複雑・ファジー小説
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- コドクビワ、キミイゾン。【完結】
- 日時: 2013/01/06 17:00
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
+目次+
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参照100記念>>27 あ コメント100記念>>100
参照200記念>>40 り あとがき>>137
参照300記念>>52 が 桐への愛情度:低>>139
参照400記念>>62 と 孤独への愛情度:低>>141
参照500記念>>71 う 卓巳への愛情度:高>>142
参照600記念>>77 !
参照700記念>>88
参照800記念>>103
参照900記念>>113
参照1000記念>>126
参照1100記念>>131
参照1200記念>>138
参照1300記念>>140
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.138 )
- 日時: 2012/09/14 18:20
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
+参照1200+
〜プロフィール5〜
穂波 孤独(ほなみ こどく)♂ 9月9日 O型
身長:167 体重:56
友達と時々酒は飲む、たばこも別に嫌いじゃない
好きな物:先輩 店長 姉 小動物
苦手な物:卓巳 吠える動物
成績:あまりよくない
趣味:サイクリング 先輩観察
名称:自分→俺 桐→先輩 築→ねーちゃん 辰臣→店長 卓巳→忌屋
+作者のイメージ+
可愛い後輩。イケメン。同級生からも慕われていて、クラスの中心的人物。女の子をたくさん傷つけてきた。好きな人以外の乙女心は分からない。分かろうともしない。別に親に何かされたわけでも無く、ただ先輩のことが好きで歪んじゃっただけ。ワンコ。
+おわり+
ラストを飾ってもらいました。
ありがとう、孤独。お疲れ様。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。【完結】 ( No.139 )
- 日時: 2012/10/21 20:27
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
+桐への愛情度:低ED+
「先輩は、俺のことが嫌いですか」
なんで、いまさらそんなことを聞くのだろう。
私は、孤独に縛られることは嫌だ。私は、この首輪を孤独に渡して、それですべてを終わらせようと思った。それで良いでしょ。私が決めたことなんだ。もう引き返す事はできないよ。私の手の中には首輪がある。私と卓巳をつないでいたもの。私と孤独をつないでいたもの。そして、私と孤独の関係を終わらせるもの。すべての切り札。
私はこの輪っかにずっと頼ってきた。これで、相手をつなぎとめることで、自分を保って来た。
ちょっと待ってよ。この首輪で、孤独を捨てたら、私はどうなるんだろう。私はじゃなくなってしまうんじゃないのだろうか。私は、どうすればいいんだ。私は、どうするべきなんだ。
私は、どうしたら良い。私は私を守れるのか。
「なんで、そんなこと聞くの、いまさら、いまさら」
私は、髪をかきむしった。
急いで立ち上がる。私は一人で立っていられる。私は、一人で生きていけるはず。
だから、もうこれで終わりにしようよ。私はもう、分かんないんだよ。私はどうすれば良いのか、私はどうしたいのか。
孤独は、悲しそうに眉をひそめて唇を噛む。彼の足が震えている。
バカみたい、バカみたい。私が孤独を追いつめているんだ。仕方ないだろう。私は分からないんだ。私にも分からない答えを求めないで。お願いだから。
私を、これ以上、混乱させないで。
「先輩、っ、やっぱり、俺のことは嫌いなんですか」
孤独が苦しそうだ。知るか、そんな事。私は分からない。苦しいよ。そりゃあ私も苦しい。私も怖くてたまらないし、つらいよ。でも、私は分からないから。私は自分がどうしたいのか、全く分からないから。
「……じゃあ、俺のこと、好きですか」
ゆっくりと、孤独は私に近づいてくる。私を、責めるように。
私は、私は。
「分かんない、分かんないよっ、止めてお願い、孤独、私はっ、私は、」
どうしたいんだっけ。とりあえず、頭が痛いや。涙が止まらないや。前は、こんなんじゃなかった。
卓巳は私を治してくれるって言った。そんなのは、無理だ。だって私自身が私が壊れているなんて、知らないし。
私、とりあえず。
「ごめんね、孤独」
何に謝ってんのか、全く分かんないや。全くさ、何が正しくて何が間違ってんのか。それの判断も、できないの。
ベランダの窓を開けて、外に出る。
今日は、空が綺麗だ。
私は孤独の声を後ろに聞きながら、柵によじ登って一歩踏み出した。
