二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター外伝 幻のXワード
日時: 2015/02/14 09:58
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

どうも、タクです。今作は気分転換というか、息抜きの感じで前に連載していた作品のリメイクを行うことにしました。”ポケットモンスターBW2 幻のクロスワード”が元ですが、これは見ないほうが良いです。読み返してみましたが、黒歴史そのもの。後、BW2とか言っておきながら時系列はその2年後なんですよね。いや、BWの2年後なんじゃなくてBW2の2年後。
そして、登場人物の関係や設定が多少変わっていたり、使用ポケモンが変更されていたり、などなど正しくリメイクに相応しい内容になる……ように頑張ります。
ストーリーの流れ的には、前作を要約してその分分かりにくかった設定等を明確にしていこうと思っています。
さらに、ストーリーの改変もところどころに入れております。
また、今作は1人視点で基本進めていく方針です。1人視点の練習も兼ねて、これを連載するに至ったんですね。

それでは、タクの新しい(のか?)物語の始まりです!

ソウリュウシティ氷結事件、そしてプラズマ団の完全なる壊滅から2年後。大都会、イッシュ地方には新たな影が迫っていた。幻のポケモンを追い続ける少年、そして幻のアイテムを狙う謎の組織! さらに、新たなるポケモンの進化の謎に今、迫る!

Act1:始まりはいつも突然--イッシュ地方南の孤島
>>01 >>04 >>05 >>10 >>11

Act2:動き出す古代の偶像--ヤーコンロード
>>13 >>15 >>16 >>17 >>18 >>23 >>24 >>25

Act3:悪夢三度--ストレンジャーハウス
>>26


お知らせ記事
11/8:ページのレイアウト大幅変更・ピース10シナリオ変更

用語解説(随時更新予定) ( No.22 )
日時: 2014/11/09 11:11
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

時系列

今作はBW2の更に2年後とする。イッシュ地方は更なる発展を遂げている。後述のセキュリティー・イッシュによって治安は更に良くなった。生態系が変化したことで、2年前には見られなかったポケモンが見られるようになった。


地名

イッシュ地方--ポケモンと人が力を合わせて暮らすこの世界の中でも屈指の大都会。文明度はかなり高く、特に首都である後述のヒウンシティがそれを物語っている。また、中央のハイリンクを通じて”夢の世界”へ繋がることができるという都市伝説があるが、確かではない。


組織

P・ユニオン--トレーナー連盟とも呼ばれる組織。加盟したトレーナー達は上層部が承った依頼を実行することで報酬の何割かを貰えるというシステムの元、成り立っている。最近、何かとイッシュには異変が多いため需要が多い。最近、後述のセキュリティー・イッシュと手を組んだ。

セキュリティー・イッシュ--イッシュ地方の警察機関と警備組織などが全て連合を組み、あらゆる犯罪に対して対応できるようになった総合警察組織。小さな犯罪からテロとその対応範囲はとにかく広い。人員もかなり多く、地方民からは大きな信頼を寄せられている。

黒き翼軍(よくぐん)--プラズマ団が壊滅した後、現れたイッシュ地方の新たなる脅威。考えられる犯罪ならば何でもやるとんでもない組織。何かの目的に沿って行動しているようには今のところ見えないが……?

プラズマ団--イッシュ地方では4年前、そして2年前に主な暗躍をしていた組織。現在は完全に壊滅したと言われている。


アイテム

E・ナビ--本来の名称はエキスパンションナビ。長いので略してE・ナビ。その名の通り、使うたびにネットに接続することでどんどん機能が拡張されていく次世代型の情報端末。ポケモン図鑑の機能もさらに強化されて搭載されており、その場でポケモンの基本的な能力値を計測する機能まで付いている。また、収集電波というものを飛ばすことで本来電波が届かない場所であっても全ての機能を使うことができる。

チョーカー--ここでは黒き翼軍がポケモンに付けているものを指す。野性のポケモンや他人のポケモンにこれをつけると、洗脳してIDのトレーナーの言う事を聞かせることができる。さらに、そのポケモンに自己暗示を掛けて一時的に強くさせることができる。しかし、その際にポケモンに掛かる負担はとてつもない。基本、そのポケモンも含めて使い捨ての兵器として使われる。そして動けなくなったポケモンは処分される運命しかない。

