二次創作小説(紙ほか)

ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-
日時: 2018/04/26 22:10
名前: テール
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=910.jpg

ストーリー
 大陸ポケタリア・・・
 人の代わりにポケモンが暮らす大陸。
 その大陸は4つの国に分かれ、ポケモンたちは静かに安らかに暮らしていた。
 
 竜国と呼ばれし国、レヴィア王国。
 平和と安寧を求める、ディーテ共和国。
 己と他者を信じる、ルフト・ド・ドレール連合王国。
 欲望と野心が支配する国、ディクシィ帝国。

 それら4つの国は、互いを認め、平和を保っていた。

 しかし・・・その平和は音を立てて崩れ去る・・・




はじめまして!テールと申します!
こちらの小説は、擬人化したポケモンたちの軍事・戦記ジャンルの物語です。
王道を目指して描きますので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
某サーガ風(SRPGのサーガ)の作風となっておりますので、原作ポケモンを知らない方でも
きっと読めるはず(投げ槍)です。多分きっと。
基本戦争なので、人がバンバン死にます。
若干の流血表現やポケモンとは思えないドシリアスな雰囲気にご注意ください。
現在、別名で動画やゲーム版も制作中です。






参考資料

登場人物 >>1
サブキャラクター >>7
オリキャラ シャドー♯ЧШЮ様 >>5>>42
      ルルミー様     >>22>>30>>58
      パーセンター様   >>64


専門用語 >>2
武器種・専用武器・神器 >>16

クラス解説 >>3
種族解説>>102




俺的オリキャラ紹介コーナー>>89




目次

序章   竜国陥落     >>8>>14
断章   聖戦の伝承    >>15
第一章  テオドールの出撃 >>17-20
第二章  海賊の島     >>21>>24>>27-29
第三章  鉱山の制圧    >>32-35>>39
第四章  難攻不落の都   >>41>>45>>47-49>>55>>62-63>>70>>72>>75-76
第五章  きょうだいの絆  >>77-78>>83-85>>88>>92-96>>99-101
間章   進むべき道    >>103
第六章  少女の歌声    >>107-108>>114-115>>118-119
第七章  雪を纏う椿    >>121>>126>>129>>134-135>>138
第八章  光を照らす者   >>139-140>>143-148
第九章  復讐の剣     >>149-152
第十章  残酷な騎士二人  >>153-155>>158-159
第十一章 砂塵の司祭    >>160-162>>165-168
第十二章 騎士の誇り    >>169-172
第十三章 魔女と黒狼    >>173






キャラエピ

「テオドールの過去」         >>106
「アルト、ラーマ、エルドゥの出会い」 >>120

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Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.169 )
日時: 2018/04/24 22:23
名前: テール

第十二章 騎士の誇り


大陸歴983年5月17日

無事アンヘル砂漠を抜け、一行はさらに東へ進む。
残された時間はあとわずかしかなく、急いで進まねばならない。
ディクシィ帝国の国境を越え、ようやくたどり着いた場所は・・・
ファクトライズ公国に匹敵するほどの街であった。

