ダーク・ファンタジー小説
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- 壊れ物は燃えないごみへ
- 日時: 2012/08/10 17:22
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
夏休みとか無くなればいいよね。
宿題あるくらいなら無くなればいいよね。
昔に戻りたくはないけどあの時は楽だった。なんてね。
普通に学校行ってるときのほうが楽な気がする。
あ、ちなみに、あと一週間ほどで夏休み終わります。
良いんだか悪いんだか。
以上、独り言。以下が挨拶と紹介。
はじめまして。桃弥です。
趣味の域を出ない自己満足作品になるかもしれないですが、
温かい目で見守ってくだされば幸いです。
あまりの暑さと宿題の同時攻撃で、たまに頭のねじが外れますがご了承ください。
さらに、以下、登場人物。
◆コータ
兄と妹がいて、片親。普通に暮らしている。
◆柳 水鳥(やなぎ みずどり)
主人公の友達。問題児らしい。
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.4 )
- 日時: 2012/08/08 19:37
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
歌鈴さん、ありがとうございます!
まだまだ序盤で先が読めないところもあると思うのですが、
面白いと言っていただきとても嬉しいです。
主人公のフルネームより家族の名前より、
友達の名前が最初に出てくるというミラクル(笑)
今後もがんばって更新します!
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.5 )
- 日時: 2012/08/10 15:01
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
見た目はともかく、成績優秀ならば何の問題もない様に思うが。
それ以外に欠点があるというのなら、一体何なのだろう。
今現在まで、特に騒ぎは起こしてないように見える。
まぁ、問題児というのなら、すぐに分かることだろう。
俺はそう結論付けて、止まっていた足を再び進めだした。
水鳥(つるんでいたのなら名前で呼んでいたはずだ。覚えてないが)は俺の隣に並んで歩き始める。
「あ、そういえばコータロー、おめでとう」
「……何が?」
水鳥の突然の言葉に、俺としてはそう返すしかない。
そしてこれはどうでもいい事だが、水鳥は背が高いので顔を見て話そうとすると、自然と見上げる体勢になる。
逆に、水鳥は見下ろす姿勢に。
「何がって、もしかして覚えてなかったり?まぁ、コータローならそんな感じがするけど」
「どんな感じだよ」
「灯台下暗し、みたいな」
よく分からない例えだ。
「あれは確か、探し物は意外と近くにある、という感じのことわざだったっけか」
「まぁ、そんな青い鳥みたいな、いい感じの話じゃないけどね」
「はぁん」
青い鳥の話は知らないが、とりあえず頷いた。
空気を呼んだわけではないが、ここで言及すると、話がさらに脱線すると思ったのだ。
別に興味がある話でもないので。
水鳥も、俺が適当に返事をしたことには気付いていたようだが、何も言わない。
うん。こういうところが気に入って、つるんでたのかもしれないな。
「で、さ。何がめでたいかというと、昨日はコータローの誕生日じゃないか。これでめでたく無事に16歳になったって話じゃん」
「あぁ、それか」
「それって」
まるで何でもない事のような俺の言いかたに、水鳥は軽く溜息をつく。
けれどまぁ、俺にとっては何でもいいことだ。
それに、それは俺にとってすでに終わったことでもある。
「昨日までは忘れてたんだけどな」
「へぇ? じゃあなぜだか思い出したんだ。何かあったの?」
「……あったな」
俺はそこで言葉を切る。
先を促すように黙っていた水鳥だが、俺が溜めにしてはあまりにも長い時間黙っていると、俺の考えが分かったようだった。
「で、何があったの?」
