複雑・ファジー小説
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- 復讐 5年の歳月を経て……
- 日時: 2011/07/28 17:45
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
え〜…皆様初めまして!!コーダと申します!!
このたびはこちらの小説カキコで私のオリジナル小説を投稿していきたいと思っております。しかし、過度な期待はしないでください。あっ、こんな小説かぁ…程度の期待で良いです。
小説の内容は刀と魔法のファンタジーだと思います。(私でもジャンルが少々わかっていない。)時にはこれファンタジー?という物もありますがそこは温かい目でスルーしてください。
小説に登場する人は人間や獣人、巫女などさまざまです。
それでは、これで長ったらしい挨拶を終了します。小説のほうは編集が終わり次第投稿いたします。
それではまた〜!!
なんと参照が400を超えました!なんという出来事……これは、夢?幻?読者様!ありがとうございます!
謎の企画へ→>>91
※お知らせ
これから、大規模な文章訂正を行います。なので、いつもの書き方から、一気に変わります。
しかし、更新も同時並行に、行っていきますので、ご安心ください。
※お知らせ2
そろそろ、溜まっていた小説のコピーが終わりそうになってきました。
なので、これからは地道に作成作業もしていくので、更新速度は遅くなりますことを、お知らせします。
※お知らせ3
突然ですが、私小説を掛け持ちしました。なので、こちらの小説はとんでもなく更新が遅くなると思います。
※追記1
私の小説は戦闘描写が多いので”血”や”死”などの表現が多少ありますのでご報告いたします。
※追記2
秋原かざや様に私の小説を宣伝していただきました。本当にありがとうございます!!
宣伝文章を下記に記します。
————————————————————————
もう、今となっては過去になるが、俺は昔、復讐しか頭になかった男だった。
これから話すことはウソ、偽りは全くない……復讐のきっかけ、復讐符の終止符、これからについて……隠さずにここに記すとする。
「東牙(とうが)殿!! 今日はお祭りですぞ!!」
「騒がしい爺さんだな……どうせ規模の小さい夏祭りだろ?」
屋根が全て瓦で覆い尽くされ、玄関の正面には立派な門構え。
外から見ると、縁側にたくさんの襖が見えた。
始まりは、その小さな夏祭りでの出会い。
「だーかーらー!! なんでこの商品は、何度撃っても倒れないのよ!? おかしいでしょ!?」
「おかしいたってお嬢ちゃん? 倒れないもんは倒れないんだよ」
「いーや!! 絶対なにか細工しているに違いないよ!!」
「おい……俺は女だからって手加減はしないぞ……」
「そっちこそ覚悟は出来てるの!? 私に逆らったことを深く後悔させてあげるんだから!!」
そういって、少女は。
「グリモワールオブエレメント・サラマンド、第1章「バーンストーム」!!」
東牙の足下に現れたのは、六角形の魔法陣。そこから激しい炎が噴き上げた!!
————ひとつ、話をしよう。
ある家に決まりがあった。
それは、破ってはならぬ厳しい掟。
『他人に振り回されず、自立して生きる』
その家の者を勝手に振り回すことは、斬られても文句は言えない。
また、自分から振り回されてしまえば、自分が死刑となる。
そんな厳しい掟があった。
そう、俺がいた鞘嘉多家は、そんな厳しい掟があったのだ。
「一体どうしたんですか?」
「それがですね……今日の朝、蓮花お嬢様が誘拐されてしまったんです! 犯人は、確か……“鞘嘉多”と言ってましたね」
幼い俺が彼女、蓮花(れんか)に振り回されてしまったことがきっかけで……。
「ちょっとそこの爺さん!! 私をどうするつもりなのよ!?」
