複雑・ファジー小説

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久しぶりに創作活動したら主人公俺だったずww
日時: 2011/08/05 23:55
名前: 浅葱秋夜 (ID: qoVi4/mV)


くそwwww
いまノーパソからなんだけどwwww

異世界でもインターネットってつなげるんだねワロスwww

でも不思議!もしもしの電波MAXなのに電話番号は全部『おかけになったでんわばんごうは(ry』なんだぜ?メールもまた然りwwワロエネエwww

しかもねwww世界観俺の小説(黒歴史)とそっくりでワロエナイwww

なんか世界観の知識あるとやたら恥ずかしいね!
この小説の主人公二股ルートいくんだぜwww

『叶永ちゃんを助ける(キリッ』とかほかの女にハグしながら言うんだぜwwwさすが俺の小説(暗黒時代)wwwww
我ながらマジキモイっすwwwしにたいww

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

……まぁキーボードで芝連打する作業にも飽きたのでここで小休憩。

どうも、浅葱秋夜です。アキヤ君ってよんでね。
まあ、細かい事情は割愛していいと思う。
芝生やしながら説明したし。

……いや、まとめておくか。芝は使いすぎても嫌われるし。

現在高校三年生の俺は小〜中学生の間小説を書いてた訳だ。
厨二否、小二病もいいとこのやつ。
で、その小説の一個にいつの間にか入り込んでた……?
タイトルは「妄想顕現」妄想で作った武器で高校生が戦う異能バトル物。
完結間近で書いてたサイトが突然の封鎖。文章がサルベージできなくなって他のサイトでリメイクを計画するも大作故に断念。お部屋に巨大なプロットシートのみが残ってたヤツだ。人気もあった。

世界観は現実世界と全く変わりない。違うのは”組織””妄覚者””イビツ”等々、異能バトルに必須の能力や敵が存在すること。

ん?なんでここがその世界だって分かるのかって……?
だってそりゃあおまえ……


「聞いてるか?タカヤ……タカヤ!」

「……ぅす……」


俺がなぜか主人公視点だからだよおおおお!!
無理無理無理無理!運動神経抜群で曲がったことが嫌いだけど捻くれた熱血漢なんて俺には荷が重い!!

しかもシーンはなかなかヤバイところみたいだ。
この小説は三部作なんだけど、現在二部のラスト前っぽい。
主人公は”組織”に所属していて”妄想の力”を悪用するヤツと戦うんだけど”組織”最大の敵”妄覚者(妄想を能力として使える人)”の犯罪集団”イクス”ってのがある。
その敵組織に殴り込みかけて決着つけるぞって所。

ちなみに原作では形式美で四天王的な奴らをタイマンで倒していったはず……うーん作者のくせに記憶が曖昧。

でも、曖昧な記憶でも覚えてることは覚えてるんだ。
だから言える。
これは”違う”
内容が、ずれてる。
一カ所、長重要なところが……。

組織最強の男、時任赤也。彼がなぜか裏切っている。
結末まで最強の味方である彼がいない。
これはまずいのだ。

なぜかって?
そりゃあ

時任赤也が主人公:羽野貴矢を助けなきゃガチで主役が死ぬ。
主人公視点で小説にトリップしてる俺としては非常にまずい。
だって死ぬんだぜ?敵ボスの能力”停止”で動き止められて大剣で胴体から真っ二つにされるんだぜ?

戻さなきゃならない……展開を!
曖昧な記憶を頼りに、台本を正しく修正する。……とりあえず目的はそれだろ。

がんばれっ、俺!

Re: 久しぶりに創作活動したら主人公俺だったずww ( No.5 )
日時: 2011/08/09 15:05
名前: 浅葱秋夜 (ID: qoVi4/mV)


作戦当日。早朝

「…………」

今日中に、今日中に時任赤也のポジションを元に戻さないと羽野貴矢は死ぬ。
そして、現在羽野貴矢のそものである俺もきっと。
理由なんて、確証なんてものは無いがきっとそうだろう。

