二次創作小説(紙ほか)
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- 東方探偵屋 〜Next stage〜
- 日時: 2016/09/15 01:48
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: 4olN.zSL)
- プロフ: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=645
名も無き探偵が帰ってきた。
これから始まるは不思議な話。
探偵屋は今日も人里に……。
※注意※
・東方探偵屋の続編です。
・オリキャラ出てきます。
・文才は無いです(涙)
そう、探偵は新しく進む。
最高の仲間と共に……幻想を。
〜追記〜
御感想等は上のURLで御願いします。
話の提案も此方で御願いします。
リメイクを中断します。
代わりに、続編を書きます。
理由は投稿速度の低下です。
御理解御願いします。
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.9 )
- 日時: 2016/10/12 00:22
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: Us9jS8ld)
第四章 探偵の休息
人里から離れた場所に、険しい階段が続く神社が存在する。途中の道も妖怪が彷徨いている。それはまさに…『道の怪』であった。そんな道を歩いてきた若者は、神社の階段を一段、また一段と登っていく。彼の目的は参拝なんかではない。幻想郷の美しき四季の変化を眺望することだった。
蓮「ふぅ、此処の階段は永遠に続く様な感じがして嫌ですね。」
階段を登り終えた若者の探偵…蓮は、鳥居に背を向け、幻想郷を一望できる景色を見た。季節は『秋』。旬な食べ物が多い季節であり、何よりも…この美しい紅葉が涼しさと共に、彼の中にある心をソッと癒してくれる。満足そうな表情をする蓮は、鳥居の方向に振り向き、自分を見つめる巫女に挨拶する。
蓮「暑い夏が終わりましたね、今年は遅めの秋ですかね…霊夢さん。」
ニッコリとした表情で、その巫女の名前を呼んだ。霊夢は少し微笑む。
霊夢「フフ…蓮は季節が変わる度に、此処の階段を必死に登ってくるのね。」
蓮「此処は幻想郷を一望できる…『唯一』の場所ですから。勿論、参拝も一緒にしますから、御安心を。」
霊夢「蓮は護られてるから平気よ。御賽銭は護られて欲しい人の願いを聞く場所よ。手を合わすだけで結構よ。」
彼女は何だかんだ言って優しい。蓮の気遣いを優しく受け取り、それを優しく返すのだ。霊夢の神社は決して、裕福な神社でもないし、信仰すら無い。蓮は信仰こそ、持っているが…今も苦し紛れの生活で暮らしているのだ。
蓮「ハハ…私は神様じゃなくて、霊夢さんに護って貰ってるみたいですね。」
互いに貧しい者だからこそ、心の中で通じるモノが存在する。両者も…『無料で誰かを助ける』ことが好きだ。蓮は霊夢に色々と助けて貰った、霊夢は蓮に大切なことを教えて貰った。二人は今までを助け合って…生きてきた。
霊夢「縁側で御茶でも飲む?」
彼女は少しだけ恥ずかしがりながら、蓮に聞いてきた。蓮は折角の休日を考え、彼女と貴重な時間を送ることを選んだ。蓮はパッと明るい表情で頷く。
蓮「勿論、戴きますね!」
霊夢「……そう、嬉しいわ。」
幸せそうな顔をする霊夢は、蓮に手招きをすると、縁側に向かっていく。二人は互いに過ごす時間を望んでいた。
ー探偵移動中ー
霊夢「それじゃあ、御茶を持ってくるから…少しだけ待っててね。」
蓮「はい、ゆっくりで大丈夫ですからね?火傷に気を付けてくださいね?」
彼女は「えぇ、大丈夫よ。」と答えると、御茶を煎れに行った。蓮は視界に映る木々を眺めていた。何だか心地好くなってくる……秋とは、こんなにも美しい季節だっただろうか?
