複雑・ファジー小説
- Re: 飛天舞~忠かれた王室~ ( No.5 )
- 日時: 2019/09/14 09:18
- 名前: 渾身 (ID: m16n.Ntt)
登場人物
キム・ユシン 新羅の武将、ケベクの友人
ケベク 百済の武将、キム・ユシンの友人
ヨン・ゲソムン 高句麗の老将
真徳女王 新羅28代女王
義慈王 百済31代国王
チュンチュ 太子、後の新羅29代国王
宝蔵王 高句麗28代王
中大兄皇子 皇太子、後の倭国38代天皇
中臣鎌足 藤原氏の始祖、中大兄皇子の忠臣
ソンチュン 百済の臣下
フンス 百済の臣下
キム・ボムミン チュンチュの長男、新羅の反唐派
キム・インムン 新羅の親唐派、チュンチュの次男
キム・フムスン キム・ユシンの弟、新羅の反唐派
ヤンド 新羅の反唐派
イェウォン 新羅の反唐派
アルチョン 真徳女王の忠臣、摂政
プヨ・ヒョン 義慈王の長男
プヨ・ユ 義慈王の三男
プヨ・プン 義慈王の四男、倭国の人質
蘇定方 唐の将軍
太宗 唐の二代皇帝、チュンチュと友好関係
終
- Re: 飛天舞~忠かれた王室~ ( No.6 )
- 日時: 2019/09/04 20:23
- 名前: 渾身 (ID: Xr//JkA7)
第1話「反逆」
西暦648年、大耶城の城主であったピダムが反乱を起こす。キム・ユシンはピダムを窮地に追い込むと、ピダムは弁宰城に逃亡する。しかし、その弁宰城には最大の敵の百済軍が布陣していた。
【キム・チュンチュの屋敷】
チュンチュは口を開ける。 キム・チュンチュ(新羅の太子、真徳女王の従兄)
そして「即急に弁宰城を陥落させねば、ピダムが百済を手を組むやも。」と不安そうな顔をしてキム・ユシンに話す。 キム・ユシン(新羅の武将)
「しかし太子殿下。弁宰城に布陣していたのはあの豪将ケベクとケベクの最精鋭の兵士達です。」とユシン。
チュンチュは頭を抱えて悩む。
【弁宰城】
ピダムの元にケベクが。 ピダム(上大等、反乱の首謀者) ケベク(百済の武将、義慈王の忠臣)
ケベクはピダムに剣を突きつけて言う。「百済大王の力を借り新羅の国王となるか、或いは私のこの剣に斬られるか。」と。
ピダムはケベクに疑問を抱く。
【酒場】
酒を交わすユシンとケベク
「そなたはあの乱臣賊子と手を組むのか?」とユシンが。
「いいや、私はあの者と手を組むつもりはない。だが、百済大王の命令だ。私が嫌でも大王の命令とあらば従う他ない。」とケベクが。
涙を目に溜めてケベクを見るユシン。
「なぜ…我らは戦わねばならぬのだ。なぜ…何故…」とユシンが。
【チュンチュ側 軍営】
そこにヨムジョンが偵察にやって来る。 ヨムジョン(ピダムの部下、イチャン)
そんなヨムジョンの様子を後ろから見るユシン。
「ピダムはついに正々堂々と戦わないようになったのか。部下に偵察に行かせるとは。」とユシンが。
するとヨムジョンは服から短刀を取り出しユシンに斬りかかるが、ユシンに腹を殴られて腰を抜かしたヨムジョンはユシンの背後にいたボムミンによって捕えられる。 キム・ボムミン (チュンチュの息子、太孫)
【軍営前】
軍営前にあったヨムジョンの生首。生首からは真っ赤な血が垂れる。
その生首を見た傘を被るピダムとその部下チャンシク
ヨムジョンの死で士気の上がったピダム軍はその後、軍営に奇襲を仕掛けるが、既にそれを知っていたチュンチュはピダムを生け捕りにする事に成功。
【処刑場】
手足を縄で縛られ、連れて来られるピダム。
ピダムの四方には馬が。
ピダムの様子を見守るアルチョン。 アルチョン(ピダムの元同志)
ピダムは兵士達の手によって手足の縄を解かれ、馬の腰に繋げてあった縄を両方の手足に縛られ、馬によって手足を引っ張られる。ピダムの手足は今にも引きちぎれそうになっており、血が地面に垂れるほどだ。
地面には血の溜まり場のような物が出来ている。
その様子アルチョンと一緒に見ていたチャンソン。 チャンソン(ピダムの長男)
終
- Re: 飛天舞~忠かれた王室~ ( No.7 )
- 日時: 2019/09/06 18:26
- 名前: 渾身2 (ID: Xr//JkA7)
第2話「羅唐同盟」
西暦643年9月、ピダムは唐の太宗より「善徳女王を廃し、唐王室より新羅王と立てろ」との要求を受けていた事が後の西暦649年に分かった。それにより、親唐派と反唐派に分かれる事になる。ピダムは親唐派の立場であり、反乱を起こしたと見られる。そして、外交面で活躍していた太子・チュンチュは唐の太宗より同盟承諾を受けた。649年2月、新羅は唐衣冠礼服の制度を取り入れた。650年に独自の年号を廃止して唐の年号・永喜を使用した。また、その後、唐制に変更する事になる。
