二次創作小説(紙ほか)

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(D灰)ルージェの空に…… 第1話Part7更新!
日時: 2014/01/02 12:31
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 0T0BadNT)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=11042

 第1章 闇よりいでる
 プロローグ

 慈愛(じあい)の学園。
 スペイン南部の町外れ。
 小高い丘の上に、それはひっそりと佇(たたず)んでいた。
 赤レンガで造られた四階建て程度の高さをした建造物。
 そこでは学園長であるネナ・クランツが、慈善事業(じぜんじぎょう)に勤(いそ)しんでいる。
 家をなくした者、家族を失った者。
 何かしらの問題を抱えた子供達を、彼女はそこに匿(かくま)い続けたのだ。
 
 食材を買うため1週間ぶりに郊外(こうがい)に出た彼女は、旅路(たびじ)の途中で哀れな子羊達に出会う。
 年のころ10代前半程度の、小さな双子。
 姉をメロナ、妹をリベアというらしい。
 ネナは彼女等を迎え入れた。
 人を疑うことをすっかり覚えてしまった彼女達の猜疑心(さいぎしん)を、長時間掛けて解きほぐし慈愛の学園までつれていく。
 そして、今か今かと彼女の帰還を待っていた子供たちに、メロナ達の紹介をする。  

 「皆さん、新しいお友達を紹介しますね」

 ネナの言葉に子供達は色めき立つ。
 新しい友達が増える喜び。
 恋敵が増える恐怖など、持つ感情は様々のようだ。

 「先生! 2人ともまだ怖くて、自己紹介できないみたいだよ? 名前を教えて欲しいな!」

 少年の声。
 どうやら、新しい2人に興味津々らしい。
 細かい配慮が出来るのは、同じ境遇(きょうぐう)を知っているだろう。
 捨てられた子供は、自然と警戒心が強くなる。
 ネナは皺(しわ)だらけの顔に、満面の笑みを浮かべ質問に答えた。

 「赤髪碧眼の彼女がメロナちゃんで青髪でブラウンの瞳をした娘がリベアちゃんよ。名字はスカイゴットというらしいわ」
 「スカイゴットって名門じゃん! すっげぇ!」

 メロナ達の出自を聞いた子供達は、次々に驚きの声を出す。
 凋落(ちょうらく)したとはいえ、スカイゴット家は名門貴族の血筋だ。
 常識がそなわっていれば驚くのは当然といえた。
 だが、それがリベアは嫌だったらしい。

 「あっあの……」
 
 勇気を出して声を出す。
 しかし、リベアの小さな声は周りの歓声に消し飛ばされてしまう。
 困惑する彼女を制し、メロナが大声で言う。

 「ちょっと良いかなぁ? 貴族の話とかは無しにして欲しいなぁ」

 その一言で彼女等の心情を察したらしく、子供達は一切貴族や名門と言う事場を口にしなくなった。
 それから数秒後、ネナが頑張りましたねと言い、メロナの小さい肩を叩く。
 
 「とにかく、色々と分らないこともあるでしょう? 先ずは学園内を案内しますわ」

 慈愛の学園1日目は到着したのが夕刻だったこともあり、自己紹介と基本ルール、施設紹介だけで終った。
 自室は3階、女子があてがわれているフロア。
 基本個室だが、2人は双子と言うこともあり、相部屋だ。 

 「リベア、ベットふかふかだね」
 「そうですわね、何だか凄く久しぶりに良い気分で寝れそうですわ」

 2人は今までの地獄とおさらばできる幸せを忘却(ぼうきゃく)の果てに追い遣り、過去の贅沢(ぜいたく)を甘受(かんじゅ)していた時間を思い出す。
 昔はもっとふかふかで綺麗なベッドで眠れた。
 でも、自分達の住んでいた家はもうない。
 新たな宿を手に入れた喜びを噛み締めよう。
 2人は手をつなぐ。
 