?「本当に綺麗ですよね…しかし、妖怪の山の木々は更に美しいですよ。」
その声を聞いた蓮は、閉じた瞼をソッと開けた。其処には、彼の大切な妖怪が立っていた。犬耳の白髪、フサフサの尻尾をした妖怪は『白狼天狗』と言う種族の長。蓮は優しく微笑みながら、彼女の名を呼ぶ。
蓮「椛さん、お久しぶりです。」
ーContinued nextー
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.10 )
- 日時: 2016/11/02 09:17
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: OBZwk3oo)
第五章 新たな依頼
博麗神社の縁側で、仲良く話をしている蓮と椛。霊夢は二人の姿を遠くから黙って見ていた。
霊夢「…………。」
心の奥でモヤモヤする感情を抑え、二人の会話を盗み聞きする霊夢。この謎に満ちた感情の正体は…分かっている。だが、そうとは思いたくない。
?「姉上…どうしたの?」
霊夢に似た容姿の少女が話し掛ける。彼女は霊夢の妹である博麗 鈴(はくれい れい)。霊夢と同じく、妖怪退治が専門分野の巫女だが、感情などに敏感であり、最近までは『恐怖』に悩まされていた。しかし、そんな感情をも消してくれたのが……。
霊夢「鈴、冷めると勿体無いから…この御茶を飲みなさい。」
鈴「え……う、うん。」
まだ温かい御茶を受け取った鈴。彼女は味覚に集中する為、目を瞑って飲んだ。身体に駆け巡る温もり、四季の中で変わらずに保ち続けられる味を鈴は感じていた。霊夢は幸せそうな顔をする鈴の頭を優しく撫でる。
鈴「やっぱり、姉上の御茶は美味しいね。探偵さんも好んでたもんね!」
霊夢「……そうね。」
『探偵』という言葉に、敏感に反応してしまうのは…何故なのだろう?今でも、二人は縁側で仲良く話している。鈴は霊夢の表情を見て察した。
鈴「姉上…」
霊夢は撫でるのを止め、二人を静かに…悲しそうな表情で見ていた。鈴は自分の心に痛みを感じた。悲しい顔をする姉の姿は、とても見たくない姿であったのだ。霊夢は静かに話す。
霊夢「今日は蓮が…私と御茶を飲んでくれる日だった。でもね、良いのよ…蓮が幸せそうにしていたら。」
鈴は自分が飲む御茶が、誰の為に淹れられていた御茶なのかを……知った。悲しそうな表情を誤魔化す様に現れた笑顔。鈴は霊夢を見て、決心をする。
鈴「姉上、探偵さんは誰と居ても幸せそうな表情をしてくれる人だよ?」
霊夢「……え?」
鈴は温かい御茶を一気に飲む。そして、一息を吐いた後に笑顔で話す。
鈴「自分に自信を持って!姉上は優しくて、綺麗で、誰よりも正義感が強いよ!だから…勝手に諦めないでよ……。」
その言葉を聞いた霊夢は、どんなに泣きそうになったか……だが、それを堪えて、優しい微笑みを見せた。
霊夢「ねぇ、鈴なら知ってるでしょ?このモヤモヤした感情の正体を…。」
鈴「それは『嫉妬』だよ、気持ちを持つ者なら誰でも持っている感情なの。」
霊夢「『嫉妬』ねぇ……あら?」
彼女は蓮達の方を見る。すると、其処には…白黒の魔法使いが立っていた。ニッコリと笑う魔法使いは、蓮に話し掛けている。椛も一緒に聞いている。
鈴「あの人って……魔理沙さん?」
霊夢「えぇ、弾幕勝負好きの馬鹿で負けず嫌いだけど、誰よりも努力家な魔法使いよ。そして、私の古くからの親友でもあるのよ。」
彼女は蓮達の方へ歩いていく。鈴は霊夢に付いていく。少し温かい御茶を蓮は喜んで飲むだろうか?
