二次創作小説(紙ほか)
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- 【落第忍者】戦雲の月、その影を【乱太郎】
- 日時: 2013/07/28 09:36
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: NgR/a8mA)
- プロフ: http://id16.fm-p.jp/517/tyabana/
忍たまSS(短い物語)リクエスト(という名のネタ)募集中
詳しく(?)は下参照
こちらの板でははじめまして、紫と申すものです。
ゆかり、でなく、むらさきなのです。
普段はシリダクや複ファジに生息しているのですが、二次創作をいつかやってみたいと思っていたのと、こみ上げる落乱への愛をどこかで発散するために、やってしまった感たっぷりです。でも後悔はしてない
だいたい、愛故に春休み高知行くついでに尼崎(兵庫県)へ寄り道して聖地巡礼しとったし、夜行バス二日連続も愛さえあれば平気
この漫画、ギャク漫画ですけれど、よく考えるとすごく切なくなります。時代背景とかね、でも、そう言う時代でも庶民はたくましく生きていて、きっと彼らもそうなのかなと、いろいろ妄想が膨らみました。
忍たま好きへ、というより、そうでない人でも、一つの物語として楽しめるように書いていきたいなー、というのが目標。知らなくても大丈夫って胸を張って言える文章が書きたい今日のこの頃。
リアルがワタワタしています、でも、8月はほとんど短期留学に行くのでいないという、今のうちに夏休みのレポート片付けないと
URLは茶華名義の創作置き場。そのうちこっちのハンネも茶華にするかも
作りかけで、完成までの道のりは長いけれど、忍たまゲームブック(選択肢によって進み方が変わる小説)計画進めています、たぶん乙女ゲーム風味になる予感
文章は全く気にしてないよ
それから、忍たまのSS書きたいなーという。でもネタがないんでリクエストあれば教えていただけるとありがたいです。時間はかかるかもしれませんが精一杯書かせていただきます。
※この物語に沿ったものでなくても、落乱および忍たまなら何でも良いです。よろしくお願いします。
こちらに書き込んでいただいても、URLのフォレストページからでも大丈夫です。
注意
二次創作で、捏造、妄想がたくさん。
原作から年齢操作しています。
ギャク要素はないです、あまり、たぶん、シリアス
漫画の設定を参考にしますが、アニメのほうから設定を取ってくる場合もあります。
六年生愛してる、五年生も好き、四年生は勉強中、何より、用具委員会が大好きだ!
でも、今は三ろ三人への愛が溢れてる、特に富松作兵衛
紫は、日本中世史の勉強をはじめたばかりで、時代考証がお粗末です。勉強が進み次第直していきます。高校生に毛の生えた程度の知識しかないよ
文章ボロボロ、構成めちゃくちゃ、誤字脱字の宝庫、とまあ、そんな感じです
お客様
蒔さん(フォレストページより)
閑古鳥が鳴いている小説だよ、竹谷先輩のペットですね、きっと
アドバイス、感想等、二十四時間募集中です、お気軽に!
何よりの励みになります^^
それでは、落第忍者乱太郎、二次創作「戦雲の月(仮)」のはじまりです。
- Re: 【落第忍者】戦雲の月、その影を【乱太郎】 ( No.24 )
- 日時: 2013/07/05 00:24
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: bIwZIXjR)
福富屋の使い、中在家長次が自室に戻ってきたのは、それから一刻程経ってからだった。