・・・しかし、そこは廃墟であり、すでに人が出払っているのであった。


「・・・・ここはハイランド公国だな。元だが。」

ジョリーがそういいながら前へと出る。

「ハイランド公国・・・たしか十数年前に帝国に攻め落とされた場所でしたね。」
「ああ。高潔な騎士が皆、誇りを持って帝国と戦ったよ。
 その中には俺もいた。」

ジョリーは、静かな風に当たり、髪が風になびいた。
テオドールも一歩前へと出る。

そこから見える景色は、白い建物が並び、物音一つしない廃墟があった。


「ハイランド公国の騎士・・・「ドッペルゾルドナー」ですね。」
「・・・知っていたか。」
「ええ、ハイランド公国を知る人物が、レヴィアにも来ていましたから。」

ジョリーは静かに笑う。

「あの細工師の兄ちゃんのことか」
「はい。」

ジョリーは廃墟を見つめる。
その目と表情は、普段から笑っている彼のものとはかけ離れていた。

「王子・・・俺達ハイランドの民は、最期の時まで戦ったよ。」

ジョリーはそういうと、眼帯を付けている目を右手で押さえつける。

「・・・最期までな。」
「・・・はい。」












ジョリーはこの廃墟で野営し、帝都に向かおうと提案した。
この廃墟にはどうせ誰もいない・・・という理由からである。


ゼウラは、この地に来てからメルシアの様子がおかしいことに気が付く。

「どうしたんだ、メルシア?」
「・・・・!い、いえ・・・!」

メルシアはそれだけ言うと、走って廃墟の中へ消えた。


「そういや嬢ちゃんも・・・坊主、追いかけてやれ。」

ジョリーは戸惑うゼウラに向かって背中を押す。
ゼウラは、「お、おう!」と一言言って、メルシアの後を追った。


「俺も・・・けじめをつけんといかんかねえ・・・」

ジョリーはそうつぶやく。

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.170 )
日時: 2018/04/25 22:20
名前: テール


一方そのころ・・・

クラルとクララは廃墟になったハイランド公国を歩いていた。
二人は建物の造形や統一された色から察して、
伝統を順守する高潔な国であったことを予想する。

「お姉ちゃん、やっぱハイランド公国ってすごいところだったんだね!」
「そうね、落ちてる剣の傷つき具合から、
 大剣、斧以外の武器はほとんど使わないような、独特の武術をもつ国だったんでしょうね。」

クララは足元に落ちていた斧を拾って嘗め回すように見る。
クラルもほとんど瓦礫のように朽ちている建物を触れてみたりして確かめる。


「あら、そこで何してるの?」

突如後ろから声をかけられ、驚く二人。
振り返ると、ダークブラウンの髪を耳の上で結わえて肩まで垂らす、
牛のような耳の、青い瞳で二人を見る、
黒いマントを羽織った行商人のような女性が立っていた。
マントで隠れているが、牛のような尻尾も生えているようである。

「もしかして、廃墟荒らし?」
「と、とんでもない!・・・ってあなたこそだれなの?」

クラルは慌てて否定したついでに、目の前の女性に尋ねる。

「私?ふふっ、私は大陸を回る行商人!
 人呼んで「行商人のおねえさん」・・・「レーチェ・ルレ」よ♪」

口元に人差し指を近づけ、ウインクするレーチェ。
そしてレーチェは二人にも尋ねる。

「で、廃墟荒らしさん、あなた達の名前は?」
「は、廃墟荒らしじゃないんだけど・・・
 僕はクランルーベ・ディリティリオです。クラルって呼んでね。」
「わたくしはクランライン・ディリティリオよお。クララってよんでちょうだいねえ。」

二人はにこやかに挨拶をする。
レーチェは持っていた大きな麻袋の中から、牛の顔のマークがついた牛乳瓶を二つ取り出し、二人に渡す。

「お近づきの印にこれ。」
「く、くれるんですか?」
「一本200ね。」
「・・・・。」

クラルはお金をレーチェに渡し、レーチェは「毎度あり♪」と言った。
そしてレーチェは二人を見て、口を開く。

「お二人って最近各地で大活躍中の「テオドール騎士団」の人?」
「そうだよ・・・おねえさん、何で知ってるの?」

レーチェはニコッと笑う。

「ああ、テオドール殿下と同じ船に乗って、同じルートを辿って、
 レーベンの大騒動を鎮めたのを見て、
 メイベルの大武闘大会で行商のついでに観戦して、
 同じルートをついていきながら行商してたのよ。」
「それってほぼストーカーだよね」

クララは、牛乳を飲み終えると、瓶をレーチェに渡す。

「ありがとう、美味しかったわあ。」
「ふふっ、どういたしまして♪
 なんてったって、大陸でも有名な「モーモーミルク」よ。」

クラルは「へぇ〜」と感心する。
確かにレーチェはミルタンク族の女性である。

「まあ偶然行商のルートとあなた達の行動がほぼ一緒だったから、あなた達の行動を記録していたの。
 いつか「ポケタリア伝承記」として出版して、大陸の皆に広く知ってもらおうと思ってね。
 あなた達の活躍がいつか英雄詩として受け継がれていくなんてなんだかロマンを感じないかしら?」

レーチェは目を輝かせて二人に力説する。
クラルも目を輝かせ、「面白そう!」と同意する。

「なんだか楽しそうねえ。
 私たちの活躍が本になるだなんて・・・」
「だからこうしてノートにメモをしてるのよ♪
 テオドール殿下って、絶対偉業を成し遂げるって、私信じてるし。」