ー探偵会話中ー
秋の美しき紅葉の下で、話をする白狼天狗と探偵。椛は相変わらずの蓮を見て、何処か安心していた。
蓮「そういえば…何故、椛さんは此方へ来たのでしょうか?」
椛「文さんに頼まれましてね、この新聞紙の記事を蓮さんに見て貰ってくださいという事でしたので。」
すると、椛は持っていた『文々。新聞』を蓮に見せた。そして、読んで欲しい記事を指で示す。蓮は示された場所を読んでみる。
蓮「『地底に隠された秘密!?何処かの洞窟に秘められし新しき世界!』ですか…これが何でしょうか?」
椛「『地底の洞窟』って聞いたら、この前の洞窟を思い出しませんか?」
蓮「あー、有りましたね…」
彼は記事を読み進める。すると、『見つけた者には…真実を暴く書物を提供します!』と書いてあった。
蓮「『真実を暴く書物』ですか?」
椛「この新聞紙を使って、文さんは遠回しに依頼してるんです。」
蓮「つまり、私に地底の洞窟を調査して欲しいという事でしょうか?」
椛「はい、文さんは無理に受け付けないでも大丈夫と言ってますが…どうしましょうかね?」
蓮「折角、椛さんと依頼を解決出来ると思ったのですが…少し残念です。」
椛「な、何を仰るんですか///」
彼の言葉を聞いた椛は、顔を赤らめて慌てた。そんな可愛い椛を見て、微笑んでいる蓮。彼は新聞紙を見終えると、紅葉を見ながら話した。
蓮「分かりました、文さんの依頼…是非、解決させてください!」
彼は椛に黒いカードを渡す。このカードは依頼者のデータを残すカードであり、文のカードとして…蓮の右腕の機械から生成されたのだ。
椛「はい、このカードも文さんに渡しておきますね……あ!それと、この依頼には他の方々も参加しますから…気を付けてくださいね。」
賞品である『真実を暴く書物』を狙い、様々な参加者が現れる。この書物は、百年に一度だけ作られる本であり、所有者の知りたいことを一つだけ…教えてくれるのだ。
蓮「……成る程、そのような凄さを持つ書物が在るとは凄いですね。」
椛「蓮さんも、誰かに譲るのは止した方が良いですよ。今回の書物は、自分の為だけじゃなく、『人の為』にも使える書物ですから。」
蓮「えぇ、勿論。今回だけは…誰にも譲るつもりは有りませんから、御安心してください…椛さん。」
地底で行われる謎の大会。既に調査している者も居るらしい。しかし、地底に行けるのは…『人間』。生身の人間は最初の『地底への穴』で死ぬだろう。
?「其処の探偵も参加するみたいだな…それじゃあ、私のライバルか。」
頭上から聞こえた声は、蓮達の目の前に降りてきた。其処には、金髪の白黒魔法使いが立っていた。蓮はジッと見る。
魔理沙「おっと、探偵とは初対面なんだぜ!私は霧雨 魔理沙だぜ!!」
蓮「魔理沙さん…ですか?」
話で聞いたことは有る。霊夢と並ぶ程の強さを持つ人間が居ると、それは魔法使いであり、負けず嫌いである金髪の少女……その名が魔理沙だった。
椛「まさか…魔理沙さんも……」
魔理沙「そのまさかだぜ!私も究極の魔法薬のレシピを知る為に、この大会に参加するんだぜ!!」
蓮「ほう、貴女ぐらいの賢者が相手になるとは…今回は険しい戦いです。」
魔理沙「私よりも斜め上の頭脳を持つ奴なら居るんだぜ!」
その一言を聞いた椛は目を見開いた。彼女を超える賢者とは…あの人間しか居なかった。
椛「……魔理沙さん、あの人までもが参加するのですか?」
魔理沙「あぁ、彼奴は『命令で動いてる』って感じだけどな。」
霊夢「さっきから騒がしいわね、何か異変でも起きたのかしら?」
三人の元に、霊夢と鈴が歩いてきた。霊夢は蓮に御茶を渡すと、魔理沙と椛の方を見て話した。
霊夢「それで…何の話かしら?」
二人は目を泳がせているが、博麗の巫女に嘘は通用しない。蓮は少しだけ温かい御茶を飲み、横に居る鈴に「美味しいです」と言い、優しく微笑んだ。
