複雑・ファジー小説

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ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜
日時: 2011/11/11 21:28
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

どうもどうもどうもどうもハネウマです。こんにちは。
ここでは「ジアース 〜沈んだ大陸〜」の外伝を書いていきたいと思います。
「沈んだ大陸」の後日談がほとんどなので、「沈んだ大陸」を読んでからこっちを読んでくださると嬉しいです。
でも用語や設定なら解説するので読んでなくても大丈夫だと思います。・・・多分
参照は毎日更新中の僕のブログです。気が向いたら覗いてやってください。

▼用語解説

ジアース:ネルア地方、ルディア地方、ラフロル地方で構成される世界
レゼラ帝国:ジアース全土を支配する国家
レゼラ帝都:レゼラの都
レゼラ城:帝都の中心部に位置する王城
魔人:魔力と呼ばれる不思議な力を持った人間
第二次魔力爆発:“勇者”と“魔王”と呼ばれる存在が引き起こした、魔力の性質が相反するものが強く衝突した時に起こった現象。希少な存在だった魔人を大量に発生させる原因となった





では物語へ。

Re: ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜 ( No.14 )
日時: 2011/11/21 23:00
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼ピシェラと家出少女 4

 あの木陰から帝都に着くまではそう時間はかからなかった。
 門番に驚かれる。「青いワンピース……長い金髪……あなた、キア・シュヴァリエルさんでは?」「そうだけど」
「シュヴァリエル家が血眼になって探していましたよ。無事でなによりです。早く帰ったほうがいいでしょう」門番は会釈をし、俺とキアを見送った。
 帝都の心地よい喧騒に包まれ、俺とキアは歩き続ける。その一歩一歩がキアとの別れに近づかせ、胸のどんよりとした感じが俺の心に食い込みのしかかり俺を黙らせる。
「ここまででいいよ」嫌だ。もう少しだけでも一緒にいたい。だがその言葉は胸に詰まって口まで届かず心の中を悩ましくただよう。
 俺は立ち止まる。キアは数歩先に歩いて、止まった。
「私ね、まだ言ってない事があるんだ」キアが振り返る。
 ゆっくりに見えた。美しく長いブロンドが遠心力に従ってふわりとなびき、光を反射し粒子を散らす。きらりと輝くその瞳。
「私が大きくなったら、また会おうね。そしたら」キアは伏し目がちになる。「……私を守ってくれる?」恥じらいを帯びたその唇から漏れる、その言葉。
 キアを魔鳥から救った時の俺の言葉を思い出す。一緒に来いよ、俺が守ってやる——。
 俺は嬉しかった。倒れていたキアをつまらないと思っていた能力で助けられた事が。魔獣のいる危険な草原で頼られる事が。そして何より、キアとまた会う約束ができる事が。
「ああ。お嬢様の仰せのままに」
 キアの俺だけに向けられた笑顔は何よりも眩しく俺の心を浮き立たせ締め付ける。
 ずっと言えなかった、心の中で熟していくだけの言葉は、俺にはまだ言えない。
 少女は帝都の雑踏に消えてゆく。俺は懐中時計を握り締める。
 数年後、また会った時こそ、伝えよう。
 年月を経て熟れた、その気持ちを。

Re: ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜 ( No.15 )
日時: 2011/11/22 23:22
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼旅詩人ルーウィンの手紙 1

 家族へ
 一月になりました。寒いけど元気にしていますか? 特にルル、お漏らししてないよな?
 旅人にとってもこの季節は辛い。でもルバートとじゃれ合うと暖かくて楽しくなれます。ルバートも大きくなって、僕が乗れるくらいに成長しました。さすが魔犬。勿論、乗って旅するとかルバートをいじめるような真似はしないけれどね。
 今はネルア地方のコポロという名の町の、ある家族の家に泊めてもらっています。
 その家族はとてもいい夫婦で、旅を終えたらこの夫婦を見習っていいパートナーを見つけたいなぁと思っています。旅がいつ終わるかはわからないけれど……。
 その夫婦の息子さんは既に帝都に働きに行っているとのことです。彼は僕と同じくらいの年齢らしく、何だか僕は可愛がられていて少し照れくさくなる時もあったりします。
 ただ、魔人かどうかは念入りに、しつこく聞かれました。何だかこの町には魔人をとても嫌う傾向があるみたい。他の町や村でも魔人は嫌われている事が多いけれど、この町は特に。理由を聞いてみると、凶悪な魔人によってもたらされた悲しい過去がその要因となっているとのことです。
 でも僕はたとえ魔のつく犬でもルバートが大好きだぞ!
 字が汚いのは許して。かじかんだ手がいう事を聞いてくれません。それでも、詩の方は書き続けています。
 寒くても頑張ろう。僕も頑張るから。
 ルーウィンより




