二次創作小説(紙ほか)
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- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり
- 日時: 2014/12/21 16:21
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
11作品目、「雨のち*you*水たまり」です!
この話は、コタロウが初の主人公(≧▽≦)
イメージ曲は『雨のちsweet*drops』なのです。
それではプロローグからGO!
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.4 )
- 日時: 2014/12/23 11:00
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
三
愛しいコタロウ。早く会いたい。
あたしはさよりん。水たまりの女だ。
あたしは元々水たまりの中に生まれてきた。そして、こんな自分を嫌った。
友達ができないんだもん。ずっと絶望的に生きてきたの。でも…
ある日、あたしの体に重みがズシンッときた。何!!?
「いった〜い。何?もう!」
テキトーに怒った。誰かに、見知らぬ人に。すると、相手は、
「え!?ああ、すみません……って、ん!?」
ちょっと、あたしに向かって言ってないじゃん。あたしは被害者だ!!
<ん!?>と言ったから、あたしに気付いてこっちを向いて謝るかな。
しかし、期待したあたしがバカだった。
「公園の裏にこんな所…あったんだ」
「ちょっと、まずは謝るのが先でしょ!?ここで寝てたら急にあんたが倒れてきたんだから!!」
何言ってんだよ!このバカ男子!あたしもだけど、コイツの方がずっとバカだよ!!
「え…、あ、ゴメンナサイ」なんて、不器用な謝り方すぎない!?
ふむふむ。コイツはこのあたしの事を変だって思ってんじゃない?顔に書いてあるし。サイテー。
「ちょっと、変って思ったでしょ、失礼な。あたし、雨降った後の水たまりに住んでるの。よろ」
あたしも、テキトーに自己紹介した。
ん、でも結構いい男子じゃない?まぁいいか。許してあげよう。
「ふーん、おれ、コタロウだけど。よ、よろ…?」
「今日からあたしとコタロウは友達ね!だから、雨降った後の放課後は、ここに必ず来てね!」
コタロウか。気に入った。できれば、あたしと同じ水たまり人間だったらよかったのにな。
次の日、あたしは花占いをした。
花占いを始めようとすると、聞きなれた声が聞こえた。
「さよりん、来たよ」
ビクッ。
「コタロウ?あ!来た来た!もう、遅すぎー!!」
「ごめん、何してたの?何かしてたよね」
「え?ああ、花占いだよ」
「何占ってたの?」
しつこい。何コイツ。あたしの占いなんかどうでもいいじゃん。
あたしはコタロウに舌を出した。
「コタロウには、ぜ——ったい教えてあげない!」
コタロウは当然驚いた。
「何で!?教えてよ!いいじゃん、別に教えてくれても」
「だめ!!」
絶対教えてあげない。だって、あたしが占ってたのは———…
『あたしとコタロウ、毎日、ここで会える?会えない?』
だから。
コタロウが家に帰ったあと、続きをした。
まぁ、単なる占いだけどさ、たぶん当たると思うし。
お願い、『会える』で終わって…!!
そう願いながら右手で花びらを一枚一枚ちぎっていく。
「会える…会えない…会える…会えない…」
そうして、最後にちぎれたその言葉は———…
ア・エ・ナ・イ
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.5 )
- 日時: 2014/12/23 20:32
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
四
はあああぁぁぁ。
最近になって2回目のため息。なんだよ、あの女子達は。
おれの初恋の子を聞いてただ「ふーん」なだけだろ。
さより———ん…。
秘密基地にまたもや走った。初恋の子に会うんだ。
「!!?」
秘密基地に何かある。何これ?ショ…ショベルカー…?
これから何するんだろう。まさか…
「さよりん!!」
「コ…コタロウ!?」
水たまりにいつも通りさよりんがいた。しかし、泣いていた。
「何これ…これから何するの!?」
さよりんはなきじゃくっている。
「コタ…ロウ。痛いよぉ。ここ工事するんだって。家が…建つんだって…」
「はぁ!?」
マジかよ。こんな場所に家が建ったら水たまりができなくなる。
「さよりん、別の水たまりに移動できないの??」
「できないよ…水たまりと水たまりはつながってないもん」
「嘘だろ…!?そんな急な…さよりんはこれからどうなるんだよ!?」
さよりんはさらに泣きじゃくった。
「あたし…居場所がなくなって消えるよぉ…」
おれは唇をかんだ。さよりんが消えたらおれは何をしたらいいんだ。
初恋の子が消えたらおれは———…!!