「おやおや……お嬢ちゃんは、自分がどんな状況か分かっていないようですな。……我々鞘嘉多家後継者、鞘嘉多 東牙殿を引き連れたという罪で、公開処刑ならぬ公開死刑になろうと」
「!!」
「聞け貴様ら!! 俺は鞘嘉多の決まりを反対する!! そして俺は自分の名字を捨てて完全に鞘嘉多の縁を切る事にする!!」
家との縁を切る事を決意した。
「ああもう!! じれったいわね!! この際、敵か味方かとっとと決めちゃいなさいよ!! せっかく東牙は覚悟決めて、ここに殴り込んでいるのよ!? あんたも覚悟くらい持ったら!?」
「……ふふ……わたくしとしたことが子供に説得されるとは思いもしませんでしたわ」
————そして、5年の歳月が経った。
俺の視力は落ち、眼鏡をかけることとなったが、ここから、俺の復讐が始まる。
「(一体どうなっているんだ……北の都会街と言っていたが……ちっ、早いとこ解決しないとな……)」
「佐々凪(ささなぎ)殿!! 反対関係者が守りの姿勢に入りました!!」
「科門奥義第伍目『円斬刀(えんざんとう)』……!!」
「こんなんじゃぁ、東牙に顔見せられねぇよ……」
「世の中何が起こるか分からない……だから勝つまで絶対油断はするな。良いか?」
「佳恵……さん? もしかして佳恵さんですか!?」
「その声、私が忘れるはずありません……東牙……東牙—!!」
「……ふんっ、さすがだな、鞘嘉多四天王の1人……」
「もう少し違う形で出会っていれば仲良くできたのにな……」
「四天王だから? 四天王だからという理由で、東牙は人を平気で殺すのですか!?」
「おい、指示が出てないのに、長距離狙撃銃を撃つ馬鹿がどこ居る?」
「み、見たのか……私の体を……」
「おっ……これはなかなかの味……」
「だろ? この味を分かってくれる人が居て俺は嬉しい」
「……すまなかった……まさか東牙がその……そういう人だと知らず……そして私を敵としていたなんて……」
「(ちっ……動け……動けよな……)」
「そこにいるのは誰だ……」
—————————————————————チリリン。
オリエンタルな東方風世界を舞台に、刀と魔法が彼らの運命を斬り開く!!
剣戟あふれる復讐劇の先に、辿りつく未来とは……。
【復讐 5年の歳月を経て……】
現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!
「あ〜あ……自分も警視みたいに綺麗で家庭的な人欲しいですよ〜〜」
「そんなもん俺に相談すんな……自分の花嫁くらい自分で探せ……」
————————————————————————
宣伝文章終了。
・読者様
ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
琴月さん(*鏡花水月に蝶は舞う*を執筆している方です。)
龍宮ココロさん(白ずきんちゃんと。〜ワンダーランドの住人童話〜を執筆している方です。)
(同時に、ゴッド・コードウルフ。という小説も執筆している方です。)
水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
長月さん(神王サマは15歳!を執筆している方です。)
・絵を書いてくれた方々
しかやんさん(美しい、柊 樅霞さんを描いてくれました!ありがとうございます!)
・評価をしてくれた方々
緑月華さん(評価ありがとうございます!そして、蓮花を好きと言ってくれて、嬉しいです。)
水瀬 うららさん(とても詳しい評価、感想をありがとうございます!私からは感謝の2文字しか出てきません!)
・鑑定をしてくれた方々
秋原かざやさん(非常に丁寧な鑑定、ありがとうございます!私の弱点を教えてくれて、本当に嬉しいです。)
・宣伝をしてくれた方々
秋原かざやさん(とてもドキドキするような宣伝、ありがとうございます!そして、楓のことを好きと言ってくれて、嬉しいです!)
