二次創作小説(紙ほか)
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- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー
- 日時: 2013/12/27 17:00
- 名前: 牙鬼 悠登 (ID: 3UNlfhyM)
こんにちは、牙鬼というものです。この小説は、こちらの妄想で書いており、所々文が変かもしれませんが、感想、批評、訂正などございましたら、是非お願いします。
RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー
ープロローグー
始まりは、1つの世界と1人の神様のみしかいなかった。いつの日か、そのものは何も
なかった大地の世界に生命を生み出した。それからは時に生命に大地の恵みを与え、時に
神罰を称した災害を起こした。
そんな彼はあるとき、1つの考えを出した。
『生命に、神の力を分け与えてみよう』
彼は、自らの力を生命に与えた。
こうして新たなる感覚ー「想像」は生まれた。生命は頭脳を使ううちに頭が良くなり、
その進化した者たちの中から人類は生まれた。
人々は誰も見たことない世界や生き物、更には新たな種族までも頭の中に作っていき、
この空想は交差しない現実となっていった。それぞれは「異世界(パラレルワールド)」
と呼ばれるようになり、人々はその中でそれぞれの日々を続けていた。
しかしある日のこと、ある1つの世界が消えた。原因は戦争による自滅だった。神は人
々の愚かしさを感じた。
『人というものはいつか過ちを犯す。それは自らを壊してしまい、この世界ではそれが大
きくなってしまったのであろう。その結果がこの有様であり、これはきっとどこかで同じ
ことを繰り返さないための教訓となるだろう』
神は自らに残る力を使い、世界中に警告をした。
だがそれからというもの、1つまた1つと世界が消えていった。その原因は様々で病気
もあれば超災害、終焉と凄まじい早さで世界の消滅は続き、ついに100兆を超えていた
異世界は、2年でたった40個ほどにまで減ってしまった。
神はそのあまりにも速い滅びのスピードに、愕然とした。
『何故、ここまで世界達がこのように無残に消えているのだ?』
神はその理由を探るべく、とある1つの世界に降りた。ちょうどいま恐ろしい嵐が人々
を襲い、絶望のどん底に落ちそうになっていた世界であった。
しかし、遅かった。そこはもう廃墟と化し、草木は死に絶えていた。その光景に神はひ
どく落ち込み、その場に座りこんだ。
すると、どこからか1人の足音がした。
『だれかいるのか!?』
神は生き残っていた者の姿を見ようと後ろを向いた。
そこにいたのは、20代位の顔立ちの男で、影のように光を移さぬ黒い帽子をかぶり、
同じような黒いマントを羽織っていた。その男の目は血よりも冷酷かつ、なおかつ恐ろし
げな赤色で、神は腰を抜かした。
「こんにちは、神よ。私は冥府の神、ハデス」
その名を聞き、神ははっとした。
『お前か、私の大切な世界達を滅ぼしているのは?なぜこのようなことをする?』
ハデスは鼻で笑って分かりきったような顔をした。
「何故って?単なる私の趣味ですよ。彼らのあの恐怖に落ちた顔、何も出来ずに絶望して
いるその哀れようが面白いのでしてね」
ハデスがクス笑いしていると、神は激怒した。このような卑劣な者の暇つぶしで沢山の
異世界を壊されたのか。
神はその怒りをぶつけるようにその手に雷を生み出し、目の前の卑劣な男に放った。し
かし、ハデスの体が煙のように消え、雷は空を切り、遥か彼方にあった山々を一瞬で灰に
してしまった。後にはハデスの姿はなかったが、狂った笑い声が響き渡った。
そこで神は悟った。
『ハデスを止めるには、私の今ある力だけでは足りない。人々に与えた神の力が必要だ。
そのためには異世界を超え、全てを統率する者が必要になる。探さねば』
神はその大地に拳を当てると大地は砕け、みるみるうちに4つの武器へと変わった。
『この武器に、異世界の力をまとめる最強の力を与えておこう。その力が異世界全ての理
をも崩し、神をも超える力となるために・・・』
そして神はそれらを天に投げると、謎の空間の入口が開きその中に消えていった。
4つの武器はある1つの世界めがけ、導かれるように光のように飛んでいった。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.4 )
- 日時: 2013/12/27 18:09
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
ー2、学園都市(がくえんとし)ー
「・・・きて・・・、目を覚まして・・・。海原君!」
ハルの声が聞こえてきた。ん?なんか少し頬に柔らかい感触が・・・。
「ん・・・」
俺は目を開けると、そこにあったのはハルの泣いている顔だった。その涙ぐんでグシャ
グシャになった顔を見て、すぐに起き上がった。
「わぁ!?」
「ご、ごめん・・・。あ、ハル大丈夫?怪我とかしていないか?」
「ううん、大丈夫」
「よかった・・・」
俺が生きていて、安心したのか、涙を流しながら嬉しそうな笑顔をした。
「サト兄!」
「智志君!」
続いて、真斗と麗さんが俺のことを聴き始めて、ハッとした。
「麗さん!大怪我したんじゃないんですか!?」
俺は急いで麗さんの背中を見ると、火傷どころか服が燃えた跡すらなかった。
「私も驚いたんだけど、こんなことってありえるのかしら?」
「なんか分かりませんが、よかった・・・」
「おわっ!?サト兄!その腕!!」
俺が安心していると、真斗が俺の方に指をさしてきた。
指で示されたところをを見てみると、そこには見たことのない白い義肢が付いていた。
驚くべきことに義肢は俺の腕に同化しているようで、皮膚がまるでこれを作り出している
ように接合部がなかった。
「凄い義肢ね?誰が作ったのかしら?」
「さあ、俺にも分からないんだ」
すると、真斗はその義肢を掴むと、まるで珍しいものでも見たかのような顔をしながら
眺め始めた。というかこんな義肢、現実的にありえないしな。
「海原君、腕痛くないの?」
「ああ、痛みとかは何もないんだ」
「へえ」
ん?そういえば、さっき何か頬に柔らかい感触がしたよなぁ。あれって・・・、
