二次創作小説(紙ほか)
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- 名探偵コナン夢物語 過去編1
- 日時: 2014/10/13 10:12
- 名前: らいち。 (ID: I3friE4Z)
1.はじまり
「Wow! Is here Tokyo, Mam?」(すごい!ここ東京だよね、ママ?!)
「Yeah! ...but be quite.」 (そうよ!…でも、静かにしてね。)
東京タワーが見える高速バスの中。
私たちは
新しい生活を始めるために、東京にやって来ました。
と言っても、
ママが女手ひとつで私を育てるの。
そう
シングルマザーってこと。
私のせい。
パパが死んだのは——
でも
それは禁句。
またママに怒られちゃうからね。
とりあえず、米花町に到着。
帝丹小学校の近くにある、すごく高いマンションだ。
エレベーターに乗って、目指すは12階。
「すごい高いね。」
「そうね。ジェイムズさんに感謝しなきゃ。」
『ジェイムズさん』
この人は、パパの上司。
アメリカに住んでたんだけど、
この間の一件でFBI本局に日本へ移住するよう 通告されたの。
それで
色々力になってくれたのが、『ジェイムズさん』。
このマンションも、彼が見つけた。
そうそう。
実は私たち、日本語も話せるの。
パパは日系アメリカ人だけど、
ママは普通の日本人だからね。
幼稚園も決まったし、
これからは、日本でenjoyしよう!
- Re: 名探偵コナン夢物語 過去編1 ( No.4 )
- 日時: 2014/10/13 15:34
- 名前: らいち。 (ID: nCjVBvXr)
5.幼馴染。
「うわあ…広いね。」
「うん。」
吹き抜けのリビングには、
大きな窓と
白いプロペラ。
羽田空港で待ち合わせた私たちは
すぐに打ち解け、
昼頃には別荘に到着した。
「で、何して遊ぼうか。」
お母さんたちは
向こうのキッチンでランチをつくっている。
「ねえ、これなんかどう?」
私は、大きいバッグからオセロセットを取り出した。
これ、キチ兄からもらったやつ。
「オセロ…?」
「うん。クリスマスプレゼントでもらったんだよ。」
「へぇ。」
陽希が目を丸くする。
私とは違った、黒くて澄んだ瞳。
それに
男の子特有の、女の子を馬鹿にするような態度も無い。
なんで?
ちょっと不思議だったけど、
私は オセロを広げた。
結果は私の負けだったけど、
陽希は
シュウ兄や真純ちゃんの話をちゃんと聞いてくれた。
「その3人、面白いね!」
「でしょ?」
このときは、
まさか
陽希がカレシになるなんて、思ってもなかったわけで。
それぞれの想いをのせ、
日本の初めての夏は幕を閉じた——
- Re: 名探偵コナン夢物語 過去編1 ( No.5 )
- 日時: 2014/10/14 20:57
- 名前: らいち。 (ID: g3crbgkk)
6.ひとりきりのクリスマス・イヴ。〜哀しみ〜
寒い。
寒い!
寒いーっ!
秋があっという間に終わりました。
日本に来て初めてのクリスマス・イヴ!
でも、
つまらない。
つまらない!
つまんなーいっ!
だって、
今年は 真純ちゃんたちに会えないんだもん!!