ピース11:乱入者 ( No.23 )
日時: 2015/02/10 15:46
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「プテラ、フリーフォールッ!!」

 先手を仕掛けたのはプテラか、しかし素早さのランクがSってことはリオよりも上か。なかなかに厄介だぜ。
 とりあえず、だな。リオをこっちに引き寄せて、小声でコレを囁いておくか。

「リオ、ひそひそ……頼むぞ!!」
「むっ」

 次の瞬間、指示したとおりにリオは真空波を撃ってくれた。
 真空の刃は空気を切り裂く程のスピード。奴を先に仕留められなくとも、そこから追撃を仕掛けることならば出来る!
 野郎は此処で倒さねぇとな!

「その程度! 避けろ、プテラ!」

 って、速すぎやしねえか。
 おもくそ真空波が避けられて岩を切り裂いていく。飛び道具は通用しねえか------------こっち来たぁぁぁ!?
 
「上昇、そして-------------」

 げっ、掴まれて天井に、まさかこれって---------

「ライガ君、やばいわよ! フリーフォールは相手を掴んで上昇しそのまま叩きつける技! 高さは十分、そこから落とされたら一溜まりも無いわ!」
「って言ってる場合かよっ!! 敵はもう1体いるんだぞ!!」

 リオがプテラに攫われてる間に、もう1体。レジロックがこちらへ突進してくるのが分かった。
 あんなのを食らったら今度はこっちが木っ端微塵だ、オーマイガー。
 どうすんの、マジで死ぬけど俺ら。
 待てよ。こういうときに1つだけ状況を変えることが出来る方法がある。
 足を使うんだ。
 そう、つまり------------

「逃ィげるんだよォォォーッ!!」
「やってることこの間と一緒じゃないのよぉーっ!!」
「うっせぇぇぇ! 通路の方に逃げるぞぉぉぉ!!」
「自分のポケモン放っぽり出してぇぇぇぇ!?」
「命が惜しい」
「何このド外道!?」

 と、叫びながら通路の入り口まで逃げた。
 悔いは無い。
 逃げることも時には必要である。
 決して命が惜しかったとかそういうのではない。
 あ、言っちゃってた。
 突っ走って10mくらいだったろうか。急にどすん、どすん、という足音が聞こえなくなった。
 恐る恐る振り向いてみると、あろうことか伝説ポケモンは頭がつっかえたまんま足踏みをしていた。
 つまり、逃げ切れたということか。
 
「おっ、おおおおお!! すげぇぞ! 相手バカだからこっちに全然来れてねぇ! ラッキー!」
「や、やったわね、これは!」

 ははははーっ! バーカバーカ! 漫画で手に入れた知識が上手く役に立ったぜ!
 しかも、今ならば首が丸出しだ!
 ミルマにシェルブレードでチョーカーを切り裂け、と命令するとそのまま突っ走っていき-------------チャージビームの餌食となった。

「ごめん、ミルマ」
「出オチに哀れすぎて涙も出てこなかったわ」
「うん、飛び道具あったんだ、うん」

 あいつ電気タイプの技使えるのかよ、知らないよ、んなこたよぉ!?
 ミルマをボールに戻し、とりあえずどうするか考えたが------------良い事を思いつく。

「エモ、お前の電撃でチョーカーを破壊するんだ!」

 開幕、約三秒。飛んでる状態からそのまま電撃放ち、一瞬で仕事は終わった。
 ミルマよ、お前は何の為に出てきた。あ、出したのは俺か。
 チョーカーを破壊した途端、ガブリアスのときと同じく、レジロックは膝をついて倒れた。

「よし、部屋の方に戻るとするか、リオも心配だしな!」
「最悪ねコイツ……」

 へっ、何とでも言え。


 ***

 案の定、そこにはプテラに圧し掛かられたリオの姿と、苛立ったカシワ、そして下っ端数人がいた。
 しかし、カシワに手を出すのは止められているのだろうか。
 状況的にはそんなに経っていないから、食らったのはあのフリーフォールだけか。しかし、なかなかの痛手っぽいな、見るからに。