城の屋根の上で旧友の食満留三郎と酒を酌み交わし、口数は少なく月を眺めていた。中秋の冷たい風の感覚が、まだ長次の傷だらけの頬に残っている。
部屋の戸を開け、明かりをつける。誰の気配もない。元同級生の七松小平太を匿っていたはずだが、彼には分かる。もう、この部屋にはいない。既に脱出した後だろう。
長次は表情こそ変えなかったが、目元を少し、緩ませた。かすかな、小さな変化だった。
一度息を吐く。布団が敷いてあるつい立ての向こう、のぞくと、机の上に一通の手紙がおいてあった。
——南蛮の仕事、礼をする。
何度さへ、雑貨、宅の出店にて
公男氏 それでは。
一目見ただけでは何の事やら分からない。何も知らない人が見たら、福富屋の仕事関係の手紙だと思っただろう。
だが、長次はその文章を目で追うなり、薄暗い明かりの下で微笑んだ。
すぐに、手紙に火をつけて、灰にしてしまう。
おそらく、誰も、食満留三郎であっても分からない。だが、念には念をという事だ。
中在家長次は、辺りの整頓をすませ、明かりを消すと、布団の中に潜り込んだ。部屋に匿っていたはずの旧友の姿が浮かんでくる。今頃は、無事この城を脱出して、どこかの木の上で月でも眺めているだろう。
——南蛮の仕事、礼をする。
何度さへ、雑貨、宅の出店にて
公男氏 それでは。
これは、忍術学園の同級生で、且つ同室でもあった二人にしか通じない暗号。
解き方は至って単純。“ちょうじ”をそれぞれ、“ななまつ”に変換し、“なかざいけ”をそれぞれ、“こへいた”に変換するだけ。
すると手紙の文章はこうなる。
——今晩の仕事、礼をする。
今度堺へ行くので、店にて
君お(を)待つ それでは。
夜は更けていき、山ではフクロウが首をまわし、目を光らせる。
ホーと、もの佗しい鳴き声が、小川のせせらぎに混じって、男の耳を撫でた。
確かな足取りで、深夜の森を駆け抜ける。踏んだ木の枝がパキリと音を鳴らし、フクロウは大きく翼を広げて飛び立った。
抜け落ちた羽が、ふわりと地面に降り立つ。と同時。同じようにもう一人、汚れた修験者服の男が地面に音もなく落ちてきて、そのまま先を行く男の後を走っていった。
——早く、できるだけ早く、ゼンマイへ。
先を行く男は、隈のある目をさらに険しく光らせて、先の見えぬ暗い森の奥を見据える。
——姫様だけでも、今度こそお助けする。
今では落城し、ゼンマイ城の支配下となったフキノトウ城。その忍組頭であった潮江文次郎は、もう腹の傷は回復したのか、風のように森を駆け抜けていった。
<雑文>
10月までに引っ越す事に決めました。そうすると通学時間に片道1時間以上の余裕ができますので、もう少し余力のある生活をしようと思います。
というのはどうでも良くて、この前雑賀衆の番組を最後の数分だけ見ました。忍たまの場合は、佐竹虎若の実家、佐竹衆がそれに近いのでしょう。とするならば、やはり佐竹衆が辿る道筋も雑賀衆と相通じるところがあるのでしょうか。信長、秀吉のような強力な軍勢と戦い、最終的には敗れて滅亡する。うーん、考えると複雑です。
とするなれば、忍術学園も同じなのかもしれない。生き残る道は時勢を見極めて武将と手を組む事だけれども、そうしたら、その権力に沿った学園である必要がある。そう考えると、忍術学園的には難しいし、権力側も危険な芽は摘みたいかなと考えるとこちらも複雑。
大学の生協。私の通っている大学は某T大、K大、W大などのように大きな大学ではないので生協の書籍コーナーも、漫画については10種類以下の新刊しか置いていないのですが、何と落乱だけは発売日当日に置いてくれるんですね。女子大クオリティ。そういうわけで、小説版も発売日当日に生協割引で買えて、この大学、背伸びして入って良かった……!