レーチェはそういうと、周りを見る。

「あ、もうこんな時間!それじゃ、今後の活躍も期待してるわね!」


レーチェはそういうと、荷物をまとめ、大きな麻袋を担いでどこかへ走り去っていった。

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.171 )
日時: 2018/04/26 11:41
名前: テール


騎士団の皆は野営の準備に取り掛かっていた。
テオドールは、ジョリーとゼウラ、メルシアが戻っていないことに気が付き、
3人を探してくると伝え、3人を探し始めた。

空は少し曇ってきていた。
しばらくすれば雨が降るだろうと言う事は予想できる。
テオドールは足を急がせた。









ゼウラはメルシアを追って、彼女の姿を見つける。
メルシアは立ち止まって、目の前の瓦礫の山を見る。

「ゼウラ、ここが私の家でした。」

突然、メルシアは一言こぼす。

「私は幼いころに国を追われて、共和国に引っ越してきたんです。
 そして、剣を父から教わって、数年過ごしていました。」


メルシアは一歩前に踏み出した。
表情は見えないが、声が震えていることがわかる。

「2年前ですかね・・・私はドッペルゾルドナーの勲章を授かりました。
 ハイランドの騎士だった父から勲章を授かって、
 私は父にまた一歩近づけたんだと嬉しくなりました。
 ・・・・ですが」


「翌日、父と母は殺されました。」
「・・・・。」

ゼウラは無言でうつむく。


「ハイランド公国の生き残りを狙い、暗殺されたって事件は大陸の各地であった。」

ゼウラはそう一言つぶやく。

ハイランド公国は、帝国軍と最後まで戦ったが、
公爵であるメディアン・セラ・ハイランドは、
「自分の命を引き換えに民を見逃してほしい」と願い出て処刑。
その後帝国軍はハイランドの民を捕らえ、奴隷として扱う。

そのことを受け、ハイランドの民たちの半数が逃亡を図ったが、
各地でハイランドの民や関わった人間が殺害されるという事件が相次ぐ。

メルシアもその事件に巻き込まれたのだ。


「理不尽です・・・」

メルシアはまた一言こぼす。

「私たちは争いなく平穏に暮らしたかった・・・
 ただ生きたかっただけなのに・・・!」

メルシアはゼウラに振り向く。
ゼウラは目を見開いた。

メルシアの澄んだ青色の瞳が赤く染まっていたからだ。


「どうして神様はこんなにも私たちに辛くあたるの?
 ・・・・どうして父と母が殺されなきゃいけなかったの?
 どうして・・・どうしてどうして・・・・」
「おい、メルシア!」

ゼウラは声をかけるが、メルシアは一筋の涙を流し、咆哮を上げた。
そしてゼウラに突進する。

「坊主!ぼーっとしてんな!!」

そこへジョリーがメルシアの剣を受け止め、叫ぶ。
女性とは思えない力の強さに、ジョリーは顔をしかめる。

「理不尽ってのはな・・・理不尽だから理不尽って言うんだよ!
 てめえ一人が不幸だと思ってんじゃねえ!!」
「うぅ・・・・ああアアアアアアァァァッ!!」

ジョリーの言葉に、メルシアは今までにない声量で叫ぶ。

「世の中お前より理不尽な理由で死んでいった奴がたくさんいるんだ!
 ニナは訳も分からず村が滅ぼされ、
 ラーマも戦争で邪魔だからって理由で家族を殺され、
 テオドールは邪竜復活って名目で姉の命が脅かされてるんだぞ!
 みんないろんな理不尽を抱えてんだ、
 悲劇のヒロインを気取るのもいい加減にしやがれッ!!」

ジョリーとメルシアは互いに剣を打ち合う。
激しいその剣と剣のぶつかり合いに、火花が散り、鋭い音が鳴り響く。
ジョリーの一振りを受け止め、反撃するメルシア。
だが、ジョリーも剣を受け止め、なんとか足止めをしようと試みるが
彼女の剣技は研ぎ澄まされた物であり、
隙を見せればすぐに心臓を貫かれる、そう察した。

だが、だからといって引くわけにはいかない。


「メルシア、やめろ!お前とお前の大切な人達を傷付ける奴等はもういない!」

ゼウラはメルシアにそう呼びかける。

しかし、メルシアは止まる気配すらない。


「てめえが・・・てめえ自身を見失ってどうするッ!」

ジョリーは今迄見せることがなかった表情と声でメルシアを怒鳴る。
獣のように本能を剥き出しにし、こちらの心臓を狩りとるまで、
彼女の暴走は治まりそうにない・・・
ジョリーはそう考える。


