BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

小野寺と桐山
日時: 2019/09/06 21:56
名前: ナビ

たまに同じ大学で校内を歩いてる姿を見かけた。

二人の時もあれば三人から四人で歩いてる時もあって、その中に女性を見かける事は無かったから男友達とつるむのが好きな人なんだろうとは思っていたが、中でも顔が整っているその人に目を奪われた。

ただ容姿が美しいというのもあったけれど、楽しそうに歯を見せて笑うその人の笑顔は周りまでも光を放つようだった。

俺は俺で顔や容姿が良かったから人気はあったけど、あんなに美しい人は初めて目にした。

何人かの女の子と付き合ったけど、疲れないわけじゃない。溜まった不満を誰かに話したかったーーー・・・

ただ、それだけだったはずだ。

翌朝、目が覚めると見慣れぬ部屋に、ベッドの下には脱いだであろう衣服と鞄。
下着姿で寝ていた自分と、隣にはあの容姿の綺麗な人が自分と同じ姿で肩まで布団を被ってスヤスヤ寝息を立てていた・・・ーーー

ーーーーーーーーーー
第一話「小野寺と桐山のはじまり」
(>>1,>>2,>>3,>>4,>>5,>>6)
第二話「普通じゃない桐山」
(>>7,>>8,>>9)

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Re: 小野寺と桐山 ( No.8 )
日時: 2019/09/06 16:56
名前: ナビ


講義が終わるまで15分程度だったと思うが、その時間はとても長く感じた。
講義が終わって、辺りがざわざわしだす。キャーキャーと黄色い声も慣れたものだ。俺の名前を呼ぶ女の子たちの声が聞こえても返事はしない。耳に膜を貼ったように聞こえぬふり(別のことを考えてたから本当に聞こえなかったかも)で教室を出て中庭へ向かう。

周りに集まって道を塞ぐような子達はいくらでも居たけど今日は、服の袖を軽く引っ張ってきたり肩を叩いてきたり、俺の気を引こうとするしつこい子まで居るみたいで、気のないふりをカマしていた。

中庭に着く頃に首に腕が巻きついてきて背中に重みが加わった。

「っ!?ちょっと、しつこ・・・」
「小野寺、おはよっ!」

誰かが上に乗ってきたことがわかる。急な重みに腰が曲がって思わずおんぶみたいになって、抗議の声をあげようと顔だけ振り返ればふわっと知ってる香りがした。
思わず、言おうとした声が喉をつっかえて、耳にかかる声は落ち着いた低めのハスキーボイスだった。

俺と目が合うなり、歯を見せて笑ったのは俺の憧れの桐山さんだった。

Re: 小野寺と桐山 ( No.9 )
日時: 2019/09/06 21:25
名前: ナビ


「何度も呼んだんだぞー?振り向きもしないから名前間違えてんのか不安になった」
「・・・」
「?小野寺?」

人は本当に美しいものを見た時に動けなくなることを知る。
世界一と言ってもいい美貌の持ち主が目の前で喋って頬を膨らませたと思ったら俺を見て目を丸くしながら首を傾げるんだぞ。
(俺今どんな顔してるのかな・・・?)

「どうしたー?おーい、聞こえてるー?」
「・・・(眉間に皺作ってもイケメンなんだなこの人)」
「俺の顔になにかついてんの?」
「あっ、いえ」
「あ、戻った。大丈夫か?熱中症、なっちゃった?」
「・・・いいえ、大丈夫です。」

俺の反応がないことに不安になって眉に皺を寄せ、桐山さんが俺の首に回してた腕を解いて自分の顔を両手でペタペタ触って確認し出してから、我に戻る。
俺が返事をしたことにホッとため息混じりに微笑む顔も美しいけれど、熱中症という言葉が一瞬「ねっ、ちゅうしよ」に聞こえてその後の言葉に「熱中症」だと頭で変換されて、本当に体調が悪いのかもしれないと思えてくる。