壱目 出会いと別れ
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
>>8 >>9 >>10 >>11
弐目 再開、そして別れ
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17
>>18 >>19 >>20
参目 新たな仲間と敵
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28
四目 裏切り裏切られ
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
>>35 >>36
伍目 城内戦争
>>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42
六目 巫女と鈴と刀と……
>>43 >>44 >>45
七目 衝撃の事実
>>46 >>47 >>48 >>49 >>55
八目 過去よりも今
>>58 >>59 >>60
九目 雪月花解禁
>>64 >>66 >>71 >>72 >>73 >>79
>>80 >>81 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87
拾目 活動、反省、計画
>>90 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>106
拾壱目 柊樅霞の呟き
>>107 >>108 >>109 >>112 >>113 >>114
>>115
拾弐目 それぞれの思惑
>>116 >>121 >>124 >>125 >>126
拾参目 城外大戦争
>>128 >>131 >>133 >>137
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.133 )
- 日時: 2011/07/24 21:19
- 名前: コーダ (ID: AfTzDSaa)
「よし!第2門、突破!」
一方、東牙に置いて行かれた女性4人は、無事に第2門を突破していたという。
「どうせ、ここも大量のトラップが、埋められているに違いないわ。」
「慎重に進みましょう……と、言いたいところですが……。」
佳恵はそう呟きながら、体を後ろへ振り向かせる。
そこには、大量の追手が迫ってきており、のんびりしている暇はなかった。
すると、樅霞が懐から1枚の札を出して、颯爽と第2門へ、黙って向かう。
思わず蓮花は「ちょっと、樅霞!?」と、叫ぶ。だが、それでも樅霞は、一切、振り向きもせず走る。
そして、樅霞は第2門の入り口で止まり、懐から出した札を、勢いよく地面に張り付けたという。
————————————————————チリン。
————————————————————「柊流、霊術結界……『護高結界壁(ごこうけっかいへき)』!」
バチン、大量の追手が、第2門をくぐろうとした瞬間、見えない壁に、思いっきり弾かれたという。
そう、樅霞は第2門の入り口を、とても大きな結界で塞いだのだ。しかも、ちゃんと高さも20mピッタリにする。
この光景を見た蓮花は「すごいわ……これが、霊術……。」と、目を限界まで上げて、呟く。
「ふふ……この結界は、どんな衝撃が来ても、耐えることができる……そして、破る方法は2つ。1つは……私が解除するか。もう1つは……1週間経つ、だ。」
カチャッ、樅霞はメガネを上げ、さらに、これでもかというくらい、目を吊り上げて、向こう側に居る追手に言う。
「これで追手の方は、心配しなくていいんだな。」
楓は、腕組をしてほっと一息しながら、この言葉を呟く。
—————————————————————ジャキン!
—————————————————————「……!?」
突然、何かが、楓の横を通った。
何が起こったのか、判断できないくらい、一瞬の出来事。
しかし、1つだけ分かったことがある。自分の左頬から、生温かい液体が、ドクドクと流れている事だけは。
そして、楓はゆっくりと、後ろへ振り向く。
そこには、自分と同じように、ふさふさした2つの耳と、獣らしい尻尾が生えていて、和服を着た男の獣人が居た。
「お前は……?」
楓は、犬歯を出しながら、自分と同じような姿をしている人に、そう、尋ねる。
すると、和服を着た獣人は黙って楓の方向へ体を向ける。
片方の目が隠れるくらいの長い前髪が、第一印象に残り、次に残ったのは、充血しているように赤い瞳だった。
「グルル……貴様が……例の獣人か……。」
おぞましい鳴き声をだす、男の問いかけに、楓は「例の獣人かは分からんが……私は、東牙と共に行動している狼だ……!」と、おぞましい眼光で、答える。
「狼だと……貴様みたいなやつが俺と同じ……?認めん……貴様は、犬で十分だ……!」
この言葉に、楓の堪忍袋は完全に切れたという。その証拠に、完全に狼みたいな眼光になっていて、花刀を、鞘から抜いていたからだ。
「面白い……貴様も刀使いか……。」
男は、先程、楓の左頬を斬ったであろう、刀を鞘から抜き、両手で持って、構える。
そして、狼の瞬発力を活かして、一瞬のうちに楓の懐へ入り、刀を左上に、45度の角度で振る。
ガキン、楓も狼の動体視力を活かして、なんとか男の一閃を、自分の刀で受け止める。
「くっ……なんていう……力だ……。」
楓は、男の押しの強さに、若干負けていたという。
このままでは、ラチがあかないと判断した楓は、とりあえず、自分の持っている刀を手放し、さっと横へ移動する。
もちろん、これにより男は、勢いよく前へ倒れそうになるが、一瞬のうちに、刀を左手で持ち、右手を地面につけたという。
この隙に、楓は手放した花刀を拾い、男との距離を5mくらい離す。
「ちょっと、楓!?大丈夫なの!?」
蓮花は、少々息が切れている楓を心配して、そう叫ぶ。
「ああ……ちょっと油断しただけだ……。」
楓が、蓮花にそう言うと、男は「油断……だと……?」と、呟きながら、態勢を整える。
「貴様……先のは、油断をしていたのか……?ふざけるな……狼なら、常に油断なんていう心は持たん……グルル……。」
「なんだ?なら、お前は普段の生活は、ずっと警戒してすごしているのか?」
楓の言葉に、男は「当たり前だ……この、永俣 狼鍍……人生で、警戒を解いたことなど、1度もない……。」と、強く言う。
「そうか……だが、その考え……私、犬頌 楓は賛成しない……!」
楓もお返しと言わんばかりに男へ強くそう言う。
すると、蓮花は、すっと懐から杖を出すが、その瞬間。
—————————————————————ドカッ!