「そ〜いやさっき、ハル姉さぁ、サト兄が倒れていた時、抱えていたよねぇ。サト兄いい
よなぁ、ハル姉の胸枕でおこされるなんてさ」
はぁ!?む、胸枕!?まさか、あの時の感触って、ハルの胸の上に俺の頭が乗っていた
ってことか!?俺は顔を真っ赤にしたままハルの方を見た。俯いているが、その顔は俺よ
りも真っ赤だった。
「え、えっち・・・」
「こ、これは不可抗力、というか、ハルが抱えていたんじゃん!」
俺たちがこんなやりとりをしているところを、真斗と麗さんはニヤニヤしながら眺めて
いた。
「晴香ちゃん、恥ずかしがっているようだけど、実はドキドキしているんじゃないの?」
「うんうん、焼けるねぇ」
「お前らなあ!」
すると、俺は気づいた。今いるここは、俺たちの住んでいた街じゃないことを。
芝生の広い公園の向こうには見たことのない30回建てほどの建物が見えていて、自動
車の音がここから少しだけ聞こえてくる。
「何だここは?もしかして、俺たち秋葉原とか、渋谷のど真ん中に放り込まれたのか?」
しかし、俺の質問に誰も答えなかった。ハルたちも目の前の光景に驚いているらしく、
口を少し開けて声も出せない状態らしい。
「えっと・・・、俺飲み物買ってくる・・・」
やっと我に返った真斗が自動販売機を探してその場を後にした。
「まあ、なんでこうなったかはいいとして、今は少し休憩しよう」
そういいながら、真斗は目の前の自動販売機にある飲み物を選び始めた。
「ていうか、何ここの飲み物?」
そこにあった飲み物は「黒豆サイダー」とか「ガラナ濃汁」、「いちごおでん」ってこ
んなん美味しいのだろうか?
(まあ、そこそこよさそうな『ヤシの実サイダー』にするか)
そして自動販売機に100円を2枚入れ、ボタンを押して・・・
ポチッ
「・・・あれ、出ない」
ポチッ、ポチッ、ポチッ、ポチッ・・・。
「・・・・・・返せーーー!!僕の200円!」
真斗はそう叫びながら返却レバーを回すが、200円は出ず、それどころか・・・
ボキッ!
「あっ、壊しちゃったよ・・・」
その手に持っているレバーを見つめながら突っ立っていると、その背中には冷や汗が流
れていた。
「なんかヤバそうだし・・・逃げとこうか」
そう言うと真斗は返却レバーを持ったまま、一目散にその場を後にしようとした。けれ
ど、自分のしたことに罪悪感があり、再びその自販機に戻ってきて見ると・・・
「ん?」
そこには1人の少女が立っていた。
身長は160ぐらいだが、肩まで届く短めの茶髪にヘアピン、それに灰色のプリーツス
カートに半袖のブラウス、袖無しのサマーセーターといった、どこかの学校の制服を着て
いる。
「あの人・・・、どこかで・・・」
すると、その子は少しトントンと足で地面を蹴り、くるりと回転すると・・・
「チェストーーー!!!」
ドカッ!(右足が自動販売機に強く当たった音)
(ええぇええぇええ!?蹴り入れた!?)
すると自動販売機から飲み物がお金を入れてないのに勝手に出てきて、それと一緒にお
金が出てくる音も聞こえてきた。
「あれ?今日はお金も出てきたわね。誰かが諦めたのかしら」
その手にはキッチリ100円玉が二枚握られていた。
「あ、あのう。それ俺のです・・・」
そう真斗が言ってみると、その子は真斗の方を向いた。
「あぁ、これ君のか。はい、どうぞ」
女子は理解したようにその2枚の100円玉を、真斗に向けて放り投げた。
「あ、ありがとうございます」
「いいって、いいって」
そう2人で笑っていると、後ろから智志たちがやってきた。
「おおい、真斗なにやっているんだ?」
「おお、サト兄。いやさ、この人が自動販売機にケリ入れて飲み物出したから、すっごく
面白くてさ」
「な、まさかさっきの見ていたの!?」
真斗と少女が騒いでいると、智志は真斗の左手にあるレバーに気づいた。
「真斗、それは?」
「ああ、ごめん。あそこの自動販売機のレバー」
「「「はあ!?」」」」
「あんた、なに壊しているの!?」
「全く、公共物になにしちゃっているんだよ!」
そう話していると、麗さんが何者かの気配に気づいた。
「誰!?」
するとそこに現れたのは先程の女子より背の低いが、同じ制服で茶髪のツインテールの
また違う少女だった。
「まあまあ、お姉さまが見知らぬ人とはなされていらっしゃるので気になって近づいてみ
れば、こうも簡単に気づかれるとは。あなた、相当の手練のようですわね」
「え、まあ。合気道などの武道はいくつからね」
「まあ、そういう姉貴ですが、残念なのはそのむ」
ゴキッ!(顎を外した音)
「また余計なこと言おうとしてこの馬鹿弟は」
「「「あははは・・・。」」」
智志と晴香、そして先ほどの少女が苦笑いしていると・・・
「んん!?あなたが持っているのはもしや・・・」
やっぱり気づかれたようだ。
「ここは、風紀委員(ジャッチメント)として、あなたがた4人を公共物損壊の疑いで拘
束します!」
「「「「えぇ!?」」」」
「と、とりあえず逃げるか!」
真斗はそう言うと、すぐに急いで走り出した。
「真斗君、謝ったほうがいいよぉ!!」
と晴香。
「お、おいハル!!」
と真斗。
「ちょっと真斗ぉ!」
と麗さん。
「あれ、ちょっと・・・」
と短髪少女。
「逃がしません!」
とツインテール少女。
こうして後には短髪少女だけが呆気にとられたままその場に突っ立っていた。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.5 )
- 日時: 2013/12/27 18:23
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
「ハア・・・ハア・・・」
都市部に入った俺たちは、今の現状を理解したはいいが、どうすればいいのか・・・。
「真斗!これも全部あんたのせいよ!どれだけ迷惑かけているんだか・・・」
「確かに、今回はいつもより危なそうだね」
「「あんたが言うか・・・」」
いつもは真斗が暴走して、女子高生のスリーサイズを当てまくった時は、俺にも火の粉
が舞って来たが、今回は法に触れることだしな。
「そういえば、あいつ『ジャッチメント』って言ってたけど、何なんだ?」
「それはですね」
「「「「!?」」」」
さっきのツインテールの声が聞こえた。周りを見渡すと、なんと彼女は麗さんの後ろに
立っていた。どうやってここまで一瞬で来たんだ?