でも、桐山さんと居られる貴重な時間を体調不良なんかで無駄にはしたくないから、平気だと言う。

桐山さんは「そう?」なんて聞き返すけど大して興味はなさそうだった。

おんぶをし直す為に、桐山さんの両膝を抱えて軽くジャンプすれば、桐山さんは思い出したように慌てて言う。

「あ!もういいよ、おろして。オレ、重いでしょ?」
「えっ?いや、俺は鍛えてるんでそんなに重く感じないですけど」
「うっ、いいよ、おろして?」

自分から飛び乗ってきたのに変なところを気にするんだなと思いながら、離れる名残惜しさがあるも「降ろして」と言われたので渋々「わかりました」と言って軽く屈んで脚を離す。

隣に並んで立って両手を上げて伸びをしている桐山さんを見て、自分より少し身長が低いことと本当にモデル並みに顔が小さいことを知る。体型は男性の平均って言った方がいいかな。

いつの間にか周りに付きまとっていた女の子たちは少し離れた所から俺たちを見てヒソヒソと話していたりスマホのレンズを俺たちに向けたりしていた。

なんだか気に食わなくて、桐山さんの二の腕を軽く掴んで引きながら会話を始めた。

「もう昼ですね、陽射しが強いので影に行きましょ」
「ん?おお・・・もう昼かあ。オレね、10時に起きたんだ」
「ああ・・・だからさっき『おはよう』って挨拶してきたんですね」
「えっへへ」

胸が急にグッと苦しくなった。ウッと息が詰まる。顔に熱が集まったようで目をつぶって桐山さんから顔を逸らして、桐山さんの二の腕を掴んでいない方の手で胸の服を掴む。前にもやったようなデジャヴを感じる。

Re: 小野寺と桐山 ( No.10 )
日時: 2019/09/06 21:52
名前: ナビ


桐山さんは俺の反応なんて見てもいないみたいに会話を続ける。

「ここの購買で売られてる焼きそばパン、すごく美味しくていつも売り切れちゃうから今日は早めに来れて良かった!」
「焼きそばパン?」
「そう!食べたことない?」

桐山さんの話に耳を傾けると、また食べ物の話をしていた。大学の購買には色んなものが売られているらしいが、中でも焼きそばパンは結構人気だと今知った。食べたことがないか聞かれたが、そもそも人が多い購買は人見知りの俺が軽い気持ちで立ち寄ってはいけない戦場だと思ってるから、食べたことがない以前に行ったこともない。
いい慣れたセリフを零す。

「ないです。人が多い所は苦手なので」
「えっ!もしかして、購買に行ったこともない!?」
「・・・はい」

信じられないものを見た時の反応をする桐山さんに、そんなに自分は意外な方なのかと少しショックを受ける。

「えー、もったいない」
「すいませ」
「じゃあ今日はオレが伝説の焼きそばパンをご馳走しよう!」
「・・・えっ?」

もったいないと言われて、次の言葉は「人生損してるよ」とかだろうと思いながら謝罪を口にしていると、遮るように言葉を被せてきた。
両手を合わせて顔の前で手首をコネコネと回したりその場で軽くジャンプして、今から喧嘩でもしに行くのかと思わせる動きをして準備をしているようで。

桐山さんが俺のために俺の初めて食べる焼きそばパンをゲットしに戦場へ赴くと言っているのだ。
感動で思わず目を潤ませ、両手で口を塞げば、桐山さんは片方の口の端を上げて鼻を親指で弾けば

「まかせなっ」

と言って片目を一瞬パチッと閉じてウインクをした。
少し前の時代の決め台詞と行動なのに、桐山さんがやればカッコよくて、心臓に矢が刺さったようにときめいた。
それと同時に顔が良ければなんでもいいんだなと思った。

Re: 小野寺と桐山 ( No.11 )
日時: 2019/09/06 22:28
名前: ナビ


「そういえば、桐山さんはいくつなんですか?」
「うーん、いくつに見える?」

肝心なことが聞けてなかったから聞いてみたら、少し上を見てから何か企んだ様に笑みを浮かべて聞いてくる。
半分冗談、半分本気で即答する。

「10歳」
「なっ、ばか!10歳はこんなに大きくないだろ!」

勿論、精神年齢の事を言ったのだが、見た目で反論してきた。思ったことをすぐに口にして、表情も怒ったり拗ねたり照れたり喜んだりコロコロ変わる。そういう所が隠せてなくて幼い子供のようだと思えた。
俺はさっきまでのように感情を出さずに、無表情で答えを煽る。