「びびるな。羽野貴矢は作中で人殺しなんてしてない。安心して暴れろ……」

怖い。怖い怖い怖い怖い怖い。
自分の書いた内容が、いや”戦闘”がここまで恐ろしい物だと思っていなかった。

「羽野……?大丈夫かい?」

六岡要二が怪訝な顔で聞いてくる。
組織のナンバー3、一位が同率で二人なので二番目に強い。
武想は白二角、二本の短剣の形状をしている。
能力は半透明の強固な”壁”を生成する。
最高クラスの汎用性を持ち、戦闘以外でも非常に役立つ。
作中で最初に根源武想にたどり着く設定になっていたはず。
ちなみに根源武想は鎧の形状をしていて、外部からの攻撃を完全に遮断する絶対防御の武想。
名称は白昼夢。

「……大丈夫です。ちょっと、緊張してて」

「気持ちは分かるよ。前例の無い最大の戦い。戦争と言ってもいいくらいだからね」

無自覚プレッシャーとか勘弁してほしい。

「先輩、今更ですけど戦うときって怖いですか?」

自分の設定したキャラクターにそんなことを聞く。
返答など、分かりやすいものだ。

「さてね、いざ戦闘が始まればもう無我夢中、下手をすれば喋るのもままならない。でも」

彼は

「みんなを守るためなら恐怖を握りつぶしてでも僕は迷わず戦う」

そう、迷わないのだ。
この物語の人間は、迷わない。
羽野貴矢ですら、立ち止まっても、迷うことは無い。

所詮、作り物の人間達。
本物の人間の思考はもっと繊細なんだよ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そして、廃工場。
ここがイクスのアジトである。

既に周りには十数人ほどの敵。
妄覚者を模った幻。

「武想」

怖いなら、迷いがあるなら、握りつぶす。
今だけ、今だけは俺も物語の中のキャラクターでいい。

そして幻を、人の体を斬った感覚を吐き気と一緒に飲み込んで押しつぶした。

組織の妄覚者の人数は27人。
時任赤也、その他負傷済みなどの理由で差し引いて23人。

その全員が戦っているのに、十数人だった敵は既に100を超えている。

「おおああぁァァ!!」

刀身から巨大な”波”を放ち、五人ほど巻き込むが、その間に六人は増えている。
キリが無い。いや、それどころかこのままでは数に飲まれる。

「要二っ!」

「分かってる!進藤、任せてもいいかい!?」

「了解、赤也をまかせますよ」

六岡先輩と堤先輩が離脱に入り、先へ向かっていく。
これに続かなければならない。

「っ!叶永ちゃん、夜桜ァ!」

しかし、周りを見ても二人ともいない。
ここで離れる訳にはいかないだろ……。

「(くっそ!)」

どうする、どうする?

『困ってんなァ?おいおい、この体貰うのはオレなんだからちゃんとしろよぉ、結末かえんだろぉ?』

鳴海、浩介……。つか今の台詞に違和感がある。結末を、変えるといったのか?

『ァア、分かってるぜ?誰かはしらねえが貴矢ではないんだろぉ?だいたい、てめえの思考から目的も何も分かった。納得はできねえが、そういうことだろ?』

……まじかよ、底の知れないようなキャラに仕立て上げたつもりだったけどさ、ここまでかよ……。
てゆーか、羽野貴矢を殺させたくないなら協力しろ。出てこないで力だけ貸せ。
出すときはちゃんと出してやる。

『ははぁん、交渉ってか』

違うね、命令だ。

『ふん、しゃーない』

と、浩介が呟くと同時、目の下が焼けるような感覚に襲われる。
目の下から頬にかけての牙のような紋章。
想喰のマークだ。

羽野貴矢の想喰か?

『いや、オレのだ。やっちまえ』

浩介の想喰なら”周りの目を気にせず”使えるだろう。

「想喰、八咫烏」

呟くと刀身から漏れ出していた紅色のエネルギーが一気に黒ずんでいく。

想喰の本体は独立した生命体になる。
津田叶永を喰らった想喰の本体は蜘蛛。
三部ででてくる情報屋だと宇宙人。
そしてこの鳴海浩介の場合、武想と一体化している数千匹のカラス。

そして、そのカラスは一気に飛び立つと数百人の”幻”を喰らい尽くしていく。
喰らう間にも敵は増える。
が、それでもいいのだ。

見えた。津田と夜桜が。
急いで駆け寄り六岡達の向かった方を指さす。

「こっちだ!急ぐぞ!」

Re: 久しぶりに創作活動したら主人公俺だったずww ( No.6 )
日時: 2011/08/10 17:08
名前: 浅葱秋夜 (ID: qoVi4/mV)