「あぁ……まぁ、何と言うか……」
俺はちょっと考えて「あれ」を正しく表現する言葉を探す。
「……サプライズという名の連鎖爆撃?」
水鳥は一瞬きょとんとしてから唐突に吹き出し、それから心底おかしそうに笑った。
「あははははっ! いいね、それ。面白そう!」
「掃除が大変だったっつーの。俺が残ってたクラッカーで応戦したら、そこら辺のクッションとか投げ出して、最終的に何が『面白いのか分からないが面白い』っていう状態だったから」
「はははは……。まあ、そりゃね。っていうか、クラッカーってさ、室内で、しかも自分の家で使うものじゃなくない?」
「我が家の鉄の掟第四条は、室内でのクラッカーの使用禁止令になった」
「一から三が気になる」
……なんだっけな。
それも忘れた。
確か、前も何かやらかしたときに作られてたはずなんだが……。
結局それは思い出せなかったが、そんな感じで俺たちは益体もない話ばかりして、校門をくぐった。
うん、まぁ、顔を忘れてた割には自然に話せてよかったです。
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.6 )
- 日時: 2012/08/12 09:25
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
◆◇◆
うちの学校でクラス替えがあるのは、二年生になるときのみ。
つまり、今年の俺のクラスは、去年と同じメンバーの三年三組。水鳥とも同じクラスだ。
教室があるのは、校舎の二階になる。
ちなみに一、二年生は三階だ。一階は職員室とか放送室がある。
昇降口はクラス替えの紙が貼り出されており、主に二年生でごった返しになっていたが、俺たちは何とか校舎内に入った。
「思うんだけど、あの張り紙なんで昇降口に張るんだろうね? 三階に貼ればよくない?」
「んー……狭いからじゃないか? 屋内であの人ごみとか窒息しそうだしな」
適当に話しながら教室へ向かう。
後数分で朝学習の時間になるが、廊下でお喋りに興じている生徒も多い。久しぶりだからか、盛り上がっているようだった。
「そういえばさー、今日実力テストあるけど、勉強してきた?」
一組と二組の教室の前を通り過ぎ、三組の教室の戸を開ける。
「あぁ、まぁ、少しは。何で休み明けそうそうにテストなん……て……」
その瞬間、教室内は静まり返っていた。
廊下にいる生徒同様、みんな思い思いに話していたはずなのに、今は誰も話していない。
その視線の先は、教室の戸の方。
つまりこちらに向いているのだった。
なんだよこのデジャヴ感……。
俺は反射的に口を閉ざし、内心げんなりする。
もちろんこの事態にも心当たりはない。
唯一の心当たりといえる問題児、水鳥の方を見てみると。
「いやぁ、確かにそのとおり。休み中に真面目に勉強する人なんて、何割くらいいると思ってるんだろうね」
笑顔だった。
うん、実にいい笑顔。
しかもさっきの話続けてるし。
それを合図に、教室内に音が戻ってくる。
みんなお喋りを再会し、さっきの静けさは嘘の様に消えた。
「……さぁ。どんくらいだろうな」
俺もぎこちなくではあるが、水鳥と話し出す。
さっきから話してて、「あれ、割と普通の奴だな」と思っていたが、どうやら間違いだったようだ。
俺の記憶違いの可能性すら考えていたのだが……このみんなの反応、何かしら前科があるな。
初日からこんな感じで、そこはかとなく不安になるが、まぁ様子見かな。
困ったことに、クラスに関しても忘れてることがたくさんありそうだった。
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.7 )
- 日時: 2012/08/16 09:04
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
二話
引木 幸多(ひきぎこうた)。
少々当て字っぽいが、これが俺の名前だ。
字面を見るだけで何を意味するかわかる名前。
「こうた」と聞けば字のほうもある程度予想がつくところを、見事に裏切った名前。
水鳥はふざけてコータローなどと呼ぶが、まぁ気に入っている。