魔理沙「え、えーと……」
椛「正直に話しましょう、霊夢さんに嘘は通用しませんから。」
魔理沙は椛の意見を認めると、霊夢に先程からの話を明確に伝えた。意外にも、驚かずに聞いていた霊夢は、興味無さそうな顔をしていた。
霊夢「まぁ、蓮や私に魔理沙、あの従者に鈴ぐらいしか居ないわよね?実力が有る人間っていうのは。」
魔理沙「おっと、霊夢も参加するのか?それとも、お前のことだから…」
霊夢「えぇ、寒いから嫌よ。鈴も参加しないで大丈夫よね?」
鈴「うん、私も姉上と同じかな?」
椛「意外ですね、御二人とも参加しそうな気がしたのですが…。」
魔理沙「おっと、霊夢達が参加しないからって、大会の盛り上がりが消えるワケじゃないんだぜ!」
蓮&椛&鈴&霊夢「!」
彼女は驚く四人に、何かを企んだかのような笑みを浮かべて言った。
魔理沙「居るんだぜ…EX(エクストラ)プレイヤーが……それも人間のな。」
ーContinued nextー
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.11 )
- 日時: 2016/11/07 22:33
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: C6w70b2R)
第六章 裏切りは誰の為に
秋の紅葉が一面に見える妖怪の山。そんな場所に一人の少女が訪れる。彼女は妖怪の山の中腹辺りに存在する屋敷を目指していた。
ルナ「鴉天狗の中でも、優秀な情報量を持っている者…。」
魔法使いの雑な地図を便りにし、その屋敷の前まで歩いてきたルナ。彼女は屋敷に足を踏み入れようとするが…。
?「あやややや!?其処に立っている貴女は何者でしょうか!?」
前方に現れる鴉天狗。その独特な口癖は魔理沙の言った通り。蓮達の頃と同様に巻き起こる砂煙。しかし、彼女は全く動じなかった。
ルナ「ほう、幻想郷で最速の妖怪が貴女ですね…射命丸様。」
彼女の言葉を聞き、少しだけ眉を上げた鴉天狗……射命丸 文(しゃめいまる あや)は嫌な笑みを浮かべて返事する。
文「貴女が知っている私は、『情報屋』としての私ですかねぇ?」
ルナ「……そうだとしたら?」
彼女の問いに返事しない文は、屋敷の扉を開ける。そして、横目で彼女を見た文は……妖怪としての『瞳』を紅く光らして答えた。
文「まぁ、用が有るのなら…ゆっくりと聞きましょうか、暗殺者さん。」
ルナ「……!」
少しだけ驚きを見せるルナ。ルナは文が地下街で目撃されている事を知っており、文はルナの職業を知っている。互いに切り札の一枚を隠し持ったまま、『話』という名の戦いが始まる。
ー少女移動中ー
ルナが案内されたのは、蓮達が来た時に案内される茶の間。彼女はルナの目的を知っていながら、『客』としては扱ってくれているようだった。
文「それで…こんな険しい山道を歩いてまで、私に会いたかった理由は?」
畳に座る文は、いつの間にか持ってきた御茶を木製の台の上に置く。そして、少しだけ微笑みながら聞いた。
ルナ「地下街の妖怪の立ち入りは禁じられております。今更、とぼける必要など御座いません。射命丸様の目撃情報は写真として…有りますから。」
刹那、ルナのポケットから…十枚近くの写真が出てくる。彼女は写真を台の上に扇を作るように並べた。文は手に取らずに、数秒で全てを確認する。
文「貴女の法を破ってる私を知ってるハズなのに、どうして見逃すのですかねぇ…スクープが怖いのですか?」
ルナ「『スクープ』など怖くないですよ。怖いのは『スクープ』ではなく『噂』ですよ…生きる者が話す噂。」
