二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【銀魂】佐多くんは今日も能天気 / 祭り篇 \
日時: 2016/11/12 19:42
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: kRzIGuhz)

「れんあい系とかじゃないからね?( ^ω^` )」














※この作品では感情表記の為に顔文字を使用することがあります。
※小説というより別モノです。
※荒らしや誹謗中傷はお断りします。
※お手柔らかにお願いします(´・ω・`)




















【 佐多くんは今日も能天気 】




■目次

佐多くんは今日も能天気/プロローグ >>001

佐多くん/プロフィール>>002

■本編

一.佐多くんはニートを卒業します >>003/>>004/>>005

\祭り篇/

二.佐多くんはお祭りに行きます【前篇】>>006/>>007/>>008
三.佐多くんはお祭りに行きます【後篇】>>009




Re: 佐多くんは今日も能天気 【銀魂】 ( No.5 )
日時: 2016/10/31 07:40
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: kRzIGuhz)

__________とまぁ、そんなこんなで佐多は万事屋で働かせてもらえることになったのだった。

正直これまでニートだった男に、誰も期待などしていなかった。
しかしこの男、掃除をさせればチリ一つ残らない、買い物に行かせれば他の誰も気づいていなかった不足品も買ってくる、料理は銀時以上にうまいと、なかなかにハイスペックであった。それらの仕事を終えるとどこででも寝てしまうというのはいただけないのだが。


一悶着あったのち、神楽に酢昆布を買ってこいと追い出された佐多は、のんびりと駄菓子屋に向かっていた。


(いや〜日差しが気持ちいいな〜。帰りに少し寝て帰ろうかな〜)


……ここまで能天気だと、いつか神楽に殺されるのではないだろうか。

酢昆布を買った佐多は、反省の意もこめて、早く帰ることに決めた。
ふと前を見ると、重そうな荷物を両手に持っているおばあさんがいる。スーパーの帰り道だろうか。


「あの、持ちますよ」

「え?ああ、いいのかい?ちょいと買い過ぎちまってねぇ」

「かまいませんよ」


佐多はそのおばあさんが持っていた荷物を両方引き受けた。が、


(え、重い)


これがもやしと呼ばれてしまう所以だろうか。
佐多はここで負けてはなんだと、顔に笑顔をはりつけたまま歩き始めた。


「すまないね。家はもうすぐなんだ、頼んだよ」

「(^v^)」

「ふっ、余裕そうだねぇ?あんたみたいな若者はちゃんとまだいるんだね」


言葉を返す余裕もないほど限界な佐多である。

しばらく歩いていると、万事屋が見えてきた。
どうやらご近所さんらしい。と思ったのも束の間、おばあさんは万事屋の下にあるスナックの扉を開けた。


「ここだよ。ありがとうね、助かったよ。あんたどこに住んでいるんだい?ここから遠いなら、悪いことしちまったねぇ」

「あ、僕、上の万事屋さんに住んでいます」

「……ん?なんだってェ?」


明らかに相手の表情が変わったので、佐多も思わず笑顔のまま硬直した。
まるで蛇に睨まれた蛙だ。しかしなんとか佐多がもう一度同じことを説明すると、その人は頭を抱えた。


「そうかいそうかい。あの腐れ天パ、あたしに何も相談なくねぇ……。どうせなんとか誤魔化し続けて、家賃をこれまでのままにしようとかいう魂胆なんだろうけどねェ……そうはいかないよ……」

(あ、コレあかんやつや)


どうやら大きな地雷を踏んでしまったらしい。
ぎっと睨まれて、佐多は思わず背筋をのばした。


「アンタ、名前は?」

「さっ佐多です!佐多とお呼びください!」

「それは苗字かい?名前はなんだい?」

「そこはシークレットといいますか」

「なんだいそりゃ。おかしな奴だねぇ。あたしはお登勢だ。銀時とはまあ、ちょっとした仲でね。とにかくあたしゃ万事屋の大家みたいなもんさ」

「そうだったんですか。挨拶が遅れて申し訳ないです」

「いいよ。どうせあの馬鹿、何もいわなかったんだろう?」


佐多がうやむやに笑うと、お登勢は大きな溜息をついて、スナックを出て行った。
佐多が慌てて後を追いかけようとスナックを出た瞬間、万事屋から銀時の悲鳴が聞こえてきた。


