複雑・ファジー小説

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スモールワーク【執筆再開!】
日時: 2015/05/12 08:39
名前: ドクター正彰 (ID: yZ7ICI8F)

田舎には、本当に何もない。
ましてや、口を開けば嘘。立てば、金をかすめ取る。座れば、ネットを使ってクラッキング。そんな極悪非道な俺も、さすがに詐欺行為だけじゃ食っていけないわけで。もちろん、面接に行く。住所不定無職じゃあ、面接する前に門前払いだろうが、一応住んでいるアパートがある。超激安の家賃で、少しでも暴れれば崩れてしまうくらいの、とってもボロイアパートだ。
ここまでは、おまけにすぎない。
これからが重要だ。

「次の方ー、どうぞー」

そんな間延びした面接官の声を聞きながら、不安になった。
面接官から声をかけてくるなんてことがあるか?それに、柔らかくて甘い声だった。間違いなく女だろう。俺を油断させて、落とすつもりなんだな。

扉を開けて面接室に入ると—


そこに、小学生くらいの背丈にスーツが似合わない、


『子供店長』がいた。

Re: スモールワーク【執筆再開!】 ( No.7 )
日時: 2014/11/10 20:26
名前: ドクター正彰 (ID: yZ7ICI8F)

誰もいなくなった面接室にて。

「えっ・・・?」
海原さんは、顔をぽかんとさせた。
「秋春さんが詐欺師・・・?そんな、そんなのって・・・!」

「ま、待ってください!」

俺は、その急いで自転車をこぐような速さで飛び出した海原さんを力の限り走って追いかけた。

どれだけ髪が乱れようと、

不細工な顔になったって、

俺は、

本当に少しの時間しかいなかったけれど、

『心から楽しいって、この人たちと仕事しててよかったと思えなきゃダメじゃない?』

あの言葉を聞いて、自己満足かもしれないけれど、俺の心が救われたから。

今度は、

俺が、

背は小さくても心に真っ直ぐな筋を通してる人のそばで———


「・・・見つけましたよ。やっと見つけた・・・!」

小さな公園の片隅にあるベンチで、力なくうなだれている海原さんがいた。
俺が近くにいることを知ってか知らずか、ベンチから少しも動こうとはしない。
屈んで視点を合わせようとしたところで、海原さんは俺に視線を向け、俺の無様な姿をみると、ふっ、と笑って口を開いた。
「・・・急に逃げてごめんなさい。でも、人をだますって聞いてどうしても嫌になっちゃって。なんで、あたしってば人をだますような人を庇ったんだろうって思っちゃった。・・・もう一度聞きます。あなたは本当に人をだます人なんですか?なんで私を追ってきたんですか?」
海原さんの鋭い視線を浴びて、俺の心に浮かんできた言葉は
————


「俺は、詐欺師でした。今からやめます!さすがに取った金は返す気はないですけどね」


俺の心の何かを変えようとする言葉だった。

Re: スモールワーク【執筆再開!】 ( No.8 )
日時: 2015/05/26 21:45
名前: ドクター正彰 (ID: yZ7ICI8F)

万騎ヶ原まきがはら 環那かんなという女の子のことを話そう。彼女とはどういう関係かって?
友達以上恋人未満というところ。

彼女はよく言えばサバサバしていて、なんでも白黒はっきりつけたがる性格をしている。
だが、悪く言えばわがままで自分の意見を通してしまう。

さあ、彼女の話をしよう。




ファーストフード店にて。

万騎ヶ原まきがはら 環那かんなは、ジーパンの右ポケットに音楽プレーヤーをひっかけている。左耳にイヤホンをつけながら、

「ねえ、フォース」

「誰だよ。何でもかんでも英語にしてかっこよく言えばいいと思うなよ!ったく…俺は日本人なの!だからぁ…」

「うっせぇオス」

「秋春から、生物学のジェンダーになっちゃった!?」

「は?ふざけてんの?」

ふざける云々というなら、せめてイヤホンを外してくれ!

とは言えなかった。

環那の目が!怖いィィィィィィ!!

「秋春、あんた詐欺師をやめたの?」

全てを見透かしているような、それでいて鋭い眼つきだ。

「なに言ってんだよ。いきなりやめたら寄神よがみさんがどういうド汚い策で俺を貶めるか、知ってるだろ?」

刹那、彼女の表情に底無し沼のような読みきれないものを見て、考えた。


俺が所属していた大規模詐欺グループ『ピーター』の総元締めである【寄神よがみ 夏羅から】はたった一代で大きな組織にまとめ上げた。

寄神さんの常套手段は、まず————



「ねえ、秋春!!…撃ってあげる」



————ターゲットの身近な人を言葉巧みに操り、洗脳すること。

どんな状況でも、自分に都合のいい展開に持っていく。

『予測可能。回避不可能』という奴だ。

ハンドガンを両手で構えて、小刻みに震える環那。

「っ…ぁ…あぁぁああああああああああああっ!」



銃声が————



周りの客もかなり驚いただろうが、一番驚いているのは環那だろう。
なぜなら、

「なんで…?弾が入ってない!」

俺は破顔した。

「君のやることは付き合ったころから変わってないな」

環那。君の行動は、見え透いてるんだよ。

寄神さん。人選を間違えました…?

「さあ、勘定をすませて、別の場所に移動しよう。ここじゃ落ち着いて話ができない」

俺の言葉を皮切りに、少しずつ環那の目に色彩が戻ってきた。

「きゃっ…!」

洗脳がとけたのか、環那はハンドガンを持っている自分に驚き、ハンドガンを手放した。

寄神さん、あなたという人は本当に見え透いた手段ばかり遣ってきますね。

だから、あなたは僕に勝てない。

Re: スモールワーク【執筆再開!】 ( No.9 )
日時: 2015/05/29 23:46
名前: 豆狸 チェリー (ID: soVn9TCU)


豆狸チェリーです!

面白いですね! 私なんか全然、表現力とかないのでこんな素晴らしい
作品を作れるなんて羨ましいです。

私の作品を見ていただき、本当にありがとうございました。
今年は、中三で受験生なので、あまり早く作品の更新ができなくなって
しまうと思うのですが、時々でもいいので、アドバイスなどコメントを
いただけると嬉しいです!

これからも、頑張ってください! 応援しています(^0^)

スモールワーク【執筆再開!】 感想スレへの返信 ( No.10 )
日時: 2015/06/01 11:03
名前: ドクター正彰 (ID: yZ7ICI8F)

>豆狸チェリーさん

コメントありがとうございます!

素晴らしいですと…!?ありがとうございます!

これから物語はヤマ場を迎えるので、よければまた見に来てください!

更新、頑張ります!

Re: スモールワーク【執筆再開!】 ( No.11 )
日時: 2015/07/23 00:48
名前: 豆狸 チェリー (ID: S7B875Vg)



お久しぶりです! 豆狸チェリーです!
現在夏休み中です! 受験勉強で忙しいですが、久しぶりにまた投稿
しました! いつでも良いので、見ていただければなと・・・
ではっ! おじゃまいたしました。(= 0 = )


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