「先輩っ!」
私さ、これ以外に貴方の依存を振り切る方法、思いつかないや。
だから、私の中で悪役になって。
ねぇ、孤独。
+BADEND+
別end。自分への愛情度が低いとこうなります。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。【完結】 ( No.140 )
- 日時: 2012/11/09 22:38
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=13575
+参照1300+
どうやら、あのお客は女が苦手らしい。
そんな話をされて、ボクが相手をすることになったのだ。ボクは別に、何でも良かった。
愛想を振りまくのは好きじゃない。でも、ボクにだけ懐くとか。そんな感覚っていうか、そんな独占感を持てるのは結構好きで、快感だから。例えば、このお客がボクにだけ心を開いたとしたら、面白いよなぁ。なんて思ったりしてさ。
それで、何も考えずに、その男の相手をすることになった。ちなみに、それを報告してきた女の同僚は、下心が見え見えだった。ボクへの。後で、相手でもしてやろうかな。なんか面白そうだし。
ボクは営業スマイルを貼り付けて、客の髪を切り始めた。
そいつの髪は、うじうじじめじめして居る態度とは似合わない派手な金髪だった。髪は痛んでいる。プリンになって居ないところから見ると、染めてまだ日が浅いみたいだ。
あらかた、自分を変えたくてとかそういう理由かもしれない。
コイツはすごく背が高かった。だからただ立って居るだけでも目立つのに、金髪。そして中身はこんなにうじうじじめじめ。顔は整っているのに、なんだかもったいない男だ。いろいろと。
ふと気になったのが、右耳のピアスだ。左耳にはちゃんとついているピアスは、なんと右耳にはついていない。
そして、それに加えて何かを引きちぎった跡がある。傷は塞がっていないし、血も乾ききっていない。つまり、遅くても今日の昼ごろ。その頃についた傷だ。
ピアスの穴があったであろう位置から、下へ。
そう、それは、まるで、ピアスを掴んで、下に引き裂いたかのような。なんで、こんなことを。
まぁ、なんてそんな事が聞けるはずもなく、僕は仕事をこなしていった。
分かったこと、それは。
コイツが、記憶喪失だって事。
それで一気に興味が失せた。何だ、それなら仕方ないか。じゃあ、記憶を失う前はきっと、堂々とした性格だったのだろうな。
同情するような表情を作るのは久しぶりで、ちょっと下手になってしまったかもしれない。
コイツは単純だから、信じていたみたいだった。
その客が帰っていき、僕はようやく一息をついた。
何だかコロコロ表情を作らなくちゃいけなくて疲れた。
ボクはそっとトイレに入って、ポケットに入っていた携帯を取り出す。
何より、だ。何よりアイツの一番気に入らなかったところ。
それは。
「『僕』ねぇ」
ボクは、ボクなのにさ。
なんだよ、アレ。しっかりと自分を支えている感じ。気に入らない。あういう奴見ていると、嫌で嫌で仕方がないんだ。
ボクの脆さを、直視しなくちゃいけないような気がして。
「あー。もしもし、築?」
なんだかイライラする。こんなのは久しぶりだ。むかむかする。
ボクらしくない。こんなので、こんなにイライラするなんて。
ボクはもっと余裕ぶってないと。それで、余裕のない奴らを、追い込んでやるんだ。
そうだろ。
「なんかさー、今日すっごい可愛がりたい気分だから、楽しみにしててね?」
首輪で自我を抑えながら、待っていてよ。
ボクが満足するまで、耐えてくれよ。
+おわり+
URlのついそうの卓巳目線で。
彼は相当イライラしてたみたいです。
『可愛がる』の詳細はご想像にお任せします。
時間的には、築が桐の代わりになってしばらくたったあたりです。
つまり孤独が桐を手に入れて一番幸せを感じている頃ですね。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。【完結】 ( No.141 )
- 日時: 2012/12/31 12:22
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
- 参照: http://id24.fm-p.jp/456/yayuua/
+孤独への愛情度:低ED+
「先輩は、俺のことが嫌いですか」
笑ってしまいそうになった。
まだコイツ、そんなことを言うつもりか。
私はこらえきれずに、笑った。声を上げるまではいかない。
手を添えて、声を殺して。腹がよじれそうだった。
孤独は、そんな私の姿をじっと見つめて、涙を流す。
私が何で笑っているのか、予想はついているのだろう。
私は躊躇をしない。躊躇わない。
なんで、こんなことを聞くのか。
私には全く分からないけど。
コイツは、希望が欲しいんだ。まだ、自分には可能性があると。そう思いたいんだ。
そんなわけないじゃないか。
コイツに希望が残っているはずがない。コイツの希望は、私。最後の希望は、私。
