BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

不器用な私の日常
日時: 2019/02/14 16:56
名前: 喜田之

不器用な私 の続編でございます。
まだ見てない方は前回のシリーズを見てからの方がはるかに分かります。
別のシリーズとも並行してやると思いますのでそちらもよかったら是非。
不器用な私 は完結処理いたしましたのでそちらで探すと見つけやすいです。
引き続きよろしくお願いします。
目次>>01

注意
・人外要素アリ(うっすら)
・書き込みOK
・リクエスト、感想書き込みOK

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Re: 不器用な私の日常 ( No.20 )
日時: 2019/04/30 22:45
名前: 喜田之

#1 あいつがいる朝

「腰、痛い…」
鉛のように重い腰を起こし、閉じかけている瞼を擦る。
今いる場所は犬町診療所。
かくかくしかじか、紆余曲折あり晴れて瀬名と恋人になれた。
(というか昨日の瀬名は獣そのものだよなぁ…)
昨日の情事を鮮明に思い出してしまい、顔に熱が集まる。
気を取り直して、ベットから降りて診療所の受付に向かう。
瀬名ならその辺りにいるはず、と思ったからだ。
その予感は当たり、瀬名は受付からルキのいた部屋に向かっていた最中だ。
手に持っていたトレーには、みずみずしそうなレタスの上に、カリカリに焼かれたベーコンと目玉焼きが乗っていた。
「あっ、おはようございます。ルキさん」
「お、おはよう。瀬名」
ただの挨拶なのに意識してしまうのは、昨日の情事のせいだろう。
「今、何時だ?」
「あぁ〜…3時ですね。昨日はすみません」
しょんぼりとうなだれる瀬名に、
「とりあえず飯だ飯」
と声をかけた。
*****   *****
カチャカチャと金属音が聞こえる静かな室内で、ルキは遅い朝食をとっていた。
隣の物置部屋から取ってきた長机とパイプ椅子に座って。
「…」
ちらりと向かいに座っている瀬名を見ると、申し訳なさそうに縮こまっている。
「タルトとワッフル」
「えっ?」
「昼飯は外側はカリカリに焼けたレアチーズタルト。おやつはクロワッサン風のプレーンワッフルがいい」
瀬名に向けられたリクエストに、当の瀬名はぼーっとしている。
「昨日のことは、このリクエストを超えられたら許す」
言葉の意味が分かると、瀬名は満開の笑顔を見せる。
「はいっ!俺、とびっきりのを作ります!」
「それと、夕飯はオムライスな」
新たなリクエストを付け加えると、ルキは心底幸せそうにはにかんだ。

Re: 不器用な私の日常 ( No.21 )
日時: 2019/05/05 09:33
名前: 喜田之

#2 よろしくお願いします

「一緒に…住めない、ですか」
瀬名が青白い顔で聞いてきた。
それにルキはズバリと言い放った。
「あぁ、住めない」
すると瀬名は、子供のように駄々をこねた。
「なんでですか!?」
「まず第一、お前と私は生活サイクルが違う。そして何より臨郷とこの世のどちらかに永住は無理な話だ」
個人的な正論を瀬名にぶつけると、眉間に皺を寄せながら押し黙った。
飼い主に叱られたチワワみたいに見え、心が痛む。
「…私は基本的に土日は休み、祝日は午後から休みのポリシーを持っている」
突然話された内容に、瀬名は理解できてないようだった。
ルキはプイッとそっぽを向く。
「だから、休みの日は連絡入れてからお前の家に行くって話だ!」
瀬名はやっと理解したようで、パアアアと満開の笑顔を見せた。
「それって解釈すると、『同棲はハードル高いけど休日くらい好きな人の顔が見たいから通い妻しよう』って事ですよね!!」
「っ!?」
大胆かつドンピシャな解釈に、ルキは動揺をあらわにする。
瀬名はルキの動揺に気づかず、ウキウキしている。
しかし、瀬名はある疑問を口にする。
「でも、ここからこの世?に行くのって日数かかるんじゃないんですか?」
その疑問は最もだ。
ルキは奥田に拉致…連れられて臨郷に来た時に結構な日数がかかった。
「いや、あの時は疲れとか溜まっていたから本調子じゃなかったが、もう大丈夫だ」
日数については瀬名の杞憂に終わった。
「じゃあルキさん、これからもよろしくお願いします!」
「…ま、まぁいいさ。……よろしく」
明日、いや今日から始まる生活に、期待と同時に不安ができたルキであった。

Re: 不器用な私の日常 ( No.22 )
日時: 2019/05/06 22:43
名前: 喜田之

(5月6日にちなんで)

