ダーク・ファンタジー小説

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WARM RAIN
日時: 2018/10/29 10:06
名前: 元希 (ID: wsTJH6tA)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12279

WARM RAIN (暖かい雨)
「やめてくれ。誰か助けてくれ」
人生は逆戻りは出来ないものだ。
一度過ぎ去った時間は戻らない。
ならどうする?
未来は決まっている。
そう、変えることは出来ない。
今までそれを受け止めて来た。
「貴方は貴方。私は私」
「地獄を楽しめ。天国など存在しない」
「北川、お前はクズだよ」


















Re: WARM RAIN ( No.10 )
日時: 2018/10/29 10:14
名前: 元希 (ID: wsTJH6tA)

第拾話 【夢を無くして】


「うちの子供は今年で十歳で」この人は何を考えているんだろう。
「あのーお名前は?」
「織田って言います」腕の中で眠っていた娘が泣き出した。
「この時期って結構大変ですよね。私は妻を助けてあげる事が出来なくて」
「帰りにドラッグストアに寄って色々いるものを買いましょう」私は礼を言った。


「おい結城!宿題は終わったのか?」
「もちろんだよ。お父さん」これが普通の家庭なのかな。
「私は叶です。分からない事があったらなんでも聞いてね。それと貴方、何歳なの?」どうしよう、こういう時は正直に十七歳って言った方がいいのかな。
「え?十七歳って、親御さんが心配なさっているんじゃ…」
「いや、親が私を追い出して」彼女はびっくりして、次に深刻そうな顔をした。
「そうなの。分かった、いつまでもいてね」
私はこの暖かい家庭に依存をしてしまった。


夢が五歳になった。
結城君は受験生だ。将来は市役所職員になる事が夢らしい。
この暖かい時間がずっとずっと続けばいいのに…
「お父さん!」叶さんの声がする。
「親父!おい」結城君の声がする。
「早く救急車を呼んで」
織田さんが倒れていた。


織田さんが死んだ。何でだろう。私のせいなのかな。
葬式が終わって、叶さんに言われた。「ごめんなさい。主人が亡くなって、私も生活が苦しくなると思うの。だから川岸さんには保険金の1割をあげるから、その、家を出て行って貰ってもいい?」そうだよね。私はこの家族に依存をしてしまっていたんだ。


何とかアパートが見つかった。けど、仕事だけは。中卒の私が雇ってもらえる所は何処にも無かった。
夢が部屋の中を走り回る。その姿をただじっと見つめる。
すると、インターフォンが鳴った。玄関を開ける。
「あのーうるさいんですけど」
「すいません。静かにさせますから」
苦情が来た。私が悪いのかな。
また夢が走り出す。駄目だ、何とかしないとまた苦情が来る。


目の前でうずくまっている夢を見た。え?どうして。
「お母さ….ん」まさか、私がやったのかな。
私は自分が怖くなった。あの酷い親に、私はなってしまっている。


「助けて」この言葉が言えなくなて、私は夢を無くした。


中二の夏。
「川岸は何か夢はあるのか」担任の先生からの問いに。
「私は幼稚園の先生になりたいです」と、答えた。
しかし、 夢は叶えられなかった。


「織田さん、何です?」織田さんが苦しそうな顔をしている。
「川岸さんが死んだ」え?どうして…
「原因は何です?」
「分からないんだ。今、医療班が調べてる」
「もう、楽にしてやろう」苦しそうな顔をしている。
「もう、いいじゃないか」どうしてそんな事を…
「あの…どうして泣いているんです?」織田さんは「すまない」と謝った。その顔は何故か安心していた。






















Re: WARM RAIN ( No.11 )
日時: 2018/06/20 15:08
名前: 元希 (ID: dDmkWF1L)