「泣くな…!どうにかなる!!」
「だ…って…」
おれは工事の爺の手をつかんだ。
「すみません!ここに建つ家、ここの水たまりを避けることはできませんか!?」
その爺はビックリしておれを見て言った。
「無理さ…だってこの水たまり、ここのど真ん中にある」
「お願いです!!何とか避けてください!」
「なあに、水たまりたった1つにこだわってんのさ」
爺は笑った。ムカつく。人の命がかかってるのに。おれの初恋の人の…
「お願いします!!おれにできることは何でもします!!だから、お願い…!!」
「コタロウ、起きて」
その声に起こされ、起き上がる。ここ、どこ…?
「さよりん?」
「そーだよ!!」
「うわあぁ!!!」
おれはいきなり飛び上がった。だって、さよりんが目の前にいたから。
「なんで、水たまりは…?」
そうだよ。なんでおれと同じ大きさになって、普通におれの目の前にいるんだよ。
さよりんは首を振った。
「これは、あたしの最後の力でコタロウとあたしが見ている夢。幻。」
「まぼろ……あっ。さよりん、水たまりは無事!?」
「ううん。コタロウとあたしがこの幻から現実に帰った時には家が完成してる」
さよりんが斜め下を見て元気なさそうに言った。
さよりんって何者なんだろう。でも、今は正直そんなのどうでもよかった。
そして、いきなり元気になった。
「だから!コタロウとあたしの最後の最後のコミュニケーションタイム!」
おれも元気になった。
「…うん!!」
いっぱいさよりんとここで遊ぶんだ。いっぱい。いっぱい。
永遠の思い出になれるように———…
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.6 )
- 日時: 2014/12/23 20:54
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
五
ア・エ・ナ・イ———…。
その言葉はあたしを貫いて突き刺さった。
でも、この占いははずれるんじゃない?大丈夫だよ。
そう思ってたけど———…
「いたっ!!?」
目覚めると、変な感じの爺の足?
「ちょっと、何あたしを踏んづけてんの!?」
あたしは爺に向かって怒鳴った。だけど爺は返事をしない。
少し耳を澄ますと…何、工事の音!!?そこに、2人か3人の似たような爺の話し声が聞こえた。
「でもさぁ。いいよねぇ。こんなすぐそこに公園がある場所に家なんて」
「うんうん。ここなんて、ただこんな水たまりが1つポツンとあるだけの場所だもんね」
「水たまりも消せるし、公園は近いし、眺めもよさそうだし、ここに住めば一石三鳥じゃね?」
その声を聞いた瞬間、体の震えが止まらなかった。
『水たまりも消せるし』の『水たまり』って、あたしのいる、この水たまり!?
嫌だ。嫌だ。コタロウ…!!
<ア・エ・ナ・イ>ってこの事だったのか。どうしよう。あたし、消えちゃう…!
ハラハラしているうちに時が経って、コタロウが走ってきた。
「さよりん!!」
「コ…コタロウ!?」
「何これ…これから何するの!?」
あたしは泣きじゃくった。もう、これがコタロウに会えるのも最後なんだ。
「コタ…ロウ。痛いよぉ。ここ工事するんだって。家が…建つんだって…」
「はぁ!?」
あたしはさらに泣きじゃくった。嫌だよ、コタロウなんて初めての友達。初めての初恋の人だ。
「さよりん、別の水たまりに移動できないの??」
無理だ。だって水たまりは雨が降った後にランダムにできるのだから。
「できないよ…水たまりと水たまりはつながってないもん」
「嘘だろ…!?そんな急な…さよりんはこれからどうなるんだよ!?」
「居場所がなくなって消えるよぉ…」
コタロウがあたしに一歩近づいた。ああ。ずっとそばにいたいコタロウ。
「なくな…!どうにかなる!!」
「だ…って…」
そして、コタロウはそこの爺の手をつかんで、何やら色々もめていた。
少しだけそのもめる声が聞こえる。でも、聞きたくなかった。
こうなったら、もう、これしかない。お母さんから教えてもらった、この魔法で。
コタロウの頬を叩く。ここはあたしとコタロウだけの世界だ。
「コタロウ、起きて」
そしてコタロウが起き上がった。
「さよりん?」
あたしは少し驚かす気持ちで、
「そーだよ!!」
「うわあぁ!!!」
バカ。『そーだよ!!』だけであんなに驚いて飛び跳ねるなんて。
「なんで、水たまりは…?」
あたしは色々テキトーに説明した。一刻も早くコタロウと遊びたいから。
「だから!コタロウとあたしの最後の最後のコミュニケーションタイム!」
「…うん!!」
よかった。コタロウが笑った。うん。大好きだよ。このコタロウの顔。
さあ、今からコタロウとの幸せな時間が始まるんだ。
そして、サヨナラもね———…
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.7 )
- 日時: 2014/12/24 15:20
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
六
アエナイってこの事だったんだね…
コタロウ、今まで本当にありがとう!あたしの事忘れないで…ずっとずっとコタロウの事見てるから…!!