ただ、うちの両親のネーミングセンスはどうも変っていると言わざる得ない。
なんたってうちの兄の名前が——
……いや、今はそれどころではなかった。
なぜ俺が自分の名前なんて身近なものに今更思いを馳せているのかというと、担任が教室に入ってくるなり俺の名前を呼んだからである。
フルネームで。
今日は新学期が始まってから数日たったところだ。今のところ何も問題はない。水鳥も何もしていないように思っていたし、もしそうだとして俺が呼び出されるのは納得がいかないのだが……。
まぁ、心当たりならあるといえばある。
新学期早々行われたテストのことだ。
あのテストでは、春休みに何もしていなかったせいで散々な結果をとってしまった。
あれでふざけているといわれたら、俺は素直に謝るしかない。
ふざけていない。真面目じゃなかっただけだ。などとは間違っても言うまい。
心の片隅でそう決意し、俺は担任教師のほうへ向かう。
教室内では騒がしくて話がしにくいと判断したのか、担任は廊下に出た。
ちなみに、この担任教師(女)の名前は覚えていない。
まぁ、覚えていなくても呼びかけるときには「先生」と呼べばいい。
たまに困ることがあるとすれば、俺は教師全般の名前を覚えていないので、誰かに「○○先生を呼んできて」などと名前を出されてしまうと、誰だか分からなくなるくらいだ。
担任は少しばかり何を言われるか身構えてきた俺に対して、予想のはるか上を行く内容を告げた。
「あの、今……幸多の兄って人から電話がかかってきてるんだけど……」
- Re: 壊れ物は燃えないごみへ ( No.8 )
- 日時: 2012/08/18 19:20
- 名前: 桃弥 ◆TylvI6wUQw (ID: kVl8fIZD)
「……え」
そのまま俺は職員室に連行され、受話器を渡された。
学校に電話をかけてくるなど、よほどの事態だろう。
頭の中をさまざまな可能性がよぎる。どれもこれも最悪だ。
どうか大したことじゃありませんように……。
らしくもなく祈りながら電話に出た。
「……もしもし」
「あ、コータ? 俺だけど」
普段なら「オレオレ詐欺?古いね」とふざけるところだが、今そんな言葉は出てこない。
代わりに自分でも判るくらい真剣な声でたずねた。
「なんか……あったの?」
「ん? なんかって何だ。用事はあるが大したことじゃないぞ」
「……あぁそう」
一気に体の力が抜けた。
気が緩むが、今度は嫌な予感が頭をもたげる。
ならなんで電話をしてきた?
一気に問い詰めたいがここは職員室。残念ながら騒げない。
あせる気持ちを押さえつけて、努めて冷静に聞いた。
「で、どうした」
「んー、いやぁそれがさ」
兄は相変わらずマイペースだ。この分じゃ多分……
「冷蔵庫の中に賞味期限切れのケーキがあるんだけどどうしよう?」
……やはり、だ。ものすごくどうでもいい内容で電話してきやがった。
「捨てれば良いだろそんなもん……ってかいつのだよ」
「多分お前の誕生日の」
「消費期限も切れてるよなそれ」
完全に終わってる。
「いや、ちょっとあけるのが怖いんだよオレ。無理」
「女子かお前は……」
思わずこめかみを押さえる。
そばで担任が不審そうな目で見てきているので、本当はもっとオーバーなリアクションをとりたいところだが出来なかった。
「で、用はそれだけ? 切るよ?」
「いやいや、重要だろこれ。かびてたらどうするよ」
「一刻も早く捨てるべきだとは思うけど、電話してくるほどの用事か?ていうかさっき大した用事じゃないって……」
「俺の暇っぷりをなめるなよ!」
「そうか。じゃあね」
ぶつり。
たぶん兄は何か言っていたけど、学校でこれ以上くだらない話をしようとは思わない。
ってか、いい加減教師様方の視線が痛い……。
担任に受話器を返還すると、案の定、
「何の話だったの?」
と聞かれた。
さすがに俺の言葉を聞いてればそこまで緊急事態じゃないと気付くだろう。
本当のことを話そうとは思わないが、なんと言ったものか……。
「えーとですね……」
くそ、兄め……余計な面倒ごとを増やしてくれる。
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