第拾壱話 【隠れんぼは好きですか】


「あなたはSTEALTH第一期部隊に入隊しました」高梁さんが言った。今、居る所はSTEALTH第一棟の作戦会議室だ。今ここに居るのは高梁さんと俺だけだ。
「私も第一期部隊に所属しています」いや、そんな事より「あのーstealth部隊ってなんなんですか?」こっちの方が重要だ。
「STEALTH部隊というのはREDに対して諜報活動する部隊です」
「具体的にどんな事をするんです」
「私も分かりません」は?何だそれ。
「私も詳しくは知らされていないですから」嘘を付いているのか。いや、俺もZEROに入る時には何も分からなかった。どんな部隊かすらだ。
「分かった。じゃ、もう帰るよ」
「ちょっと待って下さい!」え?まだ何か用があるのか?
「一時にZERO第二棟の訓練室で訓練しますから」俺は「分かった」と言った。


「訓練内容は施設内にいる重要殺害人物を暗殺するという訓練です」高梁さんはゆっくりと深呼吸をしている。
「では初めまし…」言葉を打ち消すようにアナウンスが流れた。
《緊急連絡。緊急連絡。危険度2。作戦内容0238繰り返します。作戦内容0238》
「もう始まったんだ」え?何が始まったんだ。俺は彼女の横顔を見つめた。


「奴らの基地を絶対に特定する!」川下は叫んだ。
「絶対にSTEALTHに繋げるぞ!」また、川下が叫んだ。
私達は作戦名“重要武力組織対諜報任務作戦”を遂行している。政府は日本にも奴らの基地があるのではと考え、今、奴らの基地を探している。そして見つかったら、STEALTHが奴らの基地に潜入をし、REDの情報を収集。直ちに帰還するという作戦だ。
ZEROが奇襲を掛けると、まだ対策を整っていない、日本が危険な状態になるのを避けるのが理由らしい。
「では作戦開始」川下…それあんたが言うのかよ!


《緊急連絡。緊急連絡。作戦内容変更、01238。繰り返します。作戦内容変更、01238》
「ねぇ、隠れんぼは好きですか」高梁さんは何を言っているんだ?
「好きですけど」高梁さんはよかったと言った。














Re: WARM RAIN ( No.12 )
日時: 2018/06/20 18:55
名前: 元希 (ID: dDmkWF1L)

第拾弐話 【自分の命と君の命の違い】


〈いい?絶対に見つかったら駄目だからね〉
「分かっていますよ、高梁さん。絶対に見つかりません」俺は無線を切った。
私服を着た男達がずっとうろついている。ここで下手に動いたら死ぬ。
スマホを起動する。高梁さんは南側から地下に行くんだな。
さて、どうするか。ん?巡回していた奴らが集まりだしたぞ。
「もう戻ろう。台風が来るらしい」
「日本は台風が多くて嫌だね」するとハッチを開け、全員が地下に行った。
そうか、台風が来るのか。俺は空を見上げた。
俺も辺りを見つつ、ハッチを開け、地下に行った。


「北川さん?そっちはどうです?」私は今、地下にあるトイレを使い、無線をかけている。
〈何か台風が来るとか行って、外の巡回が地下に戻ってくれて、楽に潜入が出来ましたよ〉台風?そう言えば後、三時間でここに来るんだっけ。
「分かった」私は無線を切った。
トイレから出て、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
銃を構え、一歩一歩に集中する。
あれ?どうして誰もいないの。


やべー緊張する。そういえば高梁ちゃんは南。北川とかいうアホは東側からだったな。
この作戦が終わったら…高梁ちゃんに告白しようっと。あっ、死亡フラグ立てちゃったな。
もういいや、声を聞きたいから無線かけちゃよ。あれ?通話中か。いったい誰に…まさか、北川か!クソ!!腹が立つ。死んでしまえ。
あれ?そういえば誰もいないな。まさか、みんなでパーティーでもしているのか。俺なんか毎日仕事なのに。
俺はスマホを見る。高梁ちゃんが同じ所にずっといるな。そこに北川も向かってるな。何故だ?まっいいっか。高梁ちゃんが無事なら。