なんと、蓮花はいつの間にか、狼鍍によって、城壁に背中を叩きつけられるくらいの、攻撃を喰らっていたのだ。
「うっ……。」
「蓮花!?」
佳恵は、城壁に叩きつかれた蓮花の元へ、駆け寄る。
「貴様……魔法を詠唱しようとしただろ……?俺の……邪魔をするな……!」
どうやら狼鍍は、蓮花が懐から杖を出すという行動を見て、一瞬のうちに、脳内で、邪魔になると判断したらしい。
そして、狼の瞬発力で、蓮花の懐へ1秒も経たずにたどり着き、刀の柄を使って右に跳ばしたという。
「お前……よくも蓮花を……。」
楓はそう言って狼鍍に向かって一閃をする。
ガキン、やはり刀で止められてしまう。
「グルル……ここだと邪魔が入るな……。」
狼鍍はそう言って、右足を使って楓の足を思いっきり払う。
バランスを崩されて、思わず転んでしまう楓。
「来い……貴様とは……1対1で戦う……。」
気がつくと狼鍍は、高さ20mもある門の上で、腕組をしながら地上に居る楓に言う。
もちろん楓は、この挑戦状を速攻で受け取り、狼鍍と同じく、高さ20mもある門の上へ跳んで行ったという。
獣人は、非常に身体能力が高いので、これくらいの高さを、跳んで上るくらい、朝飯前である。
「全く……東牙といい、楓といい……せっかく考えた作戦を、忘れているな……。」
樅霞は、門の上へ跳んでいく楓を見ながら、浅い溜息をして、小さく呟く。
そして、壁に叩きつかれた蓮花の元へ、ゆっくりと向かう。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.134 )
- 日時: 2011/07/24 21:23
- 名前: コーダ (ID: AfTzDSaa)
長月さん>
ここでは初めまして!そして、コメントを残してくださり、ありがとうございます!
とても面白いと言っていただき、私とても嬉しいです!
どうぞ、自分のペースでお読みください!こちらの小説へ更新が非常に遅くなりましたので(笑)
応援のお言葉もありがとうございます!これを、私の糧にしていきますね。
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.135 )
- 日時: 2011/07/24 21:52
- 名前: ステッドラー ◆7L7/Uupxyg (ID: hAtlip/J)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
楓さん四天王の割には控えめな強さですよね・・・
撃たれた所を東牙に助けられたり、鉈崎にb武器を叩き落とされたり・・・
もしかして四天王ってのは飾りで、もっと強い奴が上に居る・・・??
楓が涙を流して四天王を脱退する事を決意し、東牙を助けるシーンが最高でした!
名シーンですね!!
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.136 )
- 日時: 2011/07/24 22:39
- 名前: コーダ (ID: AfTzDSaa)
ステッドラーさん>
そうですねぇ……今思うと、楓は四天王の中では控えめな部類です。
むしろ、諺瑚の方が四天王に向いているのでは?と思ったこともあります(笑)
楓が涙を流して、四天王を脱退するシーンは、私も非常に力を入れて書きました。
名シーンと言っていただきありがとうございます!