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前作を読んでる人でも忘れてると思うから解説
ルーウィン:「沈んだ大陸」で名前だけ登場。スヌ村の村長だったルーコ・カガリの長男。旅する詩人。
コポロ:「沈んだ大陸」で登場したクルヒ(対象を殺す能力者)の故郷。

Re: ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜 ( No.16 )
日時: 2011/11/24 22:20
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼旅詩人ルーウィンの手紙 2

 家族へ
 二月になりました。まだまだ寒いけど、元気にしていますか?
 僕はコポロを出てソロドラという村で過ごしています。ソロドラ山脈のふもとにある村……といってもわからないよね。
 ソロドラには偉大な占い師がいて、僕も将来の事について占ってもらいました。すると、「近い未来、あなたの精神に大きな絶望が降りかかる」とのこと。勘弁してよ。いろいろ想像してしまって怖くなりました。
 まぁ心配してもどうこうできるものでもないし、とりあえずそこそこの覚悟をして毎日を過ごしています。
 ルバートも元気だし、悪い事が起きる前兆とかはないのだけれどなぁ。今のところ。
 それと、この村はソロドラ山に居座った魔獣に食べ物等を脅し取っているらしい。そのせいで泊めてくれた家の人からは粗末な食べ物しかもらえませんでした。
 ハッ! 占い師さんはこの事を言っていたのか!?
 なんてね。粗末な食べ物でもくれることにありがたみをいつも感じています。
 今回泊めてくれた家はおじいさんが一人で暮らしている、村のはずれにある家です。
 詩を書く事に生きがいを感じているおじいさんで、「僕も詩を書いて旅してるんですよ!」と僕の詩を見せたら一言。
「若いね〜」
 褒め言葉として受け取っておきます!
 そんなこんなで、僕は元気です。
 ルーウィンより





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解説
ソロドラ:「沈んだ大陸」でリレイ(シムン)とヘルガが帝都まで行く途中に経由した村。

Re: ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜 ( No.17 )
日時: 2011/11/24 22:19
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼旅詩人ルーウィンの手紙 3

 家族へ

 三月になりました。まだ寒さは残っているけど、みんな元気だったら嬉しいな。

 というのも、近いうちにスヌ村へ戻ろうと思っているからです。できた詩も多くなってきたから、見せたいなって。

 まぁ、実は郷愁が強くなってきたからなんだけれどね。流石に一年も経つと寂しくなってくるものであります。

 今は、旅の始めにもお世話になった港町ロライで過ごしています。コトという船の守人さんの家に泊まらせてもらっています。

 このコトさん、家事全般があまりなってなくて(料理も毎回ほとんど代り映えしないものばかり)、この前など同じ料理に飽きた僕が夕飯を作っちゃいました。

 コトさんには気に入られて、「お前、ここで暮らしてくかー?」なんてプロポーズまがいのせりふ(本人は意識してないかもしれないけれど)を言われてしまって、実は正直嬉しかったです。家事の上手さを褒めてもらえたわけだし。

 詩の方もバンバン書いてるんで、早く見せたいなぁと思っております。

 やっぱり帰る家があってこその一人旅だよね。いや、一人と一匹か。ルバートも、故郷へ帰ると告げると心なしかわくわくしているようで、それが僕にも伝わってくる気がしています。

 じゃあまた、近いうちに。弟たちよ、心して待て! なんてね。

 ルーウィンより

Re: ジアース 〜沈んだ大陸外伝〜 ( No.18 )
日時: 2011/12/03 20:00
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

後書書くの忘れてた・・・
まぁそんな感じでこの外伝は終わりです。
もしかしたらまだ他のキャラの話を書きたくなるかもしれませんが多分それはないでしょう。
ジアース〜沈んだ大陸外伝〜、どうだったでしょうか。ええ、言わずとも分かります。「こんな小説読んで時間の無駄しちまったよ・・・あー天ぷら食いてー」ですよね?そうですね、僕も天ぷらは大好きです。特にイカ天ですね。もうご飯何倍でもいける気がします。しかしナス、お前はダメだ。
えー、何で天ぷらの話になったんでしたっけ?
まぁとにかく、ここまで読んでくださってありがとうございました。
続編は三分の一くらいできてますが、納得のいく出来になるまで公開はしません。
もしよければ、ステハン使ってもいいし「読んだ」の三文字でもいいのでコメントをくださるとありがたいです。
いじょっ!


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