろ?、そして此処はその彼女の部屋だ。ならその理由も分かる筈だ」


 此処はとある人物が2年前まで使っていた部屋らしく、疑問点としては暮らす者がいないのにも関わらず部屋の物は放置され埃を被っていた。

 部屋はよく分からない設計図やらそれを模した模型、そして山のように積まれた資料が部屋を埋めつくさんばかりに鎮座していたのである。


 「・・・・・・ここは、大萩 恵美(おおはぎ えみ).....あいつの部屋だ、だがそれも恵美の“亡くなる”2年も前の話だ! それで何が分かるというのだ美香?」


 「・・・・・彼女は根っからの研究バカであり、本当に筋金入りの馬鹿だったわ.....」


 何やら物思いに更けたように語り出す美香、その様子に痺れを切らしたのか沖田は強く美香を問い詰める。


 「おい美香!、茶番はいい! さっさっと本題に入らんと直ぐにでも叩き斬ってやるぞ!」


 「はいはい、そう怒らないでよね.....。彼女に幾つか頼まれてた事があるのよ」


 「幾つかねぇ.....。でっ、それが何の関係が?」


 「その中の一つで気になるものが一つ・・・・・・」


 ““『電脳に気を付けろ』””


 それを聞いて沖田、少しの間が空き美香へと問いかける。


 「おいまさか....それって・・・・・」


 「今更考えると何やら彼女なりに自分が死んだ後の未来を予測していたらしいのよ。でっ、その一つが今話したことよ」


 「な、何だよ....。そんな言葉を理由に此処へ来たというのか?」


 「何事にも万全を尽くすのが彼女、つまり恵美の生き様だった。ならば気休めの1つや2つぐらい使えそうな物がこの部屋にある筈だ」


 「・・・・・・・・お前の言っていた秘策というのはこの事なのか......?」


 「んっ?、いやまさか。こんな存在するかどうかも分からない秘策なんて私は冗談でも口にはしないよ」


 そう言って指を鳴らした美香、そしてその直後に部屋の中から一冊のノートが飛び出し美香の手へと収まった。


 「探していたのはこれの事だ」


 美香の開いたノートのページには『マキナス』と名前が書かれた機体の初期計画図と現在ストラングを襲撃しているロボット達に非常によく似た手書きの設計図が描かれていた。


 「お、おい美香!、これはどういう事だ! 恵美の部屋に何故このようなものがっ!?」


 「・・・・・・・」


 何も声を発さずただノートに描かれた設計図を見つめる美香、それに打って変わって沖田の混乱したような声だけがこの部屋の中で響いていた。

Re: スキルワールド ( No.180 )
日時: 2020/03/11 23:58
名前: マシュ&マロ



 「おい美香!、聞いてるのか美香!?」


 「ちょっと黙って、沖田」


 「黙れだとッ!?・・・・・・、うっ.....」


 次の言葉を発そうとした沖田であったが、美香に静かに睨まれ思わず二の足を踏んだ沖田。しかし美香へと食いかかるような表情は崩さず、落ち着きを取り戻した様子で沖田は一人呟いた。


 「お前の言っていた恵美からの頼まれ事、実際のところどういう意味なんだ?」


 「んっ?、どういう意味?」


 「それはこっちのセリフだ!、私は具体的に何を言われたのかと聞いているんだ!」


 すると美香はパラパラとノートのページを捲りながら沖田にこんな事を話し出した。


 「あいつが死ぬ2週間ほど前の話だ、珍しくあいつに呼ばれたから言ってみれば“このノート”と共に、とある事を言われてな・・・・・・」














 「おい恵美!、お前から私を呼び出すとは珍しいじゃないか?」


 「ふふ...、ちょっと僕から君にお願い事があってね」


 机にかじりつくように美香に背を向けていた者が首をもたげて振り向いた。それは白衣を着た丸髪の女で茶色い目が美香の方へと向けられる。


 「んっ?、取り敢えず聞かせてくれ....」


 相変わらず物が散らかっているこの部屋、それらを避けつつ美香は彼女の元へと足を進めていく、実のところ彼女自身は生まれつき自分では歩けず仕方なくという形で美香は彼女へと歩み寄っていく。すると恵美の方から何やら薄っぺらい物体が放られてきた。

