複雑・ファジー小説

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幻想狂奏曲  第一幕⇒現/第一話⇒桐城 神谷  更新
日時: 2012/04/07 22:20
名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)

    目に見えて変わる狂奏曲——ラプソディ——

          ふとした瞬間 すでに序曲は閉幕する。


     誰が望んだのだろうか。

             狂奏曲に喰らわれる この世界を。

                  狂奏曲に支配される つまらない結末を。

 
                        西暦2012年  世界の破滅とともに世界は始まる——




 初めましてっ。
 ゆnって言います。初心者ながらも頑張ってみようと思いますので、どうぞ宜しくお願いしますっ。


◆狂奏曲マナァ
1@荒らし、チェンメはやめて下さい。
2@コメント、アドバイス頂けましたら狂奏曲の音色とともに踊ります。
3@遠回しのエロ描写があります。気分を悪くされた方は急いでプラウザバックを。


◆狂奏曲の聴衆(敬称省)
狒牙 ⇒ 作品『Invincible ability——最強の能力——』他
風猫 ⇒ 作品『陰陽呪黎キリカ』他


◆××××
@第零幕⇒現想
>>001
@第一幕⇒現(うつつ)
 第一章⇒狂奏曲の素性
 第一話⇒桐城神谷
>>005


◆履歴etc...

2012年/03/30/スレ開設

Re: 幻想狂奏曲  第零幕⇒現想  更新 ( No.1 )
日時: 2012/03/31 17:24
名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)

第零幕 現想


『3月31日午前0時30分。只今入りました、ニュースをお伝えしようと思います。
 本日未明——狂奏曲——と名乗る人物から、首相官邸へと無線での連絡が入った模様です。内容は、あと数時間で現在の世界は破滅を迎える。命が惜しいのであれば、狂奏曲を見つけ出し、破壊しろ。
 それに対して、首相からのコメントは、これを聞いた国民全員が恐怖に震撼しているかもしれない。だがしかし、この世界には数億人もの人が住んでいる。安心して暮らして欲しい。とのことです』

 老若男女問わず、日本国民に愛されていた女性アナウンスの声が消える。テレビを消したのではない。今は、桜が春を歓迎する4月1日だ。だが、並木に植えられた桜が花を開くことも、春の訪れを歓迎する鳥の声も、一切として感じることはできないでいた。
 狂奏曲(ラプソディ)の忠告どおり、世界は滅びたのだ。
 ビルも、東京スカイツリーも、車も、家屋も、全て崩れ、壊れ、跡形のないものもある。崩壊したビルの、僅かに残った屋上の部分からその全貌を眺める人間達がいる。彼らは、それぞれ首筋に『狂』『重』『序』の文字を入れていた。

「神谷。僕らはこれから、どうするんだい?」

 南国の海よりも澄んだ、日本の海より濃い蒼をした髪がふわりとゆれた。顔全体が前髪で埋まり、辛うじて上唇だけが見えている状態だった。
 隣で佇む二人の青年。彼らもまた、紅蓮の炎よりも艶(あで)やかで、真紅よりも深い紅(あか)をした髪。
 北の地で降る雪よりも白く、青空に漂う雲よりも透き通った白の髪をしていた。

「ふふっ。折角世界人口の三分の一と、日本人の人口の半分は残して置いてあげたんだ。私達に立ち向かってきて欲しいものですよ」
「相変わらず変態だなぁ、神谷。全部、俺がやったんだってこと忘れんなよ? 借りは返してもらうつもりだからな」

 神谷(みたに)と呼ばれた青年に、白の髪をした青年が言う。神谷は、その笑顔の裏に何かを隠しながら苦笑して見せた。それは神谷にとっての肯定でもあったのだろう。白の髪の青年は、ため息を吐き、それ以上何かを言おうとはせず、ただ正面を見ていた。

「そういえば、玄。僕にも聞こえていたんだけどさ、どうして昨日の変なニュースをipodに入れてるんだい? 
 もしかして、好きなの?」

 玄(げん)と呼ばれた白の髪の青年は、その言葉に「特に」と答えたっきり、彼の言葉をシャットアウトした。
 三人が見つめている首都東京は、瓦礫(がれき)の山と化して何が変わるわけでもなく、ただただ非情な行いの後を残していた。土埃で、全ての瓦礫は茶色の粉末をコーティングし、壁の中の鉄筋などが飛び出していた。
 ボンネットが開いてしまっている車からは、どぷどぷといつ空になるのかも分からないまま、流れ出すガソリン。そのせいで一帯のにおいを、酷くきついものに変えていた。
 目に映る光景の中で、悲惨すぎるのは完成したばかりの東京スカイツリーの無残な死体だろう。力ないと判断された人間は、全て消されている。このスカイツリーを作った人間達も、例外なくその中に入っていた。
 だが、それを誰が気に留めるわけでもない。生き残っている日本人は、関東に数万といないのだ。北海道や九州、四国などだけがほぼ無傷の状態で残っている。

「玄の粋な計らいを、生き延びた人間達は感じて欲しいものだね」
「たりめーだ」「ですね」

 神谷が独り言として呟いた言葉に、玄と少年は同時に答える。
 それに笑みを浮かべた後、その場を後にする神谷に従い二人もこのビルから姿を消した。

Re: 幻想狂奏曲  第零幕⇒現想  更新 ( No.2 )
日時: 2012/03/31 18:03
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 8Sk6sKy2)
参照: 聴衆一号……かな?