「違うんだって!!違うんだってババア!!いやあの、アレだよ!!言うタイミングを逃したっつーか!!うん!!」

「言い訳してんじゃねェェェェ」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


銀時が上から降ってきて、ぐしゃっと地面に叩きつけられた。
おそらくお登勢に投げられたのだろう。ご愁傷様というか、なんというか。


「…………早く神楽サマに酢昆布渡さないと」


あえてのスルーを決め込んだ佐多が一歩踏み出すも、血まみれの手がその足を強く掴んだ。
恐る恐る佐多が下を見ると、そこには血まみれの銀時くん。


「佐多ァァ………てめえのせいだァ……」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


……またまだ佐多くんの万事屋ライフは始まったばかりだ。


Re: 佐多くんは今日も能天気 【銀魂】 ( No.6 )
日時: 2016/11/09 21:30
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: kRzIGuhz)

「オイ佐多、初仕事だ」

「んぁ…マジですか」

「お前今また寝てたよね」


■ 二.佐多くんはお祭りに行きます【前篇】


「コラぁぁぁ!クソジジイぃぃぃ!平賀テメッ、出て来いコノヤロォォォ!!」

「てめーはどれだけ近所の皆様に迷惑かけてるかわかってんのかァァ!」

「昼夜問わずガシャコンガシャコン!ガシャコン戦士かてめーはコノヤロー!!」

「ガシャコン戦士ってなんですか」


これは初仕事と呼べるのだろうか。答えはおそらくノーだろう。

佐多含む万事屋一行は、お登勢達かぶき町ばば…レディー集団に引き連れられて、昼夜問わず騒音をたてるため非常に迷惑とされている男のいる家の前にやってきていた。
なんでもその男は発明家らしいのだが、それにしてもご近所様に騒音迷惑をかけすぎているそうだ。今回は騒音をやめさせることが目的らしいが、仕事というよりはただの雑用のようなものだ。


「おいヤローども、やっちまいな!」


お登勢がそういうと、音楽機器を抱えた佐多達が前に出て、何かの準備を始めた。そして準備を終えたのか、マイクをもった新八が胸をはってまた前に出た。


「一番、新宿から来ました、志村新八です。よろしくお願いします」


その瞬間爆音で音楽が流れ始め、それにあわせて新八も歌い始めた。その歌声も大きいかつ音痴だ。動物も失神しそうなほどの音痴だ。
銀時と神楽はもちろん、佐多やお登勢達も慌てて耳を塞いだ。とうの新八はとても気持ちよさそうに歌っている。


「おいィィィ!てめっ何してんだコラ!私は騒音止めてくれって言ったんだよ!なんだコレ?増してるじゃねーか!二つの騒音がハーモニー奏でてるじゃねーか!!」

「いじめっこ黙らすには同じよーにいじめんのが一番だ。殴られたこともない奴は人の痛みなんてわかりゃしねーんだよ」

「わかってねーのはお前だァ!こっちゃ鼓膜破れそーなんだよ!」

「でも見てババア、佐多寝てる」

「佐多ァァァ!!しかもちゃんと耳塞いだまま寝てるし!!鼻ちょうちん出てるし!!どんな神経してんだアイツはァァァ!!」


その時だった。しめきられていたシャッターがガラリと開き、家の中から巨大なロボットが出て来た。一行は驚きで硬直し、自分たちの三倍以上あるであろうロボットを見上げた。


「……え?え?これが平賀サン?」


と銀時が馬鹿なことを言ったのもつかの間、ロボットに頭を鷲掴みにされて宙ぶらりんにされている。お登勢と共に来ていたかぶき町のレディー集団は、それを見て慌てて逃げていった。


