複雑・ファジー小説

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ありきたりなファンタジー
日時: 2013/06/11 10:40
名前: 楓 (ID: 07aYTU12)


*目次*

 >>01-03
   序章——ありえないファンタジー
   間章——ありえない「はず」

>>04-11 第一章——君も歩けば罠にかかる
>>12-20 第二章——俗に言う「迷子」というモノ

かんそー ( No.18 )
日時: 2012/01/06 00:06
名前: ちぇりお (ID: ChJEPbqh)

楓さんの小説の終わり方は、続きが気になって夜も眠れます!(ぉぃ)

Re: ありきたりなファンタジー ( No.19 )
日時: 2012/01/06 20:04
名前: 楓 (ID: jOAGGOOx)

>ちぇりおさん

∑眠れるんかい!
まぁ私も、寝る前に展開を考えようと思って気づいたら朝ってパターンですけど・ω・゛

第二章——俗に言う「迷子」というモノ ( No.20 )
日時: 2012/01/07 13:30
名前: 楓 (ID: SsxPl8C6)

背後に鋭い風が吹き付けたので、里奈は体をふるわせた。
本能的なものだった。
体の奥底から寒気がするような、そして肌が乾燥するような……いや、それはない。
——とにかく、本能的に不吉なモノを感じとって、おそるおそる後ろを振り返った。

いきなり立ち上がったからか、焦点が合うのに時間がかかった。
そのため里奈には、ジルの慌てた姿が、黒い塊がうごめいているように見えたのだ。
塊の中で、不気味な光をたたえる一対のガラス玉のような瞳。
しかし、その漆黒の瞳に心配そうな光が浮かんだのに気づいた瞬間、里奈は我にかえった。
ただの少年ではないか。
里奈と同じくらいの背丈。里奈はほっと息をついた。


でも、まだおそろしい寒気は消えない。
それどころか、少年が現れてから、根を張りはじめたかのようにじわじわと広がっているのだ。

——またあの化け物が現れるんじゃ……。
でも、今はそれどころではない。
もう一度、いまだに信じられないことを確かめるため、手に目をやる。
丸っこくて小さく、つるつるした手。
里奈はごくりと唾を飲み込んだ。
これが一体どういうことなのか考えようとするのだが、頭のどこかがストップをかけられているかのようにぼーっとする。
これは驚かないといけないシチュエーションだ……と、心が必死に警告しているのにも気づいているのだが、そんな里奈を何かが止めていた。

そのせいか、思ったより冷静な自分に驚く。
遠くから、ずっと上のほうから自分を見下ろしているような感じがするのだ。
こういう時、人間って不思議だ。

「……あ、あの、落ち着いて聞いてくれるかな」
緊張しているわけでもないだろうに、妙に裏返った声で少年が言った。
——この人、どこかで見覚えがある……?
誰? また幼稚園児を助けようとする世話好き?
そんなことが一瞬頭をよぎったが、素早くうなずく。
うなずこうとしていないのに、止めるより早く体が動いてしまう。
少年がまた口を開きかけたそのとき、後ろで誰かが息を飲んだ。
——そうだ、警察官のこと、忘れてた。

無理矢理振り返ろうとして体に力を入れる。
すると、あっけなく体が動いて拍子抜けした。
体のどこかがわけもなくしびれるような、おそろしい何かが消えている。
さっきの、気のせいだったのかも。
安心して力を抜いたが、すぐに身がまえた。
警察官が、目をこれでもかというほど見開いて里奈を……
いや、里奈の後ろの少年を見つめているのだ。
「お前……」
さっきとは別人のような、震えた情けない声で、警察官に化けた——老人が言った。

第二章——俗に言う「迷子」というモノ ( No.21 )
日時: 2012/01/07 13:35
名前: 楓 (ID: SsxPl8C6)

警察官のおきまりの帽子が、風に吹かれたわけでもないのに勢いよく舞い上がる。
それがコンクリートに着地するのをぽかんと見届ける里奈。
ただ見ていることしかできない。
あっという間に、目の前の人物は姿を変えていく。
帽子がなくなってあらわになった明るい色の髪に、白い毛が一房混ざっている。
驚くべきことに、その白い束はだんだん広がりはじめ、まわりの茶色の髪を飲み込んでいくのだ。
ツンツン立っていた髪は、動物に踏み荒らされたかのように弱々しく寝そべっている。



不気味な変化をとげた警察官は、喉からしぼり出したかのようなか細い声を上げた。
しわがれた情けない声だった。
震える手で帽子を拾い上げ、もう片方の手で顔をおおう。
そして、里奈が驚いてまばたきするその間に、少し先に広がっていた薄暗い林へと消えていった。


それと同時に、里奈が絶えず感じていた根を張ったようなおそろしさが、ふっと消え去った。

Re: ありきたりなファンタジー ( No.22 )
日時: 2012/05/14 22:08
名前: 乙葉 ◆wY3y6Vd5qQ (ID: zeBAwFgA)

初めまして、こんにちは!
コメント失礼します
面白いです♪
続きが楽しみです^^
頑張ってください(・ω・)


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