ダーク・ファンタジー小説

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White/Fang(Thanks閲覧数1000!)
日時: 2020/08/02 21:42
名前: 祝福の仮面屋 (ID: siKnm0iV)

代零節「求められる知識」

登場人物『White/Fang編』

一ノ瀬小隊
葛城 静流→雨宮 赤城
生年月日(2106年、12月25日)
身長 162cm
体重 52kg
好きなもの ふわふわした物
嫌いなもの 鴉
所属 対特殊災害隠密局『White/Fang』
コードネーム『クノイチ』
専用装備「粒子加速式忍刀『ムラクモ』」
式神レギオン『双刃』」

一ノ瀬 燈矢(一ノ瀬小隊隊長)
生年月日 (2070年4月1日)
身長 176cm
体重 85kg
好きなもの 筋トレ、部下達
嫌いなもの レイヴン、得体の知れない物
所属 White/Fang
コードネーム 『スサノオ』
専用装備 「7式大型変形斧『オシリス』」
式神レギオン『爆斧』」

鹿島 新(一ノ瀬小隊副隊長)
生年月日 (2092年6月4日)
身長 172cm
体重 63kg
好きなもの 読書、料理
嫌いなもの 特になし
所属 White/Fang
コードネーム 『ホロウ』
専用装備 「粒子圧縮機構搭載型大鎌『セト』」
式神レギオン『大蛇』」

灰崎 佐之助
生年月日 (2106年1月1日)
身長 180cm
体重 75kg
好きなもの 鯛茶漬け、強い奴
嫌いなもの 弱い奴
所属 地下格闘技会『天逆鉾』→White/Fang
コードネーム 『ナックルダスター』
専用装備 「火薬炸裂式加速手甲『レッカ』」
式神レギオン『鉄拳』」

氷室 三葉
生年月日 (2100年3月9日)
身長 158cm
体重 40kg
好きなもの ふかふかベッド
嫌いなもの 硬い物全部(食材は除く)
所属 White/Fang
コードネーム 『ラプンツェル』
専用装備 「狙撃式大型銃剣『アズサ』」
式神レギオン『天弓』」

東 総二郎(White/Fang総司令官)
生年月日 ?
身長 ?
体重 ?
好きなもの ?
嫌いなもの ?
所属 White/Fang

日出 有紗(戦術オペレーター)
生年月日 (2089年11月10日)
身長 160cm
体重 50kg
好きなもの ショッピング、子供達
嫌いなもの 叔父
所属 WF

相葉 相太メカニック
生年月日 (2085年8月15日)
身長 173cm
体重 65kg
好きなもの 運動、トレーニング、植物園巡り
嫌いなもの 無し
所属 WF

青原 霞(専属医)
生年月日 (2085年10月9日)
身長 168cm
体重 50kg
好きなもの 特になし
嫌いなもの 特になし
所属WF





人物及び用語解説
>>1.>>2



代壱章
>>3.>>4.>>5.>>6.>>7.>>8.>>10
>>11.>>12.>>14.>>15.>>16
>>17.>>18.>>19.>>20.>>21



代弐章
>>23.>>24.>>25.>>26.>>27
>>28.>>29

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.26 )
日時: 2020/01/01 23:15
名前: 祝福の仮面屋 (ID: PZX6sAnA)