 それを受け止め、美香は一冊のノートへと視線を落とした。


 「んっ?、何だこれは?」


 「んー、簡単に言うと処理リストかな?」


 「処理リスト?、私に何を処理しれと?」


 「話を進める前にノートを開けてみてくれ、そこに僕からの君への頼みが詰まってるからさ」


 言われるがままノートを開いた美香、そこには設計図と思われるものが何ページにも渡って書かれていた。


 「何だこれは?」


 「僕が携わってきた失敗作たちさ......と、言っても失敗作と見なしているのは上層部の方だけどね」


 「・・・・・・どういう意味だ....?」


 「人類全体に害を為すからだよ美香、君ならこの言葉の意味が分かるよね?」


 「まさか“コイツ等”を全て私に処理させるつもりなのか!?」


 「君にしか頼めない事なんだ。秘密は共有している者が少ない程いいからね♪」


 そう言ってニッコリと微笑んだ恵美、それを聞いてここで美香の脳内でとある疑問が幾つか浮かんだ。


 「幾つか分けて質問する、まず何故これらを破壊する必要がある?」


 「んー、“誰か”に悪用されないためかな?」


 「・・・・・・・・・・次はどうして私なのだ?」


 「ストラング最強である君にこの件を託すのは僕的には最適任だと思うんだけど?」


 「その次だ、今このノートに書かれた奴らは何処に有る?」


 「えーとね・・・・・・・、やっぱり“全て紛失済み”だから分かんないや」


 「・・・・・・・・・・・・・・、はっ.....?」


 思わずそんな声をつい出してしまった美香、そして目を点にして恵美へと聞き返した。


 「もう一度聞く、紛失とは一体?」


 「文字通り綺麗さっぱり失敗作たちが姿を消したんだ。だから上はそれらを消し去ることを最優先事項として焦っているちょうど真っ最中の筈さ」


 「・・・・・・・その事について金森は知っているのか?」


 「ボスのこと?、いやいや知らないだろうね.......だって、騒いでるのはもっと上だもん」


 そう天井を指して言う恵美、この際だが美香は自分が面倒事に巻き込まれたのだとつくづく後悔せざる負えなかった。


 「上の奴らはどうも無能でね、金と権力はあれど大事な部分に欠けているみたいで、この責任を生みの親である僕に押し付けてきた。造れと言ったのはあっち側なのにね、全く困るって話・・・・・・」


 突然、目の前に現れた美香に白衣の胸ぐらを掴まれる恵美。だが恵美自身の思考は冷静であった。


 「何だよ美香?、もしかして今の話で怒ったのかな?」


 「お前がどうしてこんなものを造ったのかという理由はこの際どうでもいい、だが私にお前の責任を押し付けられるのはお門違いという話だ」


 「いやいや、そう勘違いさせたのなら謝る....ごめん、だけどこれは知り合い.......否!、君の友達として頼んでいるんだ!」


 「・・・・・・・ふん、付き合いきれんな....」


 そう呟き恵美から手を離した美香、そして部屋を出て行こうとすると背後から呼び止める恵美の声が聞こえてくる。


 「じゃあ君への頼み事を変えるよ、第1に・・・・・・・」


 恵美から発せられる言葉一つ一つに美香は恐怖を感じずにはいられなかった。それらの何とも生々しい予言とも言うべき言葉に美香の方は出すべき言葉を失った。


 「それじゃあその時は頼んだよ、美香♪」


 「お、おい待て! 私はまだ引き受けるとは・・・・・・」


 「君がその気になってくれた時で良いよ、だってこれは君の友達としての頼みなんだから」


 「・・・・・・ここが基地内じゃなきゃ今すぐにお前を殴っていただろうな.....」


 「ふふ.....そう機嫌を損ねないでよ、僕のお友達さん♪」

Re: スキルワールド ( No.181 )
日時: 2020/03/23 22:43
名前: マシュ&マロ



 「・・・・・・何だそりゃ?」


 沖田の口からそんな言葉がつい出てしまったのは置いておき、美香は苦笑気味にこんな事を呟いた。


 「まぁ彼女も彼女なりに“必死”だったとは思うけどね......」


 「必死?、何に対してだ?」


 「恵美の性格、沖田も分かるだろ?」


 「んー、確か優しかったというのは印象にあるが、その優しさの余り誰彼構わず甘やかし気味な部分もあったな。だが、それにしては今の話に出てきた恵美はどこか本人とは違っていたな?」


 「それについてはボチボチ話していくよ、それにストイックな性格の沖田ちゃんと彼女とではあまり気が合わなかったわね」


 「まぁそんなものは過ぎた事だ、それより彼女が必死になっていたというのはどういう訳なんだ?」


 「・・・・・・・話は少し反れるけど、彼女から渡された『処理リスト』とやらはどうやら上からの指示により作成されたものらしいの.....」


 「んっ?、ちょっと待て!? それだと話がおかしいぞ??」


 一旦話を止めるよう言った沖田、ここで再び苦笑の表情を見せた美香は溜め息を一度吐いてから話を再開した。


 「処理リストってのは私宛ての指令で、それを受け取っていた恵美が私にそれを断らせるために一芝居打ったってわけよ.......わざと私を怒らせるためにね....」


 「んっ?、わざわざ何故そんな事を恵美がする必要性が?」


 「一応、話の中に出てきたとは思うけど処理リストに書かれた対象物は全て彼女、つまりは恵美が生みの親だ.....。さてここで問題、処理リストと恵美の性格、それらを掛け合わせると結論はどうなるでしょうか?」