「いだだだだだっ頭とれる!!頭とれるって平賀サン!!」

「止めろォォ平賀サン!!」

「そのままいっちゃってください平賀サン」

「平賀サンンンン」

「あだだだだっやばい!!ヤバイってこれマジ頭とれるぅぅ!!つか佐多ァてめえ起きて早々嫌な事言ってんじゃねェェェ!!」


「たわけ、平賀は俺だ」


家の中から出て来たのは、今度こそ人間だった。頭はお情け程度に髪がはえており、あごひげをたくわえている。服は作業着で、スパナを所持しているようだ。


「人んちの前でギャーギャー騒ぎやがって、クソガキども!少しは近所の迷惑を考えんかァァァ!!」

「盛大なブーメランを投げましたね」

「そりゃテメーだクソジジイ!!てめーの奏でる騒音のおかげで近所のやつはみんなガシャコンノイローゼなんだよ!!」

「ガシャコンなんて騒音かなでた覚えはねェ!ガシャッウィーンガッシャンだ!!!」

「いやなんでもよくないですか」

「佐多、そっとしといてやれヨ」


お登勢と平賀による口論はおさまることなく続いている。平賀は実力行使に出ようと、己の作ったロボットに命令した。


「オイ三郎!かまうこたぁねェ、力ずくでこいつら追い出せ!!」

『御意』


巨大なロボットは頷き、次いで手をぶんと振り上げた。その手にはまだ銀時が捕まっている。
そして手を振り上げた先には、平賀がいる。


(あ、それストライクするパターンのやつ)


佐多が心の中で思ったのも束の間、投げ飛ばされた銀時は平賀と激突し、吐血しながら二人とも吹っ飛んでいった。

Re: 【銀魂】佐多くんは今日も能天気 / 祭り篇 \ ( No.7 )
日時: 2016/11/04 23:21
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: kRzIGuhz)


______________________________
____________________
__________


「うわ〜カラクリの山だ。これ全部平賀サンがつくったんですか?」


勝手に引っ越しの準備を始めるため平賀のラボ内に入った一同は、そのロボットの多さに驚かされた。
四方どこを見てもロボットだ。完成されているものから、作成途中のものまで、いろいろある。
柱にくくりつけられている平賀は猛抗議をしているが、佐多達はおかまいなしだ。


「オイ佐多、サボってないでとっととこのカラクリ運べヨ」

「いやぁちょっと肩の調子が悪くてですね〜」

「アレアルか、もやしすぎてこんな軽いロボットも運べないアルか。ププッ、だっせぇ〜こいつだっせぇ〜」

「純度100パーセントのウザさですね」


寧ろこんなに重いものを軽々と運べている神楽の方がおかしいのだが。

そんなこんなでなんとか平賀のお引越しが完了した。
河川敷にガラクタ同然に積み上げられた、平賀によって開発されたロボット達。そのまま運ぶつもりだったのが、なんやかんやでほとんどバラバラになっている。


「これでよし、と。ここなら幾ら騒いでも大丈夫だろ。好きなだけやりな」

「好きなだけってお前…みんなバラバラなんですけど…なんてことしてくれたんだテメーら」

「大丈夫だヨ、三郎は無事アル」

『御意』

「御意じゃねーよ!!あ゛あ゛あ゛どーすんだ!これじゃ祭りに間に合わねーよ!!」

「祭り?」


平賀曰く、三日後に鎖国解禁二十周年の祭典がターミナルで行われるそうだ。そこには将軍も参加するらしく、平賀はお上からカラクリ芸を披露するよう命令されているらしい。


「それってアレですよね、間に合わなかったら……」

「切腹もんだ。どーしてくれんだ」

「……」

「あ、ヤベ。カレー煮込んでたの忘れてた」

「てことで解散でーーーす」

「オイぃぃぃぃ!!待ちやがれテメーらァァァ!!!」


一斉に帰宅していった銀時や佐多達の背中に向かって、平賀は必死に叫んだ。が、奴らに何をいっても無駄である。
平賀が一人頭を抱え込む中、佐多達はおかまいなしに歩いていた。