人差し指を立てたルナは、文の脅迫に近い言葉にも動じずに話す。文も油断はしていない。互いに…一瞬の隙を見せたつもりは無かった。
文「安心してください、スクープが無ければ…噂は現れませんよ。貴女みたいな暗殺者が居るのですからねぇ。」
ルナ「暗殺者の職業は自由業です。殺りたくて殺るワケでは無いのです。ただ、掟を破る者に罰を下さないと駄目なので…こうして、殺るのです。」
文「おぉ、怖い怖い。しかし、そんな火種に成りかねない私を放置する理由は何故なのでしょうか?」
彼女はルナの目的を少しずつと話させようとする。彼女が自分を殺さない理由、それは分かっている。
ルナ「交渉……しませんか?」
文「……はて、何の交渉やら。」
ルナ「貴女のスクープに、私の言う通りの内容を記して戴き、ソレを鍵宮 蓮様の場所に持っていくのです。」
文「記事の内容は『地下街の存在』について…ですか。蓮さんを彼処の洞窟で始末するつもりでしょうか?」
文は人間よりも賢い。ルナの計画を全て見抜いていた。しかし、ルナは先程の様に動じず、寧ろ笑っていた。
ルナ「えぇ、始末は考えてますが…それなりの報酬は有りますよ?」
文「報酬……?」
ルナ「椛様の始末を無効にし、貴女の知りたい地下街の情報を提供…そして、射命丸様が地下街を自由に出入りする事を認めましょう。」
刹那、ルナの首を文が掴んだ。転げ落ちた御茶は畳に染みている。ルナは文の額に拳銃の銃口を突き付けている。一秒経過すれば…殺し合いになっても可笑しくはない状況であった。
文「それは脅迫ですよ、椛を殺すのなら…先に貴女を始末しましょう。」
ルナ「椛様、今は魔理沙さんと一緒らしいですよ……そう、今は。」
文「……ッ!?」
彼女は手の力を抜いた。だが、ルナを睨む瞳は変わらない。ルナは文に向けた拳銃を仕舞うと、機械を見せる。
ルナ「香霖堂という雑貨屋で手に入れましてね、これは『通信機』と言うらしくて、遠くに居る相手に通話する事が出来る機械なんですよ。」
文「明るく、正義感の強い魔理沙さんが敵だと言いたいのですか?」
彼女は通信機を操作すると、文に渡した。文は自分の耳に通信機を付ける。砂嵐のような雑音が終わると、其処から声が聞こえた。
魔理沙「よっ、お前が信用している魔理沙さんだぜ!今は椛と一緒だぜ!」
文「……そんな………!?」
文の考えを超越したルナ。彼女は犬走 椛が蓮と共に居たことも把握済み。彼女は切り札の一枚を超える切り札を隠し持っていたのだ。
ルナ「貸してください。」
文から通信機を取ったルナは、相手の魔理沙と普通に会話をする。暫くして、通話を終えたルナが文を見た。
ルナ「憎むのなら、地底の掟を破った蓮様を憎んだら良いのでは?」
文「蓮さんを…憎む?」
ルナ「貴女の返事はYESでしょう。そんなに、仲間の命を軽々と捨てる方ではないハズですよ…射命丸様は。」
文「椛を守ったとして、蓮さんが殺されるのは納得が行かないですね…。」
文の仲間思いな気持ちを聞いたルナは、クスクスと笑いながら答えた。
ルナ「殺すか殺さないかは後で決めると言いましたよ?流石の貴女でも分かりますよね…二人が助かる道を。」
文「…………。」
彼女は文の胸に紙を付ける。其処には、新聞の記事の内容が細かくと書いてあった。ルナは去り際に一言、文に言った。
ルナ「その記事の内容は全てが本物ですからね…その『書物』も。」
独りになった茶の間で、文は座り込んだ。そして、自分に言い聞かせる。
文「蓮さんも、こうしますよね?」
彼女は新聞の記事を書くことにした。荒れた茶の間を後にし、作業部屋に向かっていった。
ー天狗作業中ー
椛「文さーん!!」
元気な声を出しながら、屋敷に戻ってきた椛。彼女は玄関から、大声で文の名前を呼んでいた。
文「おや、お帰りなさい…椛。」