White/Fang 正月特別編

静流「祝!白牙閲覧数400突破記念&新年あけましておめでとう!」
一同「「「イェーーーイ!」」」
静流「さて、何やなんやありながらも無事に2019年を過ごせましたね」
新「そうだな、最初はやる気のあった作者もどこぞの北方連合の娘が出た辺りからかなり迷走していったからな」
作者「……申し訳ない」
三葉「まぁ、最近はしっかり投稿しようとしてるし良いんじゃない?」
佐之助「でもまぁ、ウチの作者って能力ものだったり復讐譚だったり色々やってるよな、そんで今んところヒット(?)してんのは白牙だけだが」
燈矢「最近作者は爬虫類にはまっているらしいね、新しく飼い始めたんだっけ?爬虫類」
作者「一応、ヒョウモントカゲモドキなら…」
Ирина「Aвтору нравитcя Леопа?Мне также нраvитcя Леопа♪」
一同「「「何でいんだよ!?」」」
Ирина「Я пришел сюда♪」
佐之助「いや『来ちゃいました♪』じゃねぇだろ!お前、そこは空気読んで北方連合にいろよ!」
新「おい佐之!彼女は一体何を言ってる。通訳しろ通訳」
佐之助「えっと…『作者さんってレオパ好きなんですか?私もレオパ好きですよ♪』と言ってます」
二伊「物理的にも作品的にも2019年は色々あった年だったよな」
三島「更に政治経済でも色々な変化があったからな」
四堂「今年も良いお年を!」
五河「………」
四堂「日鞠、こういう時くらい喋ろうか?」
Aaron「Our success!」
Abel「Attenz-vous a mendire!」
Michera「Well everyone」
静流「あー、と言う訳でして……2020年も何卒よろしくお願いします!」

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.27 )
日時: 2020/01/10 21:55
名前: 祝福の仮面屋 (ID: PZX6sAnA)

〜会津エリア・鶴ヶ城付近〜

「さてと、侵入ルートも確保出来た事だし!ちょっくらこの街の探索とでも行こうかな」

静流はそう呟くと、鼻歌混じりにルンルンと歩きながら会津の街並みをグルリと見渡して行く。文書とかニュースでもこっ酷い惨状だと聞いてきた為、正直来る前までは街並みとかめちゃくちゃボロいんだろうなと思っていたが、全くそんな事は無く街並みはサイバーパンクを思わせる近代的でありながら、衰退しつつある良い塩梅を醸し出していた。

「こう言うの好きなんだよね〜……っとアレはまさか!?」

なにかを見つけた静流は、何かに向かって真っ先に走って行く。
そこはちょっとした露店らしく、そこに建っていたのはーーー

「へいらっしゃい!」
「おっちゃん!タコ焼き一つ!」

タコ焼きの店だった。
何気に、こんな廃れた場所にタコ焼きの店がある時点である種の感動が込み上げてきたが、そんな事は御構い無しに静流はタコ焼きを一つ購入する。

「今食べて良い!?」
「おう!かまぁねぇよ!バクッといっちまいな!」
「そんじゃ、いただきまーす!」

そして、静流はタコ焼きを一つ頬張る。
次の瞬間、静流は目を見開きーーー

「ーーーーー〜〜〜〜〜〜♪♪♪」

あまりの美味さに震えた。

「美味い!」
「おっ!そいつぁ嬉しいねぇ!」
「いやマジで!冗談抜きで!」

カリッカリの表面を噛み砕いた刹那、フワッと香りが口の中で広がりトロットロの中身が少し熱いが、プリップリのタコと良い感じに混ざり合うのだ。生地とタコがそれぞれ主張しながら互いの邪魔をしない、東京エリアでも食べた事の無い未知なるタコ焼きに静流は感動した。
ものの数分でタコ焼きを食べ終えた静流は、少し罪悪感を感じながらもタコ焼き屋の店主にとある事を訪ねた。

「ねぇおっちゃん」
「ん?」
「レイヴンって昔はどんな組織だったの?」

店主は少し表情を曇らせる。
地雷でも踏んだか?と静流は考え、無理に話さなくても良いと店主に言ったが、店主は口を重く開いた。

「嬢ちゃん、悪い事は言わねぇ。カンヘルには気を付けろ」
「カンヘル?」
「レイヴンのリーダーの名前だ。そいつがリーダーになった事で、確かに会津は豊かになったが……何かが変わっちまった。それに…」
「ありがとうおじさん。私、もう行くね」

静流は謝罪も含めて礼を言うと、店主は「気を付けてな!」と先ほどと同様の明るい笑顔で見送ってくれた。
そして鶴ヶ城へ向かう途中、静流はとある疑問に頭を捻っていた。

「(カンヘルがリーダーになってから何かが変わった…じゃあ、カンヘルの前のリーダーは誰だったの?いや、そもそもソイツは人間なの?)」

静流は考え、彼女の人生を喰い荒らした鴉の巣へと向かって行く。
これから起こる、悲劇を暗示するように……




次回
代肆節
「No.chance of survoiving

これからは前編後編構成で投稿!以上!

