BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

magnet【打ち切り】
日時: 2014/07/21 11:52
名前: ミム (ID: qyjkJIJL)

magne(マグネット)
引き合わせるもの。
時には引き離す。


「私たちみたいだね。」

「そうね。」


おもな登場人物

桐谷雫/きりたにしずく ♀
椿成実/つばきなるみ ♀
宮田圭/みやたけい ♂
山都大輝/やまとだいき ♂


目次

1章「幼い私達」>>3>>4>>5>>6>>9>>10>>11>>12>>13>>14


お客様

奈是流様
あるま様

Re: magnet【参照200突破(泣)感謝です!】 ( No.10 )
日時: 2013/11/10 12:52
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

急に言われると緊張して口から言葉が出てこない。


「雫…?」

「っ!?」


体がまるで撃たれたように強く動揺する。


「呼べないの…?」


チラッと椿さんの方を見ると、椿さんは今まで見た事のないような悲しそうな顔をしていた。

椿さん…


「ち、違うよ!ただ緊張しちゃって…でも私————」

「雫?」


私は意を消して椿さんの名前を呼んだ。


「な、ななななな成実…!?」


呼べたぁー…

私はそっと椿さんの方を見ると椿さんは笑いに堪えていた。
でもそれにも限界が来たのか声を出して笑いだした。


「フフッ」

「?」


何で笑ってるんだろう?


「椿さん?」

「コラッ!これからは成実って呼びなさい!」

「は、はひっ!」

「ぷっ」

「あっ、また笑ったぁ!可愛いなぁ。」

「っ———!」


いきなり椿さん、いや成実が黙った。
すると見る見る内に顔が赤くなっていく。


「つば…って違った。成実どうかしたの?」

「べ、別に何もないわよ!?」

「ふぅん、変なの。」

「………」


すると次は見る見るうちに悲しい顔に変わっていった。

なんか今日の成実、変だなぁ…
何かあったのかな…?


「もしかして何かあったの?」

「違う…って、この鈍感野郎!」


すると成実は私のおでこをパチッと軽く弾いた。


「いてっ!な、何!?私何か悪いことした!?」

「ふんっ、雫が悪いんだからねっ!ベーっだ!」


私はその姿を見て物凄く成実の事を愛おしいと思った。

それにしても今日は何だか成実に少し近づけたような気がした。

Re: magnet【9/17更新しました!】 ( No.11 )
日時: 2013/11/10 12:52
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

それから私達はそれぞれ家に帰った。


———ガチャ


「ただいまー」


誰もいない真っ暗な部屋に一人で呟く。


「っ……っ…くっ…」


えっ!?

だけどキッチンからは女の人の鳴き声が聞こえてきた。

な、何…!?

思わず体が震える。

だって私しかここの家の鍵持ってないんだよ?
なら一体誰が——
もしかして幽霊…?

私は恐る恐るキッチンに向かうと思いきってドアを開けた。
すると其処にはお姉ちゃんがいた。


「え?」


思わず目が点になる。

なんていったって以前とは大分変ったお姉ちゃんがいたからだ。
メイクも何もしていない。
それに髪の毛は物凄くベリーショートになっている。


「ど、どしたの?」


泣いているお姉ちゃんを見て私は言った。


「それが泣いている姉に対す態度?」

「へっ?」


するといきなりお姉ちゃんは私に抱きついてきた。


「ふぁっ!?」

「雫ぅぅぅーーー!!」


私の服が鼻水塗れになる。

お姉ちゃんが泣いている理由は分かっていた。
きっとお母さんに女の子が好きな事がバレ、問い詰められて泣きここ現在に至るのだろう。

だけどお姉ちゃんが可哀そうだよ。
そんなに女が女を好きになるのは駄目な事なの?
現時点、私もそうなのに…


「雫…?」


お姉ちゃんは鼻水を垂らしながら上目遣い私を見ると首を傾げた。


「何…」

「いや、急に黙り込んだからさ…」

「えっ、そうだっけ?」

「うん。なんかあったの?」

「ううん、別に…」


「実は私も女の子が好きなの」なんて言えるはずもなくその日はお姉ちゃんの話を聞いて夜が明けた。

お姉ちゃんの話によると公園で恋人(彼女)と手を繋いでいる所を見られ、女の子が好きな事がバレ一日中問い詰められていたらしい。

私もいつかそうなるのかなぁ。

そんな不安を抱えながら私はお姉ちゃんと一緒に朝を迎えた。

Re: magnet【9/30更新しました!】 ( No.12 )
日時: 2013/11/10 12:53
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

今日は土曜日。
私はお姉ちゃんを駅まで見送るとそのままパン屋さんに寄った。

わぁー、すごい美味しそう!