落乱、忍たま好きにはおすすめです。小説すごく良かったです。土井先生好き、山田先生好き、きり丸好き、六年生好きは特に読んでほしいなと。
この小説で、長次に惚れた紫です、こんばんは。
そういうわけで、期末試験でレポートに追われる日々に入っていきますが、近いうちにまた更新したいなと。
- Re: 【落第忍者】戦雲の月、その影を【乱太郎】 ( No.25 )
- 日時: 2013/07/14 20:48
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: Pc9/eeea)
「一人でどこに行く気だい? 文次郎」
耳元で囁かれるまで、青年はその存在に気付かなかった。
風のように森を駆け抜ける文次郎。
そのすぐ横。
月明かりがわずかに差す暗闇の森でも、その顔がよく見えるほど近く。影のようにぴったりと、茶髪の青年が音もなく走っていた。
「伊作!」
と、その名を、目を見開き叫ぶや否や、すぐさま文次郎は懐からクナイを取り出し、旧友に向かって突き出した。
至近距離からの不意打ち。しかも、それ相応の手だれである忍びの一撃。
伊作に、逃れるすべなどないはずであった。
だが、クナイは虚しく空を切る。
避けられた。
すぐさま文次郎はクナイの方向を変え、後ろに飛び退きながら間合いを取る。隣にあったはずの気配は既にない。暗闇の中、見えないものをも見ようと、文次郎は神経を張り巡らせて、クナイを構えた。
「ひどいなあ、いきなりクナイを向けてくるなんて」
そんな、不服そうな声が聞こえたのは、間合いを取ってからすぐのことであった。
はっとした文次郎はさらに険しい顔をして、暗闇の中、目を前後左右に動かす。
わずかに聞こえたのは、風を切る音だった。
真上から音が聞こえ、反射的に文次郎はその場を飛び退いた。
間一髪だったといって良い。木の上から、クナイを持った一人の白服の青年が、鋭く落ちてきたのだ。
地面に足がつく。瞬間に、その土を蹴る。一本結びの茶髪が流れる。まっすぐ、文次郎に向かってクナイを構えてかかってきた。
それからは、激しい切り結びへと突入した。
伊作の的確に急所を狙ってくるクナイに、文次郎は冷や汗を浮かべながら、ひとつひとつ防いでいく。忍術学園時代、方や地獄の会計委員長と恐れられた武闘派、方や不運大魔王と呼ばれた幸薄の忍者。
その頃を知っている者の誰が、今の勝負を予測しただろうか。
元地獄の会計委員長である文次郎は、ただひたすら不運大魔王に圧されていた。
伊作のクナイが、とうとう相手のクナイを弾き、止まることなく急所へと奔っていく。のど元だ。
忍者に向いていないとさえ評され、人を癒すことを第一としていた保健委員長善法寺伊作。今はどうか。その目は冷たく、光も消え、感情すら見当たらなかった。
クナイが喉に届くその寸前。文次郎の目は、歪みながら、人の良かったはずの旧友の冷たい目をにらんでいた。
「……地獄の会計委員長潮江文次郎が、僕ごときに遅れをとるなんて、まだ本調子じゃないんだね」
クナイは、のど元で止まった。
月明かりの下で、善法寺伊作は、文次郎の知る優しい笑顔を浮かべていた。
急に、力が抜けたように文次郎は地面へと座り込む。大きく息を吐いた。クナイは握られていない。
伊作も同じように屈んで、旧友と同じ視線にあわせる。夜風に茶髪がゆらゆらと揺れた。
「学園の同期で、お前が一番技のキレが良かっただろ。別に俺はもう本調子だ」
むくれた表情で子供っぽく強がる文次郎に、伊作はやはりあの優しげな表情のまま、暖かな視線を向けていた。
だが、どこか学園時代とは違う。五年も経ったのだから、当然といえば当然だろう。しかし、それでも、違和感だけが残り、暗雲のごとく立ちこめていた。
そんな時に、伊作はため息を一度ついてつぶやいた。
「……どのみち、僕ごときに遅れを取るようで、姫君奪還なんて難しいと思うけど」
文次郎の目が、大きく見開かれる。伊作には、何も伝えていなかったはずなのだ。城のことも、姫君のことも。
