複雑・ファジー小説
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- Installation type arms
- 日時: 2011/03/17 21:23
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
まえがき。
初めましての方は初めまして。
それ以外の方はどうもです。
深山羊と申します。
このたびは『ファジー』という部類が出来たので、
どうするか渋っていた作品を上げさせていただきます。
今作はパワードスーツを着て戦う物語です。
分かりやすく説明していくなら、
仮面ライダーならG3、イクサ、バース等。
洋画ならアイアンマン等
漫画ならゼットマンのアルファス等
特撮なら牙狼(微妙な線)、ビーファイター(左に同じ)。
などの様なパワードスーツを科学力で作った世界観での物語です。
多少の暴力的表現を含むモノの最終的には明るい(予定)終わりを迎える
はずなんで「ファジー」に投稿しました。
もしもこの作品で楽しんでいただけたなら他にシリアス・ダークで主に活躍(?)しているので
そちらもどうぞ読んでやってください。
良ければコメントとか貰えるとうれしいです、活力になります。
あと。
タイトルは仮タイトルなんでいい案が浮かんだら変更の可能性があります。
ちなみにタイトルの読みは
「インスタレーションタイプアームズ」
です。
では、どうぞお楽しみください。
【もくじ】
プラン.0 >>1
プラン.1 >>2-7
【用語】
- プラン.1【選抜戦、開始。】 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/02 22:42
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
無機質な通路に入り、ドアに『八頭&熊谷ペア』と書かれたプレートが下げられている部屋のドアを開く。
中にはパソコンに向かったままの兵司が椅子にすわって出迎えてくれた。
「お疲れさん」
片手だけ上げて意思表示するのを見てからヘッドパーツをパージして顔を出す。
少しかいた汗で前髪がぺったりしてデコにひっついているのでヘッドパーツを置いて、手で髪をかきむしり、最後に首を振る。
「さて、メカニック兼プログラマーの自称戦術家としてさっきの勝負どう見ますかね」
からかう様に言ってやるとこっちを見ずに右手を上げて人差し指でこっちに来るように手招き。
各パーツを丁寧にパージしながら兵司の方に向かう。
パソコンの画面を覗くと花田サイドの映像を流していた。
「勝ち誇っていたところ悪いが相手は言っちゃ悪いが雑魚だ。正直よく選抜戦に出れたなってレベルだ」
よく知りもしない相手のことをボコボコに言ってやるなよ。
「まぁプログラムの試作品とはいえ、電磁刀の損傷率ゼロ%だもんなぁ……」
下手な鉄砲数打ちゃ当たるとは言うが箸にも棒にも引っかからなかったみたいだし。
「次に勝ったら褒めてやる」
「どって」
キーボードを素早く打つ、画面に表示されたのは
「こいつか」
高校生アイドルと称して売れっ子でしかもイーターに乗ったりもすると有名なイケメンアイドルか。
「こいつの練習戦みたことあるけど実力は本物だ。油断してたら持ってかれるぞ」
過去の戦歴などを画面に表示していく。
「強いんだ」
戦歴だけを見ると強いんだろう
「なんだその言い方は引っかかるぞ」
「いや、負ける気がしないね」
笑って言ってやると呆れた風に
「趣味じゃないからって何でも投げ捨てていいとか思うなよ?」
皮肉を言う様に鼻で息をついて
「もちろんさ、投げ捨てていいならすでに今使ってる機体のヘッドパーツなんてジャンクショップに肩を並べているさ」
兵司は肩を揺らして笑う。
それにつられておれも笑いだした。
とまぁ笑っているのもほどほどにして、
「ところで八岐大蛇だけどアンインスートルしてこいつの次の奴には狙撃系のスコルピオンスナイパーの装備とプログラム、
それに戦闘支援の方を蛇刀にしてくれないか」
切りだすとこっちの無茶な要求に溜息をついて答えた。
「何故だ、理由を言え」
いつになくキツイ声音、お互いに未来がかかっているこの選抜戦。負けるわけにはいかないから———
というよりも無理に八岐大蛇を入れろって言ってたのに急にアンインストールしろと言われて不機嫌なだけ。
「3回戦のフィールドは広くなり木々が生い茂る、ジャングル仕様に変更されるはずだから」
「はずってお前、それ読みだろ?」
投げかけられる疑問に説明する。
「過去の選抜戦の傾向とバランスを読むと、3回戦のフィールドでまだ使われていないのはジャングルと無重力。
でも無重力はおれの前の戦闘で使用された、なら次はジャングルの可能性が高い」
それを聞いて兵司は頷き少し考えるそぶりを見せ
「なるほど、いい読みだ。確かにジャングルだと八岐大蛇の力は半減される。わかった任せろ」
パソコンに向きなおした兵司はアンインストールを素早く行うためのプログラムと変更するプログラムの準備を始めていた。
「いつも悪いな、無茶ばっか言って」
「なに、この腐れ縁は切れそうにないんだ。持ちつ持たれつさ」
相変わらず淡白な奴だ。だからこそ信用できる。
「任せとけ」
それだけ言ってパージしたパーツを綺麗に並べる作業に移る。
次の試合の準備もある、早く終わらせよう。
- Re: Installation type arms ( No.4 )
- 日時: 2011/03/05 23:29
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
◆
『勝者、八頭&熊谷ペア』
審判はちょくちょく変わるので言い方とかが異なる場合が多い。
向こうのさんのアイドル君は放心状態でぶつぶつ何か言っている。
「…僕が……負け…?……ははっ……うそだ……ははっ。あははっ、あははははははははははははっ!」
超怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
えっ?えっ?なんなのあのこマジで怖っ!