 そして、眠りに落ちた。
 慈愛の学園での幸せな生活を夢見て——

 幸せな空間では、時が過ぎるのも速いものだ。
 1ヵ月が過ぎ、彼女達も学園の生活に馴染んできた頃。
 異変は起きた。

 「いやあぁぁぁっ! 痛いっ! メロナ姉様っ」
 「……リッリベ、アァァァァァッ!? なっ何、痛いイタイいたいいだあぁぁぁっ」

 深夜。
 突然、彼女達の頭を原因不明の傷みが襲う。
 今まで経験した全ての痛みを凌駕(りょうが)するほどの激痛。
 絶叫は凄まじく。
 当然、悲鳴は響き渡り、他の子供達も何事かと飛び起きる。
 そして、メロナ達の部屋の近くへと集まった。

 「どうしたのメロナちゃん、リベアちゃん!? 凄い痛そうだけど、やばかったら今からでも医者に行かないと!」

 心の底から心配そうに声をかける女子の声。
 
 「ふぅっふぅっ、うぅ、だっ大丈夫おさまったみたい」
 「大丈夫じゃないよ、一時的におさまったからって治ったとは限らないよ!?」
 
 女子の言葉は正しい。
 メロナもあきらめた扉を開ける。
 本当は部屋の中を余り見られたくないのだが。
 ギィっと古い扉が開くような音がした。
 目の前には先程声をかけてくれた痩せ型でツインテールの少女。
 カンテラを持っている。
 突然の光源にメロナとリベアは驚き目を覆う。
 その時だった、ツインテールの少女が声を上げたのは。

 「メロナちゃん、リベアちゃん。ねぇ、その額にあるの何?」
 「額!?」

 2人は訳が分らず額を触る。
 その額には確かに、凹凸(おうとつ)があった。
 丹念になぞってみると、星型に何かが浮き上がっていると分る。
 
 「何これ?」

 その日からだ。
 2人が虐めを受けるようになったのは。
 額の痣(あざ)は悪魔の証だ、と。
 罵倒を受ける日々。
 いつしか行為はエスカレートして、暴力の嵐が降り注ぐようになる。 天国だと思っていた場所は、一瞬で地獄へと変貌(へんぼう)した。
 そんな中でも園長であるネナは最後まで彼女等の仲間であってくれたが。
 彼女達にはそれさえも鬱陶(うっとう)しく見えた。
 路傍で彷徨(さまよ)っていたときのほうが、ましだったように感じられるようになったとき。
 唐突にそれは現れた。
 真夜中の自室に。
 メロナ達の3倍はあろう胴回りをした、人間とはとても思えない顔立ちの巨漢。
 
 「滑稽なピエロが何の用さ?」
 「貴方方を救いに来ました」
 
 警戒すべき敵を見るような目でメロナは巨漢をにらむ。
 しかし男はおどけた様子で、ふざけたことを口にする。
 ネナの件でもうこりた言葉だ。
 無償(むしょう)の愛など存在しない。
 有りもしない希望に、手を出すなど馬鹿げていると。

 「ふふふふふ、君達は勘違いをしています。ここに貴方達の幸せなど最初からあるはずがなかったのですよ?」

 怪訝そうに眉根をひそめる姉妹。
 男は異常に裂けた妖怪のような口を、ニィとつり上げ言う。

 「貴方方はノア。髪に選ばれし王族なのです。下等な人間などと一緒にいて幸せを得られるはずがない」

 ノアである証拠は額の痣だとでも言うように、男は彼女等の頭を指差した。
 
 「納得行きませんわね。額に傷が有るからと他の人間より優れているなど……」
 「力の使い方を教えて差し上げましょうか?」

 疑心に満ちた目を向けるリベアに、論より証拠と男は拍手(かしわで)を打つ。
 するとリベアの胸中で何かが爆(は)ぜた。
 次の瞬間、リベアの掌(てのひら)から強大な爆風が放たれる。

 「えっ、あっ……」
 「隣の部屋にいたお嬢さんは亡くなったようですね」

 愕然(がくぜん)とするリベアに彼は告げた。
 それは、リベアが始めて人を殺(あや)めたという事実。
 何の抵抗も受けず、圧倒的に消し去ったということ。
 それに対し、リベアは恐怖以上に愉悦(ゆえつ)を感じた。

