複雑・ファジー小説
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- 隠れ日和。
- 日時: 2012/02/26 22:05
- 名前: 共石至境 ◆aoMSW.t6RU (ID: vQ/ewclL)
十月九日、女子児童三名が行方不明。
同日、男子児童四名が行方不明。
十月二十一日、男子児童女子児童ともに六名ずつ行方不明。
十一月一日、女子中学生四名が行方不明。
あるはずのない事件が多発している水鳥市神宮町。
共通する点は全てが【隠れ日和】に【かくれんぼ】をしていた点のみ。
十二月十五日現在、行方不明者は誰一人として発見されていない。
警察も捜査が難航中。雪が降り積もり始めた季節、行方不明の子供たちは果して無事なのだろうか。
——週刊誌『文春刊』十二月号トップ記事より抜粋。
‡
共石至境(きょうせきしきょう)です。
共石、とでも読んでいただければ光栄。
@注意書き
*スランプから立ち直り次第、本当のHNで執筆します。
*それまで、現在の名前で。
*グロ表現があります。
*更新速度は遅めです。
*荒らしなどはお引取り下さい。
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スレ建設、二月二十六日
- Re: 隠れ日和。 ( No.1 )
- 日時: 2012/02/27 16:54
- 名前: 共石至境 ◆aoMSW.t6RU (ID: vQ/ewclL)
一、行方不明者探索班
強い風にあおられた雪が地吹雪を起こす。こんな光景は日常茶飯事ではあるがその度に憂鬱な気分になる。車の運転手も信号や歩行者が見えなくなるため、余計な気力を持っていかれてしまうのだ。
「雪って怖いのな」
子供なら簡単に飛ばされそうなくらいの強風が吹き荒れる中、学校指定の制服を着ている少年が言った。少年は制服の上に上着を着ているわけでもなく、マフラーや手袋さえもしていなかった。それでも寒そうな素振りは一つとしても見せない。隣にいた、この少年と同じくらいの年齢の子が「お前に寒いって感覚はねーのかよ」とあきれながら呟く。
こういうのも当たり前だ。十二月真っ只中。気温は氷点下を超えている。寒いという感覚があるのが当たり前なのだ。
「ま。寒いって言ったって、寒いってのがなくなる訳じゃないから良いんじゃないかな? 夕人に言ったって聞かないじゃないか」
二人の後ろから防寒対策を確り(しっかり)とした少年が言う。メガネに雪がくっついて前が見えにくそうだが、夕人とその隣を歩く彼らの友人は気にする様子もなく歩を進めていく。メガネの少年も遅れまいと必死について行った。
*
「うっは! 天っ国っ!」
「ほら、夕人。やっぱ寒かったんじゃねーのかよ」
「まぁまぁ、柾谷も僕も無事につけたんだからいいじゃないか」
あれから数十分歩いて辿り着いたのは三人が通っている『水鳥市立神宮中学校』だ。生徒玄関で髪や制服、カバンなどについた雪を落とす生徒たちの光景は例年と変わらない恒例行事のようなものだった。
保留
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