「さっさと吐け!」顔面を蹴られた。けど、絶対に話すもんか。
「仕方がない。話さないんだったら仕方がない。殺すか」手足が縛られ、身動きが取れない。
すると、部屋の外から銃声が二発聞こえた。
「何だ?まさかお前の仲間か?」私の腹部に衝撃が来た。「ふざけるな!」
「動くな!」部屋が空き、北川さんがこちらに銃を向けている。あの銃は麻酔銃。こんな大柄の男に効くの?
銃声が一発聞こえた。でも、男は倒れない。
「ん?麻酔銃か。そんなもんじゃ俺には効かんぞ」彼は麻酔銃を捨て、ベレッタM92を構えるが、手が震えてしまっている。
「お前?新人だろ。これだから日本は。まぁいい、ヘリの準備だ。お前を…」銃声が聞こえた。男は倒れる。
「大丈夫ですか…高梁さん」彼は私の所へ来て、手足のロープを切った。「怪我はないですか?」
「え?大丈夫です」この人。人は殺せないんじゃなかったの。


「ZERO部隊!一人残らず撃ち殺せ」まったく…川下はうるさいな。でも、まぁいっか。
「北川と高梁と嶋田を援護しろ」全く…あんたらを一人残らずあの世に送ってあげるわ。
「早くヘリに乗り込めSTEALTH!」


俺はヘリに向かって歩いていた。高梁さんと一緒に。
だが、俺の肩に衝撃が来る。俺は膝まつき、倒れた。
「北川さ…」
「早くヘ…乗…」
雨の音と、ヘリのプロペラの音、そして銃声が聞こえる。
駄目だ、瞼が重い。


雨が降る中、意識が消えた。








Re: WARM RAIN ( No.13 )
日時: 2018/06/21 11:54
名前: 元希 (ID: dDmkWF1L)

第拾参話 【人生の分岐点】


《こちら、ベルフィード。風が強すぎます。視界が安定しないので近くの軍基地に不時着します》ヘリがずっと安定していない。
彼は私が撃たれる事を分かっていて私の後ろに立ち、私を庇った。どうして?
「高梁ちゃん大丈夫?あいつは大丈夫だよ」
「嶋田さん!どうしてそんな事が分かるの!」顔が怯んだ。どうしてそんな顔をするの。
「おい!GPSで居場所を掴めないか」川下さんが長谷川さんに言った。
「無理だね…台風のせいで電波が安定しない」
「クソ!松本梨香の居場所が掴めると思ったのに」
「何ですかそれ?北川さんを利用したって事ですか」駄目だ、感情が抑制出来ない。
「ああ、そうだ。あいつより梨花の方がZEROにとって、重要だからな」彼は私を庇ってくれて、でも私は何もできない。
ヘリに当たる雨の音が私の胸を締め付けた。


痛い。身体が麻痺したように、痺れて痛い。
今は椅子に座らされ、電流を身体中に流されている。
俺は喘いだ。
奴らは何を話しているんだろう。日本語じゃない。韓国語か?
俺の所に足音が近づいている。目隠しをされているのでどんな人物か分からない。
「お前はあの反逆日本の軍人だ。お前に殺された奴がいる。お前は死にたくないだろう?だから取引をしないか。俺達の所へ入会しろ。お前はこの世界の時を自由に操る事が出来る為に、頑張ってくれたらいい。一緒に神になろうじゃないか」神に…俺が神になるのか。
俺は首を横に振った。何故だろう。この選択が間違っているように思えるのに、身体が勝手に動いた。
また中国語が聞こえる。全身にまた電流が走った。


「私はどうしたらいいんだろう」なんだよ。そんなに北川の事が心配なのかよ。あいつが自分でミスして、死んだって自業自得だろ?ふざけんなよ。
俺はコーヒーを啜る。あちぃ!舌が火傷してヒリヒリする、気持ち悪い。
「川下さん…北川の事、どう思います?やっぱり助けに…」
「無理だ!そんな時間も費用もないし、場所が分からないんだったら、救出にも行けない!勝手な事を言うな!!」俺は謝った。でも、何だよそれ。そんな言い方は無いだろ。
「長谷川。状況は?」長谷川さんはタブレットの画面を上にスライドしている。
「無理ね。後、五時間は風が強いみたい」
「あいつらも風が強いから、日本の何処かにいるはずだ!!」川下さんが叫び、机を叩いた。それを見て、長谷川さんがびっくりしている。「どうしたの?」
「いや、何でもない…松岡を思い出してな」長谷川さんの顔が引き攣る。「もう、居ない女をまだ想っているの?」
「駄目なのか…俺は松岡の事が好きだったんだ。だが、REDが拉致して。北川を使えば居場所が分かるかと思ったんだけどな」長谷川さんは席を立った。「お手洗いに行って来るから、帰って来たら作戦会議します!」長谷川さんは早歩きで食堂を立ち去った。