「あんた・・・、どうやった来たんだ?」
「気づかないんですか?あなたがたどうやら根本から鈍感なようですわね」
すると真斗が逃げ出そうとすると、ツインテールの体が消えたと思った瞬間、彼女は真
斗の前に立ちはだかっていた。
「まさか、テレポーター!?」
「今更気づかれましたか。このレベル4のテレポーターである白井黒子に気づかないでい
たとは」
「!?」
突然、真斗が驚愕の顔に包まれた。テレポーターなんてありえないしなぁ。
「まさか、本物の白井さん!?」
「「「「へ?」」」」
俺たちと白井さんは、意外すぎる真斗の反応にポカンとしてしまった。
「ということは、さっきのツルペタで男勝りな女子中学生は、本物の御坂美琴!?すごい
ぞ!これは本当にすごいことになっちゃったよ!」
「「「「は?」」」」
意味がわからない。真斗は何に気づいたんだ?
「おい、真斗どういうことだ?説明してくれ」
「そうですの。何ゴチャゴチャ言っているんですの?」
「まあまあ、それよりも白井さん」
「へ?なんですの?」
「僕はこのレバーが取れちゃった時、御坂さんがまた自動販売機蹴ってジュース飲んでい
るトコ見たんだけどさあ。そっちの方も『ジャッチメント』の仕事として、注意しないの
かなぁ?」
どさくさ紛れに言っているが、おまえそれ今話していいのか!?それを聞いている白井
さんも、なんか顔が青くなっているんだが、どうしたんだ?
「あ、あ、お姉さまがまたそのようなはしたないことを・・・。そうですわね。ここはそ
ちらが先決ですわね。ではごきげんよう」
そう言い残して、白井さんは多分その御坂さんを探すのか、どこかへ瞬間移動していっ
てしまった。
「な、なにがどうしたんだ?」
「さ、さあ」
ハルも何が起きているか分からなそうな顔をしていた。
とあるファーストフード店。俺たちは簡単なものを選んで食事中だ。それと一緒に真斗
に質問攻めをしている真っ最中だ。
「何がなんだが分からないが説明してくれ、真斗」
「ああ、そうだね。まず、ここは学園都市。総人口230万人の8割を学生が占める街で、学
生全員を対象とした超能力開発実験が行われている町なんだ」
「「はい、ストーーップ!」」
俺と麗さんはもう最初っからわけわからない状態に落ちた。
「超能力者を作る!?そんなこと、出来るわけ」
「姉貴だって、さっき見ただろう、白井さんの瞬間移動。学園都市の超能力者には、ラン
クとして普通の人クラスのレベル0から、7人しかいないというレベル5まであるんだ」
「じゃあ、さっきの2人は?」
「白井さんはレベル4のテレポーターだけど、問題は御坂さん。彼女こそ、学園都市に7
人しかいないというレベル5の能力者で、その能力から異名は『超磁電砲(レールガン)
と言われているんだ』」
「れ、レールガンって、あの最高速度が音速を超えるって言う?」
「うん。物体を電磁誘導により加速して撃ち出す装置で、うんたらかんたら・・・」
ハルの質問に簡単に答える真斗って・・・。
「なんであんたがそんな私たちが知らないこと知っているの?」
「え?簡単なことだよ」
麗さんの問いに真斗は驚くべきことを言った。
「これは、『とある』シリーズマニアにとっては普通に答えれることだよ」
は?『とある』シリーズ?
「あぁ、『とある』シリーズっていうのは、『とある魔術の禁書目録』、『とある科学の
超磁電砲』などの鎌池和馬原作のラノベ作品のことだよ」
「えぇ!?今の全てお話の中の話なのかよ!?」
俺は驚愕のあまり突然立ち上がり、椅子は豪快に音を立てながら後ろに倒れた。
「いやいや、もうお話の中の話じゃないよ。僕らはあんな瞬間を見たんだし。それに・・
・あの男の魔術みたいなのを見たことなんだし・・・」
真斗はそれまでのニッコリした顔を薄らげながら、奴のことを言った。
そうだ。俺たちはあの男が俺たちを殺そうとして、ありえないような能力をたくさん見
せられたんだし。
(そういえば、あいつにハルが殺されそうになって、意識を失ってからなにか・・・)
「そういえば、俺目覚める前になんか夢を見たんだ」
「夢?どんな?」
「それがハデスを止めるために6人の力を集めろ、って言ってたんだ」
「6人の力・・・?なんだかおかしな方向に行くね、話が」
そんな話に口を挟んだのは、ハルだった。
「それなら、私も似たようなの見たわ」
「ホントか!?」
「誰かが頭の中に『君にとって守りたい者を守るため、異世界にいる6人を支える者たち
の力を集めろ』って言っていたのよ」
『支える力』?一体なんのことだ?