何時もの文と変わって、何処か穏やかな文に違和感を覚えるが、彼女に話したい内容を言おうとする。
椛「実は先程、魔理沙さんに会いましてね…蓮さんが博麗神社に居るって聞いたんですよ〜!それで…あの…。」
文「『会いたい』…のね。会うんだったら、コレを渡してくれない?」
そんな文が見せたのは…『文々。新聞』であった。椛は不思議な顔をしたが、頷きと同時に受け取った。
椛「これを蓮さんに?」
文「えぇ、『依頼』として読んで貰って。引き受けるか、引き受けないかは自由とも言っといて。」
椛「……はい、分かりました!それでは、久しぶりに会ってきますね!」
文「えぇ、道に気を付けなさい。」
彼女の言葉を聞いた椛は、手を振りながら出ていった。文は小さく呟く。
文「ごめんなさい……椛。」
ーContinued nextー
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.12 )
- 日時: 2016/11/17 20:21
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: B4WbnNk2)
第七章 探偵屋と情報屋
神社での休憩を終え、人里の大通りを歩く蓮は、先程の話を思い出した。霧雨 魔理沙…今回の競い相手の彼女が言っていた事が気になったのだ。
蓮(参加者は少ないハズ、私と魔理沙さんが話していた二人…他にも居るのだろうか………!?)
蓮は考えながら歩いていると、前から来た誰かと衝突してしまった。互いに座り込み、蓮は腰を触りながら謝る。
蓮「タタタ…あ!すみません!何処か怪我とかはなさってま……!?」
目の前で同じ様に座り込んでいたのは、蓮が見たことある探偵であった。彼女は頭を押さえながら、片目を瞑らせ、此方を見てきた。
ルナ「おや…貴方は何時かの……」
蓮「覚えてくださったんですね!そうですよ!私は貴女に助けて頂いた探偵屋の者です!いやぁ、ようやく会えましたね…これも何かの縁でしょう!あの時は本当にありがとうございます!」
随分と長いことを話しながら、ルナの手を優しく掴み、立ち上がるのを手伝う蓮。ルナは少しだけ焦った表情を浮かべ、横に視線を逸らしながら頷く。
ルナ「あの時は助けたいって思っただけですよ。貴方が御礼など言う必要が御座いません、大丈夫ですよ。」
彼女は優しい笑みを浮かべ、蓮の熱意に返答する。彼は御礼を言うだけでは不満だったのか、ルナの紅い瞳をジッと見ながら聞いてきた。
蓮「あの、近くに美味しいと評判の団子屋が在るんですよ……それで、宜しければなのですが…御一緒にどうでしょうか?其処で改めて御礼を…。」
ルナ「い…いえ、御礼など私には勿体無いことで御座います。どうか、御気持ちだけで受け取らせてくだ…」
グゥゥゥゥ……
大通りで鳴った腹の音、振り返る人々はルナを一直線で見ている。そして、蓮も何か言いたそうな顔をしていた。
ルナ「何も言わないでくださぃ…。」
涙目の彼女を見た人々は一瞬で視線を逸らし、足早にその場を去っていった。蓮も慌てた表情を浮かべていた。
蓮「……団子屋に行きましょうか。」
ー探偵移動中ー
団子屋の店内で、テーブルに顔を伏せるルナ。蓮は必死に彼女をフォローすることを考えていた。
蓮「誰にでも失敗って有りますよ…」
ルナ「…ハイ。」
蓮「あの、自己紹介が遅れましたね。私の名前は蓮と申します。近くに在る探偵屋で日々、誰かの助けを無償でやらせて頂いております。」
ルナは蓮の話を聞き、ピクリと反応した。そして、顔を蓮に向け…自分のことを話した。
ルナ「そうですか、生活の方は苦しそうですが、優しさは私よりも数倍有る探偵屋さんですね。」
蓮「…貴女は一体、その格好で何の職業をなさっている方なのでしょう?」