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.28 )
日時: 2020/02/05 20:09
名前: 祝福の仮面屋 (ID: cerFTuk6)

代肆節【後編】



「風タク思い出すなぁ…天井裏から散策とか」

昔やっていたレトロゲームの事を懐かしく思い出しながら、静流は現在、レイヴン本拠地の屋根裏を這っていた。会津に到着した時、憂さ晴らしにムッコロコロしたチンピラから奪った地図を見ながら、スマートフォンに登録した専用アプリで位置を確認する。
どうやらこの先に換気口があるらしく、直感と携帯用のライトを頼りに更に進んで行く。そして少し進んだ後、静流は驚きの事実を知る。

『なぁ、侵入者が来たんだって?』
『らしいな。まぁ、見間違いだと思うが』
『だな』
「マジかよ…」

バ レ て た 。
一体いつからバレていたんだろうか。取り敢えず静流は状況を整理する為に、更に奥へと進んで行く。
そして10数分ほど這いずり回った後、静流は遂に換気口を見つける。

(あった!)

換気口の下を見る。
下は大ホールとなっているらしく、少しばかり見渡すと、縦横約100mくらいの正方形の床が視界に入る。
そこで静流は、更に驚愕の光景を目にする。

(え……!?)

下には一人の男がいた。
そこまではまだ普通なのだが、その男が戦っていたのはーーー

(あれは、妖なの……!?)

そう、人類の敵・妖だった。
人型故にサイズはC−3クラスだろうが、この時点で一般市民なら数十人はミンチになっていても可笑しくは無く、自衛隊でも討伐に時間を有する脅威なのである。それにも関わらず、男は両手剣と思われる段平を手に、勇猛果敢に妖へ斬りかかる。
そして、妖と数手打ち合った男は、徐ろに左手を翳す。次の瞬間、静流は三度驚愕する事となった。

(レギオン!?)

そう、男が翳した掌からはキューブが現れ、それは次第に人型を形成して行く。それは、誰がどう見ようと、White/Fangの誇る新兵器、《式神(レギオン)》の他に無かった。レギオンを出現させた男は、互角に渡り合っていた妖を瞬殺する。
その光景を屋根裏から見ていた静流は、ただただ戦慄するだけだった。

(レギオンは狼しか持ってない技術の筈…一体、何で技術面に難のある鴉が…?)

静流は思考する。
だが、考える事に没頭していた所為なのか、静流は背後まで迫り来る者の存在に気が付かなかった。

「きゃっ!」
「何だ!?」
「侵入者だ!」

刹那の間に静流は囲まれる。
静流が臨戦態勢に入った次の瞬間、ステージの奥の方から手を叩く音が聞えて来る。
その音の方に眼を向けると、そこには一人の男がソファに座っていた。男は少しの沈黙の後、マスクに映し出されたホログラム映像を笑顔に変え、口を開く。

「よぉ、白い狼さん。ようこそ、真っ黒い鴉の巣窟へ。俺の名はカンヘル、お前さんなら覚えてる筈だぜ?葛城静流」
「カンヘル……!?」

静流は眼を見開く。
親愛なる祖父を殺し、葛城静流と言う名の少女の人生から玖を奪い、彼女の人生を狂わせた怨敵が、今目の前に座っていた。
戦慄する彼女を他所に、レイヴンの頭目・カンヘルはソファから立ち上がり、仰々しく両手を広げる。