 「嘘、リベア凄い! 僕にもこんな力が!?」
 「はい、もちろんですとも。貴女達を幸せなノアの世界へと誘(いざな)って差し上げます。そのかわり、貴女達にやってほしいことがあるのですよ」
 
 リベアと同じ、或いは同等の力が自分にも有るかもしれない。 
 メロナ達に芽生(めば)えた自覚。
 普通の人間とは違うという証明。
 道化師は笑う。 
 ノアとしての自覚を、彼女達が得たことを実感して。

 「慈愛の学園を滅ぼしてください。貴女達には最早(もはや)無用です」

 行動するまでに時間はかからなかった。
 先程の爆発で、学園は困惑している。
 考えている暇なんてない。
 殺害対象が混乱している今のほうが狩りをするのは、相手に落ち着きを取り戻されてからより遥かにたやすいだろう。
 それに今手に入れた圧倒的な力を、長い間自分達を虐めてきた奴等に振いたい気持ちは半端(はんぱ)じゃなく強かったのだ。

 「こんな感じかな?」
 
 メロナは頭に浮んだままに、手を空間にかざし握りつぶすような動作を見せる。
 すると、自分が望んだ場所とは少し違うところが、湾曲(わんきょく)して消失した。

 「凄いや!」
 「姉様、幸せのためにさっさと終らせましょう」
 「まずは近くにいる奴から殺しまくって、園長先生を探そう。そして、園長先生に今まで有難うございましたってお礼を言うんだ。そして、先生も殺す」

 嗜虐的(しぎゃくてき)な笑みを浮かべ、メロナは喋りきる前に走り出す。
 普通の人間では止めようのない圧倒的な力の嵐。
 最早(もはや)それは蹂躙(じゅうりん)としか呼べない行為。
 圧倒的な力で子供達を破壊していく。
 脳漿(のうしょう)が飛ぶ。
 内臓が床に落ちる。
 血が踊り、窓に付着した。
 腕がもげ、肉がはじけ、骨が舞う。
 阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄。
 しかし、懐かしい。
 全然、何も恐怖を感じないのだ。
 それを空で傍観(ぼうかん)していた、道化師はつぶやく
 
 「良いですね。非常に素晴らしい暴れぶりです」

 いつのまにか慈愛の学園は原型をなくし、上を見れば天井ではなく夜空があった。
 一部始終見届けた男が空から降りてくる。
 傘で宙に浮いていたことは驚くべきだが、特殊能力を得たスカイゴット姉妹には些事(さじ)らしい。
 何も口にせず、男が何を言うのか待つ。

 「ごくろうさまです2人とも。では、貴女方の幸せが用意された世界へ案内しましょう」
 「1つ聞きたいのですが、初めて会うのに凄く懐かしく感じる貴方は一体?」

 労(ねぎら)いの言葉。
 幸せへの入り口。
 何もせず幸せを得られるように見えた、慈愛の学園より彼の陰惨(いんさん)たる地獄の果てへの幸せのほうが余程説得力が有る。
 2人の何の疑いもなく甘美な木の実に手を出す。

 途中でリベアが疑念を口にすると、男は凄絶な笑みを浮かべ言う。

 「そういえば、自己紹介していませんでした。我輩は千年伯爵と申します」

 

————————

第1章 第1話 黒の教団 Part1へ
 




___________



ずっと前に二次の旧板で書いていた、夜ノ支配者ハ血ノ海デ嗤エのリメイクです。
時間は無いですが、どうしてもリメイクしたいという意思に動かされ……
駄目な人間です。

ちなみに参照のURLは、リメイク前のものです。目も当てられない実力ですすが、見たい人は見てください。

お客様———ー

なさにえる様

現在、1名
ご来店有難うございます! 感謝感謝です^^

本編目次————

>>1 第1章 第1話「黒の教団」Part1
>>4 第1章 第1話「黒の教団」Part2
>>5 第1章 第1話「黒の教団」Part3
>>9 第1章 第1話「黒の教団」Part4
>>12 第1章 第1話「黒の教団」Part5
>>16 第1章 第1話「黒の教団」Part6
>>17 第1章 第1話「黒の教団」Part7

