社会問題小説・評論板
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- はりぼて王国の女王様。
- 日時: 2017/08/16 01:42
- 名前: 小麦 (ID: Uk0b6ssr)
私立黎明女子学園。——屈指のお嬢様学園。
選りすぐりのお嬢様達が通う、正に白亜の宮殿のような学園。
しかしその中にも、やはり『格差』が有った。
私、——伊集院小瑠璃こそがそのピラミッドの頂点。
容姿端麗、文武両道、大企業伊集院グループ会長の一人娘。
私はこの宮殿の女王様。
下級生は勿論、同級生、上級生も私には敬語を使う。
私の命令は絶対。逆らうなんて絶対に有り得ない。
—こんなに完璧な私も、ストレスは溜まる。
高貴な家柄だから、作法には気をつけなくてはならない。
屋敷内の乱れた言葉はけして許されない。
常に文武ともに学園のトップでなければならない——。
そのストレスを発散するには人間を甚振るのが一番。
逆らう生意気な小娘は、私が自らの手で『制裁』する。—学園の掟。
小娘は私たちの格好の玩具になって、壊れて果てる。
だって私は女王様、周りの小娘はすべて奴隷なんだから。
- Re: はりぼて王国の女王様。 ( No.65 )
- 日時: 2015/09/06 01:30
- 名前: 小麦 (ID: lkF9UhzL)
6.甘露寺香澄の都合の良い告白
じゃあ説明してあげる。あたしがこのはりぼての王国を、どんなふうに設立し、成立させたか。
私がソレを実行に移し始めたのは初等科5年の時じゃないかな。私が不登校だったコトなんてみんなとっくに忘れて、私もクラスに馴染み始めて。やっとこのときが来た、って思ったよ。
私が目をつけたのは清閑寺真里亜。
あの時は今ほどじゃないけれど、小瑠璃がこの学園の頂点、って感じだった。運動も勉強もできるし、そこそこに可愛いしね。なによりお金持ち。…群を抜いて。
その小瑠璃に唯一対向できるのが真里亜だった。
あれはゴールデンウィークの事。
私は真里亜の家に忍び込んだ。…無断でね。
ゴールデンウィーク中に清閑寺家が一家総出で家族旅行に出かけるのは知ってた。まぁ念のため電話をかけて、使用人とかが留守番してないかは確かめておいたけれど。
かくして私は誰もいない真里亜の家に不法侵入した。
鍵は…って?ふうん、ゴミクズの癖して目の付け所いいじゃん。真里亜はいつも下校時、お抱え運転手の運転する白い外国車で帰宅する。運転手は使用人も兼ねてるから、そいつが鍵を開けるのも勝手にやってくれる。だから真里亜は鍵を使用することはめったにない。盗んでもすぐには気付かない。
私は、バッグから真里亜の鍵を持ち出した。
そして真里亜の家の中に潜入した私は、とにかく家の中を探し回った。
真里亜の弱みを握るため…ゴシップを見つけ出すために。
うん、見つかったよ、ゴシップは。いとも簡単に。
真里亜の父。…そいつの部屋の棚に無造作に置いてあった黒いデジタルカメラ。私はゆっくりとスイッチを押し、ギャラリー画面に移動した。
…そこに映し出されてたのは、真里亜のあられもない姿…
簡単に言っちゃえば、全裸の写真だね。真里亜の、ね?
- Re: はりぼて王国の女王様。 ( No.66 )
- 日時: 2015/09/06 12:12
- 名前: 小麦 (ID: lkF9UhzL)
さーて、ここで私はカメラを盗み出すような事はしなかった。
連休はまだ始まったばかり。べつに真里亜達は明日に帰ってくるわけじゃない。
所変わって6月の夜。
私は真里亜の家に行った。
私はゴールデンウィークのうちに、真里亜がいつも写真を撮られている部屋のカーテンのレールの端っこに粘土をくっつけ、完全にカーテンが閉まらないようにしていた。だけれど気付かれない程度にね。
私が欲しかった構図は、僅かに開いたカーテンから覗く、裸体の真里亜とカメラを構える父。
なぜそんな構図を欲しがったかというと、…まず父親のカメラに収まっていた写真を利用するとどうしても不法侵入という事実ができ、真里亜を脅そうにも私はどうにも不利になる。私は偶然、こんな状況に出くわしたのだ。そんな感じのシチュエーションが必要だった。
…作戦は成功したよ。
見事に例の構図は私のこのカメラに収まった。
これ。よかったら見る?…ホラ。
あ、あとこのカメラ、あんたの悪行を映したカメラでもあるの。
…あ、これか。ほら。
そんなに睨まないでよぉー。汚い顔がもっと汚いじゃない?