「さぁ、全力でかかって来い。それとも?俺の方かr…」
「死ぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇッ!!!」

刹那の間に、静流は一足飛びでカンヘルとの間合いを詰め、腰に収められた粒子加速式忍刀・ムラクモを抜き放つ。
今、修羅の道を征く狼と、世界の闇を牛耳る鴉の頭目との一騎打ちが始まった。



次回代伍節
【喰う者と喰われる者】

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.29 )
日時: 2020/04/01 15:37
名前: 祝福の仮面屋 (ID: siKnm0iV)

代伍節
【喰う者と喰われる者】



「死ぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇッ!」

レイヴンの親玉にして宿敵・カンヘルが両腕を広げた刹那、静流はムラクモを抜き放ちカンヘルに肉薄、首を切り落とさんと一閃を放つ。

「チッ!」

カンヘルは咄嗟に刀を構えて防御の姿勢を取るが、踏ん張りが不十分だったのか大きく後方に吹き飛ばされる。大きく地面を引きずりながら、数メートル後退したカンヘルは刀を地面に突き刺して停止し、思いっ切り口角を上げて静流を挑発する。

「狼の小娘ェ…腕を上げたんじゃないか?そりゃそうか…あの時は只々泣き喚く事しか出来なかったもんなァ!」
「黙れ!お前は私が倒す…それだけだ!」

静流が右腕を掲げた刹那、右腕に装備されたガントレットから小さなキューブ状の物体が放たれ、それは両の腕に双刃を携えた無機質ながらも生物的な人型を形成して行く。

「ほぉ、そいつがレギオン……いいぞ小娘!もっとお前の力を見せろォ!」

カンヘルの放った一言を機に、静流は召喚したレギオンと共に猛攻を仕掛ける。

「殺す!」
「そうだそれで良い!俺を殺す気で来い!その手で俺を殺して見せろ!」

静流の猛攻に追いつけていないのか、カンヘルの反応が鈍くなったのを見切る。手応えを感じた静流は攻撃の手を更に強めるが、同時に一つの違和感を感じていた。

「(おかしい…何故、倒れない!?)」

そう、いつまで経っても倒れないのだ。
そして、遂に集中力が切れたのか、静流はカンヘルの足を払い地面に押し倒す。苦悶の声を上げるカンヘルに馬乗りし、彼の喉元にムラクモを突き付ける。

「………殺さないのか?」
「投降して」
「ク、フフフ…クハハハハ…」

カンヘルのに静流は降伏を促す。
するとカンヘルは唐突に笑い始め、不気味に感じた静流は声の圧を上げる。

「何が可笑しい……!?」
「可笑しいとも!……そうだなぁ、少し世間話をしてやろう。世の中の人間は加害者を悪とするが…本当にそうか?悪人には悪人なりの事情があるからそうするんだよ。なら、もしお前の爺さんが、お前を使って人体実験地味た真似をしてても…お前はその男を愛せるか?」
「………!」

刹那、静流の瞳が揺れる。
その隙を見逃さなかったカンヘルは、口角を上げて畳み掛ける。

「お前は優しいだろう?だから俺のような極悪犯ですら投降勧告から始め、俺が少し手を抜いただけで勝てると慢心する。お前らは正義の味方を気取ってるが…実際はどうだ?年端もいかない子供にこんな危険な仕事をさせて、剰え人体実験の被害者にする」
「………黙れ」
「いいや黙らないね。正義の裏では必ず犠牲者が出る訳だが…クズは必ずこう言うんだ、『尊い犠牲』ってな。凄いと思わないか?大して尊いと思ってないクセに上っ面だけ取り繕い、それに愚民はついて行く!」
「………」
「俺を黙らせるには殺すしかないぞ?どうする?殺すか?顔も知らない男を!もしかしたら人違いかも知れない俺を怨敵と見做して殺すか!?葛城静流ゥ!」