「6人の力・・・、支える力・・・何を表しているのかしら・・・」
「そ、そうか!」
麗さんが考えている時、突然真斗が立ち上がった。
「何だ?何か分ったのか?」
「その6人のうちの1人の力っていうのは、彼のことだ!」
「彼?」
「全ての異能の力を打ち消す右手を持つ、最強かつ最弱の男。名は・・・・・・・・・
『上条 当麻』!」
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.6 )
- 日時: 2013/12/27 18:32
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
ー3、幻想殺し(イマジンブレーカー)ー
俺たちは、走っていた。っていうか探していた。その男ー上条当麻を。
「なあ、真斗。その上条っていうやつがどこにいるのか知っているのか?」
「多分。いつもなら、きっとどっかにいるはずだから」
「でも、どう説明するの?私たちが異世界から来たなんて言うの?」
「それに、ほんとにここが学園都市なの?ただのコスプレイヤーって線もあるわよ」
「それはないよ、ハル姉。こんな都市はそんなもんのために建てられたわけないじゃない
か」
そのとき、真斗は後ろを向いていたから前にいた人に気づかず、背中からぶつかってし
まった。
「す、すいません!」
「あ、いえ」
慌てて誤っていて、真斗とその人は互いに顔を合わせていなかったが、ちょうど顔があった。
「「あ」」
「御坂さん!」
「あんたたち、さっきの!」
その人は、さっき真斗が言っていた『超磁電砲』の御坂さんその人であった。
「どうしてここにいるの?っていうか黒子に追われていたんじゃないの?」
「ああ、少し話をしたらわかってもらえたらしく、どっか行っちゃったんだ」
(あれ?御坂さんがなんかしたこと言ったら白井さんがどっか行ったんじゃなかった?)
というか、こんな人がレベル5だというのがまだ信じられないんだが・・・。
「あ、そういえば御坂さん、上条当麻という男を知らないかい?」
「!?」
突然御坂さんの顔が青ざめたと思うと、怒りをこらえているような顔をした。
「上条・・・当麻だと・・・」
「サト兄!御坂さんに彼のこと聞いちゃダメだってば」
「へ?」
そう話していると、突然雷光が俺に向かって落ちてきた。
「あいつは、いつもいつも私のことを馬鹿にして・・・」
あれ?俺、ほんとに地雷踏んじゃったかな?
「それにあいつ・・・あたしのことを・・・」
「おう、ビリビリじゃん。どうしたんだ?」
高校生の男子特有の低い声がした。俺たち4人はそっちの方を向くと、そこにいたのは
ツンツンした短めの黒髪に半袖の制服姿といった普通そうな高校生だった。
「えっと、上条さん?」
「え、俺のこと知ってるんか?」
そう俺たちが普通に話しかけていると、突然周りに雷が落ちた。
「!?」
もちろん、それは御坂さんが起こしたもので、その顔には血管がいくつも浮かんでおり
もう爆発寸前となっているようだ。
「あんたは・・・、あたしには御坂美琴っていうちゃんとした名前があるんだっていつも
いってるだろーが!」
「ゲッ!?」
さらに大きい雷が上条当麻に落ちた。が・・・
「「「!?」」」
俺たちは更にありえないことを目撃してしまった。上条さんが右腕を掲げた瞬間、雷が
一瞬にして消えたのだ。更には彼の姿はその場に力げに立っていて、ケガ1つ見当たらな
い。
「おめぇ、危ねえだろーが!普通のひとが食らっていたら黒焦げになるぞ!」
「ふん!どうせあんたには効かないんでしょうが!」
俺は見ていてなんか意外とこの2人がなんか仲がよさそうに見えた。
「御坂さんたちって、仲良さそうだな」
「「はあ!?」」
あれ?なんか俺、また地雷踏んだのか?
すると、いきなり真斗が俺の方により、小声で伝えてきた。
「サト兄!少しは空気読みなよ。御坂さんはね、上条君に絡んでくるのは勝ちたいからと
は言っているんだけど、実は彼に好意があるだけなんだ。まあ上条くんはそれに気づいて
ないんだよ。ここは自分で気づかせようよ」
「え?どういうこと?」
そう話をしていたら、突然御坂さんが顔を赤らめながらこっちに走ってきた。
「あ、あ、あんた何、人のことベラベラ話しているのよ!」
「「!?」」
ありゃ?怒らせちゃった、のかな?っていうか、御坂さんって地獄耳なのか?。
「2人とも、人の恋心は外に出しちゃいけないのよ。そういう人は馬に蹴られて死んだほ
うがいいわね」
「はぁ!?」
「そんな、姉貴!」
ってか、なんで俺まで!?
そんな話をしていて、俺たちは大事なことを忘れていた。
「そうだ!上条当麻!」
「へ?なに?」
「君の力を貸してくれ!」
「は?」
そう頼んでいると、その空気を読まないような声が聞こえた。
「あ、当麻♪」
「「へ?」」
そこにいたのは白い修道服を着た銀髪の少女だった。手にはたっぷりと食べ物が入った
紙袋を抱えていた。
「あれ?インデックス?」
へ?この人誰?