「それで?いくつなんですか?」
「二十歳!」
「・・・え・・・ああ、ですよね」
「なんでっ、もう!そんな意外そうな顔すんなよー!悲しいだろお!」
「うわわ、冗談ですよ、ふふ」

両手の人差し指と中指だけ立ててダブルピースして「はたちっ」と言う可愛い生き物。
俺が19歳なので年上なんだという事に驚き、それと同時になんとなく分かっていたことでもあったので、そうだよなと納得づけて言葉を返す。
俺の反応に「本当に幼く見られていたことに」ムウッと頬を膨らませて拗ねては納得いかないと、俺の服を掴んで腕を揺する。
その行為も、欲しいおもちゃを買ってもらえない子供の駄々こねを見えいるようで(衝撃は強いが)また愛しく、つい頬を緩ませて笑った。

だが、このことによってタメ口を効くタイミングが無くなったと思い残念に思うが、まだ一つ可能性が残っていることを思い出す。
そう、俺が桐山さんの年齢を知らなかったように、桐山さんも俺の年齢を知らないだろうと思って俺は嘘をついてみた。

「それじゃあ、俺が年上ってことになりますねっ」
「は?違うだろ?お前がオレより年下なのは知ってんの」
「え?どうして?」
「んー・・・ひみつ!」

桐山さんは俺の年齢が自分より下だということを知っていたのだ。当たり前のように反論されて驚いて聞き返せば、少し考える素振りを見せたあと、自分の唇に人差し指を当てて目を細めれば妖しく笑った。

Re: 小野寺と桐山 ( No.12 )
日時: 2019/09/08 11:58
名前: ナビ


「もしかして、早生まれとか?」
「んや、オレ遅生まれ」
「何月?」
「二月」
「うわー、本当に一つ年上なんですね」

んふふ、としてやったり顔で笑う桐山さんに少し憎たらしく思った。

購買が近くなってくると、座って食べられる席を確保してて、と言って桐山さんは駆け足で行ってしまった。
桐山さんが居なくなると、途端に自分の周りが静かになったように錯覚する。実際は購買の近くということもありざわざわ賑わっている。
多くの学生が座って食べられるようにテーブルと椅子が設置されているが全く足りないので、中庭や外で食べる学生も多く居る。

一人の学生が二人席を使っていることもあり、二人席は埋まっていた。仕方なく四人席を取ることにして、端に座ると俺が食堂に居るのが珍しかったからか早々に女学生二人組が話しかけてくる。

「小野寺さんですよね?お昼ご一緒してもいいですか?」
「すみません。先約があるので」

慣れた態度で淡々と断りを入れる。だが、俺が四人席に座っている事で二人組は食べ物を乗せたお盆を持って立ったまま、すぐには引かないようで。

「えー、何人で食べるんですか?彼女さんですか?私達、気にしないので」
「そうそう!ほら!丁度二人ずつ座れますしぃ」

図々しく個人情報を引き出そうとしてるようだ。彼女って言っても実際桐山さんと食べてるとこ見たら女の子じゃないからって声かけてきそうだし、面倒くさいタイプだな。
俺はスマホを片手に弄りながら画面から視線を外さず、素っ気ない態度を貫いた。

「お誘い申し訳ないですけど、ご飯食べる時間も大事にしたいので。」

チラッと二人組の様子を伺うように見れば、不服そうだが俺がこれから食べる相手との時間を如何に必要としてるか、納得してもらえたようだ。

「・・・また、今度にしよっか」
「・・・そうだね、スイマンデシター」

謝り方からして一人の子には伝わらなかったようだけど、二人組が去って暫くしたら腕を乗せていたテーブルが大きく揺れて目の前の席に誰かが座った。

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