いやいやさっきからぶつくさ何か言ってると思ったら何あれ怖い。
『どうした寛人?』
兵司から通信が入った。
「いや、何でもない。あえて言うならおれはなにも聞いちゃいねぇってことだ」
棒読みで言ってやると何がどうしたのかという表情を浮かべ
『まぁいいさ、さっさと帰ってこい。スコルピオンスナイパーの準備とインストール作業があるんだからな』
「ん、了解」
さっさと引き返し控えに向かう。
控室にはスコルピオンスナイパータイプツー(個人改造武器)が組み立てられた状態でテーブルを占領していた。
部屋に入るや否やヘッドパーツをパージしてその横に置くと
「ばらして機体に付けとけ、あとヘッドパーツさっさとこっち持ってこい」
兵司がこっちも見ずに指だけで指示を出してくる。
「頼むぜ」
「任された」
ヘッドパーツを受け取りプラグを差し込んでいく。
「元からST2(スコルピオンスナイパータイプツー)には狙撃支援プログラムをインストールしていたが追加で蛇刀とリンクし、
蛇刀の集音マイクを使用した『立体フィールド形成プログラム』を試験的に入れてみた。使い方はテーブルの端にある紙にプリントしておいた。」
「相変わらず余計なオプションが大好きだな」
呆れて言うと
「負けるのは趣味じゃないとお前は言うがおれは妥協が趣味じゃない。やりたいことは最大限に詰め込む。安心しろ、すでに何度か実験済みだ」
それを聞いて各パーツをパージせずにST2を各部位に装備していく。
普通のスコルピオンスナイパーは装備出来ないのに組み立て式だ。
だがそれを改良してプログラムも緻密な計算の上で作ったのがST2。
狙撃用武器でも五本の指に入る位に好きな武器。
「八岐大蛇だがこっちもグレードアップさせておく。略式だろうが妥協は好みじゃないんでね」
二つのパソコンとにらめっこしている兵司を見て
「そういや、どっちかとういと最近はお前の背中みてる方が多い気がする」
ふと思って口にしたら
「おれもお前の顔よりお前がヘッドパーツ付けてる時の方が多いような」
流れる沈黙。
刻一刻と三回戦への時間は過ぎていく。
- プラン.1【選抜戦、開始。】 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/08 19:55
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
◆
『これより、三回戦の第一試合を始めます』
審判の声がマイクを通して聞こえる。
『寛人、読みが当たるかどうかだな』
頬を緩ませ
「そうだな」
相手の装備を見る。
機体は【機兵-花月-】(かげつ)、カラーリングはオリジナルなのか真っ黒。
特徴の花の形をした両肩のパーツは健在、ヘッドパーツの額のエンブレムの三日月。
両手の甲にも付いているのは三日月のエンブレム。
武器はどうやら電磁剣とアサルトライフル、ただのアサルトライフルじゃない。
A2S-No11(アンダーアサルトシリーズナンバーイレブン)。
トリガー部分の後ろにEP(エネルギーパック)を入れられリロード時は下部から入れると上から使いきったEPが出てきて入れ替えずにリロード出来ることで人気のシリーズ。
全体的にみるとNo11は小文字のrを横にした様な形をしている。
そう言えば機体は一回戦の紅月と同じ会社の製品か。
『両者、定位置に』
審判の声と同時にフィールドが展開される。
「来たっ!」
『これは』
読み通りフィールドは広範囲のジャングル!