そこには見るに見かねた、とても美味しそうなパンがズラリと並んでいた。


「いらっしゃいませ…」


すると店内には似合わない低いやる気のない声が響く。
私はなぜか聞き覚えのあるような気がして店員の方に振り向いた。


「み、宮田!?」

「えっ?何で俺の名……って桐谷!?」


そこにはまさかの吃驚仰天!
宮田がいた。

でも本当にやる気なさそうだなぁー
こんなに美味しそうなパンが並んでるのに勿体無い…って…私、そう言えば昨日宮田に———


「あああああああ!!!」

「な、何だよ!?」

「告白されたんだったぁ!」

「馬鹿!デカイ声で言うな!!」

「あっ、ごめんっ!」


言った後に宮田を傷つけた事に気付いた私は後悔した。
気まずい空気が流れる。


「あのさ…今まで通りでいいから。」

「え?」

「だから昨日の事アレ忘れて。」

「あっ、うん…!」


「忘れて」って…
よかったぁ。
でもよかったのかな?
なんか私物凄く宮田を傷つけてるよね…?
でも今私がするべき事は———


「よしっ!」

「何だよ、また急に!?」

「今から特訓するぞ!」

「はぁ?」

「だーかーらー、私が宮田を特訓してあげるの!」

「お前が俺を特訓?何で?」


宮田もしかしてやる気が無かったんじゃなくてアレで本気だったの…?
いやいや、いくらなんでもそれは無いでしょ!

Re: magnet【10/4更新】 ( No.13 )
日時: 2013/10/27 17:46
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

「はぁー…」


私は小さく溜息をついた。


「とにかくするよ。」

「うーん…なら了解。」

「よしっ!じゃあ始めよう!」


こうして私達は特訓を始めた。
まずは声出し。


「私のを見ててね。」

「おう。」


私はそこに人がいるかのように接客を始めた。


「いらっしゃいませ!!」


そして満面の笑みで迎える。


「どうかな?」

「うん。まぁお前にしてはいいんじゃね?」

「何よそれ。」

「嘘だって。じゃあ俺もやってみる。」


宮田は私の真似をした。


「いらっしゃいませ…」


しかし声が出てない。
まるで幽霊とでも会話しているようだ。


「小さい。」

「ん?」

「声が小さい!」


宮田はビクッとするともう一度した。


「いらっしゃいませ!」


今度はさっきよりはマシだった。


「うん。いいかも!」

「サンキュー…?」


「何で『?』?」なんて聞きたくなったけど宮田が少しでも良くなっている事に気付き私は嬉しくなっていた。


———午後7時


もうこんな時間かぁー

時計を見ると針は7時を指していた。

それにしても早かったぁ。

チラッと宮田を見ると宮田の顔は明らかに疲れていた。

なんか悪いことしちゃったかな…?

急な罪悪感に何故か襲われる。


「宮田…」

「?」

「なんか今日はごめんね。」

「………」


宮田は急に黙った。

やっぱり怒ってる…?


「何で謝まんの?」

「え…?だってそれは私が無理やり「無理やりじゃねーよ。」

「違うの?」

「う、うん…まぁ『違う』って言ったら嘘になるかもしれねぇけどいい勉強になったし。俺は迷惑だとも何とも思ってねぇ。」


良かった…
もうそろそろ帰ろう。


「じゃあ今日はもう遅いから帰るね。じゃあねっ」


立ち去ろうとしようとすると宮田は私を止めた。

宮田…?


「送るよ。」


「送る」って大丈夫なのに…


「いいって…!」


勢いよく首を横に振る。


「駄目だ。送るから。」

「え…いいの?」

「ああ。て言うか俺がそうしたいから。」

「ならお願いしますっ…」


———カランカラン


私達はお店を出ると家に向かった。

Re: magnet【10/27更新】 ( No.14 )
日時: 2013/11/10 12:50
名前: ミム (ID: MbtYH2rf)

今日はまだ7時なのに星がいっぱい出ていた。


「星がいっぱいだね。」

「あぁ」


その時何故か成実の顔が頭の中に過った。

何で成実…?
て言うか成実に会いたいなぁ…

ボーっとしている私に気付いたのか宮田は私に声を掛けた。


「桐谷?」

「な、何…!?」


いきなり声を掛けられ驚く。
それと同時に「もしかしたら成実のことを考えていたことがバレルかも知れない。」そんな事が不安にさせた。


「何だよ、そんな吃驚して。」

「いや、別に…」


私達はそれから何も喋らなくなるとやがて家に着いた。
するとそこには———


「成実!?」


成実が居た。

成実に会えるなんて嬉しい!

しかし私達を見た成実は何故か不機嫌そうだった。
そして私に問う。


「何で宮田と居るの?」

「それはねさっきパン屋で特訓してたの!」

「特訓?」

「うん!」

「何それ?」


明らかにこの間の声とは違った。
何て言うかトーンが低い。
すると宮田が口を挟んだ。


「教えて貰ってたんだよ。」

「何を?」


何で2人とも怒ってるの?

2人の中の空気がピリピリしているのが分かる。


「挨拶とか…」

「挨拶?」

「ん、他にも「ああーもういいから、行くよ。」


その瞬間急に成実が私の腕を掴み、家に入れさせてくれるよう指示した。


「突然どうしたの?」

「いいから、早く。」

「でも宮田が…」

「………」


成実は黙った。


「何…もしかしてあいつの方が好きなの?」

「え?違うよ…!」

「ホントに?」

「うん。」


真剣な顔で言うと成実は目を逸らし少し照れたかのように思えた。

あっ、宮田は…!?

そう思い振り返ってみるとそこにはもう宮田は居なかった。


Page:1 2 3