さて、浩介の協力でなんとか台本と同じ流れを作っている。
しかし、一番の問題である時任は裏切りっぱなし、どこにいるかも分からない。

しかしおそらくこの廃工場のどこかにはいるのだろう。

「さて、丁度五人集まったんだね」

先輩二人に合流した俺たちに六岡先輩が言う。

「丁度五人?」

夜桜が聞き返す。

「そ、丁度五人。全員で一部屋づつ行くこともできるけどさ」

と六岡先輩が指を指したのは床、パイプ上にスロープのような物が続いている。
俺が書いたのは普通に五部屋だった気がするが……まぁいいか?

「下調べの段階で各部屋のスイッチを押さないとたどり着けないのは分かってる」

危険の度合いは跳ね上がるけど……と六岡の口調が弱くなる。
おそらく兄との決着に他人を巻き込みたくないのだろう。

「大丈夫ですよ六岡先輩。ここにいる全員組織では相当強い人間なんすから。信じてください」

と、言ったのは他でも無い。俺だ。
迷いを晴らすとかそう言うのでは無い。
ただ、台本通りに進めたいだけ。
死なないために、である。

「分かった。じゃ、みんな……死ぬなよ」

六岡はそう言い残して一つのスロープに飛び込んでしまった。

「そういうことだ。気ぃつけてくれ……特に叶永ちゃんの武想は……」

津田叶永の武想はタイマンだと危ない。
弓の形状をした武想で身体の活性化と妄想で作り上げた超範囲、超威力の矢の二つの能力を持つ。
両方サポートと援護に特価しているから……

「大丈夫。双翼で剣にできるから」

……それも、意味なく負けてしまう。
”知っている”というのは自分が手を下すような罪悪感がある。
ただの登場人物だとしても、それでも申し訳ないのだ。

「無理すんなよ……叶永ちゃん。夜桜、”波”ストックしとけ」

夜桜の武想は長刀の形状をしている。
能力はエネルギーの吸収と排出。
羽野貴矢の武想の出したエネルギーをあらかじめストックしておけば擬似的に紅鴉と同じ能力が使えるのだ。

「最大級のデカイ波3発、小さいのなら15発は撃てる」

うん。と紅色のエネルギーを自分の武想に吸収しながらうなずく夜桜。

六岡に続いて堤稀花も行ったようだ。

俺は、津田と夜桜がこれから戦って怪我をするのだという事を無理矢理忘れるようにスロープに飛び込んだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……っと、梧、龍」

熱があるかのように血走った目、両手に持った刃の塊。
能力は十秒に一度、一秒間だけ妄覚者を、想喰をも軽々と超える身体能力になる。
妄獣に近づいている故に武想と同じ質感の空色と白の”尾”が首の後ろから飛び出し、背骨を這うように出ている。

「ぉ、ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

うるせえよ

「羽野タカヤアアアアアアアアアアアアアアア!!」

うるせえ
……気がたってんだよ。

『へぇ、貴矢だとそこまで自分勝手にキレねえんだがなぁ。オマエ、貴矢より俺に近いなぁ。気に入ったぜぇ』

いいからオマエの武想貸せ。
殺さない程度に痛めつけて速攻終わらせる。
で……

『でぇ?津田叶永助けに行くのかぁ?感情移入は構わないがよぉ、台本通りを目指すなら行動順番はかんがえろよ』

……分かったよ。時任を探せばいいんだろ。

『はっ、素直でいいねぇ。だが貸すのは八咫烏だけだ。武想は出す気は無いないぜぇ』

そうか。浩介の武想は触ったら死ぬヤツか。

『そぉそぉ、オマエに使わせる訳にはいかないんだろぉ?』

悪いな。気ぃ使わせて。

『いやぁいやぁ、気にすんなよぉ。貴矢より気に入ってるんでねぇ。っと名前を聞いて無かったなぁ?』

浅葱、浅葱秋夜だ。

『タカヤときてアキヤか。オマエ、自己投影しただろぉ?恥ずかしいヤツだな』

うるせー、誰しも主人公になりてえんだよ!行くぞ!