番外編や依頼絵など————

>>素敵絵師様作 七夜風危 >>1
>>素敵絵師様作 フィアルテ・アーク >>4

注意————

・更新速度は遅いです。物語を完結させる気はほとんどありません。
・原作の設定を出来る限りリスペクトしていくつもりですが、結局は完結していない作品ですので、個人の見解がたぶんにはいると思われます。
・荒しや宣伝など、マナーに反した行為は止して下さい。
・誤字脱字、文法ミスなど気に成った点が有れば指摘してくださいね♪
・グロ描写・エロ描写容赦ありません。苦手な方はリターンを。
・オリキャラ沢山出ます。容認できない方もリターンを。
・リメイク前とストーリーなどかなり違います。オリキャラの容姿も相当違います。ご了承。

2013年 3月6日 23時25分設立

Re: (D灰)ルージェの空に…… 第1話Part3更新! ( No.9 )
日時: 2013/09/07 13:43
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

 第1章 闇よりいでる
 第1話「黒の教団」Part4

 「あぁ、これはかなり信憑性(しんぴょうせい)のある情報だよ」

 自分で注いだコーヒーを啜(すす)りながら、コムイは少し机の中を探し資料を出す。
 その資料には額に星型の創が並んでいる、似た顔立ちの2人の少女。
 スペイン出身で慈愛の学園園長ネナと面識が深い隊員が秘密裏(ひみつり)に取ったものだ。
 それを見てテッサイアは瞠目(どうもく)する。

 「聖創(スティグマ)!?」

 声を荒げるテッサイア。
 それを横目にコムイは更に言葉を付け足す。 

 「そう、慈愛の学園には長らくこの傷を額に負った子供達が住んでいたらしい。さらにジャックオーランタンのような飾りがされた傘を持った小太りの男……つまり千年伯爵も目撃されている!」
 「慈愛の学園ってのはどうなったんだ?」

 恐らくは千年伯爵が聖創を負った少女達の存在を知り、自ら赴(おもむ)いたということだろう。
 AKUMAの目撃情報は無いということは、おそらく双子がその日覚醒(かくせい)し力を振るうことを知っていたということだ。
 なぜなら千年伯爵は人々の破壊を至上とし、一方で自らの手を汚すことを嫌うから。

 「千年伯爵が目撃された日に学園が崩れるのを見たって地元民が居るよ」


 テッサイアの質問にはコムイから予想通りの答えが返ってきた。
 ふぅと一息つきテッサイアは踵(きびす)を返す。
 細かい情報は書類で確認すれば良い。
 できる限り早急に現場に向かうべきだ。
 そう判断付ける。

 「やれやれ、仕方ない。行くとするか。何かしらありそうなのは間違いないからな」

 教団の目的は世界中に散らばったイノセンスの回収及び、怨敵(おんてき)千年伯爵の征伐(せいばつ)。
 これは後者に当たる任務。
 そうこの頃のテッサイアは思っていた——


  

————————

第1章 第1話 黒の教団 Part5へ





Re: (D灰)ルージェの空に…… 第1話Part4更新! ( No.12 )
日時: 2013/11/17 16:11
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: Bs0wu99c)

 第1章 闇よりいでる
 第1話「黒の教団」Part5

 黒の教団、食堂。
 リーバーに連れられテッサイアそこにいた。
 今は夕方の3時。
 食事は2時間程度前にとり、別に腹が減っているわけではない。
 だが年中無休のこの食堂に、2人程任務に同行するエクソシストが居るらしいのだ。

 
 「あーぁ、バ神田は相変わらず蕎麦(そば)ですかぁ? そんなんだからモヤシで食道が弱いんですよぉ?」
 「はっ、てめぇはそんだけ毎日食ってどんだけ排泄物(はいせつぶつ)ばかり垂れ流してやがるんだ? おぞましい」

 年中無休とはいえほとんど団員もいない状態の食堂に響く、若い男の声が2つ。
 どうやら言い争いをしているようだ。
 いつも通りの稚拙(ちせつ)な内容だなと嘆息(たんそく)するテッサイア。
 そんな彼の肩をたたきリーバー言う。