「頼む、ウィングルスよ・・・力を貸してくれ!」

ゼウラはそういうと、魔導書を開いて、鷹のような形を模った風をメルシアにぶつける。
だが、メルシアはそれを叩き切り、ゼウラに向かって剣を持って刺突した。

「メルシア・・・・ッ!!」

ゼウラは彼女の突進を避けられなかった。






「ぐっ・・・・が・・・ァ・・・」

メルシアの刺突を受け止めたのはゼウラではなく、
ゼウラを突き飛ばして、急所に深く剣が突き刺さったジョリーであった。

「お・・・まえが・・・・たいせつ・・・・な・・・・・っ・・・」

ジョリーは息をするたびに口から血を吐く。
苦しそうに何かを叫ぼうとするが、血がのどに引っかかり、うまく声が出ないようである。

「そんな・・・ジョリー!・・・おい、メルシア!仲間を傷つけるのはやめろ!
 お前はそんな奴じゃない!元の優しいウォルメニアス・リー・メルシアに戻ってくれ!
 お願いだ・・・!お願いだからッ!!」

ゼウラは思わずメルシアの肩を揺さぶる。
その眼には涙を溜めていた。

「なか・・・・ま・・・」

メルシアの瞳は徐々に元の澄んだ青へと戻る。
ジョリーはそれを確認すると、ふっと笑い、メルシアの頭をなでる。

「・・・・。」

ジョリーはそのまま後ろに仰向けになった状態で倒れた。
胸には深く、水色に輝く刀身の剣が刺さっていた。


「お、おい!ジョリー!!」

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.172 )
日時: 2018/04/26 19:33
名前: テール




ハイランド公国が落とされてから、ジョリーは一人彷徨っていた。
右目を失い、深い傷を負って、レヴィア王国まで歩いてきた。
だが、ついに力尽きて仰向けに倒れてしまう。

「・・・・もう、歩けない・・・・」

ジョリーは空に手を掲げる。

「青いな・・・空・・・・」

ふと涙を流す。
空が青く、透き通ってるせいだろうか?

「父さん、すまない・・・」

ハイランドの民のために最期まで戦った父に一言謝る。
ジョリーは掲げていた手を下ろして、眠るように瞼を閉じる。


「起きて」

名前を呼ぶ声が聞こえる。
女の子の声だ。


「・・・・」










ジョリーは目を開ける。
そこは天幕の中であった。

「こ、こは・・・」
「おはよう寝坊助さん。」

隣には、薬を調合しているアルマの姿があった。
ジョリーは辺りを見回した。
天幕内はランプのおかげで明るく、外はすっかり真っ暗であることがよくわかる。


「この騎士団って、無茶する人ばかりで傷薬が足りませんよ。」

アルマはそうぼやくと、ジョリーに薬を手渡す。

「あなたも普段の様子じゃわかりませんでしたが、
 相当な無茶したがりだったんですね。」
「・・・すまん。」
「何を謝るんですか?」

アルマは微笑みながら道具を片付ける。



ジョリーはあの後すぐにテオドールが駆けつけ、背負って騎士団の野営地まで走った。
すぐさま治療が行われ、一命をとりとめたが、3日間眠ったままであった。



「失礼します。」

そこへ、天幕に入ってきたのは、メルシアとゼウラであった。


「ジョリー、よかった・・・目を覚ましたんですね。」
「ジョリー、ごめん、俺にもっと力があれば・・・!」

二人はジョリーを見て安堵の表情を浮かべた。
ジョリーはふっと笑い、二人の頭をなでる。

「そんなこと気にすんな、はははっ!」

いつものジョリーの表情に、アルマも笑う。

「でも、ジョリー・・・なんでメルシアに気にかけてくれてたんだ?
 ・・・・同じハイランドの騎士だったとしても、そんな義理は・・・」

ゼウラはそういうと、ジョリーは再び笑う。

「嬢ちゃんが、俺を救ってくれた嬢ちゃんに似てるからだな。」

ジョリーは不意に昔話を始めた。





ジョリーはハイランドが落ちた後、すぐに傷を引きずりながらレヴィア王国まで逃亡したが、
力尽きて、倒れてしまう。
そこへ、桜色の髪の少女がジョリーを介抱した。

その後、身体の傷を治し、服や髪型も彼女が整えてくれた。

しかし、その少女はジョリーを狙う暗殺者によって殺される。
なんとか暗殺者を倒したが、一歩遅く少女は事切れていた。




「そのあと、俺は俺のような悲しい思いをしている奴を見つけては励まし、
 徐々に仲間も増えて、海賊として海を渡ったんだ。
 去年の今頃くらいまで世界中を回ったもんだ。」
「・・・そんな過去が・・・」