ルナ「この格好の通り、私は蓮様と似たような人助けをする仕事を営業しております。申し遅れました、名はルナと申します。」
蓮「ルナさん…ですか?」
ルナ「フフ、この名前は私が名付けた名前なのです。気が付けば、この世で孤独に生きていた者ですから…本当の名前も分かりませんね。」
サラッと語った過去。ルナは軽々と話していたが、内容は重々しい話であった。蓮は少しだけ黙って…ルナを見た。
ルナ「私を見るのには、何か理由が有っての事なのでしょう。ルナっていう名前も見抜かれましたし、次は…私の何を見抜くつもりでしょう?」
蓮「ルナさん、貴女は普通の人間の方なのでしょうか?それとも何か別の種族「へい!お待ちどお!」!?」
二人の前に置かれた団子、店主の声が蓮を遮っていた。ルナは蓮にもう一度、質問の内容を聞こうとしたが…。
蓮「ささ、美味しい団子が来ましたよ〜!ルナさんも食べてくださいね!」
ルナ「……はい!」
やはり、彼の心理が読めない。地霊殿の主なら簡単に読めるのに、そういった能力が無いと……彼の心理を読み取るのは難しかった。三色団子を食べる二人は笑っていた。
蓮「うーんっ!この味ですよ〜♪」
ルナ「ほう、こんなに美味しい食べ物が世の中には存在するのですね。」
蓮「とても気に入ってくれたみたいで嬉しいです!いやぁ、この後に地底へ向かったら…何を食べますかねぇ。」
刹那、ルナは目を見開いた。この瞬間で『地底』という単語が現れた。ルナは目の前に座って、団子を食べている者が疑わしき者であることを思い出す。
ルナ「地底ですか……。」
蓮「はい、毎度読ませて貰っている文々。新聞で面白い記事が有りましたから。興味本意でやろうかなと。」
ルナ「それでは、私のライバルになりますね…『探偵屋の蓮様』は。」
蓮「……と言いますと?」
三色団子を食べ終えたルナは、蓮に人差し指を出して話した。
ルナ「私も参加するのですよ。」
蓮「ほう、貴女が……。」
刹那、蓮の目が鋭くなった。ルナは何のことだか分からないが、この者が賢い探偵だとは分かった。彼女は席から立ち上がった。
ルナ「地底で会えたら、今度は私が御馳走させてくださいね?」
蓮「……えぇ、御願いします。」
鋭くなった目は優しい目に戻り、彼はニッコリと笑顔を見せてきた。その笑顔は誰かに似ていたが……この時は知る余地すら無かった。
ルナ「団子…美味しかったです。御馳走様でした…蓮様。」
蓮「御礼が出来て良かったです。地底では互いに相手ですね。」
ルナ「私達以外にも参加する方は居ますが…蓮様が『一番の強敵』でしょうね。手加減は致しませんから、どうか悪しからず…それでは。」
彼女は団子屋を出ていった。蓮は今の会話の中で、先程のモヤモヤが消えた。霧雨 魔理沙の言うEXプレイヤーはきっと……彼女の事だろう。
蓮「さて、どうしましょうか?」
ーContinued nextー
- Re: 東方探偵屋 〜Next stage〜 ( No.13 )
- 日時: 2016/12/23 06:35
- 名前: 暁 〜アカツキ〜 (ID: Q6O.mHsI)
第八章 偽りの裏切り
人里の大通りを歩くルナは、路地裏の道へと進んでいく。暗く狭い路地裏には、魔理沙が腕を組んで、壁に寄り掛かっていた。彼女はルナを横目で確認すると、呆れたかの様な表情を浮かべた。
魔理沙「終わった……みたいだな。」
ルナ「えぇ、待たせて申し訳ないです。やはり、私の考えていた通りの反応をしてくれました。少し…怪しまれましたかね?」
ルナは少し不安であった。あの探偵の観察眼は鋭い。恐らく、自分と同じ程の才能は持っているハズだ。しかし、対策はしてある。
魔理沙「その探偵が地底に行けば、咲夜や地下妖怪の連中で始末すれば良いんだぜ。私達には信頼の態度だったし……大丈夫じゃないか?」