俺と浩介の声が重なる。
羽野貴矢の仲間ではなく、浅葱秋夜の仲間ができた。
悪くない。

『「想喰、八咫烏」』

『「誰も見てねえなら激戦演じる必要はねえ。アドリブで悪いが速攻でキメる!」』



Re: 久しぶりに創作活動したら主人公俺だったずww ( No.7 )
日時: 2011/08/11 13:04
名前: 浅葱秋夜 (ID: qoVi4/mV)


『「うっらあああああああああ!!」』

一気に距離を詰めて、殴る。
モロに顔面にぶち当たり妄想を、今の龍の”気持ち”を吸収した感触が広がる。

妄獣化してるだけあって馬鹿みたいな妄想の量してやがる。
吸収しきって無力化は時間がかかりすぎるな。

『「武想:紅鴉」』

武想と想喰が同時に使えるというのはこの物語にて異常な強さが確立される。
単純な力押しでは絶対勝てない。
武想のエネルギーを想喰として喰って武想のエネルギーにする。
これを繰り返して循環することで武想は無限にエネルギーを保ち続けられる。

弾切れがないガトリングガンのような物である。

『「吹っ飛べ」』

赤黒い”波”が部屋中を埋め尽くす。
対消滅の能力は消しているが一気にダメージを与えられるはずだ。

波とホコリが落ち着いて片膝をついている龍が見える。

『「やめとけ、龍。いまのオマエじゃ勝ち目ねえよ。ま、俺がやめるつもり無いんだけどさ」』

言い終わる前にもう一発波を撃つ。
龍が完全にダウンしてるかどうかも確認せず、壁にあったスイッチを起動してエレベーターに乗り込んだ。

……原作じゃあ考えられねえ無双っぷりだ。

『そりゃあそうさぁ、俺が全力で力貸してオマエもオマエで羽野貴矢より羽野貴矢を、その戦い方を知っているんだからよぉ』

うーん、ここの時点でほんとは羽野貴矢<梧龍なんだけどな。

『まぁいいじゃねえかぁ、早く時任さがそうぜ?』

そうだな。いちいちぐだぐだやってる暇もねえ。

エレベーターが先ほどのスロープがある部屋に到着し、降りて周りをみる。

「まだ戦闘が終わったのは当然俺だけか。この先は澤宮だから、戻るべきか」

『そだなぁ、乱戦に紛れてるか————

浩介が俺の中で言いかけたのが途切れる。
乱戦してる方。怒声。明らかに口論の声だ。
この声は、進藤と、俺のイメージ通りの……時任。

「浩介、今度は武想も貸せ。対消滅は時間操作に無力だ」

『あぁん?”触死の砂”なら対処できんのかぁ?』

「ああ。時間停止の効果を殺せる。つーかオマエの武想、基本的に何でもできるぞ生き物だけで無く能力とか全部殺せるようにできてる」

『まじかよぉ、そういう概念的な能力まで殺せるのは意外だわ。さすが作者様だな……』

会話している内に工場の外にでた。
幻はほとんど消え、妄覚者もほとんどが殺されていない物の無力化されている。
状況は進藤と時任の一騎打ちだ。

「時任さん!」

羽野貴矢のしゃべり方で叫ぶ。
時任は目だけを動かしこちらを一瞥。
そして

「進藤以外が俺に勝てるわきゃねえだろうが。———武想」

『「武想!」』

周りの時間が停止する。
進藤も、他の妄覚者も一切動かない。
しかし、俺と時任だけは、そのままである。

「……なにを、した!?」

『「悪いな、時任さん。いや、時任。”状況が変わってる”んだ。ふん縛ってでもアンタにゃ組織側に戻って貰う」』

時任の表情がゆがむ。
歯を食いしばり、武想を構えながら

「オマエ、ほんとに羽野か……?」

『「違う。詳しい話はできない。けど、アンタの目的は知らなくても分かる。構想はできてたからな」』

時任は意味が分からない、といらつくがそんなことは関係ない。
言うことは一つ

『「アンタの目的は羽野貴矢がいないと完遂できない。しかもこのままだと羽野貴矢は死ぬぞ」』

「……時間は無い。なんて言わせねえぞ。全部話せ。洗いざらいだ」

全部話す。というのは物語上重要なキャラクターにいらぬ知識を与えると言うこと。
だが、今は……

「分かった。アンタと戦う気は無いし、アンタの望む情報は知っている限り……いや、覚えている限り教える」

武想も、想喰も解除して全部教えることにした。
そして、浅葱秋夜の仲間は、一人増えた。

Re: 久しぶりに創作活動したら主人公俺だったずww ( No.8 )
日時: 2011/08/13 15:14
名前: 浅葱秋夜 (ID: qoVi4/mV)