- Re: 復讐 5年の歳月を経て…… ( No.137 )
- 日時: 2011/07/28 17:45
- 名前: コーダ (ID: n/BgqmGu)
門の上で、2人の獣人が刀を構えて、お互いをじっと見つめる。
その恐ろしい獣のような眼光は、気の弱い人が見ると、一瞬で気絶するくらいだという。
「グルル……。」
「ここまで、狼らしい獣人は……初めて見たよ……。」
狼鍍は、獲物を狙うと言わんばかりに鳴く。
楓は、少しだけ恐れながらこの言葉を呟く。
そして、狼鍍は楓の懐をめがけて走る。
ガキン、2人の刀が触れ合った瞬間、わずかな衝撃波が生じる。
それほど、お互いの力があったのだろう。
「くっ……。」
同じ獣人同士だが、やはり狼鍍は、男だけあって力の方はとてもある。
グイグイと押される楓。
このままでは、地面に押し倒されて、隙を見せてしまう。
だが、どうやってこの場を乗り切れば良いのか、全く思いつかない。
「(この状態をなんとか……する方法は……!?)」
楓の心の中はとても焦っていた。
このまま何も出来なければやられてしまう。
だけど、やろうにも何をやれば良いのか分からないという極限状態。
すると、ふと楓の脳内に、柊神社で、東牙と手合わせをした時の記憶が流れる。
あの時、自分は東牙を刀で思いっきり押していた。
心の中では、勝ったと思っていた、あの押し合い。
しかし、東牙は突然、地面へ自分から思いっきり倒れこんだ。
これにより、楓は前に向かって思いっきり倒れる。
「(……やってみるか……。)」
今は、あの時と逆の立場で、自分が押されている状況。
だから、東牙みたいに、楓は勢いよく後ろへ倒れる。
すると、狼鍍は案の定、前に思いっきり倒れこむ。
この瞬間、楓はさっと立ちあがり態勢を整え直す。
「くっ……小癪な真似を……。」
「これくらいしないと……お前には勝てないと思ってな……。」
狼鍍も態勢を立て直し、刀を構えて楓にそう言う。
この時、楓は思った。
——————————「こいつは、私と似ている。」
戦い方、刀の使い方、全て自分と似ていることに。
つまり、狼鍍は楓にとって、自分自身のような存在であった。
「(……こいつに負けると言う事は、私は自分自身に、負けるということか。だけど、逆に、こいつに勝てば……。)」
心の中で、そう呟く楓。これは、自分自身の戦いであると確信する。
「狼なら……正々堂々と戦え……。」
狼鍍は、鋭い犬歯を出しながら楓に強く言う。
しかし、当の本人は「正々堂々戦うのも大事だが……頭を使って戦うのも大事だぞ?」と、真正面から戦う事を好む獣人には、似合わない言葉で返す。
この言葉に、狼鍍は「グルル……。」と、鳴き、そのまま楓の懐へ走る。
いつもの楓なら、そのまま刀で受けるだろう。
しかし、それでは先と同じような結果となる。
一呼吸して、いつもと違う対処をしようと目を閉じて、考える楓。
「(……東牙と佳恵ならどうやって対処する……?)」
狼鍍との距離はどんどん縮まっていくのに、楓は冷静に心を落ち着かせて、ひたすら考える。
だが、狼鍍は楓の行動に、全く違和感を思わなかったという。
「(……!?)」
楓は、突然何かを閃く。
そして、花刀をぎゅっと両手で握り、構える。
ゆっくり目を開けると、そこには狼鍍が、今にも刀を振り下ろそうとしている。
その時楓は、いきなり狼鍍の懐へ、とてつもない早さで向かった。
「……!?」
カラン、突然狼鍍は、刀を地面に落として、後ろへ弧を描くように3mくらい跳んで行ったという。
「モーションの大きい行動はやめておけ……。」
楓は、犬歯を出してやってやったと言わんばかりの表情で言う。
狼鍍が、刀を思いっきり振り下ろす動作をしていた時に、あえて素早く相手の懐へ向かった理由。
それは、相手の隙を突くために計算された行動だったという。
狼鍍は、楓に向かって、思いっきり刀を振り下ろすモーション。
つまり、それは両手が頭の上にある状態で、懐あたりはガラ空きである。
楓は、そのガラ空き部分へ思いっきり体当たりしたのはそのためである。ただし、もう1つ考えがあった。
狼鍍は、楓の位置を確認して刀を振り下ろすタイミングを絶対に計っていたと思う。
だから、その計算を狂わせるため、刀を振り下ろす瞬間に、楓は突然、勢いよく前へ向かったのだ。
おそらくこの行動は、東牙がやりそうだな、と思って行った行為である。
「……貴様……。」
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