「あっちゃー、遅かったか」
「貴様……! 自分のポケモンを捨てて逃げるとは、何たる外道ッ!!」
「悪人に外道と言われる筋合いはねーな」
「自らのポケモンを大事にしないトレーナー……このカシワが最も忌むべきトレーナーよ!! プテラ、やってしまえいっ!!」

 キェーッ、と叫んだプテラは俺の方に飛んで-----------これなかった。
 次の瞬間、そこには全員の驚く顔があったはずだぜ。
 何故ならオこの俺が練りに練った奇策だからな。

「幹部クラスの相手によぉーっ、正面から挑んで勝てねぇってのはもう学習済みだよ」
「な、な、馬鹿な!?」

 そこには、プテラの尻尾を掴んで離さず、そして立っているリオの姿があった。

「多分てめぇの攻撃は一度食らったらシメェだ。だからこそリオには”オボンの実”を持たせた。”倒れたフリしながら、反撃のチャンスを得るため”にな!!」
「し、芝居だったって言うの!」
 
 流石のミオも驚いてるみたいだな。
 まあ、そゆこと。さて、指示したタイミングだが、勿論あの囁いたタイミングだな。
 猿芝居ならぬ、犬芝居打たせて貰ったぜ。

「待てい!! 何時だ! 奴はいつオボンを口にしたのだ!」
「プテラの攻撃を食らうときに、飲まなくて良いから口の中に放っておけって、頼んだのさ。後は奴がピンチになったら勝手に噛み砕いて飲み込むだろ。その後、反撃せずにしばらく倒れておけって指示したんだ。長いからよー、”プテラが迫ってきたら、オボンを口に含め。後は死んだフリしろ”って命令した」
「こいつぅぅぅ!!」

 おー、頭に来てる来てる。脳まで岩で出来てるのかね。

「まー、待てよ。一番頭にきてるのは、リオの方だと思うぜ。さっきもみたとおり、こいつは強い攻撃食らうと---------」

 あ、駄目だ。声が途切れるくらいの岩を砕く音がした。

「キレちゃって、相手をぶちのめしたがるんだよなぁー」

 はっけいが、プテラの背骨を直撃したらしい。麻痺状態になったプテラはそのまま飛べなくなり、地面に落ちる。

「リオ、決めろ! トドメの真空波!!」

 不意打ちだったが仕方がねえ。
 真空の刃はプテラを今にも切り裂かんと------------


 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ


 あり? リオが手を止めた。
 どうしてだ? と壁の方をみた。すると、部屋の左右にあった壁が崩れた。
 あまりの突然の流れにあんぐり口を開けていたが、そこには、またしても巨大な2つの”像”が----------!!

「レ……ジ……スチル……!」
「レ……ジ……アイス……!」

 ちょい待て、何で出てきたしぃぃぃーっ!?

ピース12:石像、氷像、鋼像 ( No.24 )
日時: 2015/02/11 13:28
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「何だぁぁぁ!?」

 揺れる地面、落ちてくる石ころ。穴の開いた左右の壁からはそれぞれ右から氷像、左から鋼鉄と思わしき物体の像が現れる。
 何か、ミオはそれをみてあんぐりと口を開いているし。
 E・ナビを当てて確かめたら、再びレジロックのときのように、概要以外確かめられない状態になった。
 まず、氷像。


『ポケモンDETA
レジアイス:?ポケモン
概要:?
体力:B 攻撃:D 防御:A 特攻:A 特防:SS 素早さ:E
要注意技:?
危険度:?』

 
 こいつ、防御面はレジロックより薄いな。だけど、特防の方が以上に高くなってる。
 次に、(多分)鋼鉄の像。


『ポケモンDETA
レジスチル:?ポケモン
概要:?
体力:B 攻撃:C 防御:S 特攻:C 特防:S 素早さ:E
要注意技:?
危険度:?』

 
 うわ、かってぇ!! こいつはやばい。手が付けられんかもしれん。防御、特防共にSランク!? これならどっちかSSの方がまだマシだった。弱い方を突けば何とかなるからな(その弱い方もAと決して低くはねぇけど)