「で、本当にこのまま放っておくんですか?冷血ですかほんとに人間ですか」

「一緒に帰ってきてるテメーが言うな脳内スッカラカン!!」

「でも銀さん、本当にどうしますか?僕らが手伝わないと、平賀サン首とんじゃいますよ」

「三郎もピンチアル」

「……ったくしょーがねぇなぁ、とりあえず戻ってやるか」

「あ、すみません、僕このあと友達と会う予定があるのでお先に帰りますね」

「オメーがなんやかんやで一番ひでーやつだよ!!!」

「ていうか佐多さん友達いたんですね……!」

「新八さんそれ失礼じゃないですか?」

Re: 【銀魂】佐多くんは今日も能天気 / 祭り篇 \ ( No.8 )
日時: 2016/11/09 11:22
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: kRzIGuhz)


______祭り当日

町の住民達が祭りの会場へと向かう中、佐多達は平賀のロボット修復を手伝っていた。
カラクリ芸を将軍達に披露するのは夜からのようで、このままのペースならなんとか間に合うかもしれない。


「んー、疲れてきました。少し寝てきますね〜」

「じゃねぇだろォォ!!何自然に抜けようとしてんだてめーはァァ!!」

「僕もう疲れましたよ銀ラッシュ……」

「誰が銀ラッシュだコラ」

「おいもやし坊主ゥ!サボってんじゃねぇぞ!」

「誰がもやし坊主ですか。ていうか見てくださいよ、神楽サマだってドロドロなままごとしてますよ」

「何してんだァァァァァァァ!!!!」




______________________________
____________________
__________





「なんとか間に合いましたね」


日も暮れてきた頃、ようやく修復作業が終了した。
ところどころ問題はあるようだが、将軍の前でカラクリ芸を披露するにはなんの問題もないらしい。ようやくの解放感に、佐多は大きく息を吐いた。


「いや〜やっと終わりましたね〜」

「お前さっき寝てたダロ。何一番働きましたヅラしてんだヨ」

「ドロドロなままごとしてた人が何言いますか」

「んだとコラァ!!ままごとなめんじゃねーゾこのもやしィ!!」

「ウルセェてめーらァァ!!……ほらよ」


平賀がポイと何かを銀時に投げた。
何かと見れば、それは大きな巾着袋だった。中からはじゃらじゃらと音がしている。


「最後のメンテナンスがあんだよ。邪魔だから祭りでもどこでもいってこい」

「!」

「ありがとう、平賀サン!!」

「銀ちゃん、早く早く!佐多ァ!てめーは私の荷物持ちアル!!」

「平賀さんありがとうございます!!」

「華麗にスルーしてんじゃねェヨ!」


脱兎のごとく走って行く四人の背中を見送り、平賀はやれやれと息をつき、最終のメンテナンスにあたり始めた。

________その背中を見つめる者が、ひとり。



______________________________
____________________
__________


佐多「⊂((・x・))⊃って顔文字好きですよね」

いや、別に好きではない。⊂((・x・))⊃

佐多「言葉と行動を一致させてください」


Re: 【銀魂】佐多くんは今日も能天気 / 祭り篇 \ ( No.9 )
日時: 2016/11/13 16:00
名前: 杏子 ◆EZhnkW6cPU (ID: XM3a0L/1)

「佐多、次は射的行くネ!とっととついてこいヨ!」

「ちょっ…待ってください!こっちは焼きそばとたこ焼き抱えてるんですよ!」

「しょーがないアルな、…ほら、手貸せヨ」

「(´・ω・`)(トゥンク…)」

「なんて言うと思ったか死ねヨ奴隷」

「とても辛い」


■ 三.佐多くんはお祭りに行きます【後篇】


神楽に連れられて(奴隷)祭りに来た佐多だったが、自分の買いたいものは買えず、神楽の荷物持ちのみをしていた。
おまけに同伴していた新八も佐多に荷物を預けて来る始末で、もうお祭りを楽しむどころではない。