何故彼はそこまで的確に自分の意図を読めたのか。
文次郎は、見開いた目を険しく鋭いものに変え、旧友の人の良さそうな、だがしかし、どこか違和感のある優しい微笑みを、探るようににらんでいた。
- Re: 【落第忍者】戦雲の月、その影を【乱太郎】 ( No.26 )
- 日時: 2013/07/20 23:25
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: 9BM3Sh1T)
「僕だって忍びだよ? そのくらいの情報は掴んでる」
あからさまな疑いの目を向けて来る文次郎に、伊作は小さくため息をつきながら言った。
月明かりのみの森は暗い。
どこまでが見えて、どこまでが見えていないのだろうか。
二人の視線は、そんな中で、様々な思いを乗せて交差していた。
「お前が何と言おうともな、姫様だけはお助けしなければならん。俺は、フキノトウ城の忍組頭だ」
完全に信用したわけではなかった。
だが、その歳に似合わない疲れた目元にしわをつけ、文次郎は静かに言った。
黙って聞く伊作は、やはり無言で一つ頷く。フクロウが一羽、どこかで鳴いた。
「だから、僕もゼンマイまでついていくよ。傷は癒せるし、僕もゼンマイには用がある」
「……ゼンマイに、何の用がある?」
屈んだまま、微笑みながら言った伊作に、文次郎は再び、いや、先ほどよりももっと厳しい疑いの視線を向けた。空気が一気に変わる。必要とあれば、武器を握る覚悟もあっただろう。そのくらいの気迫であった。
というのも、この善法寺伊作は忍術学園時代、ゼンマイ城忍組頭の食満留三郎と同じ組で、さらに忍たま長屋では同室であったのだ。その絆は、確固たるものがある。
伊作は、微笑んだ。裏表のない、きれいな笑顔だった。
「留三郎と話がしたい」
「ああ、そうか」
答えを聞いた文次郎は、袖からすぐさま短刀を取り出して、伊作に向けて奔らせた。
鋭く、妖しく光りながら、風を切っていく。
伊作は何事もなかったかのように、笑顔のまま、文次郎の手首を取って短刀をたたき落とした。
「お前は、伊作、留三郎の味方なんだな、やはり」
短刀は乾いた音をたてて、枯れ葉の上に落ちていった。
悔しそうに歯ぎしりをした文次郎。依然として、手首は伊作に掴まれたまま。
だが、気迫を失う事はなく、ただずっと旧友の笑顔をにらんでいた。
「そうだよ、僕はずっと留三郎の味方のつもりだ」
懐に手を突っ込みながら、伊作はやはり笑顔のまま言う。何を出す気か。文次郎にはどうする事もできない。手首はがっしりと掴まれ、動く気配もなく、さらに、先ほどから傷口がひどく痛んでいた。
冷たい夜風とともに、フクロウが目を光らせ、頭上を飛んでいく。
「でも、文次郎の味方でもありたいと思っている」
懐から取り出したのは、傷によく効く軟膏であった。
笑顔は相変わらず裏表がない。「傷口、ちょっと開いたんじゃない?」と言いながら、服の上から傷の様子を確かめる。その様子はまさしく、忍者に向いていないと言われた、あの不運委員長善法寺伊作そのものだった。
「相変わらずだな、伊作。やっぱりお前、忍者に向いてねえよ」
文次郎は、やっとその疲れた顔に微笑みを浮かべた。
互いに、この暗闇の中で、どこまで見えていたのだろうか。二人は互いの顔を見て頷いて、今度こそ同じ速度で歩み始めた。
どこまで、文次郎は見えていたのだろうか。一瞬、伊作の表情に影が走った。
だがそれは、この暗い森の闇の中に溶けて、気休め程度の月の明かりにごまかされてしまった。
<雑文>
期末試験に終われている今日のこのごろです、英語と中国語とロシア語が単位の危機かも
というのは置いておいて、
落乱の小説に、遺作は六年生で一番技のキレが良い的な事が書いてあって、滾りました。ここのところの流れはその余波を受けています。いやー、小説おいしかった。
忍たまの映画もやってますね、見に行きたい、でも、バイトと部活と試験とレポートに追われてたぶん見に行けないorz
次は六ろに話が戻るか、はたまた五年生か、忍術学園か。うーん、どうしましょう?