「何だよ、こいつらさっきのレジロックの仲間か!?」
「多分、ね。だとしたらレジロックが危険な目に遭ってるから助けに来たってところ、かしら……このヤーコンロードに伝説の”像”ポケモンが3匹共眠っているとは思いもしなかったわ」
「つか、分かる訳ねぇだろんなことよぉ!?」

 さて、翼軍サイドの方を見ていたが……どうやら強欲かつ身の程知らずの下っ端共が早速ポケモンを繰り出し、2匹の捕獲に出たが-----------


「馬鹿者ッ!!」


 と、カシワの一喝が響く。

「何をしている、まともにやり合って勝てる相手では無いぞ!」
「ですが、カシワ様……! チョーカーを使えば……!」
「駄目だ、あれは使ってはならん!!」

 意地になってチョーカーを使うことを渋るカシワ。とりあえず、これはチャンスだぜ。
 今のうちに逃げ-----------あ。


「レジ……ロッ」


 入り口でぶっ倒れてたレジロック起きとるがなぁぁぁぁーっ!?
 まずいまずいまずい、伝説ポケモン3匹に囲まれちゃったよ、でもこれって敵も同じのはずだ! うん、そうだ! 増援も来てくれるし。

「そーだよ、どうにかな----------」
「えぇぇぇーっ!?」

 うるせぇっ!! この女いきなり悲鳴上げやがって。

「ど、どうしたミオ」
「何か、今メールでさっきの地鳴りでヤーコンロードの岩壁が崩れて封鎖されたって。救援要請も兼ねて伝説ポケモンたちの写メ送ったら、そう返ってきた」
「それ、まさか逃げられたパターン……」
「無いから!! そういうのは無いから!!」

 いや、でも何この状態。マジでピンチなんですがぁー!?
 
「出て来いヤジロン!!」
「行け、ヤジロン!!」

 あれ、下っ端達が何か変なの繰り出してきた。何か土偶みたいなポケモンだ。そいつらがわらわらと出てきて何するのかなー、て思ってたら円陣組んで-----------皆丸ごと、全員消えた。
 カシワも居なくなっていた。

「……テレポートされたわね、ありゃ」


『ポケモンDETA
ヤジロン:土偶ポケモン
概要:一本足で回転しながら移動する。紀元前に栄えた古代都市の壁画にヤジロンとその進化系の絵が描かれており、話題になった。後、下手にいじると爆発する。
体力:D 攻撃:D 防御:D 特攻:D 特防:C 素早さ:D
要注意技:テレポート、自爆、サイケ光線
危険度:2』


 つまり、逃げられたってことか、これ。
 しかも、次の瞬間だった。3匹共、俺らに向かってチャージビームを放ってきやがったし。
 どうやら、俺らは完全に敵と思われたらしい。

「は、はは……終わったんじゃねえか」
「待ちなさいよ、ここはとにかく応戦するっきゃないわ!」

 んなこと言ったって、伝説のポケモン3匹って聞いてないよう。

「だって考えてみろよ! お前の切札のギャラドスにしたって、電気タイプのチャージビーム食らったらしめぇだぞ!?」
「だーかーらーっ、何故あんたが戦わないっ!! タイプ解析で、こいつら3体は岩、氷、鋼、タイプで格闘が弱点なのよ!」
「あ、そっか」

 じゃあ話は早かった。リオなら3匹共行けるんじゃないか、これ。
 やっちまえー、リオ! ぶっ潰せー!