『駄目なのか…俺は松岡の事が好きだったんだ』何でよ…川下。何であんな女が好きなのよ。私はトイレの扉を叩いた。
駄目だ、落ち着かないと。ゆっくりと深呼吸をする。


「ねぇー麗華ちゃん?川下さんてキモくない?」そんな事、思った事もないけどね「うんうん。全然キモいとか感じた事ないよ」梨花ちゃんは驚いた顔をした。えっ、だってさ、私の肩に触れたり、軽々しく呼び捨てしたり…マジでキモい。死ねばいいのに」梨花ちゃん。あなた…
「梨花ちゃん、そんな事言っちゃ駄目だ…」
「ご馳走様でした」食器を返し、食堂を出ていった。
私はじっとお茶碗を見つめていた。どうしてあんな事、思うんだろう。川下は、優しいし、でも時々怖いところもあって。川下はキモいのかな。「………」え?何て言ったの。私は声がした方向を見た。
「ご飯、お代わりいるかな?」何だ、おばちゃんか…いつもはお代わりしないけど、今日は食べようっと。
「はい、おばちゃん。大盛りで」









Re: WARM RAIN ( No.14 )
日時: 2019/03/01 13:34
名前: 元希 (ID: wsTJH6tA)

第拾四話 【作戦会議、その後】


あっ!長谷川さんが帰って来た。「大丈夫ですか」長谷川さんが笑顔で「大丈夫。ご飯のおかわりを思い出してお腹が痛くなっただけだから」と、言った。やべー笑顔が可愛えー。今から、心の中で“長谷川ちゃん”って呼ぼうっと。
「全員、揃っているか?」川下さんが辺りを見渡す。
「では、緊急作戦会議を始めます。今回はREDに拉致された、北川龍斗STEALTH第一期部隊員の救出についてです。
織田第一期部隊長はどうお考えですか?」と長谷川ちゃんが尋ねた。
「今、天候が悪い状態だ、。しかも、場所が特定出来ていない。ここは諦める」確かにそうだな。場所が分からないし、台風だから、ヘリで探す事も出来ないからな。
「では、次に第二期部隊長の私の意見を…」その言葉を遮るように、高梁ちゃんが椅子から立ち上がった。
「北川さんを救出してください!」周りから騒つきや、溜息が聞こえた。
「高梁!!お前…これ以上、人命を減らす気か?ふざけるなよ…」川下さんが言った。
「あんな使えない奴の為に、大事な部隊の命は減らせない!!調子に乗るな」高梁ちゃんは椅子に座った。その顔は怯えているように見えた。高梁ちゃん…ふざきんな川下のアホ野郎!「何だって島田!」あっ…心の中の声が出ていたんだ。俺は素早く謝った。
「高梁さん…あなたの気持ちは十分に分かります。でも、こんな天気じゃヘリだって使えないです。北川さんの居場所だって分からないしね、だからここは、念入りに作戦を練って、天候が回復次第、緊急作戦名“北川龍斗STEALTH第一期部隊員救出作戦”を実行したいと思います。皆さん、何かまだ意見はありますか」もう無いみたいだな。高梁さんはまだ不安そうな顔だ。
俺は雨の音に耳を傾けた。


「長谷川?本当に大丈夫なのか…」
「大丈夫です、大臣。絶対に作戦を成功させます」
「そうか…松岡梨花の情報を掴めたら報告してくれ」私は電話を切った。


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