ジャングルが現われた瞬間敵の動きに余裕が見えた。
明らかにこっちが八岐大蛇を使うと思っているように見え
「兵司、そろそろ通信切るから。そっちはこっちの装備を余裕綽々に説明してやれ」
なんか向こうの動きにイラッと来る。
『本当に負けず嫌いだな』
ここまで来ると面白いのか笑ってた。
「舐めてんのよ、向こうさんがさ」
こっちは結構脹れっ面な訳で
通信が切れると外部通信が完全に途絶する。
『では、合図とともに開始してください』
審判が退避して十数秒後。『Go!』の合図が出た。
『戦闘支援プログラム『蛇刀』起動、行動はフリー、対象は敵機、行動の表示はサブ4』
言い終えると腰にぶら下がっている電磁刀を三本放り投げる。
するとはずいるように刀はジャングルに消えていく。
その間におれは敵と距離を取るために走り出した。
- プラン.1【選抜戦、開始。】 ( No.6 )
- 日時: 2011/03/11 00:37
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
◆
開始時に実況と解説が話を始めた。
「いやぁ、今年の選抜戦も熱いですね」
と実況。
「そうですね、過去に出た者としてあそこに立つ高揚感は忘れられません」
と解説。
「にしても、八頭という選手、今までと違う武装に、どうやら八岐大蛇でもないみたいですね」
実況が八頭の武装を見て言う。
「ええ。もしかしたら八頭選手はジャングルを想定していたのかもしれませんね」
解説は落ち着いた雰囲気で語る。
「だとしたらスゴイ読みですね、しかしあの武装は見たことありません。自作でしょうか」
見たことないからとすぐに自作と言う
「みたことはあると言えばあるんですが……」
渋るような言い方の解説
「どのような武器何でしょうか」
疑問を投げかけて
「ばらしているから確証は持てませんがあの腕についてるパーツと背中、それにスナイパーライフル。
見る限りあれは『スコルピオンスナイパー』を改造したものかと」
その言葉と同時に会場はざわめく
「『スコルピオンスナイパー』!?」
それを飲み込むような実況の声。
「ええ。非常に似ていますし、組み立て式と思えばきっと」
解説はいたって冷静だが驚きは隠せていないようだ。
「あの『スコルピオンスナイパー』をですか。実戦で使ってるところなんて初めて見ましたよ」
興奮気味の実況。
「実際、まだ使ってはませんが」
あくまで冷静な解説。
「おおっと!八頭選手いきなり逃亡かっ!」
いきなり背を向けて走り出す八頭を見て実況が叫ぶ。
「いえ、おそらく組み立てるための時間稼ぎに場所確保でしょう」
「なるほど、鍵波選手はアサルトライフルを手にゆっくりとした前進ですね」
落ち着いたのかおとなしく椅子に座り話している。
「八頭選手の八岐大蛇を恐れてのことでしょう。実際あれは強力なプログラムと言っていいでしょう」
「にしても八頭選手に迷いはないのでしょうか、まるでどこに行くべきか分かっている様な」
「きっと、高いところに———」
解説が言い終わる前に実況がかぶせる。
「おーっと!八頭選手自らの身長ほどの段差の上に昇ると各部パーツを取り外し始めたっ!」
「早いですね」
八頭の意外な行動に会場ともども皆が皆飲み込まれる。
「腕のパーツに背中のパーツ、徐々に組み立てていきます、というか組み立てが早い!」
「手慣れてますね」
「やはりあれはスコルピオンスナイパーだったァッ!」
「しかし、このままでは狙撃も何もないですよ、木々が邪魔で打てないですね」
その通り。このままでは木々が邪魔で撃っても当たらない。
「八頭選手どうするのかァッ!」
- プラン.1【選抜戦、開始。】 ( No.7 )
- 日時: 2011/03/17 21:22
- 名前: 深山羊 (ID: DZWfhZUD)
◆
「さぁて、稼ぎますか。じゃなくて、狙い撃つぜ!でもなくて」
一人ふざけながらスコルピオンスナイパーの調節をしながら蛇刀の動きを見る。
『『立体フィールド形成プログラム』起動。敵を赤でメイン表示、ライフル弾道を青で表示、立体画をメインに表示、敵が接近した場合強制終了を優先』
メイン画面に木々が消えた敵と蛇刀のみが画面に表示され、距離と障害物の数も表示された。
『メイン回復、敵の頭のみを表示、蛇刀はポイントまで敵を追い込め』
音声入力が終わるとメイン画面には赤い大きめの点が表示され、もうひとつ小さな青い点が表示された。
両方が重なるピンポイントでトリガーを引かなければならない。
ゴクリと喉がなり全身に高揚感が満ちて笑みがこぼれた。
徐々に赤い点が青い点に近づいてくる。
「しぃーゆぅーなすいとぅーみぃーとぅー」
点が重なる。
「ばぁーんっ」
引き金を引くとマズルから細長い弾丸が木々を貫いていく。
弾丸が長いためか弾道が見て取れる。
しかし、一瞬のこと。
気がつけば敵のヘッドパーツがパージされたようで戦闘終了が宣言されて、勝利を収めた。
モブキャラ程度にやられるようなおれじゃあねーよ。
サブ画面でスコルピオンスナイパーのエネルギー切れ表示が点灯している。
しかしまぁあれだ。
これでもうスコルピオンスナイパーT2は事実上個人戦での使用不可能な訳か。
もったいないことをしたような気もする。
『次の対戦を行いますのでフィールド内に残っている者はただちに出てください』
審判の声を聞いて急ぎ足にフィールドを出た。
控室に入ると早速八岐大蛇の再インストールが始まった。
並列して出来るものなのかアンインストールも同時に処理するというあら技を見せてくれた兵司。
「もうちっとだな」
感慨深くつぶやくと兵司はちゃかすように笑い
「勝つんだろ?」
「もちろん」
負けるわけにはいかないし、負けるわけがない。
【プラン.1 完了】
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