「このアホは……頭いいのか、馬鹿なのか……」
「今、奴らはそれぞれ離れた場所に居る、つーことはまだ接近戦ならば分はこっちにある! リオ、レジロックにはっけい!!」

 ドッ、と手痛い一撃がレジロックに入る。
 効果は抜群------------と思いきや、全く利いていない。

「んじゃあ、ボーンラッシュを連続でブチ当てろ!!」

 気合で固めた骨の棍棒で何度も殴りつけるリオだが、ぺしっと巨大な腕が一振り。
 そのまま吹っ飛ばされてしまった。
 成るほど、文字通り馬鹿力で吹っ飛ばされた訳か。

「お、おい、マジかよ」
「防御SSランク、更に攻撃Aランクはダテじゃないわね……はっきり言って、此処まで耐久力があるポケモンを見るのも初めてだけど。奴はとりあえず、ギャラドスで抑えておくわ!」

 ギャラドスが出てきて、すぐにレジロックの体に巻きついた。しばらくは大丈夫か?
 って、今度はレジアイスが変な挙動を------------

「冷凍ビームよ、逃げないと!!」
「嘘だろ!? 戻れ、リオ!!」

 とりあえず、岩にめり込んで再起不能になっているリオをボールに戻す。これは本当に逃げねばならない。
 ビームが地面を走っていき、次々に凍らせていく。
 それはそれは恐ろしい光景だ。
 ビームが止まった。再びレジアイスの方を向き、今度は回復させておいたミルマを繰り出す。

「こいつは防御が薄いはずだ! やっちまえ、ミルマ! リベンジだぜ!」

 突撃していったミルマが今度はホタチから闘のオーラを湧き出させて、レジアイスにぶつけた。
 効果は抜群、今のは流石に手痛かったはず---------------

「レジ……アイス……!!」

 ……微動だにしていたいんですが、それはぁぁぁーっ!?
 ああ、駄目だ。こっちの物理攻撃力が低すぎてそれどころじゃねえ。
 やばい、今度はレジスチルがラスターカノンっぽいのを放ってきやがったし。地面に向けて撃ったことで、地面を破壊して氷を飛ばしてきやがった。
 うわっ、やばい、めちゃくちゃ眩しい。
 光をこれで反射させるつもりかよ。
 凍った床が砕けて、破片となり、ミルマに襲い掛かる!!

「お、おいっ!! 避けろ、ミルマ!!」

 叫んだ俺は気付いた。
 ミルマは離れられていない。レジアイスの体から。
 凍ってやがる。
 レジアイスの表面の冷気にやられて、体が凍り始めている!!
 どうすんだよ、レジロックも既に動き出してるんだぞ!! いや、奴は辛うじてミオのギャラドスが抑えてる、か。
 まずい、ラスターカノンが今度こそ、放たれた-------------!!

「危ねぇ、ミルマァーッ!!」


 カキン


 ふと、音がした。
 何かが再び跳ね返るような、そんな音-----------------。
 ホタチで、あのラスターカノンを弾いたのか?
 見れば、光で全く見えなかったけど、ミルマの奴の姿がそれよりも眩い光に包まれていく、だと!?
 これってまさか-----------進化? このタイミングで、か!?
 その光の中でミジュマルとしてのミルマが消滅し、新たな姿、新たなポケモンとしてのミルマが誕生するのがはっきりと分かる。
 そして、それが終わった瞬間------------


 ガッ

 
 あのレジアイスをミルマは蹴っ飛ばして、堂々と新たな姿で地面に降り立った。

ピース13:双太刀丸 ( No.25 )
日時: 2015/02/12 23:57
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 これって----------進化!? 間違いねぇ、リオのときに見たことがあるから覚えがある。
 そうだよな、前よりも一回りでかくなってって、とにかくチェックだ!!


『ポケモンDETA
フタチマル:修行ポケモン
概要:流れるようなホタチ捌きは、フタチマルによって違う。厳しい修行の末、身につけた早業は、剣の達人でも見切るのは困難を極める。ホタチの手入れは欠かせない。
体力:C 攻撃:C 防御:C 特攻:B 特防:C 素早さ:C
要注意技:シェルブレード、アクアジェット、リベンジ
危険度:4』


 やべぇ、かっこいい。凛々しく、そしてより逞しくなってやがる。
 剣の技も前より威力が期待できそう。
 よし、こっからが反撃だ!
 
