二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【竹取物語】二次小説【羅生門】
日時: 2012/12/31 22:22
名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: geHdv8JL)

—————————————しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を倒にして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。

 下人の行方は、誰も知らない。







(´・ω・`)<ごあいさつ

以上がみんな大好き羅生門のラストシーンになります。
もし、この先にも物語が続くとしたら……?

そんな感じで書き進めて参ります(*`ω´)


*目次*
>>1 羅生門 原作者:芥川龍之介
>>5 >>6 >>12 >>13 竹取物語

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Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.9 )
日時: 2012/09/03 01:28
名前: シルフィー (ID: 3r6DhwLS)

コメント失礼します^^

他の二次小説と違ってる感じがいいですねw

竹取物語が完結&その後の作品を楽しみに待てます(*^^*)

Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.10 )
日時: 2012/09/03 10:06
名前: 結城紗枝 (ID: QYM4d7FG)

スリルあってめっちゃ萌えます!!こっちもよかったです///

いまさらですけど応援コメ!続き楽しみにしてますー(*^o^*)

Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.11 )
日時: 2012/12/13 20:43
名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: SjxNUQ9k)


>>シルフィーさん

コメントありがとうございます!
完結できるよう、頑張ります(`∀´)


>>結城紗枝さん

菌糸の教室の方でも、コメントありがとうございました!
スリルがあるだなんて……嬉しいですっ///

Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.12 )
日時: 2012/12/13 22:33
名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: SjxNUQ9k)


完全に時が止まったようだった。あの、高校一年の夏に。
店内に響いているテレビの音だけがウソみたいにやけに場違いで。
鬼塚も私も年を取っていて。なのに、岩笠先生はあのままで。もう、わたしたちより年下になっていて。

一体、何が起こったのか全くわからなかった。


「先生、まさか……」鬼塚がぽつりと呟いた。
「まさか、って何が?」先生がまたクスクスと笑う。「言ってごらんよ、まさか何だって?」

「俺、おれ……」
鬼塚がちらりと周りを見た。店内は閑散としていて、客もそんなにいない。向こうにおじさん二人組が座っているだけだ。それで良しと判断したのか、鬼塚はテーブルの椅子を一つ引き寄せて、そこにどっこらしょ、と腰かけた。

「何でもないときなんかにね、今でもふっと思い出すんですよ。先生のあの日の授業のこと。」
「ほぅ、そりゃ嬉しいな。そんな大した事ない授業で申し訳なかったけど。」
「いや、素晴らしい授業でしたよ。俺、先生の古典大好きだったし、」
鬼塚が少し間を置いて、それから躊躇ったように口を開いた。窓から差し込む昼下がりの光がやけに眩しかった。

「あの時、おれ確か音読しましたよね。かぐや姫が居なくなった後が描かれていたあのたった数行を。おじいさんもおばあさんも元気をなくして臥せってしまい、帝もせっかくかぐや姫から貰った不死身の薬も富士山で燃やしてしまった。……つきのいわかさ、という人に頼んで。」

「あ。」
思い出した。そうだ、その時確かに私も思ったのだ。先生と同じ名前だな、とぼんやりと。

「それで、俺、なんかその時ピーンと来て。それが何故かずっと忘れられなくて、それで……」

「それで、つきのいわかさが僕だと思ったって事?」
先生がコップの水を飲んだ。微かに、愉快そうに唇が笑っていた。

「ははは、違いますよね。まさか……」思わず胸騒ぎがして、口を挟んでしまう。「あはは、はは……」
「でも、先生は年を取ってない。俺たちはもう、こんなに変わったのに。」鬼塚が私を見ながら言った。私も鬼塚を見た。どこからどう見ても、働き盛りの三十代。十数年前に見た、高校生時代の学ラン姿とはだいぶかけ離れてしまっている。きっと私も鬼塚の目に、こんなふうに映っているんだろうと思った。

「先生、ちょっと信じられないけど、そうなんでしょう?」鬼塚が先生に向き直った。

「うん。大正解。」先生がニッコリと笑った。「でもさ、不思議じゃない?誰でもあの有名な話を知ってるのに、だーれもつきのいわかさを疑わない。だってさ、おかしいと思わない?薬を燃やすだけの役の、あんな何でもない役職の人の名前がちゃんと物語に書いてあるだなんて。」

「確かに……。どうして書いてあるんだろう。」
「それはね、あの話を書いたのが僕だから。ちょっとは自己主張したかったの。」岩笠先生は得意げに笑った。それから すごいでしょ、と付け加えた。「竹取物語は作者未詳、って言われているでしょ?なんでかって、そっちの方がロマンがあるからね。理由はただそれだけ。」

「はぁ。」
あまりのことに、呆気を取られて何も言い返せない。目の前に座っている先生は、それからコップに残った残りの水を、ゴクゴクと飲み干してしまった。



それからコトン、と空のコップを置くと、私たちを再度じっくりと見た。


「さぁ、じゃあそろそろこんな茶番はオシマイだ。二人も飽きてきたでしょう?」

Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.13 )
日時: 2012/12/31 22:46
名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: geHdv8JL)


 「……?」


 ふと、目を覚ますと、やはりあの定食屋の中だった。
 しかし、窓の外に映る空の色が、違う。さっきまで真昼の、さわやかな水色はすっかり紺に染まって、星の輝く黒天の夜空に変わっていた。

 そこに一つ、たゆたゆと浮かぶ満月が、真っ白に輝いていた。

 「あ?」 
 周りを見回すと、これもどうしたことだろう。見慣れない、あの頃からはずっと大人になった同級生たちが、すっかり泥酔してみんな机に突っ伏していた。グーグーと、誰かが煩いイビキをかいて眠りこくっている。
 ふと、カウンターの方を見ると、色とりどりの紙くさりで飾られていて、その中央に、≪祝☆一高同窓会≫と書いてあった。

 ……?
 じゃあ、私は無事に同窓会に出席できたという事なのだろうか。同窓会に出席できなかったのは、さっきまで見ていた夢の話で、本当は……
  


 夢?


 「……岩笠センセイッ!?」
 先生は、先生は?さっきまで私の目の前に居た、岩笠先生は!?
 思わず立ち上がって、周りをめちゃくちゃに探し回るけれど、影も形もこれっぽちも無い。

 「ああ、そうだ、鬼塚は、アイツはどこに……」
 今度は、鬼塚は案外簡単に見つかった。カウンターの奥で、壁にもたれ掛って座ったまま眠っていた。その肩を、ユサユサ揺らして呼び掛ける。

 「ふ、ふぁ?乙海?」
 「そうだよあたしだよ。」寝ぼける鬼塚に、思わず掴みかかりながら畳み掛けた。「ねぇ、岩笠先生は?どこに行ったの?」

 「え……、先生ならさっきまで一緒に……」


 そこで鬼塚も変に思ったのだろう。急に、寝ぼけた顔が移り変わって、辺りを見渡し始めた。
 
  


 「なんで、夜?」
 目を大きく開いて、私に聞いてきた。


 「……こっちが聞きたいよ!!」
 思わず叫んでしまった。「ねぇ、岩笠先生がね、どこにも見当たらないんだよ!」

 「そんな……」




 それから、鬼塚と私は、あの夢の中であったことを長々と話し合った。まわりのみんなは、すっかり酒に酔って、起き上がりそうにもない。
 二人同時に同じ夢を見るなんて、どう考えても怪しい。第一、なんでふたりで岩笠先生の夢をみたのだろう。

 しかも、もし、あの夢の中で言っていたことが本当なら。
 岩笠先生は不死身で不死で、今もあの若さのままでいることになる。


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