#3 ゴム

「うぇっ、コホゴホッ!」
「あーもう!だから口元に布巻けって言ったのに!」
瀬名にくたびれた手拭いを渡す。
それを涙目になりながら口元に巻いていく。
今やっているのは、瀬名の家の空部屋の大掃除。
この掃除しているスペースがルキの自室になる。
といっても、居候時代に寝泊まりしていた部屋だからか、ウキウキ感は薄い。
その分、多少の懐かしさはある。
「はぁ…俺、埃が大の苦手で…すみません余計な手間かけさせて」
しょぼくれた瀬名の顔を見るのは何度目だろうか。
少々可哀想に思えたので、フォローを入れておく。
「いや、むしろお前の世話が焼けていい暇潰しだ」
本当はそんな暇があったら仕事を片付けなくてはいけないが、言わない約束だ。
少し貶しているのに、安定の脳内解釈で前向きに受け取ったようだった。
「____!」
思わずジィー…と瀬名の顔をまじまじと見つめる。
瀬名は視線に気付き、首をかしげる。
「何か?」
「いや…前髪が…」
今瀬名の前髪は、黄緑のヘアゴムでちょんまげのように結ばれていた。
「どうしましたか?見とれてましたか?」
「〜〜〜!!!」
瀬名の声には答えず、バタンッと荒々しくドアを閉め部屋を出た。
ずるずると、さっき出た部屋の前にしゃがみこむ。
こんなこと瀬名には言えない。
「似合いすぎなんだよ、クソガキが…!」

後日ルキから『外ではヘアゴム禁止!』と決められた瀬名だった。

Re: 不器用な私の日常 ( No.23 )
日時: 2019/05/07 22:14
名前: 喜田之

#4 粉

ガチャリと静かにドアを開く。
ここは犬町診療所の仮眠室。
一つだけの使い古しのベットに潜っているのは、犬町診療所の先生、犬町陽良。
潮内は小さいガラスのコップをおぼんに乗せて、犬町に渡そうとする。
「ヒラ、水です」
コップを手にし、犬町に近づく。
「いらない…!」
パシンッと振り払われたコップは無惨にも粉々の破片になってしまった。
それが今の犬町の心を表しているようで、目を伏せる。
「構うなって言った」
「構うじゃなくて介護ですよ」
介護と小馬鹿にされた犬町はむくりと起き上がった。
「俺、今は反抗する気力がないんだ」
「お爺さん、お薬飲みましょうねぇ」
真顔で看護師になりきる潮内に、犬町は呆れ顔。
「…粉は飲めない。というか薬は嫌いだ」
「医者である貴方が…医者失格ですね」
「それ…」
「作者は太宰治」
犬町が言おうとしていたことを見透かされ、少し複雑な心境を抱える。
「ふはっ…!」
さっきの潮内のなりきりに思い出し笑いをする。
すると潮内は安心した顔で笑った。
「やっと笑いましたね」
「__!!」
今理解できた。
この男は心配してたんだ。
「あの式、ヒラが主催者ですよね?」
「…あぁ」
「あの式の相手を選んだのはヒラ本人ですよね?」
「………あぁ」
だんだんと涙声になるヒラに、胸がチクチクと痛い。
でもそれが余計に、嗜虐心を煽られる。
「辛いなら、やらなくてもよかったはずです」
「ルキには…幸せになってほしいから」
一番幸せそうな顔で笑う犬町の顔は、まだ迷いがあるように見えた。
(ヒラの心を占めているのは当主)
この想いは__劇薬
犬町にも自分にも飲めない想いの粉薬。
苦くて、くどい劣情の味。
副作用は、自分の器に収まらない嫉妬。

Re: 不器用な私の日常 ( No.24 )
日時: 2019/05/09 21:10
名前: 喜田之

#5 自爆の尚君

「尚、アイク食べたい!ねー、こーた」
「うん!アイク食べたい!ねー、あーらた」
外見も瓜二つの男さらせがまれるのは、体力がいる。
尚は、双子が言い出した発端の甘味処を見つけた。
「お前ら言えてないぞ、アイスクリームだ」
「「アイク!!」」
全く学習しない所が双子の欠点と言える。
容姿端麗・文武両道で通っている双子は、非の打ち所がない完璧だと思えるが、思わぬ欠点がある。
それは学習しないことだ。
それは双子も分かっているので、寺子屋では完璧を演じているとぼやいていた。
ガス抜きの為に大きな人里に降りてきたのだ。
「うし!買ってくるから、こ・こ・で待ってろよ」
すると双子はこくんと頷く。
「「うん!」」
双子は近くの木陰で待っているようだった。
尚は甘味処に行き、売り子の女性に声をかける。
「すみません、アイスクリーム二つ」
「あっ、申し訳ありません。もう一度お願い致します」
どうやら会計周りの片付けに集中していたようだった。
「だから、あいすくりん二つ…あっ、えっとア、アイスクリーム二つ…で」
つい先程双子達に言えてないと言っていたのに。
売り子の女性は袖で口元を隠しながら笑うと、「かしこまりました」と奥の部屋に駆けていった。
(あいつらはいないから、セーフ…)
「セーフじゃないよ尚!ねー、こーた」
「うん!バッチリ聞いてたよ、だよ!」
突然現れた双子に驚くと同時に、さっきの失態を指摘され顔が真っ赤になる。
「うっ、あっ…」
「「かわいい〜!お兄ちゃんには敵わないけど!」」
綺麗なコーラスで軽く貶される。
ルキに敵うなんて微塵も思ってなどいない。
そこだけは双子と同意件だった。
「もう二度と連れてかねぇ…!」
と心に決めたのだった。

その一週間後、また三人揃って甘味処に来たことには、売り子の女性も微笑んだ

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