その関係を望んでいるんだって。
なんでわからないの。これは私が仕組んだの。
私の、思い通り。
「嫌いに決まってるでしょ? というかどうでも良いの。私が心地よく生きることができるなら、それで良いの」
他の人間がどうなろうが、どうでも良い。ただ、自分がよければそれで良い。ただそれで良い。
そのための孤独。
孤独は、私を生かしてくれる。
私が壊れそうな時、支えてくれる。自分にどれだけ傷が付こうが、私を庇ってくれる。
そんな存在である孤独は、好きだ。だけど、嫌い。
私にとって、孤独はそれだけの存在であり、それ以上でもそれ以下でもない。
孤独は唇を噛み締めた。血が滲む。
さぁ、終わりにしようよ。
私、疲れちゃった。我儘になりすぎたんだよ。
孤独は、私を求めすぎた。それが間違いなの。私に何かを求める事なんか、孤独にはできないのに。
何を勘違いしたんだか。
「……それでも……」
孤独は、顔を伏せた。私に歩み寄って来て、私の前に座る。
顎をつかんで、私にそっとキスをした。
なんだよ。なんだよこれ。別にいいか。これで最後なら。
最後くらい、優しくしてあげようか。
私に裏切られて、心をズタズタにされた孤独は、昔の私によく似ている。
これで、仲間ができた。
唇を離しながら、私の首に手を掛けた。
「……え?」
押し倒される。息が苦しい。息が出来ない。首を絞められている。指に力を入れられて、全身の体重を首に掛けられる。
必死に孤独の手の甲に爪を立てる。
血が垂れてくるのに。
皮膚が抉られても、孤独は私の首から手を離さない。
「俺は、先輩が好きです」
苦しくて、涙が出てきた。
孤独も苦しいのか、涙が止まっていなかった。
最後まで。
+BADEND+
孤独への愛情度が低いとこうなります。
桐が屑ですね。最低です。
- Re: コドクビワ、キミイゾン。【完結】 ( No.142 )
- 日時: 2013/01/06 16:59
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
+卓巳への愛情度:高ED+
店長が怒っている。
そんなことは嫌でもわかった。店長の手が、テーブルの上に転がっていたフォークをつかむ。
なんでも勢いをつければ凶器になる。フォークだってとがっているんだ。
私はとっさに声を張り上げた。何を言ったのかは分からない。でも卓巳のみが危ないということだけは分かった。
卓巳。
私を助けて支えてくれていた卓巳。
卓巳は私の支えなんだ。
私の首に首輪を掛けることで私をつなぎとめていてくれた。
あのときの幸せは今でも私の胸の中にある。
確かにある。
私は掌を間に割り込ませた。
自分がやっている行動がなんなのか、いまいち分かっていない。
でも、鋭い痛みが掌から足先まで突き抜けてやっと事態が理解できた。
店長の瞳が怖いくらいに小さくなった。
築も驚いて腰を浮かしている。
そして卓巳は、私の掌から滴る血を見て、軽く笑った。
「……本当に物好きだね、桐ってさ」
その、私には何の興味もないって感じも昔と変わっていない。
そんな昔と同じ卓巳が怖くもあって、そして懐かしくて愛おしい。
私はそっと目を細めて手を引っ込めた。
「桐……桐、桐、ごめん、ごめん。俺は、俺はっ」
「っ、大丈夫です、」
怪我をしていないはずなのに店長の瞳からボロボロと涙がこぼれてきた。
唇が震えて、私のフォークの突き刺さった手を握って、そして一気にフォークを引き抜いた。血の勢いが増して、卓巳のショートケーキにぼたぼたと落ちていく。
私は痛みに眉を顰める。
なんで抜く必要があったのかは分からない。でも店長がそうしたかったなら大人しくして置いた。
店長が私の掌をぎゅっと握る。それが痛くてたまらない。
「店長?」
怖くて声を掛けた。
雰囲気が違う。いつもの店長じゃない。
孤独を思い出した。
私に寄り添って私の隣で必死に縋りついている孤独。
孤独の雰囲気に、似ているのだ。
私の背筋が凍った。
店長がそっと私の血を舐めた。
築が驚いている。私だって驚いている。
卓巳は面白そうにしていた。
私は手を引っ込めようとしたが、店長が抱きしめてきたのでそれは叶わなくなってしまった。
「桐、ごめん。怪我させてごめん。ごめんね、桐……」
店長が私の髪を優しく撫でる。
怖いくらいに冷たい優しさだった。
私は何も言えなかった。
もう何も考えたくなかった。
ただ、自分がもう抜け出せないということだけ、自分の冴えた頭が理解している。
「ごめん。俺が守るから、だから許して。俺が守るから。絶対もう怪我なんてさせないから。絶対、守るから。ずっと守るから……許して、許して、桐」
店長の優しさが、私の体を蝕んでいく。
私は目を閉じた。
抵抗するのをやめた。
それならずっと守られていよう。
ずっと、ずっと。
+BADEND+
店長の優しさはもはや凶器と化すことができるレベルまでです。
結局マシな人間なんてこの小説にはいません。
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