「にわかにはしんじられねえな……」

などと言いながら全部飲み込んで協力してくれる事になった時任。
裏切った理由はやはり俺の設定、第三部の後付けに関係しているらしい。

「で、すぐに合流してもいいのか?」

気だるそうに武想を型にかけ、時任が聞いてくる。

「いや、ここからは台本と同じ動きをする。羽野貴矢の主観で動くからアンタは見つからないように待機、澤宮との戦闘中に割り込んでくれ


「なんか、本気の戦争のはずなのにどうしてこうなっちまったかな?」

イヤミではないのだろうが、何となく申し訳ない。
が、今はそんな甘えた事を言っている時間はない。
スケジュールが押している。

『よぉ、津田が負けたみてぇだぜぇ?』

「うし、行くか。じゃ、時任……さん、頼みます」

時任は一気に気持ち悪そうな顔をして

「羽野なのに羽野じゃないと思ったら今度は羽野本人のマネかよ。よしてくれ、きもちわりい」

そうか、悪いな。とだけ言って津田の飛び込んでいったスロープに飛び込んだ。



「叶永ちゃん!」

……くそ、実際に見ると気分悪いもんだな。
こんなにボロボロになりやがって……いや、しやがって。
あいつが、あいつを”創った”俺が。

『どぉする?武想も貸した方がいいのか?』

いや、いらん。想喰の力は残留してるし……それに、

個人的に、今ケンカしたい気分なんだ。

「お互い、言うことは別にねえだろ?」

ふん、と相手は武想を構える。
鍔のない刀。
鞘に収まったままのソレは、10メートル以上離れているのに確実に俺の首を狙っている。
この小説の中でも王級を除けば最強の武想。
能力は触れた物を確実に斬れると言うだけ。
そして、武想の身体強化レベルは最高。能力を使った龍にギリギリ届かない程度を常に保っていられる。

「面白い。これは今の女と違い……腹を括ってのぞむべきか」

消える。
そして、一瞬で俺の喉元に刃が触れていた。

「ふむ、斬らぬのを分かっているか」

「なめんな。ぶっとばすぞ」

”なめんな”の時点で放った右ストレートも、その後の波も簡単にかわされる。

その後は、ただただ斬り合った。
斬撃が五合、十合、二十合と続く。

強い。
想喰の速度を簡単に超えている。
こいつこんなチートだったのか。と改めて唾を飲む。

突然、互いにビタリ。と動きを止める。
相手の方が数段上だと分かっている故、俺は相手にあわせる必要があるから。
あいては、手加減として。

「わからんな。手を抜いている訳で無く、確かに本気で来ているのは分かる。だが……君には」

熱がない。とそう言った。
死なないために、殺させないために、殺す為に必死に命を燃やしていない。
そう続けた。

『痛いところを突かれたなぁ、秋夜ぁ。まぁしかたねえよなぁ、どうあってもこれはオマエにしちゃあ”現実”じゃあねえンだもんよ』

敵と、浩介の二人同時に言い聞かせるように、俺は叫ぶ

「じゃあどうすりゃあいいんだよ。どう足掻いたって俺は羽野貴矢であろうとしている只の浅葱秋夜なんだよ!」

どれだけ体が動いてくれようが、どれだけ世界の知識があろうが、どれだけこの先を知っていようが、

ソレは望んでそうなったもんじゃねえ、俺が神様気取りで書いたにすぎない。
全部、ニセモノでしかない。

それに対して、どうして本気の本気が出せる。
それに対して、どうして命がけになれる?