メルシアはそうつぶやく。

「悲しい思いをしてるのは、お前だけじゃないし、俺だけでもない。
 誰だって何かを失って泣き叫んで、今を生きてるんだ。
 だからこそ・・・」

ジョリーは、メルシアとゼウラの頭に手を置く。


「お前らはまだ輝ける未来があるだろ、
 過去に縛られず、前を見て歩けよ。俺にはもう無理だからな。」

ジョリーは二人に向かってにっと笑った。

「・・・・はい。」
「・・・・わかった。」

二人は頷いて、ジョリーを見る。
アルマもその様子を見て、ふっと笑う。



「でも、ジョリーっていつも笑ってるけど、
 滅多に泣いたり怒ったりしないよな、なんで?」
「うーん、大人になったからかもな。
 それに経験もお前たちの倍だからな・・・
 何を見ても泣いたり怒ったり感じなくなっちまったかもなあ」

ジョリーはそういうと、「だはははっ」と笑う。


「お前ら、もう寝ろよ。・・・・俺はもう大丈夫だからな。」

ジョリーはそういうと、二人は頷いて、立ち上がった。


「おやすみなさい、ジョリー。」
「おやすみ!」
「おう!」

ジョリーは笑いながら二人を見送った。


「他に、理由はないのですか?」
「ん?」

アルマの突然の質問にジョリーは首をかしげる。

「泣いたり怒ったりしない理由です。」
「あー・・・」

ジョリーはアルマの質問に腕を組む。

「いや、泣いたり怒ったりしないのは生まれつきだ。
 子供んときはそれのおかげで友達がたくさんいたもんだ。
 最後に涙を流したのは・・・うん、ハイランドが落とされた時くらいだな。」
「あなたは強いんですね・・・」
「強くならなきゃいかんかったからな・・・」

ジョリーはそう笑うと、薬を飲み始めた。



「にがっ」
「特製特効薬ですからね。」



Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.173 )
日時: 2018/04/26 22:09
名前: テール

第十三章 魔女と黒狼


大陸歴983年5月24日

ハイランド公国跡を後にし、先へ急ぐテオドール一行。
東へ進み、森を抜け、川を渡り、帝都へ着実に近づいた。
そして・・・辺境の村へとやってきた一行。
村は人が少なく、村長の下にやってきたテオドールたちは、
村の中央にある「魔女のアトリエ」へと案内された。

「村は魔女様によって統治されております。
 まずはこちらでご挨拶を済ませてくだされ。」
「村長が村を治められてるのでは?」

村長は首を振る。

「私はあくまで名目上。諸々の管理は魔女様がされております。」

村長はそういうと、アトリエのドアをノックする。

「魔女様、レヴィアの王子テオドール様とその御付きの者が、ご挨拶に。」
「入るがよいぞ」

中から、幼い少女の声が響く。
テオドールについてきていたアルトは、女の子?と首を傾げた。

「では、失礼のなきよう・・・」

村長はそういうと、一礼してから自宅へと戻った。
テオドールは、「失礼します」と一言・・・ドアを開けた。

中に入ると、何とも言えぬにおいが立ち込めており、
テオドール達は顔をしかめて前へと進む。
大きな窯、ボコボコという音、乱雑にばらまかれている魔導書や資料などの分厚い本の数々・・・
薄暗いが、奥にいる人物が見える程度には明るい。


「よくきたのう、レヴィアの王子よ・・・・」

ふふふと笑う人物。
テオドールとアルト、そしてエルドゥ、ラーマはその人物を見て驚く。

「お、女の子!?」
「ふっつーに反応しててつまらんな。」

テオドールたちの反応に、目の前の人物ははーっとため息をつく。

赤紫の腰まである長い髪をピンクのリボンでまとめ、
金色の瞳、紫色の大きなムウマージの特徴的な帽子、
おそらく腕の倍くらいはある長い袖をヒラヒラと振り、
帽子と同じ色のローブと濃い紫のカボチャパンツと・・・
伝承にある「魔女」という存在そのものである姿であった。