そんなこんなです。
- Re: 【落第忍者】戦雲の月、その影を【乱太郎】 ( No.27 )
- 日時: 2013/07/28 00:37
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: NgR/a8mA)
堺の貿易商、福富屋の元に、一人の男がやって来たのは、ある秋晴れの気持ちのよい朝の事であった。
店先の掃除をしていた下男に、朝日を受けてきらきらと輝く笑顔で気さくに話しかける。
どうやら顔見知り同士らしい。下男は箒を持ったまま暖簾を潜っていく。一人残された男はその暖簾をじっと見つめ、そしてすっきりとした笑顔を青空へと羽ばたかせた。
鳥が飛んだ。青い空を、大きな翼を広げて。
時間はほとんど経っていない。中へ入っていった下男が戻って来た。二言三言言葉をかわすと、二人は一緒に暖簾を潜っていく。
美しく色を変えた紅葉が風に乗って、二人の後を追っていった。
「長次! この前はありがとうな」
広大な屋敷の一室。
そこに通された男は、開口一番に大声でそんなことを言った。戸を明けるなり、すぐにである。
部屋にいたのは一人の長身の男。強面の上に頬にはいくつかの傷跡。福富屋の使いとしてゼンマイ城を訪れていた青年、中在家長次である。
「……小平太、ゼンマイ城は、気をつけろと、言っておいただろう」
「なはは、でもやっぱり気になるだろ?」
ぼそぼそという長次に、男、七松小平太は豪快な笑顔で答えた。そのままズカズカと部屋に入っていき、親友の前にあぐらをかいて座る。
いつかの晩、ゼンマイ城で見せたあの忍びらしい様子はどこに行ったのだろうか。この様子を見ていると、合戦上での様子も、やはりあの忍び、七松小平太であったのだと実感が持ててくる。
「せっかく上手い事、合戦場の修羅七松小平太と凄腕忍びの二役をバレずにこなしているんだから、好奇心くらいで動くなと言っているんだ」
これも、やはりぼそぼそという聞き取りづらい声であったが、それでもいつもより饒舌である。さすがに話し相手が、六年間共に過ごした親友だからであろうか。
「ただの好奇心じゃない、文次郎と留三郎が心配なだけだ。長次だってそうだからわざわざゼンマイに行ってたんじゃないのか?」
あぐらの小平太は、ふと神妙な顔つきになって親友を見た。二面性。こういうところにも良く出てくる。その纏っている空気は、まさしくあの凄腕忍びのものであった。
対する長次は表情を変えない。変えない中で、一度目を閉じ、口を開いた。
「……状況は、思っていた以上に深刻だ、小平太」
「ああ、分かってる。持っている情報を共有するか、長次」
小平太がそういうと、長次は立ち上がり、部屋の外を軽く確認する。そして戸をしっかりと閉めて、さらについ立ても立てた。
情報は、千金の価値がある。
小平太も同時に四方の壁に耳を当てて、周囲の状況を確認した。
朝のすがすがしい風も、明るい光も、この部屋には届かない。広大な福富屋敷、その一角。日常から隔絶されたその空間は、まさしく忍びの世界であった。
<雑文>
レポートからの現実逃避中
結局六ろに話を戻しました。何がしたいかというと、私の計画性のなさと文章力、構成力のなさで話がぐちゃぐちゃして来たので、一回状況をまとめる回を作りたいなーと。サスペンスドラマである事件の概要を会議で説明する感じです。よろしくないなーとは思いつつ、でも時間がなくて直せないし……
そんなわけで、次回はよく分かる(?)六ろ二人によるこれまでのあらすじ、的な何かです
倫理の講義で、「無自覚とは、日常を超えた超越的な力」という話があって、「次屋三之助(ハッ」と何か無駄な感動がありました。次屋三之助は実はすごいのかもしれない、という妄想にかられたのでそのうち爆発するかも。
同じ講義で、直感で動く神崎左門もすごいんじゃないんか。という風にも思いました。直感と言っていいのかはどうとして、彼も何か非日常的な何かがある気がします、先生の倫理思想からすると。
というのを突き詰めていけば、彼らで一つ物語が作れる気がする。
……まあ、この物語自体、今書いているのが六年生主体で、そこから別の物語として五年主体、四年主体、三年主体……と世界を広げたいなーとも思っていますけれど。
そんなわけで失礼しました。
- Re: 【落第忍者】戦雲の月、その影を【乱太郎】 ( No.28 )
- 日時: 2013/08/14 00:50
- 名前: 紫 ◆2hCQ1EL5cc (ID: o76pf36N)