 「まぁ、アイツ等があぁじゃなかったら教団もつまらねぇよ」
 「だな」

 リーバーの言葉にテッサイアは最大限の同意をする。
 そして中性的な優しげな笑みを浮かべる白髪の青年アレンと、黒髪ポニーテルの美青年神田を見やるとテッサイアは彼らのすぐ横に座った。

 「よぉ、既にコムイから話は聞いてるよな?」
 「テッサイアさん」
 「あぁ、ノアがスペインの田舎で見つかったらしいな」
 「エクソシスト3人を送り込むに足る任務ってことさ」

 テッサイアの出現に2人はすぐに喧嘩(けんか)をやめる。
 この喧嘩はいつでもできるから、いつでも休戦して良いのだと内心何度も口にしながら。
 神田の言葉にテッサイアは頷く。
 神田とテッサイアは師匠を同じくするいわば同門だ。
 そして2人はノアにより、大切な仲間を2人失っている。
 普段はぶっきら棒で冷たく見える2人だが、内心腸(はらわた)煮えくり返っているのだろう。
 表情は硬い。

 「そういうことだ。船はすでに用意してあるから、準備が済み次第」
 「準備? とっくに済んでるよなアレン、神田」
 「当たり前だ」
 「当然ですよ!」

 
 リーバーの言葉を遮るように3人は立ち上がる。
 そして船着き場へと3人は歩き出す。

 「あぁ、リーバーちゃーん!」 
 「シェリーさん?」
 「これ、テッサイアちゃん達に! 船旅長くなるでしょ?」
 「渡しておきます!」

 行動が早いなと半ば関心、半分呆れているリーバーに掛けられる声。
 料理班の班長であるシェリーだ。
 筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)とした三つ編みサングラスのオカマ口調男にすっかり慣れたリーバーは、悠々(ゆうゆう)とした口調で彼と会話する。
 そして彼からの渡し物を受け取って、リーバーもまた船着き場へと歩き出した。



  

————————

第1章 第1話 黒の教団 Part6へ



Re: (D灰)ルージェの空に…… 第1話Part4更新! ( No.16 )
日時: 2013/11/30 19:39
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

 第1章 闇よりいでる
 第1話「黒の教団」Part6

 「相変わらずボロイ船だな」
 「仕方ねぇだろ、教団はこういうところで金削減しねぇとやっていけねえんだよ」
 
 地下水道。
 ここがエクソシストたちが船出をするときに使う船が設置された場所である。
 しかしあるのは漕ぎ手と3人の人間がギリギリで乗れそうな程度の小舟。
 眉根を寄せ嘆息するテッサイアをなだめるリーバー。
 
 「それはそうですよね。裏方はいつだってお金の工面(くめん)に苦労するものです。それが政府直結でも……」
 「お前の師匠も大変な奇人だよな」
 「言わないでくださいテッサイアさんっ」
 
 そんなリーバーとテッサイアを眺めながらアレンは溜息をつき、遠くを見るような目でつぶやく。
 前に出ることのできない者の悲哀(ひあい)を。
 この年でどれほど辛い経験をしてきたのだと心の底で嘆くリーバー。
 そしてテッサイアは同情の声を上げる。
 
 「はっ、馬鹿が。元帥なんてどいつもろくでもねぇよ」
 
 つらい過去を思い出したのか塞ぎこむアレンを見て、自分の師匠であるティエドール元帥に良い思い出がないらしい神田が毒づく。
 神田の簡潔な怒りに、周りの全員が納得し頷いたと同時に、後ろからかけられる声。

 「皆様お揃いでしたか。ではそろそろ舟を出しますがよろしいでしょうか?」

 教団用の白いジャケットに身を包んだ小柄な中年男だ。
 おそらくは舟の漕ぎ手だろう。

 「1つ聞く」
 「何度聞かれてもこう答えるしかありやせんよテッサイアの旦那。これでも一応は舟です」
 「いやそうではない」
 「だからこいつは舟です! 俺の相棒、ベルグラング・シャーラッテ・フェアリアスト号ですっ!」
 「だから……そうじゃなくてだな」