「おー!これはこれはインデックスさんだー!」
「真斗君、あの子誰?」
「あ、そりゃ知らないのも仕方ないか。こちらは禁書目録(インデックス)さん。とって
も食欲旺盛、チビで何もできなさそうだけど、その力はなんと」
「はいストーップ!」
真斗を止めたのは、意外にも上条君だった。
「なんか知らないけど、なんで俺たちのことそんなに知っているんだよ?俺はお前らと顔
を合わせたことないし、話も今日が初めてなんだぞ。まさか、また魔術絡みのことか!?
よしてくれ、今俺は補習の真っ最中なんだ!!」
「ああ、それはその・・・。これには深い訳が・・・」
ハルが説明しようと頭の中を試行錯誤しているらしいが、何も思いつかないらしい。
「ああ、俺たちは異世界、違う世界からきたんだ」
はあ!?真斗はなんでこんなにも問題発言を簡単に言えちゃうんだ!?
「・・・え、えっと・・・」
「「「はあ!?」」」
「ああ、これはええと・・・」
「見つけましたよ。この世界のコア・ヒューマン」
「「「「!?」」」」
(この声は!)
俺たちは、その声の方を向いた。そこにいたのはあの男ーハデスだった。
「てめぇ!なんでここに!」
「ん?君は私を知っているのかい?」
刹那、俺は奴に接近し、怒りの一撃を加えようと左手の拳を奴の眉間に狙って振りあげ
ると、突然目の前の男の形が煙の様に歪み、拳は空を切った。
「なんですか?この私に素手で挑もうというのですか?」
「そう、ね!」
ハデスの視線が俺に向いているところを麗さんは語尾を強めながら回し蹴りをかけた。
しかし、その足は右手のみで受け逃され、麗さんは俺の上にのっかってきて・・・
「げぶ!」
麗さんの尻が俺の頭の方にきてしまい、そこから見えたしまった黄緑の下着に恥ずかし
くて俺は目を反らせることしかできなかった。
「サト兄、姉貴!ここはラッキーエロとか突っ込んでいる場合じゃないな!」
「なっ、何馬鹿言ってんだ真斗!!」
少しは戦う頭になっているが、やっぱりコイツの中身はどんな時もスケベ野郎だと俺は
思った。
「さてと、今回はこれを使ってみますか・・・」
ハデスがマントの方から取り出したのは、キャラメル箱よりは少し大きい黒光りする箱
だった。それは金色の縁取りがされていて、蓋には鎖のような模様と中心には円形の模様
が描かれていた。
「あれは・・・当麻!避けて!」
「へ?」
「開け!絶望の扉よ!」
インデックスの叫び声とハデスの声が重なったその時、箱の蓋が吹っ飛び紫色の炎が高
々に燃え上がった。みんなその光景に目を奪われていると、炎からいくつもの影が飛び出
してきた。鳥のようだが人のような顔を持つその奇怪な生き物は、俺たちを見るなり、一
斉に襲いかかってきた。
「な、なんなんだコイツら!」
「ハルピュイアだよ!食欲旺盛で、目の前のものをすべて喰い散らかしていく神話上の生
き物よ!」
鳥たちの攻撃を避けながら、インデックスはそう説明した。
「さすがインデックスさん!103000冊からもうそれを探し当てるとは!」
「真斗、こいつらどうすればいいんだよ!」
「決まっているでしょ!」
「「戦うのよ!」」
そう息ぴったりに言ったのは御坂さんと麗さんだった。御坂さんは電撃を放ってハルピ
ュイアを牽制、近づいてきた奴らは麗さんが得意の武道で1匹残らず落としていった。
前から来るものを掴んで後ろの奴にぶつけたり、足を肩まで上げて強力なかかと落とし
を食らわせたりしているところを不意打ちしようにも御坂さんの雷撃によってはばかれて
いき、2人ともなんとか重傷を免れている。
「あんた、意外とやるわね」
「私の武道は護身術を兼ねているからね。このくらい序の口よ」
そう言いながら、2人は互いに背中をあずけて戦っている姿は、戦場に降りる戦乙女の
ように気高かった。
「俺たちも行くぞ!」
「りょーかい!」
俺と真斗は麗さん達の手助けをしようと走ると、その前にはハデスが立ちふさがった来
た。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.7 )
- 日時: 2013/12/27 18:43
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
「面白い!君はたしか私のことを知っていたんでしたね。君と戦ってみたくなりました。
さあ、行きますよ!」
ハデスはまるで一陣の風のように一瞬で俺の目の前まで迫った。すると、右手を前に掲
げると、そこにあの円形がーいや、もう魔法陣と言ったほうがいいだろうー出現して、微
かにあの青い炎が見えた。
(まずい!このままじゃまた・・・)
しかし、この一瞬では動けない。しかし、救いの手が差し伸べられた。
「うおおお!」
上条君がハデスの後ろから殴りかかり、魔法陣は消されたのだ。いや、ぶち壊されたと
言ったほうがいいかもしれない。
「大丈夫か!」
「あ、ああ」
それを見て、少し距離を持ったハデスはニヤけた。
「やはり、この世界は私を楽しませてくれるようですね。だが、敵は私だけではないんで
すよっ!」
「!?」
突然、ハルピュイアが後ろの方から迫ってきた。この時俺たちの視線はハデスに向かっ
たいったため、上条君は動きがおそかった。
「危ない!!」
俺が身を呈して上条をかばおうとして、ハルピュイアが俺の左腕に噛み付いた瞬間、一
筋の光が目の前をさし、そのハルピュイアを跡形もなく消滅させた。
「「「「!?」」」」
その時、全員の目がその光に向けられた。更にその後、驚くべきことが起きたのだ。
光の中に青い魔法陣ができ、突然剣の柄が出てきたのだ。俺はためらいなくすぐさまそ
の柄を抜き、構えた。
「これは!」
知らないはずがない。それは紛れもなく、俺が夢の中で見たあの剣ー「青龍」だった。
淡い青に龍の彫刻、夢で見たままの姿であった。
「うおおおおおお!!」
俺はすぐに周りにいたハルピュイアの殲滅にかかった。
横になぎ払ったり、その頭めがけて一気に振り落としていったりした。剣の腕は衰えて
おらず、俺が一太刀ふれば、ハルピュイアは悲鳴と共に消滅していった。
(いける!)
