ダーク・ファンタジー小説
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- 呪蝶屋(リメイク版)
- 日時: 2012/04/07 15:51
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17500
〜注意書き〜
恐らく初めましての方が多いと思いますが……。
お久し振りの夜湖です!
この小説は「シリアス・ダーク」の 呪蝶屋〜魂封じる少女の店〜 のリメイク版です。
全く更新してない上設定が可笑し過ぎたのでリメイクさせて頂く事になりました。
参照のURLをクリックして頂けばリメイク前の小説が出て来ると思いますが、設定が可笑し過ぎるので初期設定が見たい方のみお願いします……。
・グロい所が結構出て来るかも知れません。と言うより確実に出て来ます。
・視点は基本『呪怨』『雷葉』の2つです。
・更新が遅かったり速かったり不定期です。
・午後8時〜午前7時の更新はありません。
・誤字脱字があるかも知れません。
・ちょくちょく修正します。
・コメント受け付けていますが、荒らさないで下さい。
・リメイク前と同じ様に更新ストップする可能性があります。
〜目次〜
プロローグ >>1 登場人物 >>2
第1章 呪蝶屋へ来たお客様 >>3>>4>>5>>6
第2章 魂封じ >>7>>8>>9>>10>>11
第3章 危険な生物 >>12>>13>>14
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.10 )
- 日時: 2012/04/05 17:19
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「呪怨、此処はアメリカよ」
「……雷葉、父親以外にアメリカにいる知り合いはいる?」
「……いない」
蝶が下へ降りて行った。私達も後に続く為、地に降り立った箱のドアを開けた。
「呪怨、空から降りて来て不審な人と思われないのか?」
雷葉がそう私に聞いたけれど、ルナが答えた。
「その心配は必要ないわ。呪怨は今身につけているネックレスで姿を消しているの。呪蝶屋にいる時は、屋敷に元から掛っている魔法の効力で効果が効かないけど。私は魔法だけど、1時間しか持たない」
「良く解んない……。……じゃあ僕は?」
「雷葉はそのブレスレットで見えない様にしているのよ。私と同じ」
そう言うと、雷葉は右手首に付けているブレスレットの方へ目を移した。
『雷葉、これを』
『これは……ブレスレット?』
『そうよ。魔力を制御する効果があるわ。
それ以外にも効果はあるのだけど、説明は後でね』
『……つまり、付けておけって事?』
『そう言う事。さあ、行きましょう』
ブレスレットを見つめる雷葉を見て、私は何故か『あの人』を思い出した。
……何故、似ているの?
ボーっとしていると、近くのビンを蹴ってしまいそうになった。
「……あ!」
ビンを避けると、雷葉の何かを見つけた様な声。
「どうしたの?」
「僕の……父親が……」
雷葉の指さす手が震えていた。そこには、商店街の道で6人の女性ともめている男性がいた。その意味は、見ただけで解る。
あれが、雷葉の父親なのかしら……。
「酷い……。……母さんの時だって……」
「パリィィン……」
商店街のガラスが割れた。それに続き、商店街に強風が吹き荒れる。
「呪怨、これは何なの!?」
「……恨みの力、よ。力が暴走しかけている……!」
商店街の方から雷葉の方へ目を向ける。
……早くしないと、力が暴走して町を崩壊しかけない!
……崩、壊?
「呪怨、急いで!……呪怨!」
ルナの言葉にハッとする。
「……罪を重ねる罪人よ。恨みを晴らし、魂を封じます!……魂封蝶呪!」
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.11 )
- 日時: 2012/04/05 17:21
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「罪を重ねる罪人よ。恨み晴らし、魂を封じます!……魂封蝶呪!」
…………………………
「……ぎゃあああぁぁ!」
突然、雷葉の父親が悲鳴を上げ苦しみ出した。苦しそうにもがき、雷葉の父は赤い蝶の中に吸い込まれて行った。
父親の叫びで正気に戻った雷葉は、その声で顔を歪ませていた。
「呪怨……聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「良いわよ。何かしら?」
蝶をビンに入れ、真っ赤なコルクで蓋をした。そして雷葉を見る。
「毎回こんな叫びを聞くことになるのか?」
「ええ。でも今は急いでいたからまだマシな方よ。
いつもなら全身バラバラの刑とか、毒死の刑の後に魂を封じるの」
私は淡々とした口調言ったが、雷葉はさらに顔を歪ませた。
「何でも慣れよ。さあ、呪蝶屋へ戻りましょう」
雷葉のやる気が本気が確かめるため、「慣れ」という言葉を強調した。
顔を青くはさせたが、目は強い意志を持っている。……本気ということね。
町は男性が急に叫び苦しみ出した事、そして消えていった事で大混乱に陥った。
雷葉はその様子を申し訳なさそうに見つめ、かつて父が居た場所に目線を動かした。
「……恨んでいるなら、早くしなさい」
酷いとは思う。けれど店にはソルが待っているし、何しろこれを自分でしていくのだ。
「……………………」
けれど、動かない。近付こうと数歩歩み寄ると、肩が震えているのに気付いた。
「……泣いてるの?」
返事は何もない。少ししてから、絞り出す様な声で言った。
「……憎いんだ。母さんが死んだのは『父さん』が僕にも母さんにも暴力をしていたからでもあるから。
でも……たった1人の肉親だった。……悲しいのは、泣いてるのはたった1人の肉親だから。
あんな『父さん』でも、優しかった時があったんだ。
……行こう、呪怨」
涙を振り払い、そう言った雷葉の目は決心そのものだった。
「やるよ。どんな事になろうと。……もう決めたから」
雷葉の近くにあるビンが、コロコロと転がり海に落ちた。
……如何して、貴方はそんなに『彼』に似ているの?