初めまして……じゃないと思うんですけど、そうですよね?
トリップ的に……

主人公っぽい人達はもしかして悪役でしょうかねえ……会話から察するに。

毎度毎度コメントしてしまって鬱陶しいかもしれませんが色々と更新楽しみにしてます。頑張ってください。

Re: 幻想狂奏曲  第零幕⇒現想  更新 ( No.3 )
日時: 2012/03/31 18:05
名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: R33V/.C.)

あれHN戻しました?
合作、貴方が参加してくださるのなら百人力です♪

変態の神谷さんが最初から好きになれそうです★
変態、悪人、狂愛等等大好きな風猫です!
更新頑張って下さい^^

Re: 幻想狂奏曲  第零幕⇒現想  更新 ( No.4 )
日時: 2012/03/31 20:14
名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)
参照: 書き損じると思わなかったあああああああああ

さぁ。コメ返信。
——の前に。

やっぱり、あれですね。
過去の名前知ってる方は、すぐ察しがつくのですね(笑) 驚きましt((
そして、トリップに注目されるとは思わなかった(苦笑)
お二人とも凄いなぁ(・ω・`)カナワナイヨ


狒牙さん

そうですね、こんにちわ(笑)
初めましてでは、ないですよ^^

悪役、ですね。はい。
なんか、小説の主人公って『正義を盾に俺は行くぜ!』っていうか……。
大抵の小説の主人公は、正義の味方になっちゃうので、自分の子達は悪役に(笑)

鬱陶しくなんぞないですよ! コメントは嬉しいです♪


風猫さん

過去HN と、現在HN どっちがしっくり来るかなぁ? と思ったので、テストみたいな感じです(笑)
風猫さんに『百人力』と言われたら……もう、もうっ! 嬉しすぎて生きていけない←

おお! 神谷さん、読者受け悪い子だと思っていたのでそう言って頂けると嬉しいですな♪
はいなっ、放置せずにしっかり更新していこうと思います!

Re: 幻想狂奏曲  第一幕⇒現/第一話⇒桐城 神谷  更新 ( No.5 )
日時: 2012/04/08 10:34
名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)
参照: 第一幕 現(うつつ)

第一章
第一話 桐城神谷

 
 玄の計らいで生存することが出来た各国の首脳達が国際会議を開いていることを、神谷は心のうちで願っていた。願っていた、のではなく知っていたというのが、正しかった。
 その会議の場に神谷はいない。ただ、一被害者として慎ましく静かに暮らしている振りをしていた。振りをしなければ、神谷が狂奏曲だとばれてしまう可能性があると、玄からも三広からも注意を受けていた。それに神谷が忠実に従うのは、玄のことを信用しているから。三広のことを信用しているから。二人のことを、信頼しているからであった。

「……狂奏曲。四重奏、序曲……」

 ふっと呟き、笑みを浮かべるその顔には、言い様のない不安と深い暗さが存在していた。それを、見た人間は一人として欠ける事無く『複雑そうな心境をしている』と答えるのだろう。神谷自信も、それは重々承知の上だった。

「狂奏曲は……人を狂わす夢幻の存在。四重奏は、死を重ねる…層璧。序曲は——始まりにして、終わり……」

 一面ガラス張りの部屋に差し込む、橙色の大きな大きな夕日が頷く様子を見せながら少しずつ下へ下へと下がっていっていた。首に掘られた『狂』の文字を、指先でなぞりながら過去のことを徐々に思い出していく。四年前の大きくも小さな事件を——

 2008年。この頃はまだ、日本は安定していた。この年から7年前に起こった、第二期世界恐慌の被害も全て元通りになり、また、世界経済が右肩上がりへと戻っていた頃だった。
 そんな時期、神谷はただただ、生きていることが憂鬱でしかなかった。他の男子よりも力がなく、ひ弱だった彼に目をつけた男子生徒たちが、彼を『男子専用慰み物』として使っていたのだ。
 体に傷をつけることもあれば、心に傷を負わせることもあった。一番多かったのは、そのいきり立ったモノを神谷の中へ深々と刻んでいく行為だった。
 それに、神谷が反対しなかったのが悪かったのだろう。徐々に行為がエスカレートしている事を、神谷は悟っていた。
 
 神谷が、その空間から始めて逃げ出したのは、使われ始めてから1年と2ヶ月が過ぎた頃だった。

 いつも体育館裏にある小さな用具置き場で行われていた行為を、最中で逃げ出したとしても神谷は助からないことを分かっていたのだろう。少しの期待もせずに、その行為が始まろうとした瞬間に神谷は走った。“ひ弱”だと。“非力”だと皆が思っていた少年は、誰に止められることも無く、走り続けたのだ。
 自分の力が続く限り。自分の息が上がらない限り。自分の隠れた場所を見つけられないように。


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