その勢いで俺は棒立ちしているハデスに向かっていった。だが・・・
「甘いですよ!」
突然更に大きな魔法陣ができ、そこから巨大な黒いオーラが収束、発射された。
「!?」
俺は真っ先に剣を構えたが、50メートル先の壁にまで吹っ飛ばされてしまった。
「智志!」
「サト兄!」
「智志君!」
「グハッ!」
叩きつけられた俺は、少しの間身動きが取れなくなり、その隙にハデスはもう一発俺に
あの砲撃を繰り出そうとしてきた。
その間に入ったのは上条君と、意外にもハルだった。ハデスの砲撃は、上条君お得意の
右手の力で抑え、その間にハルが俺の怪我を手当てし始めた。
「ハル!危ないのになんで」
「私、さっきから何も出来てないもん!!!」
俺が心配しようとした声は、ハルの涙混じりの怒りの一声にかき消された。
「智志は剣で、真斗はその知識で、麗さんは武道で、上条君たちだって自分の力を発揮し
ながら戦っているのに、私だけ何もできないんだもん!!!悔しいんだよ!!!」
涙を流しながら腕に怪我を手当しているハルの姿を見て、俺は心で思っていることをそ
のまま口にした。
「俺はハルを、みんなを守りたいから戦えるんだ。たとえこのなんか分からん剣が折れて
も、俺は絶対みんなを守りたいんだ。いや、守ってみせる!だから、俺はハルが生きてい
ることが俺が戦う理由となるんだ。それが俺が守れているっていう、証になるんだから」
「智志・・・」
「そうだぜ!」
そういって話に入ってきたのは、右手でその砲撃をなんとか押さえ込んでいる上条君だ
った。
「お前達の希望はまだぶち壊されてないんだろ!だったら、俺たちも守ってやるからさ。
君たちのその希望を」
「上条君・・・」
その瞬間、不意に頭の中から声が聞こえた・・・。
『科学や魔術で説明できない力、すべての魔術師たちの願いと怯えが集約した力。全ての
幻想をぶち壊し、希望に変えるその力の名は・・・』
「『幻想殺し(イマジンブレーカー)』!!!」
「「!?」」
その言葉を聞いたかのように、突然青龍が青く光り始め、その刀身はその光に飲み込ま
れていった。
だがそこで上条君が持ちこたえられなくなり、俺達は黒い光に飲み込まれた。
「サト兄!」
「晴香ちゃん!」
「当麻!」
「はははは!意外ともろかったようですね・・・」
魔法陣を解いたハデスは、残った者たちの殲滅をしようと・・・
「まだ終わってはいないぜ!」
「?」
ハデスが後ろを振り向くと、そこには無傷で立っている智志の姿があった。
「おかしいですね。あの古代竜激砲『ジャバウォック』をもろに受けたのに・・・」
初めてハデスの顔に動揺が漏れた。
「ふう、危なかったぜ」
「一体、何が起きたの・・・?」
そのとき、上条が気づいた。
「!? その剣!」
青龍の刀身は水色の光でおおわれ、龍の彫刻は輪郭部分から展開し、一回り大きくなっ
ていた。更に気づくことはその剣先は、ある形をしていた。それは・・・
「龍の首・・・」
そう。水色の光は龍の頭を型どり、表面には鱗まであった。さらには柄を伝って鼓動ま
で聞こえてきて、まるでその光の龍が生きているかのようだった。
「なんですか?その剣は・・・?」
「分かったぜ・・・さっきの言葉の意味が」
「?」
「異世界にはそれぞれ中心となる人物、『主人公(コア・ヒューマン)』と呼ばれる存在
がある。コア・ヒューマンこそ、その世界の核であり中心なんだ。お前はそれを知ってい
て、そいつらを殺すことにより、世界のコアを破壊することで、お前はこれまで世界を破
壊してきた、そうだろ!!!」
「ほう・・・、気づきましたか」
「いいか!この剣は、その『主人公』の力を統率する力と、その力を自らも手にすること
のできる力があるんだ。お前を倒せるほどの力を集めるために!!!」
「何!?」
その時、ハデスの顔から勝機が消えた。
「ハル!真斗!麗さん!呼ぶんだ!俺の青龍と同じように与えられた武器を!」
「「えぇ!?」」
「あたしも!?」
「こうか!」
真斗が手を前にかざすと、風とともに魔法陣のようなものができた。手を入れ、中にあ
るものを取り出してみると、それは虎のような彫刻がされた銀色の銃だった。
「スッゲー!これが俺の武器!?ちょぉカッケー!」
「私たちも行くわよ!」
「は、はい!」
晴香が手を交差させると、手の先に真斗の時と似た炎に包まれた魔法陣が2つでき、そ
の中から出てきたのは、刃渡り30センチほどの赤い双剣だった。
次に麗さんが右手の拳を前に突き出すと雷でできた魔法陣ができ、それは麗さんの右手
を通り抜けると、そこには雷に包まれた黄土色のガントレットに包まれた麗さんの右手が
あった。
「ふん!」
麗さんが右手を振り上げると雷鳴が響き、周りにいたハルピュイアが消し炭と化した。
「おりゃりゃりゃあ!!」
真斗はその銃を打ちかましていて、一見アホらしそうだが、その弾は全てハルピュイア
を打ち抜いていた。
実は、真斗は「超」のつくほどの凄いガンマンで、百発百中かつ50メートルほどの遠