やる気のない半目でテオドールたちを見る。

「いえ、申し訳ありません、魔女様・・・
 意外に幼い姿に少々驚きまして・・・」
「ふん、まあよいわ。そういや名を名乗ってなかったのう。
 わしは「アリスドール・ジ・ディクシィ」。
 「アリス」と呼ぶがよい。よろしく頼むぞ王子。」

アルトは名前を聞いて驚く。

「「アリスドール・ジ・ディクシィ」!?」
「知ってるの?」

エルドゥの質問にアルトは慌てる。

「彼女、「グレンシア・ジ・ディクシィ」の実妹ですよ!
 しかも、年齢はおそらく57歳です!
 なぜこのような少女の姿に・・・!?」

アルトの説明に「きひひひっ」と笑うアリス。

「そうじゃぞ軍師。わしこそが「バカ皇帝」の王妹じゃ。」
「ば、バカ皇帝・・・」

アルトは呆れていいやらなんやらで複雑な気分である。

「じゃよ。「バカ兄」は戦争を起こして、「聖戦」とか抜かして
 いろんな方面に喧嘩を売った愚王じゃわ。
 ヤツが死んで、そのあと「バカ息子」が帝国の政治を担ったんじゃが、
 なんじゃったかな・・・
 「クラウス」とかいう参謀を招き入れてからバカ息子がおかしくなっちまってのう。
 バカ兄と同じような独裁を始めたんじゃよ。
 宰相もクラウスがくるまではバカ息子を導く良いヤツだったんじゃが、
 帝国はクラウスがきてからおかしくなっちまったわい。」

アリスははあーっとため息をつきながら愚痴をぼやく。
そこへ、黒髪の少年がドアを開けてお茶をテオドール一行に出す。

黒い髪を赤い宝石の髪飾りでまとめ、右肩に垂らし、
赤い瞳は炎が燃えているような色をしている。
服装は黒く薄いインナーの上に、雪里ツワブキで見たような深緑の上着を着こなす、
身体は割とがっちりしている、弓兵のような姿であった。

「おう、遅いぞ「ルカ」ちゃま。
 お客様が入室してから3秒以内にお茶を出せと何度も言ってるじゃろ」
「無茶言わないでください師匠。
 3秒でお茶なんかだしたら、美味しくないモノになってしまいます。
 「お客様には最高のもてなしを」って何度も言ってるのは師匠じゃないですか。」
「口答えするなよひよっこが。
 主の得意技の占いで予知すりゃよいじゃん」
「占いは予知能力じゃないですよ。」

アリスとルカが言い争っていると、テオドールが困惑していた。

「あ、あ、でも、このお茶、とてもおいしいですよ。
 ありがとうございます。・・・・えーっと」
「あ、僕は「ルカ・アストロロージア」。アリス師匠の弟子です。」

ルカはにこりと笑うと、部屋を出ていった。

「ところで、王子。」

アリスは頭の後ろに腕を組み、足を組んで椅子にもたれかかる。


「帝都を攻めるなら、公開処刑日当日が良いぞ。」
「・・・・!?な、なぜですか!?」

テオドールは驚きと怒りの声を上げ、椅子から立ち上がる。
アリスははあっとため息をついて、やる気のない半目でテオドールを見た。

「わしらの準備がまだできてないんじゃよ。
 わしらも帝都を攻める準備を密かに行ってたんじゃが、
 まだ帝都を攻めるには兵力が足りん。
 最低でも1万の兵がないと、帝都にいる兵士の圧倒的な量で
 押し負けてしまうぞ。」
「・・・・確かに、今帝都を攻めるにしても、場数が足りなさすぎます。
 殿下、残り一か月はアリス殿との相談の上、
 兵力を増強及び、士気の上昇を率先すべきだと、僕は思います。」
「軍師の言う通りじゃ。
 ・・・・急ぐ気持ちはわかる。だが、焦りは周囲を見失う。
 用心せよ、王子。」

アリスはそういうと、背伸びをする。

「とりあえず、今は休むがいい。
 1か月は長い・・・・長いようで短いからの。」

アリスの言葉に、一行は頷いた。
テオドールは、腰から下げている「星剣アルスラン」を見る。


「姉上・・・・」




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