複雑・ファジー小説
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- 『あ』から始まる物語
- 日時: 2013/02/24 22:19
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: 49KdC02.)
一年ぶりの\復活/
どうも、結城柵あらため結城柵です(変わってない)。
とりあえず完結させます。はい。
[あばうと]
この小説は五十音を頭文字に使ったタイトルを使用したSSを書いていきます。
つまり、短編集になります。
また、微エロ、微グロ、シリアス、コメディ、反道徳的描写等がごった煮になっています。
まだまだつたないところは多々ありますが。暖かく見守ってください。
[こんてんつ]
目次前半(『あ』〜『の』) >>3
目次後半(『は』〜『ん』) >>46
一年ぶりに見たら参照900突破してて鼻水吹いた。嬉しすぎて。
ゆったり更新ではありますが、引き続きまたーり読んでいただけたら嬉しいです。
では、ごゆるりと。
- Re: 『あ』から始まる ( No.63 )
- 日時: 2012/02/22 18:53
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 前後編
【昔から変わらない心を、教えてあげるよ 1】
小学校に上がりたての頃俺は、二階にある部屋のベランダから飛び降りようとしたらしい。ちなみに、その部屋の下は大きな石が何故かいっぱいあって、落ちたらほぼ確実に死ねる。
らしい、というのには理由がある。と、いうのは、その事件を俺自身が覚えていないんだ。その事件の目撃者は、従兄弟の姉さんだ。
そのとき、彼女が俺に飛び降りた理由を問うと、この世界が嫌いだから、大好きなお姉さんの前で死のうと思って。と、特に表情を変えることもなく、言ったらしい。もちろん、本人は覚えていない。しかしまぁ、我ながら、かわいげのないガキだとは思う。
いきなり、どうしてそんな話をするの?
殺風景な俺の部屋。他に座る場所がないから、俺のベッドに腰掛ける姉さんが、首を傾げる。無防備に投げ出された白い脚は、見ないように心がける。
ここが、そのときの部屋だっていうのは、覚えてるよね?
ベランダに続く窓を開けながら問いかける。冷たい風と光が、俺の部屋に流れ込む。姉さんは、俺の質問に頷く。
ほら、見て。外は快晴だよ。気持ちの良い天気だけど、俺は大嫌いだよ。
- Re: 『あ』から始まる ( No.64 )
- 日時: 2012/02/22 19:22
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 後編
【昔から変わらない心を、教えてあげるよ 2】
首を傾げる姉さんを無視して、俺は話を続ける。
天気だけじゃない。鳥の声、笑い声、緑の木々、花。明るくて眩しいものは、大嫌いだよ。
俺は、ひょい、とベランダへと出る。風がやや冷たい。部屋を振り返り、また言葉を続ける。
ねぇ、ほらおいでよ。世界は、俺の大嫌いなもので溢れて美しいよ。鳥のさえずり、子供たちの笑い声、椿の木と花。ほら、綺麗だよ。
部屋の中から、俺を見つめる姉さんに手招きをする。姉さんは、少し躊躇ってからベランダへとやってきた。
あぁ、心配ないよ。足の裏は汚れないから。週3の勢いで掃除してるから。だってほら、人生最後に踏む場所は、綺麗な方がいいし。
笑った俺とは逆に、姉さんは不安そうに俺をみつめる。
俺ね、あの日のこと本当は覚えてるんだ。…俺はこの世界が大嫌いだけど姉さんは大好きだ。だからね、昔から変わらない俺の心を、教えてあげるよ。
そう言って俺は、生まれて初めて、本当の笑みをうかべて、落ちた。驚いて手を伸ばして、俺の名前を呼んでいる姉さんが見える。
じゃあね!結婚おめでとう!愛してたよ!
叫び声は強風にかき消された。
- Re: 『あ』から始まる物語 ( No.65 )
- 日時: 2012/11/30 16:16
- 名前: 浅葱 (ID: PWqPGq9p)
こんにちわ^^
すごいですね!
五十音ですか・・・発想がすばらしいです^^
もう続きは出ないのですか?
結城さんの話、もっと読みたいです^^
- Re: 『あ』から始まる ( No.66 )
- 日時: 2013/02/24 22:14
- 名前: 結城柵 ◆21u67JWAE6 (ID: 49KdC02.)
- 参照: トリ違いますが本人です。
【メメントモリ】
何かを忘れているような気がして、酷い焦燥感が私の胸を襲った。なんだろうな、わからない。あれこれ考えている間に着実に時間は進んでいって、ついには卒業式が始まってしまった。くだらない話を聞きながらうとうとしていると、ふと一年前の卒業式を思い出した。
あの日私は、私たちはどうしてか卒業式の最中に、式を放り出して慌てて屋上へと走った。生徒会長も、同じ寮に住む先輩も、クラスメイトも、みんなで走った。階段を上ったその先には【彼】がいて、転校生だったあの子の膝の上で穏やかに……。
あ、と思わず声をあげた。それはあのときのクラスメイトのものとかぶり、顔を見合わせた。どうして私たちは忘れてしまっていたのだろう。大切な、大切な【彼】のことを。共に卒業できるはずだった、仲間のことを。静かに手を組み、彼に話しかける。
ありがとう。君の守った世界で、私は精一杯大人になります。
『め』めんともり
2013.02.24
久しぶり感ぱない。
- Re: 『あ』から始まる ( No.67 )
- 日時: 2013/02/25 22:17
- 名前: 結城柵 ◆21u67JWAE6 (ID: 49KdC02.)
【盲目的に】
苦しくてもよかった。ただ、傍にいたかった。どうしても私は彼が好きで好きで好きで好きで大好きで愛していて大切だった。だから、彼がどれだけ私を罵ろうが、彼に言葉の暴力を振られようと、彼が私を見なくても、彼が他の誰かを愛しても、それでも私は彼の傍にいた。彼も、私に傍に居ろと言ったのだ。鳥駕籠の中で、ゆっくりと朽ちていけばいいと。彼はそう言ってくれたのだ。だけど。だけどもう。
「限界だよ」
呟いた声は想像以上に弱く、私が大変疲れていることがありありとわかった。優しい彼。かっこいい彼。話の合う彼。独占欲だけは、人一倍強い彼。どれも大好きだった。だったのに。
ひどい、呟いてももう遅かった。窓ガラスが割れて散乱した部屋は肌寒い。どうして彼は、私の家の住所を売ったりなんかしたんだろう。鳴りやまない電話も、きっと彼のせいだ。どれもこれも、サイテーな行為だ。信頼を返せ。
でも、そう思いながらも未だに彼を愛している私は、もっとサイテーだ。
『も』うもくてきに
2013.02.25
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