くにいるターゲットを狙うこともできるのだ。
「えい!やあ!たあ!」
晴香はぎこちなさそうに剣を振っているが、せいぜいハルピュイアを牽制するほどでし
かなかった。
「だったら・・・」
晴香は一回距離を取ると、剣を交差させ構えると、大きく息を吐いた。するといきなり
剣身を包む巨大な炎が現れた。
「いっけえええええっ!!!」
晴香が双剣を投擲すると、剣はハルピュイアの群れを縫っていき、全てを灰にした。敵
を排除し終え、双剣はハルの手元へと戻っていった。
「ふう・・・」
「ハル、生き抜いている暇はないぞ!!」
「えっ」
その晴香を狙って今度はハルピュイアが羽を使った遠距離攻撃をかけてきてので、俺は
急いで晴香の方に走り、一太刀振るった。すると刀身の龍はハルピュイアの方に飛んで行
き、羽をもろともせず1匹に食らいつきその姿を飲み込んだ。
「まさか、あの剣、ハルピュイアの毒が効かないの!?」
その光景にインデックスは驚きを隠せないでいるようだ。
「違うよ。この龍は、『幻想殺し』の力を姿だけ変えて作り出されたんだ。つまりこの剣
はいま、『どんな異能の力をも消せる』ってことなんだよ!!」
「ありえない!そんな力、聞いたことないよ!」
インデックスはそれを聞き、目を丸く開けていた。
- RNW (Right Novel World)ー幻想殺しー ( No.8 )
- 日時: 2013/12/27 20:50
- 名前: 牙鬼 悠太 (ID: 3UNlfhyM)
「それだけで終わらせないぜ!みんな!武器の声を聞くんだ!」
「「「武器の声?」」」
すると、3人の頭の中にそれぞれこえが響いた。
『世界最大の宗教団体、イギリス清教にいる103000冊をその頭に秘めている少女。
彼女の名は・・・』
『学園都市第三位の能力者。その力より生み出されし電撃は誰にも止められない。その力
より、付いた呼び名は・・・』
『学園都市最強と言われていた能力者。自らの危険性を自覚していたが、守るべきものを
見つけ、最悪の悪党から、他人を思う戦士に彼は変わった。その名は・・・』
声が名を呼ぶとき、彼らの頭には既に答えはあった。
「禁書目録(インデックス)!」
「超電磁砲(レールガン)!」
「一方通行(アクセラレータ)!」
突然、彼らの体は光に包まれ、光が消えると、そこには白と黒の修道服に身を包んだ晴
香と灰色の長ズボンに半袖のブラウス、袖無しのサマーセーターを着た真斗、白黒の縞模
様の服を着て、左手には松葉杖をした銀髪となった麗さんの姿があった。
「わお!みんなでコスプレタイムだ!」
「何馬鹿なこと言ってるの!」
「それよりも、行きますよ!」
「「オッケー!」」
3人はいきなり何百匹ものハルピュイアに囲まれていたが、麗さんが地面を強く踏みし
めると、地割れとともに地面が隆起して、何匹かがその地面にぶつかって悲鳴を上げた。
晴香は胸元から何枚かルーンの描かれたカードを上空投げると、そこから火の鳥が出現
し、火の鳥はハルピュイアに向かって羽ばたいていくと、ハルピュイアを巻き添えにしな
がら爆散した。
真斗がその隙を見て、上空にテレポートすると何匹かのハルピュイアに囲まれるが、そ
いつらは真斗が放った電撃に撃たれ、全て悲鳴とともに消えた。
「なるほど。君たちの力は異世界の力を自分も使うことのできるようになるというもので
すか。面白い、面白いですなぁ!」
「はあっ!」
智志は一気に距離を詰め、ハデスに斬りかかると、その刀身は彼の左手で受け止められ
た。
「それはそうと、何なんだその箱?」
「知りたいのですか?これはかの有名な『パンドラの箱』。絶望の根源とも言われるこれ
を、私は具現化させただけですよ」
「そういうことか。だったら、その箱ごとお前をぶった斬ってやるぜ」
「そう来てくれて嬉しいですね。ではとっておきを」
ハデスが箱に手をかけると、その中から出てきたのは巨大な3つの首を持った狼のよう
な生き物だった。そう、これは・・・。
「ケルベロス!」
「そう。私の相棒の一人でしてね。このパンドラの箱に残っていた力でここまで具現化し
たのです。さあ、君の死に苦しむ顔を見させてもらいましょうかね!!!」
ハデスの合図とともにケルベロスは唸りながら俺の体に噛み付こうとしたとき、
「はあ!」
上から麗さんのかかと落としが降り落とされ、ケルベロスの顔を一気に潰してしまった。
「大丈夫?」
「麗さん・・・なんかムゴいですよ・・・」
「ちょっとやりすぎたかしら?」
そんな話をしているところをハデスは舌打ちしながら右手に魔法陣を作り上げ、「ジャ
バウォック」を打ち出そうとすると・・・聞いたことのない晴香の美しい歌声が聞こえて
きた。
「!? あ・・・ああぁ!?」
その歌声を聞いた瞬間、ハデスは頭を抱えて膝を付いた。
「『魔滅の声(シェオールフィア)』。103000冊の知識を総動員し、相手の魔術の
根幹を支える信仰や教義の矛盾点を徹底的に糾弾することで、相手の精神を破壊する技だ
よ」
そう説明したのは、歌っている晴香の横にいた真斗であった。