そして私は真里亜を脅しつけた。
この写真をばらまく、それが嫌なら伊集院小瑠璃を地獄に落せ。
あんたも知ってるでしょう?あの時のこと。
真里亜は私に命令されての事だけど、小瑠璃を突然槍玉に上げ始めた。
上手く行ったね。もともと同級生の癖に偉そうで、贔屓もよく受ける小瑠璃に不満をためてる人も多かったんだろうね。あと嫉妬とかもあったかも。
ともかく小瑠璃はみんなの玩具になった。
- Re: はりぼて王国の女王様。 ( No.67 )
- 日時: 2015/11/07 15:41
- 名前: 小麦 (ID: lkF9UhzL)
そう、その時のことはあんたも覚えてるでしょう?
あんたも小瑠璃苛めに加担してた一端。まあ、ありがとね?私の作戦に協力してくれて。
…それでその後、真里亜は逃げるように留学へ。
頂点となる重圧に耐えられなかったってのもあるだろうけど…そう、真里亜の父親の性的虐待が悪化した、ってのもあるね。まあ、これも私の作戦通り、ってわけ。
さてさて、ここからが本番。真里亜が去ってナンバー1に君臨した小瑠璃をどう盛り立てるか。まぁあの女はチョロかったけどね。…ちょっと煽っただけでコロッよ。笑っちゃう。まあ転がしやすい女でもあるけどね?いやーここまで物事が上手く、私の都合のいいように進んじゃうと、バックに誰かいるんじゃないかって思っちゃうけど…まぁ、神の思し召しってやつなのかな?私の復讐が上手くいく理由っていうのは。
閑話休題、ここから私は小瑠璃に少しずつ擦り寄っていくことにした。いきなりグイグイいっちゃって、小瑠璃と近い関係を築いたりなんかしちゃったらいつ玩具とかいうのに仕立て上げられちゃうかわかんないからね。その危険は避けたい。ノーリスク、ハイリターン。全てが都合よく進むために。
さて、そして待ちに待った時がやってきた。あんたと美鈴とかいう奴が槍玉に挙げられるときが。
あの時はいろいろゴチャゴチャしちゃってて、小瑠璃のやつも焦ってたっぽいしね。だってヘイトを集めてる人間はほとんど使っちゃったし、かといってボーっと玩具を決めずにしていたら、他の連中のイライラの矛先が無くなって、下手したらそれが小瑠璃に向かっちゃうかもだし。
そしてここで私は小瑠璃にぐいっと近づくことにしたの。囲いがいなくなった小瑠璃はどこか手持ち無沙汰だったようで、すぐに私を受け入れてくれた。いやーほんとに都合の良い人間だね、あいつは。
そして私は小瑠璃に提案を持ちかけたの。
- Re: はりぼて王国の女王様。 ( No.68 )
- 日時: 2015/11/07 16:01
- 名前: 小麦 (ID: lkF9UhzL)
『小瑠璃様ぁ、小瑠璃様はじたばたする人間を上で見下ろすのはお嫌いですかぁ?』
『いい作戦があるんですよぉ。最近玩具制度もマンネリ化してきたじゃないですかぁ』
『同じような事をしていても、小瑠璃様も見てる人間もぉ、つまらないですよねぇ』
『そこであたし、提案したいことがあるんですぅ』
『今度の玩具は、投票で決めるんですよぉ』
…それにしてもこの喋り方は自分でも気持ち悪いなあ。慣れないし。
投票制度を取り入れれば、今まで高い地位に付いていた人間は一気に不利になり、なんとかして投票を避けようとじたばたするだろう。それって面白そうじゃないですか小瑠璃様ぁ?
誰だっけ?あの清華とかいうのを殺しかけて、少年院に入ったっていう…ああ、紫乃。うん。そいつの件で少しモヤモヤしてた小瑠璃はすんなりと受け入れてくれた。精神的にも不安定で、これから自分が女王として君臨し続けられるか不安だったのかな?それで新しい憂さ晴らしをすることで精神の安定を図ろうと思ったのかも。
うんまあとにかく、その作戦は追行されることになった。
提案をした私の功績を称えて、私にはあのピンクダイアモンドの指輪が贈呈された。いえーい。
頑張ってあんた達に暴力を振るってたみんなには申し訳ないけど。
- Re: はりぼて王国の女王様。 ( No.70 )
- 日時: 2016/10/06 20:00
- 名前: 安ちゃん (ID: /PgFxqMH)
お話も面白いです!私も見習いたいです!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14