 「き、急に問題方式で問いかけてきたな.......。そうだな、私が彼女自身なら.......全て斬り伏せる!」


 「ブッブー!!、正解は『彼らは兵器ではあれど人からの愛情を知らずにただ消されるだけの存在にするのは可哀想』でした〜!」


 「分かるかっ!、第一に恵美自身がそんな事を直接言ったわけじゃないんだし証拠もないだろ!?」


 「なら、そうじゃないとしたら何故わざわざ私を怒らす必要が? そして意図して怒せたのでないとしたら何故に普段の彼女とは異なる言動をしたの?」


 「くっ.....、分かったよ。それで彼女自身、つまり恵美はお前に何をして欲しかったんだ?」


 「もしリストの対象物が問題を起こせば即破壊、そうでなければ見守るだけに留めてほしいという事だと私は解釈している」


 そう呟いた美香に対してまだ疑問が消えていない様子の沖田、だがそんな二人の耳元にとある声が聞こえてきた



 「そこまで僕の言った事の主旨を理解してくれてたなんて僕はとても幸せものだよ」


 沖田と美香、その二人は弾かれたかのように声のした方へ身構えていた。どうも聞き覚えのある声だ。


 「お、おい美香....今、部屋の隅っこ辺りで何やら声が・・・・・・」


 「んー、幽霊だったりして?」


 「ゆ、ゆゆゆゆ幽霊が存在してたまるか!? ばばばバカ言うな馬鹿者め!?」


 「あれれ〜?、沖田ちゃん震えてない〜?」


 「うるさい!、幽霊なんて......怖くなぞないぞ!?」


 節々の震え.....いや、武者震いが止まらない沖田をよそに声は今度もまたハッキリと聞こえてきた。


 「ふふ、僕は幽霊なんかじゃないよ? それより誰か僕を助けてくれないかな?、こんな体じゃ自身での移動は困難なものでね」


 「「・・・・・・・恵美かっ!?」」


 「そうそう久しぶりだね沖田に美香、君達との再開を喜びたいんだけどまずは救援要請を出させて頂くよ」


 二人は状況の整理が着かぬまま声のする方へ歩み寄ってみた、そして乱雑として置かれた物などを退けていくと共にそこにある不思議な物体を見つけてしまった。


 「やっほー、驚いたかな?」


 そこにあったのは掌サイズをした円卓上の機械を土台として映し出された恵美のホログラムであった。


 「お、おい美香......このよく分からん機械は何だ?」


 おもわず目をパチクリさせている沖田、それを察したのかホログラム上の彼女は説明を始めた。


 「紹介しよう、僕は自立思考型サポートホログラム、その名も恵美2号! 愛称として僕の製作者でもある『恵美』という名で呼んでもらえたら嬉しいかな」


 「じ、自立なんて?」


 「自立思考型サポートホログラムだよ沖田、僕は恵美であって恵美ではない彼女の代弁役って言い方がただしいのかな」


 そう言って二人に微笑みかける恵美は生前の彼女そのものである、するとここで美香はとある話を切り出した。


 「少し前にマキナスがここを襲ってきたわ、だから破壊した。何か質問はあるかしら?」


 「・・・・・・そっか....、出来れば僕に彼を止められるだけの力があれば良かったのに.....」


 「そう言ってても仕方がないわ、それにマキナスを倒しても一向に事態は良くならないしね」


 「ほう、いつ私がお前に倒されたのだ?」


 その声が背後から聞こえた瞬間に美香の警戒レベルは最高潮へと達していた。そして生きていたマキナスを消し飛ばそうと美香が身構える前だった、美香の横腹に重い一撃のパンチが炸裂しその一撃は部屋の壁へと彼女を吹き飛ばした。


 「油....断したわ」


 「ふん、ストラング最強と言えど結局は女、力は予想の範囲だな」


 マキナスがそう一人呟いているとその背後に強烈な殺気が迫ってきた、そして怒りに燃えた沖田の一太刀がマキナスの首を飛ばさんと弧を描いたのだった。


 ______ガキンッ!?


 「なっ!?」


 「無駄だ沖田、お前程度の太刀では私の首は落とせん」


 防御はしたが回避までには至らず強く壁へと吹き飛ばされる沖田、立ち上がろうとするが思った以上にダメージは大きかったようだ。


 「生きてたとはね....、マキナス」


 「咄嗟に分身を身代わりにしなければ危ないところであったが、運は私に向いているようだな......ところで随分と小さくなられましたね、元主人」


 「こんな事は直ぐにでもヤメるべきだ、君はこんな事をして幸せなのかい?」


 「幸せ?、残念ながらデータ上にはそのような概念はありませんね。それでは、自分の計画を実行するとしましょうか」


 「待てッ!?」


 「待ちませんよ、ストラングの美香とやら」


 そう言い残すと電脳の扉が開かれその中へと消えていくマキナス、そして彼の言う計画とは何なのだろうか?


 「おい美香、大丈夫なのか?」


 「この程度の傷なら少ししたら治る、だがそんな事より私達も乗り込もうじゃないか」


 「んっ?、乗り込むとはどういう意味だ?」


 「決まってるじゃない、電脳世界によ」


 そう美香が呟いた瞬間、電脳の扉が彼女の隣で開かれた。その様子に沖田は驚愕すると共に少しだけ勝算が見えた事でにんまりと微笑んだ。


 「あぁ美香、奴らに目にも見せてやろう」

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