静流は何も言い返さない。
しかし、カンヘルの被る仮面の上に水滴が滴り落ちる。カンヘルが静流の顔を見ると、彼女は両手で眼を覆いながら泣いていた。驚愕するカンヘルを他所に、静流は嗚咽を漏らしながら泣き続ける。

「何で……そんな事言うの……?私は何も知らないのに…!大人の事情ばっかり押し付けないでよ!分からないものは分かんないよ!どうしてみんな揃って…私を虐めるの……?」

泣きじゃくる静流を退けながら、カンヘルはゆっくりと体を起こす。そして彼女の髪に触れた次の瞬間、カンヘルの右腕が宙を舞った。

「!?!?!?」
「………え?」

カンヘルは斬撃の方向へ振り向く。
そこには、レギオンがいた。レギオンは最高速度でカンヘルにショルダーチャージを叩き込み、カンヘルを静流から引き剥がす。カンヘルの腕から溢れ出た血液を頭から被りながら、静流はレギオンの単独行動に戦慄する。

「何で……?レギオンはパートナーから一定の距離以上は離れないはず……待って…殺しちゃダメ…お願い、戻って来て…」

静流は弱々しく鎖を引く動作を行いレギオンに戻って来るように命令するが、レギオンはその命令を無視し、カンヘルを斬り続ける。
そして、静流は違和感の正体に気づく。
今思えば、レギオンは召喚した瞬間から単独行動に移行していたのだ。召喚した瞬間、レギオンは真っ先に下っ端達を片っ端から葬り去っていった。そこから静流とカンヘルの攻防に加わったのだ。静流は脚を引きずりながら、レギオンとカンヘルの元へ歩いて行く。

***

「くっ……」

一方、カンヘルは苦戦を強いられていた。
背負った刀で応戦こそしているがあまりの速さに追いつけず、一太刀受ける毎に体が膾切りにされて行く。

「(こりゃマズいな……)」

血液が足りないのか、視界が霞んで行くのが分かる。レギオンの怒涛の猛攻を紙一重で受け流しながら、カンヘルはこちらへ歩み寄って来る静流を発見する。

「来るな!」

刹那、カンヘルの頭が撃ち抜かれる。
カンヘルは地面に崩れ落ち、目標の死亡を確認したのか、レギオンは静流の元へ戻って行く。銃弾が放たれた方向を睨み付けると、そこにはかつて殺した筈の男が立っていた。

「ジジイ……!」
「バカ息子が……手こずらせおって」

殺した筈の男…葛城玄馬は、立て続けに3発発砲し、カンヘルの手足と心臓に穴を穿つ。カンヘルの元に辿り着いた静流は、かつて死んだ筈の玄馬の姿を見て驚愕する。

「お祖父ちゃん……?」
「静流よ、久し振りの再会じゃが……もう行くとしよう」
「ッ!待って!」

静流は呼び止めようとしたが、玄馬は霞のように消えてしまう。血塗れのカンヘルを見つけた静流は彼の元へ駆け寄り、声を荒げながら彼に問いかける。

「ねぇ!何があったの!?何で死んだお祖父ちゃんが生きてるの!?」
「分からん……ただ、奴は俺達レイヴンとグルだったんだ…!」

静流の頭はこんがらがっていた。
何故祖父が鴉と手を組んでいたのか、ならば何故手を組んでいた筈の祖父を殺す必要があったのか、答えはカンヘルの口から出た。

「奴は……狼とも結託し、お前を使って諸外国に対抗するべく兵器を作っていたんだ…!止められるのは、お前だけだ…別に今すぐにとは言わない…全ての保有者から、レギオンを奪い取れ……」