「き、貴様ァ!」
「サト兄!」
ハデスが気づくのが少し遅れた。振り向くと、智志の剣の龍は1メートルぐらいに巨大
化し、その目は黄金色に光っていた。ハデスが息を飲むと、龍は周りに轟くような声で咆
哮した。
「喰らえ!お前の幻想を、ここで跡形もなくぶち壊してやる!」
智志は瞬時に走り出しすとハデスに向けて剣を突き出した。龍は目の前の幻想を喰らお
うと口を開けた。
だがやはりハデスもここで終わるわけではない。右手を突き出し、出現した魔法陣でそ
の攻撃を防御した。
「はははは!やはり君は私の思った通りの面白い人間だ!次に戦う時が楽しみだ!」
「!?」
そう言い残し、ハデスの姿は煙のように消えると龍はそのまま魔法陣に、パンドラの箱
へと喰らいつき、その形を跡形もなく壊すと再度咆哮をしながら光の粒となって消えてし
まった。
箱から出てきていたハルピュイアたちも青色の炎に巻かれその姿を消していった。
「・・・終わったのか」
「いや・・・、これが始まりだよ」
上条君の問いに、智志は戦うのをわかっている様に空を見ながらそう言った。
その戦いが終わった頃には、もう5時を過ぎていて俺達もそろそろ休みたいところだけ
ど、出発のための準備に取り掛かっていた。
とはいうものの、ただの腹ごしらえと汚れた服を変えるだけなんだけどな。俺は先程ま
でのよそ行きのジーンズと赤いTシャツを青い上着と濃緑のズボンに着替え、先程買って
もらったホットドッグにかぶりついた。
「麗さん、色々と買ってもらってありがとうございます」
「いいのよ。貯金が少しばかりたくさんあったからね」
「少しって、9万はざっと超えていたでしょ、姉貴」
そんな風に話していると、洋服店から出てきたのは赤く動きやすそうなひらっとした半
袖の服に黒字にすこし白い模様の入った膝ほどのパンプスを着たハルだった。
「なんか下の短い浴衣って感じに似ているな」
「そう?ありがとう・・・」
「で、ほんとに行っちゃうのか?」
4人に問いかけてきたのは上条、インデックス、そして御坂さんといったさっき俺達と
共に戦った3人だった。
「ああ。これ以上ハデスの横暴は見過ごせないからな。早く残りの異世界に行って、みん
なの力を集めないと」
「そうか。じゃあ、絶対負けるなよ」
「そうする。ところで、パンドラの箱はどうしよう?破壊しちゃったんだが・・・」
「それなら心配ないよ」
そう説明したのはインデックスだった。
「パンドラは、箱を開けるとすぐ閉じたの。その時、箱の中には希望が残っていたんだか
ら、多分あなたたちの幸運につながるんじゃないかな?」
「ホッ、よかったぁ。なんかもっと酷い事になるかと思って少しビクビクしてて、損した
よ」
そう話し、全員でアハハハッと笑っといた。
「それじゃあな」
「ああ。絶対あのハデスってやろうをぶっ倒して来い」
そう言い残すと、智志たちは手を振って、別れの挨拶をしながらその場を後にした。
上条君たちの姿が見えなくなった時、ふと俺は聞いてみたいことを聞いてみることにし
た。
「なあ、ハル?」
「ん?」
「戦っていた時、ハル俺のこと『智志』って読んでたな。『海原君』じゃなくてさぁ」
「!?」
そう問われ、晴香は顔を赤らめながら下を向き、西園寺兄弟は横からニヤニヤしながら
その光景を覗き込んでいた。
「あ、あのね・・・、いつも『智志』って呼びたかったんだけど、呼べなくて・・・これ
からは、それでいい・・・かな・・・?」
「・・・まあ、いいけど・・・」
少しの間が空き、智志が承諾すると晴香は満面の笑みを浮かべた。
「ま、2人の間が縮んだとこで申し訳ないけど、サト兄、どうやって次の異世界に行くん
だ?」
「あ、それは」
すると突然、智志の頭の中にあの声が響いた。
『青龍が道を開く。さあ、その扉を開けるんだ』
「・・・はっ!」
突然智志が咄嗟に右手を左の腰に向けると、そこに青く光る魔法陣ができ、そこから青
龍が出てきた。
「わぁ!?さ、サト兄!?」
真斗が問いかけようとすると、「青龍」の刀身はさらなる光に包まれた。それを確認し
た俺は、青龍を上段の構えをして思いっきり振り下げた。
「「「わあ!?」」」
すると、青い光の閃光は直進し、突然爆散、そこに謎の空間の入口を出現させた。
「何だありゃ!?」
「あれが次の異世界へに繋がる道だよ」
「「「えぇ!?」」」
3人が驚いている横を、智志は颯爽と駆けていき、入口の前まで行ってしまった。
「何しているんだ!みんなも早く!」
「う、うん!」とハル。
「なんだかさらにすごいぜ!」と真斗。
「もう、後戻りなんかしないわよ!」と麗さん。
俺達が入ると入口は縮んで、消えてしまった。
(さあ、若き勇姿たちよ。未来を掴むために、異世界を救うために戦ってくれ・・・)
そんな声がどこからか聞こえてきたのは、気のせいだろうか。
〜To Be Continued〜
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