その言葉だけが耳に入ると、おれは目を覚ました。
「あっ、コタロウ!起きた〜…よかった〜…」
………??
起き上がると、泥棒女子の2人がいた。
「コタロウ、何でここで寝てたの?うちら、あんたに嫌がらせしたから自殺したと思ったよ〜…」
「そんくらいで死ぬわけないだろ。っと……」
おれは歩いて家に帰ろうとした。その時、
「たぶんみんな、コタロウ心配してんじゃないかな、こんな5日間もここで寝てたの?」
「は?5日間も寝てないし、親くらいしか心配してないだろ?」
「え!?だって、コタロウ、5日間くらいずっと行方不明だったじゃん。先生も友達も心配してるよ」
———え?
おれが、5日間もずっと行方不明、だった———?
「コタロウ、本当によかった…!!探してたの、どこ行ってたの!?5日も…!!」
「母さん、本当にごめん」
おれは自覚ないからそれくらいしか謝れない。まさか、さよりんとの幻見てたら5日も経ってたなんてさ。
「本当に、これからは絶対こんなことにならないようにして…!!」
おれはテキトーに返事して、自分の部屋に入った。
おれの部屋は2階。窓からの景色が結構いい。
なんとなく秘密基地を見た。さよりんが言っていた通り、家が…
そうわかった瞬間、涙が零れた。窓際の勉強机に、ポタポタと落ちる。
悔しみの表情。悲しみの涙。残酷な思い出。
「さより……」
その時、声がした。
『コタロウ、大丈夫?でも、もうあたしがいなくたっても大丈夫だよね。あたし、ずっとコタロウを見てるよ』
「しゃ……さよ…りん…」
どこから聞こえたのだろう。その声は。確かに何度も聞いたことがある可愛い声。
…さよりんだ。
そうだよね。泥棒女子の2人も反省してくれた。これも全部さよりんのおかげだ。
今までずっと、さよりんに支えられてきたんだ。
もう、大丈夫。
もう、おれに怖いものなんてない。
さよりんがいないのはすごく悲しい出来事だけど、ずっとさよりんに見てもらってるんだ。
おれは、独りじゃなかったんだね…
さよりん、本当にありがとう。
『さよりん、本当にありがとう———…』
- どうぶつの森 ホヒンダ村だより 雨のち*you*水たまり ( No.8 )
- 日時: 2014/12/24 15:34
- 名前: ほたるん (ID: fPGGnj/v)
エピローグ
窓からの風が透き通る。
心地よい朝。心地よい風。心地よい毎日。
「いってきます…!」
おれは独りじゃない。だって、さよりんがいつも見てるから。見守ってくれているから。
それだけでおれはすごく嬉しいんだ。初恋の子に見られているし。
さよりんはいつでもおれの事を第一に考えてくれた、たった1人の女の子だ。
———大好きな子。これは、永遠に変わらない。
学校に着くと、
「ねえねえコタロウの好きな人って…まさか」
泥棒女子の1人がおれの席の隣に座っていた女子を指さした。
「違うよ。おれの好きな人はお前らは会えないから」
「え!?どういうこと!?コタロウだけに会えるってこと?」
「そういうわけじゃないけど…」
あーあ。とうとうコイツらも泥棒女子からおませ女子になっちゃった。
諦め悪いな。もうやめてほしい。
放課後、なんとなく水たまりの上に建った家の前まで来てみた。
結構立派な家だな。じゃあ帰ろ。
『来てくれてありがとう。今日も1日学校頑張ったね。楽しかった?』
「うん、さよりん。」
『時々こうやってしゃべってあげるから、毎日頑張って!それじゃっ!!』
たちまちその声はおれの心を元気にする。
消えちゃったけど、相変わらずの元気でよかった。
さあ、これからも人生頑張らなくちゃな。だから…
おれの事、ずっと見ていてね、さよりん!
(Fin)
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