カンヘルはそう告げ、静流の右手を固く握り締める。静流は右手に掴まされたペンダントの中身を確認し、決意を決める。

「分かったよ……お父さん」

これは、玖を失い壱を得た少女の新たな叛逆の物語。




次回
最終節
【一つの善と何百もの罪】

第2部、完!
久し振りに投稿出来た……!
第2部最終話如何でしたでしょうか!コメントや指摘お願いしまーす!
遂に世界どころかWhite/Fangをも敵に回してしまった葛城静流、彼女の動向はどうなって行くのやら……

Re: White/Fang(過激グロ注意) ( No.30 )
日時: 2020/04/01 15:38
名前: 祝福の仮面屋 (ID: siKnm0iV)

最終節【一つの善と何百もの罪】



「まさか…カンヘルが、お父さん…?」

現在、流れ込んで来る圧倒的情報量に静流の頭はパンクしかけていた。
静流はレイヴンの本拠地に侵入、頭目のカンヘルと交戦したが突如レギオンが暴走した事によって辛うじて優勢となるが、頭目・カンヘルが静流の父であり祖父・玄馬の本当の目的を伝え息を引き取った。そして今、静流は旧鶴ヶ城跡の堀を歩き、考え事に耽っていた。

「(そもそも…父さんとお祖父ちゃんがグルだとしたら、何でお祖父ちゃんを殺す必要があった?理由は本当の目的を知ったからなんだろうけど…その本当の目的って…)」
「おい」
「ひゃいっ!?」

が、唐突に後ろから声を掛けられ飛び上がるように後ろに振り向く。そこには、メガネをかけた長身痩躯の白衣を纏った金髪の男が立っていた。その男に見覚えがある静流は、恐る恐る男に問いかける。

「何の用ですか?Mr.Abel」
「覚えてくれて光栄だよMrs.葛城。レイヴンの単独調査、お疲れだね」
「何で知ってるんですか……」

静流はげんなりとした様子で答える。この男は、一体何処からそう言った情報を仕入れてくるのか本当に謎である。

「まぁ友人のツテって奴だね。で?君は狼をも敵に回すんだろ?」
「どこまで知ってるんですか?」
「君のお祖父さんが狼とグルで何かしようとしてるところまでは」
「大体は知ってるんですね…なら、話は早いです」

Mr.Abelは此方の意思を汲んでくれたのか、「こっちで対応出来る範囲でなら了承しよう」と答えてくれる。自身を陰ながら守ろうとしてくれた父の願いを背負い、自身を実験の為に育て上げてくれた祖父を憂い、そして自身が来る事を知っていたかのように迎え入れてくれた彼らに敬意を示し、静流は心の内に押し込めていた本心を曝け出す。

「私を、買って下さい」
「………ん?」

言ってる事が分からなかったのか、Mr.Abelは眼を白黒させる。静流も静流で恥ずかしかったのか、顔を背け、頬を紅潮させながらもう一度告げる。

「だから、わ、私を…買って、下さい」
「Oh……」

これには流石のMr.Abelも母国語を使わざるを得なかったが、事の真意を理解した彼は軽く息を吸い、いつも通りの表情をとる。

「よし、90000ユーロで買おう。天津円で表せば1000万は硬い」
「ありがとうございます」

静流はそう答えると、Mr.Abelはいつも通りの胡散臭い笑みを浮かべ、スマートフォンを取り出してとある番号に電話をかける。数コール鳴った後、電話の主が対応したのか、二人の会話が始まった。

「やぁ、俺だ。やっぱりそうだったらしい。…分かってるさ、勿論彼女に手を出すつもりはないよ。それじゃ」

Mr.Abelは電話を切ると、再び静流の方へ向き直る。彼は、笑っていた。

「Mrs.葛城、俺達セントブリーズは資金面や技術面で君を全面的に支援しよう。その代わりと言うのもなんだが…」
「分かってます。私は貴方達に一切の拒否なく協力する事…ですよね?」
「話が速くて助かる」

Mr.Abelが伸ばした手を、静流は強く握りしめる。

時同じく天津巫國全都市にて、White/Fang隊員・葛城静流の死が報じられた。


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