留守番の退屈しのぎ。
目の前に置いてあるのは、
去年 真純ちゃんたちにもらった、クリスマスプレゼント。
シュウ兄からの、ヘアブラシ。
真純ちゃんからの、うさぎのぬいぐるみ。
キチ兄からの、オセロセット。
そして、
おばさんが作ってくれた、きれいな写真立て。
ガラス製のふちに、キラキラしたスワロフスキーが並んでるの。
中には 赤井家と芹井家の集合写真。
あーあ。
つまんない。
暖房の風の音だけが響く。
窓の傍に置いてあるクリスマスツリーの飾りが灯りを反射する。
私は 写真立てをテーブルの上に置き、
窓から外を見おろした。
ちらちらと舞う雪。
きらびやかなイルミネーション。
通りを楽しそうに歩いている家族。
いいな。
楽しそうだな。
そう思ったら、だんだん夜景がにじんできた。
今日は、クリスマス・イヴ。
サンタクロースなんて、信じられないよ。
だって、
私の一番の願いは、
おとう… パパが帰って来ることなのに。
ねぇ…
「ただいま」って、帰って来てよ…
「今までのこと、全部ウソだよ」って言ってよ…
心の中で、
何回も呼びかける。
そうしていたら、
いきなり 電話が鳴り始めた。
- Re: 名探偵コナン夢物語 過去編1 ( No.6 )
- 日時: 2014/10/14 21:42
- 名前: らいち。 (ID: g3crbgkk)
7・ひとりきりのクリスマス・イヴ。〜奇跡〜
「もしもし。」
まだ涙の残る瞳で、受話機をとった。
でも、
『奈都。』
その一言で、
さっきまでのことが全部吹っ飛んでしまった。
「パパ…?」
信じられなかったけど、
夢じゃなかった。
『奈都…。これからパパが言うことを、よく聴いてほしい。』
驚きと
喜びと
悲しみと
怒りが
私の口を動かないようにしている。
『パパは、FBIの捜査官だったんだ。
でも、パパが追っていたのは、
ヒーローでも倒せないくらいの、すごく悪い奴だったんだよ。』
「そう…だったの…。」
『それで、パパは今、とても遠い所で暮らしている。
ここに奈都たちは来ることはできない。
でも、
もしかしたら、奈都たちに会えるようになるかもしれない。
だから それまでパパを待っていてくれないかな。』
「…。」
『奈都。おまえには、強くなってほしい。
急にいなくなったパパは、弱虫で最低だけど…
どうか、泣かないでくれ。』
「パパ…。」
泣かないでくれ、そう言われたのに。
パパと同じ色の私の瞳からは、涙がいっぱいこぼれてきた。
『そろそろ時間だ…。
最後にもう一つ、この電話のことは、ママには内緒にしてほしい。
これは、パパと奈都だけの秘密だぞ。』
「うん。」
『じゃあ、次に会うときは 立派な姿をみせろよ。』
「あ…」
切れちゃう。
魔法が、終わっちゃう。
まって…、最後に、言わせて。
「パパ…!」
『奈都。』
—— Merry Christmas.
そう言って、
魔法は終わってしまった。
パパ。
ううん、お父さん。
ありがとう。
大好きだよ。
絶対、忘れない。
絶対、強くなるからね…!
外の雪はすっかり止み、
雲のすき間からは、
満月の優しい光がみえていた。
- Re: 名探偵コナン夢物語 過去編1 ( No.7 )
- 日時: 2014/10/14 22:23
- 名前: らいち。 (ID: g3crbgkk)
8.強く、なる。
あのクリスマスから、
3か月と少しが経った。
みんなへ。
わたし、もう6歳。年長さんになったよ。
シュウ兄。
キチ兄。
真純ちゃん。
おばさん。
カゼひいたり、してない?
シュウ兄、
あの時もらったヘアブラシ、
もう少し大きくなってから使うことにするよ。
お仕事、頑張ってね。
キチ兄、
いつも お手紙ありがとう。
キチ兄なら絶対、将棋 強くなれるよ!
真純ちゃん、
ジークンドー 上手くなった?
前に言ってた「男の子の話」、今度聞かせてね。
おばさん、
ファーストネーム教えてよ〜!
みんなも遊びに来てね。
待ってるよ!
奈都
私が言ったことを、お母さんが手紙に書いてくれた。
まだ 字がおぼつかないからね。
どんな返事がくるかな。
これからどんな生活が始まるのかな。
どんな人に出会って、
私はどんな人間になるのかな。
まだこの世界のことは、よくわからない。
でも
これからいっぱい、
泣いて。
笑って。
時には誰かとケンカして。
強くなるから…。
お父さん。
その時がくるまで、待っててね——
- Re: 名探偵コナン夢物語 過去編1 ( No.8 )
- 日時: 2014/10/14 22:36
- 名前: らいち。 (ID: g3crbgkk)
あとがき
≪名探偵コナン夢物語 過去編1≫ 完結です。
参照数がどんどん伸びていくのが励みになり、
書くことができました。
今回は、
≪過去編1≫よりも≪過去編2≫が先にできるという、
異例の事態(?)が発生してしまいました。
申し訳ありませんm(_ _)m
≪過去編3≫も予定していますので、
よかったら また読んでくださいね!
(夢物語2もよろしく☆)
読者の皆さまに、感謝をこめて…
らいち。
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