二次創作小説(紙ほか)
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- 七つの大罪 〈豚の帽子〉亭の七つの大冒険
- 日時: 2018/06/09 09:23
- 名前: けんぬん (ID: Do1fG5Tg)
- プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12230
七つの短編集を作ることにしました。
主人公はセオドール・ノットです。
自身の2作品目精一杯がんばります。
オリキャラ以外の登場人物
メリオダス
〈豚の帽子〉亭の店主。商売する気がなそうで、料理の腕も壊滅的。
ホーク
この酒場の看板豚。しゃべることができる。残飯が大好物。
エリザベス
酒場のウェイトレス。美人で優しいけれど、ドジ。
ディアンヌ
元気な女の子。実は巨人らしい。
バン
料理番。顔はこわいけれど、料理の腕は一流だ。
キング
店に居候している少年。ふわふわ浮いている。
ゴウセル
店に居候している美青年。本が好き。
マーリン
店にときどきやってくる、謎の美女。
エスカノール
旅先で出会う、秘密の酒場の店主。
- プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2018/08/07 16:48
- 名前: けんぬん (ID: Do1fG5Tg)
- プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12230
「おーい。起きろ、新米! 新しい場所に着いたぜ!」
ホークの声に、セオドールは目を覚ます。ベッドから下りて窓を開けると、朝の空気が入ってきた。
夜の間に、新しい場所に着いたのだろう。
空を見れば、いくつもの煙の筋が伸びている。朝食の支度の煙だろう。
たしかに近くに村か町か……とにかく人が住んでいる場所があるようだ。
どこかの村や町に着いたら、そこから少し離れた場所ーー木々の間や、丘のふもとーーで店をはじめるのが、店主メリオダスのいつものやり方だった。
住人たちは「昨日までなかった酒場」の出現に首をかしげつつ、まあ見落としていたのかもしれないと思い、店を訪れるのだ。……少なくとも、いきなり村の真ん中に出現するより不自然ではない。
ここはーー〈豚の帽子〉亭。
とんがり帽子のような屋根の酒場だ。
実は、巨大な豚「ホークママ」の背中の上にある建物で、この世界ーー大小さまざまな王国が存在するブリタニアと呼ばれる地ーーを旅して回る移動酒場なのである。
「ーー起きたか? 早く来て手伝えよ!」
再びホークの声。セオドールはあわてて店の制服に着替えると、身支度をして建物の一階へと下りていく。
「おうっ。来たか」
店主メリオダスは、厨房で仕込みをはじめていた。
みごとな包丁さばきで下ごしらえをしている。そう。料理する手つきだけはうまいのだ……。
「今日から、ここで営業だ。忙しくなるぞ」とメリオダス。
「新しい場所ですか。楽しみですねぇ」と、エリザベスさん。
彼女はモップを手に酒場の床を掃除している。いつもながら、ちょっと危なっかしいけれど、一生懸命な働きぶりだ。セオドールも怠けてはいられない。
「今度は、どんな場所なんでしょうねぇ。メリオダス様」
「ああ。新しい場所は、いいな」メリオダスもうなずく。
「うまい酒も仕入れられるし、新しいうわさ話も聞けるかもしれないしな。にししっ」
笑いながらそう言った。
新しい場所か……。そう聞いてセオドールの胸も少なからずときめく。今度の場所では、セオドールにとっても新しい出会いがあるかもしれない。そして、新しい冒険も。
「よしっ。やるぜ。お前もきりきり働けよ、新米!」
豚のホークもやる気まんまんだ。机といすを並べたり、床や窓を舐めたりしている。モップ以上の効果があるようで、舐めたところはピカピカ輝きはじめた。
ともあれ、セオドールも厨房の仕込みや掃除を手伝う。やがて、すっかり準備も整った。
「さあ。〈豚の帽子〉亭、開店だ!」
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