「反撃だ、ミルマ! まずはレジアイスに追撃のシェルブレード!!」

 ミルマの太ももに装着されていた2本のホタチが姿を現したが、より鋭く、より煌きを増している。
 それを華麗に振り回し、レジアイスの氷の体に傷をつけた。怯んだレジアイスは後退したので、その隙にさっ、と俺の元に帰ってくる。

「チャンスよ、ライガ君! あたしのツタージャもすぐにジャノビーに進化したの。ギャラドスは限界よ! あいつを何とかどかして!」
「その前に、あいつらかっ」

 やべえ。レジアイスが再び冷凍ビームで地面凍らせてきやがった。こっちまで凍らされたらたまったもんじゃないから、凍った地面に飛び乗り、つるっと滑りそうになる。
 が、直後レジアイスが凍らせた地面に腕を振り下ろして--------------え? 凍った地面がこっちまで割れてくるとか馬鹿力にも程がなくねえか?
 あ、馬鹿力か。
 つか、その後だった。
 レジスチルがきらきらしたものを放ったとたん------------俺の後ろで沢山爆発したし。


「どわーいっ!!」


 爆風に煽られて吹っ飛んだ俺とミルマは地面と激突しそうになる。幸い、俺の唇と地面が血の出るような痛いキスを交わすことはなく、頭が再び衝突して怪我してたところから、また生暖かいものが溢れてきた。

「どう足掻いても、頭を怪我する運命にあるのか俺は」
「ライガくーん!! うわ、血が」

 しかし、このライガ、この程度で引き下がる程の臆病者ではない。ミルマもまだ立てる。
 どうやらさっきの爆発はラスターカノンの砲撃で起こったものらしい。
 起こったものらしいけど、あの数の爆発はおかしいぜ。
 いや、種は簡単だ。
 とにかく、敵のコンボは、アイス冷凍ビーム→地面凍る→地面の氷壊す→スチルラスターカノン発射→乱反射させてこっちを殺しにかかる、か。
 あの氷の破片が鏡の役割をしているってか。
 しかも、あいつらの風貌、どう見ても有機物には見えないしな。スパコン的な何かが内臓でもされてんのか?
 頭が滅茶苦茶良いのか、氷がどんな飛び散り方をしても、レジスチルはそれをこちらに反射するように計算してラスターカノンを撃ってるんだ。
 まあいい。種は割れた。
 後は、びっくりさせるだけだっ!!

「ちょ、ライガァー! こっちはもうやばそうよ!」
「もうちょい持ちこたえてくれ!」

 ああやべぇ、ギャラドスやジャノビーが奮闘してくれてる。申し訳ないが、もうちょい頑張ってくれ。
 あいつらは、さっきも似たような攻撃をしてきたが、次も同じ攻撃が来れば------------いける!
 まずは、こっちから一発浴びせてやれ!

「ミルマ! レジアイスにシェルブレード!」

 再び切り込んでいくミルマ。斬撃を二発浴びせ、再び怯ませるがチャージビームがすかさず飛んできたので、距離をとった。
 そして、再び俺の元に戻ってくる。

「相手があの攻撃をもう仕掛けて来ないなら好都合! このままヒットアンド・アウェイでダメージを蓄積させ、隙を見てレジロックにも畳み掛ける!」
「えぇぇー!?」
「というわけでミオ、そっちは抑えてな」

 さあ、次は何が来るか--------と思っていたら、レジアイスが冷凍ビームを地面に射出してきた。地面が途端に凍りだす。
 今だっ!!
 凍った地面に飛び乗った俺は一瞬でレジアイスの方を向いたね。
 そして、あいつが腕を振り下ろし、氷が飛び散ったのを確かめた。
 レジスチルがラスターカノンを放とうとする----------


「ミルマ、今だ!! あの中に切り込んで、氷を別の方向に反射させろ!」


 カキン


 フタチマルの剣の早業は達人並みらしい。二刀のホタチを目にも見えない早業で振り回す。するとどうだろうか。
 氷は一瞬でその向きを変えた(と思う)
 これが約0.1秒の世界って奴だ(見えなかったけど)
 だが、ラスターカノンは見事に乱反射し、さらに明後日の方向はおろか、放った自らと、相方のレジアイスへ------------直撃した。
 俺は伏せていたから運よく当たらないで済んだが。
 流石にチャージビームを繰り返し放ったことで威力が上がっている自分の攻撃は堪えたらしい。
 電子音みたいな音がおかしくなっている。
 さらに後ろで爆発音もした。
 ラスターカノンがレジロックにもあたったのだ。
 爆アドWピースってやつ? ピースなんかしてる暇は無いけど。