 漕ぎ手に違和感を感じたテッサイアが声をかける。
 しかし漕ぎ手は取りつくしまがない。
 どうやら自らの愛する小舟が馬鹿にされるのが嫌なようだ。
 様子からするによほど文句を言われてきたのだろう。
 男の声は激しい。
 しかしテッサイアが言っていたのはそういうことではなくて。
 男の喉元に裂け目があるという違和感。
 もちろんリーバーやアレン達も気づいている。

 「しつこいですよテッサイアさ……えっ、がっがばばばっ、ぐふっ!?」

 だが気付かない漕ぎ手の男はテッサイアの質問に答えず怒り続けた。
 そして次の瞬間。
 男の体はズタズタに引き裂かれ、大量の血を撒き散らしながら中から……

 「AKUMAか……?」



  

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第1章 第1話 黒の教団 Part7へ

Re: (D灰)ルージェの空に…… 第1話Part6更新! ( No.17 )
日時: 2014/01/18 02:41
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 7PvwHkUC)

 第1章 闇よりいでる
 第1話「黒の教団」Part7

 「AKUMAか」

 テッサイアが低い声で言う。 
 男の血を撒き散らしながら1つの存在が顕現する。
 そしてその存在は、赤い血をまるでシャワーのように嬉しそうな表情で浴びながら、テッサイアを指差す。
 
 「Yes! 正解だエクソシスト! 我輩はAKUMA、それもLv2————」 
 血走った巨大な1つの瞳。
 2m以上の細身。
 あばら骨が浮き出たような腹筋と細枝のような異様な細さの手足と腰。
 明らかに人外だった。
 それは自らAKUMAであることを証明し、骸骨のような手を掲げ振り下ろした。

 瞬間。
 水面が盛り上がったと思うと、突然大爆発が起こり小舟が砕け散る。
 一般人であるリーバーが破片に当たって怪我をしないように、アレンがイノセンスを発動し木片を防ぐ。
 そのイノセンスは赤色の巨大な腕のような姿をしていた。
 イノセンスの中でも珍しい寄生型に類され、十字架(クロス)という固有名を有している。

 「おいおい、騎士気取りかぁ? 一般人護ってる余裕が有るとでも思ってんのかよぉ!?」
 「レベルべべベルレベルベルベベルルルルレベールトゥーアーンドトゥリーイィィィィィィィィ」

 水面から次々と蚊の大群がごとく現れるAKUMA達。
 下位のLv1はおらず全てがLv2から3だ。
 それもその数20体以上。
 
 「やれやれ、随分と進入を許しちまったもんだぜ」

 ぼやくようにテッサイアが言う。
 既に六幻を抜刀している神田は、答えるのも不快なほどに怒っているようだ。
 おそらくAKUMA達は伯爵から現状教団にいるエクソシストは3人だけだと聞かされているのだろう。
 それらを確実に倒せと命ぜられて着たに違いない。
 地下水道は足場が無く飛行能力を基本的に持たないエクソシストにとって戦いづらいが、飛行能力を有する奴等には関係ないのだ。
 ファインダー達はほとんど出払っていて人質にし辛い今、ここがもっともエクソシスト達を適した場所と判断したのだろう。

 「悪知恵は働く」

 忌々しげにAKUMA達を睥睨(へいげい)しながら、テッサイアは両手を大きく広げる。
 そして言外にリーバーに逃げるよう指示し、イノセンスを発動する。

 「イノセンス発動」

 数十に及ぶダーツの矢が宙を舞う。
 テッサイアのイノセンス「爆走遊戯(ギャオンハ—ツ)」だ。

 地下道の戦いが始まった。

 エクソシスト何たるや。
 伯爵の使い魔たるAKUMAを粉砕し、伯爵を討つ者なり。
 そう心の中で反芻(はんすう)しテッサイアは走り出した。

  

————————

第1章 第1話 黒の教団 Part7へ

Re: (D灰)ルージェの空に…… 第1話Part7更新! ( No.18 )
日時: 2014/01/12 05:04
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 7PvwHkUC)

あげさせて貰います。


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