西暦649年2月13日 【妓楼】
アルチョンは酒を飲みながら唐の官服を着て、太子となったチュンチュに話しかける。
「太子殿下。何故 それほど唐に執着するのです。」とアルチョンが頭を下げて言う。
「アルチョン公。私は夢見ているのです。唐の力を借りて三韓の民が手に持つ武器を農具に溶かして、それで耕した畑に出来た野菜を食べてみたいのです。それをするまで死にたくても死にきれません。」
「はっはっは。太子殿下は随分立派な夢をお持ちなのですな。」と笑いながらアルチョン。
翌日【唐の王宮】
苦しみに耐えて胸を押さえながら喋る太宗
「皇太子よ…そなたは…新羅の太子を裏切るなどしてはならぬからな。」
涙を流して太宗の手を握る高宗
「もちろんです父上。」
【アルチョンの屋敷】
外で酒を飲むアルチョンの胸に矢先を向ける謎の刺客。
そして、そのアルチョンの胸に矢が刺さる。アルチョンは酒瓶を落とし、息を引き取る。
その黒の覆いを取る正体は…蘇定方だった。
【皇太子・皇太殿】
皇太子の元にやって来る蘇定方。
「アルチョンを始末したか?次は新羅の太子を殺せ__」
終
- Re: 飛天舞~忠かれた王室~ ( No.8 )
- 日時: 2019/09/06 18:27
- 名前: 渾身2 (ID: Xr//JkA7)
第3話「三韓植民地計画」
西暦649年7月10日__唐の皇帝・李世民が崩御した。彼は、626年に実兄を殺害し皇帝の座に座った独占欲の強い皇帝だった。そのため、高句麗を幾たびも自らの植民地にしようと出兵を重ねた。彼は後に皇帝となる息子の高宗によって「文武大聖大広孝皇帝」と名付けられ、その後は聖君として崇められるようになった。そして、唐の王位には皇太子が座る。
*西暦650年4月、唐は新羅に新羅独自の年号を廃止し、唐の年号を使用する事を要求する。
【新羅の王宮】
キム・フムスンは摂政となったチュンチュに言う。
「摂政殿下。新羅を植民地にするおつもりですか?」と。
すると、親唐派のキム・ジンジュがフムスンを指差し、口を開く。
「フムスン公!なんと言うことを!摂政様は羅唐同盟のために…」とフムスンに向かって強く言う。
すると、フムスンの隣に立っていたヤンドも口を開く。
「摂政殿下!これは唐の植民地になる事同然でございます。このような屈辱我々が受ける事など…」と。
ユシンは困った顔をしてこの言い争いを見ており、王座に座る真徳女王も共に困った顔をした。
*この反唐派、親唐派の争いは以後25年は続き、新羅史上最も醜い争いとなった。
【高句麗の王宮】
ヨン・ゲソムンの笑い声が王宮中に響き渡る。
「ハッハッハ。新羅は自滅する事になるだろう。このまま、親唐派と反唐派が対立し、戦争を起こしでもしたら、新羅はとても弱り、我らの足元にも及ばぬ弱國となるだろう。」とヨン・ゲソムン。
宝蔵王はヨン・ゲソムンに。「大莫離支。このまま新羅へ出征し、我らの脅威となる前に潰してはどうだ?」
「大王陛下。そう慌てなくても良いでしょう。今日は宴会でも開こうではありませんか。」とヨン・ゲソムン。
不安そうな顔をする宝蔵王。
【新羅の酒場】
酒を交わすケベクとユシン。ケベクは不思議そうな顔でユシンに尋ねる。
「将軍。新羅は何故…あのような状況になったのです。」と。
「私の生涯の友人の摂政様を信じすぎてしまったのだ。私はこれまで摂政様のために何だってして来た。それが三韓一統の為になるならと。だが、それは全て羅唐同盟のためだった。私の責任だ…私が羅唐同盟を成り立たせてしまった…」と涙を流すユシン。
「ハッハッハ。最近ユシン将軍はよく泣きますな。新羅で民に神と崇められるユシン将軍がなぜ、弱気になり、泣くのです。ユシン将軍の責任ではありません。一度誤り違う道に入ったとしても人間関係というものは変えられるのです。」とケベク。
「つまり、私が摂政様と手を切れと?」とユシン。
「はい。ユシン将軍。」とケベク。
ユシンの肩に手を置くケベク。
【チュンチュの屋敷]
刀を持ち、チュンチュの屋敷に入って来て、刀を抜いてチュンチュに向ける摂政の服を着たユシン。
チュンチュはユシンの様子に驚く。
「なぜ…ユシンが摂服(チョルボク、摂政が着る服)を着ておる!」
「キム・チュンチュ!唐の手先が新羅の摂政でいる資格はない!」
チュンチュは目を大きくして驚く。
終