「今だ、逃げるぞミオ!」
「や、やっと終わった。戻って、ギャラドス!」

 ジャノビーは途中で何かがあったときのために出しているのだろう。
 さて、俺たちはぶっ倒れたレジロックを再び踏み越えて狭い入り口をとおり、そして二度と奴らが追って来れないように、ミルマにシェルブレードで天井を落として貰ってから、命からがらナビの地図を頼りに問題の岩崩れが起こったところまで逃げたのだった。

 
 ***

 岩崩れは既にポケモンの手で収まっており、穴が開通していた。そして、セキュリティーイッシュの隊員達が奥へ行こうとしていた。
 さて、本日の件の報告だが、地震の原因はヤーコンロードにいた伝説のポケモンが目覚めたこと。
 そして、黒き翼軍はそれを目的に……いや、それ以外の目的でこの穴にもぐりこんでいたのではないか、ということをミオは報告したらしい。
 報酬は意外と少なかった。
 まあ、依頼主と言えるような依頼主もいねえし。
 何であれ、初任務にも関わらず命からがらとはこの事だった。
 ほんと、命も投げ出し時を選ばないとな。

 それよか、頭がめっさ痛いんだけど。縫ったところまたパックリ割れてるし。

ピース14:漫画から抜け出せない? 俺もだ。 ( No.26 )
日時: 2015/02/14 10:21
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「えーっと、全治一週間が二週間に増加ね、うん」

 ウソダドンドコドーン。
 いや、マジ勘弁だわ。主人公的にもビジュアル的にも頭に包帯巻いたまんまなのは、色々とまずい気がするんですわ。
 病院にやってきたのは、このようにぱっくり割れてしまった頭の傷をもう一度治療しに来た-----------だけではない。実は。
 3人目の仲間がこのヒウン中央医療センターに入院していて、(ヒウンだけに悲運な病院という駄洒落は禁句)もう退院手続きを終えたはずだから迎えに行けと、ミオ様からのご命令だった。
 が、病室には誰もいなかった。ちっ、俺が治療を受けている間に、もう病院を出ちまったか?
 何にせよ俺より年上らしいし、初っ端から機嫌を悪くするのも悪いな。
 って思いながら、俺は病院の売店で週刊の雑誌を探していた。
 週間少年マンデー。一週間に一度、絶対に買って読まなければ、俺は禁断症状が出るという体質なのだ。
 それぐらい、この雑誌の漫画は面白い。
 しかも今日は袋とじでE・ナビにも搭載されてるアプリの『パズル&ポケモンズ』というゲームのアイテムが手に入るシリアルコードが手に入るから、尚更である。
 買わねば。
 俺は買うことを強いられている。
 それも発売日である、今日に。

  
 ***


 ……あった。
 売店の本を掻き分け(目の前に置いてあった)その先には(先なんて無い)大いなる一つなぎの大秘法(ではなく雑誌が)。
 それを手にし、レジに向かう。ただそれだけだ。それだけなんだ。
 しかし、問題があった。
 
「……おいアンタ、その手は何だ?」
「何だもクソもあるか。僕も週間少年マンデーを買いに来ただけだ。それぐらい推理しろ」

 くっそムカつく野郎だ。俺より背が少し高く、茶髪に紺色のブレザーコートを羽織っていて、丸眼鏡の奥にある鋭い目でこっちを睨んでいる。
 が、そんなものに臆する俺ではない。
 
「俺だってそうだ。マンデー毎週発売日に読まないと、禁断症状が出るほど好きだ」
「僕だってそうだ。マンデー毎週発売日に読まないと、嘔吐で食事も喉に通らなくなるほどだ」