「まず、潮江文次郎と食満留三郎がそれぞれ忍び組頭を勤めている、フキノトウ城とゼンマイ城が戦を起こした。そんで、フキノトウは陥落、城主は死に、姫君はゼンマイに連れ去られ、若君もおそらく死亡。ここはいいよな、長次」
先に口を開いたのは小平太であった。あぐらをかき、腕を組んで旧友をまっすぐ見据えた。
朝次はただ静かにうなずく。こちらもあぐらに腕組み。
そして一言、ぼそりと唇を動かした。
「攻め入ったのは、留三郎の城、ゼンマイ城らしい」
「そうらしいな、まあ、ゼンマイも飢饉とかで大変だったらしいから、豊かなフキノトウの地が欲しかったんだろ」
長次の言葉に、小平太は冷静な口調で付け加えた。元同期たちの戦い。それでも、二人は落ち着いていた。
カコンと、中庭の鹿威しが鳴った。
「……カメ子からの情報では」
長次が、唇を動かした。カメ子とはこの福富屋の長女で、しんべえの妹のことである。今は兄と同じように忍術学園に入り、クの一教室一年生として勉学に励んでいる。
「忍術学園に文次郎がやってきて、弟を置いていったらしい。名は、潮江若丸」
「文次郎に弟だ!? あいつ一人っ子だったはずだろ?」
小平太は目を大きく見開いて身を乗り出した。まっすぐ、長次はその熱くなっている瞳を見据える。
しばしの沈黙。
唇だけ、小平太は動かした。「なるほどな」と、確かにそう形作っていた。
長次も、静かに頷いた。
「フキノトウ若君、今は、一年は組潮江若丸。担任は竹谷八左衛門がやっているらしい。覚えているだろう? 一つ年下の生物委員の」
「ああ。……あと私この前体育委員の後輩の平滝夜叉丸に聞いたんだけど、文次郎のやつ、どうやら今善法寺伊作と行動しているらしいぞ」
今度は、長次が目を見開く番だった。善法寺伊作。その名を聞くのは久々であった。学園時代の同期で、不運大魔王とさえ呼ばれた、保険委員会委員長。
組は、は組。紋汁と敵対しているはずの食満留三郎と同じ組で、かつ同室だった男だ。
「いまいち、伊作が何を考えているのか分かんないんだ。だいたい、あいつ城に就職したはずなのに、何か今は城勤めしてないみたいだし」
小平太は首を傾げながら、旧友に言った。優秀な忍び、七松小平太を持ってしても、掴みきれなかった情報。それは、広大な情報網を持つ福富屋に身を置く長次にしても同じだったらしい。
一度、大柄な青年は小さく頷いた。
「……伊作に接触してみよう。何か分かるかもしれない」
「あと立花仙蔵にも。あいつ文次郎と同室だったし、何か知っているかもしれない」
鹿威しが再び鳴った。
その存在を、長次は今の今まで忘れていた。卒業してから、全く音沙汰がないのだ。何一つ噂が聞こえてこない。優秀な男であった。だが、卒業間際に言っていたのは、実家の家業を継ぐということのみだった。
何の情報のない男をどうやって捜し出すか。
物思いに老けていた長次は、小平太の声で現実に戻される。
「仙蔵には、たぶん長次のほうが会いやすい。ん、大丈夫だぞ、滝夜叉丸に話を通しておくから、あとはうまいことやってくれ」
「……分かった。伊作との接触は、任せた」
元忍術学園作法委員長立花仙蔵については、小平太が何かしら知っているらしい。
長次は、素直にそれに頼ることにした。この男が大丈夫だというならば、それで大丈夫なのだろう。
催促でもするかのように、鹿威しが鳴った。
と、同時に二人は立ち上がる。目配せで何かを伝え合い、そして部屋を出た。
ちょうど、福富屋の当主が丸まるとした身体をゆらし、しんべえそっくりな人の良さそうな顔を浮かべてこちらに近づいてくる。
長次はその場でかしこまり、小平太はかしこまった礼をしながら、その顔はまぶしいばかりの笑顔を浮かべていた。
「ようこそ、七松小平太君。一緒に朝食でもいかがかな?」
「いただきます!」
そして、何度目かの鹿威しが軽快に鳴った。
<雑文>
実は短期留学で台湾にいる紫です。大学の協定の関係とかで少し安く行かせてもらっている感じです。
日本はすごい暑さらしいですね、台北は39度とか38度とか37度とか、正確なのは知らないですけど、多分そんなもんです。けれど、電気代もったいなくて寝る時以外は我慢してます。帰る間際に電気カードが残っていたら散在する所存ですけれど。
英語能力が皆無なのでコミュニケーションに難ありですが、他の留学生の人たちが優しくて感動しています、あとご飯が安くてうれしいです。たらふく食べて150円以下です。
アニメのほうでは庄左衛門は明へ留学するのを希望しているとかいないとか。中華文化圏に短期でですけれど勉強しにきている身としてはすごい親近感です。
そんなわけで後三週間弱、しっかり語学と歴史を勉強しようと思います。
寂しくなったときは唯一持ってきた50巻に癒されます。
それでは!