「……よくわからんが、君はここに生きていない。……か」

武想をしまい、敵は歩み寄ってくる。

「ならば簡単だ。本気になりたければこの世界で生きて、そして朽ちろ」

再び武想を出し、俺の肩から腰にかけて一閃。
痛みなんてなかった。
ただのショックと、浩介の声

『俺も同意だぁ、秋夜ァ……どうしてもってんならこの際てめえもキャラクターに徹しちまえ』

体から、いや。
心から、何かがはがれ落ちていくのを感じた。
体が。羽野貴矢が。

そして、俺は、浅葱秋夜はこの世界に墜ちた。

Re: 久しぶりに創作活動したら主人公俺だったずww ( No.9 )
日時: 2011/08/14 12:05
名前: 浅葱秋夜 (ID: qoVi4/mV)


「くそったれ……」

この体、浅葱秋夜そのものには傷一つ無かった。
だが……。
羽野貴矢は今斬られた傷が
このままでは、本当に死んでしまう。
浩介も、あの体の中にいるのだからアドバイスも受けられない。

そもそも、今アイツはろくな助言をくれそうにもない。

どうする……?”浅葱秋夜”の運動神経は大したことないし、妄覚者でもない。
ただの学生だ。

「……ふん、勝負は決した。羽野貴矢はもうすぐ死ぬ。己の勝ちで君の負け。身構えなくてももう攻撃するつもりはない」

くそ……なめられてる。
噛みつくこともできない。
手の打ちようが……。ない
全部終わった。
羽野貴矢が死ぬ事を回避することで助かろうとした。
だが、俺が羽野貴矢から抜け出し、彼が今死のうとしている。
助かってはいる。
これから現実に戻る方法を模索して、あとは好きにやらせればいい。

「違うだろ」

何も違わない。
そもそも俺が死ななければ台本から脱線したって構わない。
別にこの小説に命かけてた訳じゃない。

「違うってんだろ……!」

どうせ”キャラクター”なんだからいいだろ?
人じゃない。人の感情を持ってない。
人形どもがどうなろうが何しようが俺にはなにも関係ないだろ

「違うだろうが!生きてるだろ!羽野貴矢の体は間違いなく生きてた。今もまだ生きてる!小説だろうがなんだろうが関係ないだろ!小説書いてた俺の想いは、気持ちは!夢は!!」

こんな状況でも正しい道を歩ける主人公に憧れたからだろ!
なりたかった。主人公に。悪と戦い正義を貫くヒーローに。
いまならなれるだろ。だって俺は

「作者だ。台本変更なんざお手の物……!」

左手に分厚い本が現れる。
その雰囲気は、アレに近い。
羽野貴矢として振るっていた紅鴉に。
そして、その本のタイトルは”妄想顕現”
ビッシリと、小説が書いてあった。
つたない文章でガキくさい描写が。
だが、第二部の終わりからはすべて白紙だった。

だけど伝わる物はあった。
ならばやはり途中で投げ出すわけには行かない。

いつのまにか左手に羽ペンが握られている。
俺は、このシーンに斜線を走らせ、その下に文章を入れる。

【羽野貴矢の傷はこの武想の力によって塞がった。浅葱秋夜であった記憶も覚えていた彼は、すべて理解し立ち上がる。】

するとどうだ。
今書いたとおり、羽野の傷は塞がり、ゆっくりと彼は立ち上がる。

俺は続きを書く。

【ここから先は誰も知らない。この世界の人間が勝手に動く。俺の文章なんか関係なく。浅葱秋夜も同じように、この世界のために本当の意味で立ち上がる】

俺は、言った。

「貴矢。これ消してくれ」

「おう」

全部分かってるのか、単に空気を読んだのか。
羽野は即答して”波”で俺の武想だった物をかき消した。

ふっ、とすべて見ていた敵の男が微笑む。

「どうする?リベンジなら受け付けるぞ?」

「だとよ秋夜。とはいえオマエ武想ないだろ?いまオレが消しちまったし」

ああ、それは
 ちゃんと注釈して書き込んでおいた。

「武想」

名前とか、まだ決めてないけど。
形と能力はばっちり決めてある。
形状は半透明の刀身を持つ両刃の片手剣。
能力は対象の武想の色に染まること。つまりトレース。

半透明の刀身が紅色に染まる。
身体能力の上昇幅も、羽野となんら変わらない。
動きの感覚も、羽野の体を動かしてたためかもう慣れた。

さあ、俺の物語を始めようか。


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