 成るほど。目の前にいるのは所謂同士という奴らしい。マンデーを愛する同士らしい。
 だがしかし。今は敵だ。生憎、目の前にマンデーは一冊しかない。
 ああ、マンデーよ。何故お前は一冊しかないのだね? 分け合うものは奪い合うしかないというのだね?
 マンデーよ、ああ愛しの週間少年マンデーよ。

「とにかくだ。これはな、実はある人物の退院祝いに贈るものなのだ」

 え? マジかよ。そうだったのか。つまらない回想して悪かったな。
 
「そ、そうか。じゃあ持ってけよ。マンデーくらい、どこでも買えるよな」
「ああ、分かってくれて何よりだ」

 すた、すた、とレジの方に歩んでいく彼は最後に振り返って、無表情で言った。
 

「ま、そのある人物って僕なんだけどね」


 待てやコラ、ボケエエエエエエェェェェ−ッ!!
 すかさずエルボーを奴の横っ面に繰り出す。
 「ぱぶらっ」と変な奇声を上げた奴から、マンデーを取り上げて見下ろし、俺は言ってやりました。

「てめぇコラ、嘘付きやがって、死ぬか? そんなに死にてぇか、アアン!?」
「やりやがったな、こちとら病み上がりなんだが」
「るっせー、俺だって重症患者なんだよ、頭にぽっかり穴が開いちゃってるんだよ、気ィ使えやボケ」
「何を貴様」
「やんのかテメェ。言っておくけど、俺のルカリオはそこらの奴とは一味も二味も違うぜ? まずニックネーム付けてるところ」
「いや、それどういう違い? そんなことより、僕のジュペッタの方が強いに決まっているんだ」
「良いぜ、んじゃあバトルで決着をつけてやろうじゃねえか」

 ガタリ、と音がした。
 見ると、売店のレジ打ちの腰が曲がったお婆さんが何か言いたげにやってくる。
 やべ、流石に騒ぎがでかすぎたか?

「そこの若い二人。今、バトルでケリ付けるとか言ったね?」
「え? ええ、まあ」
「そうですが」

 イエス、アイアム。俺はこのマンデーのためだけに戦うつもりだ。
 ん、ちょっと待てよ? 何この流れ------------

 
 ***

「勝負は3対3のシングルバトルッ、審判は売店の看板娘であるワシが勤めさせていただくよ!! 勝ったほうが、この週間少年マンデーを手に入れる!! 良いね?」

 何この婆さん、腰曲がってんのにめっちゃ元気なんですが、それは。
 さて、何であれ奴と決着を付けることができるからな!
 つーか、結構ギャラリーが集まってるんですが、それは。
 病院の裏の広場に、こんなバトルフィールドがあるなんて、俺は知らなかったよ。

「フン、僕の頭脳戦法で押し切ってやる」
「こっちの台詞だ! 先にぶっ潰してやる!!」

 アイツとの視線がカチ合った瞬間、俺はボールを投げた。向こうもだ。
 さて、俺が繰り出したポケモンは----------エモだ。
 ぐるり、と青い空を一周したこいつはすぐに俺の肩に止まる。
 可愛い奴だぜ。
 一方のあいつは---------

「行け、ダブランっ!!」

 何だアレ。ぷよぷよしたゼリー状のものに、何か入ってる。
 確か、あのポケモンは------------


『ポケモンDETA
ダブラン:分割ポケモン
概要:2つに分裂した脳みそを持つため、いきなり違う行動を取ることがある。分裂した2つの脳みそで同じことを考えているとき、サイコパワーは最大となり、相手に襲い掛かる。
体力:C 攻撃:D 防御:D 特攻:S 特防:D 素早さ:E
要注意技:サイコショック、自己再生、シャドーボール
危険度:4』


 ーっ!? 特攻Sランクだとぉ!? やべえ、パッと見そこまで高いとは思わなかったぜ。
 タイプ解析結果はエスパーか。

「……む、それはE・ナビか?」
「へっへーん、羨ましいだろ」
「悪いな」

 見ると、奴の手には------------え!? E・ナビだと!?

「生憎、同じ組織の人間らしいな、貴様とは……最も、虫唾が最高に走るのだがなっ!!」

 マジか、やつもP・ユニオンの一員だったって言うのかよ!!


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