ルナ「文さんの裏切りは想定済みですからね…蓮様には古明地家の妹様を尾行させてあります。蓮様は不思議な機械を通じて、黒いカードを作成する事が可能と聞いております。そのカードは……」
魔理沙「『連絡手段』だったな、彼奴の裏切りなんて大した事にならないんだぜ。椛を護る為に、蓮を売ったんだ。椛を使って助けには行かせないだろ?」
自慢気な顔で説明する魔理沙。ルナは彼女の賢さを知っている。そして、自分と同じように、情報を集めて緻密に作戦を計画する。
ルナ「あの書物も偽物ですからね、文さんは本物と伝えておきましたが…さて、此処から何をしてくるのでしょうか?」
魔理沙「ハハ、偽物の書物の話は阿求にも話してあるから大丈夫だ。もう、あの探偵に抵抗できる手段なんか無いんだぜ!」
ニッコリと笑う魔理沙。ルナも少し微笑んだ。二人の予想は見事に的中するのだろうか?それか…探偵屋の賢さが上回るのか。
ー探偵移動中ー
ガチャン…
蓮は探偵屋の扉を開ける。そして、自分の腕を見る。其処には何も装着されていなかった。黒いカードを椛に渡しておいたが、機械が破損している間は会話が出来ないのだ。しかし、彼は破損した機械の事など考えていない。
蓮「『地底』……ですか。」
回転椅子に座り、作業台の引き出しから機械を取り出す。その機械は壊れてはいなかった。実は、彼の腕に付けてある機械の能力として、自己修理が出来るようになっているのだ。勿論、蓮が修理しないと壊れたままだが。
蓮「色々と思い出しますね…。」
地底での出来事は覚えている。太子様…いや、豊聡耳 神子を助けた時に一度だけ行った。その記憶は新しく、椛と共同で異変解決を果たした。蓮は、椛と一緒に色々な困難を乗り越えた事を思い出していた。
蓮「最近は一緒じゃないなぁ。」
背もたれに寄り掛かる蓮は、天井を見た。久しぶりに会った椛は何処か成長していて…ちっぽけな自分よりも大人であった。
?「お兄さん、大丈夫?」
静かな部屋に響く子供の声。蓮は前方を見直す。すると、不思議な少女が其処に立っていた。白髪に帽子を被った少女は、蓮を見て微笑んだ。
ー白狼移動中ー
妖怪の山に在る屋敷に帰ってきた椛。玄関の扉を開けると、大声で文の名前を呼ぶと同時に、帰ってきた事を伝えた。
文「もう帰ってきたの?」
椛「はい、久しぶりに会いましたが…相変わらずの方でした。蓮さんと一緒に紅葉を見ていたんです。楽しかったなぁ。」
思い出話を沢山話す椛は、茶の間まで歩いていく。
文「それは良かったじゃない。きっと、蓮さんも喜んでくれてると思うわ。椛に久しぶりに会えたんだから。」
椛は頬を赤くして喜んでいる。文は彼女を見て…罪悪感に包まれる。しかし、その感情は表には出さない。
椛「あ!蓮さんに伝えときましたよ?」
文「そう…お疲れ様。」
だが、表に出るに決まっている。完全に蓮を殺そうとしているのだから。しかし、次に椛が話した言葉で表情が変わった。
椛「あと、蓮さんから黒いカードを頂きました。文さんが使うカードと言ってましたよ?」
文「!?」
彼女は椛から黒いカードを受け取ると、椛の時と同様に念を込める。今すぐに伝えなければ…蓮が危ない。
文「……何故?」
しかし、希望は絶たれる。その行動は蓮の側に居る者によって…完全に無効となっているのだ。それを分からぬ文は…最悪な結末を想像する。
文「椛、今度は貴女が留守番よッ!?」
椛「え!?ちょっと!文さん!?」
焦りの表情を浮かべた文は、高速で屋敷から出ていく。彼女が真っ先に進んでいくのは…『地底』であった。
文(掟を破ってでも…助けなければッ!)
ーContinued nextー
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