そんな三人は射的の屋台の前で足をとめた。


「あ、おじちゃんだ」

「げっ!激辛チャイナ娘!」


屋台の主はサングラスをかけた男だった。どうやら神楽と新八は知り合いのようだ。
男は佐多に気がついたようで、佐多も軽く会釈した。


「なんだなんだ、この綺麗な姉ちゃん!前はいなかったよな!?」

「最近入って来たペーペーアル」

「あとこの人男の人ですからね、長谷川さん」

「ええっ!?まじかよ!?こ、こりゃ失礼!」

「いえ、平気ですよ。佐多といいます!以後お見知り置きを!」

「こちらこそよろしくな!万事屋には以前依頼を引き受けてもらった仲でなぁ。どうだい、射的やるか?」

「当てれば何でもくれるアルか?」

「ああ、あげるぞ〜〜!よーくねらっ……」


その瞬間長谷川のかけていたサングラスがパンっと割れた。割った張本人である神楽は先程買った焼きもろこしを食べながら、よこせよグラサンと言った。
さすがの長谷川も慌てたようで、狙う景品を改めて教えようと景品の方を指差したその時、彼が腕に付けていた腕時計がパンっと割れた。


「腕時計ゲーーッツ」


突如隣から聞こえたその声に慌てて佐多がそちらを見ると、黒い隊服に身を包んだ青年がいた。どうやら腕時計を割った犯人はこの男のようだ。
長谷川もさらに慌てて、二人に注意をしている。が、全く聞いていないようだ。
二人は揃って銃を構え直すと、同時に景品(長谷川)にそれを向け、発砲した。


「ヒゲもーらい」

「ぐふっ」

「上着ゲーーッツ」

「ごえっ」

「乳首とったりィ!!」

「べほっ」

「……新八さん、これあとは頼みますね!」

「は!?ちょ、佐多さん!?」


突如現れた青年と射的に夢中になっている神楽を見て佐多は今がチャンスだと思ったのか、新八に荷物を預けて走り出した。
新八は慌てているようだが、おそらく神楽は気づいていないだろう。


(祭り…!!来て見たかったんだ…!!)


佐多は幼い頃からずっと祭りというものに興味があった。なぜなら、彼は祭りに参加したことがなかったからだ。
キラキラとした表情で佐多はキョロキョロしながら屋台を見回す。とその時、ドンっと誰かにぶつかった。


「……ああ。すみません」

「……いや」


相手は派手な着物を着た男で、ニヒルな笑みを浮かべていた。
ふっと佐多も笑い、再びキョロキョロと屋台を見始めた。りんごあめ、わたがし、かき氷、いろいろあるが、いまいち佐多はピンとこないのだろうか。足をとめることなく屋台を見続けている。
その間もなんども人とぶつかり、その度に佐多は声をあげて、相手になんども頭を下げた。
そういえばそろそろ平賀のカラクリ芸が始まる頃だろうかと佐多が思った時、視界にふわふわの綿菓子がうつった。


「おい、誰の頭がわたがしだ」

「一人で何につっこんでるんですか。というかぼっちですかモジャ公さん」

「誰がモジャ公だもやしがァァ!!さっきまでじーさんと一緒だったんだけどよ、最後の調整があるとかでいっちまった。おめーこそ神楽はどうした」

「荷物持ちに飽きてばっくれてきました」

「正直か」

「銀さん僕お腹が空きました。まだ何にも食べてないんです。切実にお金がほしいですください」

「あぁ?神楽にお前の分の金も……アイツは自分の分として使っちまうか」


しょうがねぇなぁといいながらも懐をさぐってくれるこの男は、やっぱり優しい奴だ。
懐から千円を出して佐多に手渡しした銀時は、とても嬉しそうな表情をしている佐多を見て、こんな顔もするのかとなぜか感心した。


「すぐに買ってくるので、ここで待っててください!」

「あー?なんで俺が……ってもういねぇ」


仕方なく銀時は道の端により、佐多が戻ってくるのを待つことにした。
その時、大きな音とともに、空に花がさいた。どうやら平賀の見世物が始まるらしい。銀時もふと空を見上げた__その時だった。


「やっぱり祭りは派手じゃねーと面白くねェな」

「!」


突如自分の背後から聞こえた聞き覚えのある声に、銀時は目を見開いた。


Page:1 2



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。