あの日、私に言った言葉も、決心の目も同じだった。
『やるよ。どんな事になろうと。……もう決めたから』
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.12 )
- 日時: 2012/04/07 15:53
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
〜第3章 危険な生物〜
「お帰り」
「只今、ソル」
「……雷葉、お前本当に此処の店員になるのか?」
ソルとの会話。帰って最初に言われたのは、この言葉だった。
「……うん。もう決めたから」
でも、今更引き返す何て言えない。そう答えると、ソルは嫌そうな、でも満足そうな複雑な表情を見せた。
……ネコだから良く解らないけど。
「雷葉、これから呪蝶屋についていろいろ教えるから。気分が良くなったらあの扉の部屋に来て」
呪怨が左の扉を指差した。
「解った。それと、水が飲みたいんだが……」
「あの扉の奥が台所だ」
ソルが教えてくれたが、何やらご機嫌斜めらしい。何があったんだろう。
……そう言えば、ルナが居ない。
「ありがとう」
とりあえず、そう言った。と、其処で。
「呪怨、ちょっと」
「何?」
ソルが呪怨と教えられた部屋の真逆の部屋に行った。ソルが一瞬僕を見た気がするけど……何だったんだろう?
僕は台所に行って水を飲み、深呼吸をした。また恐ろしいものを見るかも知れないから。
本当にそんな事になっても、やるけど。……いや、やるって何をだよ。
そんな1人コントを心の中でしながら、元の部屋に戻って、扉を開けた。呪怨はまだ来ていない。
仕方ない。呪怨が来るまで待っておこう。
「……可能性は……ある、のね」
1人になった部屋に、その声は虚しく響いた。
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.13 )
- 日時: 2012/04/05 17:23
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
「この呪蝶屋は恨み相手の魂を蝶に封じ込める店。その時に必要な事を教えるわ」
あれから少し経ち、呪怨が部屋に来てさっそく呪蝶屋についての授業が始まった。
「人は恨みを必ず持っているわ。自覚していなくても、心のどこかには相手を憎む気持ちがある。
その気持ちを常に自覚していて、殺したいほど恨んでいるなら此処『呪蝶屋』に来る事が出来るの」
と言い、何か質問は?と聞かれる。
僕はさっそく気になった事を聞いてみる。
「じゃ、質問。恨んでいるなら此処に来られるって言ったけど、他の県とかにいる人とかはどうやって此処に来るんだ?やっぱり魔法?」
この質問に満足しているのか頷く呪怨。
「正解よ。でも、ルナが言った様に魔法は何でもかんでも出来るものじゃない……。
仕組みは強い恨みを持つ人を見つけて、その人に近い場所にワープ地点を建て、此処へ来させる……と言うのが簡単な言い方かしら」
難しいものの何とか理解した僕はもう1つの疑問聞いてみる。
「じゃあ、此処は何処にあるんだ?」
「京都よ」
…………はい?京都?
「言い方が悪かったわね……。つまり、此処が実際に建っている場所は、日本の京都の○○○の××××の△△……」
「わ、解った!此処は京都に建ってるんだな!」
ペラペラと住所を聞いて余計困惑しそうになったので止めさせる。
「そう言う事。因みに外国にはワープ地点は建てられないわ」
ついで感覚で言う様な事じゃ……と思いながら、話を進めてもらう。
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長いので、2つに分けます。
- Re: 呪蝶屋(リメイク版) ( No.14 )
- 日時: 2012/04/05 17:23
- 名前: 夜湖 ◆ktBRgyojdk (ID: 2FwfSENv)
呪怨は前に僕に渡した黒薔薇を持ち、それを見つめながら説明する。
「次は薔薇と蝶についてね。
この黒薔薇は恨みの強さを確かめることが出来、薔薇が変化した蝶の色に現れるの」
「……じゃあ、僕の時の赤い蝶はどれ位強いんだ?」
確り聞いている僕に、呪怨はホッとしている様子。
そりゃあこれを知っておかないと実践する時に困るからな。
「白、黄色、青、緑、紫、黒、赤の順に強くなっていくの。その中でも、色が濃いほどその色の中で恨みが強い。雷葉は一番強かったわ」
「……それ位僕は珍しいのか?」
「まあ黒薔薇無しでも解ったから……。蝶についてはこれだけ覚えておけばいいわ。ただ……」
「ただ?」
聞き返すと、呪怨はさらに深刻な顔になる。
「多分だけど……貴方は恨みが強いだけじゃない。そう思うの」
「それって、どういう事なんだ?」
意味が良く解らない。呪怨は、恐れる様に口を開いた。
「恨みの力は強力な力で、時に自分の周囲を捻じ曲げてしまう。雷葉が商店街のガラスを割ったのが、周囲を捻じ曲げると言う事。
でも、雷葉は違う効力が出ていた。自分の周囲では無く、父親の周囲を捻じ曲げてしまったの。
同じ状況だと、普通は帰る時に海に落ちたビン、あったでしょ?あれが割れるはずなの」
「なのに、僕の場合はビンではなく父が居た商店街のガラスが割れた……?」
「……あんな事が起きるのは、恨みの力以外の力が働いているという事。だから、貴方は恨みの力が強いだけじゃないと思うの」
(もしかしたら、何て……)
呪怨が思っている事は、僕が思っている以上に深刻な事とは、まだ知らなかった。